JP2004027995A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】気筒停止からの燃料供給再開時の燃料壁流補正量を最適にする。
【解決手段】燃料を吸気通路に噴射燃料を供給する装置(4)を備え、この装置からの燃料の一部であってシリンダの上流側の吸気通路壁または吸気弁壁に付着する燃料のシリンダへの供給遅れに関する燃料壁流補正を伴うエンジンの空燃比制御装置(11)において、気筒停止条件で吸気弁稼働停止機構を用いて、少なくとも1の気筒について気筒停止を開始させる手段(11)と、気筒停止を行っている気筒について気筒停止中の燃料付着部温度を推定する手段(11)と、気筒停止条件を外れたときそれまで気筒停止を行っていた気筒の気筒停止を解除すると共に、それまで気筒停止を行っていた気筒に対して、燃料供給を再開する手段(11)と、この燃料供給の再開時に燃料供給を再開する気筒に対して気筒停止中の燃料付着部温度の推定値Twfに基づく燃料壁流補正を行う手段(11)とを備える。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はエンジンの空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料壁流補正を行うものが提案されている(特開平10−259748号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃費向上の観点から、吸気弁の働きを停止させることが可能な吸気弁稼働停止機構(例えば吸気弁そのものを電磁駆動弁としたものや吸気弁の停止を可能とするカム駆動弁を設けたものなど)を設けておき、低負荷低回転速度域などの所定の運転域になると、この機構を働かせて吸気弁の作動を停止する、いわゆる気筒停止エンジンが提案されている。これは、吸気弁の作動を停止することでポンプロスを低減し(電磁駆動弁では消費電力の低減にも寄与する)その分燃費を向上させようとするものである。
【0004】
ここでは、「気筒停止」を次のように定義する。すなわち、
1)吸気ポートを含めてこれより上流側の吸気通路ヘの燃料供給を行う燃料供給装置を備えているエンジンを前提として、
2)少なくとも1の気筒を対象として、
3)その1の気筒の全ての吸気弁を全閉位置に固定し、かつ
4)その1の気筒への燃料供給を停止すること
を気筒停止であると定義する。
【0005】
上記1)よりシリンダに臨ませた燃料噴射弁よりシリンダ内に燃料を直接に噴射するものは本発明の対象外である。従って、本発明の対象となるのは、例えば吸気ポートに臨ませて燃料噴射弁を設けているMPI(マルチポイントインジェクション)方式の燃料供給装置や吸気コレクタ部に全気筒分の燃料供給を賄う燃料噴射弁を設けているSPI(シングルポイントインジェクション)方式の燃料供給装置が対象となる。気筒停止における燃料供給の停止と共に必要に応じて点火・通電の停止をも行なうとなお望ましい。
【0006】
上記3)より吸気弁を全閉位置以外の例えば全開位置に固定するものは本発明では対象外である。これは、後述するように吸気弁の全閉位置への固定によって吸気弁の上流側に残留する燃料壁流を扱うためである。
【0007】
上記3)より排気弁については規定していないので、排気弁の作動については停止させてもよいし稼働させたままでもかまわない。
【0008】
気筒停止を行う運転域は、今のところアイドルを含めた低負荷低回転速度域を考えている。従って、気筒停止運転域を外れたときには、気筒停止を解除して燃料供給を再開する。
【0009】
また、気筒停止を行うエンジンでも従来よりある燃料カットを行う。本発明の対象とするエンジンでは「燃料カット」を次のように定義する。すなわち、
5)少なくとも1の気筒を対象として
6)その1の気筒の吸気弁、排気弁の作動は稼働状態のままとする、かつ
7)その1の気筒への燃料供給を停止すること
を、燃料カットであると定義する。
【0010】
このため、1の気筒が燃料カット気筒であれば、その1の気筒では吸気弁が稼働される。そして、その同じ1の気筒で全ての吸気弁を全閉位置に固定すると、その1の気筒は気筒停止の状態となる。
【0011】
燃料カットの方法は従来通りである。すなわち、所定の回転速度以上にあってアクセルペダルがアイドル位置にあれば燃料カットを開始し、その状態からアクセルペダルを踏み込んだり、回転低下して所定の回転速度(リカバー回転速度)以下になれば燃料カットを停止して燃料供給を再開する。
【0012】
多気筒エンジンでの気筒停止の方法や気筒停止からの燃料供給の再開方法には次のように様々な態様が考えられるが、いずれも本発明の対象である。
【0013】
▲1▼気筒別に気筒停止を行い、気筒別に燃料供給を再開する。
【0014】
▲2▼所定のグループ毎に気筒停止を行い、所定のグループ毎に燃料供給を再開する。
【0015】
▲3▼全気筒で気筒停止を行い、全気筒で燃料供給を再開する。
【0016】
▲4▼例えば4気筒エンジンの場合、まず2気筒で気筒停止を行った後で全気筒の気筒停止を行う。まず2気筒の気筒停止を解除して燃料供給を再開し次に残り2気筒の気筒停止を解除して燃料供給を再開する。
【0017】
燃料カットについても同様であり、多気筒エンジンでの燃料カットの方法や燃料カットからの燃料供給の再開方法には次のように様々な態様が考えられ、いずれも本発明の対象である。
【0018】
▲5▼気筒別に燃料カットを行い、気筒別に燃料カットを停止して燃料供給を再開する。
【0019】
▲6▼所定のグループ毎に燃料カットを行い、所定のグループ毎に燃料カットを停止して燃料供給を再開する。
【0020】
▲7▼全気筒で燃料カットを行い、全気筒で燃料カットを停止して燃料供給を再開する。
【0021】
▲8▼例えば4気筒エンジンの場合、まず2気筒で燃料カットを行った後で全気筒の燃料カットを行う。まず2気筒の燃料カットを停止して燃料供給を再開し次に残り2気筒の燃料カットを停止して燃料供給を再開する。
【0022】
さて、従来の燃料壁流補正を伴う空燃比制御技術では、本発明で定義した気筒停止を行う場合については考慮されていないので、次のような問題が生じる。
【0023】
多気筒エンジンのうち今仮に、No.1気筒を燃料カットを行う気筒として具体的に考える。燃料カット中には、吸気弁の傘裏部や吸気ポートに付着して壁流燃料を形成し、この燃料壁流が吸気と共にシリンダへと流れ込んでいくため、燃料カット時間が経過すれば壁流燃料は減少していき、最後には壁流燃料がなくなる。そのため、上記の従来技術では燃料カットを行う気筒について燃料カット中になると、燃料カットを行う気筒についての壁流燃料量の予測変数である付着量Mfを徐々に減少させることにより、燃料リカバー時(燃料カットからの復帰時)の燃料壁流補正量が不足することがないように工夫している。
【0024】
しかしながら、同じNo.1気筒が本発明の対象とする気筒停止を行う気筒になると、No.1気筒の吸気弁が全て全閉位置に固定され、全閉位置の吸気弁によりシリンダへの吸気及び壁流燃料の移動が堰き止められてしまうため、吸気弁上流に残留する壁流燃料はシリンダへと流れ込むことができず、従ってNo.1気筒についての壁流燃料は気筒停止時間の経過に関係なく減少しない。
【0025】
このため、No.1気筒については、気筒停止時にも燃料供給を行わないからといって燃料カット時と同じにNo.1気筒についての付着量Mfを徐々に減少させたのでは、実際には減少していないNo.1気筒についての付着量Mfを計算上は徐々に減少させる演算を行うことになるため、消失しない壁流燃料分だけNo.1気筒についての燃料リカバー時に燃料壁流補正量が過多となり、No.1気筒についての燃料供給再開時の空燃比が目標値を外れてリッチとなってしまう。
【0026】
この場合、壁流燃料量は特に噴射燃料の一部が付着する部位(これを以下「燃料付着部」という。)の温度に大きく依存する。そして、この燃料付着部の温度は、燃料カット時と気筒停止時とで異なることが実験により判明している。
【0027】
そこで本発明は、気筒停止を行う気筒について気筒停止時の燃料付着部温度を独立に推定し、燃料カット時と異なる燃料付着部温度を与えることにより、気筒停止を行う気筒についての気筒停止から燃料供給を再開する際の燃料壁流補正量を最適にすることを目的とする。
【0028】
一方、特開平3−134237号公報には、燃料カット時の燃料付着部温度を推定する技術が開示されている。しかしながら、気筒停止については一切記載が無い。このため、気筒停止が行われる気筒でも、燃料カットが行われる気筒と同じに燃料カット時の燃料付着部温度を推定したのでは、気筒停止状態と燃料カット状態との燃料付着部の温度状態の違いの分だけ温度推定値に誤差が生じ、その温度誤差の分だけ燃料壁流補正量に過不足が生じ、気筒停止の行われる気筒について気筒停止からの燃料供給再開時に空燃比が目標値から外れてしまう。
【0029】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、吸気通路に噴射燃料を供給する燃料供給装置を備え、この燃料供給装置からの燃料の一部であってシリンダの上流側の吸気通路壁または吸気弁壁に付着する燃料のシリンダへの供給遅れに関する燃料壁流補正を伴うエンジンの空燃比制御装置において、吸気弁の働きを停止させることが可能な吸気弁稼働停止機構と、気筒停止条件でこの吸気弁稼働停止機構を用いて、少なくとも1の気筒について気筒停止を開始させる気筒停止開始手段と、気筒停止を行っている気筒について気筒停止中の燃料付着部温度を推定する燃料付着部温度推定手段と、気筒停止条件を外れたときそれまで気筒停止を行っていた気筒の気筒停止を解除すると共に、それまで気筒停止を行っていた気筒に対して、燃料供給を再開する燃料供給再開手段と、この燃料供給の再開時に燃料供給を再開する気筒に対して気筒停止中の燃料付着部温度の推定値Twfに基づく燃料壁流補正を行う燃料壁流補正手段とを備える。
【0030】
【発明の効果】
気筒停止を行う1の気筒を考える。この気筒で気筒停止を行っていない状態では、燃料付着部温度はほぼ冷却水温に等しいのであるが、気筒停止を行うと、燃焼を伴わないため高温の燃焼ガスから燃料付着部への伝熱がなくなって(圧縮熱分のみ)、燃料付着部温度が低下してゆき、この温度低下と共に実際の壁流燃料量は増加してゆく。請求項1に記載の発明によれば、気筒停止を行う気筒について、気筒停止中に低下してゆくこの燃料付着部温度を推定し、その後に気筒停止条件を外れたときにはそれまで気筒停止を行っていた気筒に対して、前記推定した燃料付着部温度に基づく燃料壁流補正を伴った燃料供給を再開するので、気筒停止を行っていた気筒に対しての、気筒停止からの燃料供給の再開時における燃料壁流補正量が最適となり、これにより気筒停止を行っていた気筒についての気筒停止からの燃料供給の再開時における空燃比を目標値へと適切に制御することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1において、1はエンジン本体で、その吸気通路2には吸気絞り弁3下流に位置して気筒別に燃料噴射弁4が設けられ、エンジンコントローラ11からの噴射信号により運転条件に応じて所定の空燃比となるように、吸気ポート5に向けて燃料を噴射供給する。詳細には、POSセンサ(ポジションセンサ)12、PHASEセンサ(フェーズセンサ)13からの信号、エアフローメータ14からの吸入空気流量の信号、水温センサ15からのエンジン冷却水温の信号等が主にマイコンからなるエンジンコントローラ11に入力され、エンジンコントローラ11ではこれらに基づいて基本空燃比(例えば理論空燃比)の混合気が得られる基本噴射パルス幅Tpを算出し、これに水温増量などの各種の補正を行って燃料噴射パルス幅Tiを求め、所定のタイミングでこのTiに対応する期間だけ燃料噴射弁4を開く。
【0032】
上記の燃料噴射弁4より吸気ポート5に向けて噴射された燃料の一部は、シリンダへの入口に相当する吸気ポート5の壁面や吸気ポート5をせき止めるように吸気中に横たわる吸気弁7の傘裏部に付着して液状のまま流れる。このうち吸気ポート5の壁面を伝って流れる燃料はそのままシリンダ6へと流れ込む。また、吸気弁7の傘裏部に付着した燃料も吸気弁7の傘裏部を液状のまま流れてエッジに達した後、エッジからしたたり落ちて、液状のままシリンダ6へと流れ込む。これらの、いわゆる壁流燃料には吸気中を浮遊して吸気共にシリンダ6内に流入する燃料と相違して、シリンダ6への供給遅れが生じるものの、定常状態においては、壁流燃料量の多少に拘わらず空燃比は一定の値に維持される。従って、定常時には、燃料壁流補正は必要ない。
【0033】
しかしながら、エンジンの加減速時になると、壁流燃料の量的変化に起因して、空燃比の目標値(理論空燃比)からのずれが一時的に生じる。例えば低負荷状態よりアクセルペダルを踏み込む加速時を考えると、加速後の状態(高負荷状態)のほうが低負荷状態より壁流燃料量が多くなる。このため、加速初期には加速後の平衡状態に対して壁流燃料が不足するため、噴射燃料の一部がこの壁流燃料の増加に奪われてシリンダ6に流入する燃料が不足し、空燃比が目標値よりリーン側に傾く。そして、壁流燃料が加速後の平衡状態量に落ち着くと、空燃比は目標値に戻る。
【0034】
この場合、壁流燃料の平衡状態量は燃料付着部(ここでは主に吸気弁7)の温度とエンジンの負荷、回転速度により演算することが可能であり、実際の壁流燃料はこの平常状態量に対して一次遅れで応答することが経験的に知られている。また、この実際の壁流燃料の応答の時定数も燃料付着部の温度とエンジンの負荷、回転速度により演算することが可能である。
【0035】
従って、実際の壁流燃料を推定できれば、加速時には平衡状態量と実際の壁流燃料の差が壁流燃料量の不足分となるので、この差分に応じた値を燃料壁流補正量として与えてやればよい。
【0036】
このため、エンジンコントローラ11には、平衡状態での壁流燃料量を表す全気筒分の平衡付着量Mfhと、実際の壁流燃料の応答の時定数に相当する分量割合Kmfとの2つの値を、エンジン負荷、エンジン回転速度Nおよび冷却水温Twに基づいて予め定めており、エンジン負荷、エンジン回転速度Nおよび燃料付着部の温度推定値としての壁流補正用温度Twfに基づいて平衡付着量Mfhと分量割合Kmfを演算し、これらとその時点の予測変数である全気筒分の付着量Mfとを用いて後述する(9)式により全気筒分の付着量Mfの1制御周期当たり(例えば気筒毎の1の噴射からから次の噴射まで)の変化量を表す付着速度Vmfを算出し、この付着速度Vmfを燃料壁流補正量である1気筒当たりの過渡補正量Kathosとして上記のTpに加算することによって燃料壁流補正を行う。
【0037】
その一方で、Vmfは壁流燃料量の増加に寄与する値であるため、気筒毎の燃料噴射に同期して今回噴射時の付着速度Vmfを今回噴射前の全気筒分の付着量Mfに加算することにより全気筒分の付着量Mfを更新する。
【0038】
燃費向上の観点より気筒別の燃料カットを行う。すなわち、エンジンコントローラ11では、所定の回転速度以上にあってアクセルペダルがアイドル位置にあれば全気筒(4気筒)のうちまず2気筒について燃料噴射弁4からの燃料カットを開始し、その後に残り2気筒についても燃料噴射弁4からの燃料カットを行う(このとき全気筒燃料カット)。この状態からアクセルペダルを踏み込んだり、回転低下して所定の回転速度(リカバー回転速度)以下になればまず2気筒について燃料カットを停止して燃料供給を再開し、その後に残り2気筒についても燃料カットを停止して燃料供給を再開する。
【0039】
このとき、燃料カットの行われる気筒では、燃料カットにより壁流燃料量の維持や増加に寄与する燃料が供給されなくなり、その一方で壁流燃料が吸気と共にシリンダ6へと流れ込んでいくため、燃料カット時間が経過すれば燃料カットの行われる気筒についての壁流燃料は減少していき、最後には壁流燃料がなくなる。そのため、エンジンコントローラ11では、燃料カットの行われる気筒について、燃料カット中になると、燃料カットの行われる気筒についての付着量であるMfnを徐々に減少させ、燃料カットの行われる気筒についての燃料リカバー時(燃料カットからの復帰時)の燃料壁流補正量であるKathosが不足することがないようにしている。
【0040】
燃費をさらに向上させるため、図示しないが吸気弁7の働きを停止させることが可能な吸気弁稼働停止機構を設けており、エンジンコントローラ11では低負荷低回転速度域などの所定の運転域になると、この吸気弁稼働停止機構を働かせて、少なくとも1の気筒について気筒停止を行い、低負荷低回転速度域から高負荷時に移行したときには、気筒停止を行っている気筒についての気筒停止を解除して吸気弁7を再び稼働状態とすると共に燃料噴射弁4からの燃料供給を再開する。
【0041】
ここで、吸気弁稼働停止機構には、例えば吸気弁7そのものを電磁駆動弁としたものや吸気弁7の停止を可能とするカム駆動弁を設けたものなどがあり、これらは周知であるので説明は省略する。
【0042】
本発明では、このような少なくとも1の気筒について気筒停止を行うと共に、上記のように燃料壁流補正を伴う空燃比制御を行うエンジンを前提として、気筒停止を行っている気筒についての気筒停止からの燃料供給再開時にも、燃料カットからの燃料リカバー時と同様に、気筒停止を行っている気筒についての気筒停止からの燃料供給再開時の壁流補正量に過不足がないようにする。
【0043】
エンジンコントローラ11で実行されるこの制御内容を、以下のフローチャートにしたがって説明する。
【0044】
図2は燃料付着部温度の推定値である壁流補正用温度Twfを演算するためのもので、タイマ同期により例えば1sec毎に一度実行する。
【0045】
なお、図2は簡単のため気筒を区別していない場合で記載しているが、気筒別の燃料カットや気筒別の気筒停止を行う場合には、気筒判別を行い、気筒別に図2のフローを走らせる必要がある。
【0046】
ステップ1ではファイアリング時であるかどうかをみる。ここで、ファイアリング時とは次の5つの場合以外の場合のことである。
【0047】
ア)イニシャライズ時、
イ)スタータスイッチON時、
ウ)エンジン非回転時(エンスト時、始動前)、
エ)燃料カット時、
オ)気筒停止時、
ファイアリング時でないときには上記のア)〜オ)のいずれかにある場合であると判断し、ステップ2、3に進みイグニッションスイッチ17からの信号、スタータスイッチ18からの信号、クランク角センサ12、13により検出されるエンジン回転速度Nの信号に基づいて、上記のア)〜オ)のいずれかにあるかをみる。
【0048】
ウ)のエンジン非回転時またはイ)のスタータスイッチON時にはステップ5に進んで水温センサ15により検出される現在の冷却水温Twから図3を内容とするテーブルを検索することにより、壁流補正用温度の初期値Inwftを演算する。図3に示したように温度初期値Inwftは冷却水温Twが高くなるほど高くなる値である。
【0049】
ステップ6ではこの壁流補正用温度初期値Inwftを用いて、
Twf=Inwft×ENSTSP#
+Twf−1sec×(1−ENSTSP#)…(1)
ただし、ENSTSP#:エンジン非回転時の加重平均係数(一定値)、
Twf−1sec      :1sec前のTwf、
の式により壁流補正用温度Twfを算出し、図2のフローを終了する。
【0050】
(1)式のTwfは一次遅れで初期値Inwftに向かって収束する値である。
【0051】
これに対してエンジンが回転しておりかつスタータスイッチがONにないときには、上記エ)またはオ)のいずれかにあると判断し、ステップ4で気筒停止条件であるかどうかをみる。気筒停止条件は例えば次の条件をすべて満たす場合である。
【0052】
(a)エンジンの負荷と回転速度から定まる運転点が気筒停止運転域にあること。例えば所定の低負荷低回転域を気筒停止運転域として予め定めておく。
【0053】
(b)アクセルペダルが踏み込まれていないこと。
【0054】
従って、(a)、(b)のいずれかの条件が満たされていないときには燃料カット時であると判断し、ステップ7、8に進んで、
Twf=(Inwft+OFST1)×FCTSP1#
+Twf−1sec×(1−FCTSP1#)…(2)
ただし、OFST1  :第2オフセット量(正の一定値)、
FCTSP1#:燃料カット時の加重平均係数(一定値)、
Twf−1sec      :1sec前のTwf、
の式により壁流補正用温度Twfを、また(a)、(b)を全て満たすときには(気筒停止条件の成立時)ステップ9、10に進み、
Twf=(Inwft+OFST2)×FCTSP2#
+Twf−1sec×(1−FCTSP2#)…(3)
ただし、OFST2  :第1オフセット量(正の一定値)
FCTSP2#:気筒停止時の加重平均係数(一定値)、
Twf−1sec      :1sec前のTwf、
の式により壁流補正用温度Twfを算出し、図2のフローを終了する。
【0055】
なお、ステップ7、9の操作はステップ5の操作と同じである。すなわち、ステップ7、9でも水温センサ15により検出される現在の冷却水温Twから図3を内容とするテーブルを検索することにより、壁流補正用温度の初期値Inwftを演算する。
【0056】
図3において1点鎖線がInwft=Twのラインであるため、冷却水温Twに応じた初期値Inwftはそのときの冷却水温Twより必ず低くなっている。また、エンジンの暖機完了後のファイアリング時にはTwfはTwに等しい。
また、燃料カットの行われる気筒では燃料カットにより燃料カットの行われる気筒についての燃料付着部温度は低下してゆき、長く燃料カットが継続した後には平衡状態温度に落ち着く。(2)式右辺の目標値(Inwft+OFST1)はこの燃料カットの行われる気筒についての燃料付着部の、長く燃料カットが継続した後の平衡状態温度である。すなわち、吸気弁7に主に向けて燃料を噴射する場合には、吸気弁7傘裏部に燃料が付着するので、燃料付着部は吸気弁7であり、燃料カットの行われる気筒について長く燃料カットが継続した後には燃料カットの行われる気筒についての吸気弁7の平衡状態温度が、冷却水温Twよりも一定値だけ低い値へと落ち着く。従って、燃料カットの行われる気筒について燃料カット時には、冷却水温Twに応じた初期値Inwftにオフセット量OFST1を加算した値を目標値として構成し、この目標値が燃料カット開始時の冷却水温より低くなるようにしているのである。従って、(2)式のTwfは燃料カット開始時の冷却水温Twを起点として、そのTwより低い値の目標値(Inwft+OFST1)に向かって、また気筒停止時にも燃料供給を停止する点では同じであるので、(3)式のTwfも気筒停止開始時の冷却水温Twを起点として、そのTwより低い値の目標値(Inwft+OFST2)に向かってそれぞれ一次遅れで収束する値である。
【0057】
ここで、(2)式の目標値(Inwft+OFST1)は請求項3に記載の発明でいう第2目標値、(3)の目標値(Inwft+OFST2)は請求項2、3に記載の発明でいう第1目標値である。
【0058】
ただし、(3)式右辺の第1オフセット量OFST2は(2)式右辺の第2オフセット量OFST1より大きくする(請求項3に記載の発明)。これは、気筒停止状態では吸気流速がなく燃料カット時と比較して、吸気流速がない分だけ燃料付着部温度が低下しにくいので、長く気筒停止が継続した後の吸気弁7の平衡状態温度は、長く燃料カットが継続した後の吸気弁7の平衡状態温度よりも高くなると思われるためである。最終的にはオフセット量OFST2はマッチングにより定める。
【0059】
一方、ステップ1でファイアリング時であると判断したときにはステップ11、12に進み、吸入空気流量Qから図4を内容とするテーブルを参照してファイアリング時の加重平均係数Fltspを求め、現在の冷却水温Twを用いてファイアリング時の壁流補正用温度Twfを、
Twf=Tw×Fltsp+Twf−1sec×(1−Fltsp)…(4)
Twf−1sec:1sec前のTwf、
の式により算出して図2のフローを終了する。
【0060】
図4において吸入空気流量Qaが増すほど加重平均係数Fltspの値を大きくしているのは、Qaが大きくなるほど単位時間当たりの燃焼発生熱が大きくなり、燃料付着部への伝熱の速度が早くなるからである。
【0061】
図5はイニシャライズ(壁流補正用温度の初期化)のためのもので、イグニッションスイッチ17のOFFからONへの切換時に一度だけ実行する。
【0062】
ステップ21では水温センサ15により検出される現在の冷却水温Twから図3を内容とするテーブルを検索することにより、スタータスイッチON時やエンジン非回転時と同様の壁流補正用温度の初期値Inwftを求め、ステップ22でこのInwftをTwfに入れる。
【0063】
初期値Inwftは冷却水温Twよりも低いので、始動直後のTwfは初期値Inwftから始まって一次遅れで冷却水温Twに収束する値となる。エンジンの暖機が完了した時点ではTwfはTwに一致する。
【0064】
次に、このようにして演算した壁流補正用温度Twfを用いての燃料壁流補正量の演算方法を以下のフローチャートに従って説明する。
【0065】
燃料壁流補正量の演算方法には各種の装置が提案されているので、ここでは特開平10−259748号公報に開示されている技術に適用した場合で述べる。
【0066】
特開平10−259748号公報の技術は大きな出力が必要とされない所定の運転域で理論空燃比よりもリーン側の空燃比での運転を行わせ、高負荷時など大きな出力が必要とされる運転域になると理論空燃比での運転に切換えると共に、低周波分に対する1気筒当たりの過渡補正量Kathosと高周波成分に対するステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量Chosnとを演算している。ここで、壁流燃料には比較的ゆっくりと応答する低周波成分と比較的素早く応答する高周波成分とがあり、低周波分に対する壁流補正量がKathos、これに対して高周波成分に対する壁流補正量がChosnである。ただし、本発明は、これら2つの補正量を共に演算するものに限定されるわけではない。
【0067】
図6は気筒別に燃料噴射パルス幅を算出して出力する制御動作を示すもので、まずステップ31では目標当量比Tfbyaを算出する。
【0068】
ここで、Tfbyaは理論空燃比での運転時には1.0となり、理論空燃比よりもリーン側の空燃比での運転時には1.0よりも小さくなる値であり、空燃比の切換はこのTfbyaにより行われる。また、エンジンの暖機のための水温増量補正の機能もこのTfbyaに付与されている。
【0069】
ステップ32でエアフローメータ14の出力をA/D変換し、リニアライズして吸入空気流量Qを算出する。そしてステップ33でこの吸入空気流量Qとクランク角センサ12、13により検出されるエンジン回転速度Nとから、ほぼ理論空燃比の得られる基本噴射パルス幅Tpを、Tp=K×Q/Nとして求める。なおKは定数である。
【0070】
ステップ34では、この基本噴射パルス幅Tpに対して、
Avtp=Tp×Fload+Avtp−1×(1−Fload)…(5)
ただし、Fload:加重平均係数、
Avtp−1:前回のAvtp、
の式により噴射弁部空気量相当パルス幅Avtpを求める。(5)式の加重平均係数Floadは、回転速度Nおよびシリンダ容積Vとの積N・Vと吸気管の総流路面積Aaから所定のマップを検索することにより求めている。
【0071】
ステップ35では1気筒当たりの過渡補正量Kathosを計算する。この過渡補正量Kathosの計算については図7(図6のステップ35のサブルーチン)により説明する。
【0072】
なお、過渡補正量Kathosの計算は各気筒を区別せずに行うため、4気筒エンジンMPI(マルチポイントインジェクション)かつシーケンシャル噴射の場合で具体的に説明すると、過渡補正量Kathos、付着速度Vmf、付着量Mfは1サイクル毎(1Ref信号の入力毎)の値である。これに対して、Chosnは気筒別の値であるため各気筒1サイクル毎(4Ref信号の入力毎)の値となる。Mfh、Mfは全気筒分の値である。
【0073】
まず、ステップ51では噴射弁部空気量相当パルス幅Avtp、目標当量比Tfbya(図6のステップ31、34で得ている)を読み込み、ステップ52で
Mfh=Avtp×Mfhtvo×Tfbya×CYLNDR#…(6)
ただし、Mfhtvo :付着倍率、
CYLNDR#:シリンダ数(=4)、
の式により全気筒トータルでの平衡付着量Mfhを計算する(図18右側上段の全気筒分のMfh参照)。
【0074】
(6)式の付着倍率Mfhtvoを求めるためのデータ(後述する基準付着倍率負荷項Mfhqのマップデータと基準付着倍率回転項Mfhnのテーブルデータ)は、目標当量比Tfbya=1.0に対するマッチングデータであるため、このマッチングデータを用いて得られる平衡付着量はTfbya=1.0に対しては適切であっても、目標燃空比相当量Tfbyaが1.0以外の値であるときにはその差の分だけ平衡付着量Mfhの演算に誤差が生じること、また図8に示すように、平衡付着量MfhはTfbyaにほぼ比例することから、(6)式に示したように、Tfbya=1.0に対する値(Avtp×Mfhtvo×CYLNDR#)をTfbya倍することによって、そのときのTfbyaに対応して過不足なく平衡付着量Mfhを与えている。この結果、エンジン暖機完了後の高負荷時に目標当量比Tfbyaが1.2になったときにはこのときの平衡付着量Mfhが1.2倍され、またリーン運転領域で目標当量比Tfbyaが0.66になったときにはこのときの平衡付着量Mfhが0.66倍される。
【0075】
(6)式の付着倍率Mfhtvoは従来(特開平3−111642号公報参照)と同様にして求める。Mfhtvoは単位噴射弁部流量相当パルス幅当たり、かつ1シリンダ当たりの平衡付着量のことであり、これは負荷(Avtp)と回転速度Nと燃料付着部温度の推定値である壁流補正用温度Twfを用いて求める。このTwfの演算については図2により前述したところである。
【0076】
具体的には、壁流補正用温度Twfの上下各基準温度TwfとTwfi+1(iは1から4(あるいは5)までの整数)に対する基準付着倍率データMfhtwfとMfhtwfi+1を用い、Twf、Twf、Twfi+1による補間計算で求める。たとえば、Mfhtwf、Mfhtwfと、基準温度Twf、Twf、現在の温度Twfを用いて
Mfhtvo=Mfhtwf+(Mfhtwf−Mfhtwf
×(Twf−Twf)/(Twf−Twf)…(7)
の式(直線補間計算式)によりMfhtvoを計算する。
【0077】
上記の基準付着倍率データMfhtwfは、
Mfhtwf=Mfhq×Mfhn…(8)
ただし、Mfhq:基準付着倍率負荷項、
Mfhn:基準付着倍率回転項、
の式により計算する。
【0078】
ここで、Mfhqはα−N流量Qh0と壁流補正用温度Twfを用い補間計算付きで所定のマップを検索することにより求める。なお、Qh0は絞り弁開度TVOと回転速度Nから求められる絞り弁部の空気流量で、既に公知のものである。Mfhnは回転速度Nから補間計算付きで所定のテーブルを検索することにより求める。Mfhqのマップ(図9参照)とMfhnのテーブル(図10参照)は、後述するKmfatのマップとKmfnのテーブルとともに、理論空燃比のときにマッチングしたデータが格納されている。また、図9と後述する図11の各マップは本来、冷却水温Twに対してマッチングしたものであるが、このマップを検索する際に、冷却水温Twに代えて壁流補正用温度Twfを用いるわけである。
【0079】
このようにして求めた全気筒分の平衡付着量Mfhに対して、現時点での全気筒分の付着量(予測変数)Mf(図18右側上段の全気筒分のMf参照)が単位周期当たり(4気筒エンジンMPIかつシーケンシャル噴射の場合はクランク軸半回転毎)にどの程度の割合で接近するかの割合を表す係数(つまり分量割合)Kmfを、ステップ53において基本分量割合Kmfatと分量割合回転補正率Kmfnの積から演算する。
【0080】
ここで、Kmfatは壁流補正用温度Twfを用いて求める。たとえば、α−N流量Qh0と壁流補正用温度Twfとを用い、補間計算付きで所定のマップ(図11参照)を検索する。Kmfnは回転速度Nから補間計算付きで所定のテーブル(図12参照)を検索する。
【0081】
なお、基準付着倍率回転項Mfhnと分量割合回転補正率Kmfnに添付されたnは、紛らわしいが気筒番号としてのn(後述する)ではなく、回転速度Nを意味させている。
【0082】
ところで、図7では運転条件を区分していないので、気筒停止時にも図7のフローが一定時間毎に実行される。このため、気筒停止を行う気筒については、気筒停止中の燃料付着部温度の推定値であるTwfが低下するが、その温度低下につれて平衡付着量Mfhが増加する側に算出されることになる。同様にして、気筒停止を行う気筒について気筒停止中の燃料付着部温度の推定値であるTwfが低下するにつれて壁流燃料の応答が遅くなる側に分量割合Kmfが算出される。
【0083】
このようにして求めた分量割合Kmfをステップ54においてMfhと現時点での全気筒分の付着量Mfとの差に乗じる演算により、つまり
Vmf=(Mfh−Mf)×Kmf…(9)
の式により全気筒分の付着量Mfの1制御周期当たり(例えば気筒毎の1の噴射からから次の噴射まで)の変化量を表す付着速度Vmfを算出する。
【0084】
Mfはその時点での全気筒分の付着量の予測変数であり、したがって(Mfh−Mf)の付着量は現サイクルにおける平衡付着量からの過不足量を示し、この値(Mfh−Mf)が分量割合Kmfにてさらに補正されるのである。
【0085】
このようにして付着速度Vmfを求めた後、ステップ55では減速補正率Ghfを計算したあとステップ55で、
Kathos=Vmf×Ghf…(10)
の式により1気筒当たりの過渡補正量Kathosを計算する。ここで、減速補正率Ghfは減速時にのみ必要となる値(1.0を越える値)で、加速時には1.0となる。このため、燃料カットや気筒停止を解除しての燃料供給の再開時には減速補正率Ghfは考える必要がない(Ghf=1.0)。
【0086】
このようにして1気筒当たりの過渡補正量Kathosの計算を終了したら図6に戻り、ステップ36で、
Tin=(Avtp×Tfbya+Kathos)×α×2+Ts
+Chosn…(11)
ただし、α:空燃比フィードバック補正係数、
Ts:無効噴射パルス幅、
Chosn:ステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量、
の式により燃料噴射弁4に与える燃料噴射パルス幅Tinを気筒別に計算する。
【0087】
(11)式の空燃比フィードバック補正係数αは制御空燃比が理論空燃比を中心とするいわゆるウィンドウに収まるようにOセンサ16の出力に基づいて演算される値、無効噴射パルス幅Tsは燃料噴射弁4が噴射信号を受けてから実際に開弁するまでの作動遅れを補償するための値である。
【0088】
また、(11)式はシーケンシャル噴射(4気筒ではエンジン2回転毎に1回、各気筒の点火順序に合わせて噴射)の場合の式であるため、数字の2が入っている。
【0089】
ステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量Chosnについては後述する。これは気筒別の値(つまりnは気筒番号を表す)であるため、Tiも気筒別の値とする必要があることから、nをつけている。
【0090】
次にステップ37で燃料カットの判定を行い、ステップ39、40で燃料カット条件ならば無効噴射パルス幅Tsを、そうでなければTinを出力レジスタにストアすることで、クランク角センサ12、13の出力にしたがって所定の噴射タイミングでの噴射に備える。
【0091】
図13はステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量Chosnを算出するためのもので、10ms毎に実行する。
【0092】
ここでは、Chosnを後述する(14)式により算出すると共に、(14)式の1/A(ただし、Aは低周波成分の1サイクル目の応答ゲイン)は(13a)、(13b)式を用いて算出するのであるが、これらの式の導出は特開平10−259748号公報に詳しく記載されている。本発明はこれらの導出には直接関係しないので、その説明は省略する。
【0093】
ステップ61では水温センサ15により検出される冷却水温Twを読み込む。なお、Chosnの算出には、Tw以外に付着倍率Mfhtvo、分量割合Kmf、過渡補正量Kathos、Kathos−4Refが必要となるが、このうちMfhtvo、Kmf、Kathosは図7のフローにより得られている。また、Kathos−4Refは、後述する図16のステップ87に示したように、噴射タイミングでKathosの値をシフトすることによって得られる。
【0094】
図13のステップ62では、
ΔKathos=Kathos−Kathos−4Ref…(12)
ただし、Kathos−4Ref:各気筒1サイクル前(4Ref信号前) のKathos、
の式により前回噴射からのKathos変化量であるΔKathosを計算し、このΔKathosとゼロを比較する。
【0095】
ΔKathos>0(加速時)であれば、ステップ63に進んで増量ゲインGztwpを演算し、このGztwpをステップ64において水温補正ゲインGztwcに入れる。同様にして、ΔKathos<0(減速時)であるときは、ステップ65に進んで減量ゲインGztwmを演算し、このGztwmをステップ66においてGztwcに入れる。ゲインGztwpとGztwmは水温補正を行うためのもので、冷却水温Twを用い補間計算付きで図14、図15を内容とするテーブルをそれぞれ検索することにより演算する。
【0096】
ステップ67では付着倍率Mfhtvoと分量割合Kmfを読み込み、これらを用いて、A/(1−A)の値を、
A/(1−A)=Mfhtvo×Kmf…(13a)
ただし、A:低周波成分の1サイクル目の応答ゲイン、
の式により計算し、このA/(1−A)の値を、ステップ68において
1/A=1/{A/(1−A)}+1…(13b)
の式の右辺に代入することにより(13b)式左辺の1/Aの値を計算する。
【0097】
ステップ69では燃料カット中かどうかをみる。ここでは図6のステップ37、38と相違して、燃料噴射弁4による燃料供給が停止されているかどうか(つまりTsが出力レジスタに出力されているかどうか)だけをみている。
【0098】
燃料カット中でなければステップ70に進みKathos−4Ref(図16のステップ87で得ている)を読み込み、このKathos−4Ref、1/A、Gztwc及びKathos(図7のステップ56で得ている)の値を用い、ステップ74において、
Chosn=(Kathos−Kathos−4Ref
×(Gztwc−1)/A …(14)
ただし、Kathos−4Ref:各気筒1サイクル前(4Ref信号前)のKathos、
の式によりステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量Chosnを計算する。
【0099】
一方、燃料カット中のときはステップ69よりステップ71に進みさらに気筒停止中かどうかをみる。気筒停止中でないときにはステップ72に進み、Mfn(図16のステップ93で得ている)と、Mf(図16のステップ89で得ている)、Kmf(図7のステップ53で得ている)を用いて(Mf−Mfn)×Kmfの値を計算し、これをKathos−4Refに入れたあと、ステップ74でChosnを計算する。つまり、燃料カット中(気筒停止中を除く)はChosnが、
Chosn={Kathos−(Mf−Mfn)×Kmf}
×(Gztwc−1)/A…(15)
の式により計算され、このChosnが燃料カット解除直後の燃料供給再開時の値になる。
【0100】
同様にして、気筒停止中のときにはステップ71よりステップ73に進み、Mfn(図16のステップ97で得ている)と、Mf(図16のステップ89で得ている)、Kmf(図7のステップ53で得ている)を用いて(Mf−Mfn)×Kmfの値を計算し、これをKathos−4Refに入れたあと、ステップ74でChosnを計算する。つまり、気筒停止中はChosnが、
Chosn={Kathos−(Mf−Mfn)×Kmf}
×(Gztwc−1)/A…(16)
の式により計算され、このChosnが気筒停止解除直後の燃料供給再開の値になる。
【0101】
ステップ75では全気筒分が終了したかどうかをみて、終了してなければ、ステップ62に戻って、ステップ74までを繰り返す。なお、Chosnの全気筒分の演算に要する時間は図13の演算間隔である10msに比べて十分に短く、全気筒分の演算が終了する前に次の10msの演算タイミングが訪れるような事態が生じることはない。
【0102】
図16は噴射タイミングに同期(具体的には各気筒のRef信号に同期)させて、全気筒分のMfなどの要求値を得るためのものである。なお、噴射タイミングと各気筒のRef信号の入力タイミングとは必ずしも一致するものでないが、説明の便宜上、各気筒のRef信号の入力毎としている。
【0103】
図16においてステップ81ではクランク角センサ12、13からの信号に基づいて気筒判別を行い、この判別した気筒についてさらにステップ82で燃料カット中かどうかをみる。ここでも図6のステップ37、38と相違して、燃料噴射弁4による燃料供給が停止されているかどうか(つまりTsが出力レジスタに出力されているかどうか)だけをみている。
【0104】
ここでの気筒別の燃料カットの一例は例えば図17に示したような場合である。同図において燃料カット条件が成立すると、一部気筒(No.1気筒とNo.4気筒)について燃料カット条件成立直後に訪れる気筒より燃料カットが行われ、所定期間後に全気筒が燃料カットされている(この反対に燃料リカバー条件が成立すると、No.2気筒とNo.3気筒について燃料リカバー条件成立直後に訪れる気筒より燃料リカバーが行われ、所定期間後に全気筒が燃料リカバーされる)。このように、燃料カットの途中で燃料カットされる気筒とされない気筒とが生ずるものが気筒別の燃料カットである。
【0105】
燃料カット中でなければ、ステップ83において気筒判別した気筒の燃料噴射弁4による噴射を実行したあと、ステップ84で上記の(9)式で得た付着速度Vmfを用いて次回の処理時に用いる全気筒分の付着量Mfを、
Mf=Mf−1Ref+Vmf…(17)
ただし、Mf−1Ref:1噴射前(1サイクル前)のMf、
の式により更新し(図18右側上段の全気筒分のMf参照)、このMfを次回処理のため、ステップ85においてMf−1Refに移しておく。
【0106】
(17)式中の右辺のMf−1Refは前回噴射終了時(4気筒エンジンMPIかつシーケンシャル噴射の場合はエンジン半回転前)の全気筒分の付着量であり、これに今回の噴射時に加えられる付着速度Vmfを加算した値が今回の噴射終了時点での全気筒分の付着量Mf(左辺のMf)となる。この付着量Mfの値が次回のVmfの演算時に用いられる。(17)式右辺のMf−1Refが付着速度Vmfの演算直前の値であるのに対して(17)式左辺のMfは付着速度Vmfの演算直後の値である。したがって、内容的には(9)式のMfの値を(17)式右辺のMf−1Refに入れて(17)式左辺のMfを計算することになる。(17)式で左辺と右辺に付着量が出てくるのは、付着量を各気筒を区別することなく噴射タイミング毎にサイクリックに更新していく構成であるからである。
【0107】
なお、図18の左側は気筒別のMfhとMfのステップ応答を、また図18右側上段は全気筒でまとめたときのMfhとMfのステップ応答を、図18右側下段は気筒別のKathosの変化をそれぞれ示している。
【0108】
ステップ86ではChosnに0を入れる。これは、Chosnは燃料カットや気筒停止からの燃料供給再開の際に最初の噴射時に一度だけ追加される値であるため、2度目からの噴射時には付与しないようにするためである。
【0109】
ステップ87では次回処理のためKathosの値をシフトする(メモリKathos−3Refの値をメモリKathos−4Refに、メモリKathos−2Refの値をメモリKathos−3Refに、メモリKathos−1Ref−の値をメモリKathos−2Refに、Kathosの値をメモリKathos−1Refに移す)。
【0110】
ステップ88ではMfの値をそのときに噴射タイミングになっている気筒のMfn−4Refに移す。Mfnは燃料カット中の気筒別の付着量で、燃料カット直前のMfをMfnの初期値(Mfn−4Ref)として格納するため、ステップ88が必要となっている。たとえば、燃料噴射中であれば、すべての気筒のMfn−4RefにMfが順次格納される。
【0111】
これに対して、燃料カット中であればステップ82よりステップ89以降に進む。燃料カット中も燃料カット中でないときと同じにステップ89、90、91の操作を行った後、ステップ92で気筒停止中であるかどうかみる。気筒停止中でないとき(燃料カット中)には、従来と同様にステップ93で
Mfn=Mfn−4Ref×FCKMF#…(19)
ただし、Mfn:燃料カット中の気筒別付着量、
Mfn−4Ref:各気筒1サイクル前(4Ref信号前)のMfn
FCKMF#:減量割合、
の式により、燃料カット中に減量していく付着量を気筒別に計算する。つまり、Mfnは燃料カット時に初期値(Mfn−4Ref)から気筒別の噴射タイミング毎(4Ref信号毎)に減少する値である(図19、図20参照)。ただし、Mfnが減少するからといって負の値になることはないので、ステップ94でMfnとゼロを比較し、Mfnが負の値のときはステップ95でMfnをゼロに制限している。
【0112】
ステップ96では次回演算のためMfnの値をメモリMfn−4Refに移して、今回の噴射タイミングでの演算を終了する。
【0113】
一方、気筒停止中であるときには、ステップ92よりステップ97に進み、気筒停止条件が成立したときのMfをMfnとして保持する。これは、次の理由による。すなわち、燃料カットの行われる気筒では、吸気弁7が稼働状態を保つため壁流燃料が吸気流動に促されてシリンダ6へと流入するので、燃料カットの行われる気筒では気筒別の付着量であるMfnを燃料カット中には(19)式のように減少させる必要がある。しかしながら、気筒停止の行われる気筒では、吸気弁7が全て全閉位置に固定されるため、気筒停止開始時の壁流燃料量がそれ以上減少することなくそのまま吸気弁7の上流側に残存する。従って、気筒停止の行われる気筒に対して、吸気弁7が稼働状態を保ちつつ燃料カットの行われる気筒と同じに、気筒別の付着量であるMfnを(19)式により減少させたのでは、気筒停止の行われる気筒について、気筒停止からの燃料供給再開時に付与するChosnの値が過剰となり、気筒停止からの燃料供給再開時の空燃比が目標値よりリッチ側に傾いてしまう。そこで、気筒停止が行われる気筒では、その気筒の壁流燃料状態に対応して気筒停止が成立した時点でのMfをMfnとして保持するようにしている。
【0114】
ここで、本実施形態の作用を図21、図22を参照しながら説明する。
【0115】
今、No.1気筒を燃料カットを行う気筒として考える。図21はt1のタイミングで燃料カットを開始し、t2のタイミングでアクセルペダルが踏み込まれたために燃料カットを停止して燃料供給を再開する場合の変化をモデルで示している。すなわち、燃料カット時にNo.1気筒では、燃焼を伴わないため高温の燃焼ガスから燃料付着部(No.1気筒の吸気弁)への伝熱がなくなり(圧縮熱分のみ)、燃料付着部温度は燃料カット時間の経過と共にt1より徐々に低下する。この場合に、長く燃料カットが継続した後の燃料付着部の平衡状態温度は、冷却水温Twよりも低くなることに着目し、冷却水温Twに応じた初期値Inwftにオフセット量OFST1を加えた値を目標値(Inwft+OFST1)として構成し、この目標値を燃料カット開始時の冷却水温Twより低く設定し、燃料付着部温度の推定値であるTwfがこの目標値に収束していくものとして上記(2)式により推定している。従って、燃料付着部温度の推定値であるTwfはt1より加重平均係数に従った一次遅れで減少している。
【0116】
そして、t2のタイミングで燃料カットが停止され燃料供給を再開することから、t2のタイミングでのTwfに基づいて燃料壁流補正量(1気筒当たりの過渡補正量Kathosとステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量Chosn)が算出され、t2のタイミングより定常時の燃料噴射パルス幅Avtpに対して燃料壁流補正量Kathos、Chosnを加えた値に対応する燃料量が噴射弁4より供給される。この場合、1気筒当たりの過渡補正量Kathosはt2のタイミングよりステップ的に大きくなりその後は徐々に小さくなって最終的にゼロとなる値(徐々に小さくなるのは低周波分に対する値であるため)、またChosnはt2のタイミング直後の初めての噴射タイミングでだけ追加されるものである。
【0117】
これら燃料壁流補正量Kathos、Chosnに対応して供給される燃料量は、燃料壁流として奪われるものであり、この燃料壁流として奪われる燃料を気筒停止からの燃料供給の再開時に余分に供給することで、燃料供給が再開されるt2のタイミング直後からも気筒停止の行われていた気筒についての空燃比を理論空燃比付近に収めることができる。
【0118】
一方、同じNo.1気筒で気筒停止が行われるときには、No.1気筒の吸気弁を全閉位置に固定することにより、吸気がNo.1気筒のシリンダに導入されず吸気流速がほとんどなくなるため、No.1気筒の燃料付着部温度は燃料カット時の燃料付着部温度と異なってくる。つまり、No.1気筒で気筒停止が行われるときには、吸気流速により燃料付着部が冷却されることがなく、吸気流速により壁流が蒸発する際に奪われる気化潜熱も少なくなるため、定性的には気筒停止時の燃料付着部温度は、燃料カット時と比較して高くなるものと考えられる。
【0119】
このため、No.1気筒について気筒停止が行われるときにも、燃料カットが行われるときと同じに気筒停止からの燃料付着部温度を推定したのでは、図22中段の実線で示したように、燃料付着部温度の推定値であるTwfが低過ぎることになってしまう。従って、図22においてt4でファイアリング時に復帰した際に、t4でのTwfに基づいて燃料壁流補正量(KathosとChosn)を算出すると、燃料付着部温度を実際より低く見積もった分だけ燃料壁流補正量が多くなり(図22下段の実線参照)、t4からの燃料供給の再開直後の空燃比がリッチ側に傾いてしまう。
【0120】
これに対して本実施形態(請求項3に記載の発明)では、気筒停止状態では吸気流速がなく燃料カット時と比較して燃料付着部温度が低下しにくいので、長く気筒停止が継続した後の吸気弁7の平衡状態温度は、長く燃料カットが継続した後の吸気弁7の平衡状態温度よりも高くなると思われることに対応して、気筒停止時に用いる第1オフセット量OFST2を燃料カット時に用いる第2オフセット量OFST1より大きく設定し、このオフセット量OFST2を水温Twに応じた初期値Inwftに加算した値(Inwft+OFST2)を目標値として、気筒停止タイミングであるt3からの燃料付着部温度を推定するようにしたので、燃料付着部温度の推定値であるTwfの温度低下が燃料カット時より緩やかとなり、気筒停止時においても、実際の燃料付着部温度を最適にトレースできることになった(図22中段の破線参照)。従って、図22においてt4でファイアリング時に復帰した際に、t4でのTwfに基づいて燃料壁流補正量(KathosとChosn)を算出すると、燃料付着部温度が実際の値に近づいた分だけ燃料カット時より燃料壁流補正量が少なくなり(図22下段の破線参照)、t4からの燃料供給の再開直後の空燃比を理論空燃比付近へと収束させることができる。
【0121】
また、本実施形態(請求項9に記載の発明)によれば、気筒停止を行う気筒について気筒停止中の燃料付着部温度の推定値であるTwfが低下するにつれて壁流燃料量の平衡状態量を表す平衡付着量Mfhを増加する側に算出するので、気筒停止中の燃料付着部温度に応じた平衡付着量Mfhを精度良く求めることができる。
【0122】
本実施形態(請求項9に記載の発明)によれば、気筒停止を行う気筒について気筒停止中の燃料付着部温度の推定値であるTwfが低下するにつれて壁流燃料の応答が遅くなる側に分量割合Kmfを算出するので、気筒停止中の燃料付着部温度に応じた分量割合KMFを精度良く求めることができる。
【0123】
気筒停止の行われる気筒では、吸気弁7が全て全閉位置に固定されるため、気筒停止開始時の壁流燃料量が減少することなくそのまま残存する。従って、気筒停止の行われる気筒で、吸気弁7が稼働状態を保ちつつ燃料カットの行われる気筒と同じに、気筒停止の行われる気筒についての気筒停止中の付着量Mfnを減少させたのでは、気筒停止の行われる気筒について、気筒停止からの燃料供給の再開時に付与するステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量Chosnの値が過剰となり、気筒停止の行われる気筒についての、気筒停止からの燃料供給の再開時の空燃比が目標値を外れてリッチ側に傾いてしまうのであるが、本実施形態(請求項10に記載の発明)によれば、気筒停止の行われる気筒では気筒停止中は気筒停止開始時の全気筒分の付着量Mfを気筒停止の行われる気筒についての付着量Mfnとして保持させておくので(図16のステップ97参照)、気筒停止の行われる気筒についての、気筒停止からの燃料供給再開時に与えるステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量Chosnが実際の燃料壁流状態に則して与えられることになり、気筒停止の行われる気筒についての、気筒停止からの燃料供給再開時にも、ステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量Chosnを精度良く算出することができる。
【0124】
実施形態では、気筒停止中の壁流補正用温度Twfを上記(3)式で示したように離散値系で算出する場合で説明したが、これに限らず、特開平8−177556号公報に記載されているように、連続値系で算出するようにしてもかまわない。上記(3)式を連続値系で表現した式を次に示す。
【0125】
Twf=Twf初期値−{Twf初期値−(Inwft+OFST2)}
×{1−exp(−t/T)}…(20)
ただし、Twf初期値:気筒停止開始時の冷却水温、
t:時間、
T:低周波成分の壁流燃料の応答の時定数、
ここで、(20)式右辺の「exp」は指数eを表し、「exp」のすぐ右の値(−t/T)は指数eの右肩につく値である。
【0126】
実施形態では、高周波成分に対する壁流補正量がChosnである場合で説明したが、これに限られるものでなく、特開平3−111639号の各公報の装置に開示されている高周波成分に対する壁流補正量Chosnに対しても本発明を適用可能である(請求項8に記載の発明)。
【0127】
実施形態では、燃料付着部温度の推定値が壁流補正用温度Twfである場合で説明したが、特開平3−134237号公報に記載されている吸気弁予測温度Tfに対しても、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の制御システム図。
【図2】壁流補正用温度の計算を説明するためのフローチャート。
【図3】壁流補正用温度の初期値の特性図。
【図4】ファイアリング時の加重平均係数の特性図。
【図5】イニシャライズを説明するためのフローチャート。
【図6】気筒別の燃料噴射パルス幅の演算と出力を説明するためのフローチャート。
【図7】1気筒当たりの過渡補正量の演算を説明するためのフローチャート。
【図8】目標当量比に対する平衡付着量の特性図。
【図9】基準付着倍率負荷項の特性図。
【図10】基準付着倍率回転項の特性図。
【図11】基本分量割合の特性図。
【図12】分量割合回転補正率の特性図。
【図13】ステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量の算出を説明するためのフローチャート。
【図14】増量ゲインの特性図。
【図15】減量ゲインの特性図。
【図16】噴射タイミングに同期して要求値を得るためのフローチャート。
【図17】気筒別の燃料カットを説明するための特性図。
【図18】気筒毎の平衡付着量及び付着量の変化と、全気筒分の平衡付着量及び付着量の変化とを対比して示す波形図。
【図19】燃料カットが行われる気筒についての燃料カット中の付着量Mfnと全気筒分の付着量Mfとの関係を示す波形図。
【図20】燃料カットが行われる気筒についての付着量Mfnの変化を示す波形図。
【図21】燃料カットを行う気筒について燃料カットを行った直後に加速を行ったときの第1実施形態の作用を説明するための波形図。
【図22】気筒停止を行う気筒について気筒停止を解除して燃料供給を再開したときの第1実施形態の作用を説明するための波形図。
【符号の説明】
1 エンジン本体
4 燃料噴射弁
5 吸気ポート
6 シリンダ
7 吸気弁
11 エンジンコントローラ
12、13 クランク角センサ
14 エアフローメータ
17 イグニッションスイッチ
18 スタータスイッチ

Claims (11)

  1. 燃料を吸気通路に噴射燃料を供給する燃料供給装置を備え、
    この燃料供給装置からの燃料の一部であってシリンダの上流側の吸気通路壁または吸気弁壁に付着する燃料のシリンダへの供給遅れに関する燃料壁流補正を伴うエンジンの空燃比制御装置において、
    吸気弁の働きを停止させることが可能な吸気弁稼働停止機構と、
    気筒停止条件でこの吸気弁稼働停止機構を用いて、少なくとも1の気筒について気筒停止を開始させる気筒停止開始手段と、
    気筒停止を行っている気筒について気筒停止中の燃料付着部温度を推定する燃料付着部温度推定手段と、
    気筒停止条件を外れたときそれまで気筒停止を行っていた気筒の気筒停止を解除すると共に、それまで気筒停止を行っていた気筒に対して、燃料供給を再開する燃料供給再開手段と、
    この燃料供給の再開時に燃料供給を再開する気筒に対して気筒停止中の燃料付着部温度の推定値に基づく燃料壁流補正を行う燃料壁流補正手段と
    を備えることを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  2. 燃料付着部が主に吸気弁である場合に、気筒停止を行っている気筒についての燃料付着部温度の推定値は、気筒停止開始時の冷却水温より所定値だけ低い値を第1目標値として、気筒停止開始時の冷却水温よりこの第1目標値に対して一次遅れで収束する値であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  3. 燃料カットを行っている気筒についての燃料付着部温度の推定値を、燃料カット開始時の冷却水温より所定値だけ低い値を第2目標値として、燃料カット開始時の冷却水温よりこの第2目標値に対して一次遅れで収束する値である場合に、前記第1目標値はこの第2目標値より高い値であることを特徴とする請求項2に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  4. 第1目標値は冷却水温に応じて定めた初期値に第1オフセット量を加算した値、第2目標値は冷却水温に応じて定めた初期値に第2オフセット量を加算した値であることを特徴とする請求項3に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  5. 冷却水温に応じて定めた初期値はそのときの冷却水温より低い値であることを特徴とする請求項4に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  6. 気筒停止中の燃料付着部温度の推定値に基づく燃料壁流補正を行う際の燃料壁流補正量は、低周波成分に対する1気筒当たりの過渡補正量であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  7. 気筒停止中の燃料付着部温度の推定値に基づく燃料壁流補正を行う際の燃料壁流補正量は、高周波成分に対するステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  8. 気筒停止中の燃料付着部温度の推定値に基づく燃料壁流補正を行う際の燃料壁流補正量は、高周波成分に対する気筒別壁流補正量であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  9. 低周波成分に対する1気筒当たりの過渡補正量を算出する手段が、
    壁流燃料量の平衡状態量を表す全気筒分の平衡付着量を算出する平衡付着量算出手段と、
    壁流燃料の応答の時定数に相当する分量割合を算出する分量割合算出手段と、
    平衡付着量とその時点での予測変数である全気筒分の付着量との差を算出する差算出手段と、
    この付着量差と前記分量割合とに基づいて全気筒分の付着量の1制御周期当たりの変化量を表す付着速度を算出する付着速度算出手段と、
    この付着速度に基づいて1気筒当たりの過渡補正量を算出する過渡補正量算出手段と、
    気筒毎の燃料噴射に同期して今回噴射時の前記付着速度を今回噴射前の前記全気筒分の付着量に加算することにより全気筒分の付着量を更新する手段と
    からなる場合に、
    前記平衡付着量または分量割を気筒停止中の燃料付着部温度の推定値に基づいて算出することを特徴とする請求項6に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  10. 高周波成分に対するステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量を算出する手段は、
    壁流燃料量の平衡状態量を表す全気筒分の平衡付着量を算出する平衡付着量算出手段と、
    壁流燃料の応答の時定数に相当する分量割合を算出する分量割合算出手段と、
    平衡付着量とその時点での予測変数である全気筒分の付着量との差を算出する差算出手段と、
    この付着量差と前記分量割合とに基づいて全気筒分の付着量の1制御周期当たりの変化量を表す付着速度を算出する付着速度算出手段と、
    この付着速度に基づいて低周波成分に対する1気筒当たりの過渡補正量を算出する過渡補正量算出手段と、
    気筒毎の燃料噴射に同期して今回噴射時の前記付着速度を今回噴射前の前記全気筒分の付着量に加算することにより全気筒分の付着量を更新する付着量更新手段と、
    気筒停止の行われる気筒について気筒停止中に気筒停止開始時の前記全気筒分の付着量をこの気筒停止の行われる気筒についての付着量として保持する付着量保持手段と、
    同じく気筒停止の行われる気筒について気筒停止中に前記全気筒分の付着量と前記付着量保持手段により保持される気筒停止の行われる気筒についての付着量との差に前記分量割合を乗じた値を、気筒停止の行われる気筒についての前記過渡補正量の1サイクル前の値として設定する過渡補正量1サイクル前値設定手段と、
    気筒停止の行われている気筒について気筒停止条件を外れたときの燃料供給の再開時に、気筒停止条件を外れたときの前記過渡補正量と過渡補正量の前記1サイクル前の値との差と、低周波成分の応答ゲインとに基づいて、気筒停止の行われていた気筒に対しての、ステップ変化1サイクル目の気筒別壁流補正量を算出する気筒別壁流補正量算出手段と
    からなることを特徴とする請求項7に記載のエンジンの空燃比制御装置。
  11. 全気筒分の平衡付着量を理論空燃比に対する平衡付着倍率に基づいて算出する場合に、前記低周波成分の応答ゲインがこの平衡付着倍率と前記分量割合の積であることを特徴とする請求項10に記載のエンジンの空燃比制御装置。
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