JP4361702B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、冷間始動時の空燃比制御と安定燃焼とを良好に行うことできる内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内燃機関の空燃比制御は、内燃機関の回転数と吸入空気流量(負荷)とに基づいて燃料噴射量が設定されることにより行われるものであり、該燃料噴射量は、燃料噴射弁への噴射パルス幅を変更することにより設定されるものである。
【0003】
そして、燃料噴射弁から内燃機関の吸気管内に噴射された燃料は、その一部が吸気管内の壁面に付着(壁流)することで、シリンダ内の実空燃比が設定した目標空燃比とずれてしまう傾向があるので、該傾向を考慮した空燃比制御を行う必要がある。内燃機関の始動時には、内燃機関が冷却していること、及び始動前には吸気管内の壁面に燃料が付着(壁流)していないことから、特にその噴射燃料の付着傾向が強いものになり、内燃機関の始動時の空燃比制御と始動性とを阻害する要因となっている。
【0004】
このために、従来から内燃機関の始動時の空燃比制御には種々の提案がなされている。例えば、特開平10−18883号公報に所載の技術は、内燃機関の暖機完了前における実空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比となるように第1の増量補正量を演算する手段と、前記実空燃比が理論空燃比となるように第2の増量補正係数を演算する手段とを有し、空燃比帰還制御開始前は前記第1の増量補正量で基本噴射量を補正する一方で、空燃比帰還制御開始後は前記第2の増量補正量及び空燃比帰還制御係数により基本噴射量を補正することで、空燃比帰還制御の開始直後に実空燃比が速やかに理論空燃比付近へと収束することを可能とし、内燃機関冷間時より早期に空燃比帰還制御を開始する場合にも、始動時の排気性状の改善を図ったものである。
【0005】
なお、内燃機関の始動時の空燃比制御における他の従来の技術としては、内燃機関の始動時における吸気系の付着・浮遊燃料量の増減速度に基づいて燃料噴射量の補正を行うこと、内燃機関の始動中の燃料噴射量及びシリンダへの吸入率を燃料付着部温度に応じて求め、始動後に燃料噴射量を調整すること、内燃機関の始動後の所定時間に応じて燃料噴射量を補正すること、燃料輸送遅れモデルに基づいて燃料噴射量を算出すること等、各種の提案がなされている(例えば、特開平8−21277号公報、特開平8−261037号公報、特開平9−53487号公報、特開平11−218043号公報等参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の如く内燃機関の始動時には、噴射燃料の付着傾向が強いことを鑑みてその分を見込んだ燃料の増量を行うことがある。この場合に、始動直後からより安定した回転を得るために、その増量分を空燃比帰還制御の目標空燃比に反映させることが望ましいものであるが、前述の技術には、例えば、特開平10−18883号公報記載のように、空燃比帰還制御開始時は理論空燃比制御で補正するよう構成されており、空燃比帰還制御による目標空燃比が設定されておらず、内燃機関の始動時の空燃比制御に関しては依然として課題を有するものである。
【0007】
また、前記従来の技術は、増量補正された燃料の吸気管への滞留分(壁流分)、及び壁流からシリンダへ流れ込んで燃焼に関与せず排出される、いわゆる未燃分についての配慮がなされていない、つまり、内燃機関の状況に応じて変化する本現象が考慮されていないことから、空燃比帰還制御を実施した場合には、帰還制御の収束性が悪化し、運転性及び排気性状に悪影響を及ぼす虞があるという問題がある。
【0008】
本発明の内燃機関の制御装置は、前記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、内燃機関の始動後の燃料増量補正時において、良好な排気空燃比に制御する空燃比帰還制御を行う内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、本発明に係る内燃機関の制御装置は、基本的には、吸気管と、該吸気管に燃料を噴射する燃料噴射弁と、排気管と、該排気管の実空燃比を得る手段とを備えた内燃機関の制御装置であって、該制御装置は、前記内燃機関の始動時から始動後にかけて供給される燃料の増量割合に応じた燃料噴射量を算出する手段を備え、該燃料噴射量を算出する手段は、前記内燃機関の状況に基づいて前記増量割合を補正する始動後増量補正手段と、該補正された増量割合に基づいて前記内燃機関に供給された燃料の目標空燃比を補正し、該補正された目標空燃比に基づいて燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段とを有することを特徴している。
【0010】
前記の如く構成された本発明の内燃機関の制御装置は、内燃機関に供給される燃料を始動時から始動後にかけて増量させる場合において、この始動後増量分を空燃比帰還制御の目標空燃比に反映させ、しかも、補正された増量割合により、始動後増量分のうち燃焼に関与しない燃料量については前記目標空燃比への反映から省くように構成されているので、内燃機関は、始動直後から安定した回転を行うことができるとともに、その始動直後から空燃比帰還制御係数を中心値(1.0)近辺とする良好な帰還制御を行うことができる。
【0011】
そして、本発明に係る内燃機関の制御装置の具体的な態様は、前記始動後増量補正手段は、前記吸気管の壁面に付着する壁流のうち、該壁流のままシリンダ内に流入される燃料分を除くことにより、前記増量割合を補正すること、若しくは前記制御装置は、前記内燃機関の始動後であって、前記増量割合に対する補正中に空燃比帰還制御を行うこと、又は記始動後増量補正手段は、前記内燃機関の冷間始動時の燃焼を安定させるための補器類の動作状況に基づいて、前記吸気管の壁面に付着する壁流のうち、該壁流のままシリンダ内に流入される燃料分を除いた分量をも補正することを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る内燃機関の制御装置の他の具体的な態様は、前記始動後増量補正手段は、前記内燃機関の水温に基づいて、若しくは前記内燃機関の吸入空気の温度に基づいて、又は前記内燃機関の冷間始動時の燃焼を安定させるための補器類の動作状況に基づいて前記増量割合を補正することを特徴としている。
【0013】
前記の如く構成された本発明の内燃機関の制御装置は、前記壁流のままシリンダ内に流入される燃料分、つまり、燃焼に関与せず排出されてしまう燃料分の割合を、内燃機関の水温、吸気温度若しくは冷間始動時の燃焼を安定させる手段の動作状況により補正することで、その時点の内燃機関の状況に正確に対応させることができ、さらに、内燃機関のシステム構成に依ることなく、良好な空燃比帰還制御を始動後から行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内燃機関の制御装置の一実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の制御装置を備えた内燃機関全体のシステム構成を示したものである。内燃機関200の本体201には、吸気管204と排気管216とが接続されており、前記吸気管204には、スロットル絞り弁202、該スロットル絞り弁202をバイパスして吸気管204へ接続されて内燃機関のアイドル時の回転数を制御するアイドルスピードコントロールバルブ203、スロットル開度センサ218、吸気管204内の圧力を検出する吸気管圧力センサ205、前記吸気管204に設定された切り欠きのあるバルブをON/OFFさせるためのスワールコントロールバルブ212、吸気管204の下流にて配置され、該吸気管204に付着した燃料壁流の蒸発を促進させる壁面加熱ヒータ213、内燃機関の要求する燃料を供給する燃料噴射弁206、該燃料噴射弁206の燃料噴霧に空気流を印加するためのバルブをON/OFFさせるアシストエアインジェクタバルブ211等が配置されている。
【0015】
また、排気管216には、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ210が配置されている。更に、内燃機関本体201には、内燃機関の所定のクランク角度位置に設定されたクランク角度センサ207、内燃機関のシリンダ内に供給された燃料の混合気に点火する点火栓217、該点火栓217に点火エネルギを供給する点火モジュール208、内燃機関200の運転・停止のメインスイッチであるイグニッションキイスイッチ214等が配置されている。
【0016】
更に、前記内燃機関200は、制御装置215を備え、該制御装置215は、前記各センサからの信号を受けて演算を行い、前記各出力制御部に制御信号を出力する。
尚、前記酸素濃度センサ210は、排気空燃比に対して比例的な信号を出力するものを示しているが、排気ガスが理論空燃比に対して、リッチ側/リーン側の2つの信号を出力するものでも差し支えはない。また、壁面加熱ヒータ213は、吸気管204の下流の噴射燃料付着部に配置されているが、吸気管204の上流に配置され、加熱された気流により燃料壁流を蒸発させるものでも差し支えない。更に、本実施形態では、吸気管圧力を検出して燃料制御を成立させるものとしているが、内燃機関の吸入空気量を検出して燃料制御を成立させるものであってもよい。
【0017】
図2は、本実施形態の内燃機関の制御装置215の内部構成を示したものである。該制御装置215は、内燃機関200に設置された前記各センサからの電気的信号をデジタル演算処理用の信号に変換し、デジタル演算用の制御信号を実際のアクチュエータの駆動信号に変換するI/Oドライバ301、該I/Oドライバ301のデジタル演算処理用の信号から内燃機関200の状態を判断し、該内燃機関の要求する燃料量や点火時期等を予め定められた手順に基づいて計算し、その計算された値を前記I/Oドライバ301に送る演算装置302、該演算装置302の制御手順及び制御定数が格納された不揮発性のメモリ303、前記演算装置302の計算結果等が格納される揮発性のメモリ304から構成される。
【0018】
揮発性メモリ304には、前記イグニッションキイスイッチ214がOFFで、制御装置215に電源が供給されない場合でも、メモリ内容を保存することを目的としたバックアップ電源が接続されている。
また、本実施形態の制御装置215は、水温センサ209、クランク角度センサ207、酸素濃度センサ210、吸気管圧力センサ205、スロットル開度センサ218、イグニッションキイスイッチ214からの出力信号が入力されるとともに、内燃機関200の各シリンダの燃料噴射弁206、点火コイル218、アイドルスピードコントロールバルブ開度指令値算出手段319、スワールコントロールバルブ駆動手段320、アシストエアバルブ駆動手段321、及び、壁面過熱ヒータ駆動手段322に制御信号が出力される。
【0019】
図3は、本実施形態の制御装置215の制御ブロック図である。
エンジン回転数計算手段101は、内燃機関の所定のクランク角度位置に設定されたクランク角度センサ207の電気的な信号、おもにパルス信号の変化の単位時間当たりの入力数をカウントして演算処理することで、内燃機関の単位時間当りの回転数を計算するものであり、内燃機関の完爆を検出して始動時を判定している。そして、この回転数は、基本燃料計算手段102、基本燃料補正係数計算手段103、基本点火時期計算手段104、排気管216の実空燃比を目標空燃比に保持する空燃比帰還制御係数計算手段105、内燃機関に供給される燃料の目標空燃比を設定する目標空燃比設定手段106、空燃比学習計算手段109、冷間始動制御手段110に出力される。
【0020】
基本燃料計算手段102は、前記エンジン回転数計算手段101で演算された内燃機関の回転数、及び、内燃機関の吸気管204に設置されたセンサ205より検出された吸気管圧力を内燃機関の負荷として、各領域における内燃機関の要求する基本燃料を計算するものであり、この基本燃料は、燃料噴射量算出手段107に出力される。
【0021】
基本燃料補正係数計算手段103は、前記エンジン回転数計算手段101で演算された内燃機関の回転数と、前記吸気管圧力からの内燃機関の負荷とにより前記基本燃料算出手段102で計算された基本燃料の内燃機関の各運転領域における補正係数を計算し、この基本燃料補正係数は、燃料噴射量算出手段107に出力される。
【0022】
基本点火時期計算手段104は、前記内燃機関の回転数、前記吸気管圧力からの内燃機関の負荷、及び内燃機関の水温により内燃機関の各領域における最適な点火時期をマップ検索等で決定し、この基本点火時期は、点火時期補正手段108に出力される。
【0023】
空燃比帰還制御係数計算手段105は、前記内燃機関の回転数、前記内燃機関の負荷、及び設定された目標空燃比に基づいて、内燃機関の排気管216に設置された酸素濃度センサ210の出力信号から内燃機関に供給される燃料と空気の混合気が、目標空燃比に保たれるように空燃比帰還制御係数を計算し、この空燃比帰還制御係数は、燃料噴射量算出手段107と空燃比学習計算手段109に出力される。そして、前記内燃機関の始動後であって、燃料の増量割合に対する補正中にも空燃比帰還制御を行うため求められる。尚、前記酸素濃度センサ210は、本実施形態では排気空燃比に対して比例的な信号を出力するものを示しているが、排気ガスが理論空燃比に対して、リッチ側/リーン側の2つの信号を出力するものでも差し支えはない。
【0024】
目標空燃比設定手段106は、前記内燃機関の回転数、及び前記吸気管圧力からの内燃機関の負荷により内燃機関の各領域における最適な目標空燃比をマップ検索等で決定し、前記内燃機関に供給される燃料の目標空燃比を設定する。この目標空燃比設定手段106で決定された目標空燃比は、前記空燃比帰還制御係数計算手段105の空燃比帰還制御に用いられる。
【0025】
燃料噴射量算出手段107は、前記基本燃料算出手段102で演算された基本燃料を、内燃機関200の始動後所定期間の補正、基本燃料補正係数計算手段103の基本燃料補正係数、内燃機関の水温、空燃比帰還制御係数計算手段105で演算された空燃比帰還制御係数、空燃比学習計算手段109で学習された空燃比学習値及び冷間始動制御手段110の出力値等で補正を施すところであり、内燃機関200の始動時に供給される燃料の増量割合(始動後増量係数)に応じて燃料噴射量を算出する。この燃料噴射量算出手段107は、内燃機関200の状況に基づいて前記始動後増量係数を補正する始動後増量補正手段107Aと、該補正された増量割合(壁流補正始動後増量係数)に基づいて内燃機関200に供給される燃料の目標空燃比(実目標空燃比)を補正し、この補正された目標空燃比に基づいて燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段107Bとを有しており、この結果は燃料噴射手段111〜114に出力される。
【0026】
点火時期補正手段108は、前記基本点火時期計算手段104でマップ検索された点火時期を、内燃機関の状態(過渡もしくは定常)に応じて補正を施すところであり、この結果は点火手段115〜118に出力される。
空燃比学習手段109は、空燃比帰還制御係数計算手段105の空燃比帰還制御補正係数の一部を用いて、前記内燃機関の回転数、内燃機関の負荷及び内燃機関の水温等から空燃比補正係数の学習、及び前記空燃比補正係数の学習値を計算し、空燃比帰還制御係数計算手段105に出力するものである。
【0027】
冷間始動制御手段110は、前記内燃機関の回転数、内燃機関の負荷及び内燃機関の水温から内燃機関の冷間時の始動の燃焼を安定させる冷間始動安定手段119の起動を判定するところである。また、この結果は、燃料噴射量算出手段107にも出力される。冷間始動安定手段119とは、例えば内燃機関の要求燃料を噴射する燃料噴射弁201の噴霧に空気流を印加し、噴霧粒径を小さくさせるもの(アシストエアインジェクタバルブ211)、吸気管204のシリンダ入り口近辺に切り欠きのある仕切り板で遮り、シリンダへの気流に渦を発生させるもの(スワールコントロールバルブ212)、燃料噴射弁201の噴霧が吸気管204に付着する部分にヒータを設定したもの(壁面加熱ヒータ213)等がある。
【0028】
燃料噴射手段111〜114は、前記燃料噴射量算出手段107で計算された燃料量を内燃機関の燃料噴射弁206に供給する燃料噴射手段である。
気筒点火手段115〜118は、前記点火時期補正手段108で補正された内燃機関の要求点火時期に応じてシリンダに流入した燃料混合気を点火する点火手段である。
【0029】
冷間始動安定手段119は、上記のように、前記冷間始動制御手段110による領域判定に基づいて起動するものである。尚、本実施形態では、内燃機関の負荷を吸気管204の圧力で代表させているが、内燃機関が吸入する空気量で代表させてもよい。
【0030】
図4は、本実施形態の内燃機関200の吸気管204内での燃料の壁流の滞留状態の一例を示したものである。燃料噴射弁206から噴射された燃料は、噴射された燃料がシリンダに直接流入する直接流入分403と、吸気管204の内壁204aに付着している燃料壁流404にて滞留する壁流滞留分402と、燃料壁流404から離脱する壁流離脱分405と、に分離される。
【0031】
前記直接流入分403と前記壁流離脱分405とは、シリンダに流入して燃焼に関与することとなるが、燃料壁流404には、壁流のままシリンダ内に流入する壁流シリンダ流入分407が存在していることが分かる。そして、前記シリンダ流入分406が燃焼に関与するのに対して、壁流シリンダ流入分407は燃焼に関与せず、内燃機関の排気行程で未燃焼のまま排出されることとなる。
よって、本実施形態の制御装置215は、後述のように、始動時に燃料が増量される場合において、この壁流シリンダ流入分407については目標空燃比に反映させないようにするものである。
【0032】
図5は、始動時から始動後にかけての燃料噴射と壁流量及び燃焼に関与する燃料量との関係を一例として示したものである。尚、本図の実施例では、後述する壁流の補正分による始動後増量補正を施していない例を示している。
チャート501は、内燃機関始動時の燃料噴射形態を示し、燃料噴射が始まると、チャート502で示す吸気管に付着する壁流の推定量503の如く持ち上がるが、実際の壁流量は、内燃機関の水温及び吸気管形状等で定まる壁流上限値505以上に付着できないためにチャート504の如くなる。従って、壁流推定量と実際の壁流量の差505は、前述したように、燃焼に関与せず、内燃機関の排気行程で未燃焼のまま排出されることとなる。
【0033】
チャート506は、内燃機関に供給される燃料量を示しており、区間507においては、噴射燃料の一部は吸気管に付着する壁流となっているため、燃焼に関与する燃料量(実線)は燃料噴射量(点線)より少なくなる。区間508においては、壁流量が前記の壁流上限値を超えており、超えた分は燃焼に関与しないため、燃焼に関与する燃料量は差分509だけ噴射燃料より少なくなる。
チャート510は、内燃機関の実際の排気空燃比の変動を示しており、区間512では吸気管に付着する壁流の量が、区間513では壁流の量が各々前記壁流上限値を超えていることから、始動時の目標空燃比511に対してリーンとなっている。
【0034】
図6は、始動時から始動後にかけての燃料噴射と壁流量及び燃焼に関与する燃料量との関係を示したものである。本図の例は、前述図5の例と異なり、安定した回転を得るために、壁流の補正分の始動後増量補正を施した例を示している。
チャート601は、始動後増量補正が施された、内燃機関始動時の燃料噴射形態を示し、前述の図5の例と異なり、始動後増量補正分602が予め加味されている。チャート603は、吸気管に付着する壁流の推定量を示しており、始動後増量補正が加味されていることで、前述の図5の例と異なり区間604での壁流の量の壁流上限値605への収束が早くなっている。なお、図5の例と同様に、壁流量は、壁流上限値605以上付着できないため、実際の壁流量はチャート606の如くなる。ここで、壁流推定量と実際の壁流量の差607は、燃焼に関与しないため、排気空燃比挙動を示すチャート608の空燃比偏差610が発生することとなる。尚、チャート609は、目標空燃比を示しており、始動後増量補正を施すことにより、図5の例よりリッチ側が目標空燃比となっている。
【0035】
図7は、前記制御装置215の空燃比帰還制御係数計算手段105の制御ブロック図の一例を示したものである。
差分器701では、目標空燃比と前述された酸素濃度センサ210から検出された実排気空燃比の差分値を計算する。この差分値と内燃機関の回転数及び吸気管圧力からの負荷により、ブロック702においては空燃比帰還制御のP分の計算を、ブロック703においてはD分の計算を、ブロック704においてはI分の計算を行う。そして、計算されたP,D,I分は、加算器705で加算され、空燃比帰還制御係数として燃料噴射量算出手段107へ出力される。また、I分は空燃比学習計算手段109へ別途出力される。
【0036】
図8は、前述の空燃比帰還制御計算手段105のP分計算ブロックの詳細なブロック図の一例であり、ブロック801において、内燃機関の回転数及び負荷でP分ゲインをマップ検索する。そして、検索したP分ゲインと前述の空燃比の差分値を乗算器802で乗算し、P分として出力する。
【0037】
図9は、前述の空燃比帰還制御計算手段105のD分計算ブロックの詳細なブロック図の一例であり、加算器901において、前述の空燃比差分値の現在の値と、一回過去の値の差分値を計算する。尚、本ブロックは、一定周期で処理されているため、前記の差分値は、単位時間当たりの変化量となる。
そして、ブロック902において、内燃機関の回転数及び負荷でD分ゲインをマップ検索し、検索したD分ゲインと前述の単位時間当たりの変化量を乗算器903で乗算し、D分として出力する。
【0038】
図10は、前述の空燃比帰還制御計算手段105のI分計算ブロックの詳細なブロック図の一例であり、加算器1001において、前述の空燃比差分値の積算を行う。また、ブロック1002において、内燃機関の回転数及び吸気管圧力でI分ゲインをマップ検索し、検索したI分ゲインと前述の積算値を乗算器1003で乗算し、I分として出力する。
尚、図7〜図10の空燃比帰還制御係数は、前述の酸素濃度センサ210の活性化度合い、内燃機関の水温等の条件の判定により起動を許可され算出されることとなる。
【0039】
図11は、始動時から始動後にかけての燃料噴射量と空燃比帰還制御との関係を示したものである。本例では、空燃比帰還制御の帰還する目標空燃比には、前述の始動後増量補正分が加味されていない例を示している。つまり、前述の図5、図6の例の目標空燃比は、噴射される燃料をベースとした目標空燃比であり、空燃比帰還制御が開始されると、空燃比帰還制御側での目標空燃比に実排気空燃比がなるよう燃料を帰還することとなる。
【0040】
チャート1101は、始動後増量補正を施された、内燃機関の始動時の燃料噴射形態を示しており、時間1102から空燃比帰還制御が開始された点を示している。時間1102にて空燃比帰還制御が開始されることにより、空燃比帰還制御の目標空燃比1105になるよう、チャート1103の空燃比帰還制御係数が変化し、排気空燃比はチャート1104で示す挙動となることが分かる。
【0041】
従って、前記燃料噴射量算出手段107は、この始動後増量分を空燃比帰還制御の目標空燃比に反映させるべく、前述の図の目標空燃比設定手段106で検索された目標空燃比への始動後増量係数の補正の一例として、式1のように、目標空燃比設定手段106で検索された実目標空燃比を、1.0+始動後増量係数で除する補正を施している。
【0042】
【数1】
Figure 0004361702
【0043】
さらに、前記燃料噴射量算出手段107は、始動後増量分のうち燃焼に関与しない燃料量については前記目標空燃比への反映から省くべく、前述の図1の目標空燃比設定手段106で検索された目標空燃比への始動後増量係数の補正の一例として、式2のように、実目標空燃比を、1.0+壁流補正始動後増量係数で除する補正を行い、式1と異なり始動後増量係数のみでなく、壁流補正をも考慮する補正を施している。
【0044】
【数2】
Figure 0004361702
【0045】
図12は、前述の式1の目標空燃比への始動後増量係数の補正を施した場合の燃料噴射量と空燃比帰還制御との関係を示したものである。
チャート1201は、始動後増量補正を施された、内燃機関の始動時から始動後にかけての燃料噴射形態を示しており、前述の図4、図5、図6に示した様に、壁流に上限値があり、上限値を超えた壁流は燃焼に関与しない。従って前述の式1に基づいて始動後増量係数を施された目標空燃比1205は、実際の排気空燃比よりリッチ側となる。そして、時間1202から空燃比帰還制御が開始されることで、チャート1203で示す様に、排気空燃比が目標空燃比となるよう空燃比帰還制御係数が変化し、リッチ側へ移行させることとなる。尚、空燃比帰還制御、酸素濃度センサ等の遅れにより、時間1206で排気空燃比は目標空燃比を横切り、オーバーシュート等を発生することとなる。従って、前記燃料噴射量算出手段107は、次図の如く、始動後増量補正手段107Aにて、燃料の増量割合である始動後増量係数を補正して壁流補正始動後増量係数を得、燃料噴射量補正手段107Bにて、前記壁流補正始動後増量係数に基づいて目標空燃比(実目標空燃比)を補正し、これに基づいて噴射量を補正している。
【0046】
図13は、前述の式2の目標空燃比への始動後増量係数の補正を施した燃料噴射量と空燃比帰還制御との関係を示したものである。
チャート1301は、始動後増量補正を施された、内燃機関の始動時から始動後にかけての燃料噴射形態を示しており、前述の図12の例と異なり、前述の壁流の上限値を考慮して目標空燃比を補正できるので、壁流の上限値を考慮しない目標空燃比1303よりリーン側1305となることが分かる。よって、時間1302から空燃比帰還制御が開始されるが、チャート1303で示すように、始動直後から目標空燃比と実排気空燃比が一致しており、空燃比帰還制御係数の追従の必要もなく、良好な空燃比帰還制御を望むことができる。
【0047】
図14は、前述の式2で示した、前記燃料噴射量算出手段107の始動後増量補正手段107Aによる目標空燃比への始動後増量係数の補正ブロックの一例である。
読み込まれた内燃機関の負荷に対して基本燃料計算手段102のブロック1401で定数を乗じて基本燃料量とし、この基本燃料量に対し、基本燃料補正係数計算手段103のブロック1402にて、内燃機関の負荷と内燃機関の回転数により基本燃料補正係数をマップ検索し、乗算器1403にて、前記基本燃料に補正を施している。
【0048】
そして、始動後増量補正手段107Aのブロック1404にて、内燃機関の水温に応じた始動後増量係数(内燃機関の始動時に供給される燃料の増量割合)を計算し、始動後増量係数は、乗算器1405により前記基本燃料の補正後に施されることとなる。
【0049】
また、始動後増量補正手段107Aのブロック1406においては、内燃機関の水温、吸入空気の温度、冷間始動安定手段119の動作状況により、吸気管の壁面に付着する壁流のうち、該壁流のままシリンダ内に流入される燃料分を除くべく、壁流補正係数を計算する。そして、計算された壁流補正係数は、乗算器1407により、前記ブロック1404で計算された前記始動後増量係数を補正し、壁流補正始動後増量係数(補正された増量割合)として出力される。
【0050】
図15は、前述の式2で示した、前記燃料噴射量算出手段107の燃料噴射量補正手段107Bによる目標空燃比への壁流補正始動後増量係数の補正ブロックの一例である。
目標空燃比設定手段106のブロック1501において、内燃機関の負荷と内燃機関の回転数により実目標空燃比をマップ検索する。そして、前記実目標空燃比は、燃料噴射量補正手段107Bのブロック1502において、前述の壁流補正始動後増量係数に基づいて補正され、この目標空燃比に基づいて燃料噴射量を算出する。
【0051】
図16は、前記始動後増量補正手段107Aによる始動後増量係数の前記計算ブロック1404の一例である。
ブロック1601では、内燃機関の水温により始動後増量係数の初期値を検索し、ブロック1602では、内燃機関の回転数により、内燃機関の始動後に所定回転数以上となった完爆時により、エンジン回転数計算手段101にて始動時か否かが判定される。完爆判定されると、スイッチ1603により前記始動後増量係数の初期値がセットされることとなる。
【0052】
ブロック1604〜1609は、前記始動後増量係数の初期値から所定時間毎に所定値を減衰する処理ブロックを示しており、前記一連のブロックの処理により、内燃機関始動後の完爆判定時に初期値がセットされ、所定時間毎に減衰する、始動後増量係数が計算されることとなる。
【0053】
図17は、前記始動後増量補正手段107Aによる壁流補正係数の前記計算ブロック1406の一例である。
ブロック1701では、内燃機関の水温により基本壁流補正係数を検索し、ブロック1702では、吸気温度により、壁流補正係数の吸気温度補正係数を検索する。そして、検索された吸気温度補正係数は、乗算器1703にて基本壁流補正係数に補正を施すこととなる。
【0054】
ブロック1704〜1712は、冷間始動安定手段119の動作状況による補正を示している。アシストエアバルブ駆動信号に対しては第1の補正係数1705、スワールコントロールバルブ信号に対しては第2の補正係数1708、並びに壁面加熱ヒータ駆動信号に対しては第3の補正係数1711が、それぞれ乗算器1706、1709、1712により施される。つまり、燃焼に関与しない未燃分は、冷間始動時の燃焼を安定させるための補器類の動作状況によって蒸発する等、変化することから、いずれかの信号が入るかによって補正係数を変えて壁流補正係数を得ている。なお、ブロック1713は、前記補器類に対する駆動信号が出力されないときの補正値である。
【0055】
図18は、前記制御装置215の動作フローチャートの一例である。
ステップ1801では、エンジン回転数計算手段101にて前述のクランク角度センサの信号から内燃機関の回転数を計算し、ステップ1802では、前記吸気管圧力からの内燃機関の負荷を読み込み、ステップ1803では、基本燃料計算手段102にて前記内燃機関の回転数と前記吸気管圧力で基本燃料を計算し、ステップ1804では、基本燃料補正係数計算手段103にて前記内燃機関の回転数と前記吸気管圧力で基本燃料補正係数を検索してステップ1805に進む。
【0056】
ステップ1805では、燃料噴射量算出手段107の始動後増量補正手段107Aにて始動後増量係数の計算を行い、ステップ1806で壁流補正係数の計算を行ってステップ1807に進む。
ステップ1807では、目標空燃比設定手段106にて前記の内燃機関の回転数、内燃機関の負荷で空燃比帰還制御の目標空燃比の検索を行い、ステップ1808では、始動後増量補正手段107Aにて前記始動後増量係数及び壁流補正係数により前記壁流補正始動後増量係数を求め、燃料噴射量補正手段107Bにて実目標空燃比に対して補正を行う。
【0057】
ステップ1809では、空燃比帰還制御係数計算手段105にて酸素濃度センサの出力を読み込み、ステップ1810では、空燃比帰還制御係数を計算し、ステップ1811においては、燃料噴射量補正手段170Bにて基本燃料補正等を施された燃料量に更に帰還制御係数を施すこととなる。
【0058】
ステップ1812では、燃料噴射量算出手段107にて前記の補正を施された燃料量をセットし、前述の燃料噴射手段111〜114により、内燃機関200に供給されることとなる。また、ステップ1813及び1814は冷間始動安定手段119の起動領域の判定及び起動を行うブロックであり、これを経て一連の動作を終了する。尚、この冷間始動安定手段119の起動判定及び起動は、別周期にて処理されても問題はない。また、同様に制御精度を向上させるために、壁流補正係数の計算前に処理を行っても問題はない。
【0059】
図19は、前述の空燃比帰還制御係数計算手段105の制御のフローチャートの一例であり、ステップ1901では目標空燃比を読み込み、ステップ1902では実排気空燃比を読み込む。ステップ1903では前記目標空燃比と実排気空燃比との差分値を計算する。ステップ1904では、前記差分値から空燃比帰還制御のP分を計算する。ステップ1905、1906では同様に、D分、I分を計算する。そして、ステップ1907では、前記P分、D分、I分を加算し、空燃比帰還制御係数を算出し、燃料噴射量算出手段107に出力する。
【0060】
図20は、前述の空燃比帰還制御係数計算手段105のP分計算の制御のフローチャートの一例である。ステップ2001では内燃機関の回転数を読み込み、ステップ2002では吸気管圧力を読み込む。そして、ステップ2003では前記内燃機関の回転数と前記吸気管圧力でP分ゲインをマップ検索し、ステップ2004では前述の空燃比の差分値を読み込み、ステップ2005では、前記P分ゲインと前記差分値を乗算することでP分として燃料噴射量算出手段107に出力する。
【0061】
図21は、前述の空燃比帰還制御係数計算手段105のD分計算の制御のフローチャートの一例である。ステップ2101で内燃機関の回転数を読み込み、ステップ2102では吸気管圧力を読み込む。そして、ステップ2103では前記内燃機関の回転数と前記吸気管圧力でD分ゲインをマップ検索し、ステップ2104では前述の空燃比の差分値を読み込む。ステップ2105では空燃比の差分値の一回前の値を読み込み、ステップ2106では前記空燃比の差分値の時間変化量を計算する。そして、ステップ2106で前記時間変化量と前記D分ゲインを乗算することでD分として燃料噴射量算出手段107に出力する。
【0062】
図22は、前述の空燃比帰還制御係数計算手段105のI分計算の制御のフローチャートの一例である。ステップ2201で内燃機関の回転数を読み込み、ステップ2202で吸気管圧力を読み込む。そして、ステップ2203では前記内燃機関の回転数と前記吸気管圧力でI分ゲインをマップ検索し、ステップ2204では前述の空燃比の差分値を読み込み、ステップ2205で前記差分値を積算する。そして、ステップ2206で前記差分値の積算値と前記I分ゲインを乗算することでI分とし、燃料噴射量算出手段107及び空燃比学習計算手段109に出力する。
【0063】
図23は、前述の燃料噴射量算出手段107の始動後増量補正手段107Aによる始動後増量係数に対する壁流補正係数の補正のフローチャートの一例である。
ステップ2301では内燃機関の負荷を読み込み、ステップ2302では燃料噴射弁定数を読み込み、ステップ2303では前記内燃機関の負荷と燃料噴射弁定数により基本燃料計算手段102にて基本燃料量を計算する。
【0064】
ステップ2303では内燃機関の回転数を読み込み、ステップ2304では前記内燃機関の負荷と前記内燃機関の回転数により基本燃料補正係数計算手段103にて基本燃料量補正係数を検索し、ステップ2305にて前記基本燃料量に基本燃料量補正係数の補正を施す。
【0065】
ステップ2306では内燃機関の水温を読み込み、ステップ2307では、始動後増量補正手段107Aにて始動後増量係数の計算を行い、ステップ2307において、前記基本燃料量補正を施された基本燃料量に始動後増量係数の補正を施してステップ2309に進む。
【0066】
ステップ2309では吸気温センサより吸気温度を読み込み、ステップ2310では冷間始動安定手段119の動作状況を読み込み、ステップ2311において前記内燃機関の水温、前記吸気温度、及び前記冷間始動安定手段119の動作状況より始動後増量補正手段107Aにて壁流補正係数を決定する。
そして、ステップ2312では、前記壁流補正係数により、始動後増量係数を補正して壁流補正始動後増量係数とし、燃料噴射量補正手段107Bに出力する。
【0067】
図24は、前述の燃料噴射量補正手段107Bによる実目標空燃比に対する壁流補正始動後増量係数による補正のフローチャートの一例である。
ステップ2401では内燃機関の回転数を読み込み、ステップ2402では内燃機関の負荷を読み込み、ステップ2403では前記内燃機関の回転数と前記内燃機関の負荷により、目標空燃比設定手段106にて実目標空燃比のマップ検索を行う。
【0068】
ステップ2404では、後述の図26にて計算される壁流補正係数を読み込み、ステップ2405にて、始動後増量係数を補正して壁流補正始動後増量係数を算出し、実目標空燃比に対して壁流補正始動後増量係数による補正を行い、壁流のままシリンダ内に流入される燃料分については目標空燃比に反映させないようにする。
【0069】
図25は、前述の始動後増量補正手段107Aによる始動後増量係数の計算のフローチャートの一例である。
ステップ2501で内燃機関の回転数を読み込み、ステップ2502に進む。ステップ2502では、内燃機関が完爆したか否かを判定し、完爆直後である、すなわちYESの場合には、ステップ2503に進む。
【0070】
ステップ2503では、始動後増量補正の減衰が終了しているか否かを判定し、減衰が終了していない、すなわちNOのときにはステップ2504に進んで始動後増量係数の初期値設定済みか否かを判定し、済んでいないときにはステップ2505に進んで始動後増量係数の初期値を設定してステップ2506に進む。一方、初期値設定が済んでいるときにはステップ2506に進む。
【0071】
初期値設定後は、ステップ2505において一定間隔毎の減衰処理が実行されており、ステップ2506では、その間隔が経過しているか否かを判定し、経過しているときにはステップ2507に進んで一定間隔毎の減衰処理が実行された後、始動後増量係数が決定される。
なお、ステップ2502で内燃機関が完爆していない、ステップ2503で始動後増量補正の減衰が終了している、ステップ2506でその間隔が経過していないときには処理が実行されない。
【0072】
図26は、前述の始動後増量補正手段107Aによる壁流補正係数の計算のフローチャートの一例である。
ステップ2601では内燃機関の水温を読み込み、ステップ2602では前記内燃機関の水温によりベースとなる壁流補正係数のテーブル検索を行い、ステップ2603では吸気温センサなどから吸気温度を読み込み、ステップ2604では前記吸気温度により吸気温度補正係数のテーブル検索を行い、ステップ2605において前記ベースとなる壁流補正係数に補正を施す。
【0073】
ステップ2606〜ステップ2617は、前述の各冷間始動安定手段の動作状況の判断に基づいて補正を行うものであり、ステップ2606では、アシストエアバルブ駆動信号が出力されているか否かを判定し、ONの場合には、ステップ2607に進んで補正係数を1にしてステップ2607に進む。一方、NOのときには、ステップ2608に進んで既定値1.0にしてステップ2607に進む。そして、ステップ2607にてアシストエアインジェクタの補正を行う。
【0074】
ステップ2610では、スワールコンロトールバルブ駆動信号が出力されているか否かを判定し、ONの場合には、ステップ2611に進んで補正係数を2にしてステップ2613に進む。一方、NOのときには、ステップ2612に進んで既定値1.0にしてステップ2613に進む。そして、ステップ2613にてスワールコンロトールバルブの補正を行う。
【0075】
ステップ2614では、壁面加熱ヒータ駆動信号が出力されているか否かを判定し、ONの場合には、ステップ2615に進んで補正係数を3にしてステップ2617に進む。一方、NOのときには、ステップ2616に進んで既定値1.0にしてステップ2617に進む。そして、ステップ2613にて壁面加熱ヒータの補正を行い、これらによって壁流補正係数が決定される。
【0076】
これら一連のブロックは、上述の如く、前記壁流補正係数に対して補正を施すようになっており、アシストエアバルブ駆動信号、スワールコンロトールバルブ駆動信号、及び壁面加熱ヒータ駆動信号の状況により、各々に設定された補正係数が用いられる。
以上のように、本発明の前記実施形態は、上記の構成によって次の機能を奏するものである。
【0077】
すなわち、前記制御装置215は、内燃機関の始動時たる完爆判定がなされると、燃料噴射量算出手段107にて内燃機関の水温を読み込んで前記内燃機関の始動時に供給される燃料の増量割合である始動後増量係数の計算を行い、基本燃料量補正が施された基本燃料量に対して始動後増量係数の補正を施す。また、内燃機関の水温、吸気温度、及び冷間始動安定手段119の動作状況より吸気管204の壁面204aに付着する壁流のうち、該壁流のままシリンダ内に流入される燃料分407である壁流補正係数を決定する。そして、前記始動後増量係数を前記壁流補正係数によって補正して壁流補正始動後増量係数とし、これを補正された増量割合として燃料の増量割合の補正中にも空燃比帰還制御を行う、つまり、式1及び2に示すように、内燃機関の始動時から始動後にかけて、始動後増量係数分を空燃比帰還制御の目標空燃比に反映し、かつ、前記始動後増量係数分のうち、燃焼に関与しない燃料分を前記目標空燃比への反映から省くようにされているので、始動後増量補正が施された内燃機関始動直後からであっても、空燃比帰還補正係数が中心値(1.0)近辺となり、収束速度による問題が生ずることなく、良好な空燃比帰還制御を実施することができる。
【0078】
また、前記壁流補正始動後増量係数の算出の基本となる壁流補正係数、つまり、前記の省かれる燃焼に関与しない燃料量の度合いは、内燃機関の水温、吸気温及び冷間始動安定手段の動作状況により決定されるため、内燃機関の状況に対応させて始動時から始動後にかけての空燃比帰還制御の精度の向上を図ることができるとともに、空燃比帰還制御係数を追従させるための処理を設けることなく、良好な始動後の空燃比帰還制御を達成することができるので、適合工数の短縮等を図ることができる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱することなく、設計において種々の変更ができるものである。
【0079】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、本発明の内燃機関の制御装置は、内燃機関の始動時から始動後にかけて供給される燃料を増量することで、始動直後の内燃機関は安定した回転を行うことができ、しかも、前記増量された燃料の割合に対し、内燃機関の状況に応じてさらに補正することにより、燃焼に関与せずに排出されてしまう燃料分を考慮した空燃比帰還制御を行うことができることから、内燃機関の始動時から始動後にかけての空燃比制御の精度の向上及び適合工数の短縮等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における制御装置を備えた内燃機関の制御システムの全体構成を示す図。
【図2】図1の内燃機関の制御装置の内部構成を示した図。
【図3】図1の内燃機関の制御装置の制御ブロック図。
【図4】図1の内燃機関の吸気管における壁流の燃料滞留状態の一例を示した図。
【図5】内燃機関の始動時における燃料噴射と壁流量及び燃焼に関与する燃料量との関係を示した図。
【図6】内燃機関の始動時における燃料噴射と壁流量及び燃焼に関与する燃料量との関係を示した他の図。
【図7】図1の制御装置における空燃比帰還制御係数計算手段の制御ブロック図。
【図8】図7の空燃比帰還制御計算手段のP分計算のブロック図。
【図9】図7の空燃比帰還制御計算手段のD分計算のブロック図。
【図10】図7の空燃比帰還制御計算手段のI分計算のブロック図。
【図11】内燃機関の始動時における燃料噴射量と空燃比帰還制御との関係を示した図。
【図12】図11において、式1の目標空燃比への始動後増量係数の補正を施した場合の燃料噴射量と空燃比帰還制御との関係を示した図。
【図13】図11において、式2の目標空燃比への始動後増量係数の補正を施した場合の燃料噴射量と空燃比帰還制御との関係を示した図。
【図14】図13において、式2で示した燃料噴射量算出手段の始動後増量補正手段による始動後増量係数に対する補正ブロック図。
【図15】図13において、式2で示した燃料噴射量算出手段の燃料噴射量補正手段による実目標空燃比に対する補正ブロック図。
【図16】図14における始動後増量補正手段による始動後増量係数の計算ブロック図。
【図17】図14における始動後増量補正手段による壁流補正係数の計算ブロック図。
【図18】図3の制御装置の動作フローチャート。
【図19】図3の空燃比帰還制御係数計算手段の制御のフローチャート。
【図20】図3の空燃比帰還制御係数計算手段のP分計算の制御のフローチャート。
【図21】図3の空燃比帰還制御係数計算手段のD分計算の制御のフローチャート。
【図22】図3の空燃比帰還制御係数計算手段のI分計算の制御のフローチャート。
【図23】図3の始動後増量補正手段による始動後増量係数に対する壁流補正係数の補正を施すフローチャート。
【図24】図3の燃料噴射量補正手段による実目標空燃比に対する壁流補正始動後増量係数の補正を施すフローチャート。
【図25】図3の始動後増量補正手段による始動後増量係数の計算のフローチャート。
【図26】図3の始動後増量補正手段による壁流補正係数の計算のフローチャート。
【符号の説明】
101 内燃機関の始動時判定手段
105 実空燃比を目標空燃比に保持する手段
106 燃料の目標空燃比を設定する手段
107 燃料噴射量算出手段
107A 始動後増量補正手段
107B 燃料噴射量補正手段
109 空燃比学習計算手段
110 冷間始動制御手段
200 内燃機関
204 吸気管
204a 壁面
205 吸気管圧力センサ
206 燃料噴射弁
209 水温センサ
210 実空燃比を得る手段(酸素濃度センサ)
211 アシストエアインジェクタバルブ
212 スワールコントロールバルブ
213 壁面加熱ヒータ
215 制御装置
216 排気管
407 壁流シリンダ流入分

Claims (6)

  1. 吸気管と、該吸気管に燃料を噴射する燃料噴射弁と、排気管と、前記排気管の酸素濃度を検出して該排気管の実空燃比を得る手段とを備えた内燃機関の制御装置において、
    該制御装置は、前記内燃機関に供給される燃料の目標空燃比を設定する目標空燃比設定手段と、前記内燃機関に供給される燃料噴射量を算出する手段を備え
    前記燃料噴射量を算出する手段は、前記内燃機関の始動時から始動後にかけて燃料の増量分を漸減させる増量係数を算出し、該増量係数を、前記吸気管の壁面に付着する壁流のうち該壁流のままシリンダ内に流入される燃料分を除くように壁流補正し、
    壁流補正後の増量係数に基づいて、前記目標空燃比設定手段が設定する目標空燃比を補正して、該補正後の目標空燃比に前記実空燃比がなるように燃料噴射量を帰還制御による補正を行なうことにより、前記実空燃比を前記目標空燃比設定手段が設定する目標空燃比に収束させることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記排気管の実空燃比を得る手段は、前記排気管の検出した前記酸素濃度に応じた指標を出力することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記燃料噴射量を算出する手段は、前記内燃機関の水温に基づいて前記増量係数前記壁流補正することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記燃料噴射量を算出する手段は、前記内燃機関の吸入空気の温度に基づいて前記増量係数前記壁流補正することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記燃料噴射量を算出する手段は、前記内燃機関の冷間始動時の燃焼を安定させるための補器類の動作状況に基づいて前記増量係数前記壁流補正することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記燃料噴射量を算出する手段は、前記内燃機関の冷間始動時の燃焼を安定させるための補器類の動作状況に基づいて、前記増量係数を前記壁流補正することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
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