JP2015059456A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

【課題】吸気行程中の噴射による気化促進を図りつつ筒内における燃料分布の均一化を進めることができる、内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の低負荷領域であって吸気流速IASが所定値THLを超えない状態では、吸気TDC後の吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期よりも遅い時期を噴射終了時期TIEとして、吸気バルブ4の開弁前から開弁後にかけて燃料噴射を実施する。一方、内燃機関の高負荷領域であって吸気流速IASが所定値THLを超える状態では、吸気TDC後の吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期CASよりも進角側であって、吸気流速IASが所定値THLとなる時期を噴射終了時期TIEとして、吸気バルブ4の開弁前から開弁後にかけて燃料噴射を実施する。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の吸気バルブの上流側の吸気通路に設けた燃料噴射弁による燃料噴射を制御する制御装置に関する。
特許文献1には、内燃機関の冷間始動時に、噴射された燃料が開弁中の吸気バルブを通過するように燃料噴射時期を吸気行程に同期させて設定する一方、燃料噴射期間中は、デューティ制御により、燃料噴射率を、吸気バルブを通過する吸入新気の流量の時間変化に合わせて変化させる、燃料噴射制御装置が開示されている。
特開2005−002853号公報
ところで、吸気行程中に燃料噴射を行わせ、吸気の流れに燃料噴霧を乗せて筒内に導入させるようにすれば、筒内での燃料の気化を促進でき、燃焼性を向上できる。
しかし、内燃機関の負荷が高くなって吸気バルブが開弁するときの吸気通路における吸気流速が速くなると、吸気通路の横断面において領域による吸気流速の差が拡大する。このため、高負荷域で吸気行程中に燃料噴射を行わせる場合、燃料噴霧が流速の速い吸気の流れに乗ることで、燃料噴霧の流れが吸気通路の一部に偏った流れとなり、これによって筒内での燃料分布の均一性が低下し、燃費性能を低下させてしまうという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、吸気行程中の噴射による気化促進を図りつつ筒内における燃料分布の均一化を進めることができる、内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
そのため、本願発明は、吸気バルブの開弁中を噴射終了時期とする噴射制御において、吸気バルブが開弁するときの吸気流速が増加したときに、噴射終了時期を進角して吸気バルブの開弁前から開弁後にかけて燃料噴射を行わせるようにした。
上記発明によると、噴射終了時期を進角させることで、開弁後の吸気流速が速い条件下で噴射される燃料量を減らして開弁前の噴射を相対的に増やすことになり、吸気行程中の噴射による気化促進を図りつつ筒内における燃料分布の均一化を進めることができる。
本発明の実施形態における内燃機関を示すシステム図である。 本発明の第1の実施形態における噴射時期を例示する線図であり、(A)は低負荷領域、(B)は高負荷領域での噴射時期を示す図である。 本発明の第1の実施形態における噴射時期制御の流れを示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における噴射時期を例示する線図であり、(A)は低負荷領域での一括噴射、(B)は高負荷領域での分割噴射における噴射パルス幅を示す図である。 本発明の第2の実施形態における噴射時期制御の流れを示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態における噴射時期を例示する線図であり、(A)は高負荷領域での4分割噴射、(B)は高負荷領域での3分割噴射における噴射パルス幅を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る制御装置を適用する内燃機関の一例を示す図である。
図1に示す内燃機関1は、駆動源として車両に搭載される。
内燃機関1は、各気筒のシリンダに連通する吸気ポート(吸気通路)2aそれぞれに燃料噴射弁3を備える。燃料噴射弁3は、各気筒の吸気バルブ4の傘部に向け、吸気ポート2a内に燃料を噴射する。
燃料噴射弁3が吸気ポート2a内に噴射した燃料は、吸気行程において吸気バルブ4を介して燃焼室5内に吸引され、点火プラグ6による火花点火によって燃焼する。つまり、内燃機関1は、吸気ポート噴射式の火花点火機関である。
なお、内燃機関1は、直列機関、水平対向機関、V型機関などの気筒配置や、気筒数が限定されるものではない。
燃焼室5内の燃焼ガスは、排気行程において排気バルブ7を介して排気通路8に排出される。
吸気ポート2aの上流側の吸気ダクト2bには、スロットルモータ9で動作する電子制御スロットル10を設けてあり、この電子制御スロットル10の開度によって内燃機関1の吸入空気量が調整される。
また、内燃機関1は、燃料タンク11内の燃料を燃料噴射弁3に向けて圧送する燃料供給装置13を備えている。
燃料供給装置13は、燃料タンク11、燃料ポンプ12、燃料ギャラリー配管14、燃料供給配管15を備える。
燃料ポンプ12は、電動式ポンプであって、燃料タンク11内に配置される。
燃料ポンプ12の吐出口には燃料供給配管15の一端が接続され、燃料供給配管15の他端は燃料ギャラリー配管14に接続され、燃料ギャラリー配管14に各気筒の燃料噴射弁3の燃料供給口が接続される。
ECM(エンジン・コントロール・モジュール)31は、燃料噴射弁3による燃料噴射、点火プラグ6による点火、電子制御スロットル10の開度などを制御する内燃機関1の制御装置である。
また、FCM(フューエル・コントロール・モジュール)30は、燃料ポンプ12を制御する制御装置である。
ECM31及びFCM30は、CPU、ROM、RAM、入出力回路などを含むマイクロコンピュータをそれぞれ備え、相互に通信可能に構成される。
そして、ECM31からFCM30に向けては、燃料ポンプ12の駆動デューティ(印加電圧)の指示信号などが送信され、FCM30からECM31に向けては、FCM30での診断結果を示す信号などが送信される。
なお、ECM31とFCM30とを統合し、ECM31の機能とFCM30の機能とを兼ね備える制御装置を設けることができる。
ECM31は、内燃機関1の運転状態を検出する各種センサの出力信号を入力する。
前述の各種センサとしては、燃料ギャラリー配管16内の燃圧FUPRを検出する燃料圧力センサ33、図外のアクセルペダルの踏み込み量(換言すれば、アクセル開度)ACCを検出するアクセル開度センサ34、内燃機関1の吸入空気流量QAを検出するエアフローセンサ35、内燃機関1の回転速度NEを検出する回転センサ36、内燃機関1の冷却水温度TWを検出する水温センサ37、排気中の酸素濃度に応じて内燃機関1の混合気の空燃比A/Fを検出する空燃比センサ38などを設けてある。なお、冷却水温度TWは、内燃機関1の温度を代表する状態量である。
そして、ECM31は、吸入空気流量QAや機関回転速度NEなどの機関運転条件に基づいて燃料噴射パルス幅TI(ms)を演算し、各気筒の噴射時期になると、燃料噴射弁3に噴射パルス幅TIの噴射パルス信号を出力して、燃料噴射弁3による燃料噴射量及び噴射時期を制御する。
燃料噴射弁3は、噴射時間(開弁時間)に比例する量の燃料を噴射するので、噴射パルス幅TI(ms)は燃料噴射量に比例する値として演算される。
以下では、ECM31による燃料噴射制御を詳細に説明する。
ECM31は、各気筒の吸気行程にタイミングを合わせて各燃料噴射弁3による燃料噴射を個別に行わせる所謂シーケンシャル噴射制御を実施する、内燃機関1の制御装置である。
そして、燃料噴射弁3の噴射終了時期ITEが吸気行程中(吸気バルブ4の開弁中)になるように、つまり、吸気行程中(吸気バルブ4の開弁中)に燃料噴射が行われるように噴射時期を設定することで、燃料噴霧を吸気ポート2a内における吸気の流れに乗せて筒内に導入させることで、気化の促進を図る。
しかし、燃料噴射弁3の噴射場である吸気ポート2aにおいて吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASが速くなると、吸気ポート2aの横断面における領域による吸気流速差が拡大し、燃料噴霧は、流速IASがより速い吸気の流れに乗るため、筒内における燃料分布にばらつきが生じる。
つまり、吸気流速IASが所定値THLを超えるときに燃料噴射弁3による燃料噴射を行わせると、筒内における燃料分布の均一性が損なわれることになる。
所定値THLは、筒内における燃料分布の均一性を損ねることになる大きな吸気流速差を生じさせる吸気流速IAS領域と、筒内における燃料分布の均一性を損ねる要因とならない程度の小さい吸気流速差を生じさせる吸気流速IAS領域との境界値である。
ここで、吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASは、機関負荷が高く(吸入空気量が多く)なることでより速くなる。
このため、吸気流速IASのピーク値(吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASの極大値)が所定値THLを下回るような低負荷域では、吸気流速IASの影響によって噴射時期を制限する必要性は低い。一方、吸気流速IASのピーク値(吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASの極大値)が所定値THLを上回るような高負荷域では、吸気流速IASが所定値THLを上回る期間を避けて燃料噴射を行わせるように噴射時期を設定することで、筒内における燃料分布の均一性が損なわれることを抑制できる。
そこで、ECM31は、吸気流速IAS(機関負荷)に応じて燃料噴射弁3の噴射時期を変更する制御を行う。
図2は、ECM31が実施する噴射時期制御の第1実施形態を示す。
図2(A)は、内燃機関1の低負荷領域であって吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASのピーク値IASmaxが所定値THLを下回る状態での噴射時期の一例を示す。
図2(A)に示す噴射時期は、吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASが大きくなる期間に噴射期間が重なり、速い吸気流速を有効利用して燃料噴霧の気化促進させるように、吸気TDC後の吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期(クランク角位置CAS)よりも遅い時期で燃料噴射を終えるように吸気バルブ4の開弁前から開弁後にかけて、換言すれば、吸気バルブ4の開時期IVOを跨いで燃料噴射を実施する。
なお、図2(A)の噴射時期を実現する噴射制御は、噴射終了時期ITE(噴射終了クランク角位置)を所定位置に設定し、噴射パルス幅TIに相当するクランク角度だけ進角した位置を噴射開始時期ITS(噴射開始クランク角位置)として定める制御の他、噴射開始時期ITSを所定位置に設定し、噴射パルス幅TIに応じて噴射終了時期ITEが前後する制御とのいずれかを採用することができる。
また、噴射パルス幅TIに相当するクランク角度とは、時間としての噴射パルス幅TIをそのときの機関回転速度NEに基づきクランク角度に換算した値である。
噴射終了時期ITEを所定位置に設定し、そのときの噴射パルス幅TI分だけ進角した位置を噴射開始時期ITSとする制御では、噴射終了時期ITEが略一定する。従って、例えば、吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期CASよりも遅い時期であって、吸気流速IASが急激に落ち込む状態から緩やかな落ち込みに切り替わる時期CSC(換言すれば、吸気流速IASの減少速度が所定速度以下に低下する時期)付近を噴射終了時期ITEに設定することで、吸気バルブ4が開弁するとき(開弁初期、開弁期間前半)の吸気流速IASが速くなる期間と噴射期間とを安定して重ねることができ、吸気流速を利用した燃料噴霧の気化効果を安定して得ることができる。
一方、図2(B)は、図2(A)での機関負荷に比べて機関負荷(吸入空気量)が高い高負荷領域であって、吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASのピーク値IASmaxが所定値THLを上回る高負荷領域での噴射時期の一例を示す。
図2(B)に示す噴射時期は、吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASが所定値THLを上回る期間に噴射期間が重なることを抑制するために、吸気TDC後の吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期CASよりも進角した時期で燃料噴射を終えるように、吸気バルブ4の開弁前から開弁後にかけて燃料噴射を実施する。換言すれば、高負荷領域では、噴射終了時期ITEを低負荷領域よりも進角させて、吸気バルブ4の開時期IVOを跨いで燃料噴射を実施する。
詳細には、図2(B)に示す高負荷領域での噴射制御では、吸気TDC後の吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期CASよりも進角側及び遅角側である、吸気流速IASが所定値THLとなる2つのクランク角位置CA1,CA2のうち、進角側のクランク角位置CA1付近を噴射終了時期ITEに設定し、この噴射終了時期ITEからそのときの噴射パルス幅TIに相当するクランク角だけ進角した位置を噴射開始時期ITSとし、当該噴射開始時期ITSから燃料噴射を開始させる。
なお、所定角度位置に設定した噴射終了時期ITEから噴射開始時期ITSを逆算する処理の代わりに、燃料噴射がクランク角位置CA1付近で終わると見込まれる所定角度位置を噴射開始時期ITSとして定め、当該噴射開始時期ITSから燃料噴射を開始させることができる。
上記の第1実施形態における噴射制御によると、吸気流速が過剰に速くならない低負荷領域では、吸気流速が速くなる期間に重ねて燃料噴射を行わせるので、吸気流速を利用した燃料噴霧の気化促進の効果を十分に得ることができる。
一方、低負荷領域に比べて吸気流速が速くなる高負荷領域で、低負荷領域と同様な噴射時期で燃料噴射を行わせると、吸気流速IASが所定値THLを超えるような吸気流速IASが速い期間で燃料噴射を行わせることになってしまい、吸気ポート2内における吸気流速のばらつきが大きいことで筒内での燃料分布のばらつきを発生させてしまう。
しかし、第1実施形態のように、高負荷領域において低負荷領域に比べて噴射終了時期ITEを進角させれば、吸気流速IASが過剰に速い状態(IAS>THLの状態)で燃料が噴射されることを抑制でき、筒内における燃料分布のばらつきを抑制できる。
特に、吸気流速IASが所定値THLにまで上昇したときに(クランク角位置CA1で)燃料噴射を終了させれば、噴射期間での吸気流速IASは全域で所定値THLを下回ることになり、吸気流速による燃料分布のばらつきを可及的に小さくできる。
また、高負荷領域であっても、吸気バルブ4の開弁時期IVOから吸気流速IASが所定値THLに達するまでの期間では燃料噴射を行うから、吸気流速を利用して燃料噴霧の気化を促進させることができる。
更に、高負荷領域で吸気バルブ4の開弁前に噴射された燃料は、吸気ポート2内に拡散し、吸気バルブ4が開いて発生した吸気の流れに乗って筒内に導入されるので、筒内の燃料分布の均一化を促進できる。
これらにより、吸気流速が速くなる高負荷領域において、筒内に十分に気化した燃料を均一に分布させることができるので、燃焼性が改善され、燃費性能を向上させることができる。
なお、機関負荷領域を低負荷領域と高負荷領域とに分けることで、吸気流速IASが速い状態と遅い状態とに分け、機関負荷が高負荷領域に該当する場合には、低負荷領域に該当する場合に比べてより進角した噴射終了時期ITE(又は噴射開始時期ITS)を設定することができる一方、機関負荷の増加に応じてより多段階に噴射終了時期ITE(又は噴射開始時期ITS)をより進角させることができる。
図3のフローチャートは、第1実施形態でのECM31による噴射時期制御の流れを示す。
図3のフローチャートのルーチンは、ECM31によって一定時間毎に繰り返し実行され、まず、ステップS101で、ECM31は、機関負荷TP、機関回転速度NEを検出する。
なお、機関負荷は、内燃機関1の吸入空気量、吸気負圧、スロットル開度、燃料噴射パルス幅TIなどで代表させることができる。
次いで、ステップS102においてECM31は、そのときの機関負荷TP及び機関回転速度NEが、所定の低負荷領域(低負荷低回転領域)に含まれるか、所定の高負荷領域(高負荷高回転領域)に含まれるかの検出を行う。
ここで、低負荷領域は、吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASのピーク値IASmaxが所定値THLを下回る運転領域として設定してあり、高負荷領域は、ピーク値IASmaxが所定値THLを上回る運転領域である。つまり、低負荷領域、高負荷領域のいずれに該当するかの判断は、吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASが設定よりも速いか否かを判断する処理である。
所定値THLは、前述のように、筒内における燃料分布の均一性を損ねることになる大きな吸気流速差を吸気ポート2a内に生じさせる吸気流速IAS領域と、筒内における燃料分布の均一性を損ねる要因とならない程度の小さい吸気流速差を吸気ポート2a内に生じさせる吸気流速IAS領域との境界値である。
そして、ステップS103で、ECM31は、現在の内燃機関1の運転状態が、低負荷領域に該当しているか否かを判定し、低負荷領域で内燃機関1が運転されている場合には、ECM41は、ステップS104にて噴射終了時期ITEに低負荷用(低流速用)噴射終了時期ITELをセットする。
上記の低負荷用噴射終了時期ITELは、図2(A)に示したように、吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期よりも遅れた時期であり、吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期を含む吸気流速IASが速い領域と噴射期間とが重なるようにしてある。
一方、内燃機関1が高負荷領域で運転されている場合、ECM31は、ステップS105にて噴射終了時期ITEに高負荷用(高流速用)噴射終了時期ITELをセットする。
上記の高負荷用噴射終了時期ITEHは、図2(B)に示したように、吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期よりも進角した時期であって、吸気流速IASが所定値THL(THL<IASmax)となる時期又はその近傍に設定され、吸気流速IASが所定値THLを超える期間に燃料噴射期間が重なることを抑制する。
ECM31は、上記のようにして機関負荷状態(吸気流速)に応じて噴射終了時期ITEを決定すると、ステップS106にて、そのときの噴射パルス幅TIに相当するクランク角だけ噴射終了時期ITEから進角したクランク角位置を噴射開始時期ITSと定め、この噴射開始時期ITSで噴射パルス幅TIの噴射パルス信号を該当する気筒の燃料噴射弁3に出力する。
なお、ステップS104とステップS105との少なくとも一方における噴射終了時期ITEの設定を、噴射開始時期ITSの設定に置き換えることができる。
ステップS105における噴射終了時期ITEの設定を、噴射開始時期ITSの設定に置き換える場合には、例えば、高負荷領域のうちの燃費性能が要求される部分領域で、負荷変化による噴射パルス幅の変化があっても高負荷用噴射終了時期ITEH付近で略噴射を終了させることができる時期を噴射開始時期ITSHとして定めておき、ステップS105において、ECM31が、噴射開始時期ITSHを、最終的な噴射開始時期ITSにセットする構成とすることができる。
図4は、ECM31が実施する噴射時期制御の第2実施形態を示す。
図4に示す第2実施形態の噴射制御は、噴射終了時期ITEの設定制御については第1実施形態と同様であるが、第1実施形態では負荷領域(吸気流速)に関わらず燃料を一括して噴射し、第2実施形態では吸気流速ISAが高いときに(高負荷領域において)分割噴射を行わせる点が異なる。
なお、一括噴射とは、1サイクル分の燃料量を1回の連続した開弁動作で供給する噴射形式である。一方、分割噴射とは、1サイクル分の燃料量を、2回以上に分けて噴射する噴射形式であり、1回開弁動作(1回噴射)させると、噴射停止期間が経過してから次回の開弁動作(噴射)を行わせる。
図4(A)に示す低負荷領域での噴射制御は、図2(A)に示した低負荷領域での噴射制御と同様であって一括噴射を行う例を示し、図4(B)には、吸気流速ISAが高い高負荷領域で分割噴射を行う例を示してある。
図4(B)において、高負荷用噴射終了時期ITEHは、吸気バルブ4が開弁するときの吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期CASよりも進角した時期であって、吸気流速IASが所定値THLとなる時期CA1(又はその近傍)に設定される。
そして、高負荷用噴射終了時期ITEHで終了させる燃料噴射を、1サイクル分の燃料量を略均等に2回に分けて噴射する分割噴射としてある。
分割噴射において、ECM31は、噴射パルス幅TI(ms)の半分のパルス幅での初回噴射動作を行わせた後、所定の噴射停止期間(ms)を経て、残りの半分のパルス幅での2回目(最終回)噴射動作を行わせ、2回目(最終回)噴射動作の終了が高負荷用噴射終了時期ITEHとなるように制御する。
即ち、噴射パルス幅TIに相当するクランク角度と、噴射停止期間に相当するクランク角度とを合計した角度だけ、高負荷用噴射終了時期ITEHから進角したクランク角位置を噴射開始時期ITSに定める。そして、噴射開始時期ITSからパルス幅TI/2の噴射パルス信号を出力した後、噴射停止期間(ms)だけの経過を待って、パルス幅TI/2の噴射パルス信号を出力する。
なお、図4(B)には、分割噴射として分割数を2とする例を示したが、分割数を2回に限定するものではなく、分割数を3回以上とする分割噴射を行わせることができ、また、機関運転状態に応じて分割数を可変に設定することができ、例えば、噴射パルス幅TIが長くなるほど分割数を増やすことができる。
上記のように、吸気流速IASが速くなる高負荷領域であって噴射終了時期ITEが低負荷領域よりも進角されるときに分割噴射を行わせることで、吸気バルブ4が開弁する前の噴射で吸気ポート2aの壁面に付着する燃料の量を抑制でき、また、吸気バルブ4の開弁前での吸気ポート2a内における燃料噴霧の偏りを抑制でき、結果、筒内での燃料分布の均一化及び燃焼性の改善を図ることができる。
つまり、分割噴射によって1回当たりの噴射時間を短くすることで、燃料噴霧の貫徹力が低下するから、吸気バルブ4の開弁前の噴射、換言すれば、吸気の流れが弱い状態での噴射では、燃料噴霧を吸気ポート2a内に拡散させることができ、また、吸気ポート2aの壁面に吹き付けられる燃料の量(壁流量)を抑制できる。
ここで、1回当たりの噴射時間を短くするほど、貫徹力を弱めることが可能であるので、分割数(分割噴射の1回当たりの噴射時間)は、上記の作用、効果が十分に得られる値に設定する。
分割回数を一定とすると、機関負荷の増大に伴って噴射パルス幅が増加することで分割噴射の1回当たりの噴射パルス幅が増加し、燃料噴霧の貫徹力が強くなってしまう。そこで、噴射パルス幅が増加するのに応じて分割数を増大させ、機関負荷が増大しても開弁前に噴射される燃料噴霧の貫徹力を所定値よりも弱く維持することができる。
図5のフローチャートは、第2実施形態でのECM31による噴射制御の流れを示す。
図5のフローチャートのルーチンは、ECM31によって一定時間毎に繰り返し実行され、まず、ステップS201で、ECM31は、機関負荷TP、機関回転速度NEを検出する。
次いで、ステップS202においてECM31は、そのときの機関負荷TP及び機関回転速度NEが、低負荷領域(低負荷低回転領域)に含まれるか、高負荷領域(高負荷高回転領域)に含まれるかの検出を行う。
なお、ステップS201、ステップS202におけるECM31の処理は、図3のフローチャートに示したステップS101、ステップS102と同様である。
そして、ステップS203で、ECM31は、現在の内燃機関1の運転状態が、低負荷領域に該当しているか否かを判定し、低負荷領域で内燃機関1が運転されている場合、ECM41は、ステップS204にて噴射終了時期ITEに低負荷用(低流速用)噴射終了時期ITELをセットする。
更に、低負荷領域に該当している場合、ECM31は、ステップS205において、噴射パルス幅TIのクランク角度換算値だけ低負荷用噴射終了時期ITELから進角した角度位置を噴射開始時期ITSとして算出し、当該噴射開始時期ITSで噴射パルス幅TIの噴射パルス信号の出力を行う一括噴射を設定する。
一方、内燃機関1が高負荷領域で運転されている場合、ECM31は、ステップS206にて噴射終了時期ITEに高負荷用(高流速用)噴射終了時期ITELをセットする。
内燃機関1が高負荷領域で運転されている場合、更にECM31は、ステップS207で分割噴射の設定を行う。
分割噴射の設定とは、分割数、噴射間の停止時間(噴射間隔)、各回における燃料噴射量の分担率などの設定であり、係る分割噴射の設定と噴射パルス幅TIとから、分割噴射の開始(初回噴射の始まり)から終了(最終回噴射の終わり)までの時間が決まることになる。
次いで、ECM31は、ステップS208で、一括噴射におけるパルス幅である噴射パルス幅TIと、分割噴射の設定(分割数、噴射間の停止時間など)とから、分割噴射の開始から終了までの時間、換言すれば、分割初回の噴射開始から最終回の噴射終了までの時間を算出する。
更に、ECM31は、ステップS208にて、分割噴射の開始から終了までの時間を、そのときの機関回転速度NEに基づきクランク角に換算し、この換算演算で求めたクランク角だけ高負荷用噴射終了時期ITELから進角したクランク角位置を噴射開始時期ITSとして定める。そして、ECM31は、噴射開始時期ITSから、設定の分割数などに応じて複数回にわたって噴射パルスを出力する分割噴射を設定する。
ところで、図4(B)に示した高負荷領域(吸気流速が速い領域)での分割噴射では、各回の噴射パルス幅を均一に設定したが、不均一に設定することもできる。そして、各回の噴射パルス幅を不均一とすることで、分割噴射の各回の噴射時期に適した貫徹力に調整することができる。
図6は、ECM31が実施する噴射時期制御の第3実施形態を示す。
図6に示す第3実施形態において、ECM31は、噴射終了時期ITEを第1、第2実施形態と同様に制御し、第2実施形態と同様に、高負荷領域(吸気流速が速い領域)で分割噴射を行わせるが、分割噴射の各回の噴射パルス幅を不均一に制御する。
図6(A)は、高負荷領域(吸気流速が速い領域)での分割噴射の分割回数を4回とした例であって、4回のうちの最初の3回の噴射パルス幅TI(1)〜TI(3)が略同等であり、最後の1回の噴射パルス幅TI(4)を噴射パルス幅TI(1)〜TI(3)よりも長く設定した例である。
一方、図6(B)は、分割噴射の分割回数を3回とした例であって、3回のうちの最初の2回の噴射パルス幅TI(1)、TI(2)が略同等であり、最後の1回の噴射パルス幅TI(3)を噴射パルス幅TI(1)、TI(2)よりも長く設定した例である。
分割噴射の最後の回の噴射期間は、少なくとも後半部分が吸気バルブ4の開弁期間に重なり、吸気流速が上昇する過程で噴射されることになる。そして、吸気流速の速い状態では、吸気の流れによって燃料噴霧の向う方向が偏向されることで、燃料噴霧が吸気ポート2aの壁面に液状のまま付着する場合がある。
ここで、吸気バルブ4の開弁後では、燃料噴霧の貫徹力が弱いほど吸気の流れによって燃料噴霧が偏向され易くなって、吸気ポート2aの壁面に燃料が液状のまま付着し易くなる。一方、吸気の流れが弱い吸気バルブ4の開弁前では、燃料噴霧の貫徹力が高いと、燃料噴霧が吸気の流れに影響されることなく進みかつ燃料噴霧の到達距離が長いことで、燃料噴霧が吸気ポート2aの壁面に液状のまま付着し易くなる。
従って、吸気の流れが弱い吸気バルブ4の開弁前の噴射では、燃料噴霧の貫徹力を弱めることが燃料の壁面付着量を軽減することになり、逆に、吸気の流れが強くなる吸気バルブ4の開弁後の噴射では、燃料噴霧の貫徹力を強めることが燃料の壁面付着量を軽減することになる。
そこで、第3実施形態において、ECM31は、吸気バルブ4の開弁後に噴射が終了することになる分割最終回の噴射における噴射パルス幅を、最終回よりも前の回での噴射であって吸気バルブ4の開弁前に噴射を終える噴射における噴射パルス幅よりも長くし、最終回で噴射される燃料噴霧の貫徹力が、最終回よりも前の回で噴射される燃料噴霧の貫徹力よりも強くなるように制御する。
係る分割噴射制御による噴射パルス幅の設定例を示したのが、図6(A)、(B)であり、いずれの場合も、最終回の噴射における噴射パルス幅を、最終回よりも前の回での噴射パルス幅よりも長くすることで、最終回で噴射される燃料噴霧の貫徹力を、最終回よりも前の回で噴射される燃料噴霧の貫徹力に比べて強くする。
上記第3実施形態では、高負荷領域(吸気流速が速い領域)での分割噴射において、吸気バルブ4の開弁前に噴射される燃料噴霧が吸気ポート2aの壁面に液状のまま付着することを抑制しつつ、吸気バルブ4の開弁後に噴射される燃料噴霧が吸気ポート2aの壁面に液状のまま付着することを抑制できる。これにより、吸気ポート2aの壁面に付着した燃料が液状のまま燃焼室5内に流れ込み、燃焼性を悪化させることを抑制できる。
なお、最終回よりも前の回での噴射パルス幅は、全て同等に設定することができる他、例えば、噴射回数が増える毎に噴射パルス幅を増やすなど、最終回よりも前の回での噴射パルス幅を不均一に設定することもできる。最終回よりも前の回での噴射パルス幅を不均一に設定することで、各回の貫徹力(換言すれば、燃料噴霧の到達距離)が異なるようになるので、吸気バルブ4の開弁前に噴射される燃料を吸気ポート2a内に分散させることができる。
また、内燃機関1の負荷が増えるほど、吸気バルブ4が開いたときの吸気流速が速くなって燃料噴霧が偏向され易くなるので、機関負荷が増えるほど、燃料の全噴射量(分割噴射における各回での噴射量の総計)に占める最終回での噴射量の割合を増やして、吸気流速が速くなるほど燃料噴霧の貫徹力を強めることができる。
これにより、機関負荷の増加に伴って吸気流速がより速くなっても、最終回に噴射された燃料噴霧が吸気の流れによって偏向されて壁面付着量が増大することを抑制しつつ、機関負荷が低いときに貫徹力が過剰になって壁面付着量が増大することを抑制できる。
また、分割噴射における各回での噴射パルス幅の設定制御としては、最終回よりも前の回での噴射パルス幅を固定し、最終回での噴射パルス幅を機関負荷に応じて変更したり、分割噴射の各回での噴射量割合を設定し、各回での噴射量(噴射パルス幅)を内燃機関1の負荷に応じて変更したりすることができる。
上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、吸気バルブ4のバルブタイミングを可変とする可変動弁機構を備えた内燃機関1に本発明を適用することができ、この場合、バルブタイミングの変更に伴って吸気流速IASがピーク値IASmaxとなる時期及び所定値THLが変わることから、バルブタイミングの変更に応じて噴射終了時期ITEを変更することができる。
また、機関温度が低く燃料噴霧の気化性能が低下する場合には、燃料噴霧の粒径が大きくなることで、噴霧の貫徹力が強まり、吸気の流れに影響を受け難くなるので、噴射終了時期ITEを高温である場合よりも遅角させて、吸気の流れを利用した気化促進を図ることができる。
また、機関温度が低い場合には壁流量が増え易くなるので、高負荷領域(吸気流速が速い領域)であるときに、機関温度が設定温度を下回る場合は分割噴射を行わせ、機関温度が設定温度を上回る場合は一括噴射を行わせることができ、更に、分割噴射における最終回よりも前の回での噴射パルス幅を、機関温度が低くなるほど短くしたり、分割噴射における分割数を機関温度が低くなるほど多くしたりすることができる。これにより、機関温度の条件が異なっても、壁流量を安定的に抑制でき、また、筒内における燃料分布の均一化を図ることができる。
また、機関負荷が増加することで吸気流速が速くなるので、上記各実施形態では、機関負荷の増大を吸気流速の増加として検出させたが、吸気流速を検出する流速センサを設け、ECM31が、流速センサが検出した吸気流速に応じて噴射終了時期ITEを制御する構成とすることができる。流速センサを設ければ、吸気流速に応じた噴射終了時期ITEの制御の精度を向上させることができるが、機関負荷に応じて噴射終了時期ITEを制御する構成では、流速センサが不要でシステム構成を簡略化できる。
1…内燃機関、2a…吸気ポート(吸気通路)、3…燃料噴射弁、4…吸気バルブ、5…燃焼室、31…ECM(制御装置)

Claims (6)

  1. 内燃機関の吸気バルブの上流側の吸気通路に設けた燃料噴射弁による燃料噴射を制御する制御装置であって、
    前記吸気バルブの開弁中を噴射終了時期とする噴射制御において、前記吸気バルブが開弁するときの吸気流速が増加したときに、噴射終了時期を進角して前記吸気バルブの開弁前から開弁後にかけて燃料噴射を行わせる、内燃機関の制御装置。
  2. 前記吸気バルブが開弁するときの吸気流速が極大値となるタイミングよりも前に噴射終了時期を進角する、請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記吸気バルブが開弁するときの吸気流速の増加に応じて、前記燃料噴射弁による燃料噴射を一括噴射から分割噴射に切り替える、請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 噴射終了時期を、吸気流速が極大値となるタイミングより後から、吸気流速が極大値となるタイミングより前であって吸気流速が所定速度を下回る領域に進角する、請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  5. 分割噴射における最終回の噴射での噴射パルス幅を、最終回よりも前の回での噴射パルス幅よりも長くする、請求項3記載の内燃機関の制御装置。
  6. 機関負荷の増大を前記吸気流速の増加として検出する、請求項1から5のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
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