JP2015064560A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】定着回転体21と、対向回転体22と、定着回転体を加熱する加熱源23と、定着回転体21の内側に配設されたニップ形成部材24と、ニップ形成部材24を支持する支持部材25と、を備え、定着回転体21と対向回転体22で形成されるニップ部Nにおいて記録媒体P上の未定着画像を定着させる定着装置20において、ニップ形成部材24は、熱伝導率の異なる複数材質の部材から構成され、ニップ形成部材の厚さ方向における熱伝導率が大きな高熱伝導部と熱伝導率が小さい低熱伝導部とを有しており、高熱伝導部は定着回転体の端部温度上昇の発生位置に対応している。
【選択図】図9
Description
画像形成装置では、電子写真記録・静電記録・磁気記録等の画像形成プロセスにより、画像転写方式又は直接方式によって未定着トナー画像が記録媒体シート・印刷紙・感光紙・静電記録紙等の記録媒体に形成される。未定着トナー画像を定着させるための定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式の定着装置が広く採用されている。
・ウォームアップ時間(電源投入時等に、定着装置が常温状態から印刷可能な所定の温度(リロード温度)まで昇温するのに要する時間)や、ファーストプリント時間(印刷要求を受けた後、印刷準備を経て印字動作を行い排紙が完了するまでの時間)の短縮化が望まれている(課題1)。
図1に示す画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、その装置本体の中央には、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kが設けられている。各作像部4Y,4M,4C,4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
作像動作が開始されると、各作像部4Y,4M,4C,4Kにおける各感光体5が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
図2に示すように、定着装置20は、回転可能な定着回転体としての定着ベルト21と、定着ベルト21に対向して回転可能に設けられた対向回転体としての加圧ローラ22と、定着ベルト21を加熱する加熱源としての1本のハロゲンヒータ23と、定着ベルト21の内側に配設されたニップ形成部材24と、ニップ形成部材24を支持する支持部材としてのステー25と、ハロゲンヒータ23から放射される光を定着ベルト21へ反射する反射部材26と、定着ベルト21の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ27と、定着ベルト21から用紙を分離する分離部材28と、加圧ローラ22を定着ベルト21へ加圧する図示しない加圧手段等を備えている。
具体的には、ハロゲンヒータ23によって定着ベルト21をニップ部N以外の箇所において直接加熱できるようにしている(直接加熱方式)。本実施形態では、ハロゲンヒータ23と定着ベルト21の図2の左側の部分の間に何も介在させないようにし、その部分においてハロゲンヒータ23からの輻射熱を定着ベルト21に直接与えるようにしている。
また、ニップ形成部材24のニップ出口側には突出部45が形成されている。突出部45は定着ベルト21を介して加圧ローラ22と接触しておらず、加圧ローラ22との接触により形成されたものではない。突出部45によって、ニップ部Nでの定着後の用紙Pを定着ベルト21から浮かすことができ、分離性が高められる。
この定着装置20では、定着ベルト21内には加熱源として2本のハロゲンヒータ23が備えられ、これにより定着ベルト21が内周側から輻射熱で直接加熱される。本実施形態でも、ニップ形成部材24のニップ出口側には突出部45が形成されている。突出部45は定着ベルト21を介して加圧ローラ22と接触しておらず、加圧ローラ22との接触により形成されたものではない。突出部45によって、ニップ部Nでの定着後の用紙Pを定着ベルト21から浮かすことができ、分離性が高められる。
図4は、従来の定着装置の概略側面断面図である。従来の定着装置では、ハロゲンヒータ23から定着ベルト21に与えられた熱は、主にニップ部Nにおいて定着ベルト外側と接触する用紙P、トナー、加圧ローラ22、また定着ベルト内側で接触するニップ形成部材24に伝達される。このとき、ニップ形成部材24には熱伝導率の低い樹脂が用いられており、伝熱量が少ないため、用紙Pやトナーへの伝熱が行われない非通紙部では連続通紙によって定着ベルトへ熱が蓄積される。そのため、定着ベルト21では、端部温度上昇は、ヒータの発光長Hより通紙幅の狭い用紙を連続通紙する際に非通紙部で生じる。
図6は、定着装置20の概略側面断面図である。従来の定着装置では、定着ベルト21に基材である樹脂で形成されるニップ形成部材24が当接し、ニップ形成部材24は表面に低摩擦シートを有する。一方、本例では、定着ベルト21の非通紙部に過剰に蓄積する熱を吸熱し、長手方向へ熱を移動させるため、ニップ形成部材24は、基材51に加えて、基材51より熱伝導率の大きい材料から成り長手方向に延在する均熱部材41を有する。第1熱伝導部材としての均熱部材41は基材51のニップ部側に設けている。また、本例では、定着ベルト21からの吸熱効果を高めるためにニップ形成部材表面に低摩擦シートを設けていない。ただし、均熱部材41が定着ベルト21から熱を吸収しすぎたり、定着ベルト21のトルクに難が生じたりする場合は、低摩擦シートを設けてもよい。均熱部材41で吸収された熱は、通紙により熱を奪われ、比較的低温となっている中央部、あるいは端部温度上昇が発生する端部側の低温側へと移動する。
均熱部材41は、ニップ部N側でハロゲンヒータ23の長手方向全体に延在しているため(図7(a))、通紙する用紙幅に関わらず端部温度上昇を抑制することができる(図7(c))。これによれば、軸方向の熱移動効果が高まって吸熱量が増え、端部温度上昇に対する抑制効果が高まる。ここで、均熱部材41は、最小の通紙幅A以外の領域にのみ、ハロゲンヒータ23の長手方向に延在してもよい。均熱部材41より内側に位置する基材51も熱伝導率のより大きい部材に置き換えて、均熱部材41の熱容量を増やし、端部温度上昇の抑制能力を高めることも可能である。定着ベルト21と直接接する均熱部材41の熱容量を調節することで、均熱部材41が定着ベルト21の熱を過剰に吸収することを防止できる。均熱部材41による過剰な吸熱が生じないように、均熱部材41の厚みや紙面垂直方向における幅又は材質(例えば、鉄や銅)を選択すればよい。均熱部材41を配置することで、特に通紙幅Bや通紙幅Cでの端部温度TB、TCを定着ベルト21の目標上限温度以内に抑制することができた。
図8は、定着装置20の概略側面断面図である。本実施形態1では、基材51より熱伝導率の大きい材料から成り長手方向に延在する第1熱伝導部材としての均熱部材41が、基材51のニップ部側に設けられている。また、基材51より熱伝導率の大きい材料から成り長手方向に延在する第3熱伝導部材としての吸熱部材42が、基材51より内側に配置され、基材51に当接している。さらに、図9(a)に示すように、基材51より熱伝導率の大きい材料から成り長手方向に部分的に延在する第2熱伝導部材としての吸熱部材43が、均熱部材41と吸熱部材42の間であって均熱部材41のニップ部と反対側に配置されている。特に、吸熱部材43は定着ベルト21の端部温度上昇(TA)の発生位置に対応して設けられる。よって、本例では、ニップ形成部材24は、基材51、均熱部材41、吸熱部材42及び吸熱部材43を有する。
材質 熱伝導率(W/mK)
カーボンナノチューブ 3000〜5500
グラファイトシート 700〜1750
銀 420
銅 398
アルミニウム 236
材質(耐熱性樹脂) 熱伝導率(W/mK)
PPS 0.2
PAI 0.29〜0.6
PEEK 0.26
PEK 0.29
LCP 0.38〜0.56
図10は定着装置20の概略側面断面図、図11(a)は図10のA−A矢視断面図(長手方向中央から端部までの片側のみであって、左が中央、右が端部)、図12はニップ部構成の概略分解斜視図である。本実施形態2では、実施形態1と同様の構成に加えて、均熱部材41と吸熱部材43の間に樹脂層44を設けている。よって、本例では、ニップ形成部材24は、基材51、均熱部材41、吸熱部材42、吸熱部材43及び樹脂層44を有する。樹脂層44には第2熱伝導部材である吸熱部材43よりも熱伝導率の低い部材を用いるのが望ましい。吸熱部材42に接触する吸熱部材43と均熱部材41の間に樹脂層44を設けることにより、均熱部材41から吸熱部材43を介する吸熱部材42への熱移動量を減らすことができる。これにより、端部温度TAを目標上限温度未満に抑制しつつ、定着ベルト21の温度落ち込み(tB〜tD)も低減し、消費電力の増大を防ぐことができる(図11(c))。
図13(a)の例では、ニップ形成部材24の基材51のニップ部側に設けられた均熱部材41のニップ出口側に、下方に突出した突出部45が形成されている。このように突出部45を形成することで、ニップ部Nでの定着後の用紙Pを定着ベルト21から浮かすことができ、分離性が高められる。また、ニップ形成部材24の周囲には低摩擦シート59が巻きつけられており、具体的には、低摩擦シート59は均熱部材41、基材51及び吸熱部材42を覆っている。
図13(b)の例では、均熱部材41のニップ出口側に下方に突出した突出部45が形成され、突出部45の上部46はニップ形成部材24の基材51の側面に沿って上方に延在している。これにより、定着ベルト21や用紙Pから一定の力を受ける均熱部材41が周方向へずれ難くなる。また、ニップ形成部材24の周囲には低摩擦シート59が巻きつけられており、具体的には、低摩擦シート59は均熱部材41を覆っており、その端部は基材51と上部46の間に挟まれ、固定されている。
本実施形態3では、実施形態1,2と同様の長手方向位置に、均熱部材41と吸熱部材42の間に吸熱部材43を設けているが、吸熱部材43は基材51に形成された凹部52に嵌めこまれている。よって、本例では、ニップ形成部材24は、基材51、均熱部材41、吸熱部材42及び吸熱部材43を有する。凹部52は基材51を貫通しておらず、凹部52の厚みは凹部が形成されていない基材51の部分の厚みより薄い。均熱部材41から吸熱部材43を介する吸熱部材42への熱移動量を調節するため、凹部52の厚みは適宜選択することができる。さらに、吸熱すべき熱量の大きさに応じて凹部52の通紙方向の幅も適宜選択することができる。吸熱すべき熱量が大きい場合には凹部52の通紙方向の幅を大きく、吸熱すべき熱量が小さい場合には凹部52の通紙方向の幅を小さくすればよい。吸熱部材43と基材51の上面は面一になっている。図示しないが、凹部52は基材51を貫通していて、凹部52の厚みは凹部が形成されていない基材51の部分の厚みと等しくてもよい。以上の構成により、端部温度TAを目標上限温度未満に抑制しつつ、定着ベルト21の温度落ち込み(tB〜tD)も低減し、消費電力の増大を防ぐことができる(図11(c)参照)。
以下では主に、本実施形態4の他の実施形態と異なる部分を説明する。先ず、均熱部材41の断面がU字状になるように均熱部材41の通紙方向両端部が上方に折り曲げられている。これにより、均熱部材41上に載置される基材51、樹脂層44、吸熱部材42、吸熱部材43を確実に受容することができる。また、均熱部材41の通紙方向両端部の上部は鋸歯状部56を有する。鋸歯状部56は長手方向に連続的に形成されておらず、鋸歯状部の無い平坦部が所要の間隔で形成されている。組み立てられたニップ形成部材24の周面に巻きつけられる低摩擦シートは鋸歯状部56によって確実に保持され、定着ベルト21の回転に伴いずれにくくなる。平坦部は低摩擦シートを取り付けるためのジグ(不図示)が当接する箇所である。図示の例では、均熱部材41の通紙方向両端部の上部に鋸歯状部56が形成されているが、鋸歯状部56はニップ入口部(図中下方の端部)にのみ形成されてもよい。定着ベルト21はニップ入口部からニップ出口部に向かって回転するため、低摩擦シートがニップ入口部側でしっかり固定されていればニップ出口部は必ずしも鋸歯状部56で固定される必要がないからである。
21 定着ベルト(定着回転体)
22 加圧ローラ(対向回転体)
23 ハロゲンヒータ(加熱源)
24 ニップ形成部材
25 ステー(支持部材)
41 均熱部材(第1熱伝導部材)
43 吸熱部材(第2熱伝導部材)
51 基材
N ニップ部
P 用紙(記録媒体)
Claims (13)
- 定着回転体と、該定着回転体に対向して設けられた対向回転体と、該定着回転体を加熱する加熱源と、該定着回転体の内側に配設されたニップ形成部材と、該ニップ形成部材を支持する支持部材と、を備え、該定着回転体と該対向回転体で形成されるニップ部において記録媒体上の未定着画像を定着させる定着装置において、
前記ニップ形成部材は、熱伝導率の異なる複数材質の部材から構成され、該ニップ形成部材の厚さ方向における熱伝導率が大きな高熱伝導部と熱伝導率が小さい低熱伝導部とを有しており、
前記高熱伝導部は前記定着回転体の端部温度上昇の発生位置に対応していることを特徴とする定着装置。 - 前記ニップ形成部材は、基材と、該基材の該ニップ部側に、該基材より大きい熱伝導率を有する第1熱伝導部材とを有し、
前記基材より大きい熱伝導率を有する第2熱伝導部材が、前記高熱伝導部において、前記第1熱伝導部材の前記ニップ部と反対側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記加熱源は、ハロゲンヒータ又はカーボンヒータであることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記第1熱伝導部材のニップ出口側に、下方に突出した突出部が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の定着装置。
- 前記第1熱伝導部材は、最小の通紙幅以外の領域にのみ、前記加熱源の長手方向に延在することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記第1熱伝導部材は、前記加熱源の長手方向全体に延在することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記基材より大きい熱容量又は熱伝導率を有する第3熱伝導部材又は前記支持部材が、前記第2熱伝導部材に当接していることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記第1熱伝導部材、前記第3熱伝導部材及び前記第2熱伝導部材は金属部材からなることを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
- 樹脂層が前記第1熱伝導部材と前記第2熱伝導部材の間に設けられることを特徴とする請求項7又は8に記載の定着装置。
- 前記樹脂層は前記第2熱伝導部材より低い熱伝導率を有することを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
- 前記第3熱伝導部材及び前記第2熱伝導部材は別個に製造されることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の定着装置。
- 前記第1熱伝導部材のニップ出口側の上部が前記基材の側面に沿って上方に延在していることを特徴とする請求項2〜11のいずれか一項に記載の定着装置。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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