JP2020007952A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排気中のPNの抑制とHCの抑制との好適な折衷を図ることができるようにした内燃機関の制御装置を提供する。【解決手段】CPU52は、燃焼室24内に充填される空気量に基づき要求噴射量を算出する。CPU52は、充填効率が所定値以上である場合、要求噴射量を、吸気バルブ18の開弁前に燃料を噴射する吸気非同期噴射の噴射量と、吸気バルブ18の開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射の噴射量とに分割して噴射するマルチ噴射処理を実行する。CPU52は、触媒34の温度が低い場合には高い場合よりも吸気同期噴射の噴射開始時期を進角側に設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁と、排気通路に排出された排気を浄化する触媒とを備える内燃機関に適用される内燃機関の制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、高負荷領域において、吸入空気量に応じて定まる1燃焼サイクルにおいて必要な量(要求噴射量)の燃料を2回に分割して噴射する制御装置が記載されている(第2実施形態)。
特開2015−59456号公報
発明者は、排気中の粒子状物質(PM)の数であるPNを減少させるべく、要求噴射量の一部を、吸気バルブの開弁期間に同期して噴射する吸気同期噴射によって噴射し、残りを吸気同期噴射よりも進角側の吸気非同期噴射によって噴射するマルチ噴射処理を検討した。そして、発明者は、吸気行程における噴射時期によって、排気中の粒子状物質(PM)の数(PN)が大きく変化することを見出した。さらに、発明者は、吸気同期噴射の噴射時期をPNを抑制する上で適切な時期とする場合、排気中のHC濃度が上昇するおそれがあることを見出した。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁と、排気通路に排出された排気を浄化する触媒とを備える内燃機関に適用され、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量の燃料を噴射すべく前記ポート噴射弁を操作して、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、前記触媒の温度が低い場合には前記触媒の温度が高い場合よりも前記吸気同期噴射の噴射時期を進角させる進角処理と、を実行する。
発明者は、PNを抑制する上で最適な吸気同期噴射の噴射時期は、HCを抑制するうえで最適な吸気同期噴射の噴射時期よりも遅角側であることを見出した。そこで上記構成では、触媒によるHCの浄化性能が低い触媒の低温時に、HCの浄化性能が高い触媒の高温時と比較して噴射時期を進角する。これにより、排気中のHCの浄化性能が低いときには排気中のHC濃度を抑制するうえで適切な噴射時期を設定して且つ、排気中のHC濃度が高くてもこれを浄化することができるときにはPNを抑制する上で適切な噴射時期を設定できる。
2.上記1記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は、吸気バルブのバルブ特性を可変とするバルブ特性可変装置を備え、前記バルブ特性可変装置を操作して前記吸気バルブの開弁開始時期を可変制御するバルブ特性制御処理と、前記開弁開始時期に応じて前記吸気同期噴射の噴射時期を可変設定する可変処理と、を実行する。
吸気バルブの開弁開始時期によって、PNを極力少なくするための吸気同期噴射の噴射時期が変化することを発明者が見出している。これは、開弁開始時期に応じて吸気バルブと排気バルブとのオーバーラップ量が変化することによって内部EGR量が変化することから、吸気系の温度が上昇して吸気系における燃料の気化のしやすさが変化したり、燃焼室に流入することなく吸気系に付着して留まる燃料量が変化したりすることなどが要因と推察される。そこで上記構成では、吸気同期噴射の噴射時期を開弁開始時期に応じて可変設定する。これにより、開弁開始時期に応じて可変としない場合と比較して、PNを抑制できる。
3.前記内燃機関の気筒内に充填される空気量に基づき前記要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理を実行し、前記可変処理は、前記吸気同期噴射の噴射時期を、前記開弁開始時期に加えて、前記内燃機関のクランク軸の回転速度および前記内燃機関の負荷に応じて可変設定する処理を含む上記2記載の内燃機関の制御装置である。
クランク軸の回転速度によって、PNを極力少なくするための吸気同期噴射の噴射時期が変化することを発明者が見出している。これは、回転速度によって、吸気通路内の流速が変化することなどから燃焼室に流入することなく吸気系に付着して留まる燃料量が変化する傾向にあることや、ポート噴射弁から噴射された燃料のうちの所定量の燃料が気化するまでの期間内におけるクランク軸の回転量が変化することなどが理由と推察される。そこで上記構成では、吸気同期噴射の噴射時期を回転速度に応じて可変設定することにより、回転速度に応じて可変としない場合と比較して、PNを抑制できる。
また、内燃機関の負荷によって、PNを極力少なくするための噴射時期が変化することを発明者が見出している。これは、負荷によって、噴射される燃料量が変化することや、吸気通路内の圧力が変化することによって燃料の霧化のしやすさが変化するためであると推察される。そこで上記構成では、吸気同期噴射の噴射時期を負荷に応じて可変設定する。これにより、負荷に応じて可変としない場合と比較して、PNを抑制できる。
4.前記可変処理は、前記開弁開始時期、前記回転速度、および前記負荷に加えて、前記内燃機関の吸気系の温度に応じて前記吸気同期噴射の噴射時期を可変設定する処理である上記3記載の内燃機関の制御装置である。
吸気系の温度によって、PNを極力少なくするための吸気同期噴射の噴射時期が変化することを発明者が見出している。これは、吸気系の温度によって、吸気系における燃料の気化のしやすさに相違が生じるためであると推察される。そこで上記構成では、吸気同期噴射の噴射時期を吸気系の温度に応じて可変設定することにより、吸気系の温度に応じて可変としない場合と比較して、PNを抑制できる。
5.前記可変処理は、前記開弁開始時期に基づき前記吸気同期噴射の噴射時期を設定する基準時期設定処理と、前記内燃機関の吸気系の温度に応じて前記触媒の温度が規定値未満である場合の遅角ガード値を設定するガード値設定処理と、前記触媒の温度が前記規定値未満の場合に前記基準時期設定処理によって設定される噴射時期と前記遅角ガード値とのうちのより進角側の時期を前記吸気同期噴射の噴射時期に設定する低温用時期設定処理と、を含み、前記触媒の温度が規定値以上である場合、前記基準時期設定処理によって設定される噴射時期を、前記吸気同期噴射の噴射時期に設定する処理である上記2〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置である。
触媒の温度が低い場合に排気中のHCの濃度が高くなることを抑制するうえで必要な噴射時期の設定には、吸気系の温度が大きく関与する傾向がある。そこで上記構成では、吸気系の温度によって遅角ガード値を設定し、PNを抑制する上で適切な噴射時期である基準時期設定処理によって設定される噴射時期に対して、遅角ガード値を遅角側の限界値とするガード処理を施す。これにより、PNを抑制する上で適切な時期と、HCを抑制する上で適切な時期とを適切に設定することができる。
一実施形態にかかる制御装置および内燃機関を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理を示すブロック図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかる噴射パターンを示すタイムチャート。 同実施形態にかかる噴射弁操作処理の手順を示す流れ図。 触媒温度とHC浄化率との関係を示す図。 到達終了時期とPNおよびHCの排出量との関係を示す図。 第2の実施形態にかかる噴射弁操作処理の手順を示す流れ図。
<第1の実施形態>
以下、内燃機関の制御装置にかかる一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す内燃機関10は、車両に搭載される。内燃機関10の吸気通路12には、上流側から順に、スロットルバルブ14およびポート噴射弁16が設けられている。吸気通路12に吸入された空気とポート噴射弁16から噴射された燃料とは、吸気バルブ18の開弁に伴って、シリンダ20およびピストン22によって区画された燃焼室24に流入する。燃焼室24において、燃料と空気との混合気は、点火装置26の火花放電によって燃焼に供される。そして、燃焼によって生成される燃焼エネルギは、ピストン22を介してクランク軸28の回転エネルギに変換される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ30の開弁に伴って、排気として排気通路32に排出される。排気通路32には、触媒34が設けられている。また、排気通路32のうち触媒34の下流には、排気中の粒子状物質(PM)を捕集するフィルタ(GPF36)が設けられている。
クランク軸28の回転動力は、タイミングチェーン38を介して、吸気側カム軸40および排気側カム軸42に伝達される。なお、本実施形態では、吸気側カム軸40には、吸気側バルブタイミング調整装置44を介してタイミングチェーン38の動力が伝達される。吸気側バルブタイミング調整装置44は、クランク軸28と吸気側カム軸40との回転位相差を調整することによって、吸気バルブ18の開弁タイミングを調整するアクチュエータである。
制御装置50は、内燃機関10を制御対象とし、その制御量(トルク、排気成分比率等)を制御するために、上記スロットルバルブ14や、ポート噴射弁16、点火装置26、吸気側バルブタイミング調整装置44等の内燃機関10の操作部を操作する。この際、制御装置50は、クランク角センサ60の出力信号Scrや、エアフローメータ62によって検出される吸入空気量Ga、空燃比センサ64によって検出される空燃比Af、吸気側カム角センサ66の出力信号Sca、水温センサ68によって検出される内燃機関10の冷却水の温度(水温THW)を参照する。なお、図1には、スロットルバルブ14、ポート噴射弁16、点火装置26および吸気側バルブタイミング調整装置44のそれぞれを操作するための操作信号MS1〜MS4を記載している。
制御装置50は、CPU52、ROM54、および制御装置50内の各箇所に電力を供給する電源回路56を備えており、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより、上記制御量の制御を実行する。
図2に、制御装置50が実行する処理の一部を示す。図2に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより実現される。
吸気位相差算出処理M10は、クランク角センサ60の出力信号Scrと吸気側カム角センサ66の出力信号Scaとに基づき、クランク軸28の回転角度に対する吸気側カム軸40の回転角度の位相差である吸気位相差DINを算出する処理である。目標吸気位相差算出処理M12は、内燃機関10の動作点に基づき、目標吸気位相差DIN*を可変設定する処理である。なお、本実施形態では、回転速度NEと充填効率ηとによって動作点を定義している。ここで、CPU52は、回転速度NEを、クランク角センサ60の出力信号Scrに基づき算出し、充填効率ηを回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出する。なお、充填効率ηは、燃焼室24内に充填される空気量を定めるパラメータである。
吸気位相差制御処理M14は、吸気位相差DINを目標吸気位相差DIN*に制御するために吸気側バルブタイミング調整装置44を操作すべく、吸気側バルブタイミング調整装置44に操作信号MS4を出力する処理である。
ベース噴射量算出処理M20は、充填効率ηに基づき、燃焼室24内の混合気の空燃比を目標空燃比とするための燃料量のベース値であるベース噴射量Qbを算出する処理である。詳しくは、ベース噴射量算出処理M20は、たとえば充填効率ηが百分率で表現される場合、空燃比を目標空燃比とするための充填効率ηの1%当たりの燃料量QTHに、充填効率ηを乗算することによりベース噴射量Qbを算出する処理とすればよい。ベース噴射量Qbは、燃焼室24内に充填される空気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するために算出された燃料量である。ちなみに、目標空燃比は、たとえば理論空燃比とすればよい。
フィードバック処理M22は、空燃比Afを目標値Af*にフィードバック制御するための操作量であるフィードバック操作量としてのベース噴射量Qbの補正比率δに「1」を加算したフィードバック補正係数KAFを算出して出力する処理である。詳しくは、フィードバック処理M22は、空燃比Afと目標値Af*との差を入力とする比例要素および微分要素の各出力値と、同差に応じた値の積算値を保持し出力する積分要素の出力値との和を補正比率δとする。
低温補正処理M24は、水温THWが所定温度Tth(たとえば60℃)未満の場合、ベース噴射量Qbを増量すべく、低温増量係数Kwを「1」よりも大きい値に算出する処理である。詳しくは、低温増量係数Kwは、水温THWが低い場合に高い場合よりも大きい値に算出される。なお、水温THWが所定温度Tth以上の場合には、低温増量係数Kwは「1」とされ、低温増量係数Kwによるベース噴射量Qbの補正量をゼロとする。
噴射弁操作処理M30は、ポート噴射弁16を操作すべく、ポート噴射弁16に操作信号MS2を出力する処理である。特に、噴射弁操作処理M30は、ポート噴射弁16から1燃焼サイクル内に1つの気筒に供給することが要求される燃料量である要求噴射量Qdをポート噴射弁16から噴射させる処理である。
本実施形態では、燃料噴射処理として、図3(a)に例示する処理と、図3(b)に例示する処理との2通りの処理を有する。
図3(a)は、吸気バルブ18の開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射との2つの燃料噴射を実行するマルチ噴射処理である。詳しくは、吸気同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の開弁期間に収まるように燃料を噴射するものである。ここで、開弁前の位置とは、吸気ポートの下流端のことであり、換言すれば図1に示す燃焼室24への入口IN部分のことである。なお、図1においては、吸気バルブ18が開弁している状態を記載している。また、「到達する期間」の始点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も早いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングであり、終点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も遅いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングである。これに対し、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18が開弁する前に吸気バルブ18に到達するように燃料を噴射するものである。換言すれば、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が、吸気バルブ18が開弁するまでは吸気通路12内で滞留し、開弁した後に燃焼室24内に流入する噴射である。なお、本実施形態において吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとする。
図3(b)は、吸気非同期噴射のみを実行するシングル噴射処理である。
本実施形態においてマルチ噴射処理は、排気中の粒子状物質(PM)の数(PN)を低減することを狙って実行される。すなわち、吸気通路12や吸気バルブ18等の内燃機関10の吸気系の温度がある程度低い場合、充填効率ηがある程度大きい領域においてシングル噴射処理を実行すると、PNが増加する傾向がある。これは、充填効率ηが大きい場合には小さい場合よりも要求噴射量Qdが大きい値となり、結果、吸気系に付着する燃料量が多くなることに起因していると考えられる。詳しくは、吸気系に付着した燃料量がある程度多くなる場合、付着した燃料のせん断によって、付着した燃料の一部が液滴のまま燃焼室24に流入するためであると推察される。そこで本実施形態では、要求噴射量Qdの一部を吸気同期噴射によって噴射することにより、要求噴射量Qdが多い場合であっても、吸気系に付着する燃料量を要求噴射量Qdが多い割に少なくし、ひいてはPNの低減を図る。
図4に、噴射弁操作処理M30の処理の手順を示す。図4に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
図4に示す一連の処理において、CPU52は、まず、暖機カウンタCの値を、更新量ΔCによって更新する(S10)。暖機カウンタCは、触媒34の温度と相関を有するパラメータである。CPU52は、更新量ΔCを、吸入空気量Gaが大きい場合に小さい場合よりも大きい値に算出する。ここで、吸入空気量Gaが小さい場合、更新量ΔCはゼロよりも小さい値となりうる。また、CPU52は、吸入空気量Gaが同一であっても、暖機カウンタCの値が大きい場合には小さい場合よりも更新量ΔCを小さい値に算出する。これは、暖機が進むにつれて触媒34の温度が上昇しにくくなることに鑑みたものである。この処理は、暖機カウンタCおよび吸入空気量Gaを入力変数とし、更新量ΔCを出力変数とするマップデータが予めROM54に記憶された状態で、CPU52により更新量ΔCをマップ演算することにより実現できる。
ここで、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。またマップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とするのに対し、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
次にCPU52は、ベース噴射量Qbに、低温増量係数Kwおよびフィードバック補正係数KAFを乗算することによって、要求噴射量Qdを算出する(S12)。次に、CPU52は、マルチ噴射要求があるか否かを判定する(S14)。ここでCPU52は、水温THWが規定温度Tth以下である旨の条件(ア)と、充填効率ηが規定値以上である旨の条件(イ)と、回転速度NEが所定速度NEth以下である旨の条件(ウ)との論理積が真である場合にマルチ噴射処理を実行する要求があると判定する。なお、条件(ウ)は、吸気非同期噴射の終了タイミングと吸気同期噴射の開始タイミングとの時間間隔を所定時間以上に確保するための条件である。また、この条件は、マルチ噴射処理がシングル噴射処理よりも演算負荷が大きいことから、制御装置50の演算負荷の増大によって発熱量が過大となることを抑制する旨の条件である。なお、上記所定時間は、ポート噴射弁16の構造に応じて定まるものであり、吸気非同期噴射の終了前に吸気同期噴射が開始されることを回避できる値とされている。
そしてCPU52は、マルチ噴射要求があると判定する場合(S14:YES)、吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量Qsを算出する(S16)。ここで、CPU52は、回転速度NE、充填効率η、吸気位相差DINおよび水温THWに応じて、同期噴射量Qsを算出する。同期噴射量Qsは、PNを抑制する上で適切な値に適合されている。詳しくは、回転速度NE、充填効率η、吸気位相差DINおよび水温THWを入力変数とし、同期噴射量Qsを出力変数とするマップデータが予めROM54に記憶された状態で、CPU52により同期噴射量Qsがマップ演算される。
次にCPU52は、要求噴射量Qdから同期噴射量Qsを減算することによって、吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量Qnsを算出する(S18)。
このため、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの和は、要求噴射量Qdに等しい。すなわち、S16,S18の処理によって、要求噴射量Qdの燃料が、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとに分割される。ちなみに、同期噴射量Qsは、フィードバック補正係数KAFおよび低温増量係数Kwの値に影響されない。このように、同期噴射量Qsを固定する理由は、同期噴射量Qsは、PNを抑制する上で適切な値に適合されているため、同期噴射量Qsが補正によって大きく変化する場合にはPNの増加を招くおそれがあるためである。
次に、CPU52は、暖機カウンタCが閾値Cth以上であるか否かを判定する(S20)。この処理は、触媒34の温度が活性状態となる規定値以上であるか否かを判定するための処理である。なお、ここでの活性状態は、たとえば、触媒34の中央部の温度が、浄化率が50%以上となる温度になることであるとすればよい。詳しくは、CPU52は、水温THWが高い場合に低い場合よりも閾値Cthを小さい値に設定する。
CPU52は、閾値Cth以上であると判定する場合(S20:YES)、触媒34が活性状態にあるとして、回転速度NE、充填効率η、吸気位相差DINおよび水温THWに基づき、図3(a)に示す到達終了時期AEsを算出する(S22)。到達終了時期AEsは、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうち最も遅いタイミングで噴射された燃料が吸気バルブ18の閉弁期間における位置に到達するタイミングの目標値である。ここで、回転速度NEが異なると、吸気通路12内の流体の流速の変化をもたらすことから燃焼室24内に流入することなく吸気系に付着して留まる燃料量が異なることとなる。また、回転速度NEが異なると、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうち所定量の燃料が気化するまでに要する期間内におけるクランク軸28の回転量が異なることとなる。このため、PNを抑制するうえで適切な到達終了時期AEsは、回転速度NEに依存する。また、充填効率ηが異なると、ベース噴射量Qbが異なり、ひいては吸気系に付着する燃料量が異なることとなる。また、充填効率ηが異なると、吸気通路12内の圧力が変化し、燃料の霧化のしやすさが異なることとなる。このため、PNを抑制するうえで適切な到達終了時期AEsは、充填効率ηに依存する。また、水温THWが低い場合には高い場合よりも吸気系において燃料が気化しにくくなることによって燃焼室24内に流入することなく吸気系に付着して留まる燃料量が多くなることから、PNを抑制する上で最適な時期が遅角側にずれる。このため、PNを抑制する上で適切な到達終了時期AEsは、水温THWに依存する。また、吸気位相差DINに応じて吸気バルブ18と排気バルブ30とのオーバーラップ量が変化することによって内部EGR量が変化することから、吸気系の温度が上昇して吸気系における燃料の気化のしやすさが変化したり、燃焼室24に流入することなく吸気系に付着して留まる燃料量が変化したりする。このため、PNを抑制する上で適切な到達終了時期AEsは、吸気位相差DINに依存する。
詳しくは、回転速度NE、充填効率η、吸気位相差DINおよび水温THWを入力変数とし、触媒活性時の到達終了時期AEsaを出力変数とするマップデータが予めROM54に記憶された状態でCPU52により到達終了時期AEsaがCPU52によりマップ演算され、これが到達終了時期AEsとされる。
これに対し、CPU52は、閾値Cth未満であると判定する場合(S20:NO)、触媒活性前の到達終了時期AEsbを算出して到達終了時期AEsとする(S24)。詳しくは、回転速度NE、充填効率η、吸気位相差DINおよび水温THWを入力変数とし、触媒活性前の到達終了時期AEsbを出力変数とするマップデータが予めROM54に記憶された状態でCPU52により到達終了時期AEsbがCPU52によりマップ演算され、これが到達終了時期AEsとされる。なお、触媒活性前の到達終了時期AEsbは、触媒34が活性状態にあるときの到達終了時期AEsbよりも進角側の値とされている。
CPU52は、S22,S24の処理が完了する場合、到達終了時期AEsと同期噴射量Qsと回転速度NEとに基づき、吸気同期噴射の噴射開始時期Is(クランク角度)を算出する(S26)。ここで、CPU52は、同期噴射量Qsが大きい場合に小さい場合よりも噴射開始時期Isをより進角側の値に算出する。また、CPU52は、回転速度NEが大きい場合に小さい場合よりも噴射開始時期Isをより進角側の値とする。詳しくはCPU52は、同期噴射量Qsから定まるポート噴射弁16による噴射期間と飛行時間と無効噴射時間とを加算した値だけ、到達終了時期AEsに対して進角したタイミングを噴射開始時期Isとする。ここで、飛行時間とは、ポート噴射弁16から噴射された燃料が燃焼室24の入口INに到達するまでの所要時間のことであり、本実施形態では固定値としている。また、無効噴射時間とは、ポート噴射弁16を開弁させる操作信号MS2を出力した後、実際に燃料の噴射が開始されるまでの時間のことである。
次にCPU52は、噴射開始時期Isに基づき、吸気非同期噴射の噴射開始時期Insを算出する(S28)。ここでは、吸気非同期噴射の噴射終了時期と噴射開始時期Isとの時間間隔が上記所定時間以上となるようにする。
上記処理により、吸気同期噴射の噴射開始時期Isが、吸気非同期噴射の噴射開始時期Insとは独立に設定される。これは、吸気同期噴射の上記到達終了時期AEsが排気中のPNやHCに特に影響しやすいためである。
そして、CPU52は、噴射開始時期Insとなると非同期噴射量Qnsの燃料を噴射し、次に噴射開始時期Isとなると同期噴射量Qsの燃料を噴射すべく、ポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S30)。
一方、CPU52は、マルチ噴射処理の要求がないと判定する場合(S14:NO)、シングル噴射の噴射開始時期Isinを算出する(S32)。詳しくは、CPU52は、図3(b)に示すように、吸気バルブ18の開弁開始時期に対して所定量Δ1だけ進角したタイミングを到達終了時期AEnsとする。次にCPU52は、要求噴射量Qdから定まるポート噴射弁16による噴射期間と、飛行時間と無効噴射時間とを加算した値だけ、到達終了時期AEnsに対して進角したタイミングを噴射開始時期Isinとする。図4に戻り、CPU52は、噴射開始時期Isinとなると要求噴射量Qdの燃料を噴射すべくポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S30)。
なお、CPU52は、S30の処理が完了する場合には、図4に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU52は、マルチ噴射処理の実行要求がある場合において、暖機カウンタCが閾値Cth以上である場合と比較して閾値Cth未満である場合には到達終了時期AEsをより進角側の値とする。これは、図5に示すように、触媒34の温度が低い場合には高い場合よりもHCの浄化率が低い一方、図6に示すように、到達終了時期AEsが進角側であるほどHCの排出が抑制されるためである。
図6は、到達終了時期AEs,AEnsと排気中のPNの濃度およびHCの濃度との関係を示す。詳しくは、到達終了時期AEsに関するPNおよびHCの値は、「マルチ噴射時」と記載されているものであり、到達終了時期AEnsに関するPNおよびHCの値は、「シングル噴射時」と記載されているものである。図6に実線の縦線にて示すPNを抑制する上で最適な到達終了時期AEsに対して、図6に破線にて示すHCを抑制する上で適切な到達終了時期AEsの方が進角側の値となる。これは、到達終了時期AEsが進角側の値であるほど、燃料が霧化する時間的な余裕ができるためであると考えられる。
CPU52は、触媒34の温度が低い場合には、HCを抑制する上で適切な到達終了時期AEsbを用いることにより、排気中のHCを抑制し、ひいては触媒34の下流に流出するHCを抑制する。この場合、触媒34の下流に流出したPMは、GPF36によって捕集される。これに対しCPU52は、触媒34の温度が高くなると、PNを抑制する上で適切な到達終了時期AEsaを用いることにより、排気中のPNを抑制する。この場合、排気中のHCは、触媒34によって十分に浄化される。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、噴射弁操作処理M30の処理の手順を示す。図7に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図7において、図4に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
CPU52は、非同期噴射量Qnsを算出すると(S18)、回転速度NE、充填効率η、吸気位相差DINおよび水温THWに基づき到達終了時期AEsを算出する(S22a)。ここでの到達終了時期AEsは、PNを抑制する上で適切な時期であり、S22の処理によって算出される到達終了時期AEsaに相当する。次にCPU52は、暖機カウンタCが閾値Cth以上であるか否かを判定する(S20)。そしてCPU52は、閾値Cth以上であると判定する場合(S20:YES)、S22aの処理によって算出した到達終了時期AEsを用いて噴射開始時期Isを算出する(S26)。
これに対しCPU52は、閾値Cth未満と判定する場合(S20:NO)、水温THWおよび回転速度NEに基づき、到達終了時期AEsの遅角ガード値AEthを算出する(S34)。遅角ガード値AEthは、触媒34の活性前において排気中のHC濃度を許容範囲内とするうえでの最も遅角側の角度に応じて設定されている。詳しくは、回転速度NEおよび水温THWを入力変数とし遅角ガード値AEthを出力変数とするマップデータが予めROM54に記憶された状態でCPU52により遅角ガード値AEthがマップ演算される。
次にCPU52は、S22aの処理によって算出した到達終了時期AEsと遅角ガード値AEthとのうちの進角側の方を、到達終了時期AEsに代入する(S36)。具体的には、到達終了時期AEsを、基準となる角度に対する相対角度にて表現し、基準となる角度よりも進角側において正の値とし、到達終了時期AEsと遅角ガード値AEthとのうちの小さくない方の値が到達終了時期AEsに代入される。
そしてCPU52は、S36の処理において算出した到達終了時期AEsを用いて噴射開始時期Isを算出する(S26)。
このように本実施形態では、HCを抑制する上で適切な到達終了時期AEsを、遅角ガード値AEthに基づき定めている。これにより、HCを抑制する上で適切な時期自体は、PNを抑制する上で適切な時期ほどには、吸気位相差DINや充填効率ηの影響を受けにくいことに鑑み、図4のS24の処理と比較してHCを抑制する上で適切な時期であってPNを極力抑制可能な到達終了時期AEsを簡易に適合することができる。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]マルチ噴射処理は、S28の処理に引き続き実行されるS30の処理に対応する。進角処理は、図4のS20〜S24の処理や、図7のS22a,S20,S34,S36の処理に対応する。[2]バルブ特性可変装置は、吸気側バルブタイミング調整装置44に対応し、バルブ特性制御処理は、目標吸気位相差算出処理M12および吸気位相差制御処理M14に対応する。可変処理は、図4のS22,S24の処理や、図7のS22aの処理に対応する。[3]要求噴射量算出処理は、S12の処理に対応する。[4]吸気系の温度は、水温THWに対応する。[5]基準時期設定処理は、S22aの処理に対応し、ガード値設定処理は、S34の処理に対応し、低温用時期設定処理は、S36の処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・「ガード値設定処理」
上記実施形態では、水温THWおよび回転速度NEに基づき遅角ガード値AEthを算出したが、これに限らない。たとえば、水温THWのみに基づき遅角ガード値AEthを算出するなど、水温THWおよび回転速度NEの2つのパラメータに関しては、それらのうちの1つのみを用いて遅角ガード値AEthを算出してもよい。
・「可変処理について」
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THW、吸気位相差DINに基づき、到達終了時期AEs,AEsa,AEsbを設定したが、これに限らない。燃焼室24内に充填される空気量を示すパラメータ(負荷を示すパラメータ)として、充填効率ηに代えて、たとえばベース噴射量Qbを用いてもよい。また、回転速度NE、負荷、水温THWおよび吸気位相差DINの4つのパラメータに関しては、それらのうちの3つのパラメータのみに基づき、到達終了時期AEs,AEsa,AEsbを可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。またたとえば、回転速度NE、負荷、水温THWおよび吸気位相差DINの4つのパラメータに関しては、吸気位相差DINのみに基づき到達終了時期AEs,AEsa,AEsbを可変設定するなど、1つのパラメータのみに基づき可変設定してもよい。
またたとえば到達終了時期AEs,AEsa,AEsbを算出する代わりに、吸気バルブ18の開弁開始時期に対する遅延量を設定してもよい。この際、到達終了時期AEsの算出に用いるパラメータのうち吸気位相差DIN以外のパラメータに基づき遅延量を可変設定してもよい。
到達終了時期AEs,AEsa,AEsbや遅延量を算出した後、噴射開始時期Isを算出するものに限らない。たとえば、回転速度NE、負荷、水温THWおよび吸気位相差DINの4つのパラメータに関しては、たとえば吸気位相差DIN等の1つのパラメータを入力変数とし噴射開始時期Isを出力変数とするマップデータに基づき噴射開始時期Isを算出してもよい。また、たとえば上記4つのパラメータに関しては、回転速度NEおよび充填効率η等の2つのパラメータを入力変数とし噴射開始時期Isを出力変数とするマップデータに基づき噴射開始時期Isを算出してもよい。この場合、算出した噴射開始時期Isを水温THWに応じて補正してもよい。またたとえば、上記4つのパラメータに関しては、回転速度NE、充填効率ηおよび吸気位相差DIN等の3つのパラメータを入力変数とし噴射開始時期Isを出力変数とするマップデータに基づき噴射開始時期Isを算出してもよい。この場合、算出した噴射開始時期Isを水温THWに応じて補正してもよい。またたとえば、回転速度NE、充填効率η、吸気位相差DINおよび水温THWを入力変数とし噴射開始時期Isを出力変数とするマップデータに基づき噴射開始時期Isを算出してもよい。
・「触媒の温度について」
上記実施形態では、暖機カウンタCによって触媒34の温度を把握したが、これに限らない。たとえば吸入空気量Gaの単なる積算値を用いてもよい。ここでの積算値の更新処理は、積算値の大きさに寄らずに、吸入空気量Gaによって一義的に定まる更新量にて積算値を更新する処理である。またたとえば、触媒34に熱電対等の温度センサを備えてその検出値を用いてもよい。
・「吸気系の温度について」
上記実施形態では、吸気系の温度として水温THWを用いたが、これに限らない。たとえば内燃機関10の潤滑油の温度を用いてもよい。
・「要求噴射量について」
要求噴射量Qdを、低温増量係数Kwや、フィードバック補正係数KAFに加えて、学習値LAFによってベース噴射量Qbが補正されたものとしてもよい。ちなみに、学習値LAFの算出処理は、フィードバック補正係数KAFを入力とし、フィードバック補正係数KAFによるベース噴射量Qbの補正比率が小さくなるように学習値LAFを更新する処理である。なお、学習値LAFは、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されることが望ましい。
また、たとえば外乱燃料割合に基づくフィードフォワード制御によって、外乱燃料割合が大きい場合に小さい場合よりも要求噴射量Qdが小さくなるようにして要求噴射量Qdを算出してもよい。ここで、外乱燃料割合とは、1燃焼サイクル内においてポート噴射弁16から噴射される燃料以外に内燃機関10の燃焼室24に流入する燃料(外乱燃料)の量の燃焼室24内に流入する燃料総量に対する割合である。また、外乱燃料としては、たとえばポート噴射弁16から噴射される燃料を貯蔵する燃料タンクからの燃料蒸気を捕集するキャニスタと、キャニスタ内の流体の吸気通路12への流入量を調整する調整装置とを内燃機関が備える場合、キャニスタから吸気通路12に流入する燃料蒸気がある。またたとえば、クランクケース内の燃料蒸気を吸気通路12に戻すシステムを備える場合には、クランクケースから吸気通路12に流入する燃料蒸気がある。
なお、内燃機関10の冷間始動時においては、充填効率ηによらず、噴射量が多くなることから、やはりシングル噴射処理を実行するとPNが増加する傾向がある。このため、始動時においてエアフローメータ62によって吸入空気量Gaを精度良く把握できないことから吸入空気量Gaによらず水温THWに基づき要求噴射量Qdを定める場合であっても、マルチ噴射処理を実行してもよい。この場合であっても、触媒34の温度が低い場合には高い場合よりも吸気同期噴射の噴射開始時期Isを進角側とすることが有効である。
・「マルチ噴射処理の吸気非同期噴射について」
上記実施形態では、吸気非同期噴射を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとしたが、これに限らない。たとえば回転速度NEが高くて且つ非同期噴射量Qnsが過度に多い場合、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の開弁期間と重複してもよい。
・「シングル噴射処理について」
上記実施形態では、シングル噴射処理を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとしたがこれに限らない。たとえば、要求噴射量Qdが大きい場合には、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の開弁期間と重複することがあってもよい。なお、シングル噴射処理を実行することは必須ではない。
・「要求噴射量の分割手法について」
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、同期噴射量Qsを可変設定したが、これに限らない。たとえば、燃焼室24内に充填される空気量を示すパラメータである負荷パラメータとして、充填効率ηに代えて、ベース噴射量Qbを用いてもよい。また、負荷パラメータと回転速度NEと水温THWと吸気位相差DINとの4つのパラメータについては、それらのうちの3つパラメータのみに基づき可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。なお、この際、負荷パラメータおよび水温THWのうちの少なくとも1つを極力用いて可変設定することが望ましい。また、上記4つのパラメータ以外にたとえば、吸気圧や、吸入空気の流速を用いてもよい。ただし、上記4つのパラメータによれば、吸気圧や吸入空気の流速を把握することができる。
また、同期噴射量Qsを算出することによって要求噴射量Qdを分割すること自体必須ではなく、たとえば負荷等に応じてベース噴射量Qbに対する同期噴射量Qsの割合である同期噴射割合Ksを定めてもよい。さらに、たとえばベース噴射量Qbがフィードバック補正係数KAFによって補正された値「KAF・Qb」を、同期噴射割合Ksによって分割したものを同期噴射量Qsとしてもよい。この場合、同期噴射量Qsは、「Ks・KAF・Qb」となる。
・「バルブ特性制御処理について」
上記実施形態では、回転速度NEおよび充填効率ηに応じて目標吸気位相差DIN*を可変設定したが、これに限らない。たとえば、水温THWが低い場合には、例外的に回転速度NEおよび充填効率ηに応じて定まる吸気バルブ18の開弁タイミングに対して実際のタイミングを遅角側に制限するなどしてもよい。
・「吸気バルブの特性可変装置について」
吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置としては、吸気側バルブタイミング調整装置44に限らない。たとえば、吸気バルブ18のリフト量を変更するものであってもよい。この場合、吸気バルブ18のバルブ特性を示すパラメータは、吸気位相差DINに代えて、リフト量等となる。
・「制御装置について」
制御装置がCPU52とROM54とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
・「そのほか」
内燃機関10が吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置を備えることは必須ではない。内燃機関10がスロットルバルブ14を備えることは必須ではない。
GPF36を備えることは必須ではない。
10…内燃機関、12…吸気通路、14…スロットルバルブ、16…ポート噴射弁、18…吸気バルブ、20…シリンダ、22…ピストン、24…燃焼室、26…点火装置、28…クランク軸、30…排気バルブ、32…排気通路、34…触媒、36…GPF、38…タイミングチェーン、40…吸気側カム軸、42…排気側カム軸、44…吸気側バルブタイミング調整装置、50…制御装置、52…CPU、54…ROM、56…電源回路、60…クランク角センサ、62…エアフローメータ、64…空燃比センサ、66…吸気側カム角センサ、68…水温センサ。

Claims (5)

  1. 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁と、排気通路に排出された排気を浄化する触媒とを備える内燃機関に適用され、
    空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量の燃料を噴射すべく前記ポート噴射弁を操作して、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、
    前記触媒の温度が低い場合には前記触媒の温度が高い場合よりも前記吸気同期噴射の噴射時期を進角させる進角処理と、を実行する内燃機関の制御装置。
  2. 前記内燃機関は、吸気バルブのバルブ特性を可変とするバルブ特性可変装置を備え、
    前記バルブ特性可変装置を操作して前記吸気バルブの開弁開始時期を可変制御するバルブ特性制御処理と、
    前記開弁開始時期に応じて前記吸気同期噴射の噴射時期を可変設定する可変処理と、を実行する請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記内燃機関の気筒内に充填される空気量に基づき前記要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理を実行し、
    前記可変処理は、前記吸気同期噴射の噴射時期を、前記開弁開始時期に加えて、前記内燃機関のクランク軸の回転速度および前記内燃機関の負荷に応じて可変設定する処理を含む請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記可変処理は、前記開弁開始時期、前記回転速度、および前記負荷に加えて、前記内燃機関の吸気系の温度に応じて前記吸気同期噴射の噴射時期を可変設定する処理である請求項3記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記可変処理は、
    前記開弁開始時期に基づき前記吸気同期噴射の噴射時期を設定する基準時期設定処理と、
    前記内燃機関の吸気系の温度に応じて前記触媒の温度が規定値未満である場合の遅角ガード値を設定するガード値設定処理と、
    前記触媒の温度が前記規定値未満の場合に前記基準時期設定処理によって設定される噴射時期と前記遅角ガード値とのうちのより進角側の時期を前記吸気同期噴射の噴射時期に設定する低温用時期設定処理と、を含み、
    前記触媒の温度が規定値以上である場合、前記基準時期設定処理によって設定される噴射時期を、前記吸気同期噴射の噴射時期に設定する処理である請求項2〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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