JP2015063972A - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】バランサ軸とオイルポンプ駆動軸とを近接配置でき、内燃機関をコンパクトにできるバランサを備えた内燃機関。【解決手段】クランクケース10と、側方を覆うケースカバー20Rとを有し、クランク軸11とバランサ軸61を備えた内燃機関1であって、バランサ6が、バランサ被動歯車62にバランスウエイト60を備えてクランク軸の駆動力を受けて回転駆動され、オイルポンプ8が、クランクケース内に収容され、オイルポンプ駆動軸81が、クランク軸およびバランサ軸と平行に配置されポンプ被動歯車82を備える内燃機関において、バランサは、バランサ被動歯車よりも小径でバランサ被動歯車と供に回転するポンプ駆動歯車63を備え、ポンプ駆動歯車はポンプ被動歯車と噛み合い、オイルポンプ駆動軸は、軸方向視で、バランスウエイトの回転範囲内に配置された内燃機関。【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関をコンパクトにできるバランサを備えた内燃機関に関する。
内燃機関のピストン・クランク系が発生する起振力と対向した起振力を発生させて、振動を打ち消すバランサを備える従来の構造が、例えば下記特許文献1に示されている。
また、特許文献1に示される内燃機関においては、オイルポンプなどの補機類を駆動する動力として、バランサ軸の駆動力を利用することが示されている。
しかし、下記特許文献1に示される内燃機関の場合、クランク軸、バランサ軸、オイルポンプ駆動軸が平行にクランクケースの左右に亘って配置されているので、補機類や他の軸部材を配置する際に、必要なスペースを互いに確保するために、空間利用および他部材との配置関係において制約を受けざるを得なかった。
特開平2009−162202号公報(図2、図4、図5)
本発明は、上記の従来技術に鑑み、内燃機関において、バランサ軸とオイルポンプ駆動軸とを近接配置でき、空間利用および他部材との配置関係において制約を受けることを回避でき、内燃機関をコンパクトにできるバランサを備えた内燃機関を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、クランクケースと、同クランクケースの側方を覆うケースカバーとを有し、クランク軸とバランサ軸を備えた内燃機関であって、バランサが、バランサ被動歯車にバランスウエイトを備えて前記クランク軸の駆動力を受けて回転駆動され、オイルポンプが、前記クランクケース内に収容されるとともに、同オイルポンプのオイルポンプ駆動軸が、前記クランク軸および前記バランサ軸と平行に配置され、ポンプ被動歯車を備える内燃機関において、前記バランサは、前記バランサ被動歯車よりも小径で同バランサ被動歯車と供に回転するポンプ駆動歯車を備え、同ポンプ駆動歯車は前記ポンプ被動歯車と噛み合うとともに、前記オイルポンプ駆動軸は、同オイルポンプ駆動軸の軸方向視において、前記バランスウエイトの回転範囲内に配置されたことを特徴とする内燃機関である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関において、前記バランサは、前記クランクケースと前記ケースカバーとの間に配置され、前記バランサ軸は、前記クランクケースの側壁面に形成されたケース側支持部と、前記ケースカバーの内側面に形成されたカバー側支持部とで支持されたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の内燃機関において、前記バランサのバランサ被動歯車が前記ケースカバー側に配置され、前記バランサのポンプ駆動歯車は前記クランクケース側に配置されたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関において、前記バランスウエイトは、前記バランサ被動歯車の両側面のうちの前記ケースカバーと対向する外側面に形成されたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関において、前記オイルポンプ駆動軸の軸方向移動を規制する規制部材が、締結部材によって前記クランクケースの側壁面に締結されて取り付けられるとともに、前記規制部材および前記締結部材は、前記オイルポンプ駆動軸の軸方向視において、前記バランスウエイトの回転範囲内に覆われることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関において、前記クランクケースは上下分割で構成され、前記バランサと前記オイルポンプは前記クランクケースの下側半体に配置されるとともに、前記オイルポンプ駆動軸は前記バランサ軸よりも下方に配置されたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の内燃機関において、前記内燃機関は変速機を有し、前記クランク軸により回転駆動されるクラッチ装置が同クランク軸よりも後方に配置されるとともに、前記バランサ軸と前記オイルポンプ駆動軸は、前後方向において、前記クランク軸と前記クラッチ装置の中心軸との間に配置されたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関において、前記オイルポンプは、前記クランクケース内に区画されたオイル室内に収容されるとともに、前記オイルポンプ駆動軸は、前記オイルポンプ内を貫通する第一軸部分と、前記バランサのポンプ駆動歯車と係合する前記ポンプ被動歯車を有する第二軸部分との複数の軸部材によって構成され、前記第一軸部分と前記第二軸部分とは互いに端部で係合接続されたことを特徴とする。
請求項1の発明の内燃機関によれば、バランサを有する内燃機関において、バランサは、バランサ被動歯車にバランスウエイトを備え、バランサ被動歯車よりも小径でバランサ被動歯車と連結されたポンプ駆動歯車をバランサ軸上に備え、オイルポンプ駆動軸上のポンプ被動歯車がポンプ駆動歯車と噛み合うように構成されるとともに、オイルポンプ駆動軸がバランスウエイトの回転範囲内に収まるように配置されたので、バランサ軸とオイルポンプ駆動軸とを近接配置して内燃機関をコンパクトにできる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、バランサ軸は、クランクケースの側壁面に形成されたケース側支持部と、ケースカバーの内側面に形成されたカバー側支持部とで支持されるようにしたので、バランサ軸がクランクケース内の空間を占有することがなくなり、空間利用および他部材との配置関係において制約を受けることを回避でき、また、バランサ軸とオイルポンプ駆動軸とをさらに近接配置することができる。
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、バランサの歯車のうち、径の大きい側のバランサ被動歯車がケースカバー側に寄せられて、バランサ被動歯車よりも径が小さいポンプ駆動歯車がクランクケースの側壁面に寄せられて配置されたので、オイルポンプ駆動軸をバランサ軸に対してさらに近接配置することができる。
請求項4の発明によれば、請求項1ないし請求項3のいずれか一項の発明の効果に加え、バランスウエイトが、バランサ被動歯車の両側面のうちケースカバーと対向する外側面に形成されたので、クランクケースと対向する側の空間をバランスウエイトが占有することがなくなり、オイルポンプ駆動軸をバランサ軸に対してさらに近接配置することができる。
請求項5の発明によれば、請求項1ないし請求項4のいずれか一項の発明の効果に加え、オイルポンプ駆動軸の軸方向移動を規制する規制部材と、規制部材の締結部材が、バランスウエイトの回転範囲内に覆われるように配置されたので、内燃機関内の部品が集約配置され、内燃機関をコンパクトにできる。
請求項6の発明によれば、請求項1ないし請求項5のいずれか一項の発明の効果に加え、クランクケースの下側半体にオイルポンプとバランサが配置されて低重心化が図られるとともに、オイルポンプ駆動軸がバランサ軸よりも下方に配置されたので、重量物であるオイルポンプを内燃機関の下方に配置することができ、内燃機関の低重心化に貢献する。
請求項7の発明によれば、請求項1ないし請求項6のいずれか一項の発明の効果に加え、バランサ軸とオイルポンプ駆動軸が、クランク軸とクラッチ装置の中心軸との間に配置されたので、重量物であるオイルポンプとバランサを内燃機関の前後中央寄りに配置することができ、内燃機関の重心を前後中央に寄せることに貢献する。
請求項8の発明によれば、請求項1ないし請求項7のいずれか一項の発明の効果に加え、オイルポンプ駆動軸が、分割形成されたことにより、クランクケース内へのオイルポンプの取り付けが容易となり、また、オイルポンプ駆動軸を伸ばすことができるので、重量物であるオイルポンプを内燃機関の左右中央に寄せて配置することができ、内燃機関の重心を左右中央に寄せることに貢献する。
本発明の一実施形態に係る内燃機関の右側面図である。 図1に示す内燃機関の右クランクケースカバーを外し、クランク軸およびバランサ周辺を示す右側面要部拡大図である。 図2において、バランサ、プライマリ駆動歯車およびクラッチ装置を取り外し、バランサのケース側支持部およびポンプ被動歯車周辺を示す右側面要部拡大図である。 図1に示された右クランクケースカバーの左内面を示す、左側面図である。 本実施形態の内燃機関の上側半体および右クランクケースカバー、ならびにクラッチ装置を外し、下側半体におけるバランサ周辺を、後部右方且つ斜め上方から示す要部斜視図である。 図2、図3中VI−VI矢視による断面展開図である。 図1中VII−VII矢視による縦断面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関1の右側面図である。内燃機関1は、水冷直列2気筒の4ストロークサイクル内燃機関である。
本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る内燃機関1を、図示しない車両、例えば自動二輪車に取り付けた図1に示す姿勢での車両(自動二輪車)の向きに従って記載する。
図1に示す姿勢において、図示右方が車両前方、図示上方が車両上方、図示向こう側が車両左方、図示手前側が車両右方である。
図中において、矢印FRは車両の向きに従い前方を、LHは左方を、RHは右方を、UPは上方を、それぞれ示す。
図1に示される本実施形態の内燃機関1は、シリンダ・クランクケース一体形成の内燃機関であり、クランク軸11を車幅方向(左右方向)に配置して回転自在に支持するクランクケース10は、クランク軸11を中心にクランクケース分割面(以下単に「分割面」という)10aで上下に分割される上下分割で構成され、上側半体10Aと下側半体10Bは、互いの分割面10aを合せてボルトにより一体に締結される。
上側半体10Aの上部には一体に成形されて2つのシリンダボアを直列に配列したシリンダブロック12が設けられ、シリンダブロック12上にシリンダヘッド13が順に重ねられてシリンダ軸Xを幾らか前方に傾けて締結立設される。シリンダヘッド13の上にはシリンダヘッドカバー14が被せられ、締結されている。
一方、下側クランクケース10Bの下にはオイルパン15が取り付けられる。
内燃機関1のシリンダヘッド13から後方には、その吸気ポート16に接続して図示しない吸気管が延出し、図示しないスロットルボディ、エアクリーナ等の吸気系に至っている。
シリンダヘッド13から前方には、その排気ポート17に接続して図示しない排気管が延出し、図示しないマフラ等の排気系に至っている。
クランクケース10には、上側半体10Aと下側半体10Bの分割面10aに挟まれて、クランク軸11が回転自在に支承され、クランク軸11より後方のクランクケース10内には、変速機4が配設されている(図5参照)。
変速機4は、メイン軸41とカウンタ軸42とを備える常時噛合い式のギヤ変速機であり、クランク軸11の後方で斜め上方位置にクランク軸11と平行な変速機4のメイン軸41が、上側半体10Aにおいて、回転自在に支持される。
また、クランク軸11およびメイン軸41の後方で、上側半体10Aと下側半体10Bとの分割面10aに挟まれて、クランク軸11と平行なカウンタ軸42が回転自在に支持される(図2、図5参照)。
図5に示されるように、変速機4においては、メイン軸41とカウンタ軸42にそれぞれ装着された変速ギヤ群41g、42gが、互いに対となるギヤ同士を噛合しており、変速機4の変速操作機構43によってギヤ切換えがなされて、変速が行われる。
メイン軸41の右端部には、図5には図示されない公知の多板式のクラッチ装置5が、メイン軸4の右端部をその中心軸5aとして設けられ(図2参照)、クランク軸11の回転がクラッチ装置5を介してメイン軸41に伝達される。
クランク軸11の回転動力は、クランク軸11側のプライマリ駆動歯車18(図3参照)とクラッチ装置5側の図示しないプライマリ被動歯車を介して、クランク軸の駆動力がクラッチ装置5に伝達されるが、クラッチ装置5は、変速機4のギヤ切換え中にはクランク軸11の回転動力を変速機4に伝達せず、変速機4のギヤ切換えが終了するとともにクランク軸11の回転動力を変速機4に伝達するように構成されている。
図1に示されるように、クランクケース10の右側は、上側半体10Aと下側半体10Bとに亘って大きく右クランクケースカバー(本発明における「ケースカバー」)20Rで覆われており、右クランクケースカバー20Rに覆われて前方から順にクランク軸11、バランサ軸61、オイルポンプ駆動軸81、クラッチ装置5の中心軸5a(すなわちメイン軸41)、そしてカウンタ軸42が位置している。
なお、右クランクケースカバー20Rには、クランク軸11より前方に冷却水のウォータポンプ21が設けられている。
図2に示されるように、クランクケース10の右側壁10Rには、上側半体10Aと下側半体10Bとに亘って右方に突出して右立設壁19Rが形成され、その右端面が右クランクケースカバー20Rとの合わせ面10bをなしており、右立設壁19Rは右クランクケースカバー20Rの外縁に沿った環状をなしている(図1、図4、図5参照)。
右立設壁19Rは、上側半体10Aの上側右立設壁19RAと、下側半体10Bの下側右立設壁19RBとからなり、上側半体10Aと下側半体10Bが締結されるとき、上側右立設壁19RAと下側右立設壁19RBもその端部19aで相互に締結され、環状の右立設壁19Rが形成される。
なお、クランクケース10の左側壁10L(図7参照)にも、同様に、上側半体10Aと下側半体10Bとに亘って左方に突出してその左端面が図示しない左クランクケースカバーとの合わせ面をなす左立設壁が形成されており、左立設壁は左クランクケースカバーの外縁に沿った環状をなしている
右クランクケースカバー20Rを外した図2に示されるように、環状の右立設壁19Rの内側には、クランクケース10の上側半体10Aと下側半体10Bとの分割面10aにおいて右側壁10Rに回転自在に貫通支持されたクランク軸11の右端部が位置する。
下側半体10Bにおいては、クランク軸11の後方かつ下方にバランスウエイト60を有するバランサ6のバランサ軸61とオイルポンプ駆動軸81が位置する。
したがって、クランクケース10の下側半体10Bにオイルポンプ8とバランサ6が配置されて低重心化が図られている。
バランサ軸61およびオイルポンプ駆動軸81より後方かつ上方で、上側半体10Aにおいては、変速機4のメイン軸41がクランク軸11と平行に設けられるが、メイン軸41の右端は、クランクケース10の上側半体10Aの右側壁10Rに回転自在に貫通支持され、メイン軸41の先端部にはそれを中心軸5aとしてクラッチ装置5が同芯に設けられている。
すなわち、クランク軸11よりも後方にはクランク軸11により回転駆動されるクラッチ装置5が配置され、バランサ軸61とオイルポンプ駆動軸81は、前後方向において、クランク軸11とクラッチ装置5の中心軸5aとの間に配置されている。
したがって、重量物であるオイルポンプ8とバランサ6が内燃機関1の前後中央寄りに位置し、内燃機関1の重心が前後中央に寄せられる。
変速機4のカウンタ軸42は、メイン軸41より後方で、クランクケース10の上側半体10Aと下側半体10Bとの分割面10aにおいて右側壁10Rと左側壁10L(図7参照)とに回転自在に支持されているが、右側壁10Rを右側に貫通していない。
右側壁10Rを貫通したクランク軸11の右端部には、プライマリ駆動歯車18が嵌着されるが、さらに先端側には、内燃機関1の図示しない動弁機構を駆動するチェーン機構25のカムチェーン26と噛合するカム軸駆動スプロケット27が嵌合されている(図5参照)。
クランク軸11の回転動力は、プライマリ駆動歯車18とクラッチ装置5に取り付けられた図示されないプライマリ被動歯車を介してクラッチ装置5に伝達されるが、プライマリ駆動歯車18は、いわゆるセラシ機構を備えている。
すなわち、図5に示されるように、プライマリ駆動歯車18は、歯車軸方向にメインギヤ18Aおよびサブギヤ18Bの2分割構造とされ、メインギヤ18Aと歯車幅の狭いサブギヤ18Bとが、互いに軸方向に同芯に重ね合わされて、共に他方の歯車である図示しないプライマリ被動歯車と噛み合わせられる。
メインギヤ18Aは、クランク軸11に固定支持され、一方、サブギヤ18Bは、メインギヤ18Aのボス(図6中のバランサ被動歯車62のメインギヤ62Aのボス62a参照)上へ遊転可能に嵌装されている。
メインギヤ18Aとサブギヤ18Bは、同径、同ピッチのギヤであり、共に図示しないプライマリ被動歯車の同じ歯間に噛合うが、メイン、サブ両ギヤ18A、18Bの間には図示しない付勢部材が介装され、両ギヤ18A、18Bが互いに逆向き方向に回動付勢される。
プライマリ駆動歯車18がプライマリ被動歯車を回転駆動する時、プライマリ駆動歯車18のメインギヤ18Aとサブギヤ18Bとが付勢部材によって、噛み合う他の歯車であるプライマリ被動歯車の歯間の前後を押し広げるように付勢されつつ噛合するので、バックラッシュが実質的に解消される。
従って、プライマリ駆動歯車18は、プライマリ被動歯車との噛み合い部において、ガタ無しに噛み合うことができるので、プライマリ被動歯車に回転動力を伝達する際の、ギヤ鳴り、振動等の発生が防止されるものとなる。
バランサ6は、図6に示されるように、バランスウエイト60を備えたバランサ被動歯車62を、バランサ軸61上にニードルベアリング64を介して回転自在に支持しており、バランサ被動歯車62はプライマリ駆動歯車18のメインギヤ18Aと噛合している。(なお、図2においては、プライマリ駆動歯車18はサブギヤ18B側が図示され、バランサ被動歯車62との噛合が明示されていない。)
バランスウエイト60は、バランサ被動歯車62の右クランクケースカバー20Rと対向する外側面に形成されており、ケース・カバー間空間22のうちのクランクケース10と対向するケース側空間22Aをバランスウエイト60が占有しないので、オイルポンプ駆動軸81をバランサ軸61に対して近接配置することができる。
バランサ被動歯車62のバランスウエイト60を備えた側面とは反対側には、バランサ軸61上に回転自在に支持されバランサ被動歯車62よりも小径のポンプ駆動歯車63が、オルダム継手65を介して従動回転するように連結されており、ポンプ駆動歯車63は、ポンプ駆動軸81のポンプ被動歯車82と噛合している(図2参照)。
バランサ6は、クランクケース10と右クランクケースカバー20Rとの間のケース・カバー間空間22に配置される。
すなわち、右クランクケースカバー20Rは、図4に示されるように、その内側面20Raが、クランクケース10の右立設壁19の合わせ面10bと一致するカバー側合わせ面20Rbを外周部に備え、前部にウォータポンプ21を備え、後部にクラッチ装置カバー部28、略中央にクランク軸端カバー部29を備えるとともに、前後方向でクラッチ装置カバー部28とクランク軸端カバー部29との間で、下方において、バランサ軸61の右端を支えるカバー側支持部23が形成されている。
また、バランサ軸61の左端は、クランクケース10の下側半体10Bの右側壁10Rに形成されたケース側支持部24(図3参照)で支持されている。
したがって、バランサ軸61がクランクケース10内の空間を占有することがなくなるとともに、バランサ軸61をオイルポンプ駆動軸81に近接配置することができる。
そして、バランサ6のバランサ被動歯車62とポンプ駆動歯車63は、ケース・カバー間空間22内でバランサ軸61方向において、バランサ被動歯車62が右クランクケースカバー20Rに寄せられて配置され、より小径のポンプ駆動歯車63はクランクケース10の右側壁10R面に寄せられて配置されている。
したがって、オイルポンプ駆動軸81のポンプ被動歯車82をポンプ駆動歯車63に近接させることができ、バランサ軸61とオイルポンプ駆動軸81とを近接配置することができる。
図5、図6に示されるように、バランサ6のバランサ被動歯車62も、プライマリ駆動歯車18と同様に、いわゆるセラシ機構を備えており、歯車軸方向にメインギヤ62Aおよびサブギヤ62Bの2分割構造とされ、サブギヤ62Bは、メインギヤ62Aのボス62a上へ遊転可能に嵌装されている。
そして、メインギヤ62Aと歯車幅の狭いサブギヤ62Bとが、互いに同芯に軸方向に重ね合わされて、両ギヤ62A、62Bが互いに逆向き方向に回動付勢されて、共に噛み合う他方の歯車であるプライマリ駆動歯車18のメインギヤ18Aと噛み合わせられている。
ここでは、セラシ機構が被動歯車側に設けられているが、プライマリ駆動歯車18のメインギヤ18Aがバランサ6のバランサ被動歯車62を回転駆動する時も、同様にバックラッシュが実質的に解消される。
従って、プライマリ駆動歯車18は、バランサ被動歯車62との噛み合い部において、ガタ無しに噛み合うことができるので、バランサ被動歯車62に回転動力を伝達する際の、ギヤ鳴り、振動等の発生が防止されるものとなっている。
図3には、図2に示されるものからさらに、バランサ6、プライマリ駆動歯車18およびクラッチ装置5を取り外した状態が示される。図中24は、クランクケース10の下側半体10Bの右側壁10Rに形成されたバランサ軸61のケース側支持部24である。また、図中60Aは、図2に示すバランスウエイト60が回転した時のその外周部60a(図2参照)の回転軌跡を示す。
ケース側支持部24の後方下方には、バランサ6のポンプ駆動歯車63と噛合するポンプ被動歯車82を取り付けたオイルポンプ駆動軸81が、バランサ軸61と平行に配置されている。
すなわち、バランサ6とオイルポンプ8は、クランクケース10の下側半体に配置されるとともに、バランサ軸61はクランク軸11よりも下方に配置され、オイルポンプ駆動軸81はバランサ軸61よりも下方に配置され、バランサ軸61とオイルポンプ駆動軸81は、前後方向においてクランク軸11とその後方のクラッチ装置5の中心軸5aとの間に配置される(図2参照)。
したがって、重量物であるオイルポンプ8とバランサ6が、下方に配置され内燃機関1の重心を下げられ、また、重心を前後方向中央に寄せることができる。
オイルポンプ8は、図7に示されるように、クランクケース10の下側半体10Bの左側壁10Lと右側壁10Rとの間の下部内部にオイル室隔壁31により画成されてオイルポンプ収容室30内に収容されて取り付けられており、オイル室30の下部は、オイルパン15内と連通している。
バランサ軸61と平行なオイルポンプ駆動軸81は、オイルポンプ8内を貫通する第一軸部分81Aと、バランサ6のポンプ駆動歯車63と係合するポンプ被動歯車82を備える第二軸部分81Bとが別体に形成されており、第一軸部分81Aの右端部81Abと第二軸部分81Bの左端部81Baとが係合接続され、第二軸部分81Bの右端部81Bbが下側半体10Bの右側壁10Rを貫通し、且つ右側壁10Rに回転可能に支持されている(図6参照)。
また、オイルポンプ駆動軸81の右端、すなわち第二軸部分81Bの右端部81Bbには、その軸方向右方への移動を規制する規制部材83が、締結部材84によってクランクケース10の右側壁10Rの側壁面10Raに締結されて当接している(図3、図5、図6参照)。
したがって、オイルポンプ駆動軸81の第二軸部分81Bは、規制部材83によって軸方向右方への移動を規制されるとともに、軸方向左方へは、オイルポンプ8本体内で軸方向移動が規制される第一軸部分81Aとの係合によって軸方向移動が規制されるものとなる。
なお、規制部材83および締結部材84は、図3に示されるように、オイルポンプ駆動軸81の軸方向視において、バランスウエイト60の回転範囲内(回転軌跡60A内)に覆われた位置にあり、そのため、内燃機関1内の部品が集約配置され、内燃機関1をコンパクトにできる。
以上のように、重量物であるオイルポンプ8は、クランクケース10の下側半体10Bの左側壁10Lと右側壁10Rとの間に設けられたオイル室30内に収容されるので、内燃機関1の左右中央に寄せて配置することができ、内燃機関1の重心を左右中央に寄せることができる。
また、オイルポンプ駆動軸81が、分割形成されているので、クランクケース10のオイルポンプ収容室30内へのオイルポンプ8の取り付けが容易となる。
以上のような本実施形態の内燃機関の特徴を、以下まとめて重ね記載する。
すなわち、本実施形態の内燃機関1は、クランクケース10と、クランクケース10の右側方を覆う右クランクケースカバー20Rとを有し、クランク軸11とバランサ軸61を備えており、バランサ6が、バランサ被動歯車62にバランスウエイト60を備えてクランク軸11の駆動力を受けて回転駆動され、オイルポンプ8が、クランクケース10内に収容されるとともに、オイルポンプ8のオイルポンプ駆動軸81が、クランク軸11およびバランサ軸61と平行に配置され、ポンプ被動歯車82を備えている。
そしてさらに、バランサ6は、バランサ被動歯車62よりも小径でバランサ被動歯車62と供に回転するポンプ駆動歯車63を備え、ポンプ駆動歯車63はポンプ被動歯車82と噛み合うとともに、オイルポンプ駆動軸81は、オイルポンプ駆動軸81の軸方向視において、バランスウエイト60の回転範囲内に配置されている。
そのため、バランサ軸61とオイルポンプ駆動軸81とを近接配置して内燃機関2をコンパクトにできるものとなっている。
また、バランサ6は、クランクケース10と右クランクケースカバー20Rとの間のケース・カバー間空間22に配置され、バランサ軸61は、クランクケース10の右側壁10Rの側壁面10Raに形成されたケース側支持部24と、右クランクケースカバー20Rの内側面20Raに形成されたカバー側支持部23とで支持されている。
そのため、バランサ軸61がクランクケース10内の空間を占有することがなくなり、空間利用および他部材との配置関係において制約を受けることを回避でき、また、バランサ軸61とオイルポンプ駆動軸81とを、より近接配置することができる。
また、バランサ6のバランサ被動歯車62が右クランクケースカバー20R側に配置され、バランサ6のポンプ駆動歯車63はクランクケース10側に配置されたので、バランサ6の歯車のうち、径の大きい側のバランサ被動歯車62が右クランクケースカバー20R側に寄せられて、バランサ被動歯車62よりも径が小さいポンプ駆動歯車63がクランクケース10の右側壁10Rの側壁面10Raに寄せられて配置されることとなり、オイルポンプ駆動軸81をバランサ軸61に対して、より近接配置することができる。
また、バランスウエイト60は、バランサ被動歯車62の両側面のうちの右クランクケースカバー20Rと対向する外側面に形成されたので、クランクケース10と対向するケース側空間22Aをバランスウエイト60が占有することがなくなり、オイルポンプ駆動軸81をバランサ軸61に対して、より近接配置することができる。
また、オイルポンプ駆動軸81の軸方向移動を規制する規制部材83が、締結部材84によってクランクケース10の右側壁10Rの側壁面10Raに締結されて取り付けられるとともに、規制部材83および締結部材84は、オイルポンプ駆動軸81の軸方向視において、バランスウエイト60の回転範囲内に覆われるように配置されたので、内燃機関1内の部品が集約配置され、内燃機関1をコンパクトにできる。
また、クランクケース10は上下分割で構成され、バランサ6とオイルポンプ8はクランクケース10の下側半体10Bに配置されたので、低重心化が図られるとともに、オイルポンプ駆動軸81はバランサ軸61よりも下方に配置されたので、重量物であるオイルポンプ8を内燃機関1の下方に配置することができ、内燃機関1の低重心化が図られている。
また、内燃機関1は変速機4を有し、クランク軸11により回転駆動されるクラッチ装置5がクランク軸11よりも後方に配置されるとともに、バランサ軸61とオイルポンプ駆動軸81は、前後方向において、クランク軸11とクラッチ装置5の中心軸5aとの間に配置されたので、重量物であるオイルポンプ8とバランサ6を内燃機関1の前後中央寄りに配置することができ、内燃機関1の重心を前後中央に寄せることに貢献している。
そして、オイルポンプ8は、クランクケース10内に区画されたオイル室30内に収容されるとともに、オイルポンプ駆動軸81は、オイルポンプ8内を貫通する第一軸部分81Aと、バランサ6のポンプ駆動歯車63と係合するポンプ被動歯車82を有する第二軸部分81Bとの複数の軸部材によって構成され、第一軸部分81Aの右端部81Abと第二軸部分81Bの左端部81Baとが互いに係合接続される構造としたので、オイルポンプ駆動軸81が分割形成されたことにより、クランクケース10内へのオイルポンプ8の取り付けが容易となり、また、オイルポンプ駆動軸81を伸ばすことができるので、重量物であるオイルポンプ8を内燃機関1の左右中央に寄せて配置することができ、内燃機関1の重心を左右中央に寄せることに貢献している。
以上、本発明に係る一実施形態の内燃機関につき説明したが、本発明の態様が上記実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。
例えば、本発明の内燃機関は、車載用に限らず定置型を含め多様な内燃機関であっても請求項1の要件を備える内燃機関であればよく、空冷、水冷の種類、気筒数を問わない。オイルポンプも請求項1の要件を備えるオイルポンプであればよい。
上記実施形態では、バランサ被動歯車とバランスウエイトは一体であったが、バランサ被動歯車とバランスウエイトが共に回転すればよいのであって、別体形成であってもよい。
また、各機器の左右の配置は、説明の便宜上、図示のものに特定して記載したが、上記実施形態に示すものと左右逆となる配置のものであってもよく、本発明に含まれる。
1…内燃機関、4…変速機、5…クラッチ装置、5a…中心軸、6…バランサ、8…オイルポンプ、10…クランクケース、10a…分割面(クランクケース分割面)、10A…上側半体、10B…下側半体、10L…左側壁、10R…右側壁、10Ra…側壁面、11…クランク軸、15…オイルパン、18…プライマリ駆動歯車、20R…右クランクケースカバー(本発明における「ケースカバー」)、20Ra…内側面、22…ケース・カバー間空間、22A…ケース側空間、23…カバー側支持部、24…ケース側支持部、30…オイル室、31…オイル室隔壁、41…メイン軸、42…カウンタ軸、60…バランスウエイト、60a…外周部、60A…回転軌跡、61…バランサ軸、62…バランサ被動歯車、63…ポンプ駆動歯車、64…ニードルベアリング、81…オイルポンプ駆動軸、81A…第一軸部分、81Ab…右端部、81B…第二軸部分、81Ba…左端部、81Bb…右端部、82…ポンプ被動歯車、83…規制部材、84…締結部材

Claims (8)

  1. クランクケース(10)と、同クランクケース(10)の側方を覆うケースカバー(20R)とを有し、クランク軸(11)とバランサ軸(61)を備えた内燃機関(1)であって、
    バランサ(6)が、バランサ被動歯車(62)にバランスウエイト(60)を備えて前記クランク軸(11)の駆動力を受けて回転駆動され、
    オイルポンプ(8)が、前記クランクケース(10)内に収容されるとともに、同オイルポンプ(8)のオイルポンプ駆動軸(81)が、前記クランク軸(11)および前記バランサ軸(61)と平行に配置され、ポンプ被動歯車(82)を備える内燃機関において、
    前記バランサ(6)は、前記バランサ被動歯車(62)よりも小径で同バランサ被動歯車(62)と供に回転するポンプ駆動歯車(63)を備え、同ポンプ駆動歯車(63)は前記ポンプ被動歯車(82)と噛み合うとともに、
    前記オイルポンプ駆動軸(81)は、同オイルポンプ駆動軸(81)の軸方向視において、前記バランスウエイト(60)の回転範囲内に配置されたことを特徴とする内燃機関。
  2. 前記バランサ(6)は、前記クランクケース(10)と前記ケースカバー(20R)との間(22)に配置され、前記バランサ軸(61)は、前記クランクケース(10)の側壁面(10Ra)に形成されたケース側支持部(24)と、前記ケースカバー(20R)の内側面(20Ra)に形成されたカバー側支持部(23)とで支持されたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記バランサ(6)のバランサ被動歯車(62)が前記ケースカバー側(20R)に配置され、前記バランサ(6)のポンプ駆動歯車(63)は前記クランクケース(10)側に配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記バランスウエイト(60)は、前記バランサ被動歯車(62)の両側面のうちの前記ケースカバー(20R)と対向する外側面に形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関。
  5. 前記オイルポンプ駆動軸(81)の軸方向移動を規制する規制部材(83)が、締結部材(84)によって前記クランクケース(10)の側壁面(10Ra)に締結されて取り付けられるとともに、前記規制部材(83)および前記締結部材(84)は、前記オイルポンプ駆動軸(81)の軸方向視において、前記バランスウエイト(60)の回転範囲内に覆われることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関。
  6. 前記クランクケース(10)は上下分割で構成され、前記バランサ(6)と前記オイルポンプ(8)は前記クランクケース(10)の下側半体(10B)に配置されるとともに、前記オイルポンプ駆動軸(81)は前記バランサ軸(61)よりも下方に配置されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関。
  7. 前記内燃機関(1)は変速機(4)を有し、前記クランク軸(11)により回転駆動されるクラッチ装置(5)が同クランク軸(11)よりも後方に配置されるとともに、前記バランサ軸(61)と前記オイルポンプ駆動軸(81)は、前後方向において、前記クランク軸(11)と前記クラッチ装置(5)の中心軸(5a)との間に配置されたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の内燃機関。
  8. 前記オイルポンプ(8)は、前記クランクケース(10)内に区画されたオイル室(30)内に収容されるとともに、前記オイルポンプ駆動軸(81)は、前記オイルポンプ(8)内を貫通する第一軸部分(81A)と、前記バランサ(6)のポンプ駆動歯車(63)と係合する前記ポンプ被動歯車(82)を有する第二軸部分(81B)との複数の軸部材によって構成され、前記第一軸部分(81A)と前記第二軸部分(81B)とは互いに端部(81Ab,81Ba)で係合接続されたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関。
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