JP3729536B2 - ダイヤモンドへの整流電極の形成方法 - Google Patents

ダイヤモンドへの整流電極の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は整流素子、発光素子、トランジスタ又はセンサ等のダイヤモンドを使用したダイヤモンド半導体電子デバイスを製造する場合に好適のダイヤモンドへの整流電極の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンドは、そのバンドギャップが大きく(5.5eV)、高い絶縁破壊電界強度(107V/cm)を有する。また、ダイヤモンドは熱伝導率が従来の半導体材料に比して高いため、高温又は放射線下等の過酷な使用環境においても動作可能な電子デバイスとしての応用が期待されている。
【0003】
電子デバイスとしてダイヤモンドを使用する場合には、ダイヤモンド上にオーミック電極及び整流性電極を再現性よく形成することが重要である。オーミック特性を有する電極を形成することは、イオン注入によってダイヤモンドの表面に高濃度のp型半導体層を形成すること等により可能である。しかし、ダイヤモンド上に良好な整流特性を有する電極を形成することは困難であり、如何にしてこのような電極を形成するかが大きな課題となっている。
【0004】
ところで、金属と半導体ダイヤモンドとを接合(以下、「金属/ダイヤモンド接合」という)する場合に、ダイヤモンドの表面を化学洗浄によって酸素終端させておくことにより、金属電極の品種によらず、その金属/ダイヤモンド接合は整流特性を有するものになるという報告がある(文献1:Y.Mori,H.Kawarada and A.Hiraki, Appl.Phys.Lett.58,940(1991))。これは、ダイヤモンドの表面を酸素終端すると、ダイヤモンドの表面準位密度が高くなり、フェルミ準位をピニングするからであると説明されている。
【0005】
また、このような酸素終端した半導体ダイヤモンドと金属とを接合する場合には、整流特性を得ることはできるものの、金属と半導体との接合における性能指数であるn値は1を大きく上回り、優れた金属/ダイヤモンド接合を形成することができない。そこで、特性が優れた金属/ダイヤモンド接合を形成するために、ダイヤモンドの表面を水素終端することが提案されている(文献2:H.Kawarada,M.Aoki,H.Sasaki and Tsugawa,Diamond and Related Materials 3,961(1994))。ダイヤモンドの表面を水素終端すると、表面準位密度が低下して、フェルミ準位のピニングが解除されるため、金属とダイヤモンドとの界面で形成される障壁は、金属の仕事関数(電気陰性度)に大きく依存するようになる。この場合に、電気陰性度が小さい金属を使用して金属/ダイヤモンド接合を形成すると、図1に示すように、n値は理論値である1に近づき、優れた整流特性を得ることができる。
【0006】
なお、n値は、k:ボルツマン定数、T:絶対温度、q:素電荷、I:電流、V:電圧とし、lnを自然対数とすると、下記数式1で定義される。
【0007】
【数1】
n=(q/kT)・{∂V/∂(lnI)}
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、表面を水素終端したダイヤモンドではフェルミ準位のピニングが解除され、理想的な金属/ダイヤモンド整流接合を形成することができる。しかしながら、ダイヤモンド表面の水素は、大気中において350〜400℃の温度による熱処理によって、その表面から脱離し、これらの水素が酸素に置換され、ダイヤモンドの表面は極めて不安定な状態となる(無機材質研究所研究報告書第80号、第35頁)。
【0009】
現在、ダイヤモンドが最も期待されている応用分野の一つには、高温環境において動作可能な半導体デバイスの分野があり、高温での整流接合の形成も必要であるが、上述したように高温動作と水素終端されたダイヤモンドとは、350℃付近を境界として両立することができないという難点がある。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、高温環境であっても安定して動作可能な電子デバイスの製造を可能とするダイヤモンドへの整流電極の形成方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るダイヤモンドへの整流電極の形成方法は、酸素終端したダイヤモンド上に酸素をゲッタリングする金属を蒸着した後、300℃以上の温度で1分間以上熱処理することを特徴とする。
【0012】
また、前記ダイヤモンドはホウ素をドーピングした半導体ダイヤモンド、又はアンドープダイヤモンドと半導体ダイヤモンドとを積層したものであることが好ましい。
【0013】
更に、前記金属の電気陰性度が1.8以下であることが好ましく、そのような金属として、Mg、Hf又はZrがある。
【0014】
【作用】
本発明においては、ダイヤモンドの表面を酸素終端させて、その上に電極として酸素をゲッタリングする金属を蒸着する。酸素終端したダイヤモンドの場合は、その上に金属を形成すると、この金属/ダイヤモンド接合は、厳密には、金属とダイヤモンドとの間に、ダイヤモンド表面に吸着した吸着酸素が存在する金属/吸着酸素/ダイヤモンド接合になる。この吸着酸素は単原子層程度で存在すると考えられるが、この吸着酸素により、金属と半導体ダイヤモンドとの間の電荷の授受はスムーズには起こらない。これは、この吸着酸素が金属電極の形成時において、金属とダイヤモンドとの間の電荷の授受を妨害するからである。このため、電気陰性度が互いに大きく異なる金属を使用しても、一定の障壁が形成されてしまう。
【0015】
一方、ダイヤモンドの表面を水素終端した場合も、厳密には金属、吸着水素及びダイヤモンドがこの順に接合(以下、「金属/吸着水素/ダイヤモンド接合」という)されるが、この場合には文献2の実験結果を考察すると、この吸着水素は金属とダイヤモンドとの間で、電荷の授受の妨げとならず、優れた金属/半導体ダイヤモンド接合が形成され、金属と半導体との間で生じる障壁の高さは金属電極の電気陰性度に大きく依存する。しかし、この水素終端されたダイヤモンドは前述の如く高温で不安定であるという欠点がある。
【0016】
そこで、本発明では、酸素をゲッタリングしやすく、酸素との反応性が高い金属を電極としてダイヤモンド上に蒸着し、熱処理を施す。これにより、酸素との反応性が強い金属と吸着酸素との間で反応が生じ、酸素が金属内に拡散していく。このため、金属とダイヤモンドとの間で電荷の授受を妨害していた酸素原子層がなくなり、理想的な金属/ダイヤモンド接合が形成され、自由に電荷の授受が行われるようになる。従って、フェルミ準位のピニングは解除され、金属と半導体ダイヤモンドとの間で形成される障壁高さは、金属電極の電気陰性度に依存することとなる。
【0017】
次に、本発明に係るダイヤモンドへの整流電極の形成方法において、ダイヤモンド表面の終端の限定理由及び熱処理条件の限定理由について説明する。
【0018】
ダイヤモンド表面の終端:酸素終端
文献2で報告されているように、金属/吸着水素/ダイヤモンド接合を有する電子デバイスは優れた整流特性を有するものの、吸着水素が使用されると、その電子デバイスは電気的特性が不安定になるという欠点がある。つまり、ダイヤモンドの表面に吸着した水素は、大気中において350℃の温度までは安定しているが、400℃を超えると水素がダイヤモンドの表面から脱離し、酸素と置換反応を起こしてしまう。このため、電子デバイスの電気的特性に大きな変化が現れる(H.Nakahata,T.Imai and N.Fujimori,in Diamond Materials,edited by K.E.Spear et al.(The Electrochemical Society, Pennington,NJ,1991)p.487参照)。従って、水素化したダイヤモンドから形成した電子デバイスを、大気中において400℃以上の高温下で安定的に動作させることはできない。
【0019】
一方、本発明方法においては、ダイヤモンド表面の終端を酸素終端とするので、大気中において400℃以上の高温環境でも、水素から酸素への置換反応は起こらないため、電子デバイスを安定して動作させることができる。
【0020】
熱処理温度:300℃以上
熱処理温度は、電極が酸素をゲッタリングする効果に影響を与える。即ち、酸素と最も反応性が高いと考えられるMg電極の場合には、300℃より低い温度で熱処理しても、ゲッタリングの効果を得ることができない。従って、熱処理温度は300℃以上とする。
【0021】
熱処理時間:1分間以上
また、熱処理時間が1分間未満であると、低温度での熱処理と同様に、電極がゲッタリングの効果を得ることができない。従って熱処理時間は1分間以上とする。なお、熱処理手法としてRTA(Rapid Thermal anneal)が広く利用されており、急速ランプ加熱により最短で1分間程度の熱処理を施すことができる。
【0022】
また、金属/吸着酸素/ダイヤモンド接合において、ダイヤモンド表面のフェルミ準位は金属を蒸着する前に一定の位置に固定され、バンドが曲がっている。このため、ダイヤモンド上に蒸着される金属の種類によらず、同じ障壁高さが得られ、整流特性も同一になる。しかし、上述のように、熱処理を施すことにより、フェルミ準位のピニングが解除される。なお、p型ダイヤモンドの場合において、金属とダイヤモンドとの間で生じる障壁高さφBPは、下記数式2で表すことができる。
【0023】
【数2】
φBP=qχ+Eg−qφm
但し、qは素電荷、χは半導体の電子親和力、Egは半導体のバンドギャップ、φmは金属の仕事関数である。
【0024】
この数式2に示すように、より小さな仕事関数を有する金属を使用することにより、大きな障壁高さを得ることができ、逆方向のリーク電流を抑制して、フェルミ準位がピニングされていた場合より優れた整流特性を得ることができる。
【0025】
次に、電気陰性度の限定理由について説明する。
【0026】
電気陰性度:1.8以下
酸素吸着によりフェルミ準位がピニングされた時より、優れた整流特性を得るには、電気陰性度が1.8以下の金属を使用することが好ましい。特に、酸素を吸着しやすく、電気陰性度が1.2と小さいMgを電極として金属/ダイヤモンド接合を形成すると、大気中において400℃以上の高温であってもリーク電流が小さく安定した整流素子を得ることができる。
【0027】
なお、Mg電極の大気中高温での酸化を防止するために、酸化防止キャップ層として、Pt又はAu等を使用することも、安定した整流素子を得るために有効である。また、Mgと同様の特性を有するZr又はHfをMgの替わりに電極として使用することもできる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0029】
第1実施例
平均粒径が1/4μmのダイヤモンドペーストを使用して、1時間の機械研磨を施したp型低抵抗Si(111)基板(比抵抗:0.1Ωcm以下、横2cm×縦1cm)上に、マイクロ波プラズマCVD法によりBをドーピングし、厚さが2μmのBドープ多結晶ダイヤモンド薄膜を形成した。このダイヤモンド薄膜の合成に使用した原料ガスは、メタン:0.5%及び水素:99.5%であり、ドーピングガスとしてジボランを添加した。また、前記薄膜の形成時におけるガス中のB/C比を20ppmに固定した。なお、前記ダイヤモンド薄膜中における原子Bの密度を二次イオン質量分析により分析した結果、1.5×1018cm-3であった。また、前記ダイヤモンド薄膜の形成における総ガス流量、ガス圧力及び基板温度は夫々100sccm、35Torr及び800℃とした。
【0030】
このようにしてSi基板上にダイヤモンド薄膜を形成した後、これを真空中において、850℃の温度で30分間保持する熱処理を施した。その後、クロム酸+硫酸混酸洗浄、王水洗浄及びRCA洗浄を順に行った。以下、前記ダイヤモンド薄膜の形成後における熱処理及び洗浄処理を「処理1」とし、またダイヤモンド薄膜を形成したSi基板を供試材として説明する。この処理により、ダイヤモンド薄膜の表面における非ダイヤモンド成分を除去して、表面を酸素終端することができる。
【0031】
このような処理を施した後、供試材を2分割して、一方はそのまま保存し、他方をマイクロ波プラズマCVD装置を使用して、水素プラズマ中に曝した(水素プラズマ処理)。なお、このときの処理条件は、水素:100%、ガス圧力:35Torr及び時間:2分間とした。また、基板温度は780〜800℃とした。以下、処理1を施した後にこのような水素プラズマ処理を施す処理を「処理1+2」とする。
【0032】
図2は、縦軸に輝度をとり、横軸に結合エネルギーをとって、ダイヤモンド薄膜表面におけるX線光電子分光法(XPS)スペクトルを示すグラフ図であり、グラフ線図(a)は処理1、グラフ線図(b)は処理1+2を施した場合のスペクトルである。この図2に示すように、処理1のダイヤモンド表面において、炭素のバンドと共に、酸素のバンドを観測することができ、処理1によってダイヤモンドの表面が酸素終端されたことがわかる。一方、処理1+2のダイヤモンド表面において、炭素以外のバンドを観測することができず、処理1+2によってダイヤモンドの表面が水素プラズマで還元され、酸素終端から水素終端に変化したことがわかる。
【0033】
このようにして、酸素終端及び水素終端した2つの供試材において、夫々半導体ダイヤモンド薄膜の表面にフォトリソグラフィーを使用して、直径100μm、厚さ2000Åの電極用Mg層を蒸着によって形成し、またSi基板の裏面に銀ペーストによってオーミック電極を形成した。以下、これらの電極を形成した供試材を供試ダイオードという。
【0034】
そして、2つの供試ダイオードを大気中300℃の温度で1分間熱処理した後、室温で電流−電圧特性の変化を測定した。
【0035】
図3及び4は、いずれも縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、夫々水素終端及び酸素終端した供試ダイオードの前記熱処理前後の電流−電圧特性を示すグラフ図である。
【0036】
この熱処理を施す前に上述した処理1又は処理1+2を夫々施した2つの供試ダイオードの整流特性を比較すると、図3及び4に示すように、水素終端した供試ダイオードの整流比が酸素終端した供試ダイオードより約2桁優れている。しかし、水素終端した供試ダイオードを300℃の温度で熱処理すると、その前後の整流特性については、図3に示すように、整流特性の変化は殆ど観測できなかったが、酸素終端した供試ダイオードは、図4に示すように、熱処理後の逆方向のリーク電流値が約2桁減少して、整流特性が向上した。
【0037】
また、図3及び4に示すように、酸素終端した供試ダイオードの熱処理後の整流特性は、水素終端した供試ダイオードの特性と一致している。このことは、熱処理によって酸素によるフェルミ準位のピニングが解除されたことを示している。これにより、水素終端したダイヤモンドを使用せずに、水素で終端した場合と同様の優れた整流特性を有するダイオード得ることができた。
【0038】
なお、熱処理後に2つの供試ダイオードを大気中において、450℃の温度まで昇温すると、水素終端した供試ダイオードの整流特性は消失したが、酸素終端した供試ダイオードの整流特性は維持され、そのダイオードは安定した動作が可能であった。
【0039】
第2実施例
2枚の天然単結晶ダイヤモンド(TypeIIa(100)面方位)上に、マイクロ波プラズマCVD法を使用して、Bをドーピングしたダイヤモンド薄膜を、その厚さが2μmとなるようにホモエピタキシャル成長させた。このダイヤモンド薄膜形成時の条件は上述した第1実施例と同様であるが、2次核の発生を抑制するために、成膜を開始する前に、5分間の水素プラズマ処理を施した。その後、2枚の供試材に、上述した第1実施例と同様に夫々「処理1」及び「処理1+2」を施し、ドーナツ状のフォトレジストマスク(内径:100μm、外径:300μm)を形成した後、電極用のMg層(2000Å)を前記ダイヤモンド薄膜上に蒸着して、ショットキー接合及びオーミック電極を形成した。そして、フォトレジストマスク上の不要なMg層をリフトオフにより除去して、Mg電極をパターニングした。
【0040】
その後、金属/ダイヤモンド接合の電流−電圧特性を室温で測定した。また、大気中において、300℃の温度で1分間熱処理した後についても室温で電流−電圧特性の変化を測定した。図5及び6は、いずれも縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、夫々水素終端及び酸素終端した供試ダイオードの前記熱処理前後の電流−電圧特性を示すグラフ図である。
【0041】
この熱処理を施す前に、上述した処理1又は処理1+2を夫々施した2つの供試ダイオードの整流特性を比較すると、図5及び6に示すように、水素終端した供試ダイオードの整流比が酸素終端した供試ダイオードより約2桁優れている。しかし、水素終端した供試ダイオードを300℃の温度で熱処理すると、その前後の整流特性については、図5に示すように、整流特性の変化は殆ど観測できなかったが、酸素終端した供試ダイオードは、図6に示すように、熱処理後の逆方向のリーク電流値が約2桁減少して、整流特性が向上した。
【0042】
なお、図5及び6に示すように、酸素終端した供試ダイオードの熱処理後の整流特性は、水素終端したダイオードの特性と極めて良く一致しており、このことは、熱処理によって酸素によるフェルミ準位のピニングが解除されたことを示している。
【0043】
第3実施例
上述した第1実施例と同様のSi基板を使用して、この基板上に第1実施例と同様のダイヤモンド薄膜を形成した。このとき合成に使用した原料ガスはメタン:0.5%及び水素:99.5%であり、ドーピングガスとしてジボランを添加した。また、前記ダイヤモンド薄膜の形成時におけるガス中のB/C比を800ppmに固定した。なお、前記ダイヤモンド薄膜中の原子Bの密度を二次イオン質量分析により分析した結果、2×1019cm-3であった。また、前記薄膜の形成における総ガス流量、ガス圧力及び基板温度は夫々100sccm、35Torr及び800℃とした。
【0044】
次に、多結晶Bドープダイヤモンド薄膜上に、ドーピングされていないダイヤモンド薄膜(以下、「アンドープダイヤモンド薄膜」という)を0.4μm積層した。このときの薄膜形成条件は、ジボランを添加しなかったことを除いて、Bドープダイヤモンド薄膜を形成した場合と同一である。このようにして製作した供試材に上述した第1実施例と同様の処理1を施した。その後、供試材を2分割して、一方はそのまま保存し、他方をマイクロプラズマCVD装置を使用して、上述した第1実施例と同様の処理1+2を施した。
【0045】
このようにして、酸素終端及び水素終端した2つの供試材において、半導体ダイヤモンド薄膜の表面にフォトリソグラフィーを使用して、直径100μm、厚さ2000Åの電極用のMg層を蒸着によって形成した。そして、Si基板の裏面に銀ペーストによってオーミック電極を形成し、金属、アンドープダイヤモンド及びBドーピングダイヤモンドを接合した電流−電圧特性を室温で測定した。
【0046】
そして、2つの供試ダイオードを大気中300℃の温度で1分間熱処理した後、室温で電流−電圧特性の変化を測定した。
【0047】
図7及び8は、いずれも縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、夫々水素終端及び酸素終端した供試ダイオードの前記熱処理前後の電流−電圧特性を示すグラフ図である。
【0048】
この熱処理を施す前に上述した処理1及び処理1+2を夫々施した2つの供試ダイオードの整流特性を比較すると、図7及び8に示すように、水素終端した供試ダイオードの整流比が酸素終端した供試ダイオードより約2桁優れている。しかし、水素終端した供試ダイオードを300℃の温度で熱処理すると、その前後の整流特性については、図7に示すように、整流特性の変化は殆ど観測できなかったが、酸素終端した供試ダイオードは、図8に示すように、熱処理後の逆方向のリーク電流値が約2桁減少して、整流特性が向上した。
【0049】
なお、図7及び8に示すように、酸素終端した供試ダイオードの熱処理後の整流特性は、水素終端した供試ダイオードの特性と一致している。このことは、熱処理によって酸素によるフェルミ準位のピニングが解除されたことを示している。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、酸素終端したダイヤモンドに酸素をゲッタリングする金属からなる電極を形成し、所定の熱処理を施すので、優れた整流特性を有する金属/ダイヤモンド接合を形成することができ、高温環境であっても安定した動作が可能な電子デバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦軸に電流をとり、横軸に順方向バイアスをとって、点接触及び蒸着電極における電流−電圧特性を示すグラフ図である。
【図2】縦軸に輝度をとり、横軸に結合エネルギーをとって、ダイヤモンド薄膜表面におけるX線光電子分光法(XPS)スペクトルを示すグラフ図である。
【図3】縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、水素終端した場合の電流−電圧特性を示すグラフ図である。
【図4】縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、酸素終端した場合の電流−電圧特性を示すグラフ図である。
【図5】縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、水素終端した場合の電流−電圧特性を示すグラフ図である。
【図6】縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、酸素終端した場合の電流−電圧特性を示すグラフ図である。
【図7】縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、水素終端した場合の電流−電圧特性を示すグラフ図である。
【図8】縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、酸素終端した場合の電流−電圧特性を示すグラフ図である。

Claims (5)

  1. 酸素終端したダイヤモンド上に酸素をゲッタリングする金属を蒸着した後、300℃以上の温度で1分間以上熱処理することを特徴とするダイヤモンドへの整流電極の形成方法。
  2. 前記ダイヤモンドはホウ素をドーピングした半導体ダイヤモンドであることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドへの整流電極の形成方法。
  3. 前記ダイヤモンドはアンドープダイヤモンドと半導体ダイヤモンドとを積層したものであることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンドへの整流電極の形成方法。
  4. 前記金属の電気陰性度は1.8以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダイヤモンドへの整流電極の形成方法。
  5. 前記金属はMg、Hf及びZrからなる群から選択された1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のダイヤモンドへの整流電極の形成方法。
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