JP2015069011A - 液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶の液晶シール剤への差込耐性に優れ、更にスクリュー式ディスペンサーでの使用においてもゲル化を引き起こし難い為、作業性においても優れ、また接着強度等の液晶シール剤としての一般特性にも優れる液晶シール剤を提供すること。【解決手段】E型粘度計を用いて測定した25℃、1rpmにおける粘度が、500Pa・s以上2000Pa・s以下であり、(A)ラジカル重合防止剤、(B)(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤。【選択図】なし
Description
本発明は、液晶滴下工法に使用される液晶シール剤に関する。より詳細には、液晶の液晶シール剤への差込耐性に優れ、更にゲル化を引き起こし難い為、作業性においても優れ、また接着強度等のような液晶シール剤としての一般的な特性においても優れる液晶滴下工法用液晶シール剤に関する。
近年の液晶表示セルの大型化に伴い、液晶表示セルの製造方法として、より量産性の高い、いわゆる液晶滴下工法が提案されていた(特許文献1、特許文献2)。具体的には、一方の基板に形成された液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後液晶シール剤を硬化する液晶表示セルの製造方法である。
液晶滴下工法では、液晶シール剤が硬化する前に、液晶と液晶シール剤が接触する為、液晶による圧力によって液晶シール剤に差込現象が発生し、また決壊してしまうこともあり、問題とされている。この問題は、光と熱を併用する液晶滴下工法においても配線等の影になって充分な紫外線が照射されない部分が存在する液晶表示セルの製造や、紫外線照射を行わず、熱のみで液晶シール剤を硬化する方法の液晶滴下工法においては、特に大きな問題である。この問題を解決する最も簡単な方法は、使用する液晶シール剤の粘度を高くし、液晶の差込への耐性を高めることである。
しかし、液晶シール剤の粘度を高くすれば、作業性を著しく低下させる。特に液晶シール剤を塗布する工程においては大きな問題である。例えばスクリーン印刷の場合、10Pa・s〜150Pa・s程度が適正であり、200Pa・sを超えると、塗布は非常に困難である。また、ディスペンスの場合にも、400Pa・sを超えると塗布速度を落とさなければ、安定した塗布はできず、また500Pa・sを超えると、塗布自体非常に困難となる。
最近では、スクリュー式ディスペンサーというディスペンス方式が液晶シール剤の塗布に採用されている。これは従来のエアー式と異なり、シリンジ中をスクリューが回転し、機械的に液晶シール剤を押し出すものである(特許文献3等)。この方式を利用した場合、高粘度の液晶シール剤であっても、安定した塗布が可能である。しかし、この方式は、液晶シール剤のゲル化という問題を引き起こす。これは、シリンジ中で回転するスクリューによって、液晶シール剤にせん断応力がかかり、液晶シール剤中の成分が反応する為に発生する問題である。
従来より、液晶滴下工法用液晶シール剤は、精力的に関発がなされているが、上記課題を解決し、液晶の差込耐性及び作業性を両立した液晶シール剤は未だ完成していない。
従来より、液晶滴下工法用液晶シール剤は、精力的に関発がなされているが、上記課題を解決し、液晶の差込耐性及び作業性を両立した液晶シール剤は未だ完成していない。
また、更に液晶滴下工法用液晶シール剤には、高接着強度、低液晶汚染性、高耐湿性、高耐熱性等の一般特性や保存安定性等の課題を解決する必要がある。
本発明は、液晶滴下工法に使用される液晶シール剤に関し、より詳細には、液晶の液晶シール剤への差込耐性及び、作業性を両立し、更には接着強度等のような液晶シール剤としての一般的な特性においても優れる液晶滴下工法用液晶シール剤を提案するものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、高粘度であって、ラジカル重合防止剤を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤は、液晶の液晶シール剤への差込耐性及び、作業性を両立し、更には接着強度等のような液晶シール剤としての一般的な特性においても優れる液晶滴下工法用液晶シール剤であることを発見し本発明に至ったものである。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」を意味する。また、「液晶滴下工法用液晶シール剤」を単に「液晶シール剤」と記載する場合もある。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」を意味する。また、「液晶滴下工法用液晶シール剤」を単に「液晶シール剤」と記載する場合もある。
すなわち本発明は、次の1)〜11)に関するものである。
1)
E型粘度計を用いて測定した25℃、1rpmにおける粘度が、500Pa・s以上2000Pa・s以下であり、(A)ラジカル重合防止剤、(B)(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤、
2)
上記成分(B)の総量を100質量部とした場合に、上記成分(A)の含有量が0.0001〜1質量部である上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
3)
上記成分(A)が下記式(1)乃至(3)から選択される1又は2以上のラジカル重合防止剤である上記1)又は2)に記載の滴下工法用液晶シール剤、
[式(1)中、R1は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐アルコキシ基、又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐アルキル基を示す。]
[式(2)中、R2は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐アルコキシ基、フェノキシ基、アセトアミド基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、ベンゾイロキシ基、イソチオシアネート基、又はオキソ基を示し、R3〜R6は各々独立して炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基を示す。]
[式(3)中、R7は水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐アルキル基を若示す。]
4)
上記成分(B)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物を含有する硬化性樹脂である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
5)
更に、(C)エポキシ基を有する硬化性樹脂を含有する上記1)乃至4)のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
6)
更に、(D)熱硬化剤を含有する上記1)乃至5)のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
7)
上記成分(D)が有機酸ヒドラジドである上記6)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
8)
更に、(E)シランカップリング剤を含有する上記1)乃至7)のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
9)
更に、(F)無機フィラーを含有する上記1)乃至8)のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
10)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至8)のいずれか一項に記載の液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法、
11)
上記1)乃至9)のいずれか一項に記載の液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
1)
E型粘度計を用いて測定した25℃、1rpmにおける粘度が、500Pa・s以上2000Pa・s以下であり、(A)ラジカル重合防止剤、(B)(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤、
2)
上記成分(B)の総量を100質量部とした場合に、上記成分(A)の含有量が0.0001〜1質量部である上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
3)
上記成分(A)が下記式(1)乃至(3)から選択される1又は2以上のラジカル重合防止剤である上記1)又は2)に記載の滴下工法用液晶シール剤、
4)
上記成分(B)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物を含有する硬化性樹脂である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
5)
更に、(C)エポキシ基を有する硬化性樹脂を含有する上記1)乃至4)のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
6)
更に、(D)熱硬化剤を含有する上記1)乃至5)のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
7)
上記成分(D)が有機酸ヒドラジドである上記6)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
8)
更に、(E)シランカップリング剤を含有する上記1)乃至7)のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
9)
更に、(F)無機フィラーを含有する上記1)乃至8)のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
10)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至8)のいずれか一項に記載の液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法、
11)
上記1)乃至9)のいずれか一項に記載の液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
本発明の液晶シール剤は、液晶の差込への耐性、及び作業性に優れる。従って、液晶表示セルの製造を容易にする。また接着強度等液晶シール剤としての一般特性にも優れる為、完成した液晶表示セルは、長期信頼性の高いものである。すなわち本発明は、優れた液晶表示セルを容易に製造することを可能とするものである。
本発明の液晶シール剤は、E型粘度計を用いて測定した25℃、1rpmにおける粘度が、500Pa・s以上2000Pa・s以下である。
500Pa・s未満の場合、塗布自体は可能であるが、液晶の差込耐性に劣り、安定した液晶表示セルの作成は困難である。また、2000Pa・sを超える場合には、基板の貼り合わせ工程において、液晶シール剤が十分に潰れず、ギャップ不良となる場合がある。この粘度は更に好ましくは、600Pa・s以上1800Pa・s以下であり、特に好ましくは700Pa・s以上1500Pa・s以下である。
500Pa・s未満の場合、塗布自体は可能であるが、液晶の差込耐性に劣り、安定した液晶表示セルの作成は困難である。また、2000Pa・sを超える場合には、基板の貼り合わせ工程において、液晶シール剤が十分に潰れず、ギャップ不良となる場合がある。この粘度は更に好ましくは、600Pa・s以上1800Pa・s以下であり、特に好ましくは700Pa・s以上1500Pa・s以下である。
本発明の液晶滴下工法用液晶シールは、(A)ラジカル重合防止剤を含有する。
ラジカル重合開始剤や(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂単量体から発生するラジカルと反応して重合を防止する化合物であれば特に限定されるものではなく、キノン系、ピペリジン系、ヒンダードフェノール系、ニトロソ系等を用いることができる。具体的には、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、2−メチルナフトキノン、2−メトキシナフトキノン、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2−メトキシハイドロキノン、パラベンゾキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、ステアリルβ−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β―(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、パラメトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、チオジフェニルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアルミニウム塩、商品名アデカスタブLA−81、商品名アデカスタブLA−82(株式会社アデカ製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも上記熱ラジカル重合防止剤と併用して、顕著にその効果を発揮するものは、上記式(1)〜(3)記載のラジカル重合防止剤である。これらのラジカル重合防止剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記式(2)におけるR2は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐アルコキシ基、フェノキシ基、アセトアミド基(−NHCOCH3)、アミノ基(−NH2)、カルボキシ基(−COOH)、シアノ基(−CN)、ベンゾイロキシ基(−OCOC6H5)、イソチオシアネート基(−NCS)、又はオキソ基(=O)を示し、好ましくは水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルコキシ基、フェノキシ基、アミノ基、カルボキシ基であり、更に好ましくは水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基であり、特に好ましくは水素原子、ヒドロキシ基である。
ラジカル重合開始剤や(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂単量体から発生するラジカルと反応して重合を防止する化合物であれば特に限定されるものではなく、キノン系、ピペリジン系、ヒンダードフェノール系、ニトロソ系等を用いることができる。具体的には、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、2−メチルナフトキノン、2−メトキシナフトキノン、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2−メトキシハイドロキノン、パラベンゾキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、ステアリルβ−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β―(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、パラメトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、チオジフェニルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアルミニウム塩、商品名アデカスタブLA−81、商品名アデカスタブLA−82(株式会社アデカ製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも上記熱ラジカル重合防止剤と併用して、顕著にその効果を発揮するものは、上記式(1)〜(3)記載のラジカル重合防止剤である。これらのラジカル重合防止剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記式(2)におけるR2は、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐アルコキシ基、フェノキシ基、アセトアミド基(−NHCOCH3)、アミノ基(−NH2)、カルボキシ基(−COOH)、シアノ基(−CN)、ベンゾイロキシ基(−OCOC6H5)、イソチオシアネート基(−NCS)、又はオキソ基(=O)を示し、好ましくは水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルコキシ基、フェノキシ基、アミノ基、カルボキシ基であり、更に好ましくは水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基であり、特に好ましくは水素原子、ヒドロキシ基である。
成分(A)ラジカル重合防止剤は、成分(B)(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂を合成する際に添加するものではなく、成分(B)(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂及び必要に応じて用いられる成分(C)エポキシ基を有する硬化性樹脂の一方又は両方に対して添加するものである。すなわち、硬化性樹脂合成時にそのゲル化を防止する程度の量では足りず、成分(B)や成分(C)を用いて液晶シール剤を製造する際に添加する必要がある。
成分(A)ラジカル重合防止剤の含有量としては、本発明の液晶シール剤中の硬化性樹脂の全体を100質量部とした場合、0.0001〜1質量部が好ましく、0.001〜0.5質量部が更に好ましく、0.01〜0.2質量部が特に好ましい。ラジカル重合防止剤が少なすぎるとスクリュー式ディスペンサーでは使用が困難であり、また多すぎると熱反応の遅延による液晶汚染が問題となることがある。
本発明の液晶シール剤は、(B)(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂を含有する。
このような硬化性樹脂としては、例えば(メタ)アクリルエステル、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリルエステルとしては、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フロログリシノールトリアクリレート等が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びそれらのハロゲン化物、水素添加物等が挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、より好ましいものはレゾルシンジグリシジルエーテルである。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性及び液晶汚染性の観点から適切に選択される。
従って、好ましい(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有し、さらにレゾルシン骨格を有する硬化性樹脂であり、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテルのアクリル酸エステルやレゾルシンジグリシジルエーテルのメタクリル酸エステルである。
また、(B)(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂の液晶滴下工法用液晶シール剤中に占める含有率としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、30〜90質量部の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは50〜90質量部程度である。
このような硬化性樹脂としては、例えば(メタ)アクリルエステル、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリルエステルとしては、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フロログリシノールトリアクリレート等が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びそれらのハロゲン化物、水素添加物等が挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、より好ましいものはレゾルシンジグリシジルエーテルである。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性及び液晶汚染性の観点から適切に選択される。
従って、好ましい(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有し、さらにレゾルシン骨格を有する硬化性樹脂であり、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテルのアクリル酸エステルやレゾルシンジグリシジルエーテルのメタクリル酸エステルである。
また、(B)(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂の液晶滴下工法用液晶シール剤中に占める含有率としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、30〜90質量部の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは50〜90質量部程度である。
本発明の液晶シール剤は、(C)エポキシ基を有する硬化性樹脂を用いて接着強度の向上を図ることができる。用いられるエポキシ基を有する硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びそれらのハロゲン化物、水素添加物等が挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点より好ましいのはビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂である。成分(C)エポキシ基を有する硬化性樹脂の液晶シール剤中に占める含有量は、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、1〜30質量部程度である。
本発明の液晶シール剤は、成分(D)熱硬化剤を含有しても良い。熱硬化剤は特に限定されるものではなく、多価アミン類、多価フェノール類、ヒドラジド化合物等を挙げることができるが、固形の有機酸ヒドラジドが特に好適に用いられる。例えば、芳香族ヒドラジドであるサリチル酸ヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、1−ナフトエ酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等を挙げることができる。また、脂肪族ヒドラジド化合物であれば、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。この熱硬化剤は、単独で用いても2種以上混合してもよい。硬化反応性と潜在性とのバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはマロン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドである。かかる(D)熱硬化剤を使用する場合の使用量としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、0.5〜10質量部の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは1〜5質量部程度である。
本発明の液晶シール剤は、(E)シランカップリング剤を用いて、接着強度向上や耐湿信頼性向上を図ることができる。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤はKBMシリーズ、KBEシリーズ等として信越化学工業株式会社等によって販売されている為、市場から容易に入手可能である。シランカップリング剤の液晶シール剤に占める含有量は、本発明の液晶シール剤の全体を100質量部とした場合、0.05〜3質量部が好適である。
本発明の液晶シール剤は、(F)無機フィラーを用いて接着強度向上や耐湿信頼性向上を図ることができる。無機フィラーとしては、溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムであり、更に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タルクである。これら無機フィラーは2種以上を混合して用いても良い。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、3μm以下が適当であり、好ましくは2μm以下である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定した。無機フィラーの液晶シール剤中の含有量は、本発明の液晶シール剤の全体を100質量部とした場合、通常1〜60質量部、好ましくは1〜40質量部である。無機フィラーの含有量が少なすぎる場合、ガラス基板に対する接着強度が低下し、また耐湿信頼性も劣るために、吸湿後の接着強度の低下も大きくなる場合がある。又、無機フィラーの含有量が多すぎる場合、つぶれにくく液晶セルのギャップ形成ができなくなってしまう場合がある。
本発明の液晶シール剤には、さらに必要に応じて、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、硬化促進剤、有機フィラー、並びに顔料、レベリング剤、消泡剤、溶剤等の添加剤を配合することができる。
上記熱ラジカル重合開始剤とは、加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメックRTMA、M、R、L、LH、SP-30C、パーカドックスCH−50L、BC−FF、カドックスB−40ES、パーカドックス14、トリゴノックスRTM22−70E、23−C70、121、121−50E、121−LS50E、21−LS50E、42、42LS、カヤエステルRTMP−70、TMPO−70、CND−C70、OO−50E、AN、カヤブチルRTMB、パーカドックス16、カヤカルボンRTMBIC−75、AIC−75(化薬アクゾ株式会社製)、パーメックRTMN、H、S、F、D、G、パーヘキサRTMH、HC、パTMH、C、V、22、MC、パーキュアーRTMAH、AL、HB、パーブチルRTMH、C、ND、L、パークミルRTMH、D、パーロイルRTMIB、IPP、パーオクタRTMND、(日油株式会社製)などが市販品として入手可能である。また、アゾ化合物としては、VA−044、V−070、VPE−0201、VSP−1001等(和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。なお、本明細書中、上付きのRTMは登録商標を意味する。
上記熱ラジカル重合開始剤として、好ましいのは、分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発する為、液晶シール剤中に気泡を残した状態で硬化し、接着強度等の特性を低下させる為である。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1, 2−ジメトキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジエトキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジフェノキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジメトキシ−1,1, 2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1, 2−ジフェノキシ−1,1, 2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンである。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジンなどの塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)などが挙げれる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物の水酸基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
上記熱ラジカル重合開始剤として、好ましいのは、分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発する為、液晶シール剤中に気泡を残した状態で硬化し、接着強度等の特性を低下させる為である。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1, 2−ジメトキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジエトキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジフェノキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ジメトキシ−1,1, 2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1, 2−ジフェノキシ−1,1, 2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1, 2,2−テトラフェニルエタン、1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンである。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジンなどの塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)などが挙げれる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物の水酸基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
該熱ラジカル重合開始剤は粒径を細かくし、均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶表示セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせろ時のギャップ形成が上手くできない等の不良要因となる為、5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。また際限なく細かくしても差し支えないが、通常下限は0.1μm程度である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定できる。
該熱ラジカル重合開始剤を含有する場合の含有量としては、本発明の液晶シール剤の総量を100質量部とした場合、0.0001〜10質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.0005〜5質量部であり、0.001〜3質量部が特に好ましい。
上記光ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤は、UVや可視光の照射によって、ラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、2−エチルアンスラキノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリロイル基を有するものを使用することが好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。該光ラジカル重合開始剤を含有する場合の液晶シール剤中に占める含有量は、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、1〜10質量部程度が好ましい。
上記硬化促進剤としては、有機酸やイミダゾール等を挙げることができる。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2
,4−ジアミノ−6(2 ’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4− ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1 ’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2
,4−ジアミノ−6(2 ’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4− ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1 ’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。
上記有機フィラーとしては、例えばナイロン6、ナイロン12、ナイロン66等のポリアミド微粒子、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のフッ素系微粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系微粒子、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系微粒子、天然ゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等のゴム微粒子等が挙げられる。
この有機フィラーは、ゴム微粒子である場合が好ましい。ゴム微粒子としては、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、二トリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム( EPM、EP)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、ウレタンゴム(PUR)、シリコーンゴム(Si、SR)、フッ素ゴム(FKM、FPM)、多硫化ゴム(チオコール)等が挙げられ、単独のゴム微粒子でも良いし、2種以上を用いてコアシェル構造としても良い。また2種以上を併用しても良い。これらのうち、好ましくは、アクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴムまたはシリコーンゴムであり、特に好ましくはアクリルゴムまたはシリコーンゴムである。
アクリルゴムを使用する場合、2種類のアクリルゴムからなるコアシェル構造のアクリルゴムである場合が好ましく、特に好ましくはコア層がn−ブチルアクリレートであり、シェル層がメチルメタクリレートであるものが好ましい。これはゼフィアックRTMF−351としてアイカ工業株式会社から販売されている。
また、上記シリコーンゴムとしては、オルガノポリシロキサン架橋物粉体、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋物粉体等があげられる。また、複合シリコーンゴムとしては、上記シリコーンゴムの表面にシリコーン樹脂(例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂)を被覆したものがあげられる。これらのゴム微粒子のうち、特に好ましいのは、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋粉末のシリコーンゴム又はシリコーン樹脂被覆直鎖ジメチルポリシロキサン架橋粉末の複合シリコーンゴム微粒子である。これらのものは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、好ましくは、ゴム粉末の形状は、添加後の粘度の増粘が少ない球状が良い。
該有機フィラーを含有する場合の含有量としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、1〜30質量部、好ましくは5〜25質量部である。
この有機フィラーは、ゴム微粒子である場合が好ましい。ゴム微粒子としては、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、二トリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム( EPM、EP)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、ウレタンゴム(PUR)、シリコーンゴム(Si、SR)、フッ素ゴム(FKM、FPM)、多硫化ゴム(チオコール)等が挙げられ、単独のゴム微粒子でも良いし、2種以上を用いてコアシェル構造としても良い。また2種以上を併用しても良い。これらのうち、好ましくは、アクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴムまたはシリコーンゴムであり、特に好ましくはアクリルゴムまたはシリコーンゴムである。
アクリルゴムを使用する場合、2種類のアクリルゴムからなるコアシェル構造のアクリルゴムである場合が好ましく、特に好ましくはコア層がn−ブチルアクリレートであり、シェル層がメチルメタクリレートであるものが好ましい。これはゼフィアックRTMF−351としてアイカ工業株式会社から販売されている。
また、上記シリコーンゴムとしては、オルガノポリシロキサン架橋物粉体、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋物粉体等があげられる。また、複合シリコーンゴムとしては、上記シリコーンゴムの表面にシリコーン樹脂(例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂)を被覆したものがあげられる。これらのゴム微粒子のうち、特に好ましいのは、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋粉末のシリコーンゴム又はシリコーン樹脂被覆直鎖ジメチルポリシロキサン架橋粉末の複合シリコーンゴム微粒子である。これらのものは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、好ましくは、ゴム粉末の形状は、添加後の粘度の増粘が少ない球状が良い。
該有機フィラーを含有する場合の含有量としては、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、1〜30質量部、好ましくは5〜25質量部である。
本発明の液晶滴下工法用液晶シール剤を得る方法の一例としては、次に示す方法がある。まず、成分(B)(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂に、必要に応じ、成分(C)エポキシ基を有する硬化性樹脂を加熱混合し、そこへ成分(A)ラジカル重合防止剤を添加し、必要に応じて光ラジカル重合開始剤を溶解させる。その後、室温まで冷却し、必要に応じて成分(D)熱硬化剤、成分(E)シランカップリング剤、成分(F)無機充填材、熱ラジカル重合開始剤、硬化促進剤、有機フィラー、並びに顔料、レベリング剤、消泡剤、溶剤等を添加し、公知の混合装置、例えば3本ロール、サンドミル、ボールミル等により均一に混合し、金属メッシュにて濾過することにより本発明の液晶シール剤を製造することができる。
本発明の液晶表示セルは、基板に所定の電極を形成した一対の基板を所定の間隔に対向配置し、周囲を本発明の液晶シール剤でシールし、その間隙に液晶が封入されたものである。封入される液晶の種類は特に限定されない。ここで、基板とはガラス、石英、プラスチック、シリコン等からなる少なくとも一方に光透過性がある組み合わせの基板から構成される。その製法としては、本発明の液晶シール剤に、グラスファイバー等のスペーサー(間隙制御材)を添加後、該一対の基板の一方にディスペンサー、またはスクリーン印刷装置等を用いて該液晶シール剤を塗布した後、必要に応じて、80〜120℃で仮硬化を行う。その後、該液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下し、真空中にてもう一方のガラス基板を重ね合わせ、ギャップ出しを行う。ギャップ形成後、必要に応じて、紫外線照射機により液晶シール剤部に紫外線を照射させて光硬化させる。紫外線照射量は、好ましくは500〜6000mJ/cm2、より好ましくは1000〜4000mJ/cm2の照射量である。その後、90〜130℃で1〜2時間熱硬化することにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。このようにして得られた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。スペーサーとしては、例えばグラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等があげられる。その直径は、目的に応じ異なるが、通常2〜8μm、好ましくは4〜7μmである。その使用量は、本発明の液晶シール剤100質量部に対し通常0.1〜4質量部、好ましくは0.5〜2質量部、更に、好ましくは0.9〜1.5質量部程度である。
本発明の液晶シール剤は、作業性に優れ、スクリュー式ディスペンサーによる塗布工程でもゲル化することなく、安定塗布が可能である。また、液晶の差込への耐性が非常に良好であり、液晶滴下工法における基板の貼り合せ工程、加熱工程においても液晶が差し込んだり、シールが決壊したりする現象をおこさない。従って、安定した液晶表示セルの作成が可能である。更に、その硬化物は接着強度、耐熱性、耐湿性等の各種硬化物特性にも優れる為、本発明の液晶シール剤を用いることにより、信頼性に優れる液晶表示セルを作成することが可能である。また、本発明の液晶シール剤を用いて作成した液晶表示セルは、電圧保持率が高く、イオン密度が低いという液晶表示セルとして必要な特性も充足される。
以下、実験例、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。尚、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準である。
[合成例1]
[レゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレートの合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル181.2g(EX−201:ナガセケムテックス株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート293gを得た。
[レゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレートの合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル181.2g(EX−201:ナガセケムテックス株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート293gを得た。
[合成例2]
[ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシアクリレートの合成]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂282.5g(製品名:YD−8125、新日鉄化学株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするビスフェノールA型のエポキシアクリレート(アクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂)395gを得た。
[ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシアクリレートの合成]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂282.5g(製品名:YD−8125、新日鉄化学株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするビスフェノールA型のエポキシアクリレート(アクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂)395gを得た。
[実施例1〜5、比較例1〜3]
下記表1に示す量の成分(B)、(C)を加熱混合し、そこへ成分(A)を添加して溶解した。冷却後成分(D)、(E)、(F)、(その他成分)を添加し、攪拌した後、3本ロールミルにて分散させ、金属メッシュ(635メッシュ)で濾過し、液晶滴下工法用シール剤実施例1〜5を調製した。また、同様の工程により、表1に示す材料を配合して、比較例1〜3を調製した。各液晶シール剤の粘度を表1に示す。
下記表1に示す量の成分(B)、(C)を加熱混合し、そこへ成分(A)を添加して溶解した。冷却後成分(D)、(E)、(F)、(その他成分)を添加し、攪拌した後、3本ロールミルにて分散させ、金属メッシュ(635メッシュ)で濾過し、液晶滴下工法用シール剤実施例1〜5を調製した。また、同様の工程により、表1に示す材料を配合して、比較例1〜3を調製した。各液晶シール剤の粘度を表1に示す。
実施例1〜5、比較例1〜3で調製した液晶シール剤について、以下の評価を行った。結果を表1にまとめる。
[(i)液晶の差込耐性評価]
液晶シール剤各100gにスペーサーとして直径5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌脱泡を行い、シリンジに充填する。ITO透明電極付きガラス基板に先にシリンジに充填した液晶シール剤をディスペンサー(SHOTMASTER300:武蔵エンジニアリング株式会社製)を使って、シールパターン及びダミーシールパターンの塗布を行い、次いで液晶(MLC−3007;メルク株式会社製)の微小滴をシールパターンの枠内に滴下した。更にもう一枚のラビング処理済みガラス基板に面内スペーサ(ナトコスペーサKSEB−525F;ナトコ株式会社製;貼り合せ後のギャップ幅5μm)を散布、熱固着し、貼り合せ装置を用いて真空中で先の液晶滴下済み基板と貼り合せた。大気開放してギャップ形成した後、10分間放置した後、120℃オーブンに投入して1時間加熱硬化させたあとに偏光顕微鏡にてシールと液晶の界面を観察し、以下の基準に従って評価を行った。結果を表1に示す。
○:シール剤に液晶の差込が観察されない。
△:シール剤にわずかに液晶の差込が観察される。
×:シール剤に液晶の差込が観察される。
液晶シール剤各100gにスペーサーとして直径5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌脱泡を行い、シリンジに充填する。ITO透明電極付きガラス基板に先にシリンジに充填した液晶シール剤をディスペンサー(SHOTMASTER300:武蔵エンジニアリング株式会社製)を使って、シールパターン及びダミーシールパターンの塗布を行い、次いで液晶(MLC−3007;メルク株式会社製)の微小滴をシールパターンの枠内に滴下した。更にもう一枚のラビング処理済みガラス基板に面内スペーサ(ナトコスペーサKSEB−525F;ナトコ株式会社製;貼り合せ後のギャップ幅5μm)を散布、熱固着し、貼り合せ装置を用いて真空中で先の液晶滴下済み基板と貼り合せた。大気開放してギャップ形成した後、10分間放置した後、120℃オーブンに投入して1時間加熱硬化させたあとに偏光顕微鏡にてシールと液晶の界面を観察し、以下の基準に従って評価を行った。結果を表1に示す。
○:シール剤に液晶の差込が観察されない。
△:シール剤にわずかに液晶の差込が観察される。
×:シール剤に液晶の差込が観察される。
[(ii)作業性試験]
調製した各液晶滴下工法用液晶シール剤15gに5μmのスペーサー(PF−50S:日本電気硝子株式会社製)0.15gを混ぜた後、スクリュー式デュスペンサー用シリンジに充填した。そのシリンジを使用し、連続塗布試験を行い、ゲル物が発生するまでの時間を測定した。試験は23℃雰囲気下において行った。以下基準による評価結果を表1に示す。
○:72時間以上ゲル化しない
△:24時間以上72時間未満でゲル化した
×:脱泡後すぐから24時間未満でゲル化した
調製した各液晶滴下工法用液晶シール剤15gに5μmのスペーサー(PF−50S:日本電気硝子株式会社製)0.15gを混ぜた後、スクリュー式デュスペンサー用シリンジに充填した。そのシリンジを使用し、連続塗布試験を行い、ゲル物が発生するまでの時間を測定した。試験は23℃雰囲気下において行った。以下基準による評価結果を表1に示す。
○:72時間以上ゲル化しない
△:24時間以上72時間未満でゲル化した
×:脱泡後すぐから24時間未満でゲル化した
表1の結果より、本願発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、液晶の差込への耐性、作業性に非常に優れることが確認された。
本発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、液晶の液晶シール剤への差込耐性に優れ、更にスクリュー式デュスペンサーにおける使用においてもゲル化を引き起こし難く、作業性においても優れる為、長期信頼性に優れる液晶表示セルの製造を容易にすることができる。
Claims (11)
- E型粘度計を用いて測定した25℃、1rpmにおける粘度が、500Pa・s以上2000Pa・s以下であり、(A)ラジカル重合防止剤、(B)(メタ)アクリロイル基を有する硬化性樹脂を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記成分(B)の総量を100質量部とした場合に、前記成分(A)の含有量が0.0001〜1質量部である請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記成分(A)が下記式(1)乃至(3)から選択される1又は2以上のラジカル重合防止剤である請求項1又は2に記載の滴下工法用液晶シール剤。
- 前記成分(B)がレゾルシンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリルエステル化物を含有する硬化性樹脂である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(C)エポキシ基を有する硬化性樹脂を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(D)熱硬化剤を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記成分(D)が有機酸ヒドラジドである請求項6に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(E)シランカップリング剤を含有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(F)無機フィラーを含有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
- 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
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