JP2017187599A - 定着装置、画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明では、高熱伝導部材の過剰な昇温を防止することのできる定着装置を提供することを課題とする。【解決手段】回転可能な定着ベルト30と、定着ベルト30を加熱するハロゲンヒータ32と、定着ベルト30に当接し、定着ニップを形成する加圧部材31と、定着ベルト30の内側に設けられたニップ形成部材33と、ニップ形成部材33と定着ベルト30の間に配置され、ニップ形成部材33よりも熱伝導率の高い部材によって形成される高熱伝導部材34とを備えた定着装置7において、高熱伝導部材34に接触する接触姿勢と記高熱伝導部材34から離間する離間姿勢とを切り替え可能に設けられる放熱部材37を有することを特徴とする。【選択図】図7

Description

本発明は、定着装置および定着装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの複合機における画像形成装置に関する。
画像形成装置では、電子写真記録・静電記録・磁気記録等の画像形成プロセスにより、画像転写方式又は直接方式によって未定着トナー画像が記録媒体シート・印刷紙・感光紙・静電記録紙等の記録媒体に形成される。未定着トナー画像を定着させるための定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式の定着装置が広く採用されている。
また、定着時間の短縮化および装置の省エネルギー化等を目的として、低熱容量の無端ベルトを、金属熱伝導体を介さずに加熱する構成の定着装置が採用されている。
しかし、上記の様な低熱容量の定着部材を用いた定着装置の場合、定着部材の幅方向端部の非通紙領域における過剰な温度上昇が問題となる場合がある。つまり、定着装置に通紙される用紙のサイズは様々であるため、用紙サイズと定着部材の加熱範囲が必ずしも一致するわけではない。そして、定着装置に通紙される用紙サイズが加熱源による加熱範囲よりも小さい場合、通紙領域では用紙や用紙上のトナーを定着させるために熱が消費されるが、非通紙領域では、定着部材から熱が奪われないため、主に定着部材の幅方向端部における非通紙領域で定着部材が過剰に温度上昇してしまう。
上記の課題に対して、特許文献1〜3では、ニップ部を形成するニップ形成部材又はその一部に高熱伝導部材を用いることで、温度上昇しやすい非通紙領域の熱を拡散させて過剰な温度上昇を抑制する手段が提案されている。
前述した定着装置の場合、短時間で大量の枚数の記録媒体が定着装置に運ばれて定着動作が行われた場合、高熱伝導部材に熱が伝達し続け、高熱伝導部材が高温の状態で維持されてしまう。そして、高熱伝導部材が高温状態のまま定着動作が実行されることにより、高熱伝導部材が非通紙領域の熱を十分に拡散することができず、定着部材の端部における過剰な温度上昇を抑制できないという問題が発生する。
この様な事情から、本発明では、高熱伝導部材の過剰な昇温を防止することのできる定着装置を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明は、回転可能な定着部材と、前記定着部材を加熱する加熱源と、前記定着部材に当接し、定着ニップを形成する加圧部材と、前記定着部材の内側に設けられたニップ形成部材と、前記ニップ形成部材と前記定着部材の間に配置され、前記ニップ形成部材よりも熱伝導率の高い部材によって形成される高熱伝導部材とを備えた定着装置において、前記高熱伝導部材に接触する接触姿勢と前記高熱伝導部材から離間する離間姿勢とを切り替え可能に設けられる放熱部材を有することを特徴とする。
本発明では、高熱伝導部材に接触する接触姿勢と離間姿勢を切り替え可能な放熱部材を設ける。放熱部材の高熱伝導部材への接触により、高熱伝導部材に蓄積された熱が放熱部材へ伝達され、高熱伝導部材の過剰な昇温を防止できる。
画像形成装置の概略構成図である。 定着装置の概略構成図である。 定着装置に設けられた各部材の配置を概念的に示した図である。 本実施形態と異なる構成の定着装置の定着ベルトの温度分布を示す図である。 本実施形態と異なる構成の定着装置の定着ベルトの温度分布を示す図である。 本実施形態と異なる構成の定着装置の定着ベルトの温度分布を示す図である。 本実施形態と異なる構成の定着装置の定着ベルトの温度分布を示す図である。 本実施形態の定着装置の断面図である。 放熱部材の姿勢の切り替えを説明する断面図で、放熱部材が(a)図は離間姿勢に、(b)図は接触姿勢に配置されている。 放熱フィンの斜視図である。 放熱部材の姿勢切替機構を示す概略図で、(a)図が側面図、(b)図が平面図である。 非印刷動作時の放熱部材の制御フローの一例を示す図である。 定着ベルトと加圧ローラの脱圧機構を設けた定着装置の脱圧状態を示す概念図である。 本実施形態と異なる構成の放熱部材の高熱伝導部材への接触状態を示す図である。 異なる実施形態の定着装置を示す図である。 本実施形態の変形例で、弾性部材を放熱部材に設けた図である。
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
図1に示すカラー画像形成装置1の中央には、4つのプロセスユニット9Y,9M,9C,9Bkが着脱可能に設けられた画像形成部2が配置されている。各プロセスユニット9Y,9M,9C,9Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的な各プロセスユニット9としては、表面上に現像剤としてのトナーを担持可能なドラム状の回転体である感光体ドラム10と、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる帯電ローラ11と、感光体ドラム10の表面にトナーを供給する現像ローラ13を有する現像装置12等を備えている。
画像形成装置1の上部には、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の各色トナーが充填されたトナーボトル26Y,C,M,Bkが着脱可能に設けられている。そして、このトナーボトル26Y,C,M,Bkから各現像装置12との間に設けた補給路を介して、各色の現像装置12に各色トナーが補給される。
プロセスユニット9の下方には、露光部3が配置されている。露光部3は、画像データに基づいて、レーザ光を発するように構成されている。
画像形成部2の上方には転写部4が配置されている。転写部4は、駆動ローラ14及び従動ローラ15に周回走行可能に張架されている無端状の中間転写ベルト16、各プロセスユニット9の感光体ドラム10に対して中間転写ベルト16を挟んだ対向位置に配置されている一次転写ローラ17等で構成されている。各一次転写ローラ17はそれぞれの位置で中間転写ベルト16の内周面を押圧しており、中間転写ベルト16の押圧された部分と各感光体ドラム10とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。
また、中間転写ベルト16の駆動ローラ14と、中間転写ベルト16を挟んで駆動ローラ14に対向した位置には二次転写ローラ18が配設されている。二次転写ローラ18は中間転写ベルト16の外周面を押圧しており、二次転写ローラ18と中間転写ベルト16とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。
給紙部5は、画像形成装置1の下部に位置しており、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙カセット19や、給紙カセット19から用紙Pを搬出する給紙ローラ20等からなっている。
搬送路6は、給紙部5から搬出された用紙Pを搬送する搬送経路であり、一対のレジストローラ21の他、後述する排紙部8に至るまで、搬送ローラ対が搬送路6の途中に適宜配置されている。
定着装置7は、加熱源によって加熱される定着部材としての定着ベルト30、その定着ベルト30を加圧可能な、加圧部材としての加圧ローラ31等を有している。
排紙部8は、画像形成装置1の搬送路6の最下流に設けられる。この排紙部8には、用紙Pを外部へ排出するための一対の排紙ローラ24と、排出された用紙Pをストックするための排紙トレイ25とが配設されている。
以下、図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
画像形成装置1において、画像形成動作が開始されると、各プロセスユニット9Y,9C,9M,9Bkの感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム10に露光部3によって露光される画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。各感光体ドラム10上には静電潜像が形成され、各現像装置12に蓄えられたトナーが、ドラム状の現像ローラ13によって感光体ドラム10に供給されることにより、静電潜像は顕像であるトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
転写部4では、駆動ローラ14の回転駆動により中間転写ベルト16が図の矢印Aの方向に走行駆動される。また、各一次転写ローラ17には、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、一次転写ニップにおいて転写電界が形成され、各感光体ドラム10に形成されたトナー画像は一次転写ニップにて中間転写ベルト16上に順次重ね合わせて転写される。
一方、画像形成動作が開始されると、画像形成装置1の下部では、給紙部5の給紙ローラ20が回転駆動することによって、給紙カセット19に収容された用紙Pが搬送路6に送り出される。搬送路6に送り出された用紙Pは、レジストローラ21によってタイミングを計られて、二次転写ローラ18と駆動ローラ14との間の二次転写ニップに送られる。このとき、中間転写ベルト16上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、二次転写ニップに転写電界が形成されている。二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト16上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置7へと搬送され、定着ベルト30と加圧ローラ31とによって用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ベルト30から分離され、搬送ローラ対によって搬送され、排紙部8において排紙ローラ24によって排紙トレイ25へと排出される。
以上の説明は、用紙P上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット9Y,9C,9M,9Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニット9を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
次に本実施形態の定着装置7について、その構成を具体的に説明する。図2に示すように、定着装置7は、回転可能な定着ベルト30と、定着ベルト30に対向して配置される加圧部材としての加圧ローラ31と、加熱源としてのハロゲンヒータ32と、温度検知機構29等が設けられる。
ハロゲンヒータ32は、定着ベルト30の幅方向端部側を加熱する端部ヒータ23aと、幅方向中央側を加熱する中央ヒータ23bとからなる。ただし、ヒータが1本のみの構成であってもよいし、3本以上であってもよい。
定着ベルト30の内側には、定着ベルト30を介して加圧ローラ31との間でニップNを形成するニップ形成部材33と、定着ベルト30とニップ形成部材33の間に設けられる高熱伝導部材34と、ニップ形成部材33をニップNの反対側から支持するステー35と、ハロゲンヒータ32からの輻射熱を反射する反射部材36等が設けられる。
定着ベルト30は、ニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルトまたはフィルムで構成される。ベルトの表層はPFAまたはPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。ベルトの基材とPFAまたはPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成された弾性層を設けても良い。シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の光沢ムラ(ユズ肌画像)が残るという不具合が生じ得る。これを改善するにはシリコーンゴム層を100[μm]以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形により、微小な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
温度検知機構29は、定着ベルト30を挟んでハロゲンヒータ32に対向して設けられ、ハロゲンヒータ32によって加熱された定着ベルト30表面の幅方向端部の温度を検知する。この温度検知機構29によって検知された定着ベルト30の温度に基づいて、ハロゲンヒータ32の加熱量を制御し、定着ベルト30表面の温度を定着動作に必要な温度に調整することができる。
加圧ローラ31は、芯金311の外側に弾性のゴム層312、さらに外周面の側には離型性を得るために離型層(PFAまたはPTFE層)が設けてある。加圧ローラ31は、画像形成装置に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラ31は、スプリングなどにより定着ベルト30側に押し付けられており、弾性ゴム層312が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。加圧ローラ31は中空のローラであっても良く、加圧ローラ31にハロゲンヒータなどの加熱源を設けることもできる。弾性ゴム層312はソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ31内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト30の熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
定着ベルト30は、加圧ローラ31の回転により、定着ニップNにおいて加圧ローラ31の回転力が伝達され、加圧ローラ31に従動回転する。定着ベルト30は、ハロゲンヒータ32によって加熱されており、定着ニップNにおいて、通紙される用紙Pおよびその表面に形成されたトナー画像に熱を伝達すると共に、用紙Pを加圧し、トナー画像を用紙Pに定着させる。定着ニップNは平坦面によって形成されるが、一部が凹形状や凸形状であってもよい。
ニップ形成部材33は、耐熱温度200℃以上の耐熱性部材で構成されている。これにより、トナー定着温度域で、熱によるニップ形成部材33の変形を防止し、安定した定着ニップNの状態を確保して、出力画質の安定化を図っている。ニップ形成部材33には、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの一般的な耐熱性樹脂を用いることが可能である。
また、ニップ形成部材33の表面に低摩擦シートを設けてもよい。これにより、定着ベルト30の回転時に、定着ベルト30とニップ形成部材33の摺接により発生する摩擦力を軽減し、加圧ローラ31の駆動トルクを低減することができる。
定着ニップNの定着ベルト30の長手方向の温度分布を均一にするため、ニップ形成部材33のニップ部N側の表面には高熱伝導部材34が設けられている。高熱伝導部材34は、例えば、銅やアルミニウム等の熱伝導率の大きい金属板からなり、その熱伝導率はニップ形成部材33よりも大きく設定される。具体的には、高熱伝導部材34の熱伝導率は、236W/(m・K)以上に設定されることが好ましい。高熱伝導部材34の厚みは適宜選択することができるが、例えば、0.3〜0.5mmとすることができる。
ステー35は、定着ニップNにおいて加圧ローラ31より圧力を受けるニップ形成部材33を、定着ニップNの反対側から支持する。これにより、ニップ形成部材33の撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅が得られるようにしている。ステー35は、ステンレスや鉄、アルミ等の金属からなる。
ステー35は、その幅方向(図2の紙面手前奥方向)両端部でフランジによって保持固定され、位置決めされている。定着ベルト30は、このフランジによってその幅方向両端でガイドされ、加圧ローラ31に従動回転する。
ステー35とハロゲンヒータ32の間には反射部材36が設けられる。反射部材36は、アルミ基材の表面に銀等をコーティングして形成されるが、その材料はこれに限るものではない。
反射部材36は、ハロゲンヒータ32からステー35の側へ流れる輻射熱を定着ベルト30の側へ反射する。これにより、無駄なエネルギー消費を抑制し、定着ベルト30を効率良く加熱することができる。反射部材36を設ける代わりに、ステー35の表面に断熱処理や鏡面処理を施し、ステー35がハロゲンヒータ32からの輻射熱を反射するようにしてもよい。
図3は、定着装置に設けられた各部材の配置を概念的に示したものである。ただし、温度検知機構29や後述する放熱部材等は記載されていない。なお、以下、定着ベルト30の幅方向(図3の上下方向)端部側を幅方向の外側、定着ベルト30の幅方向中央側を幅方向の内側と呼ぶ。
ニップ形成部材33および高熱伝導部材34は、定着ベルト30の幅方向にわたって、定着ベルト30に対向して設けられている。高熱伝導部材34が、定着ベルト30の幅方向にわたって設けられることにより、加熱された定着ベルト30の熱を幅方向に伝達させ、定着ベルト30の幅方向の温度ムラを減らすことができる。
図4〜図6は、大サイズの用紙P1あるいは小サイズの用紙P2を定着装置7に通紙した場合の、温度検知機構29により検知される定着ベルト30の幅方向の温度分布を示すものであり、本実施形態とは異なる構成の定着装置を示すものである。具体的には、図4〜図6には後述する放熱部材は設けられておらず、図4および図5は高熱伝導部材34が設けられていない。これらの構成における定着ベルト30の温度分布を示すことにより、本実施形態が解決する課題について説明する。
図4に示すように、定着ベルト30の幅方向の温度Tは、用紙Pの表面の画像を定着させるために適当な目標温度T1になるようにハロゲンヒータ32によって加熱されている。そして、ハロゲンヒータ32の加熱幅Bと同じ幅の用紙P1が定着装置7に通紙された場合には、定着ベルト30の全幅にわたって、定着ベルト30から用紙P1へ熱が伝達され、定着ベルト30の幅方向の温度ムラはほとんど生じない。
一方で、図5に示すように、ハロゲンヒータ32の加熱幅Bよりも幅の小さい小サイズの用紙P2が通紙された場合には、定着ベルト30の幅方向端部の非通紙領域において、ハロゲンヒータ32から受けた熱が用紙P2へ伝達されず、目標温度T1を超えて温度が過剰に上昇してしまう。
上記のいわゆる端部温度上昇を緩和するために、高熱伝導部材34が設けられる。つまり、図6に示すように、高熱伝導部材34を定着ベルト30の幅方向にわたって設けることにより、定着ベルト30の幅方向の熱移動を促進し、定着ベルト30の幅方向の温度分布を均一化することで、定着ベルト30の幅方向端部の温度が過剰に上昇することを防止できる。
しかし、上記の高熱伝導部材34を設けた場合でも、定着ベルト30の端部温度上昇の問題が発生する場合がある。つまり、短時間で大量の枚数の小サイズ用紙が定着装置7に運ばれて定着動作が行われた場合、その間に高熱伝導部材34に熱が伝達し続け、高熱伝導部材34が高温の状態で維持されてしまう。そして、高熱伝導部材34が高温状態のまま定着動作が実行されると、高熱伝導部材34が非通紙領域の熱を十分に拡散することができず、定着ベルト30の端部における過剰な温度上昇を抑制できなくなってしまう。これにより、図7に示すように、高熱伝導部材34を設けた場合でも、定着ベルト30の幅方向端部における過剰な温度上昇が発生してしまう。
上記の課題に対して、本実施形態では、放熱部材を設けることにより、高熱伝導部材34の高温状態を緩和することができる。以下、この放熱部材について図8を用いて説明する。
図8に示すように、本実施形態の定着装置7には、定着ベルト30の幅方向両端の外側に、放熱部材37が設けられる。放熱部材37は、定着ベルト30の幅方向に移動可能に設けられており、この幅方向の移動により、高熱伝導部材34から離間した離間姿勢(図9(a)参照)と高熱伝導部材34(およびニップ形成部材33)に接触する接触姿勢(図9(b)参照)とを切り替え可能に設けられる。
放熱部材37は、接触姿勢で、高熱伝導部材34の幅方向端部に接触し、高熱伝導部材34の熱を放熱部材37の側へ逃がすことができる。これにより、高熱伝導部材34が高温状態となることを防止でき、短時間で大量の枚数の小サイズ用紙が定着装置7に運ばれて定着動作が行われたような場合であっても、高熱伝導部材34による定着ベルト30の幅方向の熱の伝達効果を維持し、図6で示した様な定着ベルト30の幅方向にムラのない温度分布を実現することが可能になる。特に、本実施形態の様に、放熱部材37を高熱伝導部材34の幅方向端部に接触させることにより、図7に示したような高熱伝導部材34の幅方向端部の高温状態をより確実に防止し、図6の様なムラのない温度分布により確実に近づけることができる。
図10に放熱部材37の一例として、放熱フィンの形状を示す。放熱部材37は、ベース371とベース371から突出して設けられた複数のフィン372からなる。放熱部材37は、複数のフィン372を有することにより、その表面積を増大させ、高熱伝導部材34から伝達された熱を外気中へ効率良く放出することができる。
本実施形態の放熱部材37として、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い材料を選択することができる。放熱部材37の熱伝導率は、高熱伝導部材34から放熱部材37への熱の伝達を効率良く行うために、高熱伝導部材34の熱伝導率と同等以上に設定されることが好ましい。
放熱部材37の姿勢を切り替える姿勢切替機構は、一例としてカムを利用した図11の構成を用いることができる。図11(a)および図11(b)に示すように、モータ38と、モータ38に連結された回転軸381と、カム39と、バネ40が設けられる。
バネ40は、その一端が放熱部材37に接続され、他端が画像形成装置の筐体等に固定されており、放熱部材37を矢印C1の方向へ付勢している。また、カム39は、その一方側で放熱部材37に当接しており、他方側でギヤ部391が回転軸381と噛み合っている。放熱部材37は、バネ40から付勢されて矢印C1の方向へ移動し、カム39に当接している。なお、放熱部材37を矢印C1の方向へ付勢できるように適宜配置すればよく、図11(a)では、便宜上、カム39と重ねて点線で表示し、図11(b)には表示していない。
モータ38の駆動により、回転軸381が回転すると、回転軸381と噛み合うカム39は、回転軸381から駆動力を伝達されて従動回転する。カム39の回転により、カム39に当接する放熱部材37が図11(a)の左右方向(定着ベルト30の幅方向)に移動する。具体的には、カム39の放熱部材37に対する当接位置の径が大きくなっていくことで、放熱部材37はバネ40の付勢力に抗して図11(a)の右方向へ移動し、高熱伝導部材34に接触する接触姿勢に切り替わる。また、カム39の放熱部材37に対する当接位置の径が小さくなっていくことで、カム39から放熱部材37に対する図11(a)の右方向への押圧状態が解除される。これにより、放熱部材37は、バネ40の付勢力によって左方向へ移動し、高熱伝導部材34から離間する離間姿勢に切り替わる。
放熱部材37を接触姿勢に配置し、高熱伝導部材34に蓄えられた熱を放出するタイミングとして、例えば、定着装置7の定着動作時以外(あるいは、画像形成装置の画像形成動作時以外)に行うことができる。
放熱部材37を高熱伝導部材34に接触させることで、定着ベルト30の端部温度上昇の問題を解決することができるが、一方で、定着ベルト30に蓄えられた熱が、高熱伝導部材34を介して放熱部材37へ過剰に流出し、定着動作を行うために必要な目標温度T1を下回ってしまう可能性がある。しかし、上記の様に定着動作時以外に放熱部材37を接触姿勢とすることで、定着動作に影響を及ぼすことなく、高熱伝導部材34の高温状態を緩和することができる。
上記の様に、非画像形成時のみ放熱部材37を接触姿勢とする場合の、非画像形成時(非印刷動作時)の制御フローの一例を図12に示す。
まず、印刷動作が終了すると(ステップS1)、温度検知機構29により検知される定着ベルト30の表面温度Tが、所定の温度T2を上回るか否かの判断を行う(ステップS2)。
定着ベルト30の表面温度Tが温度T2を上回っている場合には、高熱伝導部材34による定着ベルト30の幅方向の熱の伝達が十分に行われていない、言い換えると、高熱伝導部材34が高温状態にある、と判断して、放熱部材37を接触姿勢に切り替え(ステップS3)、高熱伝導部材34に蓄えられた熱を放熱部材37の側へ伝達させる。
そして、画像形成装置1に再び印刷動作の信号が出された場合には(ステップS4)、放熱部材37が接触姿勢にあるか否かの判断を行う(ステップS5)。放熱部材37が接触姿勢に配置されている場合には、放熱部材37を離間姿勢に切り替える(ステップS6)。以上により、放熱部材37を離間姿勢に配置した状態で、印刷動作(定着動作)を開始することができる(ステップS7)。
また、これとは逆に、定着動作時に放熱部材37を接触姿勢に配置する構成とすることもできる。この場合、定着ベルト30が上記の様に目標温度T1を下回ることを防止するために、定着ベルト30の表面温度Tに基づいて、放熱部材37の姿勢を制御することが好ましい。つまり、温度検知機構29により検知された定着ベルト30の表面温度Tが所定の温度(例えば、180〜200度)以上になった場合に放熱部材37を接触姿勢に切り替えて高熱伝導部材34に蓄えられた熱を放出させ、定着ベルト30の表面温度Tが所定の温度(例えば、160〜180度)以下になった場合には、放熱部材37を離間姿勢に切り替えて、定着ベルト30の温度が必要以上に低下することを防止できる。
また、小サイズの用紙Pが既定の枚数以上連続で画像形成された場合に、放熱部材37を接触姿勢に切り替え、高熱伝導部材34の熱を放熱部材37の側へ伝達させる制御とすることもできる。
ここで、定着装置の構成として、定着ベルト30と加圧ローラ31が圧接した状態と両者の圧接状態から脱圧した脱圧状態とを切り替え可能に設ける構成のものが存在する。そして、この様な構成の定着装置に本実施形態の放熱部材を適用する場合、定着ベルト30と加圧ローラ31の圧接状態と脱圧状態を切り替える圧接機構の駆動源として、上記のモータ38を利用することができる。つまり、図13に示すように、モータ38(図11参照)を、定着ベルト30と加圧ローラ31の圧接および脱圧状態の切り替え(図13に示す加圧ローラ31の矢印D方向の移動動作)と、放熱部材37の姿勢切り替え(放熱部材37の矢印E方向の移動動作)に併用することができる。
上記の構成により、定着装置の部材数を減らすことができるだけでなく、定着動作を終了した際に、自動的に放熱部材37を接触姿勢に切り替える構成とすることができる。つまり、定着動作時のみ定着ベルト30と加圧ローラ31が圧接状態になる構成の場合、定着動作の終了により、定着ベルト30と加圧ローラ31が圧接状態から脱圧状態に切り替えられ、これに伴って、放熱部材37を接触姿勢に切り替えることができる。これにより、定着動作時以外は放熱部材37を高熱伝導部材34に接触させ、定着動作が開始される際には、高熱伝導部材34に余分な熱ができる限り蓄えられていない状態にすることができる。
さらに、上記の脱圧状態では、加圧ローラ31からの加圧が解除されることにより、定着ベルト30の外周形状が、自らの弾性力によって図2の形状から円形状に戻る。これにより、図13に示すように、定着ベルト30と高熱伝導部材34の間に隙間Eが生じている。この隙間Eが生じた状態で放熱部材37を離間姿勢から接触姿勢に切り替えることにより、姿勢切り替え時に、放熱部材37が定着ベルト30の内周面30aに接触せず、定着ベルト30の内周面30aを傷つけることを防止できる。
放熱部材37は、高熱伝導部材34の特に幅方向端面34aにのみ接触することが好ましい。つまり、上記の様に定着ベルト30と加圧ローラ31が脱圧状態になり、定着ベルト30と高熱伝導部材34の間に隙間Eを生じる構成では、図14に示すように、放熱部材37を高熱伝導部材34の側面に引っ掛ける構成とし、放熱部材37を高熱伝導部材34に確実に接触させ、その接触面積を大きくすることもできる。しかし、定着ベルト30と加圧ローラ31が十分に脱圧されず、隙間Eが微小な定着装置では、放熱部材37の定着ベルト30の内周面30aへの接触の原因となってしまう。放熱部材37が高熱伝導部材34の幅方向端面34aにのみ接触することで、このような不具合を防止できる。
なお、以上の実施形態の説明では、放熱部材37が高熱伝導部材34およびニップ形成部材33に接触する構成としたが、高熱伝導部材34の熱を効率良く放熱部材37へ伝達し、高熱伝導部材34の高温状態を緩和するためには、放熱部材37を高熱伝導部材34にのみ接触させることが好ましい。このため、図15(a)に示すように、高熱伝導部材34の幅方向端部を定着ベルト30よりも外側に突出させたり、逆に、ニップ形成部材33の幅を小さく設けたり、あるいは、図15(b)に示すように、放熱部材37を高熱伝導部材34にのみ接触する厚みで設けたりすることで、放熱部材37を高熱伝導部材34にのみ接触させることができる。
特に図15(a)のように、高熱伝導部材34の幅方向端部を、定着ベルト30から突出させて設けた構成の場合、放熱部材37の移動範囲を定着ベルト30よりも外側に設けることができるので、放熱部材37の姿勢切り替え時に、放熱部材37を定着ベルト30に対して確実に非接触とすることができる。このため、前述の定着ベルト30と加圧ローラ31の脱圧機構を設けていない構成や定着ベルト30と加圧ローラ31が完全に脱圧されない構成の定着装置であっても、定着ベルト30の内周面30aに接触して傷をつけることがない。
本実施形態の変形例として、図16に示すように、放熱部材37の高熱伝導部材34に対する接触面に板バネ(弾性部材)41を設けることもできる。この場合、放熱部材37は、接触姿勢において、板バネ41を介して高熱伝導部材34に接触する。
高熱伝導部材34は、定着ベルト30からの熱が伝達されることによって幅方向に膨張し、その幅方向の長さが変化する場合がある。この場合でも、上記の構成により、板バネ41が高熱伝導部材34の幅方向の膨張分だけ圧縮変形し、放熱部材37から高熱伝導部材34に対して余計な圧力を加えることがない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
以上の実施形態では、定着ベルト30と加圧ローラ31が脱圧状態に切り替わる際に、放熱部材37が離間姿勢から接触姿勢に切り替わる構成を説明したが、これとは逆に、定着ベルト30と加圧ローラ31が圧接状態に切り替わる際に、放熱部材37が離間姿勢から接触姿勢に切り替わる構成とすることも可能である。
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。
1 画像形成装置
7 定着装置
29 温度検知機構
30 定着ベルト(定着部材)
30a 内周面
31 加圧ローラ(加圧部材)
32 ハロゲンヒータ(加熱源)
33 ニップ形成部材
34 高熱伝導部材
34a 幅方向端面
37 放熱部材
41 板バネ(弾性部材)
N 定着ニップ
特開2015−64560号公報 特開2015−102718号公報 特開2015−194661号公報

Claims (10)

  1. 回転可能な定着部材と、
    前記定着部材を加熱する加熱源と、
    前記定着部材に当接し、定着ニップを形成する加圧部材と、
    前記定着部材の内側に設けられたニップ形成部材と、
    前記ニップ形成部材と前記定着部材の間に配置され、前記ニップ形成部材よりも熱伝導率の高い部材によって形成される高熱伝導部材とを備えた定着装置において、
    前記高熱伝導部材に接触する接触姿勢と、前記高熱伝導部材から離間する離間姿勢とを切り替え可能に設けられる放熱部材を有することを特徴とする定着装置。
  2. 前記放熱部材は、前記高熱伝導部材と同等以上の熱伝導率を有する部材によって形成される請求項1記載の定着装置。
  3. 前記放熱部材は、前記接触姿勢において、前記高熱伝導部材の幅方向端部に接触する請求項1または2いずれか記載の定着装置。
  4. 前記放熱部材は、前記接触姿勢において、前記高熱伝導部材の幅方向端面に接触する請求項3記載の定着装置。
  5. 前記放熱部材は複数のフィンを有する放熱フィンである請求項1から4いずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記放熱部材は、前記定着装置の記録媒体に対する画像の定着動作時以外に、前記接触姿勢に配置される請求項1から5いずれか1項に記載の定着装置。
  7. 前記定着部材の温度を検知する温度検知機構を有し、
    前記温度検知機構により検知された前記定着部材の温度に基づいて、前記放熱部材の前記接触姿勢と前記離間姿勢の切り替えを行う請求項1から6いずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記定着部材と前記加圧部材が圧接して前記定着ニップを形成する圧接状態と、前記定着部材と前記加圧部材の圧接状態から脱圧した脱圧状態とを切り替え可能な圧接機構を有し、
    前記圧接機構は、前記脱圧状態と前記圧接状態との切り替えに伴って、前記放熱部材の前記接触姿勢と前記離間姿勢との切り替えを行う請求項1から7いずれか1項に記載の定着装置。
  9. 前記放熱部材は弾性部材を有し、前記弾性部材を介して前記高熱伝導部材に接触する請求項1から8いずれか1項に記載の定着装置。
  10. 請求項1から9いずれか1項に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
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