JP2015056995A - 熱電子発電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電効率が高い熱電子発電素子を提供する。【解決手段】熱電子発電素子1は、熱電子を発生させるエミッタ2と、熱電子を収集するコレクタ3とを有する。エミッタ2は、電気伝導性を有するエミッタ基板21と、エミッタ基板21に積層され、リンをドナーとして含有するn型ダイヤモンド半導体よりなる低抵抗層22と、低抵抗層22に積層され、窒素をドナーとして含有するn型ダイヤモンド半導体よりなる電子放出層23とを有している。コレクタ3は、電気伝導性を有するコレクタ基板31を少なくとも有し、エミッタ2に対面して間隙dを介して配置されている。電子放出層23の膜厚が40nm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電子発電素子に関する。
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子として、熱電子放出を利用して起電力を発生する熱電子発電素子がある。例えば、特許文献1には、導電性基板上に第1のダイヤモンド層と第2のダイヤモンド層とを形成してなる電子放出装置の例が開示されている。特許文献1の電子放出装置は、第1のダイヤモンド層に添加するドーパントにリンを用い、第2のダイヤモンド層に添加するドーパントに窒素を用いることにより、熱電子電流の大きさを増大させることを図っている。
特開2009−238690号公報
しかしながら、特許文献1の熱電子放出装置は、熱電子発電素子に用いるものとしては熱電子電流の大きさが未だ不十分であり、発電効率が低いという問題がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、発電効率が高い熱電子発電素子を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、電気伝導性を有するエミッタ基板と、該エミッタ基板に積層され、リンをドナーとして含有するn型ダイヤモンド半導体よりなる低抵抗層と、該低抵抗層に積層され、窒素をドナーとして含有するn型ダイヤモンド半導体よりなる電子放出層とを有し、熱電子を発生させるエミッタと、
電気伝導性を有するコレクタ基板を少なくとも有し、上記エミッタに対面して間隙を介して配置され熱電子を収集するコレクタとを有し、
上記電子放出層の膜厚が40nm以下であることを特徴とする熱電子発電素子にある。
上記熱電子発電素子のエミッタは、リンをドナーとして含有するn型ダイヤモンド半導体よりなる低抵抗層と、低抵抗層に積層され、窒素をドナーとして含有するn型ダイヤモンド半導体よりなる電子放出層とを有している。そして、電子放出層は、膜厚が40nm以下である。かかる構成を有することにより、上記熱電子発電素子は、熱電子電流を格段に増大させることができる。
このメカニズムは現時点において完全に解明されていないが、電子放出層の膜厚を薄くすることにより、比較的抵抗の大きい電子放出層の影響が低減されているものと考えられる。また、電子放出層の膜厚を40nm以下にすることにより熱電子電流が増大することは、後述する実施例に示されている。
以上のように、上記熱電子発電素子は、熱電子電流を増大させ易く、発電効率が高いものとなる。
実施例1における、熱電子発電素子の説明図。 実施例1における、エミッタのエネルギーバンドの説明図。 エミッタ基板の上に電子放出層のみを積層した場合のエネルギーバンドの説明図。 エミッタ基板の上に低抵抗層のみを積層した場合のエネルギーバンドの説明図。 実施例2における、電子放出層の膜厚を変更して作製した各試料の熱電子電流の大きさを示すグラフ。 実施例2における、エミッタ基板とエミッタ表面との間の厚み方向の内部抵抗を変化させたときの推定される出力密度を示すグラフ。
上記熱電子発電素子において、エミッタの低抵抗層を構成するn型ダイヤモンド半導体は、リンのドーパント濃度が1×1019cm−3以上であることが好ましい。この場合には、低抵抗層における厚み方向の抵抗を十分に小さくでき、熱電子電流を増大させ易くなる。リンのドーパント濃度は高いほど抵抗を小さくできるが、1×1021cm−3を超える場合には、ドープ量に見合った効果を得ることが難しい。
電子放出層を構成するn型ダイヤモンド半導体は、窒素のドーパント濃度が1×1020cm−3以上であることが好ましい。この場合には、電子放出層における厚み方向の抵抗を十分に小さくでき、熱電子電流を増大させ易くなる。窒素のドーパント濃度は高いほど抵抗を小さくできるが、1×1021cm−3を超える場合には、ドープ量に見合った効果を得ることが難しい。
また、電子放出層の膜厚は、上述したように40nm以下である。電子放出層の膜厚が40nmを超える場合には、熱電子電流を増大させることが困難となる。一方、電子放出層の膜厚が過度に薄い場合には、電子放出層が均一に形成されにくく、低抵抗層がエミッタの表面に露出するおそれがある。この場合には、電子放出層を積層させた効果が得られず、発電効率が低下するおそれがある。それ故、電子放出層の膜厚は、1nm以上40nm以下であることが好ましい。
また、エミッタは、コレクタに対面するエミッタ表面が水素終端されていることが好ましい。この場合には、エミッタのエネルギーバンドにおいて、真空準位が価電子帯の下端よりも低いエネルギー準位となる、いわゆる負の電子親和力(NEA:Negative Electron Affinity)を呈する状態となる。そのため、エミッタ内部において熱励起された電子がエミッタ表面から放出され易くなる。その結果、熱電子電流をより増大させ易くなり、発電効率をより向上させることができる。
また、エミッタは、エミッタ基板とエミッタ表面との間の厚み方向における内部抵抗が1Ωcm以下であり、コレクタは、コレクタ基板とエミッタに対面するコレクタ表面との間の厚み方向における内部抵抗が1Ωcm以下であることが好ましい。この場合には、熱電子に由来する電流がエミッタやコレクタを通過する際の電圧降下を小さくし、これに由来する損失を十分に低減することができる。その結果、熱電子発電素子の発電効率をより向上させることができる。
エミッタ基板は、Si、Ti、Mo、Ir、Ta、W、Ru、CrまたはPtのいずれかより構成されていることが好ましい。これらの材質よりなるエミッタ基板は、低抵抗層を作製する際にダイヤモンドの核を生成させやすい性質を有すると共に、ダイヤモンド半導体を成長させる温度領域において、生成したダイヤモンド膜がエミッタ基板から剥離しにくくなる。それ故、この場合には、欠陥等が少なく、膜質の良好なダイヤモンド半導体よりなる低抵抗層を作製できる。その結果、エミッタ基板とエミッタ表面との間の厚み方向の内部抵抗をより低減することができ、発電効率をより向上させることができる。
上述した材質のうち、エミッタ基板としては、Siを用いることがより好ましい。Siは、不純物や結晶欠陥等が少なく、高品質な素材を容易に入手することができる。そのため、熱電子発電素子の製造コストをより低減することができる。
また、エミッタ基板と低抵抗層との間に界面中間層を有していてもよい。界面中間層は、その厚み方向の抵抗と、エミッタ基板との間の界面抵抗と、低抵抗層との間の界面抵抗との和が、エミッタ基板と低抵抗層との間の界面抵抗よりも小さくなるよう構成されていることが好ましい。この場合には、エミッタ基板とエミッタ表面との間の厚み方向の抵抗をより低減することができる。その結果、熱電子発電素子の発電効率をより向上させることができる。
上述した界面中間層としては、例えば金属炭化物を用いることができる。金属炭化物としては、例えば炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化珪素、炭化クロム等を挙げることができ、これらの中でも、炭化チタンを用いることがより好ましい。
(実施例1)
上記熱電子発電素子の実施例について、図1〜図4を用いて説明する。図1に示すように、熱電子発電素子1は、熱電子を発生させるエミッタ2と、エミッタ2に対面して間隙dを介して配置され、熱電子を収集するコレクタ3とを有している。エミッタ2は、電気伝導性を有するエミッタ基板21と、エミッタ基板21に積層され、リンをドナーとして含有するn型ダイヤモンド半導体よりなる低抵抗層22と、低抵抗層22に積層され、窒素をドナーとして含有するn型ダイヤモンド半導体よりなる電子放出層23とを有している。
また、コレクタ3は、電気伝導性を有するコレクタ基板31を少なくとも有している。そして、電子放出層23の膜厚が40nm以下である。以下、詳説する。
本例のエミッタ2は、モリブデンよりなるエミッタ基板21の上に低抵抗層22と電子放出層23とが順次積層されている。エミッタ基板21は、後述するように、外部負荷4を接続する電極を兼ねている。
低抵抗層22は、炭素源としてCHガス、リン源としてPHガスを用い、マイクロ波プラズマCVD法により成膜したn型ダイヤモンド半導体より構成されている。低抵抗層22の成膜条件は以下の通りである。また、低抵抗層22の膜厚は2.5μmとし、リンのドーパント濃度は1×1020cm−3とした。
・基板温度:1000℃
・Hガス流量に対するCHガス流量の比(CH流量/H流量):0.01
・CHガス流量に対するPHガス流量の比(PH流量/CH流量):0.05
・成膜時圧力:30Torr
・マイクロ波出力:750W
電子放出層23は、炭素源としてCHガス、窒素源としてNガスを用い、マイクロ波プラズマCVD法により成膜したn型ダイヤモンド半導体より構成されている。また、電子放出層23の成膜は、低抵抗層22の成膜完了後、低抵抗層22を大気に露出させることなく行った。電子放出層23の成膜条件は以下の通りである。また、電子放出層23の膜厚は20nmとし、窒素のドーパント濃度は3×1020cm−3とした。
・基板温度:1000℃
・Hガス流量に対するCHガス流量の比(CH流量/H流量):0.01
・CHガス流量に対するNガス流量の比(N流量/CH流量):10
・成膜時圧力:50Torr
・マイクロ波出力:1000W
また、エミッタ基板21上に低抵抗層22及び電子放出層23を成膜した後、エミッタ表面24(電子放出層23の表面)に水素プラズマ処理を施し、エミッタ表面24を水素化させる処理を行った。更に、水素プラズマ処理に続けて、エミッタ2を水素雰囲気中に置くことによりエミッタ表面24を水素終端させる処理を行った。
以上の手順により作製されたエミッタ2は、エミッタ基板21とエミッタ表面24との間の厚み方向における単位面積当たりの内部抵抗が約0.7Ωcmとなった。なお、エミッタ基板21とエミッタ表面24との間の厚み方向における内部抵抗の測定は、2端子法を用いて行った。内部抵抗の測定に当たっては、エミッタ表面24に金属電極を蒸着して形成し、この金属電極とエミッタ基板21とを2端子法の測定に用いる端子として用いた。
本例のコレクタ3は、エミッタ2と同様の構造、すなわちモリブデンよりなるコレクタ基板31の上に膜厚2.5μmの低抵抗層32と膜厚20nmの電子放出層33とが順次積層された構造を有している。なお、低抵抗層32及び電子放出層33の成膜方法は、エミッタ2と同様である。また、コレクタ基板31とコレクタ表面34との間の厚み方向における単位面積当たりの内部抵抗が約0.7Ωcmとなった。
エミッタ2とコレクタ3との間の間隙dの大きさは特に限定されることはないが、本例においては、間隙dが20〜30μm程度となるようにエミッタ2及びコレクタ3を配置している。また、エミッタ2とコレクタ3との間の空間は、1×10−5Pa以下に減圧された状態となっている。
熱電子発電素子1を動作させる場合には、図1に示すように、エミッタ基板21とコレクタ基板31とを外部負荷4を介して接続し、この状態でエミッタ2を加熱する。これにより、エミッタ表面24から熱電子がエミッタ2とコレクタ3との間の間隙dに放出され、コレクタ3に収集される。そして、コレクタ3に収集された電子は、コレクタ基板31から外部回路へ流れ出し(矢印101参照)、外部負荷4を通過してエミッタ2に還流する(矢印102参照)。
次に、本例の作用効果について、図2〜図4を参照しつつ説明する。図2は、エミッタ2のエネルギーバンドの一例である。図2の縦方向の位置はエネルギー準位に対応しており、上方にある準位ほど高いエネルギー準位にあることを示している。また、エミッタ表面24に対応する縦線240及び低抵抗層22と電子放出層23との境界に対応する縦線230の2本の縦線により横方向を3つの領域221、231、241に区画した。そして、左側の領域221には低抵抗層22の伝導帯の下端222、不純物準位223及び価電子帯の上端224を示した。また、中央の領域231には電子放出層23の伝導帯の下端232、不純物準位233及び価電子帯の上端234を示した。そして、右側の領域241には真空準位242の位置を示した。
また、図3は、エミッタ基板21の上に電子放出層23のみを積層したエミッタ2のエネルギーバンドの一例である。図3の縦方向の位置は、図2と同様にエネルギー準位に対応している。また、表面に対応する縦線240に対して右側には真空準位242の位置を示し、左側には電子放出層23のエネルギーバンドを示した。
同様に、図4は、エミッタ基板21の上に低抵抗層22のみを積層したエミッタのエネルギーバンドの一例である。図4の縦方向の位置は、図2と同様にエネルギー準位に対応している。また、表面に対応する縦線240に対して右側には真空準位242の位置を示し、左側には低抵抗層22のエネルギーバンドを示した。なお、図3及び図4において用いた符号のうち、図2と同一の符号は、特に示さない限り図2と同様の構成要素等を表す。
図2〜図4より知られるように、低抵抗層22を構成するダイヤモンド半導体の不純物準位223は、電子放出層23を構成するダイヤモンド半導体の不純物準位233よりも伝導帯の下端222、232に近い位置に形成される。そのため、低抵抗層22は、電子放出層23に比べてホッピング伝導が起き易く、抵抗が小さくなる。それ故、図3に示すように低抵抗層22を設けない場合に比べて、本例のエミッタ2(図2参照)は、エミッタ基板21とエミッタ表面24との間の厚み方向の内部抵抗を低減することができる。
また、図4より知られるように、低抵抗層22を構成するダイヤモンド半導体をエミッタ表面24に露出させると、エミッタ表面24の近傍において、伝導帯の下端222に上向きの曲がり225が生じる。そのため、電子6がエミッタ表面24から放出されにくくなり、熱電子電流を増大させにくくなる。これは、リンをドナーとして含有するダイヤモンド半導体は、エミッタ表面24に露出させた場合に欠陥準位が形成されやすい性質を有するためと考えられる。一方、図2及び図3に示すように、窒素をドナーとして含有するダイヤモンド半導体は、エミッタ表面24に露出させた場合に欠陥準位が形成されにくく、エミッタ表面24の近傍において、伝導帯の曲がりが生じにくい。それ故、図4に示すように低抵抗層22の上に電子放出層23を積層しない場合に比べて、本例のエミッタ2はエミッタ表面24近傍における障壁を低減でき、熱電子電流を増大させ易くなる。
そして、本例のエミッタ2は、電子放出層23の膜厚が40nm以下である。かかる構成を有することにより、熱電子発電素子1は、熱電子電流を格段に増大させることができる。
また、本例のエミッタ2は、コレクタ3に対面するエミッタ表面24が水素終端されている。そのため、エミッタ2の内部において熱励起された電子6がエミッタ表面24から放出され易くなる。その結果、熱電子電流をより増大させ易くなり、発電効率をより向上させることができる。
また、エミッタ2は、エミッタ基板21とエミッタ表面24との間の厚み方向における内部抵抗が1Ωcm以下であり、コレクタ3は、コレクタ基板31とエミッタ2に対面するコレクタ表面34との間の厚み方向における内部抵抗が1Ωcm以下である。そのため、熱電子発電素子1の発電効率をより向上させることができる。
(実施例2)
本例は、実施例1における電子放出層23の膜厚を種々の厚みに変更した例である。本例においては、実施例1と同様の成膜条件を用い、表1に示すように、膜厚が20nm、40nm、60nm及び1000nmとなるように電子放出層23を形成したエミッタ2(試料1〜試料4)を作成した。その他は実施例1と同様である。
上述のように作製した試料1〜試料4について、以下の方法により熱電子放出性能の評価を行った。
まず、真空容器内に配置されたカソード電極に試料を取り付け、カソード電極とエミッタ基板21とを電気的に接触させた。次いで、真空容器内の圧力が1×10−5Pa以下となるまで真空容器内の排気を行った。真空装置内の排気が完了した後、試料を600℃まで加熱し、カソード電極と、間隙を介してカソード電極に対面して配置されたアノード電極との間に電圧を印加し、両電極の間に電界強度が0.025V/μmとなる電界を形成させた。そして、試料から発生した熱電子電流を測定した。
なお、上述した方法により得られる熱電子電流の大きさは、各々の試料をエミッタ2として熱電子発電素子1を構成したときの熱電子電流の大きさに概ね比例すると考えられる。
表1及び図5に、各試料から発生した熱電子電流の大きさをエミッタ表面24の単位面積当たりの電流密度に換算した結果を示す。なお、図5の縦軸は熱電子電流の電流密度であり、横軸は電子放出層23の膜厚である。また、表1には、試料1〜試料4との比較のために、エミッタ基板21と電子放出層23とを積層させた試料11及びエミッタ基板21と低抵抗層22とを積層させた試料12について、同様の評価を行った結果を示す。なお、試料11における電子放出層23の膜厚は2.0μmであり、窒素のドーパント濃度は3×1020cm−3である。また、試料12における低抵抗層22の膜厚は2.5μmであり、リンのドーパント濃度は1×1020cm−3である。
Figure 2015056995
表1及び図5より知られるように、電子放出層23の膜厚が40nm以下となる試料1及び試料2は、膜厚が40nmを超える試料3及び試料4や、低抵抗層22を有さない試料11、電子放出層23を有さない試料12に比べて、熱電子電流の電流密度が格段に大きくなった。
また、表1より知られるように、試料3と試料11とが同程度の電流密度を示した。このことから、電子放出層23の膜厚が60nm以上の場合には、電子放出層23の内部抵抗が熱電子放出性能に影響し、低抵抗層22と電子放出層23とを積層させた効果が得られなくなっていると推測できる。従って、エミッタ基板21上に低抵抗層22と電子放出層23とを積層させ、熱電子電流を増大させる作用効果を得るためには、電子放出層23の膜厚を40nm以下とすることが必要である。
なお、実施例1及び実施例2には、エミッタ基板21とエミッタ表面24との間の厚み方向の内部抵抗が約0.7Ωcmであるエミッタ2の例を示したが、内部抵抗が1Ωcm以下であれば実施例1及び2と同様の作用効果を示すものと推測できる。これは、以下の考え方による。
熱電子発電素子1の発電特性は、例えばG.W.サットン『直接エネルギー変換』(好学社、1968年)に記載されているように、以下の式(1)及び式(2)のように表すことができる。
=AV exp{−e(V+Φ)/kT} ・・・(1)
=AT exp{−e(V+Φ)/kT} ・・・(2)
なお、上記式(1)及び式(2)において使用した記号の意味は以下の通りである。
(W/cm):単位面積当たりの最大出力密度
(A/cm):最大出力密度が得られるときの熱電子電流の電流密度
(V):最大出力密度が得られるときの電圧
(K):エミッタの温度
Φ(eV):エミッタの仕事関数
A(A/cm):リチャードソン定数
e(C):電気素量
k(J/K):ボルツマン定数
実施例1におけるエミッタ2及びコレクタ3を想定した場合、エミッタ2の仕事関数Φは1.7eVであり、コレクタ3の仕事関数Φは1.7eVである。また、エミッタ2の温度Tを873Kと仮定し、コレクタ3の温度Tを673Kと仮定する。また、リチャードソン定数Aは120A/cmとした。
これらの値及び上記式(1)等に基づいて数値的にVを求めると、Vは約0.075Vとなる。次に、得られたVの値から上記式(2)を用いてJを算出する。ここで、エミッタ2及びコレクタ3の内部抵抗をR(Ωcm)と仮定すると、内部抵抗Rに由来する損失L(W/cm)は、得られたJの値を用いて、L=J Rと表すことができる。以上により得られた損失Lを最大出力密度Wから差し引くことにより、内部抵抗がRのときの実効的な出力密度W(W/cm)を算出することができる。
図6に、種々の内部抵抗Rを仮定したときの実効的な出力密度Wの値をプロットしたグラフを示す。なお、図6の横軸は仮定した内部抵抗Rの値であり、対数スケールにより表示している。また、縦軸は実効的な出力密度Wの値である。図6より知られるように、内部抵抗Rが1Ωcm以下の場合には、実効的な出力密度Wは内部抵抗Rの値によらず一定の値となっている。このことは、内部抵抗Rが1Ωcm以下の場合には、損失Lは最大出力密度Wに対して無視できるほど小さくなることを示している。
一方、内部抵抗Rが1Ωcmを超える場合には、実効的な出力密度Wが内部抵抗Rの増大に伴って減少しており、損失Lの影響によって実効的な出力密度Wが減少していることを示している。
以上の解析から、エミッタ2及びコレクタ3の内部抵抗が1Ωcm以下であれば、内部抵抗に由来する損失を十分に低減できると推測できる。なお、上述した解析は、エミッタ2の温度Tを873K、コレクタ3の温度Tを673Kと仮定して行っているが、エミッタ2の温度T及びコレクタ3の温度Tが変化しても同様の傾向を示すものと考えられる。
また、実施例1及び実施例2には、エミッタ基板21の上に低抵抗層22を直接積層させた例を示したが、エミッタ基板21と低抵抗層22との間に界面中間層を具備させる構成をとることもできる。例えば、炭化チタンよりなる界面中間層を形成させる場合には、以下の方法をとることができる。
まず、エミッタ基板21の上に、蒸着によりチタン薄膜を作製する。次いで、低抵抗層22及び電子放出層23をマイクロ波プラズマCVD法等により作製する。これにより、チタン薄膜と低抵抗層22に含まれる炭素とが反応し、炭化チタンよりなる界面中間層が形成される。
炭化チタンよりなる界面中間層を形成する場合には、界面中間層を形成しない場合に比べて、エミッタ基板21とエミッタ表面24との間の厚み方向の内部抵抗をより低減することができる。そのため、熱電子電流をより増大させることができ、発電効率をより向上させることができる。
1 熱電子発電素子
2 エミッタ
21 エミッタ基板
22 低抵抗層
23 電子放出層
3 コレクタ
31 コレクタ基板

Claims (6)

  1. 電気伝導性を有するエミッタ基板(21)と、該エミッタ基板(21)に積層され、リンをドナーとして含有するn型ダイヤモンド半導体よりなる低抵抗層(22)と、該低抵抗層(22)に積層され、窒素をドナーとして含有するn型ダイヤモンド半導体よりなる電子放出層(23)とを有し、熱電子を発生させるエミッタ(2)と、
    電気伝導性を有するコレクタ基板(31)を少なくとも有し、上記エミッタ(2)に対面して間隙(d)を介して配置され上記熱電子を収集するコレクタ(3)とを有し、
    上記電子放出層(23)の膜厚が40nm以下であることを特徴とする熱電子発電素子(1)。
  2. 上記エミッタ(2)は、上記コレクタ(3)に対面するエミッタ表面(24)が水素終端されていることを特徴とする請求項1に記載の熱電子発電素子(1)。
  3. 上記エミッタ(2)は、上記エミッタ基板(21)と上記エミッタ表面(24)との間の厚み方向における内部抵抗が1Ωcm以下であり、上記コレクタ(3)は、上記コレクタ基板(31)と上記エミッタ(2)に対面するコレクタ表面(34)との間の厚み方向における内部抵抗が1Ωcm以下であることを特徴とする請求項1また2に記載の熱電子発電素子(1)。
  4. 上記エミッタ基板(21)は、Si、Ti、Mo、Ir、Ta、W、Ru、CrまたはPtのいずれかより構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱電子発電素子(1)。
  5. 上記エミッタ基板(21)と上記低抵抗層(22)との間に界面中間層を有しており、該界面中間層は、その厚み方向の抵抗と、上記エミッタ基板(21)との間の界面抵抗と、上記低抵抗層(22)との間の界面抵抗との和が、上記エミッタ基板(21)と上記低抵抗層(22)との間の界面抵抗よりも小さくなるよう構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱電子発電素子(1)。
  6. 上記界面中間層は、金属炭化物より構成されていることを特徴とする請求項5に記載の熱電子発電素子(1)。
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