JP6904310B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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1.吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、前記内燃機関の始動時において吸入空気量の検出値によらずに算出される要求噴射量の燃料を噴射すべく、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、前記要求噴射量の燃料を前記吸気非同期噴射によって噴射するシングル噴射処理とのいずれかを選択する選択処理と、前記ポート噴射弁を操作して前記選択処理によって選択された処理を実行する操作処理と、を実行し、前記選択処理は、前記内燃機関の冷却水の温度が規定温度以上である場合、前記シングル噴射処理を選択し、前記冷却水の温度が前記規定温度未満である場合、前記マルチ噴射処理を選択する処理を含む内燃機関の制御装置である。
以下、内燃機関の制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図2(a)は、吸気バルブ18の開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射との2つの燃料噴射を実行するマルチ噴射処理である。詳しくは、吸気同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置(吸気ポートの下流端、換言すれば燃焼室24への入り口部分)に到達する期間が吸気バルブ18の開弁期間に収まるように燃料を噴射するものである。ここで、「到達する期間」の始点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も早いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングであり、終点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も遅いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングである。これに対し、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18が開弁する前に吸気バルブ18に到達するように燃料を噴射するものである。換言すれば、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が、吸気バルブ18が開弁するまでは吸気通路12内で滞留し、開弁した後に燃焼室24内に流入する噴射である。なお、本実施形態において吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとする。
本実施形態においてマルチ噴射処理は、排気中の粒子状物質(PM)の数(PN)を低減することを狙って実行される。すなわち、吸気通路12や吸気バルブ18等の内燃機関10の吸気系の温度がある程度低い場合、シングル噴射処理を実行すると、PNが増加する傾向がある。これは、吸気系の温度が低い場合には1燃焼サイクルにおいてポート噴射弁16から噴射すべき燃料量である要求噴射量が大きい値となり、結果、吸気系に付着する燃料量が多くなることに起因していると考えられる。詳しくは、吸気系に付着した燃料量がある程度多くなる場合、付着した燃料のせん断によって、付着した燃料の一部が液滴のまま燃焼室24に流入するためであると推察される。そこで本実施形態では、要求噴射量の一部を吸気同期噴射によって噴射することにより、要求噴射量が多い場合であっても、吸気系に付着する燃料量を要求噴射量が多い割に少なくし、ひいてはPNの低減を図る。
図6に、マルチ噴射処理の実行要求の判定に関する処理の手順を示す。図6に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
CPU52は、S60の処理が完了する場合や、S56の処理において否定判定する場合には、最初のクランキング開始後の吸入空気量の積算値である総積算空気量InG0を更新する(S62)。ここでは、前回のS62の処理における総積算空気量InG0の値に、吸入空気量Gaを加算した値によって、総積算空気量InG0を更新すればよい。なお、総積算空気量InG0の初期値は、「0」とする。またCPU52は、再始動後である場合には、上記総積算空気量InG0の更新に加えて、再始動時からの吸入空気量Gaの積算値である再始動後積算空気量InG1を更新する。なお、再始動後積算空気量InG1の初期値は、「0」であり、再始動後積算空気量InG1は、再始動時となる都度初期化される。
ちなみに、本実施形態では、CPU52は、S10の処理において否定判定する場合であっても、図6の処理に基づきマルチ噴射処理またはシングル噴射処理を選択する。ただしCPU52は、S10の処理において否定判定する場合には選択結果に応じて吸入空気量Gaから定まる要求噴射量の燃料を噴射する制御を実行する。
CPU52は、内燃機関10の始動に際し、上記条件(ア)〜条件(ウ)の論理積が真となる場合にはシングル噴射処理を選択し、偽となる場合にはマルチ噴射処理を選択する。ここで、最初の始動時には、上記条件(イ)は自動的に満たされる。しかし、総積算空気量InG0が算出できず初期値であるゼロとされているため、CPU52は、初期水温THW0が規定温度Tthよりも高い上記所定温度以上でない場合には、水温THWが低閾値TL未満でない限り、マルチ噴射処理を選択する。これに対し、CPU52は、初期水温THW0が所定温度以上である場合、上記論理積が真となることから、シングル噴射処理を実行する。
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]マルチ噴射処理は、図2(a)に示す処理に対応し、シングル噴射処理は、図2(b)に示す処理に対応する。選択処理は、図6の処理に対応し、操作処理は、S36の処理に対応する。[2]停止時間Tstpが短い場合における、S64の処理に対応する。すなわち、停止時間Tstpが短い場合、判定値Inth1がゼロとなるため、上記条件(ア)および条件(イ)の論理積が真となる場合にS64の処理において肯定判定される。[3〜6]非同期噴射量算出処理は、S14〜S24の処理に対応する。なお、停止時間算出処理は、図7の処理に対応する。[7]同期噴射量算出処理は、S26〜S30の処理に対応する。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
上記実施形態では、再始動時ではない場合、水温THW、噴射回数および大気圧Paに基づき、非同期噴射量Qnsを算出したが、これに限らない。たとえば、非同期噴射量Qnsを、上記3つのパラメータについては、水温THWのみに基づき算出したり、水温THWおよび噴射回数のみに基づき算出したり、水温THWおよび大気圧Paのみに基づき算出したりしてもよい。
上記実施形態では、再始動時ではない場合、水温THWおよび大気圧Paに基づき同期噴射量Qsを算出したが、これに限らない。たとえば、水温THWおよび大気圧Paの2つのパラメータについては、水温THWのみを用いて算出してもよい。またたとえば再始動時の場合と同様に、吸気圧Pinを用いて同期噴射量Qsを算出してもよい。
上記実施形態では、吸気非同期噴射を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとしたが、これに限らない。たとえば回転速度NEが高くて且つ非同期噴射量Qnsが過度に多い場合、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の開弁期間と重複してもよい。
上記実施形態では、水温THW,回転速度NEおよび吸気位相差DINに基づき、噴射開始時期Isを設定したが、これに限らない。たとえば上記3つのパラメータについては、そのうちの1つのみに基づき設定したり、2つのみに基づき設定したりしてもよい。
上記実施形態では、シングル噴射処理を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射する処理としたがこれに限らない。たとえば、回転速度NEが高くて且つ要求噴射量Qdが大きい場合には、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の閉弁期間と重複することがあってもよい。
上記実施形態では、上記条件(ア)、条件(イ)および条件(ウ)の論理積が真である場合にシングル噴射処理を選択したが、これに限らない。たとえば、上記条件(ア)および条件(イ)との論理積が真である場合にシングル噴射処理を選択してもよい。
制御装置がCPU52とROM54とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
上記実施形態では、たとえば車両の推力を生成する原動機として内燃機関に加えてモータジェネレータを備えるいわゆるハイブリッド車両を例示したが、これに限らない。たとえば、車両の推力を生成する原動機として内燃機関のみを備えアイドリングストップ制御を実行する車両であってもよい。この場合であっても、シングル噴射処理の実行条件に、上記条件(イ)を含めることにより、上記条件(ア)のみとする場合と比較して、規定温度Tthを低い値とすることができる。
・「そのほか」
内燃機関10が吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置を備えることは必須ではない。内燃機関10がスロットルバルブ14を備えることは必須ではない。
Claims (6)
- 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、
前記内燃機関の始動時において吸入空気量の検出値によらずに算出される要求噴射量の燃料を噴射すべく、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、前記要求噴射量の燃料を前記吸気非同期噴射によって噴射するシングル噴射処理とのいずれかを選択する選択処理と、
前記ポート噴射弁を操作して前記選択処理によって選択された処理を実行する操作処理と、を実行し、
前記選択処理は、前記内燃機関の冷却水の温度が規定温度以上である場合、前記シングル噴射処理を選択し、前記冷却水の温度が前記規定温度未満である場合、前記マルチ噴射処理を選択する処理と、前記内燃機関が間欠駆動される場合、前記内燃機関の冷却水の温度が規定温度以上である場合であっても、前記吸気通路に吸入される空気量の積算値が所定値以上となるまでは前記マルチ噴射処理を選択する処理と、を含む内燃機関の制御装置。 - 前記マルチ噴射処理における前記吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量を算出する非同期噴射量算出処理を実行し、
前記非同期噴射量算出処理は、前記非同期噴射量を、前記温度が低い場合に高い場合よりも大きい値に算出する処理と、前記内燃機関の停止時から始動までの経過時間が短い場合に長い場合よりも前記非同期噴射量を小さい値に算出する処理とを含む請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関が間欠駆動されている場合、前記内燃機関が停止している時間の累積時間を、前記内燃機関の始動後、前記吸気通路に吸入される空気量の積算値が大きい場合に小さい場合よりも大きい減少補正比率で減少補正した間欠積算停止時間を算出する停止時間算出処理を実行し、
前記非同期噴射量算出処理は、前記間欠積算停止時間が長い場合に短い場合よりも前記非同期噴射量を大きい値に算出する処理を含む請求項2記載の内燃機関の制御装置。 - 前記非同期噴射量算出処理は、大気圧が高い場合に低い場合と比較して前記非同期噴射量を大きい値に算出する処理を含む請求項2または3記載の内燃機関の制御装置。
- 前記内燃機関は、スロットルバルブを備え、
前記非同期噴射量算出処理は、前記内燃機関の始動時が前記内燃機関の再始動時である場合、吸気圧が低い場合に高い場合と比較して前記非同期噴射量を小さい値に算出する処理を含む請求項4記載の内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の停止時から始動までの経過時間に依存することなく前記温度に基づき前記吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量を算出する同期噴射量算出処理を実行する請求項3〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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