JP2020007952A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
1.吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁と、排気通路に排出された排気を浄化する触媒とを備える内燃機関に適用され、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量の燃料を噴射すべく前記ポート噴射弁を操作して、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、前記触媒の温度が低い場合には前記触媒の温度が高い場合よりも前記吸気同期噴射の噴射時期を進角させる進角処理と、を実行する。
以下、内燃機関の制御装置にかかる一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す内燃機関10は、車両に搭載される。内燃機関10の吸気通路12には、上流側から順に、スロットルバルブ14およびポート噴射弁16が設けられている。吸気通路12に吸入された空気とポート噴射弁16から噴射された燃料とは、吸気バルブ18の開弁に伴って、シリンダ20およびピストン22によって区画された燃焼室24に流入する。燃焼室24において、燃料と空気との混合気は、点火装置26の火花放電によって燃焼に供される。そして、燃焼によって生成される燃焼エネルギは、ピストン22を介してクランク軸28の回転エネルギに変換される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ30の開弁に伴って、排気として排気通路32に排出される。排気通路32には、触媒34が設けられている。また、排気通路32のうち触媒34の下流には、排気中の粒子状物質(PM)を捕集するフィルタ(GPF36)が設けられている。
吸気位相差算出処理M10は、クランク角センサ60の出力信号Scrと吸気側カム角センサ66の出力信号Scaとに基づき、クランク軸28の回転角度に対する吸気側カム軸40の回転角度の位相差である吸気位相差DINを算出する処理である。目標吸気位相差算出処理M12は、内燃機関10の動作点に基づき、目標吸気位相差DIN*を可変設定する処理である。なお、本実施形態では、回転速度NEと充填効率ηとによって動作点を定義している。ここで、CPU52は、回転速度NEを、クランク角センサ60の出力信号Scrに基づき算出し、充填効率ηを回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出する。なお、充填効率ηは、燃焼室24内に充填される空気量を定めるパラメータである。
図3(a)は、吸気バルブ18の開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射との2つの燃料噴射を実行するマルチ噴射処理である。詳しくは、吸気同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の開弁期間に収まるように燃料を噴射するものである。ここで、開弁前の位置とは、吸気ポートの下流端のことであり、換言すれば図1に示す燃焼室24への入口IN部分のことである。なお、図1においては、吸気バルブ18が開弁している状態を記載している。また、「到達する期間」の始点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も早いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングであり、終点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も遅いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングである。これに対し、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18が開弁する前に吸気バルブ18に到達するように燃料を噴射するものである。換言すれば、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が、吸気バルブ18が開弁するまでは吸気通路12内で滞留し、開弁した後に燃焼室24内に流入する噴射である。なお、本実施形態において吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとする。
本実施形態においてマルチ噴射処理は、排気中の粒子状物質(PM)の数(PN)を低減することを狙って実行される。すなわち、吸気通路12や吸気バルブ18等の内燃機関10の吸気系の温度がある程度低い場合、充填効率ηがある程度大きい領域においてシングル噴射処理を実行すると、PNが増加する傾向がある。これは、充填効率ηが大きい場合には小さい場合よりも要求噴射量Qdが大きい値となり、結果、吸気系に付着する燃料量が多くなることに起因していると考えられる。詳しくは、吸気系に付着した燃料量がある程度多くなる場合、付着した燃料のせん断によって、付着した燃料の一部が液滴のまま燃焼室24に流入するためであると推察される。そこで本実施形態では、要求噴射量Qdの一部を吸気同期噴射によって噴射することにより、要求噴射量Qdが多い場合であっても、吸気系に付着する燃料量を要求噴射量Qdが多い割に少なくし、ひいてはPNの低減を図る。
このため、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの和は、要求噴射量Qdに等しい。すなわち、S16,S18の処理によって、要求噴射量Qdの燃料が、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとに分割される。ちなみに、同期噴射量Qsは、フィードバック補正係数KAFおよび低温増量係数Kwの値に影響されない。このように、同期噴射量Qsを固定する理由は、同期噴射量Qsは、PNを抑制する上で適切な値に適合されているため、同期噴射量Qsが補正によって大きく変化する場合にはPNの増加を招くおそれがあるためである。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
このように本実施形態では、HCを抑制する上で適切な到達終了時期AEsを、遅角ガード値AEthに基づき定めている。これにより、HCを抑制する上で適切な時期自体は、PNを抑制する上で適切な時期ほどには、吸気位相差DINや充填効率ηの影響を受けにくいことに鑑み、図4のS24の処理と比較してHCを抑制する上で適切な時期であってPNを極力抑制可能な到達終了時期AEsを簡易に適合することができる。
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]マルチ噴射処理は、S28の処理に引き続き実行されるS30の処理に対応する。進角処理は、図4のS20〜S24の処理や、図7のS22a,S20,S34,S36の処理に対応する。[2]バルブ特性可変装置は、吸気側バルブタイミング調整装置44に対応し、バルブ特性制御処理は、目標吸気位相差算出処理M12および吸気位相差制御処理M14に対応する。可変処理は、図4のS22,S24の処理や、図7のS22aの処理に対応する。[3]要求噴射量算出処理は、S12の処理に対応する。[4]吸気系の温度は、水温THWに対応する。[5]基準時期設定処理は、S22aの処理に対応し、ガード値設定処理は、S34の処理に対応し、低温用時期設定処理は、S36の処理に対応する。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
上記実施形態では、水温THWおよび回転速度NEに基づき遅角ガード値AEthを算出したが、これに限らない。たとえば、水温THWのみに基づき遅角ガード値AEthを算出するなど、水温THWおよび回転速度NEの2つのパラメータに関しては、それらのうちの1つのみを用いて遅角ガード値AEthを算出してもよい。
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THW、吸気位相差DINに基づき、到達終了時期AEs,AEsa,AEsbを設定したが、これに限らない。燃焼室24内に充填される空気量を示すパラメータ(負荷を示すパラメータ)として、充填効率ηに代えて、たとえばベース噴射量Qbを用いてもよい。また、回転速度NE、負荷、水温THWおよび吸気位相差DINの4つのパラメータに関しては、それらのうちの3つのパラメータのみに基づき、到達終了時期AEs,AEsa,AEsbを可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。またたとえば、回転速度NE、負荷、水温THWおよび吸気位相差DINの4つのパラメータに関しては、吸気位相差DINのみに基づき到達終了時期AEs,AEsa,AEsbを可変設定するなど、1つのパラメータのみに基づき可変設定してもよい。
上記実施形態では、暖機カウンタCによって触媒34の温度を把握したが、これに限らない。たとえば吸入空気量Gaの単なる積算値を用いてもよい。ここでの積算値の更新処理は、積算値の大きさに寄らずに、吸入空気量Gaによって一義的に定まる更新量にて積算値を更新する処理である。またたとえば、触媒34に熱電対等の温度センサを備えてその検出値を用いてもよい。
上記実施形態では、吸気系の温度として水温THWを用いたが、これに限らない。たとえば内燃機関10の潤滑油の温度を用いてもよい。
要求噴射量Qdを、低温増量係数Kwや、フィードバック補正係数KAFに加えて、学習値LAFによってベース噴射量Qbが補正されたものとしてもよい。ちなみに、学習値LAFの算出処理は、フィードバック補正係数KAFを入力とし、フィードバック補正係数KAFによるベース噴射量Qbの補正比率が小さくなるように学習値LAFを更新する処理である。なお、学習値LAFは、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されることが望ましい。
上記実施形態では、吸気非同期噴射を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとしたが、これに限らない。たとえば回転速度NEが高くて且つ非同期噴射量Qnsが過度に多い場合、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の開弁期間と重複してもよい。
上記実施形態では、シングル噴射処理を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとしたがこれに限らない。たとえば、要求噴射量Qdが大きい場合には、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の開弁期間と重複することがあってもよい。なお、シングル噴射処理を実行することは必須ではない。
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、同期噴射量Qsを可変設定したが、これに限らない。たとえば、燃焼室24内に充填される空気量を示すパラメータである負荷パラメータとして、充填効率ηに代えて、ベース噴射量Qbを用いてもよい。また、負荷パラメータと回転速度NEと水温THWと吸気位相差DINとの4つのパラメータについては、それらのうちの3つパラメータのみに基づき可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。なお、この際、負荷パラメータおよび水温THWのうちの少なくとも1つを極力用いて可変設定することが望ましい。また、上記4つのパラメータ以外にたとえば、吸気圧や、吸入空気の流速を用いてもよい。ただし、上記4つのパラメータによれば、吸気圧や吸入空気の流速を把握することができる。
上記実施形態では、回転速度NEおよび充填効率ηに応じて目標吸気位相差DIN*を可変設定したが、これに限らない。たとえば、水温THWが低い場合には、例外的に回転速度NEおよび充填効率ηに応じて定まる吸気バルブ18の開弁タイミングに対して実際のタイミングを遅角側に制限するなどしてもよい。
吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置としては、吸気側バルブタイミング調整装置44に限らない。たとえば、吸気バルブ18のリフト量を変更するものであってもよい。この場合、吸気バルブ18のバルブ特性を示すパラメータは、吸気位相差DINに代えて、リフト量等となる。
制御装置がCPU52とROM54とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
内燃機関10が吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置を備えることは必須ではない。内燃機関10がスロットルバルブ14を備えることは必須ではない。
Claims (5)
- 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁と、排気通路に排出された排気を浄化する触媒とを備える内燃機関に適用され、
空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量の燃料を噴射すべく前記ポート噴射弁を操作して、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、
前記触媒の温度が低い場合には前記触媒の温度が高い場合よりも前記吸気同期噴射の噴射時期を進角させる進角処理と、を実行する内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関は、吸気バルブのバルブ特性を可変とするバルブ特性可変装置を備え、
前記バルブ特性可変装置を操作して前記吸気バルブの開弁開始時期を可変制御するバルブ特性制御処理と、
前記開弁開始時期に応じて前記吸気同期噴射の噴射時期を可変設定する可変処理と、を実行する請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の気筒内に充填される空気量に基づき前記要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理を実行し、
前記可変処理は、前記吸気同期噴射の噴射時期を、前記開弁開始時期に加えて、前記内燃機関のクランク軸の回転速度および前記内燃機関の負荷に応じて可変設定する処理を含む請求項2記載の内燃機関の制御装置。 - 前記可変処理は、前記開弁開始時期、前記回転速度、および前記負荷に加えて、前記内燃機関の吸気系の温度に応じて前記吸気同期噴射の噴射時期を可変設定する処理である請求項3記載の内燃機関の制御装置。
- 前記可変処理は、
前記開弁開始時期に基づき前記吸気同期噴射の噴射時期を設定する基準時期設定処理と、
前記内燃機関の吸気系の温度に応じて前記触媒の温度が規定値未満である場合の遅角ガード値を設定するガード値設定処理と、
前記触媒の温度が前記規定値未満の場合に前記基準時期設定処理によって設定される噴射時期と前記遅角ガード値とのうちのより進角側の時期を前記吸気同期噴射の噴射時期に設定する低温用時期設定処理と、を含み、
前記触媒の温度が規定値以上である場合、前記基準時期設定処理によって設定される噴射時期を、前記吸気同期噴射の噴射時期に設定する処理である請求項2〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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