JP2015020298A - 紙の代替使用が可能な折畳み保持性に優れたポリエステル系フィルム及び紙代替用途のフィルム製物品 - Google Patents
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1. エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル樹脂から形成されており、該ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂を含んで空洞を含有する層を少なくとも1層有しており、下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とするポリエステル系フィルム。
(1)28℃50%RH環境下で1日保管した後の折畳み保持角度が20度以上45度以下
(2)5℃50%RH環境下で1日保管した後の折畳み保持角度が30度以上55度以下
(3)全光線透過率が20%以上50%以下
(4)見かけ比重が0.95以上1.25以下
(5)30℃85%RH雰囲気下672時間エージング有無間での、28℃50%RH環境下で1日保管した後の折畳み保持角度の差が0度以上10度以下
2. 一軸延伸又は二軸延伸されており、延伸された少なくとも一方向の引張り破壊強さが100MPa以上300MPa以下であることを特徴とする上記第1に記載のポリエステル系フィルム。
3. 上記第1または第2に記載のポリエステル系フィルムが少なくとも一部に使用されてなる折り紙、紙製手提げ袋、本のカバー、包装紙から選ばれる紙代替用途のフィルム製物品。
まず、本発明のポリエステル系フィルムは、28℃50%RHの環境下で1日保管させた後の折畳み保持角度が20度以上45度以下であることが好ましい。45度を超えると、折り紙や包装等で折った際に折り目が開くことにより、きれいな美観を得られづらくなる場合がるのであまり好ましくない。43度以下がより好ましく、41度以下がさらに好ましい。また折畳み保持角度は小さいほど好ましいが、現状では20度程度が下限である。
後は、フィルム両端部を裁断除去しながら巻き取れば、ポリエステル系フィルムロールが得られる。
フィルムの評価方法は下記の通りである。
5℃50%RH環境の恒温室及び28℃50%RH環境の恒温室で各々フィルムを24時間放置する。その後直ちに、各々のフィルムを20℃65%RH環境で10cm×10cmの正方形に裁断し、4つ折にした(2.5cm×2.5cmの正方形。図1参照。) その後 底面の大きさが3cm×3cmの5kgの錘を20秒間 4つ折りのフィルムに乗せた。錘を外した後、4つ折りのフィルムを30分間放置した。その後、折られたフィルムが開いた角度(完全に折畳まれた状態を0度とした)を測定して求めた。またフィルム縦方向、横方向の両方の折畳み保持角度を測定し、角度が大きい方の値を折畳み保持角度とした。(フィルム縦方向と横方向が不明瞭なフィルムサンプルの測定時は、一方向を仮に縦方向と定め、前記仮の縦方向と直交する方向を仮の横方向とすればよい。一度決めた仮の縦方向と仮の横方向は、5℃50%RH環境放置試験、28℃50%RH環境放置試験、下記エージング後の折畳み保持角度試験で統一するとよい。)
フィルムを30℃85%RH環境で672時間放置してエージング処理を行う。エージング処理後、28℃50%RH環境の恒温室でフィルムを24時間放置する。その後直ちに、フィルムを20℃65%RH環境で10cm×10cmの正方形に裁断し、4つ折にした。(2.5cm×2.5cmの正方形。図1参照。) その後 底面の大きさが3cm×3cmの5kgの錘を20秒間 4つ折りのフィルムに乗せた。錘を外した後、4つ折りのフィルムを30分間放置した。折られたフィルムが開いた角度(完全に折畳まれた状態を0度とした)を測定して求めた。またフィルム縦方向、横方向の両方の折畳み保持角度を測定し、角度が大きい方の値をエージングしたサンプルの折畳み保持角度とした。エージング有無サンプル間での折畳み保持角度の差は、下式によって求めた。
=(エージングされたサンプルの折畳み保持角度)
−(エージングされていないサンプルの折畳み保持角度)
JIS-K-7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
フィルムを10cm×10cmの正方形に切り出し、有効数字4桁で自動上皿天秤を用いて測定した重さをw(g)、マイクロメーターを用いて有効数字4桁で厚みを10点測定したときの平均厚み値を t(μm) とし、下式によって計算した。なお、見かけ比重は小数点以下2桁に丸めた。
見かけ比重(g/cm3)=w/(10×10×t/10000)
=w×100/t
測定方向をフィルム幅方向とすると、幅方向に140mm、測定方向と直交する方向(フィルム長手方向)に20mmの短冊状の試験片を作製した。万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて、試験片の両端からチャックで各々20mmずつ把持(チャック間距離100mm)して、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/min.の条件にて引張試験を行い、引張破壊時の強度(応力)を引張破壊強さとした。長手方向の測定は、前記幅方向の測定と試料片の作成方向を90度変更して実施した。
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、未延伸フィルム10mgを、-40℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇温し、得られた吸熱曲線より求めた。吸熱曲線の変曲点の前後に接線を引き、その交点をTg(ガラス転移点)とした。
・ポリエステル2:ポリエチレンテレフタレート(固有粘度 0.75dL/g)
・ポリエステル3:グリコール成分100モル%中、エチレングリコール70モル%,1,4−シクロヘキサンジメタノール30モル%と、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸のみからなるポリエステル(固有粘度 0.72dL/g)
上記したポリエステル1とポリエステル2とを重量比90:10で混合し、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)を該ポリエステル混合物に対して50ppmとなるように添加してB層の原料とした。A層の原料は、前記同様ポリエステル1とポリエステル2とを重量比90:10で混合するに際し、更にポリスチレン樹脂(G797N 日本ポリスチレン製)10重量%及び二酸化チタン(TA−300 富士チタン製)10重量%を加えて混合した。A層及びB層の原料をそれぞれ別々の2軸スクリュー押出機に投入、混合、溶融したものをフィードブロックで接合したものをT−ダイスより280℃で溶融押出しし、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さ520μmでB/A/Bの積層構造を持つ未延伸フィルムを得た(B/A/B=130μm/260μm/130μm)。そして、上記の如く得られた厚み520μmの未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、ロールの回転速度差を利用して、縦方向に延伸した。すなわち、未延伸フィルムを、予熱ロール上でフィルム温度が85℃になるまで予備加熱した後に、表面温度85℃に設定された低速回転ロールと表面温度30℃に設定された高速回転ロールとの間で回転速度差を利用して4.3倍に縦延伸した。
得られた二軸延伸フィルムは、好ましい折畳み保持角度、全光線透過率の低いフィルムとなり、高温高湿雰囲気でのエージング後の折畳み保持角度の持続性等、総合的に大変好ましいものであった。
実施例1と同じポリエステル原料を、未延伸シートの厚みが420μm(B/A/B=105μm/210μm/105μm)となるように実施例1と同様に溶融押し出しし、縦方向の延伸倍率を3.5とした以外は実施例1と同様の方法で縦方向の延伸を行い、その後、実施例1と同様の条件で製膜することによって、約30μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
実施例1と同じポリエステル原料を、未延伸シートの厚みが280μm(B/A/B=70μm/140μm/70μm)となるように実施例1と同様に溶融押し出しし、実施例1と同様の方法で縦延伸を行った。縦延伸直後のフィルムを、熱風ヒータで95℃に加熱された炉内へ通し、加熱炉入口と出口のロール間の速度差を利用して45%長手方向にリラックス処理を施した。その後、実施例1と同様の条件で製膜することによって、約30μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
実施例1においてA層の原料に添加したポリスチレン樹脂10重量%に代えて結晶性ポリプロピレン樹脂(FO−50F グランドポリマー製)10重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によって熱収縮性フィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
実施例1と同じポリエステル原料を、未延伸シートの厚みが120μm(B/A/B=30μm/60μm/30μm)となるように実施例1と同様に溶融押し出しし、予熱温度80℃、延伸温度75℃、延伸倍率4.0倍で横延伸を行った。その後、75℃で熱処理し、実施例1と同様に巻き取ることによって、約30μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
実施例1において押出機に投入するA層及びB層の原料樹脂を、ポリエステル1:ポリエステル2を重量比0:100で混合した以外は実施例1と同様の方法によってフィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
実施例1において押出機に投入するA層及びB層の原料樹脂として用いたポリエステル1に代えて、ポリエステル3を用いた以外は実施例1と同様の方法によってフィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表1に示す。実施例1と同様、良好なフィルムを得た。
A層、B層ともに、上記したポリエステル2のみを原料として用い、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)を該ポリエステルに対して50ppmとなるように添加した。この原料を実施例1と同様の方法でフィルムを連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表1に示す。5℃における折畳み保持角度が大きく、全光線透過率も高く、あまり好ましくないフィルムであった。
実施例1と同じポリエステル原料を、実施例1と同様の方法で溶融押出しして未延伸のフィルムを得た。その後、横延伸後の熱処理温度を230℃とした以外は実施例1と同様の条件で製膜することによって、約30μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。28℃と5℃における折畳み保持角度は大きく、あまり好ましくないフィルムであった。
原料として、A層には実施例1と同様のものを用い、B層にはポリスチレン樹脂を30重量%とした以外は同様の樹脂を用い、実施例1と同様の条件で製膜することによって、約30μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。比重が低すぎるために強度が低く、あまり好ましくないフィルムであった。
A層の原料として、実施例1で用いたポリスチレン10重量%に代えて、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート、グリコール成分としてブタンジオールとポリテトラメチレングリコールを共重合(ブタンジオールとポリテトラメチレングリコールのモル比は85:15)したポリエステルエラストマー10重量%を用いた。B層の原料は、実施例1と同じものを用いた。縦延伸温度を75℃、横延伸前のテンター内予備加熱温度を100℃、横延伸温度を90℃とした以外は実施例1と同様の条件で製膜することによって、約30μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製造した。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表1に示す。5℃における折畳み保持角度が高く、更に見かけ比重が大きいため、あまり好ましくないフィルムであった。
Claims (3)
- エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル樹脂から形成されており、該ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂を含んで空洞を含有する層を少なくとも1層有しており、下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とするポリエステル系フィルム。
(1)28℃50%RH環境下で1日保管した後の折畳み保持角度が20度以上45度以下
(2)5℃50%RH環境下で1日保管した後の折畳み保持角度が30度以上55度以下
(3)全光線透過率が20%以上50%以下
(4)見かけ比重が0.95以上1.25以下
(5)30℃85%RH雰囲気下672時間エージング有無間での、28℃50%RH環境下で1日保管した後の折畳み保持角度の差が0度以上10度以下 - 一軸延伸又は二軸延伸されており、延伸された少なくとも一方向の引張り破壊強さが100MPa以上300MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系フィルム。
- 請求項1または2に記載のポリエステル系フィルムが少なくとも一部に使用されてなる折り紙、紙製手提げ袋、本のカバー、包装紙から選ばれる紙代替用途のフィルム製物品。
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