JP2004262056A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム及びラベル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルムの主収縮方向及び主収縮方向と直行する方向の長さ1cmあたりのフィルム厚み差が3μm以上であり、フィルム内部に空洞を含有し少なくともフィルム厚み方向の片面表層部の空洞径が5μm未満であり、フィルム厚み方向中央部の空洞径が5μm以上であり、フィルム表面の少なくとも片面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm以上であり、且つフィルムの全光線透過率が80%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル系フィルムに関し、特にラベル用途に好適な和紙のような外観を有するポリエステル系フィルムに関する。さらに詳しくは、和紙のような外観及び不透明感を有し、且つ熱収縮によるシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少ない熱収縮性ポリエステル系フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱収縮性フィルム、特にボトルの胴部のラベル用の熱収縮性フィルムとしては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等からなるフィルムが主として用いられている。しかし、ポリ塩化ビニルについては、近年、廃棄時に焼却する際の塩素系ガス発生が問題となり、ポリスチレンについては、耐溶剤性が十分でないことから印刷が困難である等の問題がある。さらに、PETボトルの回収リサイクルにあたっては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等のPET以外の樹脂のラベルはPETボトルと分別する必要がある。このため、これらの問題の無いポリエステル系の熱収縮性フィルムが注目を集めている。
【0003】
特に、PETボトルのラベルに用いる場合、新たな機能を付与することは求められており、その一つとして、和紙調の外観を有することが要望されている。
【0004】
そのために、例えばセルロース繊維をコートするといった特殊なコーティングが考えられるが、均一なコーティングが容易ではない、コート膜の耐久性に劣る、といった問題がある。
【0005】
また、ポリエステル系樹脂と非相溶である樹脂あるいは無機粒子を配合させ、空洞を含有させたフィルムもあるが、単に空洞を含有させるだけではフィルムの隠蔽性が高くなるもののフィルム表面は比較的平滑であり、和紙調の外観が得られないなどの課題を有する。
これまでに、結晶性ポリプロピレンを3〜40重量%含有する微細気泡含有ポリエステルフィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)が、これはホワイトボードなどの基材に用いられるもので、フィルム表面は比較的平滑性に優れるものであり、和紙のような外観は得られない。
また、ポリオレフィン系重合体を2〜30wt%含有する微小気泡を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)が、これは例えばトレーシングペーパーのような外観となり、和紙のような外観は得られない。
また、白色無機粒子を5〜30wt%含有し、ボイド率が5〜30%である白色ポリエチレンテレフタレートフィルムが開示されている(例えば、特許文献3参照。)が、これもテレホンカードなどの基材に用いられるもので、フィルム表面は比較的平滑性に優れ、和紙のような外観は得られない。
さらに、非相溶である樹脂と無機粒子を配合させた和紙風模様を形成したフィルムが開示されている(例えば、特許文献4参照。)が、筆記性を目的とするため和紙のような外観としては十分にならない、などの課題を有する。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−16130号公報
【特許文献2】
特開昭63−193822号公報
【特許文献3】
特開昭63−235338号公報
【特許文献4】
特開平2−180933号公報
【0007】
このように、外観を和紙のように仕上げるラベル用途の場合、従来のポリエステル系フィルムあるいは熱収縮性ポリエステル系フィルムでは性能が不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、その目的とするところは、ポリエステル系フィルムであって、ボトルのラベル用、特に表面に紙のような外観を有し、特に収縮によるシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少ない和紙の外観及び不透明感を有するラベルに用いられる熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステル系フィルムは、フィルムの主収縮方向及び主収縮方向と直行する方向の長さ1cmあたりのフィルム厚み差が3μm以上であり、フィルム内部に空洞を含有し少なくともフィルム厚み方向の片面表層部の空洞径が5μm未満であり、フィルム厚み方向中央部の空洞径が5μm以上であり、フィルム表面の少なくとも片面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm以上であり、且つフィルムの全光線透過率が80%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムであり、そのことにより上記課題が解決される。
【0010】
フィルムの厚み差が3μ未満であると和紙のような外観とならず好ましくない。
ここで、フィルムの厚み差とは厚み計を用いて、a.縦方向5cm・横方向50cm、b.縦方向5cm・横方向50cmのサンプルのそれぞれ長手方向に厚みを測定し(測定数20)、得られたチャートよりそれぞれ長さ1cm毎に最大厚みと最小厚みの差を読み取り平均した結果を意味する。
【0011】
フィルム内部に空洞を含有し少なくともフィルム厚み方向の片面表層部の平均空洞径が5μm以上であるか、フィルム厚み方向中央部の平均空洞径が15μm未満であると、フィルムの厚み差が3μm以上とすることが困難となり好ましくない
【0012】
フィルム表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm未満であると表面の凹凸が少ない比較的平滑なフィルムとなり、和紙のような外観が得られなくなり好ましくない。
【0013】
フィルムの全光線透過率は80%以下が好ましい。全光線透過率が60%を超えると和紙のような外観及び不透明感とならず好ましくない。
【0014】
この場合において、前記ポリエステル系フィルムの見掛け比重が、1.0未満であることが好適である。
【0015】
この場合において、前記ポリエステル系フィルムの温湯収縮率が、主収縮方向において、処理温度85℃・処理時間10秒で30%以上であり、主収縮方向と直交する方向において、85℃・10秒で10%以下であることが好適である。
【0016】
この場合において、前記ポリエステル系フィルムが、ポリエステル系樹脂と非相溶である熱可塑性樹脂を含むことが好適である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0018】
本発明で使用するポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。
【0019】
脂肪族ジカルボン酸(例えばアジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等)を含有させる場合、含有率は3モル%未満であることが好ましい。これらの脂肪族ジカルボン酸を3モル%以上含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、ラベルとして使用する際の高速装着時のフィルム腰が不十分である。
【0020】
また、3価以上の多価カルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物等)を含有させないことが好ましい。これらの多価カルボン酸を含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
【0021】
本発明で使用するポリエステルを構成するジオール成分としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、芳香族ジオール等が挙げられる。
【0022】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは炭素数3〜6個を有するジオール(例えばプロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)のうち1種以上を含有させて、ガラス転移点(Tg)を60〜75℃に調整したポリエステルが好ましい。
【0023】
また、収縮仕上り性が特に優れた熱収縮性ポリエステル系フィルムとするためには、ネオペンチルグリコールをジオール成分の1種として用いることが好ましい。
【0024】
炭素数8個以上のジオール(例えばオクタンジオール等)、又は3価以上の多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン等)は、含有させないことが好ましい。これらのジオール、又は多価アルコールを含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
【0025】
ジエチレングリコール、トリエチレングリコールはできるだけ含有させないことが好ましい。特にジエチレングリコールは、ポリエステル重合時の副生成成分のため、存在しやすいが、本発明で使用するポリエステルでは、ジエチレングリコールの含有率が4モル%未満であることが好ましい。
【0026】
なお、本発明の酸成分、ジオール成分の含有率は、2種以上のポリエステルを混合して使用する場合、ポリエステル全体の酸成分、ジオール成分に対する含有率である。混合後にエステル交換がなされているかどうかにはかかわらない。
さらに、熱収縮性フィルムの易滑性を向上させるために、例えば、二酸化チタン、微粒子状シリカ、カオリン、炭酸カルシウムなどの無機滑剤、また例えば、長鎖脂肪酸エステルなどの有機滑剤を含有させるのも好ましい。また、必要に応じて、安定剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有させてもよい。
【0027】
上記ポリエステルは、いずれも従来の方法により重合して製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法、ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールとを反応させるエステル交換法などを用いて、ポリエステルが得られる。重合は、回分式および連続式のいずれの方法で行われてもよい。
【0028】
本発明のフィルムの厚み差は、フィルムの主収縮方向及び主収縮方向と直行する方向の長さ1cmあたり3μm以上、好ましくは5μm以上である。フィルムの厚み差が3μ未満であると和紙のような外観とならず好ましくない。
【0029】
また、本発明のフィルムは、フィルム内部に空洞を含有し、少なくともフィルム厚み方向の片面表層部に平均空洞径が5μm未満、好ましくは4μm未満、特に好ましくは3μm未満の空洞を、好ましくは、好ましくは50〜80%、特に好ましくは70〜80%含有する。ここで、フィルム表層部は、フィルムの厚み方向に表層から10μmまでの部分である。
【0030】
また、本発明のフィルムは、フィルム厚み方向の片面表層部に平均空洞径が15μm以上、好ましくは18μm以上の空洞を、好ましくは、好ましくは60〜80%、特に好ましくは70〜80%含有する。ここで、フィルムの厚み方向中に表面から10μm以上の央部の部分である。厚み方向中央部の平均径空洞は、15μm以上、好ましくは18μm以上であれば、その大きさは、特に限定するものでないが大きくても50μm以下、さらに40μm以下程度の大きさで十分である。
【0031】
また、上記のような空洞含有を形成するためには、上記ポリエステルと非相溶である特定の熱可塑性樹脂を少なくとも1種以上配合させることが好ましい。
上記ポリエステルと非相溶である特定の熱可塑性樹脂を配合し、混合、押出し、延伸することでフィルム内部に空洞が出来あがり、その空洞の影響で紙のような外観を有するフィルムを得ることが可能となると考えられる。
以下は推定であるが、上記ポリエステルと非相溶である特定の熱可塑性樹脂を配合し、特定の条件で混合、押出しすることによって、前記従来の空洞含有ポリエステルフィルムより大きな空洞が形成され、光の散乱が低下するとともに、形成した空洞径の差異が部分的に生じ、表面の凹凸が大きくなり和紙のような外観になるものと考えられる。
【0032】
上記ポリエステルと非相溶である特定の熱可塑性樹脂の例としてはポリメチルペンテン系樹脂、アイオノマー系樹脂などが挙げられる。
【0033】
上記ポリエステルと非相溶である熱可塑性樹脂の配合量は空洞含有層全体の11重量%以上が好ましく、さらに好ましくは13重量%以上である。該熱可塑性樹脂が11%重量未満であるとフィルム内部の空洞が不完全で、紙のような外観とならず好ましくない。
【0034】
また、上記の補助剤としてエーテル類を配合させることも有効である。エーテル類を配合させることで上記ポリエステルと非相溶である熱可塑性樹脂の分散性を比較的均一にすることが可能となり、より和紙のような外観を得ることが可能である。
【0035】
上記エーテル類としてはポリエチレングリコールなどが上げられる。
【0036】
フィルム表面の少なくとも片面の中心線平均粗さ(Ra)は0.1μm以上が好ましく、さらに好ましくは0.2μm以上である。フィルム表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm未満であると表面の凹凸が少ない比較的平滑なフィルムとなり、和紙のような外観が得られなくなり好ましくない。
上記のような表面凹凸を形成するためには、上記ポリエステルと非相溶である特定な熱可塑性樹脂を1種類以上配合し、且つ上記ポリエステルのTg以上で延伸することが好ましく、さらに好ましくはTg+5℃以上である。
【0037】
フィルムの全光線透過率は80%以下が好ましく、さらに好ましくは70%以下である。フィルムの全光線透過率が80%を超えると、和紙のような外観及び不透明感が得られなくなり好ましくない。
上記のような全光線透過率とするには、上記ポリエステルと非相溶である特定の熱可塑性樹脂を少なくとも1種以上配合させることが好ましい。
上記ポリエステルと非相溶である特定の熱可塑性樹脂を配合し、混合、押出し、延伸することでフィルム内部に空洞が出来あがり、その空洞の影響で全光線透過率を抑えることが可能となる。
【0038】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは、特に限定するものではないが、ラベル用熱収縮性フィルムとして40〜200μmが好ましく、50〜100μmがさらに好ましい。
【0039】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、温水中で無荷重状態で処理して収縮前後の長さから、熱収縮率=((収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ)×100(%)の式で算出したフィルムの温湯収縮率が、主収縮方向において、処理温度85℃・処理時間10秒で30%以上であり、好ましくは35以上であり、主収縮方向と直交する方向において、85℃・10秒で10%以下であり、好ましくは6%以下である。
【0040】
主収縮方向の温湯収縮率が85℃・10秒で30%未満の場合は、ボトルのラベルとして使用する際に収縮不足が発生しやすく好ましくない。
【0041】
主収縮方向と直交する方向の温湯収縮率が10%を越えるとラベルの高さにズレが生じ易く好ましくない。
【0042】
次に本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造法について、具体例を説明するが、この製造法に限定されるものではない。
【0043】
本発明に用いるポリエステル樹脂をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。押し出しに際してはTダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用して構わない。押し出し後、急冷して未延伸フィルムを得る。
【0044】
次に、得られた未延伸フィルムを、横方向に3.0倍以上、好ましくは3.5倍以上延伸する。
【0045】
次に、必要により、70〜100℃の温度で熱処理して、熱収縮性ポリエステル系フィルムを得る。
【0046】
さらに必要に応じて、横方向に再延伸を行ってもよい。
特に下記条件で製膜することより、和紙調の外観を有するフィルムを安定的に得ることが出来る。
【0047】
本発明に用いるポリエステル樹脂と非相溶である熱可塑性樹脂とは出来る限り押出機の直前で混合することが好ましい。前記方法とする事でポリエステル樹脂と非相溶である熱可塑性樹脂との偏析等が防止でき、安定した特性を得ることが可能となる。
【0048】
押出樹脂温度は260℃から300℃が好ましい。押出樹脂温度が260℃未満であると、ポリエステル樹脂と非相溶である熱可塑性樹脂による空洞が比較的小さくなり和紙のような外観が得られにくい。また、押出樹脂温度が300℃以上であるとポリエステル系樹脂と非相溶である熱可塑性樹脂による押出機内での相分離構造が不安定となりやすく、その結果フィルムとして安定した特性が得られなかったり、製膜が不安定になりやすい。
【0049】
なお、本発明の目的を達成するには、主収縮方向としては横方向が実用的であるので、以上では、主収縮方向が横方向である場合の製膜法の例を示したが、主収縮方向を縦方向とする場合も、上記方法における延伸方向を90度変えるほかは、上記方法の操作に準じて製膜することができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
本発明のフィルムの評価方法は下記の通りである。
【0052】
(1)熱収縮率
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度±0.5℃の温水中において、無荷重状態で所定時間処理して熱収縮させた後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記(1)式に従いそれぞれ熱収縮率を求めた。該熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
【0053】
熱収縮率=((収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ)×100(%)… (1)
【0054】
(2)収縮仕上り性
熱収縮性フィルムに、あらかじめ、東洋インキ製造(株)の草・金・白色のインキで3色印刷し、印刷を施した面が外側になるようにして、折り径10.9cm×高さ13.5cmのラベルを熱シールを用いて作製した。
【0055】
Fuji Astec Inc製スチームトンネル(型式:SH−1500−L)を用い、通過時間2.5秒、ゾーン温度85℃で、500mlのPETボトル(高さ20.6cm、中央部直径6.5cm)(アサヒ飲料(株)の「旨茶」に使用されているボトル)を用いてテストした(測定数=20)。
【0056】
評価は目視で行い、基準は下記の通りとした。
【0057】
シワ、飛び上り、収縮不足の何れも未発生 : ○
シワ、飛び上り、又は収縮不足が発生 : ×
【0058】
(3)空洞径
サンプルの観察面をミクロトームにて平滑に切り出し、Ion Sputter(日立製作所製 E−1030)を用いてプラチナ蒸着を150秒間かけて施した。該蒸着サンプルを電解放射形走査電子顕微鏡(日立製作所 S−800)を用いてフィルムの厚み方向の断面写真を撮影し、その写真より空洞の径を求めた。
【0059】
(4)厚み差
アンリツ(株)製接触厚み計(形式:KG60/A)を用いて、a.縦方向5cm・横方向50cm、b.縦方向5cm・横方向50cmのサンプルのそれぞれ長手方向に厚みを測定し(測定数20)、得られたチャートよりそれぞれ長さ1cm毎に最大厚みと最小厚みの差を読み取り平均した結果を厚み差とした。
【0060】
(5)中心線平均粗さ(Ra)
小坂研究所社製の3次元微細形状測定器(ET−30HK)を用いて、カットオフ80μm、ドライブスピード100μm/sの条件で測定し、装置の読取値をフィルム表面の中心線平均粗さ(Ra)とした。
【0061】
(6)全光線透過率
日本電色工業(株)製の濁色計(NDH−2000T)を用いてJIS K 7136に準じ測定し、装置の読取値を全光線透過率(%)とした。
【0062】
(7)見掛け比重
フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に正確に切り出して、その厚みを50点測定し、平均厚みをtμmとした。このフィルムの重さを0.1mgまで測定してこれをwgとし、見掛け比重を下記(2)式によって計算した。
【0063】
見掛け比重=w/5×5×t×10000…(2)
(8)極限粘度
オストワルド粘度計を用いて、試料200mgをフェノール/テトラクロロエタン=50/50の混合溶媒20mlに加え、110℃で1時間加熱した後、30℃で測定した。
【0064】
(9)和紙調外観
得られたフィルムの外観を目視にて観察し以下の基準で判定した。
和紙調の風合いあり:○
和紙調の風合いなし:×
【0065】
実施例に用いたポリエステルは以下の通りである。
【0066】
ポリエステルA:ポリエチレンテレフタレート(極限粘度(IV)0.75dl/g)
ポリエステルB:エチレングリコール70モル%、ネオペンチルグリコール30モル%とテレフタル酸とからなるポリエステル(IV 0.72dl/g)
ポリエステルC:ポリブチレンテレフタレート(IV 1.20dl/g)
【0067】
(実施例1)
ポリエステルA7.35重量%、ポリエステルB77.5重量%、ポリメチルペンテン(三井化学(株)「TPX DX845」)15重量%、ポリエチレングリコール0.15重量%を混合したポリエステル系樹脂を280℃で溶融し、Tダイより押出しを行い、チルロールで急冷して未延伸フィルムを得た。
【0068】
該未延伸フィルムを、フィルム温度が85℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に81℃で4倍に延伸し、厚み80μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0069】
(実施例2)
ポリエステルA7.35重量%、ポリエステルB75.5重量%、ポリメチルペンテン(三井化学(株)「TPX DX845」)17重量%、ポリエチレングリコール0.15重量%を混合したポリエステル系樹脂を280℃で溶融し、Tダイより押出しを行い、チルロールで急冷して未延伸フィルムを得た。
【0070】
該未延伸フィルムを、実施例1に記載した方法と同様にして、厚み80μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0071】
(実施例3)
ポリエステルA10重量%、ポリエステルB75重量%、ポリメチルペンテン(三井化学(株)「TPX DX845」)15重量%を混合したポリエステル系樹脂を280℃で溶融し、Tダイより押出しを行い、チルロールで急冷して未延伸フィルムを得た。
【0072】
該未延伸フィルムを、実施例1に記載した方法と同様にして、厚み80μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0073】
(実施例4)
ポリエステルA10重量%、ポリエステルB70重量%、ポリメチルペンテン(三井化学(株)「TPX DX845」)20重量%を混合したポリエステル系樹脂を280℃で溶融し、Tダイより押出しを行い、チルロールで急冷して未延伸フィルムを得た。
【0074】
該未延伸フィルムを、実施例1に記載した方法と同様にして、厚み80μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0075】
層未延伸フィルムを、実施例1に記載した方法と同様にして、厚み80μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0076】
(比較例1)
ポリエステルA10重量%、ポリエステルB85重量%、ポリメチルペンテン(三井化学(株)「TPX DX845」)5重量%を混合したポリエステル系樹脂を、280℃で溶融し、Tダイより押出し、チルロールで急冷して未延伸フィルムを得た。
【0077】
該未延伸フィルムを実施例1に記載した方法と同様にして、厚み80μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0078】
(比較例2)
ポリエステルA42重量%、ポリエステルB53重量%、ポリメチルペンテン(三井化学(株)「TPX DX845」)5重量%を混合したポリエステル系樹脂を、280℃で溶融し、Tダイより押出し、チルロールで急冷して未延伸フィルムを得た。
【0079】
該未延伸フィルムを、フィルム温度が80℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に76℃で延伸した以外は実施例1に記載した方法と同様にして、厚み50μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0080】
(比較例3)
ポリエステルA17重量%、ポリエステルB53重量%、ポリエステルC10重量%、ポリスチレン(日本ポリスチレン(株)「G797N」)20重量%を混合したポリエステル系樹脂を、280℃で溶融し、Tダイより押出し、チルロールで急冷して未延伸フィルムを得た。
【0081】
該未延伸フィルムを、フィルム温度が80℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に76℃で延伸した以外は実施例1に記載した方法と同様にして、厚み50μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0082】
(比較例4)
ポリエステルA17重量%、ポリエステルB53重量%、ポリエステルC10重量%、ポリプロピレン(グランドポリマー(株)「グランドポリプロ F102WC」)20重量%を混合したポリエステル系樹脂を、280℃で溶融し、Tダイから押出し、チルロールで急冷して未延伸フィルムを得た。
【0083】
該未延伸フィルムを、フィルム温度が80℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に76℃で延伸した以外は実施例1に記載した方法と同様にして、厚み50μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0084】
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1から明らかなように、実施例1〜4で得られたフィルムはいずれも収縮仕上り性が良好であり、且つフィルムは和紙のような外観を有し、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは高品質で実用性が高く、特に和紙のような外観を求められる収縮ラベル用として好適である。
【0087】
一方、比較例1〜4で得られた熱収縮性系フィルムはフィルムの表面は比較的平滑であり和紙のような外観とならない。このように比較例で得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムはいずれも品質が劣り、実用性が低いものであった。
【0088】
【発明の効果】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ボトルのラベルとして使用する場合、熱収縮によるシワ、収縮斑、歪み及び収縮不足の発生が極めて少ない良好な仕上がり性が可能であり、且つ和紙のような外観を求められるラベル用途として極めて有用である。
Claims (5)
- フィルムの主収縮方向及び主収縮方向と直行する方向の長さ1cmあたりのフィルム厚み差が3μm以上であり、フィルム内部に空洞を含有し少なくともフィルム厚み方向の片面表層部の平均空洞径が5μm未満であり、フィルム厚み方向中央部の平均空洞径が15μm以上であり、フィルム表面の少なくとも片面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1μm以上であり、且つフィルムの全光線透過率が80%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、見掛け比重が1.0未満であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1、あるいは2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムの温湯収縮率が、主収縮方向において、処理温度85℃・処理時間10秒で30%以上であり、主収縮方向と直交する方向において、85℃・10秒で10%以下であることを特徴と熱収縮性するポリエステル系フィルム。
- 請求項1、2、あるいは3に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、ポリエステル系樹脂が非相溶である熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 請求項1、2、3、あるいは4に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを用いて作成されたラベル。
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JP2015020298A (ja) * | 2013-07-17 | 2015-02-02 | 東洋紡株式会社 | 紙の代替使用が可能な折畳み保持性に優れたポリエステル系フィルム及び紙代替用途のフィルム製物品 |
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-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003053977A patent/JP2004262056A/ja active Pending
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