JP2015057635A - ズーム機構を備える光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レンズ或いは光量調整部材等の光学部材の繰り出しストロークが長い仕様においても、光学装置の大型化を回避しつつ、また、光学装置内の部品を傷付けることなく、起動時間の短縮が可能な光学装置を提供する。【解決手段】撮影レンズ鏡筒2において、絞りユニット8と2群鏡筒9はフレキシブル基板8a・9aにより鏡筒フレキシブル基板16と電気接続され、固定筒13と撮像素子保持部材14により形成される引き出し口からフレキシブル基板8・9が固定筒13の外側へ引き出される。撮像素子保持部材14の被写体側にフレキシブル基板8・9を内径側に案内する凸形状部14aを設け、撮像素子保持部材14の撮像面側にフレキシブル基板8・9を外径側に収納するための凹形状部14bを設け、フレキシブル基板8・9をS字形状にして撮影レンズ鏡筒2内に収納する。【選択図】図7

Description

本発明は、ズーム機構を備える光学装置に関する。
複数の光学レンズを光軸方向に移動させて撮影倍率を変更するズーム機構を備える撮影レンズ鏡筒等の光学装置を備えた撮像装置が知られている。撮影レンズ鏡筒のズーム機構としては、例えば、レンズを保持するレンズ保持枠を回転するカム筒のカム溝に係合させると共に、直進筒によってレンズ保持枠の回転を規制して、レンズ保持枠を光軸方向に移動させるものが知られている。
ズーム機構を備える撮影レンズ鏡筒では、レンズスペックの向上に伴い、撮影レンズ鏡筒自体は小型化される傾向にある。しかし、撮影レンズ鏡筒の小型化に伴い、撮影レンズ鏡筒内外でのフレキシブル基板による電気接続が必要な光量調整部材の繰り出し時と収納時のストローク(操り出し量)が増大している。そのため、ストロークに対応した長いフレキシブル基板を、従来から一般的に用いられているU字型に納めることが難しくなってきている。
撮影レンズ鏡筒を大型化させることなく沈胴時の撮影レンズ鏡筒内のスペースに長いフレキシブル基板を収納するために、撮影レンズ鏡筒内のスペース自体を拡大する方法や長いフレキシブル基板を効率的に畳み込む方法について多くの検討がなされている。例えば、撮影レンズ鏡筒の沈胴時には、撮像装置は非撮影状態である。このことを利用して、撮影レンズ鏡筒の沈胴時に、フレキシブル基板の一部を撮影レンズ鏡筒の有効光路内に侵入させる技術が提案されている(特許文献1参照)。この技術は、撮影レンズ鏡筒が撮影状態である時にのみ必要となる空間を撮影レンズ鏡筒の沈胴時に効率的に利用することで、フレキシブル基板の収納スペースを実質的に拡大するものである。
特開平9-211284号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、フレキシブル基板のように可撓性を有し、収納状態が安定しない部材を撮影レンズ鏡筒の有効光路内に侵入させている。そのため、フレキシブル基板を撮影レンズ鏡筒の有効光路内に侵入させた際に、フレキシブル基板がレンズに当接して、レンズを傷付けてしまうおそれもある。また、撮影レンズ鏡筒の有効光路内にフレキシブル基板を侵入させた場合、撮像装置の電源をオンしてから撮像素子に写り込む被写体像を出力するまでの時間に、フレキシブル基板が完全に有効光路内から退避させる必要がある。したがって、撮像装置の起動時間が長くなってしまうという問題が生じる。
本発明は、レンズ或いは光量調整部材等の光学部材の繰り出しストロークが長い仕様においても、光学装置の大型化を回避しつつ、また、光学装置内の部品を傷付けることなく、起動時間の短縮が可能な光学装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の光学装置は、光学部材を保持し、前記光学部材の光軸方向に移動することができる保持部材と、前記保持部材の外径側に配置される固定部材と、フレキシブル基板が接続され、前記保持部材と同じように前記光軸方向に移動することができる電気ユニットと、を備え、前記固定部材には、引き出し部の少なくとも一部と、凸形状部と、凹形状部が前記光軸方向に並んで形成され、前記フレキシブル基板は、前記引き出し部から引き出され、前記凸形状部は、前記引き出し部より像面側に位置し、前記引き出し部より内径側に突出して形成され、前記凹形状部は、前記凸形状部より像面側に位置し、前記引き出し部より外径側に凹んで形成され、前記光学装置が収納状態へ移行する間に、前記フレキシブル基板は前記凸形状部の少なくとも一部と接触して、前記フレキシブル基板の第1の曲げ部が内径側に突出し、前記フレキシブル基板の第2の曲げ部が前記凹形状部に収納されることを特徴とする。
本発明によれば、光学装置が沈胴状態にあるときに、フレキシブル基板を固定部材に設けた凸形状部と凹形状部とによりS字形状にして収納するため、光学装置の有効光路内にフレキシブル基板が収納されることはない。そのため、光学装置の大型化を回避することができ、また、光学装置内の部品を傷付けることがない。更に、光学装置を起動して撮像素子に写り込む被写体像を出力する際、光学装置の有効光路内からフレキシブル基板が退避するのを待つ必要がないため、レンズ或いは光量調整部材等の光学部材の繰り出しストロークが長くなるハイスペックな仕様においても、起動時間を短くすることができる。
本発明の実施形態に係る光学装置としての撮影レンズ鏡筒を備える撮像装置の外観斜視図である。 図1の撮像装置が備える撮影レンズ鏡筒の分解斜視図である。 図2の撮影レンズ鏡筒が備える第1実施形態に係る撮像素子保持部材の構造を示す斜視図である。 図3の撮像素子保持部材に図2に示す撮影レンズ鏡筒の一部の部材を組み付けた状態を示す斜視図である。 図2の撮影レンズ鏡筒が撮影状態のTELE(望遠)位置にあるときの断面図である。 図2の撮影レンズ鏡筒が撮影状態のWIDE(広角)位置にあるときの断面図である。 (a)は、図2の撮影レンズ鏡筒が非撮影状態(沈胴状態)にあるときの断面図であり、(b)は、(a)の一点鎖線で示すA部の要部を示す図である。 第2実施形態に係る撮像素子保持部材の構造を示す斜視図である。 図8の撮像素子保持部材にフレキシブル基板のみを配置した状態を示す斜視図である。 第3実施形態に係る撮像素子保持部材の構造を示す斜視図である。 図10の撮像素子保持部材にフレキシブル基板のみを配置した状態を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る光学装置としての撮影レンズ鏡筒2を備える撮像装置100の外観斜視図である。なお、本発明に係る光学装置は、図1に示した撮像装置100の外観構成を有するものに限定されるものではない。
撮像装置100のカメラ本体1の前面には、撮影レンズ(不図示)の焦点距離を変更可能な撮影レンズ鏡筒2が配置されている。撮影レンズ鏡筒2の前面には、撮像装置100の電源ON/OFFに従って撮影レンズの光路を開閉するレンズバリア装置3が設けられている。カメラ本体1の上面には、被写体に照明光を照射するストロボ装置を構成する発光窓部4が配置されており、カメラ本体1の前面には、ファインダ窓5が設けられている。カメラ本体1の上面には、撮影準備動作(焦点調節動作、測光動作等)と撮影動作(フィルムやイメージセンサ(撮像素子)への露光)を開始させるためのレリーズボタン6が設けられている。
<第1実施形態>
図2は、図1の撮像装置100が備える撮影レンズ鏡筒2の分解斜視図である。撮影レンズ鏡筒2は、1群鏡筒7、絞りユニット8、2群鏡筒9、移動カム環10、直進筒11、3群鏡筒12、固定筒13、撮像素子保持部材14、鏡筒駆動モータ15及び鏡筒フレキシブル基板16を備える。
1群鏡筒7は、1群撮影レンズL1(図5乃至図7(b)参照:光学部材)を保持し、レンズバリア装置3を備える。絞りユニット8は、光量調整部材の1つである絞り部材(電気ユニット・光量調整ユニット)を備え、1群撮影レンズL1に入射し、フィルムやイメージセンサへ導かれる光量を調節する。また、絞りユニット8は、絞りユニット8の駆動部に這い回された絞りフレキシブル基板8aを備える。2群鏡筒9は、2群撮影レンズL2(図5乃至図7(b)参照)を保持し、防振レンズ機構と光量調整部材の1つであるシャッタ部材を備える。また、2群鏡筒9には、2群鏡筒9のシャッタ駆動部に這い回されたシャッタフレキシブル基板9aを備える。
移動カム環10は、1群鏡筒7、絞りユニット8及び2群鏡筒9を光軸方向に移動させるための駆動カム(カム溝)を内周部に備えると共に、鏡筒駆動モータ15より動力を伝達されるギア部を備える。直進筒11は、移動カム環10に回転可能に保持され、1群鏡筒7、絞りユニット8及び2群鏡筒9を直進規制する。3群鏡筒12は、3群撮影レンズL3(図5乃至図7(b)参照)を保持する。固定部材の1つである固定筒13は、内周部に移動カム環10を駆動するための駆動カムを備える。固定部材の1つである撮像素子保持部材14は、撮像素子(CCDセンサ或いはCMOSセンサ等のイメージセンサ)を保持し、光軸方向において固定筒13と結合される。
鏡筒フレキシブル基板16は、撮影レンズ鏡筒2全体に備わる駆動部材を電気接続するメイン基板である。絞りフレキシブル基板8aとシャッタフレキシブル基板9aは、固定筒13の外径側において、後述するように、鏡筒フレキシブル基板16とコネクタ接続される。なお、本発明に係る撮影レンズ鏡筒は、以下に説明する本発明の特徴を満たす構成であればよく、図2に示される構成に限定されるものではない。
次に、図3及び図4を参照して、絞りユニット8の絞りフレキシブル基板8aと2群鏡筒9のシャッタフレキシブル基板9aの這い回しと固定方法について説明する。図3は、図2の撮影レンズ鏡筒2が備える第1実施形態に係る撮像素子保持部材14の構造を示す斜視図であり、撮像素子保持部材14には、以下に説明する通り、絞りフレキシブル基板8aとシャッタフレキシブル基板9aの収納に必要な形状部が設けられている。なお、下記説明において、絞りフレキシブル基板8aとシャッタフレキシブル基板9aの2つのフレキシブル基板を指すときには、適宜、「フレキシブル基板8a・9a」と記すこととする。
撮像素子保持部材14は、フレキシブル基板8a・9aを収納する、光軸方向に伸びる壁部材141を有する。壁部材141の被写体側には、後述する引き出し口の径方向位置より内径側に突出する略半円形状の凸形状部14aが設けられており、凸形状部14aの撮像面側には上記引き出し口の径方向位置より外径側にフレキシブル基板8a・9aを収容するための凹形状部14bが設けられている。凸形状部14aは、金型成形により、光軸方向の被写体側と撮像面側にそれぞれ金型を抜いて成形されるため、凸形状部14aの形成には、凸形状部14aの撮像面側に凸形状部14aの光軸方向への投影面積よりも大きい面積を有する穴部14gを底面14eに設けることが必要となる。この場合、フレキシブル基板8a・9aの収納時に穴部14gからフレキシブル基板8a・9aが飛び出してしまうことを防ぐ必要があるため、撮影レンズ鏡筒2の撮像面側周辺部材の平らな面を利用し或いは不図示のシート部材を用いて穴部14gを塞いでいる。
図4は、図3の撮像素子保持部材14に図2に示す撮影レンズ鏡筒2の一部の部材を組み付けた状態を示す斜視図である。図4では、構造の理解が容易となるように、撮像素子保持部材14に絞りユニット8、2群鏡筒9及び固定筒13のみを組み付けて鏡筒フレキシブル基板16を這い回した状態を示している。
フレキシブル基板8a・9aはそれぞれ、撮像素子保持部材14に組み込まれる前段階で、絞りフレキシブル基板8aの位置決め穴8bとシャッタフレキシブル基板9aの位置決め穴9bに固定筒13の位置決めダボ13aを通した状態で、位置が固定されている。フレキシブル基板8a・9aは、絞りユニット8と2群鏡筒9が最も繰り出すTELE(望遠)位置(図5参照)で、フレキシブル基板8a・9aに弛みが生じないように、撮像素子保持部材14と結合される。また、固定筒13の外面13cと撮像素子保持部材14の壁部材141の内面14d(適宜図3,図7(b)参照)とで形成される隙間(以下「引き出し口」という)から、フレキシブル基板8a・9aの先端部が固定筒13の外側に引き出される。
引き出し口から固定筒13の外側にその先端部が引き出されたフレキシブル基板8a・9aはそれぞれ、鏡筒フレキシブル基板16に実装された絞りコネクタ部16bとシャッタコネクタ部16aに接続され、これにより、撮影レンズ鏡筒2内外の電気的導通が取られる。ここで、フレキシブル基板8a・9aを位置決めしている固定筒13の位置決めダボ13aは、撮像素子保持部材14との組み込み後に、撮像素子保持部材14のスリット部14cに入り込む。そのため、フレキシブル基板8a・9aが位置決めダボ13aから外れる方向に動いても、撮像素子保持部材14の壁部材141の内面14dに規制されることとなり、抜け止めがなされる。なお、本実施形態では、固定筒13にフレキシブル基板8a・9aの位置を固定する位置決めダボ13aが設けられ、撮像素子保持部材14にこの位置決めダボ13aを入り込ませるスリット部14cが設けられていたが、逆の構成、すなわち、撮像素子保持部材14にフレキシブル基板8a・9aの位置を固定する位置決めダボが設けられ、固定筒13にこの位置決めダボを入り込ませるスリット部を設けるようにしてもよい。このような構成は、後述する第2実施形態と第3実施形態においても適用することができる。
次に、図5乃至図7(b)を参照して、フレキシブル基板8a・9aの収納時の挙動について説明する。図5は、図2の撮影レンズ鏡筒2が撮影状態のTELE(望遠)位置にあるときの断面図である。図6は、図2の撮影レンズ鏡筒2が撮影状態のWIDE(広角)位置にあるときの断面図である。図7(a)は、図2の撮影レンズ鏡筒2が非撮影状態(沈胴状態)にあるときの断面図であり、図7(b)は、図7(a)の一点鎖線で示すA部の要部を示す図である。図5乃至図7(a)はいずれも、光軸を含み、フレキシブル基板8a・9aの挙動を確認できる位相で切った断面図である。
フレキシブル基板8a・9aは、絞りユニット8が有する絞りフレキシブル基板8aが、絞りユニット8より撮像面側に位置する2群鏡筒9が有するシャッタフレキシブル基板9aより外径側を通る位置関係にある。
図5のTELE位置では、絞りユニット8と2群鏡筒9は最大繰り出し位置にある(被写体側に最も繰り出した状態にある)ため、フレキシブル基板8a・9aは最も伸びた状態となっている。フレキシブル基板8a・9aの全長は、絞りユニット8と2群鏡筒9が最大繰り出し位置にあるときの、絞りユニット8及び2群鏡筒9と撮像素子保持部材14との位置関係によって決まる。
撮影レンズ鏡筒2を図5のTELE位置から繰り込み方向に動かしていく(収納状態へ移行する)と、絞りユニット8と2群鏡筒9は共に、徐々に撮像面側に移動していく。その際、フレキシブル基板8a・9aは、引き出し口の径方向位置に中心がある略半円形状で且つ引き出し口の径方向位置より内径側に突出するように撮像素子保持部材14に設けられた凸形状部14aに当接し、凸形状部14aの円弧形状に沿うように撮影レンズ鏡筒2の内径側に案内され、巻き取られていく。更に絞りユニット8と2群鏡筒9が繰り込み方向へ移動すると、フレキシブル基板8a・9aは、撮像素子保持部材14の底面14eに当接するまでは、凸形状部14aの円弧頂点から撮像面側に真っ直ぐに下りて、U字形状となる。
フレキシブル基板8a・9aが撮像素子保持部材14の底面14eに当接してから更に絞りユニット8と2群鏡筒9の繰り込みが進むと、底面14eに対するフレキシブル基板8a・9aの当接面積が増えていく。つまり、フレキシブル基板8a・9aが、図6の上下方向に広がっていき、絞りユニット8と2群鏡筒9を更に繰り込むと、フレキシブル基板8a・9aの一部が撮像素子保持部材14の傾斜部14fに乗り上げる。そして、フレキシブル基板8a・9aは、絞りユニット8と2群鏡筒9が撮像面側に移動する力が推進力となって、撮像素子保持部材14の傾斜部14fからの分力を図6の矢印X方向に受けて滑って行く。
なお、図6は、フレキシブル基板8a・9aが矢印X方向に分力を受けて少し動いた後の状態を示しており、フレキシブル基板8a・9aの一部が、撮像素子保持部材14の凸形状部14aに沿って凸形状部14aの円弧頂点から撮像面側に入り込んでいる。
図6のWIDE位置から絞りユニット8と2群鏡筒9が更に撮像面側に繰り込んで図7(a)の沈胴状態になると、撮像素子保持部材14の凸形状部14aより撮像面側に施された凹形状部14bにフレキシブル基板8a・9aが入り込み、収納が完了する。ここで、凸形状部14aは、前述したように、フレキシブル基板8a・9aの引き出し口の径方向位置より内径側に突出しており、凹形状部14bは引き出し口の径方向位置より外径側に切り欠かれている。そのため、凸形状部14aと凹形状部14bに沿って収納されたフレキシブル基板8a・9aは、図7(a)に示す第1の曲げ部及び第2の曲げ部を含むS字形状を成している。すなわち、フレキシブル基板8a・9aは凸形状部14aの少なくとも一部と接触して、フレキシブル基板8a・9aの第1の曲げ部が内径側に突出し、フレキシブル基板8a・9aの第2の曲げ部が凹形状部14bに収納される。よって、従来のフレキシブル基板が引き出し口から真っ直ぐに撮像面側に下してU字形状に収納されるのに対して、フレキシブル基板8a・9aは引き出し口の径方向位置より内径側および外径側に膨らんだ状態で収納されるので、その膨らんだ長さの差分だけフレキシブル基板8a・9aの長さを長くすることができる。
撮像素子保持部材14に設けられた凸形状部14aと凹形状部14bのそれぞれの光軸方向の最大長さは、フレキシブル基板8a・9aの力学的安定性を考慮すると、略同一である(図7(a)中の長さL,L’)であることが望ましい。また、凸形状部14aの曲率半径Rは、沈胴状態におけるフレキシブル基板8a・9aの曲げ負荷を減らすために、凸形状部14aとフレキシブル基板8a・9aとの距離と、凹形状部14bとフレキシブル基板8a・9aとの距離を等しく保てる範囲で大きい方がよく、例えば、凸形状部14aの曲率半径RをR≒L/2、とすることができる。
なお、本実施形態では、フレキシブル基板8a・9aをS字形状で収納するための凸形状部14aと凹形状部14bを撮像素子保持部材14のみで形成したが、凸形状部14aと凹形状部14bを固定筒13のみに形成し、或いは、凸形状部14aと凹形状部14bを撮像素子保持部材14と固定筒13の両方で形成する構成としてもよい。このような構成は、後述する第2実施形態と第3実施形態においても適用することができる。
上記説明の通り、本実施形態では、撮影レンズ鏡筒2が沈胴状態にあるときに、フレキシブル基板8a・9aを、撮影レンズ鏡筒2の有効光路内に収納することなく、S字形状にして撮影レンズ鏡筒2の外周部に収納する構成としている。これにより、撮影レンズ鏡筒を大型化させることなく、従来よりも長いフレキシブル基板8a・9aの収納が可能になり、絞りユニット8と2群鏡筒9の繰り出しストロークが従来より長い撮影レンズ鏡筒への対応が可能になる。また、本実施形態によれば、撮影レンズ鏡筒2内の部品を傷付けることがなく、沈胴状態から撮像開始までの間のフレキシブル基板8a・9aの動きを考慮する必要がないため、起動時間を短くすることができる。
以下、図8乃至図11を用いて、凸形状部14a等の変形例について説明する。なお、図8乃至図11では、第1実施形態で説明した撮像素子保持部材14の部位と同じ部位については同じ符号を付すものとする。
<第2実施形態>
第1実施形態では、フレキシブル基板8a・9aを収納する凹形状部14bの撮像面側の部分は、フレキシブル基板8a・9aを撮影レンズ鏡筒2内に納めるための底部が設けられていない構造(底部14eに穴部14gが形成されている構造)となっている。そのため、前述の通り、撮影レンズ鏡筒2の撮像面側の部材の平らな面を利用し、或いは、不図示のシート部材を用いて、穴部14gを塞ぐ必要がある。この場合には、部品点数が増えて、コストアップを招いてしまうという問題や、周辺部材の表面に対してフレキシブル基板8a・9aを滑らせるときの摩擦による損傷等が懸念される。
この問題を解決するために、第2実施形態では、撮像素子保持部材14の凸形状部14aを変形させ、凹形状部14bの撮像面側に形成された穴部14gに、フレキシブル基板8a・9aを撮影レンズ鏡筒2内に納めるための底部を設けた構造としている。
図8は、第2実施形態に係る撮像素子保持部材24の構造を示す斜視図である。撮像素子保持部材24では、第1実施形態に係る撮像素子保持部材14と異なり、穴部14gの中央に、底面14eに繋がる底部24hが設けられており、凸形状部14aの中央には、底部24hの幅と同じか又はそれ以上の幅の貫通部24iが設けられている。従って、底部24hを光軸方向の被写体側に投影すると、底部24hが貫通部24iの範囲内に概ね収まる。
底部24hを金型成形により形成する際には、光軸方向の被写体側に金型を抜く必要があるため、凸形状部14aにはその金型を通すための形状が必要になる。そこで、撮像素子保持部材24では、貫通部24iを利用して金型を通すことができるようになっている。底部24hは、フレキシブル基板8a・9aを撮影レンズ鏡筒2の外側に飛び出すことを防止すると共に、凹形状部14bの方向へ滑る際に、摩擦抵抗の原因となる表面粗さを適正に管理する役割を担う。
図9は、図8の撮像素子保持部材24にフレキシブル基板8a・9aのみを配置した状態を示す斜視図である。第1実施形態と同様に、撮像素子保持部材24でも、フレキシブル基板8a・9aの収納時には、フレキシブル基板8a・9aに凸形状部14aの円弧形状に沿う動きをさせる。このとき、凸形状部14aの中央に貫通部24iが設けられているため、シャッタフレキシブル基板9aの幅方向両端部が凸形状部14aに対する当接することとなる。また、撮像素子保持部材24の底部24hへは、シャッタフレキシブル基板9aの幅方向中央部が当接することとなる。このように、本実施形態では、シャッタフレキシブル基板9aの収納に、シャッタフレキシブル基板9aの幅方向両端部と幅方向中央部とを使い分けている。
なお、撮像素子保持部材24の凸形状部14aの貫通部24iは、凸形状部14aと接触するシャッタフレキシブル基板9aによって覆われる。そのため、絞りフレキシブル基板8aの幅は貫通部24iの幅より細くても構わない。
上記説明の通り、本実施形態でも、第1実施形態と同じ効果が得られる。また、本実施形態によれば、部品点数を削減することができ、フレキシブル基板8a・9aを滑らせるときの摩擦による損傷を抑制しつつ、フレキシブル基板8a・9aを撮影レンズ鏡筒2内に収納することができる。
<第3実施形態>
シャッタフレキシブル基板9aに防振用の配線パターンが設けられる場合には、シャッタフレキシブル基板9aの幅の更なる拡大が見込まれる。これに対応するために、第3実施形態では、第1実施形態で説明した撮像素子保持部材14を変形させる。
図10は、第3実施形態に係る撮像素子保持部材34の構造を示す斜視図である。撮像素子保持部材34では、第1実施形態に係る撮像素子保持部材14と異なり、穴部14g(図3参照)の両端に底面14eに繋がる底部34gが設けられており、2つの底部34gの間が、穴部14gに起因する貫通穴34hとなっている。凸形状部14aは、底部34gによって塞がれていない貫通穴34hの幅と同等かそれ以下の幅を残して両端部が削られたことにより、中央部だけに半円状突起部34fが形成された構造となっている。換言すれば、底部34gの幅と同じか又はそれ以上の幅で凸形状部14aが削られることにより、半円状突起部34fが形成されており、半円状突起部34fを光軸方向の撮像面側に投影すると、半円状突起部34fは貫通穴34hの範囲内に概ね収まる。
2つの底部34gを金型成形により形成する際には、光軸方向の被写体側に金型を抜く必要があるため、凸形状部14aにはその金型を通すための形状が必要となる。そこで、撮像素子保持部材34では、凸形状部14aにおける半円状突起部34fの両側を利用して金型を通すことができるようになっている。2つの底部34gは、フレキシブル基板8a・9aを撮影レンズ鏡筒2の外側に飛び出すことを防止すると共に、凹形状部14bの方向へ滑る際に摩擦抵抗の原因となる表面粗さを適正に管理する役割を担う。
図11は、図10の撮像素子保持部材34にフレキシブル基板8a・9aのみを配置した状態を示す斜視図である。撮像素子保持部材34では、凸形状部14aの両側が削られて、幅の狭い半円状突起部34fが形成された構造となっている。そのため、フレキシブル基板8a・9aの収納時には、シャッタフレキシブル基板9aの幅方向中央部を半円状突起部34fに当接させて、フレキシブル基板8a・9aに半円状突起部34fの円弧形状に沿う動きをさせる。一方、撮像素子保持部材34の2つの底部34gには、シャッタフレキシブル基板9aの幅方向両端部が当接する。このように、本実施形態でも、第2実施形態と同様に、シャッタフレキシブル基板9aを収納するために、シャッタフレキシブル基板9aの幅方向中央部と両端部とを使い分けている。
なお、撮像素子保持部材34の貫通穴34hは、底部34gと接触するシャッタフレキシブル基板9aによって覆われるため、絞りフレキシブル基板8aの幅は貫通穴34hの幅より細くても構わない。上記説明の通り、本実施形態でも、第2実施形態と同じ効果が得られる。
<その他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
2 撮影レンズ鏡筒
8 絞りユニット
8a 絞りフレキシブル基板
9 2群鏡筒
9a シャッタフレキシブル基板
13 固定筒
14,24,34 撮像素子保持部材
14a 凸形状部
14b 凹形状部
24h,34g 底部
24i 貫通部
34f 半円状突起部

Claims (9)

  1. 光学部材を保持し、前記光学部材の光軸方向に移動することができる保持部材と、
    前記保持部材の外径側に配置される固定部材と、
    フレキシブル基板が接続され、前記保持部材と同じように前記光軸方向に移動することができる電気ユニットと、
    を備え、
    前記固定部材には、引き出し部の少なくとも一部と、凸形状部と、凹形状部が前記光軸方向に並んで形成され、
    前記フレキシブル基板は、前記引き出し部から引き出され、
    前記凸形状部は、前記引き出し部より像面側に位置し、前記引き出し部より内径側に突出して形成され、
    前記凹形状部は、前記凸形状部より像面側に位置し、前記引き出し部より外径側に凹んで形成され、
    前記光学装置が収納状態へ移行する間に、前記フレキシブル基板は前記凸形状部の少なくとも一部と接触して、前記フレキシブル基板の第1の曲げ部が内径側に突出し、前記フレキシブル基板の第2の曲げ部が前記凹形状部に収納されることを特徴とする光学装置。
  2. 前記固定部材の前記凸形状部は、前記引き出し部の径方向位置を中心とした略半円形状で内径側に突出して形成されることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
  3. 前記固定部材に設けられた前記凸形状部と前記凹形状部のそれぞれの光軸方向の最大長さは略同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学装置。
  4. 前記凸形状部の曲率半径は、前記凸形状部の光軸方向の最大長さの略半分であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学装置。
  5. 前記電気ユニットは、前記光学部材に入射する光量を調整する光量調整ユニットであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学装置。
  6. 前記固定部材は、撮像素子を保持する撮像素子保持部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学装置。
  7. 前記固定部材の前記凹形状部より像面側には、前記凸形状部の光軸方向への投影面積よりも大きい面積を有する穴部が形成され、
    前記穴部はシート部材で塞がれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学装置。
  8. 前記固定部材に形成される穴部には、前記光学装置が収納状態となるときに前記フレキシブル基板の幅方向中央部で前記フレキシブル基板に当接する底部が設けられ、前記凸形状部の中央に、前記フレキシブル基板の前記幅方向の長さに関して、前記底部と同じか又はそれ以上の貫通部が設けられることを特徴とする請求項7記載の光学装置。
  9. 前記固定部材に形成される穴部には、前記光学装置が収納状態となるときに前記フレキシブル基板の幅方向両端部で前記フレキシブル基板に当接する2つの底部が設けられ、前記凸形状部は、前記幅方向の長さに関して、前記2つの底部により塞がられていない部分と同じかまたはそれ以上である請求項7記載の光学装置。
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