JP2015021067A - 熱伝導性粘着テープ、物品及び画像表示装置 - Google Patents

熱伝導性粘着テープ、物品及び画像表示装置 Download PDF

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博樹 高野
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、容易に裁断及び穴あけ等の加工を施すことが可能で、引張りながら使用しても破断しにくいため貼付作業性に優れ、リワーク性及び熱伝導性に優れた熱伝導性粘着テープを提供することである。
【解決手段】本発明は、10N/10mm〜100N/10mmの範囲の引張応力を有する金属基材(A)の片面または両面に、金属水酸化物を含有する粘着剤層(B)を有することを特徴とする熱伝導性粘着テープに関するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子機器等の様々な部材、特にLED等の発熱部材の固定に使用可能な熱伝導性粘着テープに関する。
近年、通信機器等の電子機器の製造場面では、部品の固定に粘着テープが多用されている。例えば液晶表示装置には、バックライトとして多数のLEDが設置されており、前記LEDを備えたLED基板は、液晶表示装置の筐体に粘着テープによって固定されていることが多い。
前記多数のLEDは、前記液晶表示装置の限られたスペースに隙間なく配置されるため、前記LEDの発熱に起因して、前記画像表示装置自体が比較的高温となる場合がある。そのため、前記画像表示装置は、熱に起因して、故障や誤作動等を引き起こす場合があった。
前記画像表示装置等の電子機器の内部から熱を効率よく放散させる方法としては、前記LED等の発熱部材の固定に、熱伝導性シートを使用する方法が知られている。前記熱伝導性シートとしては、例えば基材と、前記基材の少なくとも片面に設けられた難燃性熱伝導性粘着剤層とを有する難燃性熱伝導性粘着シートであって、前記基材がポリエステルフィルムを含み、且つポリエステルフィルムの厚みが10〜40μmであり、熱抵抗が10cm・K/W以下であることを特徴とする難燃性熱伝導性粘着シートが知られている(例えば特許文献1参照。)。
しかし、前記画像表示装置の高輝度化及び大型化に対応したLEDの高出力化に伴い、前記LEDからの発熱量が増大するなかで、前記難燃性熱伝導性粘着シートでは前記熱を効率よく放散することができない場合があった。
一方、粘着シートの熱伝導性をより一層向上する方法としては、例えば、それを構成する基材として、一般に熱伝導性に優れる金属基材を使用する方法が検討されている。具体的には、3〜20mm程度の幅で500mm程度の長さがある細長い形状のアルミ板等にLEDが多数実装されたLED基板からなるLED光源ユニットを、金属基材の両面に粘着剤層が積層された熱伝導性粘着シートを用いて所定の位置に固定する方法が検討されている。その際、前記熱伝導性粘着シートを、前記LED基材に対応した形状に裁断したり、穴をあけたりすることが必要となる場合がある。
しかし、一般的な金属基材を用いて得た熱伝導性粘着シートは比較的硬いため、前記熱伝導性粘着シートを任意の形状に裁断したり、穴をあけたりする際に、裁断や穴あけが十分できない場合がある等、加工性の点で十分でない場合があった。
一方、前記金属基材として単に厚さの薄い金属基材の両面に粘着剤層を積層した粘着シートであれば、前記加工性を若干改善することができる場合がある。
しかし、前記粘着シートを前記LED基板の正確な位置に貼付すべく、前記粘着シートを引張りながら使用した場合に、前記粘着シートの破断を引き起こす場合がある等、貼付作業性の低下を引き起こす場合があった。
また、前記粘着シートは、いったん固定したLED基板の位置を微調整すべく、固定後速やかに剥離した際に、過度に伸びたり、破断したりする場合がある等、いわゆるリワーク性の点で十分でない場合があった。
特開2012−229392号公報
本発明が解決しようとする課題は、容易に裁断及び穴あけ等の加工を施すことが可能で、引張りながら使用しても破断しにくいため貼付作業性に優れ、かつ、リワーク性及び熱伝導性に優れた熱伝導性粘着テープを提供することである。
本発明者等は、基材として金属基材を使用するとともに、従来、難燃剤として知られる金属水酸化物を含有する粘着剤層を使用することによって、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、10N/10mm〜100N/10mmの範囲の引張応力を有する金属基材(A)の片面または両面に、金属水酸化物を含有する粘着剤層(B)を有することを特徴とする熱伝導性粘着テープに関するものである。
本発明の熱伝導性粘着テープは、金属基材を使用することによって熱伝導性を飛躍的に向上でき、また、容易に裁断及び穴あけ等の加工を施すことが可能で、引張りながら使用しても破断しにくいため貼付作業性に優れ、かつ、リワーク性に優れることから、LED基板をはじめとする部材を所定の位置に正確に固定することができる。また、本発明の熱伝導性粘着テープは、リワーク性に優れることから、画像表示装置等の電子機器の生産工程において、不良品の発生を抑制することが可能である。
本発明の熱伝導性粘着テープは、10N/10mm〜100N/10mmの範囲の引張応力を有する金属基材(A)の片面または両面に、金属水酸化物を含有する粘着剤層(B)を有することを特徴とする。
前記熱伝導性粘着テープとしては、基材として所定の金属基材(A)を使用する。これにより、容易に裁断及び穴あけ等の加工を施すことが可能で、引張りながら使用しても破断しにくいため貼付作業性に優れ、リワーク性に優れた粘着テープを得ることができる。
一方、従来の粘着テープを構成するプラスチック基材の代わりに、単に前記金属基材(A)を使用して得られる粘着テープは、熱伝導性の点で十分でない場合がある。
本発明では、前記所定の金属基材(A)を使用するとともに、金属水酸化物を含む粘着剤層(B)を組み合わせ使用することによって、前記加工性、貼付作業性及びリワーク性を損なうことなく、優れた熱伝導性を付与することが可能となる。
前記熱伝導粘着テープは、発熱部位から、粘着テープを構成する金属基材へ効率的に熱を導き、さらに前記金属基材から受熱部材効率的に熱を放散させることができる。
また、前記熱伝導性粘着テープとしては、Underwriters Laboratories Inc.社の規格において、UL94V−2またはVTM−2以上の難燃性を有するものであることができ、UL94V−0またはVTM−0以上の難燃性を有するものであることが好ましい。
また、前記熱伝導性粘着テープとしては、5N/20mm幅以上の接着強度を有するものであることが好ましい。
[金属基材(A)]
本発明の熱伝導性粘着テープの製造に使用する金属基材(A)としては、10N/10mm〜100N/10mmの範囲の引張応力を有するものを使用する。前記所定の引張応力を有する金属基材(A)を使用することによって、容易に裁断及び穴あけ等の加工を施すことが可能で、引張りながら使用しても破断しにくいため貼付作業性に優れ、かつ、リワーク性及び熱伝導性に優れた粘着テープを得ることができる。
前記金属基材(A)としては、容易に裁断及び穴あけ等の加工を施すことが可能で、引張りながら使用しても破断しにくいため貼付作業性に優れ、かつ、リワーク性及び熱伝導性に優れ、かつ、LED基板等を固定する際に粘着テープの皺の発生を抑制可能な粘着テープを得るうえで、15N/10mm〜80N/10mmの範囲の引張応力を有するものを使用することが好ましい。
なお、前記引張応力は、引張試験機(株式会社島津製作所製AG−1kNX)を用い、JISZ2241記載の試験方法に準拠し、10mm幅あたりの金属基材の引張強度を指す。
前記金属基材(A)としては、200μm以下の厚さのものを使用することが好ましく、150μm以下の厚さのものを使用することがより好ましく、100μm以下の厚さのものを使用することがさらに好ましい。前記金属基材(A)の厚さの下限は、5μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。
前記金属基材(A)としては、前記所定の引張応力を有するものであれば、いずれも使用できるが、例えば金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、錫、これらの合金等からなる基材を使用することができる。なかでも、金属基材(A)としては、アルミニウムからなる基材、銅からなる基材を使用することが、比較的柔軟で、破断しにくく、リワーク性及び熱伝導性に優れた熱伝導性粘着テープを得るうえで好ましい。
前記アルミニウムからなる基材としては、硬質アルミニウムからなる基材、軟質アルミニウムからなる基材を使用することができる。
前記硬質アルミニウムからなる基材としては、アルミニウムを圧延して得たアルミニウム箔を使用することができる。また、前記軟質アルミニウムからなる基材としては、前記圧延後に、焼鈍処理をして得られたアルミニウム箔を使用することができる。
前記銅からなる基材としては、例えば電解銅からなる基材、圧延銅からなる基材を使用することができる。
前記電解銅からなる基材としては、一般に硬質の銅からなる基材を使用することができ、電解銅箔を使用することが好ましい。前記電解銅からなる基材は、例えば硫酸銅水溶液から電気分解により銅を電極に析出させることによって製造することができる。
また、前記圧延銅からなる基材としては、一般に軟質の銅からなる基材を使用することができ、圧延銅箔を使用することが好ましい。前記圧延銅からなる基材は、例えば銅を圧延した後に焼鈍処理することによって製造することができる。
前記金属基材(A)としては、防錆処理が施されているものを使用することが好ましい。
前記防錆処理としては、有機防錆処理と無機防錆処理が挙げられるが、そのなかでも、クロメート処理による無機防錆処理が好ましい。
[粘着剤層(B)]
前記金属基材(A)の片面または両面に設けられる粘着剤層としては、金属水酸化物を含有する粘着剤層(B)を使用する。これにより、前記加工性、貼付作業性及びリワーク性を損なうことなく、優れた熱伝導性を付与することができる。
ここで、金属水酸化物を含有する粘着剤層(B)を、従来のプラスチック基材等に設けることによって得られる粘着テープは、熱伝導性の点で十分でない場合がある。
本発明では、従来から難燃剤として知られる金属水酸化物を含有する粘着剤層(B)を、前記所定の金属基材(A)の片面または両面に設けることによって、前記加工性、貼付作業性及びリワーク性を損なうことなく、優れた熱伝導性を備えた粘着テープを得ること亜gできる。
前記粘着剤層(B)は、難燃性を有していることが、電子機器内部の発熱や部品間のショートに起因した燃焼を防止するうえで好ましい。前記難燃性は、前記金属水酸化物を使用することによって粘着剤層(B)に付与される。
前記粘着剤層(B)は、例えば、各種重合体と、金属水酸化物と、必要に応じて架橋剤や添加剤と、溶媒とを含有する粘着剤(B−1)を用いて形成することができる。以下、粘着剤(B−1)について説明する。
(重合体)
前記粘着剤(B−1)に含有される重合体としては、例えばアクリル系重合体(b1)、ゴム系重合体、シリコーン系重合体、ウレタン系重合体等を使用することができる。なかでも、アクリル系重合体(b1)及びゴム系重合体を使用することが、例えば発熱部材に貼付した場合であっても熱の影響による剥がれを引き起こしにくい熱伝導性粘着テープを得るうえで好ましく、アクリル系重合体(b1)を使用することが、熱伝導性をより一層向上できるためより好ましい。
前記アクリル系重合体(b1)としては、(メタ)アクリル単量体等のビニル単量体を重合して得られるものを使用することができる。
前記アクリル系重合体(b1)の製造に使用可能な(メタ)アクリル単量体等のビニル単量体としては、例えばアルキル基の炭素原子数が1個〜12個である(メタ)アクリレートを主成分として使用することができる。
アルキル基の炭素原子数が1個〜12個である(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を1種または2種以上組み合わせ使用することができる。なかでも、アルキル基の炭素原子数が1個〜12個である(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素原子数が4個〜12個である(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、アルキル基の炭素原子数が4個〜9個である直鎖または分岐構造を有する(メタ)アクリレートを使用することがより好ましく、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートを単独または組み合わせ使用することが、例えば発熱部材に貼付した場合であっても熱の影響による剥がれを引き起こしにくく、優れた粘着強度を備えた熱伝導性粘着テープを得るうえで好ましい。
前記アルキル基の炭素原子数が1個〜12個である(メタ)アクリレートは、前記アクリル系重合体(b1)の製造に使用する単量体の合計質量に対して60質量%以上であることが好ましく、80質量%〜99質量%の範囲で使用することがより好ましく、90質量%〜98.5質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
前記アクリル系重合体(b1)の製造に使用可能なビニル単量体としては、前記アルキル基の炭素原子数が1個〜12個である(メタ)アクリレートの他に、熱の影響による剥がれを引き起こしにくく、優れた接着強度を備えた熱伝導性粘着テープを得るうえで高極性ビニル単量体を使用することが好ましい。
前記高極性ビニル単量体としては、カルボキシル基を有するビニル単量体、水酸基を有するビニル単量体、アミド基を有するビニル単量体等を1種または2種以上組み合わせ使用することができる。なかでも、前記高極性ビニル単量体としては、カルボキシル基を有するビニル単量体を使用することが、熱の影響による剥がれを引き起こしにくく、優れた接着強度を備えた熱伝導性粘着テープを得るうえで高極性ビニル単量体を使用することが好ましい。
前記カルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えば下記一般式(1)で示される単量体を使用することが、得られるアクリル系重合体(b1)等と前記金属水酸化物とを組み合わせ使用した場合の界面剥離を防止し、優れた熱伝導性と難燃性とを備えた粘着テープを得るうえで好ましい。
Figure 2015021067
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはアルキル基または水酸基を側鎖に有していてもよいアルキレン基であり、Xはカルボキシル基またはジカルボン酸残基であり、nは1〜2の整数である。)
前記式(1)中のジカルボン酸残基は、ジカルボン酸の一方のカルボキシ基が反応した際に残存する1つのカルボキシル基を有する原子団を表し、例えば、HOOC−R−COOHで表されるジカルボン酸を用いた場合に形成されるジカルボン酸残基は、−OOC−R−COOHである。
前記ジカルボン酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を使用することができる。
前記式(1)で表される(メタ)アクリル単量体としては、具体的にはRが炭素原子数2〜18のアルキレン基であるものを使用することが好ましく、炭素原子数が2〜5のアルキレン基であるものを使用することがより好ましい。また、上記式(1)で表される(メタ)アクリル単量体としては、Xがカルボキシ基であるものを使用することが好ましい。
前記式(1)で表される(メタ)アクリル単量体としては、より具体的には、β−カルボキシアルキル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性コハク酸(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性コハク酸(メタ)アクリレート等を使用することが好ましく、β−カルボキシエチルアクリレートを使用することが、得られるアクリル系重合体(b1)等と前記金属水酸化物とを組み合わせ使用した場合の界面剥離を防止し、優れた接着強度と熱伝導性と難燃性とを備えた粘着テープを得るうえで好ましい。
前記式(1)で表される(メタ)アクリル単量体は、前記アクリル系重合体(b1)の製造に使用する単量体の合計質量に対して、0.5質量%〜10質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜5質量%の範囲で使用することが、得られるアクリル系重合体(b1)等と前記金属水酸化物とを組み合わせ使用した場合の界面剥離を防止し、優れた熱伝導性と難燃性とを備えた粘着テープを得るうえで好ましい。
前記カルボキシル基を有するビニル単量体としては、前記したものの他に、例えばアクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸2量体、クロトン酸、エチレンオキサイド変性琥珀酸アクリレート等を使用することができ、アクリル酸またはメタクリル酸を使用することが好ましく、アクリル酸を使用することが、熱の影響による剥がれと、金属基材の反発力に起因した経時的な剥がれを防止可能な粘着テープを得るうえで好ましい。
前記カルボキシル基を有するビニル単量体は、前記アクリル系重合体(b1)の製造に使用する単量体の合計質量に対して1質量%〜10質量%の範囲で使用することが好ましく、1.5質量%〜6質量%の範囲で使用することが好ましく、2質量%〜4質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。これにより、初期接着性に優れ、熱の影響による剥がれを防止可能な熱伝導性粘着テープを得ることができる。
前記カルボキシル基を有するビニル単量体としてアクリル酸を使用する場合、前記アクリル酸は、前記アクリル系重合体(b1)の製造に使用するビニル単量体の合計質量に対して、1質量%〜6質量%の範囲で使用することが、金属基材(A)に対する濡れ性と接着強度に優れ、熱の影響による剥がれと、金属基材(A)の反発力に起因した経時的な剥がれを防止可能な粘着テープを得るうえで好ましい。
前記高極性ビニル単量体に使用可能な前記水酸基を有するビニル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等を使用できる。
アミド基を有するビニル単量体としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等を使用することができる。
前記高極性ビニル単量体としては、前記したもののほかに酢酸ビニル、エチレンオキサイド変性琥珀酸アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等のスルホン酸基含有モノマー、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の末端アルコキシ変性(メタ)アクリレート等のその他の高極性ビニル単量体を使用することができる。
前記アクリル系重合体(b1)は、前記ビニル単量体を、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法など公知の方法で重合させることによって製造することができる。なかでも溶液重合法を採用することが、アクリル系重合体(b1)の生産効率を向上するうえで好ましい。
前記溶液重合法としては、例えば前記ビニル単量体と重合開始剤と、有機溶剤とを、好ましくは40℃〜90℃の温度下で混合、攪拌し、ラジカル重合させる方法が挙げられる。
前記重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイルや過酸化ラウリロイルなどの過酸化物、アゾビスイソブチルニトリルなどのアゾ系の熱重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系の光重合開始剤等を使用することができる。
前記方法で得たアクリル系重合体(b1)は、例えば溶液重合法で製造した場合であれば、有機溶剤に溶解または分散した状態であってもよい。
前記方法で得たアクリル系重合体(b1)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィのポリスチレン換算による重量平均分子量は、30万〜80万であることが好ましく、40万〜70万であることが、高温下であっても優れた接着強度を維持でき、前記金属水酸化物の粘着剤層(B)中における分散性を向上でき、粘着剤を金属基材(A)の表面に塗工する際の塗工作業性等を向上できるため好ましい。
(架橋剤)
前記粘着剤層(B)は、架橋剤を使用することによって架橋構造が形成されたものであることが、凝集力をより一層向上させ、優れた接着強度を備えた熱伝導性粘着テープを得るうえで好ましい。前記架橋構造の形成された粘着剤層を形成する際には、粘着剤(B−1)として、前記アクリル系重合体(b1)等の重合体とともに、架橋剤を組み合わせ含有するものを使用することが好ましい。
前記架橋剤としては、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤等を、前記重合体が有する官能基に応じて適宜選択し使用することができ、エポキシ系架橋剤塑使用することがより好ましい。
前記エポキシ系架橋剤としては、テトラッドC(三菱ガス化学株式会社製、エポキシ系架橋剤)、テトラッドX(三菱ガス化学株式会社製)等を使用することができる。
前記架橋剤は、金属基材の表面に塗工する前に、前記アクリル系重合体(b1)等の重合体またはその有機溶剤溶液と混合し、粘着剤(B−1)として使用することが好ましい。
前記架橋剤は、前記重合体として例えば前記アクリル系重合体(b1)を使用する場合であれば、粘着剤層(B)のゲル分率が25質量%〜60質量%となる範囲で使用することが好ましく、30質量%〜50質量%となる範囲で使用することが、アクリル系重合体(b1)と前記金属水酸化物との界面剥離を引き起こしにくく、優れた接着強度を発現することができるためより好ましい。なお、ゲル分率は、本願明細書の実施例に記載した方法により算出した値を指し、前記金属水酸化物の使用量を差し引いたものの不溶分率を指す。
(金属水酸化物)
本発明の熱伝導性粘着テープを構成する粘着剤層(B)に含まれる金属水酸化物としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等をはじめ、酸化スズの水和物、硼砂などの無機金属化合物の水和物を使用することができ、水酸化アルミニウムを使用することが好ましい。
特に、本発明の熱伝導性粘着テープを、LED基板の固定用途に使用する場合には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を使用することが、より一層優れた熱伝導性と難燃性とを付与できるため好ましい。特に水酸化アルミニウムは、250℃程度から熱分解反応が起こり、粘着テープが著しく溶融する前に難燃効果を発揮できるため好ましい。
前記金属水酸化物の形状は、規則的な形状又は不規則な形状のいずれであってもよく、例えば、多角形状、立方体状、楕円状、球状、針状、平板状、鱗片状又はこれらを組み合わせた形状等が挙げられ、これらが凝集したフィラーであってもよい。前記金属水酸化物の大きさは、最大となる幅や長さの平均、例えば粒子状の場合にはその平均粒径が、0.5〜50μmであることが好ましい。より好ましくは1〜30μmである。なお、前記金属水酸化物の最大幅や長さは、得られる熱伝導性粘着テープの厚さよりも小さい方が望ましい。
前記金属水酸化物は、より一層優れた熱伝導性や難燃性を備えた熱伝導性粘着テープを得るうえで、アクリル系重合体(b1)100質量部に対して200質量部以上使用することが好ましく、200質量部〜400質量部の範囲で使用することがより好ましく、230質量部〜330質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
(添加剤)
前記粘着剤層(B)の形成に使用可能な粘着剤(B−1)としては、前記重合体、架橋剤及び金属水酸化物の他に、必要に応じて各種添加剤を含有するものを使用することができる。
前記添加剤としては、粘着テープの熱伝導性をより一層向上するとともに、優れた難燃性を付与することを目的として、前記金属水酸化物以外の充填剤を使用してもよい。
前記充填剤は、前記所定の熱抵抗率を備えた粘着剤層(B)を形成するうえで、必ずしも必須ではないが、粘着剤層(B)の熱伝導性をより一層向上させる場合や、優れた難燃性を付与する場合に使用してもよい。
前記充填剤としては、より一層優れた難燃性と熱伝導性とを両立するうえで、例えば金属酸化物、金属、セラミックス等を使用することができる。
また、前記金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ケイ素、ホウ素化チタン等を使用することができる。また、前記金属としては、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、金、銀等を使用することができる。
前記添加剤としては、例えば、本発明の熱伝導性粘着テープの粘着力をより一層向上させることを目的として、粘着付与樹脂を使用することができる。
前記粘着付与樹脂としては、例えばロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族(C5系)や芳香族(C9系)等の石油樹脂、スチレン系樹脂フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、メタクリル系樹脂等を使用することができる。
前記粘着付与樹脂を使用する場合には、引火点が高い粘着付与樹脂を使用することが好ましく、引火点が200度以上の樹脂を使用することが特に好ましい。引火点が200度以上の粘着付与樹脂を使用すると、難燃性フィラーが燃焼時に熱分解して生じる難燃効果を特に効率的に発揮しやすくなる。
粘着付与樹脂の添加量としては、アクリル系重合体(b1)100質量部に対し20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることが、良好な粘着付与効果や初期接着性を得られやすいためより好ましい。特に高い難燃性、例えばUL94V−0やVTM−0等の高い難燃性を要求される用途については、粘着付与樹脂を使用しないことが好ましい。
前記粘着剤層(B)の形成に使用する粘着剤(B−1)は、前記したもののほかに、必要に応じて、接着性低下防止剤、可塑剤、軟化剤、金属不活性剤、酸化防止剤、顔料、染料等の添加剤を含有するものを使用することができる。
前記粘着剤層(B)の形成に使用可能な粘着剤(B−1)は、前記アクリル系重合体(b1)等の重合体または前記重合体と溶媒との混合物、前記金属水酸化物、必要に応じて粘着付与樹脂等の添加剤を混合することによって製造することができる。その際、必要に応じてディゾルバー、バタフライミキサー、BDM2軸ミキサー、プラネタリーミキサー等を使用することができ、ディゾルバー、バタフライミキサーを使用することが好ましい。なお、架橋剤は、粘着剤を基材等に塗布する前に、前記混合物と混合し使用することが好ましい。
前記粘着剤(B−1)を製造する際に使用可能な溶媒としては、例えばトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、ヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン、3−ペンタノン、アセトニトリル等の各種有機溶剤、水等を使用することができる。
前記方法で得た粘着剤(B−1)の固形分は、10質量%〜70質量%の範囲であることが好ましく、30質量%〜65質量%の範囲であることがより好ましく、40質量%〜55質量%の範囲であることがさらに好ましい。
(熱伝導性粘着テープの製造方法)
本発明の熱伝導性粘着テープは、例えば剥離ライナーの表面に前記粘着剤(B−1)を、ロールコーターやダイコーター等を用いて塗布し、その塗布層を50℃〜120℃程度の環境下で乾燥し溶媒を除去することによって粘着層(B)を形成し、次に前記粘着剤層(B)を、金属基材(A)の一方または両方の面に貼合させた後、必要に応じて、前記粘着剤層(B)が前記所定のゲル分率となるよう15℃〜50℃程度の温度で48時間〜168時間程度養生することによって製造することができる。
前記剥離ライナーとしては、例えばクラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙;ポリエチレン、ポリプロピレン(OPP、CPP)、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム;前記紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、前記紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面もしくは両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したもの等を用いることができる。
前記粘着剤層(B)の厚さは、30μm〜150μmの範囲であることが好ましく、40μm〜120μmの範囲であることがより好ましく、50μm〜110μmの範囲であることが特に好ましい。
前記方法で得られた本発明の熱伝導性粘着テープは、その総厚が50μm〜300μmであることが好ましく、100μm〜250μmであることがより好ましい。
前記方法で得られた本発明の熱伝導性粘着テープは、各種部材の固定に使用することができる。なかでも、本発明の熱伝導性粘着テープは、熱伝導性に優れることから、例えば各種電子機器に設けられる発熱部材と、他の部材との貼り合せに使用することができる。
特に、本発明の熱伝導性粘着テープは、液晶画像表示装置のバックライト等に使用されるLED光源を備えたLED基板の固定に好適に使用することができる。具体的な使用態様の例としては、以下の例が挙げられる。液晶画像表示装置のバックライトに使用されるLED光源ユニットとして、3〜20mm幅の細長いアルミ製などの板の上にLEDチップが多数実装されたLED基板を使用し、LED基板を画面の端の一辺または二辺に設置し、導光板と拡散板でLEDの光を画面全体に導き発光させる。LED基板はバックライト背面筐体にL字アングルで固定される。前述のLED基板とL字アングルの固定に本発明の粘着テープを使用することができる。LEDが発光することにより発生した熱は、粘着テープを介してL字アングル及び液晶バックライト背面筐体に放熱される。
従来はLED光源ユニットの固定には主にビスが使用されていたが、LED光源ユニットを本発明の粘着テープで固定する場合、前述の貼り作業性に加え、ビス固定に比べ、放熱性、LED光源ユニットの設計面においても優れている。ビス固定の場合、一定間隔でLED光源ユニット上にビス穴を開け、ビスでL字アングルに固定する。ビスでLED光源ユニットを固定した場合はLEDの熱は主にビスを通じバックライト筐体に放熱される。従ってビス固定の場合は熱の経路が部分的になる。本発明の熱伝導性粘着テープを用いてLED光源ユニットを固定することで、LED光源ユニット全体から熱伝導性粘着テープを通じで放熱することができるため、従来よりも効率的に放熱することができる。また、ビス固定の場合、LED光源ユニット上にビス穴を開けるため、LEDチップを実質的に実装できない部分が生じ、等間隔にLEDチップを実装できない場合がある。本発明の粘着テープでLED基板を固定することで、LEDチップをLED基板上に等間隔で実装することが可能となる。
以下に実施例及び比較例について具体的に説明をする。
[粘着剤(B1)の調製]
冷却管、撹拌機、温度計、滴下漏斗を備え、窒素置換した反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート96.4質量部と、β−カルボキシエチルアクリレート2.4質量部と、アクリル酸1.2質量部とを、酢酸エチル98質量部に溶解し、75℃で8時間反応させた後、その内容物を冷却し200メッシュ金網にて濾過することによって、不揮発分50質量%、粘度8000mPa・s、重量平均分子量50万であるアクリル重合体溶液(b1)を得た。
プラネタリーミキサーの容器に、ハイジライトH32(昭和電工株式会社製、水酸化アルミニウム、平均粒径8μm)240質量部を加えた。次に、前記反応容器に前記アクリル重合体溶液(b1)200質量部を加え、30分間撹拌し混合した。
次に、前記反応容器に酢酸エチルを加え、内容物の固形分を70質量%に調整することによって、粘度4000mPa・sの熱伝導難燃性粘着剤組成物(b1−1)を得た。
前記熱伝導難燃性粘着剤組成物(b1−1)にテトラッドC(三菱ガス化学株式会社製、エポキシ系架橋剤)を2質量%含む酢酸エチル溶液を、前記熱伝導難燃性粘着剤組成物(b1−1)に含まれるアクリル重合体100質量部に対して、2.1質量部配合し、ディゾルバー攪拌機で30分間攪拌することによって、粘着剤(B1)を得た。
[粘着剤(B2)の調製]
前記アクリル重合体溶液(b1)に含まれるアクリル重合体100質量部に対して、テトラッドC(三菱ガス化学株式会社製、エポキシ系架橋剤)を2質量%含む酢酸エチル溶液を、2.1質量部配合し、ディゾルバー攪拌機で30分間攪拌することによって、粘着剤(B2)を得た。
(実施例1)
[熱伝導性粘着テープの作製]
前記粘着剤(B1)を剥離ライナーの表面にロールコーターを用いて塗布し、80℃に調整したドライヤーを用い3分間乾燥させることによって、離型ライナーの表面に厚さ85μmの粘着剤層が形成された積層体を、2枚用意した。
次に、前記1枚の積層体の粘着剤層を、厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の一方の面に貼り合わせた。次に、前記軟質アルミニウム基材の他方の面に、前記したもう1枚の積層体の粘着剤層を貼付した。
次に、前記貼付物を40℃環境下で72時間養生することによって粘着テープ(X−1)を作製した。
(実施例2)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ30μmの軟質アルミニウム基材(引張応力21N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X−2)を作製した。
(実施例3)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ50μmの軟質アルミニウム基材(引張応力35N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X−3)を作製した。
(実施例4)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ80μmの軟質アルミニウム基材(引張応力56N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X−4)を作製した。
(実施例5)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ100μmの軟質アルミニウム基材(引張応力70N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X−5)を作製した。
(実施例6)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ140μmの軟質アルミニウム基材(引張応力98N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X−6)を作製した。
(実施例7)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ20μmの硬質アルミニウム基材(引張応力35N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X−7)を作製した。
(実施例8)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ30μmの硬質アルミニウム基材(引張応力52.5N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X−8)を作製した。
(実施例9)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ50μmの硬質アルミニウム基材(引張応力87.5N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X−9)を作製した。
(実施例10)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ35μmの圧延銅基材(引張応力82.3N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X−10)を作製した。
(比較例1)
前記粘着剤(B1)を剥離ライナーの表面にロールコーターを用いて塗布し、80℃に調整したドライヤーを用い3分間乾燥させることによって、離型ライナーの表面に厚さ30μmの粘着剤層が形成された積層体を用意した。
次に、前記積層体を40℃環境下で72時間養生し、前記離型ライナーを除去することによって、いわゆる基材レスの粘着テープ(X’−1)を作製した。
(比較例2)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ10μmの軟質アルミニウム基材(引張応力7N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X’−2)を作製した。
(比較例3)
厚さ20μmの軟質アルミニウム基材(引張応力14N/10mm)の代わりに、厚さ80μmの硬質アルミニウム基材(引張応力140N/10mm)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X’−3)を作製した。
(比較例4)
粘着剤(B1)の代わりに粘着剤(B2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープ(X’−4)を作製した。
[金属基材の引張応力の測定方法]
実施例及び比較例で使用する金属基材を、幅10mmの大きさに裁断し試験片とした。前記試験片の引張応力を、引張試験機(株式会社島津製作所製AG−1kNX)を用い、JISZ2241記載の試験方法に準拠し測定することによって、10mm幅あたりの金属基材の引張応力(引張強度)とした。
[熱伝導性の評価方法(温度抵抗の測定方法)]
実施例及び比較例で得た粘着テープを直径50mmの円形状に裁断したものを、空気を含まないようステンレス層と銅層との間へ貼付し、10kPaで加圧することによってそれらを密着した。
熱伝導率測定装置「ARC−TC−1型」(アグネ社製)の加熱部を80℃に設定し、5分間放置した後、前記ステンレス層と前記銅層との表層に取り付けられた熱電対により前記粘着テープの上面と下面との表面温度差を測定し温度傾斜法によってその温度抵抗値を求めた。具体的には、以下の式に基づいて温度抵抗値を求めた。前記温度抵抗値が、3℃以下であった粘着テープを、熱伝導性に優れるものであると評価した。
温度抵抗値[℃]=粘着シート上面の表面温度[℃]−粘着シート下面の表面温度[℃]
[粘着剤層の厚さの測定方法]
実施例及び比較例で粘着シートを製造する際に使用した、離型ライナーの表面に粘着剤層が形成された各積層体の一部を用い、その粘着剤層の表面に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ株式会社製S25、厚さ25μm)を裏打ちした試料をそれぞれ準備した。
前記試料の厚さを、テスター産業株式会社製厚さ計「TH−102」にて当該試料の厚さを測定し、剥離フィルム及び裏打ちに使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さを減じて粘着剤層の厚さを得た。
[貼付作業性の評価方法]
実施例及び比較例で得た粘着テープを、幅10mm及び長さ500mmの大きさに裁断したものを試験テープとした。前記試験テープを10個用意した。
10mm幅のアルミ板上に前記裁断した試験テープの一端を貼付し、指で圧着した。次に、前記指を、前記粘試験着テープの他方の端部に向かって移動させることによって、前記アルミ板に、前記試験テープの全てを貼付した。
前記圧着した試験テープを、その一端から20mm剥離した。次に、前記剥離した試験テープを、再度アルミ板に指で圧着した。
上記試験を、各試験テープを用い10回行った。
◎:10個の全ての試験テープは、シワを発生することなくアルミ板に再貼付することが可能であった。
○:7個以上9個以下の試験テープは、シワを発生することなくアルミ板に再貼付することが可能であった。
△:1個〜6個の試験テープは、シワを発生することなくアルミ板に再貼付することが可能であった。
×:いずれの試験テープも千切れ、伸び、変形が発生し、アルミ板に再貼付することができなかった。
[加工性の評価方法]
実施例及び比較例で得た粘着テープを、グラフテック社製のカッティングプロッターFC4500を使用し、500gfの刃圧及び20mm/分の速度で200mm長さに裁断した。前記裁断作業を10回行った。
◎:10回とも、粘着テープを完全に裁断することができた。
○:7回以上9回以下、粘着テープを完全に裁断することができた。
△:5回または6回、粘着テープを完全に裁断することができた。
×:5回を超えて、粘着テープを構成する粘着剤層または金属基材層を裁断できない場合があった。
[難燃性の評価方法]
実施例及び比較例にて得た粘着テープの難燃性は、Underwriters Laboratories Inc.社UL94VTMの規格に準じて評価した。なお、基材を有さない粘着テープは、筒状の形成が困難なため同社UL94Vの規格に準じて評価した
難燃性は下表に記載に基づいてより判定した。なお、下記「クランプまで(127mm)の有炎または無炎燃焼の有無」の項目が「あり」であったものは、「燃焼」と評価した。
Figure 2015021067
Figure 2015021067
Figure 2015021067

Claims (6)

  1. 10N/10mm〜100N/10mmの範囲の引張応力を有する金属基材(A)の片面または両面に、金属水酸化物を含有する粘着剤層(B)を有することを特徴とする熱伝導性粘着テープ。
  2. 前記金属基材(A)が、アルミニウム基材または銅基材である請求項1に記載の熱伝導性粘着テープ。
  3. 前記粘着剤層(B)が、アクリル系重合体(b1)と金属水酸化物とを含有するものである請求項1または2に記載の熱伝導性粘着テープ。
  4. 前記アクリル系重合体(b1)が、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを含有するビニル単量体を重合して得られるものである請求項3に記載の熱伝導性粘着テープ。
  5. LED光源ユニットが、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性粘着テープによって他の部材に固定された物品。
  6. LED光源ユニットが、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性粘着テープによって筐体に固定された画像表示装置。
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