図1は、自動取引システムの概略図である。自動取引システム10は自動取引装置100(「ATM100」とも呼ぶ。)と、勘定系サーバ200と情報系サーバ250とネットワークNTとを備える。ATM100は、金融機関との間で、出金、入金、振り込み、通帳記入等のサービスを、利用者に提供するための自動取引装置であり、例えば、金融機関や、ショッピングセンター、コンビニエンスストアなどに配置されている。
ATM100は、利用者検知センサ116と、人物カメラ(第一の撮影部)118と、監視カメラ(第二の撮影部)120と、ディスプレイ122と、入力装置(タッチパネル)124と、カード取扱い機構126と、紙幣入出金機構128と、明細票印字機構130と、通帳印字機構132と、硬貨入出金機構134と、音声案内部136と、を備える。利用者検知センサ116は、利用者のATM100への接近を検知するためのセンサであり、例えば、利用者検知センサ116として赤外線センサを用いることが可能である。人物カメラ118は、ATM100の利用者を撮影する。利用者の撮影画像(人画像)は、利用者を特定するために用いられる。監視カメラ120は、ATM100の利用者の動きを撮影し、利用者の動きの撮影画像より、利用者の動きに不審な行為の有無を検出する。不審な行為の例として、例えば、ATM100にスキミング装置を設置しようとする行為、ATM100を停止させるような誤操作に繋がる行為が含まれる。ディスプレイ122は、取引における案内を利用者に表示する。入力装置(タッチパネル)124は、利用者からの入力を受け付ける。なお、近年では、ディスプレイ122に利用者からの入力を受け付ける機能を有するタッチパネル付きディスプレイが用いられる場合が多い。
カード取扱い機構126は、利用者の磁気カードあるいはICカードを受け付ける。紙幣入出金機構128は、利用者からの紙幣の入金(投入受け入れ)と利用者への紙幣の出金(放出)を行う。明細票印字機構130は、利用者と行った取引の内容を明細票に印字して出力する。通帳印字機構132は、利用者の通帳に取引の内容を印字する。硬貨入出金機構134は、利用者からの硬貨の入金と利用者への硬貨の出金を行う。音声案内部136は、利用者に対して音声により案内を行う。
勘定系サーバ200は、利用者基本情報204と、元帳データ206とを格納するサーバである。主制御部202は、CPUと、RAMと、ROMと、記憶部と、を有しており(図示せず)、勘定系サーバ200の全体の制御を行う。利用者基本情報204は、利用者の氏名、住所など、取引に必要な利用者の基本情報であり、記憶部に格納されている。元帳データ206は、利用者の口座の入出金取引履歴を記録した情報であり、記憶部に格納されている。
情報系サーバ250は、勘定系サーバ200以外の機能を担うサーバであり、請求項における上位装置である。情報系サーバ250は、主制御部252と、利用者情報管理システム254と、e−JNL集中管理システム268と、を備える。主制御部252は、CPUと、RAMと、ROMと、記憶部と、を有しており(図示せず)、情報系サーバ250の全体の制御を行う。利用者情報管理システム254は、主に、金融機関が利用者への営業に用いるための情報や、利用者への対応時に用いる情報を管理するシステムである。e−JNL集中管理システム268は、ATM100から転送される利用者の取引情報(電子ジャーナル)を集中的に管理するシステムである。
利用者情報管理システム254は、利用者に関する種々の情報を格納する利用者情報データベース256(利用者情報DB256)を備える。利用者情報DB256は、利用者基本情報258と、取引履歴情報260と、操作ミス管理表262と、取引状態対比表266とを格納している。利用者基本情報258は、勘定系サーバ200の利用者基本情報204を複製したデータであり、係員による追記・改変が可能である。取引履歴情報260は、勘定系サーバ200の元帳データ206に記録されている取引履歴に関する情報を複製したデータであり、種々の目的に利用可能である。操作ミス管理表262は、利用者の過去の操作ミスの内容を利用者毎に格納している。操作ミス管理表262は、利用者のうち操作内容を監視すべき利用者を、監視対象者データベース264(監視対象者DB264)として別途管理している。取引状態対比表266は、勘定系の元帳データである取引履歴情報260と、利用者がATM100によって行った取引の履歴を記録した情報である電子ジャーナル(e-JNL)とを、時系列を対応させて配列したデータである。
図2は、ATM100の構成を示すブロック図である。ATM100は、主制御部102と、図1で説明した利用者検知センサ116と、人物カメラ118と、監視カメラ120と、ディスプレイ122と、入力装置124と、カード取扱い機構126と、紙幣入出金機構128と、明細票印字機構130と、通帳印字機構132と、硬貨入出金機構134と、音声案内部136と、を備える。主制御部102は、CPU104と、メモリ106と、通信部108と、記憶部110と、を備える。CPU104は、メモリ106に格納されているプログラムを実行することによって、ATM100による各種取引の処理全般を制御する。メモリ106は、CPU104が使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータを記憶する。通信部108は、ネットワークNTに接続するための通信デバイスで構成された通信インターフェースであり、勘定系サーバ200および情報系サーバ250との間でデータの送受信を行う。記憶部110は、例えばハードディスクから構成される。記憶部110は電子ジャーナルデータ112(e−JNL112)と監視対象者DB114とを記憶する。電子ジャーナルデータ112は、利用者がATM100を介して行った取引の履歴を表すデータである。主制御部102は、利用者との間で取引が成立した後に、取引情報を電子ジャーナルデータ112に逐次記憶する。監視対象者DB114は、情報系サーバ250が有する監視対象者DB264を複製したデータである。
図3は、操作ミス管理表262の一例を示す説明図である。操作ミス管理表262は、利用者の氏名、口座番号と、操作ミスの区分と、監視レベルとその判定条件と、監視対象か否かの区分と、を格納している。操作ミスの区分とは、ATM100に対して行われる可能性のある操作ミスを分類して区分したものである。本実施形態では、大きく以下の6つの区分に分けられている。
(1)重度の媒体挿入ミス:重度の媒体挿入ミスとは、ATM100をダウンさせ、係員が対応しなければATMのダウンからの回復が困難な媒体の挿入ミスを言う。本実施形態では、カード(磁気カード、ICカード)以外に、通帳、紙幣、硬貨を含めて、「媒体」と総称する。
(2)軽度の媒体挿入ミス:軽度の媒体挿入ミスとは、ATM100をダウンさせる可能性が低く、仮にダウンしても、係員の対応無しにATMのダウンからの回復が可能な媒体の挿入ミスを言う。
(3)放出媒体の取忘れ:カード、通帳、紙幣、硬貨を取り忘れることを言う。
(4)暗証番号相違:暗証番号を失念、間違えることを言う。
(5)操作タイムアウト:時間内に操作を完了できなかったことを言う。
(6)取引内容問い合わせ:利用者が係員に問い合わせることを言う。
媒体の挿入ミスは、ATM100のダウンを発生させるおそれの「有り」/「無し」で重度と軽度とに区分されている。(1)の重度の媒体挿入ミスには、例えば、紙幣、通帳や硬貨の挿入時に異物(別媒体)を混入させてしまう、輪ゴムやクリップで束ねたままの紙幣を投入する、二つ折りや四つ折りに畳んだままの紙幣を投入する、変形したカードや通帳を挿入する、等が含まれる。これらの重度の媒体挿入ミスが起きた場合、ATM100は媒体の取込み動作中に各媒体の処理機構が異常検知し、媒体を返却しようと動作する。しかし、返却しようとする媒体が、各媒体の処理機構内に詰まって残留してしまう場合がある。かかる場合、媒体を返却出来ないため、ATM100の装置ダウンしてしまう。かかる場合、係員対応が対応して、ATM100を装置ダウンから回復させる。したがって、ATM100の主制御部102は、これらの挿入ミスを特別に厳しい監視対象とし、その判定条件として、例えば、1回発生させると監視レベルを「小」、2回発生させると監視レベルを「中」、3回連続で発生させると監視レベル「大」と、厳しく判定する。
(2)の軽度の媒体挿入ミスには、例えば、カードや通帳の挿入方向の間違い、他行通帳や閉じたままの通帳を挿入してしまう等の操作ミスが含まれる。これらの操作ミスは、各媒体処理機構が異常検知した場合に、容易に媒体を返却できるので、ATM100の装置ダウンの発生や係員対応の必要は、ほとんど無い。そこで、ATM100の主制御部102は、これらの挿入ミスを一般的な監視対象とし、その判定条件として、2回発生させると監視レベルを「小」、3回連続で発生させると監視レベルを「中」、10取引中で5回発生させると監視レベルを「大」と判定する。
(3)の放出媒体(カード、通帳、紙幣、硬貨)の取り忘れを各媒体処理機構が検知すると、これらの媒体は、媒体のATM100の処理機構内へ回収されるので、ATM100の装置ダウンは、ほとんど発生しない。但し、後日媒体を利用者へ返却するために係員対応が必要になる。また、媒体の取り忘れか複数回あった場合には、ATM100の内部に取り忘れた媒体等を回収できない場合がある。そこで、ATM100の主制御部102は、これらについても一般的な監視対象とし、その判定条件として、2回発生させると監視レベルを「小」、3回連続で発生させると監視レベルを「中」、10取引中で5回発生させると監視レベルを「大」と判定する。なお、(4)の暗証番号相違、(5)の操作タイムアウト、(6)の取引内容問い合わせ、については、ATM100の装置ダウンにつながらないので、ATM100の主制御部102は、監視レベルの判定はするが、実際には監視対象とはしない。したがって、(4)〜(6)については、監視対象者DB264あるいは、監視対象者DB114には登録されない。
図4は、監視対象者DB264の一例を示す説明図である。監視対象者DB264は、操作ミス管理表262と比較すると、利用者の顔画像データを有している点が異なっている。なお、監視対象者DB264のデータ量を削減するため、監視対象者DB264は、操作ミス管理表262のうちの(1)〜(3)の操作ミスに対応する操作ミス区分のみを有している。
情報系サーバ250の監視対象者DB264と、ATM100の監視対象者DB114とは、以下のように使い分けられる。ATM100の主制御部102は、1日のATM100の運用終了時に、監視対象者DB114のその日にデータ更新された監視対象の利用者に対応する操作ミスのデータを情報系サーバ250の利用者情報管理システム254へ送信する。情報系サーバ250の主制御部252は、金融機関の全ATM100から順次転送された操作ミスのデータを収集し、監視対象者DB264を更新する。翌朝になってATM100が電源投入されると、ATM100の主制御部102は、利用者情報管理システム254から最新版の監視対象者DB264を監視対象者DB114にダウンロードし、監視対象者DB114を更新して監視対象の利用者の監視を開始する。
図5は、利用者の監視フローチャートである。ステップS500では、ATM100の利用者がATM100に近づく。ステップS502において、利用者検知センサ116が利用者を検知すると、主制御部102は、処理をステップS504に移行する。ステップS504では、主制御部102は、人物カメラ118に対して利用者を撮影させ、その顔画像を切り出す。ステップS506では、主制御部102は、監視対象者DB114に登録されている顔画像と、切り出した顔画像とを照合する。
一方、主制御部102は、ステップS508において、ディスプレイ122に、初期画面(「いらっしゃい」との歓迎のメッセージを表示するため、「いらっしゃい画面」とも呼ぶ)を表示させる。利用者検知センサ116が利用者を検知すると、主制御部102は、処理をステップS508からステップS510に移行し、ディスプレイ122の表示を、初期画面から取引案内画面に切り換える。
主制御部102は、ステップS512において、利用者が監視対象者か、否か、を判断する。利用者が監視対象者でない場合(切り出した顔画像と同一人物の顔画像が監視対象者DB114に登録されていない場合)には、主制御部102は、処理をステップS514に移行し、ディスプレイ122に通常の取引案内画面を表示させる。その後、利用者の取引選択内容に応じて、媒体(カード、通帳、紙幣、硬貨)の挿入を案内し(ステップS516)、利用者との間で取引処理を行い(ステップS518)、媒体(カード、通帳、紙幣、硬貨)の放出を案内し(ステップS520)、利用者との間で取引処理を終了する(ステップS522)。この処理は、一般的な処理であり、利用者に対して特別な案内を行うわけではないので、これ以上の説明を省略する。一方、利用者が監視対象者である場合(切り出した顔画像と同一人物の顔画像が監視対象者DB114に登録されている場合)には、主制御部102は、処理をステップS524に移行し、ディスプレイ122に「注意文言」をポップアップ表示する。
図6は、注意文言がポップアップ表示された取引案内画面300を示す説明図である。ここでは取引案内画面300に、取引選択ボタン302の他に、「カードの挿入方向に注意して下さい。」との注意文言304が表されている。なお、この注意文言304は、取引終了まで表示されてもよい。また、「注意文言」が利用者に対して目立てばよく、注意文言304は、必ずしもポップアップ表示でなくてもよい。
図7は、注意文言304の表示の具体例を示す説明図である。主制御部102は、注意文言304として、
(a)「カードの挿入方向に注意して下さい。」
(b)「他行通帳の挿入に注意して下さい。」
(c)「通帳の挿入方向に注意して下さい。」
(d)「閉じた通帳の挿入に注意して下さい。」
の注意文言を表示している。そして、(a)〜(d)の表示において、主制御部102は、注意文言と背景色とが、黒字/白地⇔白字/黒地と、文字の色と地の色の白黒の反転(白黒反転)を動的に繰り返すように表示してもよい。動的な白黒反転は目立つため、過去に媒体の挿入ミスを発生させたこと自体を利用者が忘れている場合であっても、利用者に注意喚起を行うことができる。なお、動的な反転は、白黒の反転に限られず、例えば、赤色と青緑色、橙色と青色、黄色と青紫色のような互いに補色、反対色となる色の組み合わせであっても良い。
図8は、重度の媒体挿入ミスに対応した注意文言の表示例である。この監視対象の利用者は過去に、(1)重度の媒体挿入ミスである、(a)異物(別媒体)の混入した通帳を挿入したことと、(b)輪ゴムやクリップで束ねたままの紙幣を投入したこと、を発生させたことが有るため、「通帳に何か挟まっていませんか?」という注意文言306と、「輪ゴムやクリップで紙幣を束ねていませんか?」の注意文言308の2つの注意文言が、上下に並べてポップアップで表示される。このように、「注意して下さい。」ではなく、具体的な挿入ミスの内容を確認させる表示としても良い。また、主制御部102は、音声案内部136を用いた音声案内に合わせて、注意文言306、あるいは注意文言308を表示しても良い。
図9は、重度の媒体挿入ミスに対応した注意文言の別の表示例である。「通帳に何か挟まっていませんか?」という注意文言306が表示される。このとき、音声案内部136が発声する文言に合わせて、(a)⇒(b)⇒(c)⇒(a)⇒(b)⇒(c)・・・と、注意文言306の一部の文字を大文字化して強調表示してもよい。さらに、一部の文字を強調表示した後、(d)(e)のように、白黒反転表示を交互に繰り返してもよい。また、一部の文字の強調表示と、白黒反転表示を混合させても良い。例えば、奇数順番目は、黒字/白地、偶数順番目は、白字/黒地としてもよい。また、強調表示文字を白字/黒地、他の文字を黒字/白地としても良い。このように表示すれば、利用者により注意喚起させることが可能となる。
図10は、重度の媒体挿入ミスに対応した注意文言の例である。ここでは、利用者が過去に行った重度の媒体挿入ミスに対応した注意文言の例(f)〜(k)が示されている。なお、図10に示されているのは、注意文言の一例である。
以下、利用者の操作ミスを防止するための、具体策について説明する。ステップS526では、主制御部102は、ディスプレイ122に、操作を単純化した取引案内画面300を表示する。「操作を単純化した」とは、媒体(カード、通帳、紙幣、硬貨)の挿入に関し、利用者にいわゆるステップバイステップで、実行(挿入)させることを意味する。
ステップS528では、主制御部102は、媒体をカード(磁気カード)、通帳、紙幣、硬貨に分けて、媒体毎に順番に取引案内する。そして、主制御部102は、ステップS530において、利用者に対して、媒体毎の挿入に際し、異物の混入がないかの確認を入力させ、その後、ステップS532の取引処理を実行する。取引処理では、主制御部102は、利用者との間で行った取引の取引データを、勘定系サーバ200との間で送受信する。ステップS534では、利用者に案内をしながら媒体を1つずつ放出する。主制御部102は、ステップS536で利用者との取引処理を終了する。
また、監視対象の利用者が取引操作しているステップS524からS536までの間、主制御部102は、監視カメラ120を用いて、利用者の動きを監視する。たとえば、主制御部102は、ステップS538では、利用者の手の動きから、指示した媒体を指示した挿入口以外へ挿入しようとしているか、を監視する。また、ステップS540では、利用者も持つ媒体の形状から、利用者が、通帳や紙幣を折り畳んだまま/あるいは、閉じたまま挿入口に挿入しようとしているかを監視する。主制御部102は、利用者が指示した媒体を指示した挿入口以外へ挿入しようとしている、あるいは、利用者が、通帳や紙幣を折り畳んだまま/あるいは、閉じたまま挿入口に挿入しようとしていることを検知した場合には、処理をステップS542に移行し、ディスプレイ122による表示、あるいは音声案内部136による注意案内、警告を行う。なお、注意案内、警告にもかかわらず挿入されてしまった場合には、主制御部102は、処理をステップS544に移行し、挿入された媒体の取込み処理を実行せず、利用者との取引を中止し、媒体の返却処理を実行する。なお、ステップS534の媒体放出処理においても、主制御部102は、利用者の動きを監視してもよい。また、上記監視は、監視対象の利用者に対する監視であったが、主制御部102は、監視対象者以外の利用者に対しても、取引操作状況を監視してもよい。
図11は、操作ミスの登録処理フローチャートである。ステップS536において取引処理が終了すると、主制御部102は、処理をステップS600に移行する。ステップS600では、利用者の取引操作情報、エンボス画像や顔画像を、e−JNLデータ112に格納した後、情報系サーバ250のe−JNL集中管理システム263へ送信する(S538)。主制御部102は、ステップS602において、e−JNLデータ112に格納された取引操作情報から、利用者の監視レベルを判定する。ステップS604において、主制御部102は、取引中に重度の媒体挿入ミスがあったか否かを確認する。重度の媒体挿入ミスがあった場合には、主制御部は、処理をステップS606に移行し、その操作ミスが1回目か、否かを確認する。1回目なら、主制御部102は、処理をステップS608に移行し、その利用者を監視対象の利用者として、媒体挿入ミスの区分と人物カメラが撮影した顔画像とを、利用者に対応づけて、監視対象者DB114に仮登録する(S608)。なお、ステップS610に示すように、主制御部102は、監視対象者DB114に仮登録された利用者に対して、次回の取引開始時にその旨を案内画面に表示してもよい。なお、仮登録された利用者が、たとえば、あらかじめ定められた期間、仮登録された媒体挿入ミスを1年間発生させない場合、主制御部102は、ATM100の監視対象者DB114、及び利用者情報管理システム254の監視対象者DB264から仮登録された旨のデータを削除してもよい。これにより、うっかりミスにより登録されてしまうことを抑制することができる。
ステップS612では、主制御部102は、操作ミスが2回目か否かを判断する。操作ミスが2回目なら、主制御部102は、処理をステップS614に移行し、その利用者は監視対象者であるとして、監視対象者DB114に本登録する。
ステップS604において、媒体挿入ミスが重度でない場合には、主制御部102は処理をステップS616に移行し、媒体挿入ミスが軽度の媒体挿入ミスか、否かを確認する。媒体挿入ミスが軽度の媒体挿入ミスなら主制御部102は、処理をステップS618に移行し、操作ミスが2回目か否かを確認する。操作ミスが2回目なら、主制御部102は、処理をステップS620に移行し、その利用者は監視対象の利用者である、として、媒体挿入ミスの区分と顔画像とを監視対象者DB114に仮登録する。ステップS622に示すように、主制御部102は、監視対象者DB114に仮登録された利用者に対して、次回の取引開始時にその旨を案内画面に表示してもよい。仮登録からの削除についても同様である。ステップS618において、軽度の媒体挿入ミスが2回目でなければ、主制御部102は、処理をステップS624に移行し、3回連続の操作ミスか否か、を確認する。操作ミスが3回連続なら、主制御部102は、処理をステップS626に移行し、監視対象者DB114に本登録する。ステップS628では、主制御部102は、利用者の監視レベルを確認し、監視レベルがアップしている場合には、監視対象者DB114を更新する。
その後、監視対象者DB114の内容は、情報系サーバ250の利用者情報管理システム254に送られ、操作ミス管理表262の監視対象者DB264が更新される。なお、応答速度を重視するため、情報系サーバ250の利用者情報管理システム254に記憶された監視対象者DB264が最新版のマスタDBとし、翌朝、ATM100が運用開始する時に、監視対象者DB264をATM100へダウンロードして、複写版DBを監視対象者DB114として監視運用してもよい。マスタである監視対象者DB264の最新版維持を重視する場合は、主制御部102が、ステップS504で切り出した顔画像を情報系サーバ250の利用者情報管理システム254に送信し、監視対象者DB264に登録された顔画像と、直接照合してもらってもよい。この場合、ATM100は、監視対象者DB114を備えなくてもよい。この場合、情報系サーバ250の監視対象者DB264は、各ATM100からのデータにより逐次更新されていくので、ATM100は、最新版の監視対象者DB264を利用することができる。
図12は、有帳預入取引を具体例として、監視対象の利用者に対する媒体挿入ミスの再発防止策を示す説明図である。ここでは、監視対象の利用者は、操作ミスとして、過去に、重度の媒体挿入ミスである、(1)異物(別媒体)の混入した通帳挿入を、通帳印字機構132に挿入した、(2)輪ゴムで束ねたままの紙幣を紙幣入出金機構128に挿入した、という2回の媒体挿入ミスを発生させたことがあるとする。
主制御部102は、ディスプレイ122に、取引案内画面300を表示する。このとき、図8に示すように、「通帳に何か挟まっていませんか?」「輪ゴムやクリップで紙幣を束ねていませんか?」と、過去の媒体挿入ミス(1)(2)に対応した注意文言306、308をポップアップ表示する。利用者は、図8に示す取引案内画面300にポップアップ表示された2件の注意文言306、308を見た上で、図8の下部の取引可能な取引科目を示す取引選択ボタン302から取引する科目である「預入れ」ボタンを選択する。その後、取引案内画面300に「通帳あり」ボタンと「通帳なし」ボタンを表示する選択画面が表示される(図示せず)。ここで「通帳あり」ボタンが選択されるとする。なお、「通帳なし」ボタンが選択された場合、通帳は使用されないので、「通帳に何か挟まっていませんか?」という注意文言306は、この時点で表示が消去される。なお、取引案内画面300で「引出し」ボタンが選択された場合、紙幣の投入は無いので、「輪ゴムやクリップで紙幣を束ねていませんか?」という注意文言308は、この時点で表示が消去される。このように、選択した取引科目に関係しない注意文言は、利用者によって、取引内容が選択した時点で消去されてもよい。
図12のステップS700では、主制御部102は、利用者の監視レベルに応じたカード挿入の案内画面を表示する。なお、本実施形態の説明において、利用者は、過去において、カードの挿入ミスを行っていないので、カードの挿入の際の案内は、通常と同じである。ステップS702においてカードがカード取扱い機構126に挿入されると、主制御部102は、処理をステップS704に移行し、カード取扱い機構126に対して、カードの取込み処理を実行させる。次に、ステップS706では、主制御部102は、利用者の監視レベルに応じた通帳挿入の案内を行う。
図13は、通帳挿入案内処理を示す説明図である。ステップS800では、主制御部102は、利用者の監視レベルが「小」か、否かを判断する。監視レベルが「小」の場合、主制御部102は、処理をステップS802に移行し、監視レベル小用の案内表示を行う。たとえば、主制御部102は、「(1)通帳に何か挟まれていませんか?(2)最後の取引のページを開いて下さい。(3)通帳は1冊だけ挿入してください。」という注意文言をディスプレイ122に表示する。
ステップS804では、主制御部102は、利用者の監視レベルが「中」か、否かを判断する。監視レベルが「中」の場合、主制御部102は、処理をステップS806に移行し、監視レベル中用の案内表示を行う。たとえば、主制御部102は、「(1)通帳を開いて何か挟まれているか、確認してください。(2)確認できたら確認ボタンを押してください。(3)最後の取引のページを開いて下さい。(4)通帳は1冊だけ挿入してください。」という注意文言をディスプレイ122に表示する。監視レベル小用との違いは、利用者に確認ボタンを入力させる点にある。すなわち、監視レベル中以上では、利用者に対して、単に注意、警告を行うだけでなく、利用者に対して確認を入力させることにより、装置ダウンにつながるような挿入ミスの発生を防止する。利用者の監視レベルが「小」でも「中」でもない場合には、主制御部102は、処理をステップS808に移行し、監視レベルが大用の案内表示を行う。
図14は、監視レベルが大用の案内表示を説明する説明図である。図15は、監視レベルが大用の取引案内画面を示す説明図である。ステップS810では、主制御部102は、図15(a)に示すように、「(1)通帳を開いてください。(2)表紙をつまんで下さい。(3)何回か振ってください。(4)何か挟まっていましたか?」の表示と、「異物有り」ボタンと、「異物無し」ボタンを表示する。
ステップS812では、主制御部102は、利用者からのボタンの入力を待機する。なお、主制御部102は、ボタンの入力がされない限り、たとえ通帳が通帳印字機構132に挿入されても通帳の取り込みを実行しないことで、異物が挟まっていることが確認されていない通帳を取り込むことを抑制する。なお、主制御部102は、監視カメラ120を用いて、利用者が通帳を振る動作を実際に実行したかを監視してもよい。ステップS812で、「異物有り」ボタンが入力された場合には、主制御部102は、処理をステップS814に移行し、図15(b)に示すように、「(1)異物を取り除いてください。」の表示と、「取り除きました」ボタンを表示し、利用者のボタンの入力を待機する。
ステップS816では、主制御部102は、「取り除きました」ボタンが入力されたか否かを検知する。ステップS816で「取り除きました」ボタンが入力されたことを検知した場合、あるいは、ステップS812で「異物無し」ボタンが入力された場合には、主制御部102は、処理をステップS818に移行する。ステップS818では、主制御部102は、図15(c)に示すように「(1)通帳を捲ってください。(2)何回か振ってください。(3)何か落ちましたか?」の表示と、「異物あり」ボタン、「異物無し確認済」ボタンを表示し、利用者に再確認させる。
ステップS820では、主制御部102は、利用者の入力を待機する。「異物有り」ボタンが入力された場合には、主制御部102は、ステップS818の処理を繰り返す。一方、「異物無し確認済」ボタンが入力された場合には、処理をステップS822に移行し、図15(d)に示すように「(1)最後の取引のページを開いて下さい。(2)通帳の向きを確認して下さい。(3)通帳は1冊だけ挿入してください。」との案内表示を行う。なお、「異物無し確認済」ボタンが入力される前に通帳が通帳印字機構132に挿入された場合には、通帳の取り込みを実行せず、利用者にはじめからやり直させてもよい。また、(1)と(2)の間、(2)と(3)の間に、利用者に確認ボタンを押させても良い。
図16は、利用者のボタン入力までに時間について説明する説明図である。利用者によっては、異物の有無を確認せずに、すぐに「異物無し確認済」ボタンを入力する場合がある。本実施形態では、異物の確認に要する時間(T1:数秒)をあらかじめ設定しておき、「異物無し確認済」ボタンの表示から「異物無し確認済」ボタンの入力までの時間がT1よりも短い場合には、「異物の有無を確認せずに、「異物無し確認済」ボタンを入力した。」とみなすこととした。この場合、たとえば「[異物無し確認済]ボタンの入力までの時間が短すぎます。通帳を開いて異物の有無をもう一度確認してください。」と表示して、もう一度確認させてもよい。一方、「異物無し確認済」ボタンが、たとえば60秒を経過しても入力されない場合(図12のステップS710)、主制御部102は、タイムアウトとして取消し処理(ステップS712)に移行し、『お手数ですが、始めから操作をお願いします』と案内してもよい。図12のステップS714では、主制御部102は、通帳が、通帳印字機構132に挿入されたことを検知し、ステップS716では、通帳の取り込み処理を実行する。
図17は、図12のステップS716に引き続いて実行される処理を示す説明図である。ステップS750では、主制御部102は、利用者から、入金される金種が、紙幣のみか、硬貨のみか、紙幣と硬貨の両方か、を検知する。ここでは、紙幣と硬貨の両方である場合を例にとり説明する。なお、紙幣のみである場合には、以後説明する処理のうちの硬貨に関する処理を実行しない、硬貨のみである場合には、以後説明する処理のうちの紙幣に関する処理を実行しない、ことで対応可能である。ステップS752では、利用者の監視レベルに応じた紙幣投入の案内が実行される。
図18は、紙幣投入案内処理を示す説明図である。ステップS900では、主制御部102は、利用者の監視レベルが「小」か、否かを判断する。監視レベルが「小」の場合、主制御部102は、処理をステップS902に移行し、監視レベル小用の案内表示を行う。たとえば、主制御部102は、「(1)紙幣を輪ゴム、クリップで束ねていませんか?(2)紙幣以外の物が挟まっていませんか?(3)紙幣を伸ばしてください。(4)紙幣を揃えて紙幣投入口に投入して下さい。」という注意文言をディスプレイ122に表示する。
ステップS904では、主制御部102は、利用者の監視レベルが「中」か、否かを判断する。監視レベルが「中」の場合、主制御部102は、処理をステップS906に移行し、監視レベル中用の案内表示を行う。たとえば、主制御部102は、「(1)紙幣を輪ゴム、クリップで束ねていませんか?(2)紙幣以外の物が挟まっていませんか?(3)確認できたら確認ボタンを押して下さい。(4)紙幣を伸ばしてください。(5)紙幣を揃えて紙幣投入口に投入して下さい。」という注意文言をディスプレイ122に表示する。監視レベル小用との違いは、利用者に確認ボタンを入力させる点にある。すなわち、監視レベルが「中」以上では、利用者に対して、単に注意、警告を行うだけでなく、利用者に対して確認を入力させることにより、装置ダウンにつながるような挿入ミスの発生を防止する。利用者の監視レベルが「小」でも「中」でもない場合には、主制御部102は、処理をステップS908に移行し、監視レベルが大用の案内表示を行う。
図19は、監視レベルが大用の紙幣投入案内表示を説明する説明図である。ステップS910では、主制御部102は、「(1)紙幣を輪ゴムやクリップで束ねていますか」の表示と、「束ね有り」ボタンと「束ね無し」ボタンを表示する。
ステップS912では、主制御部102は、利用者からのボタンの入力を待機する。なお、主制御部102は、ボタンの入力がされない限り、たとえ紙幣が紙幣入出金機構128の紙幣入出金口に挿入されても紙幣の取り込みを実行しないことで、輪ゴムやクリップで束ねられたことが確認されていない紙幣を取り込むことを抑制する。ステップS912で、「束ね有り」ボタンが入力された場合には、主制御部102は、処理をステップS914に移行し、「(1)輪ゴムやクリップを取り除いて下さい。)の表示と、「取り除きました」ボタンを表示し、利用者のボタンの入力を待機する。
ステップS916では、主制御部102は、「取り除きました」ボタンが入力されたか否かを検知する。ステップS916で「取り除きました」ボタンが入力されたことを検知した場合、あるいは、ステップS912で「束ね無し」ボタンが入力された場合には、主制御部102は、処理をステップS918に移行する。ステップS918では、主制御部102は、「(1)紙幣を1枚ずつ捲って下さい。(2)紙幣以外の物が有りましたか?」
の表示と、「異物有り」ボタンと「異物無し確認済み」ボタンをディスプレイ122に表示し、利用者に再確認させる。輪ゴムやクリップによる束ねは無くなっても、紙幣の間にレシートや明細票等が挟まっている場合があるため、これらを利用者に確認させるためである。
ステップS920では、主制御部102は、利用者の入力を待機する。「異物有り」ボタンが入力された場合には、主制御部102は、ステップS918の処理を繰り返す。一方、「異物無し確認済」ボタンが入力された場合には、処理をステップS922に移行し、「(1)紙幣を伸ばして下さい。(2)紙幣を揃えて下さい。(3)紙幣を紙幣投入口に入れて下さい。」との案内表示を行う。なお、「異物無し確認済」ボタンが入力される前に紙幣が紙幣入出金機構128の紙幣入出金口に挿入された場合には、紙幣の取り込みを実行せず、利用者にはじめからやり直させてもよい。また、(1)と(2)の間、(2)と(3)の間に、利用者に確認ボタンを押させても良い。
ステップS754において、「異物無し確認済」ボタンの入力を検知すると、主制御部102は、処理をステップS756に移行し、紙幣入出金機構128の紙幣投入口のシャッタのみを開ける。なお、ステップS754における「異物無し確認済」ボタンの入力も検知は、図19のステップS920における「異物無し確認済」ボタンの入力の検知と同じである。ステップS758で利用者からの紙幣の投入を受け入れて、取り込む。ステップS760では、主制御部102は、紙幣入出金機構128の紙幣投入口のシャッタを閉じる。
ステップS762では、図18、19に示したのと同様に、利用者の監視レベルに応じた硬貨投入の案内が実行される。利用者に対する具体的な注意文言は異なるが、異物の有無を確認させる点は同じであるので、細かい説明は、省略する。ステップS764では、主制御部102は、硬貨入出金機構134の硬貨投入口のシャッタのみを開けて、硬貨を投入させる。ステップS766では、主制御部102は、利用者からの「異物無し確認済み」ボタンの入力を待機する。利用者からの「異物無し確認済み」ボタンの入力を検知すると、主制御部102は、処理をステップS768に移行し、硬貨入出金機構134の硬貨投入口のシャッタを閉じる。
ステップS770では、主制御部102は、投入された紙幣及び硬貨の金額を計数し、ディスプレイ122に表示し、利用者に金額を確認させる。計数された金額と入金された金額とが一致することが利用者によって確認された場合には、主制御部102は、処理をステップS772に移行する。一方、計数された金額と入金された金額とが一致することが利用者によって確認されなかった場合には、主制御部102は、利用者に投入された紙幣、硬貨を放出し、処理をステップS750に戻る。そして、もう一度、利用者に紙幣や貨幣の投入を実行させる。
ステップS772では、主制御部102は、勘定系サーバ200及び情報系サーバ250と交信を行い、取引内容を送信する。主制御部102は、ステップS774、776では、それぞれ通帳、カードを利用者に放出し、利用者との取引を終了する。
以上、本実施形態によれば、通帳や紙幣などの媒体の挿入ミスが多い利用者に対しては、過去の挿入ミスの頻度に応じて監視レベルを認定し、利用者の監視レベルに応じた案内を行うことで、挿入ミスの再発を抑制することが、可能となる。特に挿入ミスの頻度の多い(監視レベルの高い)利用者に対しては、利用者の操作をステップ毎に区分し、ステップ毎に確認を入力させることで、利用者の挿入ミスの再発を抑制することが、可能となる。
以上、いくつかの実施形態に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。