JP2019044760A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
1.内燃機関の燃料噴射制御装置において、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関を制御対象とし、前記内燃機関の気筒内に充填される空気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理と、前記要求噴射量の燃料を噴射すべく前記ポート噴射弁を操作する操作処理と、を実行し、前記操作処理は、前記充填される空気量と相関を有する物理量である負荷と前記内燃機関の温度との2つのうちの少なくとも1つに応じて、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量とに、前記要求噴射量の燃料を分割して前記吸気非同期噴射、前記吸気同期噴射の順に燃料を噴射するマルチ噴射処理を含む。
図1に示す内燃機関10の吸気通路12には、スロットルバルブ14が設けられており、スロットルバルブ14の下流には、ポート噴射弁16が設けられている。吸気通路12に吸入された空気とポート噴射弁16から噴射された燃料とは、吸気バルブ18の開弁に伴って、シリンダ20およびピストン22によって区画された燃焼室24に流入する。燃焼室24において、燃料と空気との混合気は、点火装置26の火花放電によって燃焼に供され、その際生成される燃焼エネルギは、ピストン22を介してクランク軸28の回転エネルギに変換される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ30の開弁に伴って、排気として排気通路32に排出される。排気通路32には、触媒34が設けられている。
吸気位相差算出処理部M10は、クランク角センサ60の出力信号Scrと吸気側カム角センサ70の出力信号Scaとに基づき、クランク軸28の回転角度に対する吸気側カム軸40の回転角度の位相差である吸気位相差DINを算出する。目標吸気位相差算出処理部M12は、内燃機関10の動作点に基づき、目標吸気位相差DIN*を可変設定する。なお、本実施形態では、回転速度NEと負荷率KLとによって動作点を定義している。ここで、CPU52は、回転速度NEを、クランク角センサ60の出力信号Scrに基づき算出し、負荷率KLを回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出する。負荷率KLは、基準流入空気量に対する、1気筒の1燃焼サイクル当たりの流入空気量の比である。ここで、基準流入空気量は、スロットルバルブ14の開口度を最大としたときの1気筒の1燃焼サイクル当たりの流入空気量である。ちなみに、基準流入空気量は、回転速度NEに応じて可変設定される量としてもよい。
増量係数算出処理部M24は、水温THWが所定温度Tth(たとえば60°C)以下の場合、要求噴射量Qdよりも実際の噴射量を増量するための増量係数を「1」よりも大きい値として出力する。本実施形態では、増量係数は、ポート噴射弁16から噴射する燃料が仮に重質燃料であった場合であっても失火を十分に抑制することができる値に設定されている。これは、重質燃料であった場合を想定しない場合と比較して噴射量を増量する値とする設定である。
図3の(a)は、吸気バルブ18の開弁前に燃料の噴射を開始し、噴射量が過度に多くならない限り、吸気バルブ18の開弁前に燃料の噴射を終了させる単一の噴射を実行するパターンである。
以下、PNの低減を狙った本実施形態における内燃機関10の燃料噴射制御について詳述する。
図6に、スタータモータ36が起動されてから所定期間が経過した後における処理の手順を示す。図6に示す処理は、所定期間経過後において、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
ここで本実施形態の作用を説明する。
(1)水温THWが所定温度Tthを超える場合、マルチ噴射処理を実行しないこととした。これにより、たとえば水温THWが「40°C」の場合には、マルチ噴射処理が実行され、水温THWが「80°C」の場合には、マルチ噴射が実行されない。このため、マルチ噴射処理を継続する場合と比較して、ポート噴射弁16の駆動頻度を低減できることから、ポート噴射弁16の劣化の進行を遅らせることができる。さらに、その際、吸気非同期噴射を採用することにより、吸気同期噴射を採用する場合と比較して、HCの発生を抑制したり、燃料と空気との均一度を向上させたりすることができる。
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]要求噴射量算出処理は、ベース噴射量算出処理部M16、目標値設定処理部M18、フィードバック処理部M20、および補正処理部M22の処理に対応する。操作処理は、S66の処理に対応する。マルチ噴射処理は、S50の処理において肯定判定される場合のS66の処理に対応する。燃料噴射制御装置は、制御装置50に対応する。[2]S46の処理において肯定判定される場合と否定判定される場合との処理に対応する。[3]S48の処理において肯定判定される場合と否定判定される場合との処理に対応する。[4]可変設定処理は、S62の処理に対応し、吸気非同期噴射の噴射開始時期Ins同士の差Δnsと吸気同期噴射の噴射開始時期Is同士の差Δsとの大小関係は、図3に示してある。[5]操作処理は、S30の処理に対応し、可変設定処理は、S26の処理に対応する。
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
・「要求噴射量Qdについて」
ベース噴射量Qbがフィードバック操作量KAFによって補正されたものであることは必須ではない。またたとえば、パージ制御を実行する場合には、要求噴射量Qdを、各気筒にパージされる燃料量を減算した値としてもよい。さらに、要求噴射量Qdを、ベース噴射量Qbがフィードバック操作量KAFと、学習値LAFとによって補正されたものとしてもよい。ちなみに、学習値LAFの算出処理は、フィードバック操作量KAFを入力とし、フィードバック操作量KAFによるベース噴射量Qbの補正率が小さくなるように学習値LAFを更新する処理である。なお、学習値LAFは、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されることが望ましい。
上記実施形態では、吸気同期噴射として、吸気バルブ18が開弁する直前に噴射開始時期Isが設定されるものを例示したがこれに限らず、吸気バルブ18の開弁開始時期後であって吸気バルブ18が開弁しているときに噴射開始時期Isが設定されるものであってもよい。
・「マルチ噴射処理の実行条件について」
上記実施形態では、増量係数(Kw,Kwns,Kws)が「1」よりも大きい値とされる温度と、マルチ噴射処理の実行条件となる所定温度Tthとを等しい値としたが、これに限らない。また、マルチ噴射処理の実行条件となる所定温度Tthは、「60°C」に限らない。
上記実施形態では、マルチ噴射処理の実行条件を定めるための負荷パラメータとして、要求噴射量Qdを用いたがこれに限らない。たとえば、負荷率KLを用いてもよい。この場合であっても、ポート噴射弁16の噴射量が最小噴射量を下回るおそれがあるか否かを判定することは可能である。
・「非同期噴射量Qnsおよび同期噴射量Qsについて」
S56の処理において、要求噴射量Qdから「Km・Qd」を減算した値に、同期用増量係数Kwsを乗算した値を、同期噴射量Qsとしてもよい。
上記実施形態では、回転速度NE、負荷率KL、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき噴射割合Kmを可変設定したが、これに限らない。たとえば、負荷を示すパラメータである負荷パラメータとして、負荷率KLに代えて、要求噴射量Qdを用いてもよい。また、負荷パラメータと回転速度NEとの2つのパラメータに基づき可変設定したり、負荷パラメータと水温THWの2つのパラメータに基づき可変設定したり、負荷パラメータと吸気位相差DINとの2つのパラメータに基づき可変設定したり、してもよい。また、負荷パラメータと回転速度NEと水温THWとの3つのパラメータに基づき可変設定したり、負荷パラメータと回転速度NEと吸気位相差DINとの3つのパラメータに基づき可変設定したり、負荷パラメータと水温THWと吸気位相差DINの3つのパラメータに基づき可変設定したり、してもよい。さらに、少なくとも負荷パラメータ、回転速度NE、水温THWおよび吸気位相差DINの4つのパラメータのなかでは、負荷パラメータのみを用いて可変設定したり、水温THWのみを用いて可変設定したりしてもよい。なお、上記4つのパラメータ以外にたとえば、吸気圧や、吸入空気の流速を用いてもよい。ただし、上記4つのパラメータによれば、吸気圧や吸入空気の流速を把握することができる。
上記実施形態では、噴射割合Kmや、噴射開始時期Is,Ins、増量係数(Kw,Kwns,Kws)、マルチ噴射の実行条件のそれぞれを定めるパラメータである内燃機関10の温度として、水温THWを採用したが、これに限らない。たとえば、吸気通路12の壁面温度の情報を取得できる場合、壁面温度を採用してもよい。
図5の処理や図6の処理においては、吸気非同期噴射の噴射開始時期Insと、吸気同期噴射の噴射開始時期Isとの双方を、水温THWに応じて可変設定したがこれに限らない。たとえば、吸気同期噴射の噴射開始時期Isについては固定値としてもよい。
吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置としては、吸気側バルブタイミング調整装置44に限らない。たとえば、吸気バルブ18のリフト量を変更するものであってもよい。この場合、吸気バルブ18のバルブ特性を示すパラメータは、吸気位相差DINに代えて、リフト量等となる。
燃料噴射制御装置がCPU52とROM54とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、燃料噴射制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
内燃機関10が吸気側バルブタイミング調整装置44を備えることは必須ではない。内燃機関10がスロットルバルブ14を備えることは必須ではない。なお、スロットルバルブ14を備えない場合の負荷率KLの定義は、スロットルバルブ14の開口度とは無関係に上記基準空気量を定義することにより可能である。
Claims (5)
- 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関を制御対象とし、
前記内燃機関の気筒内に充填される空気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理と、
前記要求噴射量の燃料を噴射すべく前記ポート噴射弁を操作する操作処理と、を実行し、
前記操作処理は、前記充填される空気量と相関を有する物理量である負荷と前記内燃機関の温度との2つのうちの少なくとも1つに応じて、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量とに、前記要求噴射量の燃料を分割して前記吸気非同期噴射、前記吸気同期噴射の順に燃料を噴射するマルチ噴射処理を含む内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記操作処理は、前記内燃機関の温度が所定温度以下であることを条件に前記マルチ噴射処理を実行し、前記内燃機関の温度が前記所定温度を超える場合、前記吸気バルブの開弁タイミングよりも進角側のタイミングにて噴射を開始する単一の燃料噴射によって前記要求噴射量の燃料を噴射する請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記操作処理は、前記負荷が所定値以上であることを条件に前記マルチ噴射処理を実行し、前記負荷が前記所定値未満である場合、前記吸気バルブの開弁タイミングよりも進角側のタイミングにて噴射を開始する単一の燃料噴射によって前記要求噴射量の燃料を噴射する処理を含む請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記吸気非同期噴射の噴射開始時期を前記内燃機関の温度に基づき可変設定する可変設定処理を実行し、
前記内燃機関の温度が第1温度であるときと該第1温度よりも高い第2温度であるときとのそれぞれにおける前記吸気非同期噴射の噴射開始時期同士の差が、前記吸気同期噴射の噴射開始時期同士の差よりも大きい請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記操作処理は、前記内燃機関の始動時、前記気筒内に充填される空気量によらずに前記内燃機関の温度に基づき前記同期噴射量および前記非同期噴射量を算出し、前記非同期噴射量の燃料を前記吸気非同期噴射によって噴射した後、前記同期噴射量の燃料を前記吸気同期噴射によって噴射する処理を含み、
前記内燃機関の始動時、前記吸気非同期噴射の噴射開始時期を前記内燃機関の温度に基づき可変設定する可変設定処理を実行する請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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