JP2015032498A - 全固体二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 充放電特性に優れた全固体二次電池を提供する。
【解決手段】 全固体二次電池は、正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る負極活物質を有する負極と、LiS及びPを有する固体電解質とを備える。正極は、リチウムシリケート系材料を有する活物質部及び活物質部の表面に形成された無機酸化物を有する無機酸化物部をもつ複合材料を含む。
【選択図】 図7

Description

本発明は、全固体二次電池に関する。
リチウム二次電池は、小型でエネルギー密度が高く、携帯電子機器の電源として広く用いられている。その正極活物質は、主としてLiCoO、LiMnなどの層状化合物が使われている。
しかしながら、これらの化合物は満充電状態において、150℃前後で酸素が脱離しやすい。このため、非水電解液の酸化発熱反応を引き起こしやすいという問題がある。
近年、正極活物質は、安価で、資源量が多く、環境負荷が低く、高いリチウムイオンの理論充放電容量を有し、且つ高温時に酸素を放出しないことが望まれている。かかる正極活物質として、LiFeSiO、LiMnSiOなどのリチウムシリケート系材料が開発されている。
また、非水電解液に該当する部分を安全性の高い固体電解質に代え、固体電解質を用いた全固体二次電池の開発が進められている。全固体二次電池としては、例えば、特許文献1に開示されているように、硫化物系固体電解質と、正極活物質材料と、負極活物質材料とを備え、正極活物質材料は、酸化物系正極活物質と、酸化物系正極活物質の表面を被覆し酸化物からなる反応抑制部とを有することが開示されている。
特許文献2には、電極活物質と、電極活物質の表面に融着した硫化物固体電解質材料とを有する電極が開示されている。特許文献3には、硫化物固体電解質材料と、硫化物固体電解質材料の表面に形成された酸化物層とを有する固体電解質粒子が開示されている。
特開2010−170715号公報 特開2011−060649号公報 特開2012−094445号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示された全固体二次電池は、依然として電池特性が不十分である。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、充放電特性に優れた全固体二次電池を提供することを課題とする。
本発明の全固体二次電池は、Li、遷移金属、Si及びOを含むリチウムシリケート系材料を有する活物質部及び活物質部の表面に形成された無機酸化物を有する無機酸化物部をもつ複合材料を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る負極活物質を含む負極と、LiS及びPを有する固体電解質とを備えていることを特徴とする。
本発明の全固体二次電池によれば、正極を構成する複合材料が、リチウムシリケート系材料を有する活物質部と、活物質部の表面に形成され無機酸化物を有する無機酸化物部とをもち、固体電解質がLiS−Pを有する。このため、充放電特性に優れている。
シリカコート前のリチウム鉄シリケート及びシリカコート後の複合材料のXRDスペクトルを示す線図である。 シリカコート前のリチウム鉄シリケートのSEM写真及びSEM−EDXによる原子比を示す表である。 シリカコート後の複合材料のSEM写真及びSEM−EDXによる原子比を示す表である。 活物質の全表面がシリカを含む皮膜状のシリカ部で被覆された場合を示す説明図である。 活物質の表面に複数のシリカを含むシリカ部が形成された場合を示す説明図である。 全固体二次電池の断面説明図である。 実施例1及び参考例1の電池の充放電曲線を示す図である。 参考例2,3の電池の充放電曲線を示す図である。 参考例4の電池の充放電曲線を示す図である。
本発明の全固体二次電池は、正極と負極と固体電解質とを備えている。正極は、リチウムシリケート系材料を有する活物質部と、活物質部の表面に形成され無機酸化物を有する無機酸化物部とをもつ複合材料を含む。
活物質部は、Li、遷移金属、Si及びOを含むリチウムシリケート系材料を有する。リチウムシリケート系材料は、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る正極活物質である。リチウムシリケート系材料に含まれる遷移金属は、例えば、Fe、Mn、Co、Ni、Nb、Ti、Cr、Cu、Zr、V、Mo及びWからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素である。
リチウムシリケート系材料は、例えば、組成式Li2+a―b1−xM’SiO4+δ(式中、AはNa、K、Rb、Csの群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、MはFe及びMn、Coからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、M’はMg、Ca、Al、Ni、Nb、Ti、Cr、Cu、Zn、Zr、V、Mo及びWからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素である。各添字は次のとおりである。0≦a<1、0≦b<0.2、0≦x≦0.5、δ≧0)で表されることが好ましい。上記組成式の中の、Li、A、M、M’、Si、Oの一部が他の元素で置換されていてもよい。他の元素で置換される場合には、容量に悪影響がない範囲で行われることが好ましい。不可避的に生じるLi、A、M、M’、Si又はOの欠損や化合物の酸化により、上記組成式からわずかにずれた組成をもつリチウムシリケート系材料も含む。
リチウムシリケート系材料は、たとえば、組成式LiSiO(Mは、Fe、Mn、Coで表される化合物があげられる。具体的には、例えば、LiFeSiO、LiMnSiO4、LiCoSiOが挙げられる。中でも、LiFeSiOがよい。
リチウムシリケート系材料は、オリビン構造をもつことが好ましく、また、単斜晶であり、空間群P21/nに帰属するのがよい。リチウムシリケート系化合物は、例えば、溶融塩法、固相法、水熱法などにより製造することができる。
活物質部は、リチウムシリケート系材料の他の正極活物質を有していてもよい。
複合材料は、リチウムシリケート系材料を有する活物質部と、活物質部の表面に形成された無機酸化物部とを有する。無機酸化物部が活物質部表面に形成されると、活物質部に含まれる遷移金属(例えば、Fe)と、固体電解質に含まれるS(硫黄)との反応が抑制される。このため、正極活物質と固体電解質との破壊が抑制され、充放電特性が向上すると考えられる。
固体電解質の表面に無機酸化物部を形成した場合にも、活物質部に含まれる遷移金属(例えば、Fe)と、固体電解質に含まれるS(硫黄)との反応が抑制される。しかし、無機酸化物部を硫化物固体電解質の表面に形成するときに、硫化水素が発生するおそれがあるため、取扱いにくい。
本発明では、硫黄を含まない活物質部の表面に無機酸化物部を形成している。このため、無機酸化物部反応時に硫化水素が発生せず、取扱いやすい。かかる観点から、固体電解質の表面に無機酸化物部を形成する場合よりも、活物質部表面に無機酸化物部を形成する場合の方が好ましい。
無機酸化物部は、活物質部の表面全体を薄膜状に被覆しているか、または、活物質部の表面に微粒子状に付着していると推定される。
無機酸化物部を構成する無機酸化物としては、例えば、シリカ(SiO)、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、セリア(CeO)、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化タングステンなどの酸化物が挙げられる。この中、無機酸化物部はシリカを有するシリカ部をもつとよい。シリカ部は、その全体がシリカからなる場合でもよいが、シリカ部の一部にシリカを有していて他の無機酸化物と混合していても良い。
活物質部の表面にシリカ部を形成するためには、活物質部の表面において、リチウムシリケート系材料とケイ酸塩の加水分解と重合反応を生じさせる。
ケイ酸塩の加水分解は以下の反応式(1)により進行する。以下の反応式(1)の中で、Rは炭化水素基を表す。
Si(OR) + 4HO → Si(OH) + 4HOR・・・(1)
次に、加水分解により生成したSi(OH)が、以下の反応式(2)に表すように重合して、シリカが生成される。
n Si(OH) → SiO + 2n HO・・・(2)
ケイ酸の加水分解と重合反応は、溶液中で進行させる。この場合、反応式(1)、(2)により生成したシリカはゲル状態である。ゲル状態のシリカは乾燥させるとよい。
このようにして、反応式(1)、(2)により、活物質部表面にシリカ材料を有するシリカ部が形成される。シリカの出発物質であるケイ酸塩としては、例えば、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)が挙げられる。
正極に含まれる複合材料が、リチウム鉄シリケートを有する活物質部及びシリカを有するシリカ部をもつ場合、複合材料をSEM−EDX分析した結果において、原子比で、Feに対するSiの原子比率(Si/Fe)は1を超えて大きいことが好ましい。通常のリチウム鉄シリケートは、FeとSiとをほぼ同じモル数含む。本発明のように、リチウム鉄シリケート材料を有する活物質部の表面にシリカ部を形成すると、活物質部の表面におけるSi量が増え、Si/Fe(原子比)が1を超えて大きくなる。一方、Si/Feが1以下の場合には、活物質部表面にシリカ部が形成されていないおそれがある。
SEM−EDX分析では、複合材料の表面から数nm〜数μmまでの深さの成分を分析することができる。複合材料の表面部のSi/Fe比が1を超えて大きいことで、複合材料の表面部のSi量が、シリカ部のない正極活物質に比べて多くなる。
複合材料をX線回折した結果、シリカ由来のピークを有するスペクトルが検出されることがよい。シリカ由来のピークは、例えばCukα線源を用いた場合、22.6°近傍に現れる。
固体電解質は、主として、正極と負極との間に配設される。固体電解質は、正極と負極との間に電解質層を形成している。固体電解質は、硫化物の一種であるLiS及びPを有する。固体電解質は、LiS及びPの双方を含んでいる。固体電解質におけるLiSに対するPのモル比率は0.2以上0.7以下であることが好ましく、更には0.25以上0.4以下であることが望ましい。LiSに対するPのモル比率が過少の場合には、イオン伝導度が低下するおそれがあり、上記モル比率が過剰の場合には、イオン伝導度が低下するおそれがある。
固体電解質は、LiS−Pを有しているとよい。LiS−Pは、LiSとPのガラス硫化物である。LiS−PでのLiSに対するPのモル比は0.2以上0.7以下であるとよい。固体電解質は、LiS−Pの他に、SiS、LiPOを含んでいてもよい。LiS−Pを有する固体電解質を製造するために、例えば、メカニカルミリング法、過冷却法を行うとよい。
LiS及びPを有する固体電解質を備えた全固体二次電池は、後述の実験結果に示すように、LiS及びPを有していない固体電解質を備えた全固体二次電池に比べて、極めて充放電特性がよい。特に、常温での充放電特性が向上する。その理由は、固体電解質の成分の違いによるものと推定される。
正極と負極との間の電解質層の厚みは、10μm以上1000μm以下であることがよく、更には20μm〜800μmが好ましい。電解質層の厚みが過小の場合には、正極と負極とが接触して短絡するおそれがある。電解質層の厚みが過大の場合には、イオン伝達効率が低下し、容量低下のおそれがある。
正極は、上記複合材料を有する正極材料をもつ。正極材料は、集電体表面に供給されて、集電体とともに正極を構成することが多い。集電体としては、特に限定はなく、例えば、アルミ箔、アルミメッシュ、ステンレスメッシュなどを用いることができる。更に、カーボン不織布、カーボン織布なども集電体として使用できる。
正極材料は、活物質部と無機酸化物部とを有する複合材料に加えて、LiS及びPを有する固体電解質が混合されているとよい。これにより、正極内での導電パスが増え、充放電特性がさらに向上する。
正極材料では、複合材料を100質量部としたときに、LiS及びPを有する固体電解質は300質量部以上600質量部以下含むことがよい。固体電解質が過少の場合には、イオンの導電パスが少なく、固体二次電池の充放電特性が低下するおそれがある。固体電解質が過剰の場合には、正極活物質の量が少なすぎるため、充放電特性が低下するおそれがある。
正極材料は、複合材料と固体電解質とからなる場合、又は、複合材料と固体電解質と導電助剤とからなる場合のいずれでもよい。正極が導電助剤を含む場合には、正極での電子の導電パスが増え、充放電特性が向上する。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック(AB)、ケッチェブラック(KB)、カーボンナノチューブ、グラフェンを用いるとよい。正極に含まれる複合材料を100質量部としたときに、導電助剤の含有量は10質量部以上100質量部以下であることが好ましい。導電助剤が過少の場合には、正極での電子導電性が低下するおそれがある。導電助剤が過多である場合には、正極内での正極活物質の量が相対的に少なくなり、電池容量が低下するおそれがある。複合材料と導電助剤は、ミリングなどの機械的エネルギーの付与により複合化されているとよい。更には、複合材料と導電助剤の複合化の後には熱処理が施されていると良い。熱処理温度は、500〜1000℃であるとよい。これにより、複合材料と導電助剤を含む正極材料の導電性が高くなる。
複合材料を有する正極材料は、その形状、厚さなどについては特に限定的ではないが、例えば、複合材料を有する正極材料を集電体の表面に供給した後、圧縮することによって、厚さを10〜1000μm、より好ましくは50〜500μmとすることが好ましい。従って、使用する集電体の種類、構造等に応じて、圧縮後に上記した厚さとなるように、正極活物質の充填量を適宜決めればよい。
負極は、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る負極活物質を有する。負極活物質としては、例えば、インジウム、インジウムとリチウムの合金、シリコン系材料、黒鉛系材料、チタン酸リチウムなどを用いることができる。
上記固体二次電池は、車両に搭載することができる。車両は、電気車両又はハイブリッド車両などであるとよい。固体二次電池は、例えば、車両に搭載された走行用モータに連結されていて、駆動源として用いられているとよい。この場合には、長時間高い駆動トルクを出力させることができる。また、上記固体二次電池は、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器などの、車両以外のものにも搭載することができる。
(実施例1)
<リチウム鉄シリケートの作製>
珪酸リチウム(LiSiO:キシダ化学株式会社製、純度99.5%)0.03モルと、鉄(高純度化学株式会社製、純度99.9%)0.03モルとの混合物に、アセトン20mLを加えてジルコニア製ボールミルにて500rpmで60分間混合し、乾燥した。これを炭酸塩混合物と混合した。炭酸塩混合物は、炭酸リチウム(キシダ化学株式会社製、純度99.9%)と、炭酸ナトリウム(キシダ化学株式会社製、純度99.5%)と、炭酸カリウム(キシダ化学株式会社製、純度99.5%)とを、0.435モル:0.315モル:0.25モルのモル比で混合して得た。混合割合は、珪酸リチウムと鉄との合計量100質量部に対して炭酸塩混合物が90質量部とした。
上記混合物にアセトン20mLを加えてジルコニア製ボールミルにて500rpmで60分間混合し、乾燥した。その後、得られた粉体を金坩堝に入れ、二酸化炭素(流量100mL/分)と水素(流量3mL/分)の混合ガス雰囲気下にて電気炉で500℃に加熱し、炭酸塩混合物が溶融した状態で13時間反応させた。
反応後、溶融塩の温度が400℃になった時点で、反応系である炉心全体を電気炉から取り出し、混合ガスを通じた状態で室温まで急冷した。
次いで、得られた反応物に水20mLを加えて乳鉢ですりつぶし、水を用いて洗浄と濾過を繰り返して、塩が除去された粉体を得た。この粉体を100℃の乾燥機に入れて1時間程度乾燥した。
その後、乾燥物について粉末XRD(X線回折)を行った。図1は、乾燥物のXRDスペクトルである。XRDスペクトルを分析して結晶構造を確認した結果、単斜晶、空間群P21/nに属するリチウム鉄シリケートLiFeSiOが得られたことがわかった。
(シリカコート)
上記のLiFeSiOを1g準備し、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)溶液(100mL)に分散させた。この分散液は、TEOSの加水分解と重合反応により、ゲル状態になる。このゲルを140℃で十分乾燥させて複合材料を得た。
乾燥した複合材料について、XRD測定を行った。XRD測定結果を図1に示す。図1に示すように、シリカ(SiO)に由来するピークが観察された。このことから、複合材料では、リチウム鉄シリケートの表面に、シリカを有するシリカ部が形成されていることがわかった。
<SEM分析>
シリカコートをする前のリチウム鉄シリケートと、シリカコートをしたリチウム鉄シリケートを有する複合材料について、SEM写真の撮影及びSEM−EDX(エネルギー分散型X線分光法)分析を行った。図2の上図は、シリカコートする前のリチウム鉄シリケート化合物のSEM写真であり、下の表はリチウム鉄シリケート化合物のSEM−EDX分析結果を示す。図3の上図は、シリカコートをすることでリチウム鉄シリケート表面にシリカ部を形成してなる複合材料のSEM写真であり、下の表は複合材料のSEM−EDX分析結果を示す。SEM−EDX分析法は、その原理上、活物質表面から数nm〜数μmの信号を検出する特徴がある。このため、SEM−EDX分析法は、リチウム複合金属酸化物の表面組成を反映している。
図2の上図に示すように、円柱状の粒子が観察された。円柱状の粒子の長さは約80 μmであり、直径は約10μmであった。図3の上図に示すように、複合材料では、円柱状の粒子の周囲に、多数の微粒子が観察された。円柱状の粒子の長さは約40μmであり、直径は約15μmであった。円柱状の粒子の周囲に存在する微粒子はシリカを含むシリカ部である。
図2及び図3の下の表は、いずれも円柱状の粒子の表面の3カ所でのSi(珪素)とFe(鉄)の元素組成比(原子%)を示す。図2,図3の各上図には、SEM−EDX測定箇所を「スペクトル1,2,3」で示した。図2の下の表に示すように、粒子の表面でのSi/Feの平均値が0.967であり、SiとFeとがほぼ同じ原子数ずつ存在していることがわかった。図1のXRD結果と図2のSEM分析結果と併せると、図2の上図に示す円柱状体が、LiFeSiOであることを示している。
図3の下の表に示すように、粒子の表面でのSi/Feの平均値が1.159であり、Siの原子比がFeの原子比よりも大きくなった。図1に示すXRD結果と併せて考えると、複合材料では、リチウム鉄シリケートを有する粒子表面に、シリカを含むシリカ部が形成されていることを示している。上記のXRD及びSEMによる分析結果から、図4に示すように、複合材料でのシリカ部5の形態は、リチウム鉄シリケートを有する活物質6の表面全体を皮膜状に被覆しているか、または、図5に示すように、活物質6の表面に部分的にシリカ部5が点在していると考えられる。
<複合材料と導電助剤との複合化>
上記のシリカコートLiFeSiOを含む複合材料と導電助剤との複合化を行なった。導電助剤は、カーボン(AB:アセチレンブラック)からなる。複合材料とアセチレンブラックとを混合した。混合物では、複合材料:AB=5:4の重量比とした。混合物について、フリッチュジャパン社製のボールミリング装置P−7を用いて速度450rpm、時間5時間でボールミリング処理を行った。得られた混合体を熱処理(700℃で2時間、CO/H=100/3ccm雰囲気)を経て複合材料−カーボン複合体を作製した。
<全固体二次電池の作製>
上記の複合材料―カーボン複合体10mg(複合材料6mg+カーボン4mg)と固体電解質(SE:solid electrolyte)LiS−P30mgをアルゴン雰囲気グローブボックス内で乳鉢を用いて混合した。LiS−P(0.7Li2S−0.3P2S5)でのLiSに対するPのモル比は0.4である。これを直径10mm、厚み0.2〜0.3mmのペレットになるようにプレス成型した。これにより、正極材料からなる成型体を得た。
図6に示すように、PET(ポリテトラフルオロエチレン)からなる絶縁性の円筒体91の底部を、鉄鋼材からなる蓋体92で封鎖した。蓋体92の上に、アルミニウム箔からなる集電体11を配置した。集電体11の上に、正極材料からなる成型体10を配置した。成型体10の上に固体電解質からなる電解質層2を50mg、厚み0.4〜0.5mmになるように成型した。さらに電解質層2の上にインジウム箔(厚み0.1mm)からなる負極3を成型した。負極1の上に、鉄鋼材からなる蓋体93を配設することで、円筒体91の中を密閉した。これにより、全固体二次電池9が作製された。正極材料からなる成型体10の厚みは200〜300μmであり、電解質層2の厚みは400〜500μmであり、負極3の厚みは100μmであった。蓋体92,93は、端子も兼ねており、配線で接続することで電流回路が形成される。
(参考例1)
固体電解質の種類を、LiS−SiS−LiPO(KYORIX製)に変えた点を除いて実施例1と同様である。LiS−SiS−LiPOの各成分のモル比は、LiS:SiS:LiPO=0.63:0.36:0.01である。正極材料での複合材料(シリカコートをしたリチウム鉄シリケート)と導電助剤としてのカーボンと固体電解質LiS−SiS−LiPOの質量は、順に、6mg、4mg、30mgとした。その他は、実施例1と同様である。
(参考例2)
正極材料での複合材料(シリカコートをしたリチウム鉄シリケート)と導電助剤としてのカーボンと固体電解質LiS−SiS−LiPOの質量は、順に、6mg、4mg、20mgとした。その他は、参考例1と同様である。
(参考例3)
正極材料での複合材料(シリカコートをしたリチウム鉄シリケート)と導電助剤としてのカーボンと固体電解質LiS−SiS−LiPOの質量は、順に、6mg、4mg、10mgとした。その他は、参考例1と同様である。
(参考例4)
正極材料に用いられる複合材料に変えて、シリカコートをしていないリチウム鉄シリケートを用いた。その他は、実施例1と同様である。
<充放電特性>
実施例1及び参考例1〜4の全固体二次電池について充放電試験を行った。各電池の試験条件について表1に示した。実施例1及び参考例1〜3の電池の充放電条件は30℃で行い、参考例4の電池の充放電は50℃で行った。
図7の上図、下図に、それぞれ実施例1,参考例1の充放電曲線を示した。図8の上図、下図に、それぞれ参考例2, 3の充放電曲線を示した。図9には、参考例4の充放電曲線を示した。図7〜図9において、右上方向に傾斜する曲線は充電曲線を示し、右下方向に傾斜する曲線は放電曲線を示している。同図において、各曲線に付した数値は充電又は放電のサイクル回数を示している。また、表1には、実施例1及び参考例1〜4の電池の充放電特性を示した。
図7〜図9及び表1に示すように、実施例1の電池は、参考例1〜4の電池に比べて、格段に放電容量が高かった。充放電のサイクルを重ねても、実施例1の電池の放電容量の低下は少なかった。参考例1, 2では、初期充電容量は100mAh/g以上であったが、初期放電以後の充電容量及び放電容量はゼロに近い値であった。参考例3では、初期放電容量自体が8mAh/gと非常に小さく、以後のサイクル後の容量についてもゼロに等しかった。
参考例4では、充放電を50℃で行っており、参考例1〜3の充放電条件よりも高い温度であった。高温環境では、固体電解質LiS−Pのイオン導電性が高くなる傾向にある。50℃で充放電を行った参考例4の電池特性は、30℃で充放電を行った場合よりも向上しているはずである。それでも、参考例4の充電・放電容量は54mAh/g以下でわずかであった。
以上より、固体電解質としてLiS−Pを用いることにより、LiS−SiS−LiPOを用いる場合に比べて、格段に充放電特性がよくなることがわかった。
また、実施例1と参考例1についての高温環境下での充放電特性を測定した。充放電は、実施例1では50℃で行い、参考例1では50℃と60℃で行った。その結果を表2に示した。
表1、表2の結果を比べると、実施例1では、50℃で行った場合の方が、30℃で行った場合よりも低かった。このことから、実施例1で用いられている固体電解質LiS−Pは、30℃での充放電特性をよくすることがわかった。
1:正極、10:成型体、11:集電体、2:電解質層、3:負極、9:全固体二次電池。

Claims (6)

  1. Li、遷移金属、Si及びOを含むリチウムシリケート系材料を有する活物質部及び前記活物質部の表面に形成された無機酸化物を有する無機酸化物部をもつ複合材料を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る負極活物質を含む負極と、LiS及びPを有する固体電解質とを備えていることを特徴とする全固体二次電池。
  2. 前記固体電解質におけるLiSの質量に対するPの質量の比率は0.2以上0.7以下である請求項1に記載の全固体二次電池。
  3. 前記無機酸化物部は、シリカを有するシリカ部をもつ請求項1又は2に記載の全固体二次電池。
  4. 前記複合材料のX線回折のスペクトルは、シリカ由来のピークを有する請求項3記載の全固体二次電池。
  5. 前記リチウムシリケート系材料は、リチウム鉄シリケートを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  6. 前記無機酸化物部は、シリカを有するシリカ部をもち、
    前記複合材料をSEM−EDX分析した結果において、原子比で、Feに対するSiの原子比率(Si/Fe)は1を超えて大きい請求項5に記載の全固体二次電池。
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