JPH08312413A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

エンジンの空燃比制御装置

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JPH08312413A
JPH08312413A JP7120026A JP12002695A JPH08312413A JP H08312413 A JPH08312413 A JP H08312413A JP 7120026 A JP7120026 A JP 7120026A JP 12002695 A JP12002695 A JP 12002695A JP H08312413 A JPH08312413 A JP H08312413A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸気弁予測温度が温度非平衡状態の連続とな
る始動直後の空燃比の制御精度の向上を図る。 【構成】 記憶手段23は平衡付着量Mfhを求めるた
めのデーターを、また記憶手段25は分量割合Kmfを
求めるためのデーターをそれぞれ温度平衡状態での冷却
水温に対して適合しており、そのデーターを記憶する。
そのデーターを冷却水温検出値Twを用いて参照するこ
とにより演算手段24が平衡付着量Mfhを、また演算
手段26が分量割合Kmfをそれぞれ演算する。この場
合に、冷却水温検出値Twと吸気弁予測温度Tfとの温
度差(Tw−Tf)に応じた温度非平衡時の補正量を演
算手段34が演算し、この温度非平衡時の補正量で前記
演算された平衡付着量Mfhまたは前記演算された分量
割合Kmfを補正手段35が補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はエンジンの空燃比制御
装置、特に燃料を吸気弁に向けて噴射供給する場合にそ
の吸気弁温度を予測し、その吸気弁予測温度を用いて過
渡補正量を求めるものに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、エンジンの加減速時における空
燃比の目標値からのずれは、吸気マニホールドや吸気ポ
ートに付着し、液状のまま壁面を伝ってシリンダーへと
流れ込む、いわゆる壁流燃料の量的変化に起因するもの
であり、この壁流燃料による過不足分を過渡補正量とし
て燃料補正を行うものが各種提案されている。
【0003】このものでは、平衡付着量Mfhと分量割
合Kmfと2つの値を、エンジン負荷、エンジン回転数
Neおよび冷却水温Twに基づいて予め定めておき、一
定の演算式を用いて単位周期当たり(一噴射当たり)の
付着量(これを付着速度という)Vmfを求め、この付
着速度Vmfで基本噴射量Tpを補正している。なお、
上記の分量割合KmfはMfhとその時点での付着量
(予測変数である)Mfの差(Mfh−Mf)の燃料を
燃料噴射量の補正にどの程度反映させるのかを示す係数
のことである。
【0004】しかしながら、吸気ポートに向けてでな
く、吸気弁に向けて燃料を噴射する場合にも、冷却水温
Twから演算される上記の平衡付着量Mfhと分量割合
Kmfとを用いたのでは、特に冷間始動直後に空燃比誤
差が生じる。このときの壁流燃料量は、壁流燃料の流れ
る吸気弁の温度に左右されるので、吸気弁温度と冷却水
温Twとの温度差の分が壁流燃料の見積もり誤差とな
り、空燃比誤差として生じてくるのである。
【0005】そこで、特開平1−305142号公報の
装置では吸気弁温度を予測し、その吸気弁予測温度を上
記冷却水温Twに代えて用いることによってMfhとK
mfとを求めるようにしている。吸気弁温度は、始動直
後に冷却水温Twとほぼ等しく、暖機後は冷却水温Tw
より所定値だけ高い温度(たとえば約80℃)に落ち着
き、その変化は吸入空気量で定まる時定数に応じた一次
遅れとなるので、平衡吸気弁温度Thと遅れ時定数SP
TFとを負荷と回転数とをパラメーターとして予め定め
ておき、これらから、 Tf=Th×SPTF+Tf-1×(1−SPTF) …(1) ただし、Tf-1:Tfの前回値の式(つまり一次遅れの
式)を用いて吸気弁予測温度Tfを求めるのである。
【0006】ただし、実際の演算ロジック上では、始動
時に冷却水温Twよりも所定値だけ低い温度から冷却水
温Twに向かって一次遅れで収束する値(これを壁流補
正用温度という)Twfを始動時に与えている(特開平
3−134237号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のMf
hとKmfとを求めるためのデーターは、もともと冷却
水温Twを一定とし、吸気弁温度が冷却水温Twより所
定値だけ高い温度に落ち着いた状態(つまり温度平衡状
態)で適合させている。逆にいえば、温度非平衡状態で
Mfh、Kmfを適合することは事実上不可能なわけで
ある。したがって、冷却水温Twの代わりに壁流補正用
温度Twfを用いてMfh、Kmfを求める際のTwf
も、本来なら平衡状態での温度でなければならない。
【0008】しかしながら、平衡状態での冷却水温に対
して適合させているMfh、Kmfのデーターを、冷却
水温Twに代えて壁流補正用温度Twfをそのまま用い
るだけの上記装置では、疑似的に温度非平衡状態を扱う
ものとなっている。例を挙げれば、上記装置は、Twf
が40℃での温度平衡状態(このときの冷却水温Twは
40℃)とTwfが40℃での温度非平衡状態(このと
きの冷却水温Twは40℃とは異なる)とを同一状態と
して扱うことに相当し、そのために実際には壁流補正用
温度Twfが温度非平衡状態の連続となる始動直後に空
燃比誤差が生じるのである。
【0009】このため、図13に示すように、Twfを
用いたMfhでは要求Mfhよりも不足し、またTwf
を用いたKmfによるMfの変化では要求Kmfによる
Mf変化よりも応答が速すぎることになったり、これと
は逆にMfhが過剰かつMfの応答が遅すぎたりする。
【0010】さらに詳述すると、図20に示したよう
に、(1)は20℃の温度平衡状態の、(2)は40℃
始動の、(3)は80℃始動の各場合におけるTwfの
変化を示したものである。ただし、冷却水温Twは説明
の便宜上一定とする。(1)では、Twfが20℃の温
度平衡状態にあるので、温度平衡状態で適合しているM
fh、Kmfのデーターをそのまま使用できる。しかし
ながら、(2),(3)の場合には、平衡時のデーター
に温度非平衡時の補正が必要となる。なお、(2),
(3)に示す同じ温度非平衡状態でも、TwとTwfと
の差が大きい(3)のほうがより大きな補正が必要とな
ることはいうまでもない。
【0011】そこでこの発明は、Mfh、Kmfを求め
るためのデーターを温度平衡状態での冷却水温に対して
適合しており、このデーターを冷却水温検出値Twを用
いて参照することによりMfhとKmfを演算するとと
もに、TwとTwfとの差(Tw−Twf)に応じた温
度非平衡時の補正量を演算し、この温度非平衡時の補正
量で前記演算されたMfh、Kmfを補正することによ
り、吸気弁予測温度(あるいは壁流補正温度)が温度非
平衡状態の連続となる始動直後の空燃比の制御精度の向
上を図ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の発明では、図21
に示すように、運転条件に応じた基本噴射量Tpを演算
する手段21と、冷却水温を検出する手段22と、平衡
付着量Mfhを求めるためのデーターを温度平衡状態で
の冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶
する手段23と、このデーターを前記冷却水温検出値T
wを用いて参照することにより平衡付着量Mfhを演算
する手段24と、分量割合Kmfを求めるためのデータ
ーを温度平衡状態での冷却水温に対して適合しており、
このデーターを記憶する手段25と、このデーターを前
記冷却水温検出値Twを用いて参照することにより分量
割合Kmfを演算する手段26と、前記演算された平衡
付着量Mfhとその時点での付着量Mfとの差(Mfh
−Mf)を演算する手段27と、この差(Mfh−M
f)の付着量と前記演算された分量割合Kmfとに基づ
いて付着速度Vmfを演算する手段28と、この付着速
度Vmfと前記付着量Mfとを燃料噴射に同期して加算
することにより付着量Mfを更新する手段29と、前記
付着速度Vmfで前記基本噴射量Tpを補正して燃料噴
射量Tiを演算する手段30と、この噴射量の燃料を吸
気管に供給する手段31とを備えるエンジンの空燃比制
御装置において、吸気弁予測温度Tfを演算する手段3
2と、前記冷却水温検出値Twとこの吸気弁予測温度T
fとの差(Tw−Tf)を演算する手段33と、この温
度差(Tw−Tf)に応じた温度非平衡時の補正量を演
算する手段34と、この温度非平衡時の補正量(たとえ
ば平衡付着量に対してMfhas、分量割合に対してK
mfas)で前記演算された平衡付着量Mfhまたは前
記演算された分量割合Kmfを補正する手段35とを設
けた。
【0013】第2の発明では、図22に示すように、運
転条件に応じた基本噴射量Tpを演算する手段21と、
冷却水温を検出する手段22と、平衡付着量Mfhを求
めるためのデーターを温度平衡状態での冷却水温に対し
て適合しており、このデーターを記憶する手段23と、
このデーターを前記冷却水温検出値Twを用いて参照す
ることにより平衡付着量Mfhを演算する手段24と、
分量割合Kmfを求めるためのデーターを温度平衡状態
での冷却水温に対して適合しており、このデーターを記
憶する手段25と、このデーターを前記冷却水温検出値
Twを用いて参照することにより分量割合Kmfを演算
する手段26と、前記演算された平衡付着量Mfhとそ
の時点での付着量Mfとの差(Mfh−Mf)を演算す
る手段27と、この差(Mfh−Mf)の付着量と前記
演算された分量割合Kmfとに基づいて付着速度Vmf
を演算する手段28と、この付着速度Vmfと前記付着
量Mfとを燃料噴射に同期して加算することにより付着
量Mfを更新する手段29と、前記付着速度Vmfで前
記基本噴射量Tpを補正して燃料噴射量Tiを演算する
手段30と、この噴射量の燃料を吸気管に供給する手段
31とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、吸
気弁予測温度Tfを演算する手段32と、前記冷却水温
検出値Twとこの吸気弁予測温度Tfとの差(Tw−T
f)を演算する手段33と、前記冷却水温検出値Tw、
前記吸気弁予測温度Tf、始動時水温のいずれか一つお
よび前記温度差(Tw−Tf)に応じた温度非平衡時の
補正量を演算する手段41と、この温度非平衡時の補正
量(たとえば平衡付着量に対してMfhas、分量割合
に対してKmfas)で前記演算された平衡付着量Mf
hまたは前記演算された分量割合Kmfを補正する手段
35とを設けた。
【0014】第3の発明は、図23に示すように、運転
条件に応じた基本噴射量Tpを演算する手段21と、冷
却水温を検出する手段22と、平衡付着量Mfhを求め
るためのデーターを温度平衡状態での冷却水温に対して
適合しており、このデーターを記憶する手段23と、こ
のデーターを前記冷却水温検出値Twを用いて参照する
ことにより平衡付着量Mfhを演算する手段24と、分
量割合Kmfを求めるためのデーターを温度平衡状態で
の冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶
する手段25と、このデーターを前記冷却水温検出値T
wを用いて参照することにより分量割合Kmfを演算す
る手段26と、前記演算された平衡付着量Mfhとその
時点での付着量Mfとの差(Mfh−Mf)を演算する
手段27と、この差(Mfh−Mf)の付着量と前記演
算された分量割合Kmfとに基づいて付着速度Vmfを
演算する手段28と、この付着速度Vmfと前記付着量
Mfとを燃料噴射に同期して加算することにより付着量
Mfを更新する手段29と、前記付着速度Vmfで前記
基本噴射量Tpを補正して燃料噴射量Tiを演算する手
段30と、この噴射量の燃料を吸気管に供給する手段3
1とを備えるエンジンの空燃比制御装置において、吸気
弁予測温度Tfを演算する手段32と、前記冷却水温検
出値Twとこの吸気弁予測温度Tfとの差(Tw−T
f)を演算する手段33と、この温度差(Tw−Tf)
およびエンジン負荷とに応じた温度非平衡時の補正量を
演算する手段51と、この温度非平衡時の補正量(たと
えば平衡付着量に対してMfhas、分量割合に対して
Kmfas)で前記演算された平衡付着量Mfhまたは
前記演算された分量割合Kmfを補正する手段35とを
設けた。
【0015】第4の発明は、図24に示すように、運転
条件に応じた基本噴射量Tpを演算する手段21と、冷
却水温を検出する手段22と、平衡付着量Mfhを求め
るためのデーターを温度平衡状態での冷却水温に対して
適合しており、このデーターを記憶する手段23と、こ
のデーターを前記冷却水温検出値Twを用いて参照する
ことにより平衡付着量Mfhを演算する手段24と、分
量割合Kmfを求めるためのデーターを温度平衡状態で
の冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶
する手段25と、このデーターを前記冷却水温検出値T
wを用いて参照することにより分量割合Kmfを演算す
る手段26と、前記演算された平衡付着量Mfhとその
時点での付着量Mfとの差(Mfh−Mf)を演算する
手段27と、この差(Mfh−Mf)の付着量と前記演
算された分量割合Kmfとに基づいて付着速度Vmfを
演算する手段28と、吸気弁予測温度Tfを演算する手
段32と、前記冷却水温検出値Twとこの吸気弁予測温
度Tfとの差(Tw−Tf)を演算する手段33と、こ
の温度差(Tw−Tf)に応じた温度非平衡時の補正量
Vmfasを演算する手段61と、この温度非平衡時の
補正量Vmfasで前記演算された付着速度Vmfを補
正する手段62と、この補正された付着速度Vmfと前
記付着量Mfとを燃料噴射に同期して加算することによ
り付着量Mfを更新する手段63と、前記補正された付
着速度Vmfで前記基本噴射量Tpを補正して燃料噴射
量Tiを演算する手段64と、この噴射量の燃料を吸気
管に供給する手段31とを設けた。
【0016】第5の発明は、図25に示すように、運転
条件に応じた基本噴射量Tpを演算する手段21と、冷
却水温を検出する手段22と、平衡付着量Mfhを求め
るためのデーターを温度平衡状態での冷却水温に対して
適合しており、このデーターを記憶する手段23と、こ
のデーターを前記冷却水温検出値Twを用いて参照する
ことにより平衡付着量Mfhを演算する手段24と、分
量割合Kmfを求めるためのデーターを温度平衡状態で
の冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶
する手段25と、このデーターを前記冷却水温検出値T
wを用いて参照することにより分量割合Kmfを演算す
る手段26と、前記演算された平衡付着量Mfhとその
時点での付着量Mfとの差(Mfh−Mf)を演算する
手段27と、この差(Mfh−Mf)の付着量と前記演
算された分量割合Kmfとに基づいて付着速度Vmfを
演算する手段28と、吸気弁予測温度Tfを演算する手
段32と、前記冷却水温検出値Twとこの吸気弁予測温
度Tfとの差(Tw−Tf)を演算する手段33と、前
記冷却水温検出値Tw、前記吸気弁予測温度Tf、始動
時水温のいずれか一つおよび前記温度差(Tw−Tf)
に応じた温度非平衡時の補正量Vmfasを演算する手
段71と、この温度非平衡時の補正量Vmfasで前記
演算された付着速度Vmfを補正する手段62と、この
補正された付着速度Vmfと前記付着量Mfとを燃料噴
射に同期して加算することにより付着量Mfを更新する
手段63と、前記補正された付着速度Vmfで前記基本
噴射量Tpを補正して燃料噴射量Tiを演算する手段6
4と、この噴射量の燃料を吸気管に供給する手段31と
を設けた。
【0017】第6の発明は、図26に示すように、運転
条件に応じた基本噴射量Tpを演算する手段21と、冷
却水温を検出する手段22と、平衡付着量Mfhを求め
るためのデーターを温度平衡状態での冷却水温に対して
適合しており、このデーターを記憶する手段23と、こ
のデーターを前記冷却水温検出値Twを用いて参照する
ことにより平衡付着量Mfhを演算する手段24と、分
量割合Kmfを求めるためのデーターを温度平衡状態で
の冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶
する手段25と、このデーターを前記冷却水温検出値T
wを用いて参照することにより分量割合Kmfを演算す
る手段26と、前記演算された平衡付着量Mfhとその
時点での付着量Mfとの差(Mfh−Mf)を演算する
手段27と、この差(Mfh−Mf)の付着量と前記演
算された分量割合Kmfとに基づいて付着速度Vmfを
演算する手段28と、吸気弁予測温度Tfを演算する手
段32と、前記冷却水温検出値Twとこの吸気弁予測温
度Tfとの差(Tw−Tf)を演算する手段33と、こ
の温度差(Tw−Tf)およびエンジン負荷に応じた温
度非平衡時の補正量Vmfasを演算する手段71と、
この温度非平衡時の補正量Vmfasで前記演算された
付着速度Vmfを補正する手段62と、この補正された
付着速度Vmfと前記付着量Mfとを燃料噴射に同期し
て加算することにより付着量Mfを更新する手段63
と、前記補正された付着速度Vmfで前記基本噴射量T
pを補正して燃料噴射量Tiを演算する手段64と、こ
の噴射量の燃料を吸気管に供給する手段31とを設け
た。
【0018】
【作用】MfhやKmfを求めるためのデーターを温度
平衡状態での冷却水温に対して適合しており、このデー
ターを冷却水温の代わりに吸気弁予測温度Tfを用いて
参照することによりMfhやKmfを演算するのでは、
実際に燃料が付着する部分の温度を考慮したMfhやK
mfの演算は行えるものの、MfhやKmfを求めるた
めのデーターを適合したときと実際に演算を行うときと
でエンジンの温度状態が異なる(平衡と非平衡)点を考
慮することができない。
【0019】これに対して、第1の発明では、冷却水温
検出値Twを用いて得られるMfh、Kmfに対して温
度非平衡時の補正量Mfhas、Kmfasにより補正
するので、MfhあるいはMfが温度非平衡時の要求に
合致するものとなり、始動直後の空燃比の制御精度の向
上を図ることができる。すなわち、TwとTfの温度差
による補正量Mfhas、Kmfasによれば、上記の
二点を同時に考慮することが可能となる。
【0020】第2の発明では、温度非平衡時の補正量
を、TwとTfの温度差のほか、Tw、Tf、始動時水
温のいずれか一つによっても演算するので、さらにきめ
細かい温度非平衡時の補正が可能となり、TwとTfの
温度差だけで温度非平衡時の補正量を求める場合より始
動直後の空燃比の制御精度が向上する。
【0021】第3の発明では、温度非平衡時の補正量
を、TwとTfの温度差のほかに、エンジン負荷によっ
ても演算するので、温度非平衡時のエンジン負荷が相違
する場合でも、始動直後の空燃比の制御精度が向上す
る。
【0022】第4の発明では、MfhとKmfに対する
非平衡時の補正量をともに適合する場合にくらべて、適
合する要素がVmfに対する1つの定数となるので、M
fhとKmfの両方に対して温度非平衡時の補正量の適
合作業を行う場合にくらべて適合工数が少なくて済む。
【0023】第5の発明では、温度非平衡時の補正量
を、TwとTfの温度差のほか、Tw、Tf、始動時水
温のいずれか一つによっても演算するので、さらにきめ
細かい温度非平衡時の補正が可能となり、TwとTfの
温度差だけで温度非平衡時の補正量を求める場合より始
動直後の空燃比の制御精度が向上する。
【0024】第6の発明では、温度非平衡時の補正量
を、TwとTfの温度差のほかに、エンジン負荷によっ
ても演算するので、温度非平衡時のエンジン負荷が相違
する場合でも、始動直後の空燃比の制御精度が向上す
る。
【0025】
【実施例】図1において、吸入空気はエアクリーナーか
ら吸気管8を通り、燃料はコントロールユニット(図で
はC/Uで略記)2よりの噴射信号に基づき燃料噴射弁
7からエンジン1の吸気弁に向けて噴射される。シリン
ダー内で燃焼したガスは排気管9を通して触媒コンバー
ター10に導入され、ここで燃焼ガス中の有害成分(C
O,HC,NOx)が三元触媒により清浄化されて排出
される。
【0026】吸入空気の流量Qaはホットワイヤー式の
エアフローメーター6により検出され、アクセルペダル
と連動する吸気絞り弁5によってその流量が制御され
る。
【0027】エアフローメーター6からの空気量信号
は、排気中の酸素濃度を検出する空燃比センサー3、ク
ランク角の基準位置信号(Ref信号)と角度信号とを
出力するクランク角センサー4、ウォータージャケット
の冷却水温Twを検出する水温センサー11、スタータ
ーの作動を検出するスタータースイッチ12からの信号
とともに、コントロールユニット2に入力される。
【0028】コントロールユニット2では、エアフロー
メーター6により検出される吸入空気量とエンジン回転
数Neとから基本噴射パルス幅Tpを演算するととも
に、加減速時にはこのTpに過渡補正量Kathosを
加算することによって燃料補正を行っている。この過渡
補正量Kathosは、具体的には燃料壁流に対する補
正分であるため、加減速時に限らず、燃料壁流が大きく
変化する始動時にも働く。
【0029】この場合に、壁流燃料量は壁流燃料が流れ
る部位の温度に大きく依存するので、噴射弁より吸気弁
の傘裏部に向けて燃料のすべてを噴射する場合には(燃
料の一部を噴射する場合にも)、吸気弁温度を予測し、
この吸気弁予測温度Tfを用いて過渡補正量Katho
sを演算することになる。
【0030】吸気弁温度は始動直後に冷却水温Twとほ
ぼ等しく、暖機後は冷却水温Twより所定値だけ高い温
度(たとえば約80℃)に落ち着き、その変化は吸入空
気量で定まる時定数に応じた一次遅れとなる。このた
め、特開平1−305142号公報のように、吸気弁温
度を予測するものが提案されているが、実際の演算ロジ
ック上では、所定値だけTwより低い温度から始め、T
wに向かって変化する値である壁流補正用温度Twfを
導入している。
【0031】これについて概説(詳細は特開平3−13
4237号公報参照)すると、図2のフローチャートが
壁流補正用温度Twfを演算するためのもので、タイマ
ー同期によりたとえば1secごとに一度実行する。
【0032】STEP−1ではファイアリング時あるか
どうか判定し、そうでなければSTEP−2に進む。
【0033】STEP−2では現在の冷却水温Twから
図3を内容とするテーブルを参照して壁流補正用温度の
初期値Inwftを求める。同図において1点鎖線がI
nwft=Twのラインであり、ここでは吸気弁に向け
て燃料を噴射する構成であるため、吸気弁に向かう噴射
燃料の割合に応じて、実線のようにTwよりも低い値と
なるように設定する。
【0034】STEP−3、STEP−4ではエンジン
が非回転時にあるかどうか、スタートスイッチがONで
あるかどうかをみて、エンジンが回転しておりかつスタ
ートスイッチがONにあることより始動直前にあると判
断した場合、またはSTEP−3でエンジンが回転して
いないことよりエンスト時である判断した場合は、いず
れもSTEP−5に進み、壁流補正用温度初期値Inw
ftを用いて壁流補正用温度Twfを、 Twf=Inwft×ENSTSP# +Twf-1sec×(1−ENSTSP#) …(2) ただし、Twf-1sec:1sec前のTwf ENSTSP#:始動前またはエンスト時の温度変化割
合(一定値) の式により一次遅れで求め、図2のフローを終了する。
【0035】一方、STEP−1でファイアリング時で
あると判断すればSTEP−6、STEP−7で吸入空
気量Qaから図4を内容とするテーブルを参照してファ
イアリング時の温度変化割合Fltspを求め、現在の
冷却水温Twを用いてファイアリング時の壁流補正用温
度Twfを、 Twf=Tw×Fltsp +Twf-1sec×(1−Fltsp) …(3) の式により一次遅れで求め、図2のフローを終了する。
【0036】図4においてQaが増すほどFltspの
値を大きくしているのは、Qaが大きくなるほど単位時
間当たりの燃焼発生熱が大きくなり、燃料付着部への伝
熱の速度が早くなるからである。
【0037】図5のフローチャートは壁流補正用温度の
初期化のためのもので、STEP−1では現在の冷却水
温Twから壁流補正用温度の初期値Inwftを計算
し、STEP−2でTwf=Inwftと置いている。
【0038】このようにして得られる壁流補正用温度T
wfは暖機中になると、図7で示すように冷却水温Tw
と一致することになるが、始動直後のTwfは図6で示
すように壁流補正用温度の初期値Inwftから始まっ
て一次遅れで冷却水温Twに収束する。なお、図6は始
動直後の、図7は暖機中(第14図と同一水温で加速し
た場合)の各波形で、図中のIg/swはイグニッショ
ンスイッチ、スタータ/swはスタータースイッチの略
語である。
【0039】次に、図8のフローチャートは過渡補正量
Kathosを演算するためのもので、このルーチンは
10ms周期で実行する。なお、図8のSTEP−2,
−3,−4,−6,−7は後述するため説明しない。
【0040】まず、STEP−1では平衡付着量Mfh
を3つのパラメータNe,Tp,Twfを用いて演算す
る。たとえば、実際の水温Twが基準温度Tw0〜Tw
4(Tw0>…>Tw4)により分割されたどの温度領
域にあるかを判別し、いま仮にTw≧Tw1であるとす
ると、Twに最も近くてTwよりも高い温度である基準
温度Tw0と、同じくTwよりも低い温度である基準温
度Tw1に対するマップからそのときのNe,Tpに応
じたマップ値Mfh0,Mfh1(Tw0,Tw1に対
するMfh)を求め、これらの値Mfh0,Mfh1
と、基準温度Tw0,Tw1、現在の冷却水温Twを用
いて Mfh=Mfh0+(Mfh1−Mfh0) ×(Tw0−Tw)/(Tw0−Tw1) …(4) の式(直線補間計算式)によりMfhを計算するのであ
る。なお、基準温度Tw0〜Tw4に対する平衡付着量
Mfh0〜Mfh4は、NeとTpとをパラメータとし
て予め実測から求められるものである。
【0041】なお、Mfhの求め方はこれに限らず、特
開平3−134237号公報に開示されているように、 Mfh=Tp×Mfhtvo …(5) ただし、Mfhtvo:付着倍率 の式により求めるものでもかまわない。
【0042】このようにして求めたMfhに対して、現
時点での付着量(予測変数)Mfが単位周期当たり(た
とえばクランク軸1回転毎)にどの程度の割合で接近す
るかの割合を表す係数(つまり分量割合)kmfをST
EP−5において基本分量割合Kmfatと分量割合回
転補正率Kmfnの積から演算する。
【0043】ここで、KmfatはTpとTwとからマ
ップ参照により求められる値で、たとえばTpが大きく
なるほど大きくなるように設定されている。また、Km
fnは、Neからテーブル参照により求められる値で、
たとえば回転数Neが小さくなるほど大きくなるように
設定されている。
【0044】このようにして求めた分量割合KmfをS
TEP−8においてMfhと現時点での付着量Mfとの
差に乗じる演算により、つまり Vmf=(Mfh−Mf)×Kmf …(6) の式により付着速度(単位周期あたりの付着量のこと)
Vmfを求める。
【0045】ここで、Mfはその時点での付着量の予測
変数であり、したがって(Mfh−Mf)の付着量は平
衡付着量からの過不足量を示し、この値(Mfh−M
f)が分量割合Kmfにてさらに補正されるのである。
【0046】このようにして付着速度Vmfを求めた
後、STEP−9,STEP−10ではVmfをさらに
軽質燃料使用時における減速時のオーバーリーン防止の
ための補正率Ghfによって補正し、基本噴射パルス幅
Tpに対する過渡補正量Kathosを求め、図8のフ
ローを終了する。
【0047】図9のフローチャートはこうして求められ
た過渡補正量Kathosを加味して最終的な燃料噴射
パルス幅Tiを演算する処理を示しており、これも10
ms周期で実行する。
【0048】STEP−1ではそのときの吸入空気量Q
aと回転数Neから所定の空燃比(たとえば理論空燃
比)が得られる基本噴射パルス幅Tp(=K・Qa/N
e、ただし、Kは定数)を求め、STEP−2ではこれ
に過渡補正量Kathosを加えた値に空燃比センサー
3の出力に基づいて決定したフィードバック補正係数α
とその他の補正係数COEFとを乗じ、さらに無効パル
ス幅Tsを加えて最終的な燃料噴射パルス幅Tiを求め
る。
【0049】図10のフローチャートは噴射タイミング
に同期(具体的にはRef信号同期)したフローチャー
トで、所定の噴射タイミングになると、STEP−1に
おいてTiが出力レジスターに転送されて噴射が行われ
る。
【0050】STEP−2では、上記の(6)式で得た
付着速度Vmfを用いて次回の処理時に用いる付着量M
fを、 Mf=(Mf-1Ref)+Vmf …(7) の式により求めておく。
【0051】(7)式中のMf-1Refは前回噴射終了時
(単位回転前)の付着量を意味させており、これに今回
の噴射時に加えられるVmfを加算した値が今回の噴射
終了時点での付着量Mfとなる。この付着量Mfの値が
次回のVmfの演算時に用いられる。(6)式のMfが
Vmfの演算直前の値であるのに対して(7)式左辺の
MfはVmfの演算直後の値である。したがって、内容
的には(6)式のMfの値を(7)式右辺のMf-1Ref
に入れて(7)式左辺のMfを計算することになる。
(7)式でMfとMf-1Refとが出てくるのは、付着量
を単位回転ごとにサイクリックに更新していく構成であ
るため、前回の値と今回の値とを区別する必要があるか
らである。
【0052】さて、上記のMfhとKmfを求めるため
のデーター(具体的には上記のマップ値Mfh0〜Mf
h4と基本分量割合のマップ値Kmfat)とは、温度
平衡状態での冷却水温に対して適合している。逆にいえ
ば、温度非平衡状態でMfh0〜Mfh4やKmfat
を適合することは事実上不可能なわけである。したがっ
て、冷却水温の代わりに壁流補正用温度Twfを用いて
Mfh、Kmfを求める際のTwfも、本来なら平衡状
態での温度でなければならない。そのため、温度平衡状
態での冷却水温に対して適合させているデーターを、冷
却水温に代えて壁流補正用温度Twf用いて参照するだ
けでは、MfhやKmfを求めるためのデーターを適合
したときと実際にMfhやKmfの演算を行うときとで
エンジンの温度状態が異なる点を考慮することができな
い。
【0053】これに対処するため本発明では、Mfhと
Kmfを求めるためのデーターを温度平衡状態での冷却
水温に対して適合しており、このデーターを冷却水温検
出値Twを用いて参照することによりMfhとKmfを
演算するとともに、TwとTwfとの温度差(Tw−T
wf)に応じた温度非平衡時の補正倍率を演算し、この
温度非平衡時の補正倍率で前記演算されたMfhとKm
fとを補正する。詳細には図8のフローチャートにおい
てSTEP−2,−3,−4,−6,−7を追加して設
けている。
【0054】まず、図8のSTEP−2でTwとTwf
の温度差Dtwfを演算し、STEP−3、STEP−
4において、この温度差Dtwfから図11を内容とす
るテーブルを参照してMfhに対する温度非平衡時の補
正倍率Mfhasを求め、この補正倍率MfhasをS
TEP−1でのMfhに乗算することによってMfhを
補正する。補正後の値はSTEP−4において改めてM
fhとおく。
【0055】同様にしてSTEP−6、STEP−7で
温度差Dtwfから図12を内容とするテーブルを参照
してKmfに対する温度非平衡時の補正倍率Kmfas
を求め、この補正倍率KmfasをSTEP−5でのK
mfに乗算することによってKmfを補正し、補正後の
値を改めてKmfとおく。
【0056】ここで、Mfhasは図11に示すように
温度差Dtwfが大きくなるほど大きくなる値、またK
mfasは図12に示すように温度差Dtwfが大きく
なるほど小さくなる値である。このようなMfhas、
Kmfasの特性は図13より導かれる。
【0057】図13に示すように、Twfを用いたとき
のMfhと要求Mfhとのずれ、またTwfを用いたと
きのKmfと要求Kmfとのずれは、ともに始動直後に
最も大きく、TwとTwfの温度差が小さくなるととも
に減少するはずである。これは、始動直後にTwとTw
fの温度差が最も大きく始動後時間とともにその差が徐
々に小さくなっているのに対応するのであり、TwとT
wfの温度差が大きいほど吸気弁温度の非平衡状態の程
度も大きいと推定するわけである。
【0058】ここで、非平衡状態のときのMfhの要求
が平衡状態のときの要求よりも大きくなる場合のこの例
の作用を図14を参照しながら説明すると、第2段目、
第3段目、第4段目において、細実線が従来例による、
太実線が本発明による波形図である。
【0059】従来例のようにTwfを用いたMfhでは
温度平衡時の要求になるので、温度非平衡時の要求より
もMfhが不足し、またTwfを用いたKmfにより与
えられるMfでは、温度非平衡時の要求よりMfの変化
が速すぎる(応答がよすぎる)ことになり、これによっ
てVmfが温度非平衡時の要求よりも不足して始動直後
の空燃比がリーン側にずれている。
【0060】これに対して本発明では、Twを用いて得
られるMfh、Kmfに対して温度非平衡時の補正倍率
Mfhas、Kmfasにより補正、つまりMfhがM
fhasにより温度平衡時の要求よりも大きくなる側
に、かつKmfがKmfasによりMfの応答性が温度
平衡時の要求よりも小さくなる側に補正するので、Mf
h、Mfとも温度非平衡時の要求に合致するものとな
り、Vmfが温度非平衡時の要求に近づいて始動直後の
空燃比のリーン化を防ぐことができる。
【0061】図15と図16は第2実施例のMfhas
とKmfasの各特性図で、この例ではTwとTwfの
温度差のほかに、Tw、Twf、始動時水温のいずれか
一つをもパラメーターとしてMfhasとKmfasの
各特性を割り付けたものである。この例では、さらにき
め細かい温度非平衡時の補正ができるので、TwとTw
fの温度差だけで温度非平衡時の補正を行うよりも空燃
比の制御精度が向上する。
【0062】図17と図18は第3実施例のMfhas
とKmfasの各特性図で、この例ではTwとTwfの
温度差のほかに、今度はエンジン負荷をもパラメーター
としてMfhasとKmfasの各特性を割り付けたも
のである。
【0063】一般に、エンジン負荷が高いほどMfhが
多くなる。これは、吸気管圧力が大気圧に近くなって、
壁流燃料が蒸発しやくなるためである。したがって、温
度非平衡時の補正倍率Mfhas、Kmfasもエンジ
ン負荷に応じて変える必要があるわけで、これによっ
て、温度非平衡時のエンジン負荷が相違する場合でも、
温度非平衡時の補正倍率Mfhas、Kmfasを精度
良く与えることができる。
【0064】なお、MfhasとKmfasを求めるた
めのパラメーターをTwとTwfの温度差およびT
w、Twf、冷却水温のいずれか一つおよびエンジン
負荷の3つとすることもできる。
【0065】図19のフローチャートは第4実施例で、
第1実施例の図8に対応する。
【0066】これまでの3つの実施例では、MfhとK
mfの両方に温度非平衡時の補正を行った。この方法で
は、現象に忠実に補正を試みることになるが、実際の適
合作業においては、対象とするところが始動直後である
ため、実際の要求補正倍率の把握がむづかしい。つま
り、2つの補正倍率MfhasおよびKmfasを同時
に適合することになるので、工数がかかるのである。
【0067】これに対して第4実施例では、温度平衡時
のVmf(あるいはKathos)に対して温度非平衡
時の補正を行う。詳細には図19のSTEP−21、S
TEP−22でTwとTwfの温度差から所定のマップ
を参照してVmfに対する温度非平衡時の補正倍率Vm
fasを求め、この補正倍率VmfasをSTEP−8
でのVmfに乗算することによってVmfを補正し、補
正後の値を改めてVmfとおくのである。
【0068】この第4実施例では、適合要素が1つの定
数になるため、先の3つの実施例より適合工数が少なく
て済む。実際の実験で適合した結果、始動直後の空燃比
精度の低下はみられなかった。
【0069】上記のVmfasを求めるためのパラメー
ターとしては、第1から第3の実施例と同様に、Twと
Twfの温度差に対して与える方法(第1実施例に対
応)、TwとTwfの温度差およびTwまたはTwfに
対して与える方法(第2実施例に対応)、TwとTwf
の温度差およびエンジン負荷とに対して与える方法(第
3実施例に対応)が考えられる。
【0070】上記のMfhas、Kmfas、Vmfa
sを求めるためのパラメーターとしてのエンジン負荷に
ついては、図1に示したL−ジェトロニック方式MPI
では基本噴射パルス幅Tpや吸入空気量Qaが対象にな
るが、これに限られるものでなく、D−ジェトロニック
方式MPIでは吸気管負圧を、またいわゆるα−N方式
かつMPIではα−N流量QH0などをエンジン負荷と
して用いることができる。
【0071】最後に、実施例では吸気弁予測温度として
の壁流補正温度Twfで説明したが、上記(1)式の吸
気弁予測温度Tfそのものを用いることができることは
いうまでもない。
【0072】
【発明の効果】第1の発明では、平衡付着量または付着
量が温度非平衡時の要求に合致するものとなり、始動直
後の空燃比のリーン化を防ぐことができる。
【0073】第2の発明では、さらにきめ細かい温度非
平衡時の補正が可能となり、温度差だけで温度非平衡時
の補正量を求める場合より始動直後の空燃比の制御精度
が向上する。
【0074】第3の発明では、温度非平衡時のエンジン
負荷が相違する場合でも、始動直後の空燃比の制御精度
が向上する。
【0075】第4の発明では、平衡付着量と分量割合の
両方に対して温度非平衡時の補正量の適合作業を行う場
合にくらべて適合工数が少なくて済む。
【0076】第5の発明では、さらにきめ細かい温度非
平衡時の補正が可能となり、温度差だけで温度非平衡時
の補正量を求める場合より始動直後の空燃比の制御精度
が向上する。
【0077】第6の発明は、温度非平衡時のエンジン負
荷が相違する場合でも、始動直後の空燃比の制御精度が
向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の制御システム図である。
【図2】壁流補正用温度Twfの演算を説明するための
フローチャートである。
【図3】壁流補正用温度の初期値Inwftの特性図で
ある。
【図4】ファイアリング時の温度変化割合Fltspの
特性図である。
【図5】壁流補正用温度の初期化を説明するためのフロ
ーチャートである。
【図6】始動直後の作用を説明するための波形図であ
る。
【図7】暖機中の作用を説明するための波形図である。
【図8】過渡補正量Kathosの演算を説明するため
のフローチャートである。
【図9】燃料噴射パルス幅Tiの演算を説明するための
フローチャートである。
【図10】噴射タイミングに同期するフローチャートで
ある。
【図11】Mfhに対する温度非平衡時補正倍率Mfh
asの特性図である。
【図12】Kmfに対する温度非平衡時補正倍率Kmf
asの特性図である。
【図13】実施例の作用を説明するための波形図であ
る。
【図14】実施例の作用を説明するための波形図であ
る。
【図15】第2実施例のMfhasの特性図である。
【図16】第2実施例のKmfasの特性図である。
【図17】第3実施例のMfhasの特性図である。
【図18】第3実施例のKmfasの特性図である。
【図19】第4実施例の過渡補正量Kathosの演算
を説明するためのフローチャートである。
【図20】従来例の作用を説明するための波形図であ
る。
【図21】第1の発明のクレーム対応図である。
【図22】第2の発明のクレーム対応図である。
【図23】第3の発明のクレーム対応図である。
【図24】第4の発明のクレーム対応図である。
【図25】第5の発明のクレーム対応図である。
【図26】第6の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
2 コントロールユニット 4 クランク角センサー 6 エアフローメーター 11 水温センサー(冷却水温検出手段) 21 基本噴射量演算手段 22 冷却水温検出手段 23 平衡付着量データー記憶手段 24 平衡付着量演算手段 25 分量割合データー記憶手段 26 分量割合演算手段 27 差値演算手段 28 付着速度演算手段 29 付着量演算手段 30 燃料量噴射量演算手段 31 燃料供給手段 32 吸気弁予測温度演算手段 33 温度差演算手段 34 温度非平衡時補正量演算手段 35 温度非平衡時補正手段 41 温度非平衡時補正量演算手段 51 温度非平衡時補正量演算手段 61 温度非平衡時補正量演算手段 62 付着速度補正手段 62 付着量演算手段 63 燃料噴射量演算手段 71 温度非平衡時補正量演算手段 81 温度非平衡時補正量演算手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】運転条件に応じた基本噴射量を演算する手
    段と、 冷却水温を検出する手段と、 平衡付着量を求めるためのデーターを温度平衡状態での
    冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶す
    る手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより平衡付着量を演算する手段と、 分量割合を求めるためのデーターを温度平衡状態での冷
    却水温に対して適合しており、このデーターを記憶する
    手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより分量割合を演算する手段と、 前記演算された平衡付着量とその時点での付着量との差
    を演算する手段と、 この差の付着量と前記演算された分量割合とに基づいて
    付着速度を演算する手段と、 この付着速度と前記付着量とを燃料噴射に同期して加算
    することにより付着量を更新する手段と、 前記付着速度で前記基本噴射量を補正して燃料噴射量を
    演算する手段と、 この噴射量の燃料を吸気管に供給する手段と を備えるエンジンの空燃比制御装置において、 吸気弁予測温度を演算する手段と、 前記冷却水温検出値とこの吸気弁予測温度との差を演算
    する手段と、 この温度差に応じた温度非平衡時の補正量を演算する手
    段と、 この温度非平衡時の補正量で前記演算された平衡付着量
    または前記演算された分量割合を補正する手段とを設け
    たことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】運転条件に応じた基本噴射量を演算する手
    段と、 冷却水温を検出する手段と、 平衡付着量を求めるためのデーターを温度平衡状態での
    冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶す
    る手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより平衡付着量を演算する手段と、 分量割合を求めるためのデーターを温度平衡状態での冷
    却水温に対して適合しており、このデーターを記憶する
    手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより分量割合を演算する手段と、 前記演算された平衡付着量とその時点での付着量との差
    を演算する手段と、 この差の付着量と前記演算された分量割合とに基づいて
    付着速度を演算する手段と、 この付着速度と前記付着量とを燃料噴射に同期して加算
    することにより付着量を更新する手段と、 前記付着速度で前記基本噴射量を補正して燃料噴射量を
    演算する手段と、 この噴射量の燃料を吸気管に供給する手段と を備えるエンジンの空燃比制御装置において、 吸気弁予測温度を演算する手段と、 前記冷却水温検出値とこの吸気弁予測温度との差を演算
    する手段と、 前記冷却水温検出値、前記吸気弁予測温度、始動時水温
    のいずれか一つおよび前記温度差に応じた温度非平衡時
    の補正量を演算する手段と、 この温度非平衡時の補正量で前記演算された平衡付着量
    または前記演算された分量割合を補正する手段とを設け
    た。を設けたことを特徴とするエンジンの空燃比制御装
    置。
  3. 【請求項3】運転条件に応じた基本噴射量を演算する手
    段と、 冷却水温を検出する手段と、 平衡付着量を求めるためのデーターを温度平衡状態での
    冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶す
    る手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより平衡付着量を演算する手段と、 分量割合を求めるためのデーターを温度平衡状態での冷
    却水温に対して適合しており、このデーターを記憶する
    手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより分量割合を演算する手段と、 前記演算された平衡付着量とその時点での付着量との差
    を演算する手段と、 この差の付着量と前記演算された分量割合とに基づいて
    付着速度を演算する手段と、 この付着速度と前記付着量とを燃料噴射に同期して加算
    することにより付着量を更新する手段と、 前記付着速度で前記基本噴射量を補正して燃料噴射量を
    演算する手段と、 この噴射量の燃料を吸気管に供給する手段とを備えるエ
    ンジンの空燃比制御装置において、 吸気弁予測温度を演算する手段と、 前記冷却水温検出値とこの吸気弁予測温度との差を演算
    する手段と、 この温度差およびエンジン負荷とに応じた温度非平衡時
    の補正量を演算する手段と、 この温度非平衡時の補正量で前記演算された平衡付着量
    または前記演算された分量割合を補正する手段とを設け
    たことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  4. 【請求項4】運転条件に応じた基本噴射量を演算する手
    段と、 冷却水温を検出する手段と、 平衡付着量を求めるためのデーターを温度平衡状態での
    冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶す
    る手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより平衡付着量を演算する手段と、 分量割合を求めるためのデーターを温度平衡状態での冷
    却水温に対して適合しており、このデーターを記憶する
    手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより分量割合を演算する手段と、 前記演算された平衡付着量とその時点での付着量との差
    を演算する手段と、 この差の付着量と前記演算された分量割合とに基づいて
    付着速度を演算する手段と、 吸気弁予測温度を演算する手段と、 前記冷却水温検出値とこの吸気弁予測温度との差を演算
    する手段と、 この温度差に応じた温度非平衡時の補正量を演算する手
    段と、 この温度非平衡時の補正量で前記演算された付着速度を
    補正する手段と、 この補正された付着速度と前記付着量とを燃料噴射に同
    期して加算することにより付着量を更新する手段と、 前記補正された付着速度で前記基本噴射量を補正して燃
    料噴射量を演算する手段と、 この噴射量の燃料を吸気管に供給する手段とを設けたこ
    とを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  5. 【請求項5】運転条件に応じた基本噴射量を演算する手
    段と、 冷却水温を検出する手段と、 平衡付着量を求めるためのデーターを温度平衡状態での
    冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶す
    る手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより平衡付着量を演算する手段と、 分量割合を求めるためのデーターを温度平衡状態での冷
    却水温に対して適合しており、このデーターを記憶する
    手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより分量割合を演算する手段と、 前記演算された平衡付着量とその時点での付着量との差
    を演算する手段と、 この差の付着量と前記演算された分量割合とに基づいて
    付着速度を演算する手段と、 吸気弁予測温度を演算する手段と、 前記冷却水温検出値とこの吸気弁予測温度との差を演算
    する手段と、 前記冷却水温検出値、前記吸気弁予測温度、始動時水温
    のいずれか一つおよび前記温度差に応じた温度非平衡時
    の補正量を演算する手段と、 この温度非平衡時の補正量で前記演算された付着速度を
    補正する手段と、 この補正された付着速度と前記付着量とを燃料噴射に同
    期して加算することにより付着量を更新する手段と、 前記補正された付着速度で前記基本噴射量を補正して燃
    料噴射量を演算する手段と、 この噴射量の燃料を吸気管に供給する手段とを設けたこ
    とを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  6. 【請求項6】運転条件に応じた基本噴射量を演算する手
    段と、 冷却水温を検出する手段と、 平衡付着量を求めるためのデーターを温度平衡状態での
    冷却水温に対して適合しており、このデーターを記憶す
    る手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより平衡付着量を演算する手段と、 分量割合を求めるためのデーターを温度平衡状態での冷
    却水温に対して適合しており、このデーターを記憶する
    手段と、 このデーターを前記冷却水温検出値を用いて参照するこ
    とにより分量割合を演算する手段と、 前記演算された平衡付着量とその時点での付着量との差
    を演算する手段と、 この差の付着量と前記演算された分量割合とに基づいて
    付着速度を演算する手段と、 吸気弁予測温度を演算する手段と、 前記冷却水温検出値とこの吸気弁予測温度との差を演算
    する手段と、 この温度差およびエンジン負荷に応じた温度非平衡時の
    補正量を演算する手段と、 この温度非平衡時の補正量で前記演算された付着速度を
    補正する手段と、 この補正された付着速度と前記付着量とを燃料噴射に同
    期して加算することにより付着量を更新する手段と、 前記補正された付着速度で前記基本噴射量を補正して燃
    料噴射量を演算する手段と、 この噴射量の燃料を吸気管に供給する手段とを設けたこ
    とを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
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