以下に、添付図面を参照して、本発明に係る貨幣処理システムの好適な実施例を詳細に説明する。携帯端末は、銀行等の金融機関にある種々の処理装置と通信を確立し、各種貨幣処理装置に対して操作を受け付け、当該処理装置に送信して処理を行わせることが可能である。そこで、実施例として、渉外員が顧客先で行った取引を取引データとして携帯端末に記憶させ、携帯端末と貨幣処理装置とが連携して取引データの処理を行う場合について詳細に説明する。次に、変形例として、携帯端末と貨幣処理装置とを接続して、携帯端末を貨幣処理装置のモバイルターミナルとして利用する場合について説明する。
まず、本実施例に係る貨幣処理システムにおける渉外員の入金取引の処理の概念について説明する。図1は本実施例に係る貨幣処理システムにおける渉外員の入金取引の処理の概念を説明するための説明図である。図1に示すように、本実施例に係る貨幣処理システムは、携帯端末10と、貨幣処理装置20とを有する。携帯端末10は、渉外員等が店外で顧客との取引の際に使用する携帯型の端末であり、渉外員から顧客先で取引データの入力を受け付けてその内容を記憶する。貨幣処理装置20は、店舗内に設置され、貨幣の入出金、収納及び整理などの貨幣の処理を行う処理装置である。なお、本実施例では貨幣処理システムでの入金取引処理について説明しているが、貨幣処理システムの処理は入金取引に限定されるわけではない。
渉外員は、顧客先において預金等があれば顧客から現金等の入金依頼を受け付ける(図1の(1))。渉外員は、受け付けた貨幣を計数して確認する。そして、計数した金額を含め入金依頼の記録を取引データとして携帯端末10に入力し、携帯端末10に記憶させる(図1の(2))。渉外員は顧客先での取引が終了すると、現金を預かり店舗に戻る。なお、貨幣を計数する際に、計数機を使用することもできる。計数機については後述する。
従来であれば、店舗に戻った渉外員は、貨幣処理装置に預かった現金を収納して渉外員としての業務を完結させる。しかしこれでは、後に、渉外員が顧客先で行った取引内容と貨幣処理装置に収納された現金とが一致していない場合に、その原因の究明に多大な労力を要することになる。
そこで、本実施例に係る貨幣処理システムでは、渉外員が顧客先で顧客から入金を依頼されたならば(図1の(1))、取引データとして携帯端末10に入力して記憶させる(図1の(2))。そして、携帯端末10に記憶させた取引データに対応する入金額と、貨幣処理装置20に入金されて計数した金額とを比較して、両者の金額が一致するかどうかを判定する。
その処理について具体的に説明する。渉外員は店舗に戻ると顧客先で入力した入金に関する取引データを貨幣処理装置20に移行させる。これは、携帯端末10と貨幣処理装置20との間の通信機能により携帯端末10から自動的に送信される(図1の(3))。そして、入金取引と判定した貨幣処理装置20は、渉外員に対して顧客から預かった貨幣の入金を促し、入金された貨幣の計数を行う(図1の(4))。
貨幣処理装置20は、受け付けた貨幣を計数した結果と、受信した取引データに対応する入金額とを比較する(図1の(5))。比較した結果が一致すれば、貨幣処理装置20は、取引データを正当なものとして貨幣を収納して入金処理を完了する。
しかし、比較した結果が不一致であれば、計数した金額と合致しないため、入金の取引データの処理が未了である旨の報知を行う(図1の(6))。そして、貨幣処理装置20は、渉外員の行った入金取引の業務を完了させず、再入金等の処置を求める。したがって、この時点で操作ミスや不正があれば発見されることになる。
渉外員が不正を行おうとしていないのであれば、渉外員は、顧客先での携帯端末10への取引データの操作ミスや貨幣のセットのミス等、比較結果が一致しない原因を探求することになる。そして、原因が解明できた場合には、渉外員は、是正処置を行い、貨幣処理装置20への入金処理を再度行って、取引を完了させることができる。
渉外員が不正を行おうとして、何の是正処置も講じない場合には、貨幣処理装置20には、担当した渉外員、その入金取引の内容、入金額及び処理未了の記録が残るため、店舗側では、迅速な対応が図ることができる。また、処理が未了の状態となってから所定時間以内に何らかの処置がなされなければ、自動的に貨幣処理装置20に接続されている端末に報知されるようにしてもよい。
このように、本実施例に係る貨幣処理システムは、渉外員が顧客先で行った入金取引の場合に、取引データの入金額と貨幣処理装置20に実際に入金された金額とを比較し、金額が不一致の場合には渉外員に報知し、渉外取引の処理を完了させないのである。このため、その時点でミスや不正を発見し、これを防止することが可能となる。また、携帯端末10と貨幣処理装置20とが通信を確立し、携帯端末10は記憶した取引データを自動的に貨幣処理装置20に送信する。したがって、渉外員により貨幣処理装置20へデータを再入力するという手間が不要となり、渉外員の負担を軽減させることができる。
次に、図1に示した携帯端末10の内部構成について説明する。図2は、図1に示した携帯端末10の内部構成を示したブロック図である。図2に示すように、携帯端末10は、表示操作部11、撮像部12、タグリーダ13、無線通信部14、記憶部15及び制御部16を有する。
表示操作部11は、渉外員からの入力操作を受け付け、出力結果等を表示するタッチ式液晶ディスプレイ等である。表示操作部11は、操作ボタン等を表示し、渉外員によるボタン押下又はタッチにより操作を受け付ける。
撮像部12は、貨幣の計数場面等の撮像を行うCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)等からなるカメラである。タグリーダ13は、貨幣処理装置20に付された電子タグを読み取るリーダである。この電子タグには、携帯端末10が貨幣処理装置20等の機器情報など、無線通信を確立するための情報が記憶されている。無線通信部14は、貨幣処理装置20と無線通信を行うための通信部である。
記憶部15は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部15は、携帯端末ID15a、ユーザデータ15b、顧客データ15c、取引データ15d、計数機識別データ15e及び計数記録データ15fを記憶する。
携帯端末ID15aは、携帯端末10を識別するためのIDである。ユーザデータ15bは、携帯端末10を使用する渉外員とその処理権限等を管理するためのデータであり、ユーザID、氏名、識別データ及び権限種別が含まれる。ここで、権限種別とは渉外員等の処理権限を設定した種別である。このユーザデータ15bは、携帯端末10と貨幣処理装置20との無線通信が確立された場合に、貨幣処理装置20に送信され、貨幣処理装置20においてもユーザを識別するために利用される。
顧客データ15cは、顧客を管理するためのデータである。顧客データ15cは渉外員が訪問する顧客のデータであり、顧客IDに、氏名及び口座番号を対応付けたものである。顧客データ15cは、訪問する顧客数分を貨幣処理装置20等から携帯端末10に入力され記憶部15に登録される。
取引データ15dは、渉外員が顧客先で行った取引のデータであり、取引IDに取引種別、受付日時及び取引内容を対応付けたものである。ここで、取引種別とは入金、出金、両替等の取引の種類を示し、取引内容の中の計数処理IDとは、渉外員により入金、出金あるいは両替された貨幣を計数した場合の計数処理のIDである。計数機識別データ15eは、貨幣を計数するために使用した計数機を識別するためのデータである。計数機識別データ15eは、使用した計数機を識別するための計数機IDと、携帯端末10が前記計数機を画像識別するためのパターンファイルである識別パターンとを含む。
計数記録データ15fは、顧客先において計数機による貨幣の計数を実施した場合に、計数場面を録画したデータであり、撮影日時、計数機ID、計数処理ID、計数結果及び撮像データを含む。貨幣の計数状態が開始から終了まで正常に撮像された場合には、計数結果には計数機により計数された金額が登録される。計数途中で計数機全体が撮像されず、途中で計数が停止した場合には、計数結果に異常終了と登録される。なお、計数機による貨幣の計数については後述する。
制御部16は、携帯端末10を全体制御する制御部であり、ユーザ管理部16a、通信制御部16b、インタフェース連携部16c、取引データ管理部16d及び計数制御部16eを有する。
ユーザ管理部16aは、携帯端末10を利用するユーザを管理する管理部である。ユーザ管理部16aは、ユーザID及びユーザ識別データに基づいて携帯端末10を使用できるユーザか否かを判断し、使用可能なユーザの場合には実行可能な権限に応じたメニューを表示操作部11に表示する。
また、ユーザ管理部16aは、携帯端末10と貨幣処理装置20との間に通信が確立された場合に、携帯端末10を使用している当該ユーザに関するデータを貨幣処理装置20に送信する。
通信制御部16bは、貨幣処理装置20又は計数機あるいはその他の処理装置との通信制御を行う制御部である。通信制御部16bは、タグリーダ13が、貨幣処理装置20に付された電子タグから読み込んだ情報に基づいて、無線通信部14により貨幣処理装置20との無線通信を確立する。また、通信制御部16bは、貨幣の計数が行われる際に計数機との間に無線通信を確立する。
インタフェース連携部16cは、貨幣処理装置20との通信確立時、貨幣処理装置20の操作代行を受け付ける処理部である。具体的には、インタフェース連携部16cは、貨幣処理装置20との通信が確立されたならば、登録又は送信された貨幣処理装置20の操作画面又は操作メニューを表示操作部11に表示制御する。そして、表示操作部11に表示される操作画面から貨幣処理装置20に対する代行操作要求を受け付ける。
なお、この際に、携帯端末10から貨幣処理装置20へ入力すべき取引データが送信された場合には、携帯端末10の表示操作部11には、貨幣処理装置20との連携処理操作のメニューが画面表示に含まれる。
また、インタフェース連携部16cは、後述する計数機による貨幣の計数の際に、計数機の機器情報及び取得画像から計数ボタンを認識し、表示操作部11に計数ボタンを表示する。計数ボタンが押下されたことを検知して、計数指示を計数機に送信する。また、計数制御部16eからの計数停止の指示を計数機に送信し、計数を停止させる。
取引データ管理部16dは、渉外員が顧客先で行った取引に関するデータを管理する管理部である。取引データ管理部16dは、渉外員から取引に関するデータ入力を受け付けて、取引データ15dに登録する。また、取引データ管理部16dは、貨幣処理装置20との通信が確立された後に、取引データ15dに登録された取引のデータを貨幣処理装置20に送信する。
また、取引データ管理部16dは、入金取引において後述する計数機による貨幣の計数が行われた場合に、計数制御部16eから計数処理IDと計数結果の通知を受け、取引データ15dに登録する。
計数制御部16eは、計数機によって貨幣の計数が行われる場合に、計数機の計数動作を制御する制御部である。計数制御部16eは、撮像部12により計数機及び計数される貨幣が撮像されていることを条件に、表示操作部11に計数を開始させるための計数ボタンを表示する。そして、計数ボタンが押下され、計数が開始されたならば、計数機の計数状況を録画する。
また、計数制御部16eは、計数開始後に、計数機全体が表示操作部11に表示されていないと判定した場合には、計数停止の指示を計数機に送信して計数を停止させ、録画を中止する。そして、計数制御部16eは、計数記録データ15fの計数結果に異常終了と登録する。また、計数制御部16eは、計数機から計数終了の信号を受信した場合には、計数結果を表示操作部11に表示制御し、計数結果と、録画した結果である撮像データとを計数記録データ15fに登録する。
次に、携帯端末10の記憶部15に記憶されるデータの具体例について説明する。図3は、携帯端末10の記憶部15に記憶される携帯端末ID15a、ユーザデータ15b、顧客データ15c、取引データ15d、計数機識別データ15e及び計数記録データ15fについて説明するための説明図である。
図3(a)に示す携帯端末ID15aは、自装置のIDが「LOT1234」であることを示している。図3(b)に示すユーザデータ15bは、この携帯端末10の使用者の一人として、ユーザIDが「LO1111」、氏名が「L_O」、識別データが「LP1234A−1」で、権限種別が「C」であることを示している。なお、権限種別は、例えば、所定金額未満の入金権限を「C」、所定金額以上の入金権限及び所定金額未満の出金権限を「B」、入金全て及び最高限度額までの出金権限を「A」というように設定することができる。
図3(c)の顧客データ15cは、渉外員が訪問する顧客のデータである。図3(c)に示す顧客データ15cでは、顧客ID「AC2222」に、氏名が「A_B」、口座番号「0111111」と「1222222」が対応付けられている。
また、図3(c)の顧客データ15cは、顧客ID「AC3333」に氏名「C_D」、口座番号「2333333」が対応づけられており、顧客ID「AC4444」に、氏名「E_F」、口座番号「3444444」が対応付けられている状態を示している。さらに、顧客ID「AC6666」には、氏名「G_H」、口座番号「4555555」が対応付けられていることを示している。
図3(d)の取引データ15dは、取引ID「CD1111」で、取引種別が「入金」であり、受付日時「2014/3/14/0917」に顧客ID「AC2222」の口座「0111111」に入金額「123,000円」を受け付けたことを示している。そして、その時の計数機による計数処理IDが「CP0001」であることを示している。
また、図3(d)の取引データ15dは、取引ID「WT1111」で、取引種別が「出金」であり、受付日時「2014/3/14/1030」に顧客ID「AC3333」の口座「2333333」から「2014年3月28日」に出金額「100,000円」の予約を受け付けたことを示している。
また、図3(d)の取引データ15dは、取引ID「CD2222」で、取引種別が「入金」であり、受付日時「2014/3/14/1245」に顧客ID「AC4444」の口座「3444444」に入金額「50,000円」を受け付けたことを示している。そして、その時の計数機による計数処理IDは「CP0002」であることを示している。
また、図3(d)の取引データ15dは、取引ID「MX0000」で、取引種別が「両替」であり、受付日時「2014/3/14/1330」に顧客ID「AC6666」から「2014/3/17」に「10,000円(¥1,000×10)」の両替の予約を受け付けたことを示している。
また、図3(d)の取引データ15dは、取引ID「CD3333」で、取引種別が「入金」であり、受付日時「2014/3/14/1400」に顧客ID「AC2222」の口座「1222222」に入金額「600,000円」を受け付けたことを示している。そして、その時の計数機による計数処理IDは「CP0003」であることを示している。
図3(e)に示す計数機識別データ15eは、渉外員が使用する計数機の計数機IDが「CC1234」であり、携帯端末10がこの計数機を識別するための識別パターンが「CC1234.PAT」であることを示している。
図3(f)に示す計数記録データ15fは、撮影日時「2014/3/14/0917」、計数機30の計数機ID「CC1234」であり、計数処理ID「CP0001」に対応付けた計数結果が「123,000円」、撮像データが「CP0001.mov」であることを示している。
また、図3(f)に示す計数記録データ15fは、撮影日時が「2014/3/14/1245」に、計数機ID「CC1234」の計数機で、計数処理ID「CP0002」に対応付けた計数結果が「50,000円」、撮像データが「CP0002.mov」であることを示している。
また、図3(f)に示す計数記録データ15fは、撮影日時が「2014/3/14/1330」に、計数機ID「CC1234」の計数機で、計数処理ID「CP0003」に対応付けた計数結果が「600,000円」、撮像データが「CP0003.mov」であることを示している。
次に、貨幣処理装置20の内部構成について説明する。図4は、貨幣処理装置20の内部構成を示すブロック図である。図4に示すように、貨幣処理装置20は、電子タグ21、表示操作部22,無線通信部23、計数部24、紙幣収納部25、硬貨収納部26、記憶部27及び制御部28を有する。
電子タグ21は、情報が書き込まれたICチップが内蔵され、携帯端末10からの無線(NFC:Near Field Communication)を利用して、非接触でICチップ内の情報を携帯端末10に送信できるようにしたタグである。電子タグ21は、貨幣処理装置20に貼り付けられた形態等により利用される。電子タグ21には、貨幣処理装置20の機器情報など、携帯端末10が貨幣処理装置20と通信を確立するための情報がICチップに書き込まれている。
表示操作部22は、タッチ式液晶ディスプレイ等の入出力装置である。表示操作部22は、入出金操作を受け付けるとともに、携帯端末10から貨幣処理装置20に送信された取引データを処理するための操作等を受け付ける。
無線通信部23は、携帯端末10と無線通信を行うための通信部である。計数部24は、入金される貨幣を計数処理する処理部である。紙幣収納部25は、紙幣を金種別に収納する収納部であり、硬貨収納部26は、硬貨を金種別に収納する収納部である。
記憶部27は、ハードディスク装置や不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスである。記憶部27は、ユーザデータ27a、顧客データ27b、取引履歴データ27c、予約タスクデータ27d及び要権限タスクデータ27eを記憶する。
ユーザデータ27aは、貨幣処理装置20のユーザを管理するためのデータであり、ユーザID、氏名、識別データ、権限種別を記録したデータである。このユーザデータ27aは、携帯端末10のユーザデータ15bとデータの構造は同一である。
顧客データ27bは、顧客を管理するためのデータであり、顧客ID,氏名、口座番号を含む。なお、顧客データ27bのデータ構造も、携帯端末10の顧客データ15cと同じであり、渉外員が訪問する顧客分のデータが顧客データ15cに登録される。
取引履歴データ27cは、送信又は入力された取引データに関して貨幣処理装置20が処理した履歴を登録したデータであり、取引ID、取引種別、受付日時、ユーザID、携帯端末ID、処理日時及び取引内容を含む。取引履歴データ27cは、携帯端末10の取引データ15dに追加して、ユーザID、携帯端末ID及び貨幣処理装置20の処理日時を含む。また、取引履歴データ27cの取引内容には、顧客ID,口座番号及び金額が含まれる。
予約タスクデータ27dは、携帯端末10から受信したデータにおいて、後日に処理が必要な取引が登録されたタスクデータであり、予約日時、取引ID、取引種別、受付日時、取引内容を含む。取引内容には、顧客ID、口座番号及び金額が含まれる。
要権限タスクデータ27eは、携帯端末10から受信した取引のデータにおいて、権限を有した者によって処理されることが必要な取引として登録されたタスクデータであり、権限種別、取引ID、取引種別、受付日時、予約日時、取引内容を含む。取引内容には顧客ID、口座番号及び金額が含まれる。
制御部28は、貨幣処理装置20を全体制御する制御部であり、ユーザ管理部28a、タスク報知部28b、インタフェース連携部28c、取引データ受信部28d、比較処理部28e、取引履歴更新部28f、予約タスク登録部28g及び要権限タスク登録部28hを有する。
ユーザ管理部28aは、貨幣処理装置20のユーザを管理する管理部である。ユーザ管理部28aは、ユーザデータ27aに基づいてユーザを識別し、ユーザが実行可能な処理権限を管理する。
また、ユーザ管理部28aは、貨幣処理装置20と携帯端末10との間に無線通信が確立され、携帯端末10からユーザデータが送信された場合には、ユーザデータ27aのデータと照合して、ユーザが実行可能な操作画面又は操作メニューを表示操作部22に表示制御する。
タスク報知部28bは、処理されるべき予約タスクや要権限タスクがあることを報知する報知部である。タスク報知部28bは、予約タスクデータ27dに登録されていたタスクデータの処理日になった場合に、処理すべき予約タスクがあることを報知する。また、要権限タスクデータ27eに登録されているタスクデータがある場合には、処理可能な権限を有する者がログインした場合には、要権限タスクありを報知する。
インタフェース連携部28cは、携帯端末10から貨幣処理装置20への代行操作を受け付ける処理部である。インタフェース連携部28cは、貨幣処理装置20との間に無線通信が確立され、携帯端末10に貨幣処理装置20の操作画面が表示されている場合に、携帯端末10の表示操作部11からの代行操作要求を受信し、要求に応じた代行操作を受け付ける。
このため、インタフェース連携部28cは、携帯端末10と貨幣処理装置20との通信が確立され、携帯端末10との連携処理を行う場合には、操作画面又は操作メニューに関する画面設定情報を携帯端末10に送信する。なお、操作画面設定情報を送信する代わりに、携帯端末10に貨幣処理装置20の操作画面を登録し、画面を起動する指示を送信するようにしてもよい。
取引データ受信部28dは、携帯端末10に記憶された取引データ15dを受信処理する処理部である。取引データ受信部28dは、携帯端末10との間に無線通信が確立されたならば、携帯端末10から送信される取引データを受信し、受信結果を表示操作部22に表示するとともに、取引履歴データ27cに登録する。
比較処理部28eは、取引のデータに対応する入金額と、計数部24による入金された貨幣の計数金額とを比較する処理部である。比較処理部28eは、取引履歴更新部28fから取引のデータに対応する入金額と計数金額の通知を受けて、両者を比較し、一致するか、あるいは一致しない場合に差分の結果を取引履歴更新部28fに返す。
取引履歴更新部28fは、取引履歴を更新する処理部である。取引履歴更新部28fは、ユーザの処理権限内の取引の処理を完了した場合に、処理結果に応じて取引履歴データ27cを更新する。
また、取引履歴更新部28fは、入金取引データを処理する場合に、貨幣の入金を促す通知を渉外員等に行い、入金を受け付けて計数部24に計数させる。そして、取引に対応する金額のデータと計数結果とを比較処理部28eに通知する。その後、比較処理部28eから取引のデータに対応する入金金額と計数金額が一致した通知を受けたならば、貨幣を収納して取引履歴データ27cを更新する。
比較処理部28eからデータに対応する入金金額と計数金額が一致しない通知を受けた場合には、取引履歴更新部28fは、両者の金額に差分があり一致しないため、入金取引の処理が未了である旨を表示操作部11及び22を介して報知する。そして入金処理のやり直し等を報知する。最終的に、取引データに対応する入金金額と計数金額が一致しない場合には、取引履歴データ27cに処理未了として登録する。
また、取引履歴更新部28fは、後日の処理が必要な取引データがある場合には予約タスク登録部28gに、権限を有する者が処理すべき取引のデータがある場合には要権限タスク登録部28hにその取引データを通知する。
予約タスク登録部28gは、後日の処理が必要な取引のデータを登録する登録部である。予約タスク登録部28gは、受信した取引のデータの中に後日の処理が必要な取引のデータの通知を受けた場合には、予約タスクとして予約タスクデータ27dに登録する。また、予約タスク登録部28gは、予約タスクデータ27dの一覧表示の要求を受け付けた場合には、登録されている予約タスクデータ27dを表示操作部22に一覧表示する。
要権限タスク登録部28hは、権限を有した者が処理すべき取引のデータを登録する登録部である。要権限タスク登録部28hは、ユーザデータ27aに登録された権限外の取引のデータがある旨の通知を受けた場合に、必要な権限種別とともに当該取引のデータを要権限タスクデータ27eに登録する。また、要権限タスク登録部28hは、要権限タスクデータ27eの一覧表示の要求を受け付けた場合には、登録されている要権限タスクデータ27eを一覧表示する。
次に、貨幣処理装置20の記憶部27が記憶するデータの具体例について説明する。図5は、貨幣処理装置20の記憶部27が記憶するユーザデータ27a、顧客データ27b及び取引履歴データ27cを説明するための説明図である。
図5(a)に示すユーザデータ27aは、ユーザID「LO1111」に対して、氏名「L_O」、識別データ「LP1234A−1」、権限種別「C」を対応付けている。また、ユーザID「LO2222」に対して、氏名「LLOO」、識別データ「LP5678A−2」、権限種別「B」を対応付けている。
図5(b)に示す顧客データ27bは、顧客を管理するためのデータであり、そのデータ構造は、図3(c)に示した顧客データ15cと同じであるが、顧客に関するデータ数のみが異なる。
図5(c)に示す取引履歴データ27cは、取引ID「CD1111」に、取引種別「入金」、受付日時「2014/3/14/0917」、ユーザID「LO1111」、携帯端末ID「LOT1234」、処理日時「2014/3/14/1530」、顧客ID「AC2222」、口座番号「0111111」及び金額「123,000円」が対応付けられていることを示している。
また、 図5(c)に示す取引履歴データ27cは、取引ID「CD3333」に、取引種別「入金」、受付日時「2014/3/14/1245」、ユーザID「LO1111」、携帯端末ID「LOT1234」、処理日時「2014/3/14/1530」、顧客ID「AC3333」、口座番号「3444444」及び金額「50,000円」が対応付けられていることを示している。
次に、貨幣処理装置20の記憶部27が記憶する予約タスクデータ27d及び要権限タスクデータ27eについて説明する。図6は、貨幣処理装置20の記憶部27が記憶する予約タスクデータ27d及び要権限タスクデータ27eを説明するための説明図である。図6(a)に示す予約タスクデータ27dは、予約日時が「2014/3/17」であり、取引ID「MX4444」に、取引種別「両替」、受付日時「2014/3/14/1100」、顧客ID「AC6666」、金額「10,000円」が対応付けられていることを示している。この予約タスクデータ27dは表示操作部22に一覧表示が可能である。
図6(b)に示す要権限タスクデータ27eは、権限種別が「B」に相当し、取引ID「WT1111」に、取引種別「出金」、受付日時「2014/3/14/1330」、予約日時「2014/3/28」、顧客ID「AC3333」、口座番号「2333333」、金額「100,000円」が対応付けられていることを示している。
また、図6(b)に示す要権限タスクデータ27eは、権限種別が「B」に相当し、取引ID「CD3333」に、取引種別「入金」、受付日時「2014/3/14/1400」、顧客ID「AC2222」、口座番号「1222222」、金額「600,000円」が対応付けられていることを示している。要権限タスクデータ27eは、表示操作部22に一覧表示が可能である。
次に、顧客先において、計数機30を使用して顧客から入金された貨幣を計数する場合について説明する。渉外員の手計算による貨幣の計数ではなく、計数機30を使用することで、貨幣の計数に伴う不正を防止することが可能となる。図7は、携帯端末10及び計数機30による紙幣の計数処理を行うイメージを示した図である。図7に示すように、携帯端末10と計数機30は無線通信により接続されている。なお、携帯端末10と計数機30との通信は、USB(Universal Serial Bus)等の有線接続による方法でもよい。
計数機30が携帯端末10の撮像部12で撮像されると、携帯端末10は計数機30の撮像された画像及び記憶している計数機識別データ15eに基づいて計数機30を認識する。携帯端末10が計数機30を認識すると、表示操作部11に計数を開始するための計数ボタン30aが表示される。そして、計数ボタン30aの押下を検知すると、携帯端末10の計数制御部16eは計数機30に計数指示を送信し、計数機30に紙幣の計数を行わせる。そして、計数制御部16eは計数場面の録画を開始する。
計数機30が撮像され、携帯端末10が計数機30を認識できており、この状態が計数終了まで維持されていることを条件に、携帯端末10は計数終了後に表示操作部11に計数結果を表示する。そして録画が終了したならば録画データが記憶される。
計数途中で、携帯端末10が、計数機30及び紙幣を含む全体を認識できていないと判定した場合には、携帯端末10は、計数機30に計数停止の指示を出し、計数機30の計数動作を停止させ、録画を終了する。この場合には、紙幣の計数は完結せず、計数結果には異常終了と記録される。なお、異常終了となった場合でも、計数のやり直しを行い、正常終了したならば、計数結果には計数された金額が記録される。
このように、計数場面の録画と計数結果の記録が残るため、計数された金額とは異なる金額を携帯端末10に不正に入力しようとすることを未然に防止できることになる。逆に、渉外員が貨幣の計数の際に不正をしていないことの証明ともなる。
次に、図7に示した計数機30の内部構成について説明する。図8は、図7に示した計数機30の内部構成を示すブロック図である。図8に示すように、計数機30は、表示操作部31、計数部32,印字部33、無線通信部34、記憶部35及び制御部36を有する。
表示操作部31は、渉外員からの操作入力を受け付け、あるいは出力結果等を表示するタッチ式液晶ディスプレイ等である。表示操作部31は、計数機30が携帯端末10とともに使用される場合には表示操作ができないようにしてもよい。計数部32は、紙幣の計数を行う計数部である。印字部33は、計数結果を付した伝票等を印字するプリンタ部である。無線通信部34は、携帯端末10との間に無線通信を行う通信部である。
記憶部35は、ハードディスク装置や不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスである。記憶部35は、計数機ID35a及び計数履歴データ35bを記憶する。計数機ID35aは、計数機30を識別するためのIDである。計数履歴データ35bは、紙幣を計数した履歴を記録したデータであり、計数処理ID、計数日時、携帯端末ID及び計数結果を含む。ここで、携帯端末IDとは、貨幣の計数の際に計数機30とペアリングした携帯端末10のIDである。
制御部36は、計数機30を全体制御する制御部であり、インタフェース連携部36a、計数指示受信部36b、計数制御部36c及びレシート発行部36dを有する。
インタフェース連携部36aは、携帯端末10から送信された計数機30への操作を受け付ける連携部である。携帯端末10と計数機30との間に通信が確立されて、携帯端末10においてを計数機30全体が撮像されていることを条件に、インタフェース連携部36aは、携帯端末10の表示操作部11から計数機30の操作の代行を受け付ける。
計数指示受信部36bは、携帯端末10から計数に関する指示を受け付ける受信部である。計数指示受信部36bは、計数指示又は計数停止指示を受信した場合に、計数制御部36cに通知する。
計数制御部36cは、携帯端末10からの指示を受けて紙幣の計数を制御する制御部である。計数制御部36cは、携帯端末10から計数開始の指示を受けたならば計数を開始し、計数停止の指示を受けた場合には、計数を停止して計数結果をクリアする。また、計数制御部36cは、計数が終了したならば、計数終了の通知を携帯端末10に送信し、計数結果を計数履歴データ35bに登録する。なお、計数制御部36cは、計数が正常に終了した場合には計数した金額を登録し、計数停止の指示を受けた場合には異常終了を計数結果に登録する。
レシート発行部36dは、入金された金額をレシートに印字して発行する発行部である。レシート発行部36dは、携帯端末10により計数金額が入力された伝票情報を受信して印字部33に印字させる。
なお、ここでは計数した結果を計数機30から印字させる説明を行ったが、レシート発行部36dを携帯端末10の制御部16に保有させ、携帯端末10と接続された携帯プリンタ等から印字できるようにしてもよい。
次に、計数機30の記憶部35が記憶するデータの具体例について説明する。図9は、計数機30の記憶部35が記憶する計数機ID35a及び計数履歴データ35bを説明するための説明図である。
図9(a)の計数機ID35aは、計数機30のIDが「CC1234」であることを示している。図9(b)に示す計数履歴データ35bは、計数処理ID「CP0001」に、計数日時「2014/3/14/0917」、ペアリングした携帯端末10のID「LOT1234」及び計数結果「123,000円」が対応付けられていることを示している。
また、図9(b)に示す計数履歴データ35bは、計数処理ID「CP0002」に、計数日時「2014/3/14/1245」、携帯端末ID「LOT1234」及び計数結果「50,000円」が対応付けられていることを示している。
また、図9(b)に示す計数履歴データ35bは、計数処理ID「CP0003」に、計数日時「2014/3/14/1400」、携帯端末ID「LOT1234」及び計数結果「600,000円」が対応付けられていることを示している。
次に、取引のデータに関して、携帯端末10と貨幣処理装置20との連携した処理が行われる場合における携帯端末10の表示操作部11の表示の一例について説明する。図10は、取引のデータに関して、携帯端末10と貨幣処理装置20との連携した処理が行われる場合における携帯端末10の表示操作部11の表示の一例についての説明図である。図10(a)は、携帯端末10が貨幣処理装置20に貼り付けられた電子タグを読み取り、貨幣処理装置20と通信が確立された後に表示される初期画面である。
この初期画面でデータ連携処理を選択すると、図10(b)に示すように、渉外員が行った取引の一覧が表示される。ここで、連携処理とは、携帯端末10の取引データ15dに登録されたデータを貨幣処理装置20において、取引データ15dに登録されたデータをその取引種別や取引内容に対応した処理を行うことを言う。また、この表示画面は、貨幣処理装置20の表示操作部22に表示される内容と同じであり、表示操作部22からの操作を携帯端末10から代行できることを示している。
10(b)に示す画面で、いずれかの取引のチェックボックスにタッチすれば、貨幣処理装置20は選択された取引を処理していく。図10(b)に示す画面では、貨幣処理装置20がNo.1の入金処理を開始し、貨幣処理装置20への入金を促している状態を示している。そして、渉外員が入金を行い、確認ボタンを押下すると、貨幣処理装置20は、入金処理を継続する。
図10(c)に示す画面は、すべての処理が正常に終了し、その結果、2件の入金処理が行われ、出金と両替は予約タスク又は要権限タスクとして予約がなされた状態を示している。
次に、貨幣処理装置20において入金取引のデータに対応する入金金額と、実際に貨幣処理装置20で計数された金額が一致しない場合における、携帯端末10の表示操作部11の表示画面の一例について説明する。図11は、貨幣処理装置20において入金取引のデータに対応する入金金額と、実際に計数された金額とが一致しない場合における、携帯端末10の表示操作部11の表示画面の一例を示した説明図である。なお、この場合も貨幣処理装置20の表示操作部22は表示操作部11と同一の表示画面となる。
図11(a)に示す表示画面は、貨幣処理装置20が計数した金額が、携帯端末10から送信された取引データに対応する金額より千円少ないため、入金のやり直しを要求している状態を示している。ここで、不足の千円を足して入金すれば、入金処理が完了される。入金せずに継続ボタン押下を行えば、貨幣処理装置20は、この入金処理をスキップして次の処理に移行する。ただし、当該入金処理は未了扱いとなる。なお、ここでは入金額が不足している場合を示したが、取引よりも入金額が多い場合には、超過分を返金し、確認を促すメッセージを表示するようにすればよい。
図11(b)は、貨幣処理装置20において最初の入金処理を未了として、当該入金処理以外の渉外取引の処理が完了した画面である。図11(b)に示すように、入金処理が未了となった場合に、再入金を行う等の是正処置をしなければ、渉外員の業務が完了したことにならない。このため、この後に渉外員が何らかの業務完了のための処置をしなければ、貨幣処理装置20は不正行為が行われたと判定する。そして、渉外員の取引処理未了の報知が貨幣処理装置20及び図示しない上位装置等になされることになる。
次に、渉外員が携帯端末10を使用する際の携帯端末10による使用開始の処理手順について説明する。図12は、渉外員が携帯端末10を使用する際の携帯端末10による使用開始の処理手順を示したフローチャートである。
携帯端末10のユーザ管理部16aは、渉外員からのユーザデータ15bの識別データの受け付けがない場合には(ステップS101;No)、識別データの入力を待機する。識別データを受け付けたならば(ステップS101;Yes)、ユーザ管理部16aはユーザの識別処理を行い(ステップS102)、ユーザデータ15bに設定された権限を付与する(ステップS103)。そして、ユーザ管理部16aは、権限に対応するメニューを表示して(ステップS104)、処理を終了する。
なお、このフローチャートは、携帯端末10と貨幣処理装置20との間に通信が確立されたときに、携帯端末10と貨幣処理装置20との連携処理を行うための最初の処理手順と同じである。この場合に、識別データの受け付けは、携帯端末10と貨幣処理装置20との間の通信が確立された際に自動的に実施され、貨幣処理装置20において、ユーザ管理部28aが、ユーザデータ27aに基づいてユーザの識別処理を行う。
次に、携帯端末10と貨幣処理装置20とが取引のデータの処理を行うための処理手順について説明する。図13は、携帯端末10と貨幣処理装置20とが取引のデータの処理を行うための処理手順を示したフローチャートである。
携帯端末10は、タグリーダ13による電子タグ21を検知しないならば(ステップS201;No)、検知状態になるまで待機する。電子タグ21を検知したならば(ステップS201;Yes)、通信制御部16bは、電子タグ21に記憶された無線通信情報を読み取り(ステップS202)、貨幣処理装置20との間に無線通信を確立する(ステップS203及びステップS301)。この際、ユーザ管理部16aは、ユーザに関するデータを貨幣処理装置20に送信する(ステップS204)。この後、渉外員等からの操作は携帯端末10から受け付けることになるが、実際の処理は貨幣処理装置20で行われる。
タスク報知部28bからユーザに対応する要権限タスクの報知がなければ(ステップS302;No)、ステップS304に移行する。要権限タスクの報知があれば(ステップS302;Yes)、取引履歴更新部28fは、要権限タスクを処理して取引履歴データ27cを更新する(ステップS303)。
その後、タスク報知部28bからユーザに対応する予約タスクの報知がなければ(ステップS304;No)、ステップS306に移行する。ユーザに対応する予約タスクの報知があれば(ステップS304;Yes)、取引履歴更新部28fは予約タスクを処理して(ステップS305)、取引履歴データ27cを更新する。
携帯端末10の取引データ管理部16dは、取引データ15dに登録されている取引のデータがあれば(ステップS205;Yes)、貨幣処理装置20に取引データを送信し(ステップS206)、処理を終了する。取引データ15dに登録されている取引のデータがなければステップS205;No)、処理を終了する。貨幣処理装置20は、送信された取引のデータを処理し(ステップS306)、処理を終了する。
次に、図13のステップS306において、貨幣処理装置20が取引のデータを処理するための処理手順について説明する。図14は、図13のステップS306において、貨幣処理装置20が取引のデータを処理するための処理手順を示したフローチャートである。
取引データ受信部28dは、取引のデータの一つの選択を受け付ける(ステップS401)。受け付けた取引のデータが権限外の処理であれば(ステップS402;Yes)、要権限タスク登録部28hは要権限タスクとして要権限タスクデータ27eに登録し(ステップS413)、ステップS412に移行する。
要権限外の処理でなければ(ステップS402;No)、後日の処理が必要な取引のデータか否かを判定する(ステップS403)。後日の処理が必要な取引のデータであれば(ステップS403;Yes)、予約タスク登録部28gは、予約タスクとして予約タスクデータ27dに登録し(ステップS414)、ステップS412に移行する。
後日の処理が必要な取引のデータでなければ(ステップS403;No)、入金処理か否かを判定する(ステップS404)。入金処理でなければ(ステップS404;No)、取引履歴更新部28fは権限内タスク処理を受け付けて(ステップS416)、取引履歴データ27cを更新し(ステップS411)、ステップS412に移行する。
入金処理であれば(ステップS404;Yes)、計数部24による貨幣の計数を受け付ける(ステップS405)。比較処理部28eは、計数部24による貨幣の計数結果と取引のデータの金額とを比較する(ステップS406)。
比較結果が一致すれば(ステップS407;Yes)、比較処理部28eはその旨を取引履歴更新部28fに通知し、取引履歴更新部28fは正常終了を表示する(ステップS415)。その後、取引履歴更新部28fは取引履歴データ27cを更新する(ステップS411)。
比較結果が一致しなければ(ステップS407;No)、取引履歴更新部28fは異常を報知し、再入金を要求する(ステップS408)。再入金を受け付けた場合には(ステップS409;Yes)、ステップS407に戻る。
再入金の受け付けがない場合には(ステップS409;No)、取引のデータの処理未了を報知し(ステップS410)、取引履歴更新部28fは、入金取引を処理未了として取引履歴データ27cを更新する(ステップS411)。そして、未処理の取引のデータがあれば(ステップS412;Yes)、ステップS401に戻る。未処理の取引のデータがなければ(ステップS412;No)、処理を終了する。
次に、店外の顧客先で、携帯端末10が計数機30を制御して貨幣の計数処理を行わせるための処理手順について説明する。図15は、店外の顧客先で、携帯端末10が計数機30を制御して貨幣の計数処理を行わせるための処理手順を示したフローチャートである。ここでは、計数機30に計数する紙幣がセットされているものとして説明する。
携帯端末10の計数制御部16eは、計数機30の撮像を受け付ける(ステップS501)。計数制御部16eは、撮像した画像と計数機識別データ15eを比較し、計数機30を認識できているか否かを判定する(ステップS502)。認識できていなければ(ステップS502;No)、ステップS501に戻る。
計数機30が認識できていると判定したならば(ステップS502;Yes)、機器情報を取得し(ステップS503)、表示操作部11に表示された計数機30の画像に計数ボタン30aを重畳表示させる(ステップS504)。なお、計数ボタン30aは任意の位置に表示させるようにしてもよい。
計数制御部16eは、計数ボタン30aの押下を検知したならば(ステップS505)、計数機30に計数指示を出し、計数場面の録画を開始する(ステップS506)。計数開始後、計数機全体が撮像されているならば(ステップS507;Yes)、計数終了信号を受信したか否かを判定する(ステップS508)。計数終了信号を受信しなかった場合には(ステップS508;No)、ステップS507に戻る。
計数機全体が撮像されていない場合には(ステップS507;No)、計数制御部16eは、計数機30に対して計数停止の指示を出して計数を停止させる(ステップS513)。そして、録画を終了し(ステップS514)、異常終了の履歴を計数記録データ15fに登録し(ステップS515)、処理を終了する。
計数終了信号を受信した場合には(ステップS508;Yes)、表示操作部11に計数結果を表示し(ステップS509)、録画を終了する(ステップS510)。その後、正常終了の履歴を計数記録データ15fに登録し(ステップS511)、計数結果の伝票への入力を受け付けて(ステップS512)、処理を終了する。なお、正常終了の場合には、計数記録データ15fの計数結果には、計数された金額が登録される。
上述してきたように、携帯端末10は貨幣処理装置20のタグを読み取り、自動的に貨幣処理装置20との通信を確立する。そして、携帯端末10が、顧客先で入力されて記憶された取引のデータを貨幣処理装置20に送信することにより、貨幣処理装置20が入金取引に対応した処理を行う。すなわち、貨幣処理装置20は受信した取引のデータを入金取引と判定したならば、入金取引に対応した入金額と計数した貨幣の金額との比較を行う。そして、比較した金額が一致すれば入金の処理を行い、一致しなければ貨幣処理装置20が入金処理を未了とする。これによって早期にミスや不正を効果的に防止することが可能となる。
また、本実施例では、権限外の処理は要権限タスクとして、後日の処理に関わる渉外取引は予約タスクとして登録し報知することにしたので、その処理期日に応じて処理権限を有した者は、処理すべきタスクがあることを承知するので、処理漏れを防止することが可能となる。
また、本実施例では、入金処理の際には、顧客先で計数動作の開始から終了までを計数場面を撮像することを条件に計数機30による貨幣の計数を可能としたので、計数場面の記録が残り、顧客先での貨幣の計数のごまかしなどの不正を防止することが可能となる。
また、本実施例では、貨幣処理装置20で計数した入金額と、取引のデータに対応する金額とを貨幣処理装置20で比較する説明をしたが、この比較手段は、携帯端末10に保有させてもよいし、携帯端末10と貨幣処理装置20との間の通信を中継するサーバを設置して、このサーバに保有させることにしてもよい。
また、本実施例では、渉外員が入金取引に関わる取引データを携帯端末10から貨幣処理装置20へと連携処理させる場合を中心に説明したが、連携する装置は貨幣処理装置20に限定されない。例えば、渉外員が顧客先から預かった通帳、印章、証書及びカード等の重要物件を管理する装置との連携も可能である。この場合には、携帯端末10に預かり物件のデータと物件の撮像データを記憶させ、携帯端末10から物件を管理する装置にそのデータを読み込ませる。そして、預かり物件のデータにより物件の種別毎に、物件を管理する装置からユニットが指定され、物件を収納させるようにすることもできる。
本実施例では、渉外員が、携帯端末10に記憶させた取引データを貨幣処理装置20に対して処理させる場合について説明した。しかし、携帯端末10の利用形態はこれに限定されるわけではない。携帯端末10が、選択された貨幣処理装置20の操作画面そのものを表示操作部11に表示させ、貨幣処理装置20に対してリモートで操作することも可能である。そこで、変形例として、携帯端末10を貨幣処理装置20のモバイルターミナルとして利用する場合について説明する。
図16は、変形例における携帯端末10を貨幣処理装置20のモバイルターミナルとして利用する場合の処理の概念を説明するための説明図である。図16では、説明を簡単にするため、貨幣処理装置20として処理機Aと処理機Bがあるものとして説明する。
携帯端末10による通常のオペレーション、すなわち入金、出金、両替等、権限に基づく操作を行う場合には、実施例と同様に、ユーザが携帯端末10を電子タグ21aにかざすことにより、携帯端末10と処理機Aとの間に通信が確立される。
その後、携帯端末10には使用者の処理権限に応じて処理機Aの操作画面又は操作メニューが表示される。実施例では、携帯端末10には、渉外員の取引データに応じた操作画面が表示されたが、本変形例では、取引データの連携処理の操作メニューを含め、処理機Aにおける操作画面又は操作メニューが表示される。携帯端末10は、表示操作部11に表示された操作メニューから選択された操作を受け付け、処理機Aに対して処理の指示を送信する。そして、処理機Aは、携帯端末10から受け付けた操作の処理を実施する(図16の(1))。
この場合に、携帯端末10には、処理機Aの画面設定がすでに登録されているようにしてもよい。そして、例えば、処理機Aの電子タグ21aに記憶されていた機器情報に基づき、携帯端末10は、処理機Aに該当する操作画面を表示操作部11に表示する。このようにして、携帯端末10は、処理機A(例えば、両替機、入出金機等)のターミナルとして利用可能となる。
また、携帯端末10に対して、画面設定情報を登録しておくことなく、例えば処理機Aとの間に通信が確立された後に、処理機Aから携帯端末10へ操作画面設定を送信するようにしてもよい。この場合、携帯端末10は、操作画面設定を受信し、表示操作部11に表示してユーザからの操作を受け付けるようにする。また、携帯端末10は操作画面を登録できるようにする。
上記の通常のオペレーションの場合には、実施例と同様に、携帯端末10の認証のため、電子タグ21aに携帯端末10をかざしながら操作を行う必要がある。このため、携帯端末10を利用した操作は、指定された位置のみに制限されることになるので、セキュリティを確保することが可能である。
なお、操作画面を登録した携帯端末10を携行すれば、登録された操作画面は任意の場所で確認でき、操作画面を利用してオフラインで操作を行うことが可能である。その後、例えば処理機Aでの認証により、オンラインで処理機Aにおいてタスク処理を完了させることができる。
次に、携帯端末10をターミナルとして利用し、処理機間の連携処理を行う場合について説明する。ユーザが処理機Aで処理を実施した場合に(図16の(1))、連続で処理ができないようなときには処理タスクを携帯端末10に登録する(図16の(2))。その後、ユーザは携帯端末10を携行し、処理タスクを続行するため処理機Bに移動する。ユーザは、携帯端末10を処理機Bの電子タグ21bにかざして認証を受け、携帯端末10と処理機Bとの間に通信を確立する。携帯端末10は記録していた登録タスクを処理機Bに送信することで、処理が継続される(図16の(3))。
このように、本変形例では、携帯端末10を使用することで、処理機Aによる処理から処理機Bによる処理へと機器間の連携処理を行うことが可能になる。このため、両処理機間に有線によるLANを構築する必要もないので、低コストで機器間の連携処理を実現できる。また、処理すべきタスクが残されているため処理忘れも防止でき、携帯端末10は認証を求められるタスク情報しか保有していないため、情報漏洩もなく、セキュリティの確保が可能となる。
また、bluetoothなどのような近距離無線通信を利用したリモート操作を行うことも可能である。特に、メンテナンスなど、セキュリティに関する要求が低い場合には有効である(図16の(4))。この場合に、携帯端末10に表示される操作画面は、処理機Aのメンテナンスメニューのみとなる。近距離無線通信により、ユーザは、処理機Aの操作画面を携帯端末10で確認しながらリモート操作ができる。このため、エラー解除時など、画面を見ながら操作したい場合に、遠くにある画面まで何度も確認に行くような手間を省略することができる。
また、本変形例では、携帯端末10を処理機A又はBで認証することにより、共通的に処理機A又はBのモバイルターミナルとして利用することが可能となる。また、携帯端末10に処理機A又はBのような貨幣処理装置20の操作画面を登録することで、任意の場所で貨幣処理装置20の画面確認や操作ができるため、業務の効率化が期待できる。
また、他のユーザが貨幣処理装置20を使用中であっても、携帯端末10に登録された操作画面を表示させ、データの事前入力等の前処理が可能となるため、オペレーションやメンテナンス業務の効率化を図ることが可能となる。
また、携帯端末10は、専用の端末である必要はなく、近距離無線通信機能及びUSBなどの有線通信機能を有した一般的なタブレット型の端末を利用することで実現が可能である。