JP6984224B2 - 立体構造体作製用フィルムおよび立体構造体 - Google Patents

立体構造体作製用フィルムおよび立体構造体 Download PDF

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Description

本発明は、プラスチックフィルムを用いた立体構造体作製用フィルムに関し、詳しくは、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持性能に優れた立体構造体作製用フィルムに関する。
従来、乗物等の模型や住宅模型等の立体構造体は、紙または合成紙を材料として用いるのが一般的である。
例えば特許文献1にはバルサ、ベニヤ、プラスチック、あるいは金属鋳造品などの補強材で骨組みないし骨格を構成し、表面部を被覆する外装材として印刷された合成紙を使用し、真空成形により形状を付与した乗物模型が開示されている。また、特許文献2には壁面、屋根、ドア等の開口部、手摺等の附属設備の模様・色彩を印刷した各部材パネルと;壁面パズルを取付ける基盤パネルとからなる住宅用模型キットが開示されている。
しかしながら、特許文献1では形状付与のために真空成形を利用するので部材を簡易に作製することができず、また、補強材と外装材を構成するため複数の異なる材料を使用する必要がある。一方、特許文献2では各部材のパネルとして印刷された台紙を使用している。このようにこれらの特許文献ではいずれも、合成紙または紙を材料として使用しているので、作製した模型内部の様子を視認することは不可能である。また、上述した模型等の立体構造体を作製するのは容易でなく、非常に労力等を要するという問題も抱えている。
実開昭62−189797号公報 実開昭62−173775号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持性能に優れており、さまざまな角度から眺めても、内部まで視認可能な立体構造体を容易に作製することのできる立体構造体作製用フィルム、及び上記立体構造体作製用フィルムより作製された立体構造体を提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明は、以下の構成よりなる。
1.プラスチックフィルムと印刷部を有し、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が80度以下であり、立体構造体の作製に用いられることを特徴とする立体構造体作製用フィルム。
2.2枚のプラスチックフィルムの間に印刷部を有する上記1に記載の立体構造体作製用フィルム。
3.前記プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである上記1または2に記載の立体構造体作製用フィルム。
4.前記ポリエステルフィルムは、エチレンテレフタレートユニットを全エステルユニット100モル%中、50モル%以上有し、全アルコール成分100モル%中の非晶質アルコール成分の割合と、全酸成分100モル%中の非晶質酸成分の割合の合計が12モル%以上30モル%以下であるポリエステル樹脂で構成されている上記3に記載の立体構造体作製用フィルム。
5.前記印刷部が、絵柄、画像、図形、文字、及び数字よりなる群から選択される少なくとも一種以上の情報を含む上記1〜4のいずれかに記載の立体構造体作製用フィルム。
6.前記印刷部以外の部分が、透明または半透明である部分を含む上記1〜5のいずれかに記載の立体構造体作製用フィルム。
7.前記立体構造体が、折り曲げ部を有する上記1〜6のいずれかに記載の立体構造体作製用フィルム。
8.前記立体構造体が、立体クラフトまたは立体模型である上記1〜7のいずれかに記載の立体構造体作製用フィルム。
9.上記1〜8のいずれかに記載の立体構造体作製用フィルムを含むことを特徴とする立体構造体。
本発明によれば、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持性能に優れており、さまざまな角度から眺めても、内部まで視認可能な立体構造体を容易に作製することのできる立体構造体作製用フィルム、及び上記立体構造体作製用フィルムより作製された立体構造体を提供することができる。
図1は、本発明に係る立体構造体作製用フィルムの一例を示す図である。 図2は、図1の立体構造体作製用フィルムから作製された立体構造体の写真を示す図である。 図3は、本発明に係る立体構造体作製用フィルムの折畳み保持角度の測定方法を示す図である。
本発明者らは、立体構造体作製用材料として適用可能なフィルムを鋭意検討した結果、上記フィルムを使用すれば、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持性能に優れており、さまざまな角度から眺めても、内部まで視認可能な立体構造体を容易に作製できることを見出し、本発明を完成した。
まず、本発明の立体構造体作製用フィルムについて詳述する。
本発明の立体構造体作製用フィルムは、プラスチックフィルムと印刷部を少なくとも有し、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が80度以下であることを特徴とする。
前述したように乗物や建築物等の立体模型を含む立体構造体は、従来は紙や合成紙が使用されており、必要によりその表面に色や図柄等が印刷されていた。しかし、紙や合成紙を用いた立体構造体では、立体的な外観形状を視認できるだけで、その内部を視認することは不可能である。また、立体構造体の内部を視認するため開口部をわざわざ設けると、その外観形状が損なわれる虞がある。
これに対し、本発明の立体構造体作製用フィルムを用いれば、透明なプラスチックフィルムを使用しているのでその内部を視認可能となり、さらに印刷部を有しているので立体構造体の外観形状を損なうことなく、所望とする立体構造体が得られる。
更に本発明の立体構造体作製用フィルムは、当該フィルムを折り曲げて立体構造体を作製し、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が80度以下を満足するため、折り曲げ加工が極めて容易となり、手で容易に折り曲げることが可能で、且つ、折り曲げ部分の形状を保持することができる。厳密には、使用するプラスチックフィルムの種類によって折畳み保持性は異なるが、上記保管後の折畳み保持角度が80度以下に制御されていれば、上記目的を達成できることが分かった。フィルムを用いた折り曲げ加工では、特に90度の折り曲げ加工が多用されるが、本発明のフィルムを用いれば、容易な折り曲げ加工性と加工後の形状保持性とを両立させることができる。上記折畳み保持角度は、70度以下が好ましく、65度以下がより好ましく、60度以下が更に好ましい。なお、上記折畳み保持角度の下限は特に限定されないが、実際に達成できる値はおおむね20度以上である。
本発明の立体構造体作製用フィルムは、プラスチックフィルムを有する。上記プラスチックフィルムの種類は、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が80度以下に制御されるものであれば特に限定されず、例えばポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが挙げられる。フィルムの印刷加工性や材料コストなどを考慮すると、ポリエステルフィルムが好ましい。
上記ポリエステルフィルムは、エチレンテレフタレートユニットを全エステルユニット100モル%中、好ましくは50モル%以上有し、より好ましくは60モル%以上有する。エチレンテレフタレートユニットは、エチレングリコールおよびテレフタル酸を主な構成成分として含有する。このようにエチレンテレフタレートを主成分として用いることにより、優れた耐熱性と透明性を得ることができる。エチレンテレフタレートユニットの上限は100モル%未満が好ましく、95モル%以下がより好ましく、90モル%以下が更に好ましく、88モル%以下が最も好ましい。
上記ポリエステルフィルムを構成するテレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。
なお、上記ポリエステルフィルムは、3価以上の多価カルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等)を含有しないことが好ましい。これらの多価カルボン酸を含有するポリエステルを使用して得たフィルムは、溶融押出しして製膜する際に異物が発生して外観不良となる虞があるためである。
上記ポリエステルフィルムを構成するエチレングリコール以外の他のジオール成分としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
これらのうち1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオール;3〜6の炭素数を有するジオール(例えば1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)は低Tg成分として有用であり、これら成分を1種または2種以上添加することにより、ガラス転移点(Tg)を60〜70℃に調整することができる。
上記ポリエステルフィルムは、好ましくは非晶質成分(非晶質アルコール成分および非晶質酸成分)を含み、全アルコール成分100モル%中の非晶質アルコール成分の割合と、全酸成分100モル%中の非晶質酸成分の割合との好ましい合計は12モル%以上、30モル%以下である。エチレンテレフタレートを主成分とすると共に、非晶質成分となり得るモノマー成分を12モル%以上含有することにより、フィルムの折畳み保持角度をより低い保持角度に容易に調整することができる。より好ましくは15モル%以上、更に好ましくは17モル%以上、更により好ましくは18モル%以上である。一方、非晶質成分となり得るモノマー成分の合計が30モル%を超えると、耐破れ性や耐熱性が不十分となり易い。
非晶質酸成分(カルボン酸成分)のモノマーとしては、例えばイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
また非晶質アルコール成分(ジオール成分)のモノマーとしては、例えばネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
これらのモノマー成分の中でも、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはイソフタル酸が好ましく、ネオペンチルグリコールが特に好ましい。
なお、上記ポリエステルフィルムは、炭素数8個以上のジオール(例えば、オクタンジオール等)、または3価以上の多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリン等)を含有しないことが好ましい。炭素数が8個以上のジオールを含有するとフィルムの機械的強度を損なう場合がある。また3価以上の多価アルコールを含有すると溶融押出ししてフィルムを製膜する際に異物が発生して外観不良となる虞がある。
また、上記ポリエステルフィルムは、ポリエステル系エラストマーを併用することが好ましい。これにより、非晶度合いが高まって、折畳み保持性が良好となる。本発明に用いられる好ましいポリエステル系エラストマーは、高融点結晶性ポリエステルセグメント(ハードセグメント)と数平均分子量400以上の低融点軟重合体セグメント(ソフトセグメント)からなるポリエステル系ブロック共重合体である。
ここで上記高融点結晶性ポリエステルセグメントは、その構成成分だけで重合体を形成した場合、融点が200℃以上になるセグメントを意味する。
上記高融点結晶性ポリエステルセグメントとして、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の残基と、ペンタメチレングリコール、2,2−ジメチルトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、p−キシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、芳香族、または脂環族ジオールの残基とからなるポリエステル;p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、p−オキシ安息香酸ピバロラクトン等のオキシ酸の残基からなるポリエステル;1,2−ビス(4,4’−ジカルボキシメチルフェノキシ)エタン、ジ(4−カルボキシフェノキシ)エタン等の芳香族エーテルジカルボン酸の残基と上記の脂肪族、芳香族、または脂環族ジオールの残基とからなるポリエーテルエステル;ビス(N−パラカルボエトキシフェニル)テレフタルイミド等の芳香族アミドジカルボン酸の残基と上記の脂肪族、芳香族、または脂環族ジオールの残基とからなるポリアミドエステル等が挙げられる。また、上記ジカルボン酸の残基および/またはジオールの残基を2種以上使用した共重合ポリエステル等も使用することができる。
一方、上記低融点軟重合体セグメントは、ポリエステル系エラストマー中で実質的に非晶の状態を示すものであり、その構成成分だけで重合体を形成した場合、融点または軟化点が80℃以下になるセグメントを意味する。上記低融点軟重合体セグメントの数平均分子量は、400〜8000が好ましく、700〜5000がより好ましい。
上記低融点軟重合体セグメントとしては、ポリエチレンオキサイドグリコール、ポリプロピレンオキサイドグリコール、ポリテトラメチレンオキサイドグリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体のグリコール、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとの共重合体のグリコール等のポリエーテル;ポリネオペンチルアゼレート、ポリネオペンチルアジペート、ポリネオペンチルセバケート等の脂肪族ポリエステル;ポリ−ε−カプロラクトン等のポリラクトン等が挙げられる。ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとの相溶性の観点を考慮すると、ポリ−ε−カプロラクトン等のポリラクトンをソフトセグメントに用いたポリエステル系エラストマーが好ましい。
ポリエステル系エラストマーに占める上記低融点軟重合体セグメントの割合は、1〜90質量%が好ましく、より好ましくは5〜80質量%である。
ポリエステル系エラストマーとして、本発明では、テレフタル酸とブタンジオールとε−カプロラクトンの共重合ポリエステルからなるε−カプロラクトン系ポリエステルエラストマーが好ましく用いられる(後記する表1のポリエステル原料Eを参照)。これにより、非晶度合いが高められ、折畳み保持性能が一層良好に発揮される。このような効果を充分に発揮させるためには、ポリエステル系フィルムを構成するポリエステル樹脂100モル%に占める、ε−カプロラクトン系ポリエステルエラストマーの含有量は1〜30モル%が好ましく、3〜25モル%がより好ましく、5〜20モル%が更に好ましい。ε−カプロラクトン系ポリエステルエラストマーの含有量が1モル%を下回ると、ε−カプロラクトン系ポリエステルエラストマーの添加効果が十分に発揮されない。一方、ε−カプロラクトン系ポリエステルエラストマーの含有量が30モル%を超えると、フィルムの耐破れ性、強度や耐熱性等の物理的強度が充分に得られない虞がある。
本発明に用いるポリエステル原料は、必要に応じて各種の添加剤を添加することができる。上記添加剤は特に限定されず、例えばワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤が挙げられる。
また、上記ポリエステル原料は、フィルムの作業性(滑り性)を良好にするため、滑剤として作用する微粒子を添加することが好ましい。上記微粒子としては、無機系微粒子および有機系微粒子の種類を問わず、任意のものを選択することができる。無機系微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等が挙げられる。有機系微粒子としては、例えばアクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等が挙げられる。上記微粒子の平均粒径は、コールターカウンタにて測定した場合、約0.05〜3.0μmの範囲内であることが好ましい。
ポリエステル原料中に上記微粒子を配合する方法は特に限定されず、例えばポリエステル系樹脂を製造する任意の段階で添加することができるが、エステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付き混練押出し機を用いてエチレングリコールまたは水等に分散させた粒子のスラリーとポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法や、混練押出し機を用いて乾燥させた微粒子とポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法等も挙げられる。
さらに、上記ポリエステル系フィルムは、フィルム表面の接着性を良好にするため、コロナ処理、コーティング処理、火炎処理等を施したりすることも可能である。
本発明の立体構造体作製用フィルムは、印刷部を有する。印刷部は、前述したプラスチックフィルムの上に、印刷用インクを印刷することにより形成することが可能である。上記印刷用インクは、着色するための顔料あるいは染料と、有機樹脂バインダーと、有機溶剤とを含有することが好ましい。上記印刷用インクとしては、例えば大日本インキ工業(株)のファインラップ(登録商標)、サカタインクスのシュリンクパック(登録商標)等を使用することが可能である。上記印刷部の厚さは2〜8μmであることが好ましく、3〜6μmであることがより好ましい。
上記印刷部は、絵柄、画像、図形、文字、及び数字よりなる群から選択される少なくとも一種以上の情報を含むことが好ましい。
本発明の立体構造体作製用フィルムは、2枚のプラスチックフィルムの間に上記印刷部を有することが好ましい。これにより、印刷部として例えば絵柄等を設けた場合、表裏面のいずれから視認した際にも上記印刷部はフィルムの光沢を介して鮮明に視認できるという効果が発揮される。また、このような構成とすることにより印刷部の保護効果も発揮される。特に折り曲げ加工の際には、折り曲げた部分の印刷部の欠陥が発生し易くなるが、上記構成とすることにより、上記欠陥を抑制することが可能となる。
本発明の立体構造体作製用フィルムは、透明フィルムまたは半透明フィルムであることが好ましく、透明フィルムであることがより好ましい。すなわち上記印刷部以外の部分は、透明または半透明である部分を含むことが好ましく、透明である部分を含むことがより好ましい。本発明では、フィルムの印刷部を含まない部分のヘイズ値が25%以下のものを透明フィルム、ヘイズ値が25%を超えて50%以下のものを半透明フィルム、ヘイズ値が50%を超えるものを不透明フィルムと定義する。ヘイズ値は、JIS−K−7105に準じて測定されるものであり、異なる3ヶ所の値を測定して、その平均値をヘイズ値とする。
本発明の立体構造体作製用フィルムは、単層フィルムであっても良いし、二層以上の積層フィルムであっても良い。積層フィルムの場合、更に接着剤層を含有することができる。これにより、接着剤層を介して積層された複数の層からなる積層フィルムとすることが可能である。具体的には、例えば後記する表3の積層フィルムのようにプラスチックフィルムの印刷部側とプラスチックフィルムの接着剤層側とが積層されたプラスチックフィルム/印刷部/接着剤/プラスチックフィルムの他、フィルムの印刷部側同士が接着剤を介して積層されたプラスチックフィルム/印刷部/接着剤/印刷部/プラスチックフィルム等の積層構造が挙げられる。
本発明に用いられる接着剤は、折畳み保持性能を具備しながら印刷部に施される図柄などの意匠性を良好に発揮させる観点からすると、例えば、ポリウレタン接着剤が好ましく用いられる。ポリウレタン接着剤としては、例えば三井化学社製タケラック(登録商標)、三井化学社製タケネート(登録商標)、東洋インキ社製のTM−250HV、TM−556S、TM−265L等のドライラミネート用接着剤が挙げられる。
上記接着剤層の厚さは1〜6μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。
但し、積層フィルムは、必ずしも接着剤層を介して作製する必要はなく、例えば共押し出し法等により接着剤層を介さずに積層フィルムを製造することも可能である。
また積層フィルムを構成するフィルムの種類は、少なくとも一つが本発明の要件を満足するフィルムであれば良く、好ましくは後記する表3の積層フィルムのように全てのフィルムが本発明の要件を満足するフィルムである。
本発明の立体構造体作製用フィルムは、フィルムの総厚さ(単層フィルムの場合はその厚さであり、接着剤層を含む積層フィルムの場合はその合計厚さである)が5μm以上200μm以下であることが好ましい。フィルムの総厚さが5μm未満であると、立体構造体として必要なフィルムの腰が得られず、また、折り曲げ加工をする際のハンドリング性が悪くなる場合がある。また、フィルムの総厚さが200μmを超える場合は、折り曲げ加工が困難となる場合がある。フィルムの総厚さは7μm以上150μm以下が好ましく、10μm以上120μm以下がより好ましい。
次に、本発明に係るフィルムの製造方法について説明する。以下では、共重合ポリエステルを含有したポリエステルフィルムを用いて説明するが、これに限定されない。
上記ポリエステルフィルムは、前述したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す所定の方法により一軸延伸または二軸延伸することによって製造することができる。なおポリエステルは、前述した好適なジカルボン酸成分とジオール成分とを公知の方法で重縮合させることで得ることができる。また、通常は、チップ状のポリエステルを2種以上混合してフィルムの原料として使用する。
まず、原料樹脂を溶融押し出しする。その際、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥することが好ましい。
このようにしてポリエステル原料を乾燥させた後、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融し、フィルム状に押し出す。押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
次に、上記未延伸フィルムを延伸する。フィルムの延伸方向はフィルムの縦(長手)方向、横(幅)方向のいずれでも構わない。以下では、最初に横延伸、次に縦延伸を実施する横延伸−縦延伸による二軸延伸法について説明するが、順番を逆にする縦延伸−横延伸であっても、主配向方向が変わるだけなので構わない。或は、上記のように二軸延伸を行わなくても良く、横延伸、縦延伸のいずれか一方でも良い。
まず、横方向の延伸を行う。横方向の延伸は、テンター(第1テンター)内でフィルムの幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、65〜85℃で3.5〜5倍程度、行うことが好ましい。横方向の延伸を行う前に予備加熱を行っておくことが好ましく、予備加熱はフィルム表面温度が70〜100℃になるまで行うとよい。
横延伸の後、フィルムを積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させることが好ましい。なお第1テンターの横延伸ゾーンと中間熱処理ゾーンとの間で温度差がある場合、中間熱処理ゾーンの熱(熱風そのものや輻射熱)が横延伸工程に流れ込み、横延伸ゾーンの温度が安定しないためにフィルム品質が安定しなくなることがあるので、横延伸後で中間熱処理前のフィルムを、所定時間をかけて中間ゾーンを通過させた後、中間熱処理を実施することが好ましい。この中間ゾーンでは、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、フィルムの走行に伴う随伴流、横延伸ゾーンや中間熱処理からの熱風を遮断すると、安定した品質のフィルムが得られる。中間ゾーンの通過時間は、1〜5秒程度で充分である。1秒より短いと、中間ゾーンの長さが不充分となって、熱の遮断効果が不足する。中間ゾーンは長い方が好ましいが、あまり長いと設備が大きくなってしまうので、5秒程度で充分である。
中間ゾーンの通過後は、縦延伸前の中間熱処理を行っても行わなくてもどちらでも構わない。横延伸後に中間熱処理を行う場合、上記中間熱処理の温度を高くすると、折畳み性に寄与する分子配向が緩和され、結晶化が進むため折畳み性は若干悪くなる。また厚み斑も同様に悪くなる。このような観点から、上記中間熱処理は、140℃以下で行うことが好ましい。ここで中間熱処理ゾーンの通過時間は、20秒以下が好ましい。中間熱処理ゾーンは長い方が好ましいが、20秒程度で充分である。これにより横一軸延伸ポリエステルフィルムが得られる。
次に、縦延伸を行う。前述したとおり横延伸後の縦延伸は必ずしも行わなくても良いが、縦延伸を行うとフィルムの引張り破壊強さが向上するので好ましい。具体的には、例えば横一軸延伸ポリエステルフィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へと導入するとよい。縦延伸に当たっては、予熱ロールでフィルム温度が65〜110℃になるまで予備加熱することが好ましい。フィルム温度が65℃より低いと、縦方向に延伸する際に延伸し難くなり(すなわち、破断が生じ易くなる)、好ましくない。一方、110℃より高いとロールにフィルムが粘着し易くなり、連続生産によるロールの汚れ方が進行し易くなって好ましくない。
フィルム温度が上記範囲になったら、縦延伸を行う。縦延伸倍率は、主配向方向を縦方向にするか、横方向にするかで異なる。主配向方向を縦方向にする場合は、縦延伸倍率を2〜5倍とするとよい。一方、主配向方向を横方向にする場合は、縦延伸倍率を1.2〜1.8倍とするとよい。
縦延伸後は、一旦フィルムを冷却することが好ましく、最終熱処理を行う前に、表面温度が20〜40℃の冷却ロールで冷却することが好ましい。縦延伸後に急冷することで、フィルムの分子配向が安定化し、製品となった後のフィルムの自然収縮率が小さくなるため、好ましい。
次に、縦延伸および冷却後のフィルムを、熱処理(リラックス処理)のための第2テンターへ導入し、熱処理(リラックス処理)を行う。リラックス処理はフィルムの幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、0〜30%でフィルムを弛ませる工程である。リラックス率により横方向の収縮率を変化させることができる。リラックス率は0%が下限であり、上限は99%であるが、リラックス率が高過ぎると、フィルム製品幅が短くなるというデメリットもあるので好ましくない。よって、リラックス率の上限は30%程度が好適である。
上記熱処理(リラックス処理)の温度は、65〜140℃が好ましい。熱処理温度が65℃より低いと熱処理による効果が有効に発揮されない。一方、熱処理温度が140℃より高いと、フィルムが結晶化してしまい、折畳み角度の保持性が悪いフィルムとなり易いので好ましくない。
最後に、フィルム両端部を裁断除去しながら巻き取れば、ポリエステル系フィルムロールが得られる。
本発明のフィルムを用いて作製される立体構造体は折り曲げ部を有するものであり、例えば立体クラフトまたは立体模型に好ましく用いられる。具体的には乗物、動植物、魚類、水生生物等の形状を模した構造物等の立体クラフト;建築物、上記建築物を含む都市または町村等の立体模型等が挙げられる。本発明の立体構造体には、基材フィルムを折り曲げるだけで作製された構造体、例えば折り紙作品は含まれない。
次に、本発明に係る立体構造体の好ましい一例として、後記する実施例の欄に記載した図2の電車模型を作製する方法を、図1のフィルムを用いて詳細に説明する。
図1は、図2の電車模型を作製するためのフィルムを示す図であり、上記フィルムは、種々の図柄が施された印刷部と、印刷部以外の白色部分で示される透明部を有する。印刷部は、(A)電車の車体、(B)乗客6人及び吊革、(C)男性の車掌、(D)乗客7人及び吊革、及び(E)女性の車掌、を各々含む図柄から構成されている。
図1のフィルムを用いて図2の電車模型を以下のようにして作製する。まず(A)の図柄を、印刷図柄の外周の直線に沿って切り取り、次いで(A)の電車の車輪部分の濃い色に沿って円周状の一部に切れ目を入れる。その後、(B)〜(E)の図柄をそれぞれ、印刷図柄の外周の直線に沿って切り取る。次いで、切り取った(A)の図柄より直線部分に沿って折り曲げて電車の車体を形成して任意の1箇所以上を透明テープで貼り付けて固定し、電車の形態を形成する。この際、電車の内部には電車の車体の左右の窓際にそれぞれ、前記切り取った(B)と(D)の図柄を配置して窓の透明部分から(B)と(D)が視認できるようにする。同様に、(C)と(E)の図柄をそれぞれ電車の車体の前後の窓際に、それぞれ、前記切り取った(C)と(E)を配置して窓の透明部分から(C)と(E)が視認できるようにする。このようにして作製された図2の電車模型は、さまざまな角度から眺めても、窓の透明部分から内部の乗客や車掌が視認可能であり、立体感に溢れるものであり、かつ、折り曲げ部分の印刷部には外観上の欠点は見られなかった。また、使用した図1の立体構造体作製用フィルムは手で容易に折り曲げ加工ができ、折り曲げた後の形状保持性に優れていた。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下では特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
本実施例では表2の単層フィルム1〜8、および表3の積層フィルムNo.1〜10を製造し、以下の方法で評価した。
[折畳み保持角度]
(単層フィルムの場合)
20℃、50%RH環境の恒温室で各フィルムを24時間放置した。その後直ちに、各フィルムを20℃、65%RH環境下で10cm×10cmの正方形に裁断し、4つ折にした(2.5cm×2.5cmの正方形が重なった状態)。その後、底面の大きさが3cm×3cmの5kgの錘を20秒間、4つ折りのフィルムに乗せた。そして錘を外した後、図1に示すように、サンプル1の四隅がガラス板2に接するか、またはガラス板2近傍に位置する[折り目の頂点(4つ折り前のサンプル1の中央部)がガラス板2から離れたところに位置する]ように4つ折りにしたサンプル1をガラス板2上に置き、1分経過後に折られた単層フィルムが開いた角度3(完全に折りたたまれた状態を0度とした)を測定して折畳み保持角度を求めた。フィルムの縦方向および横方向の両方の折畳み保持角度を同様にして測定し、角度が大きい方の値をフィルムの折畳み保持角度とした。なお、折畳み保持角度の測定においては、フィルムの縦方向と横方向が不明瞭なフィルムサンプルの場合、一方向を仮に縦方向と定め、上記仮の縦方向と直交する方向を仮の横方向と定めた。なお表中、折畳み保持角が×となっている例は、上記のように折畳んだにもかかわらず、1秒後には折畳み状態を保持できなかったことを意味する。
(積層フィルムの場合)
積層フィルムについては、以下の点を除いて上記単層フィルムと同様にして折畳み保持角度を測定した。
4つ折(2.5cm×2.5cmの正方形が重なった状態)状態にする前に、まず2つ折りを行った。その際、積層フィルムの一方の面(表面)が山折り面となるように2つ折りした場合の折畳み保持角度と、積層フィルムの他方の面(裏面)が山折り面となるように2つ折りした場合の折畳み保持角度とを測定し、角度が小さい方の値を折畳み保持角度とした。
[非晶質成分含有量]
非晶質成分の含有量は、サンプリングしたフィルム約5mgを重クロロホルムとトリフルオロ酢酸との混合溶液(体積比9/1)0.7mLに溶解し、1H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して求めた。具体的には、温度23℃、積算回数64回の測定条件で試料溶液のプロトンのNMRスペクトルを測定した。
本実施例では、非晶質成分としてネオペンチルグリコール(NPG)および1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)の含有量を求めた。詳細には、以下のようにして各非晶質成分の含有量を算出した。
NMRスペクトルの測定チャートにおけるプロトンのピークの周波数により、試料溶液中のポリエステルを構成する多価アルコール成分の構成単位のモノマー種類を特定した。そして各モノマー種に対応する所定のプロトンのピーク強度の値に基づき、試料溶液中のポリエステルを構成する多価アルコール成分100モル%中のネオペンチルグリコール量、または1,4−シクロヘキサンジメタノール量を非晶質成分の含有量(モル%)として算出した。
<ポリエステル原料の合成>
[ポリエステル原料Aの合成]
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチル(DMT)100モル%と、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、エチレングリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)用いて、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.225モル%(酸成分に対して)を添加し、280℃で26.7Paの減圧条件下、重縮合反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリエステル原料Aを得た。このポリエステル原料Aはポリエチレンテレフタレートである。ポリエステル原料Aのモノマー成分の組成を表1に示す。
表1において、TPAはテレフタル酸、BDは1,4−ブタンジオール、NPGはネオペンチルグリコール、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノール、DEGはジエチレングリコール、ε−CLはε−カプロラクトンである。表1中、「酸成分」の欄には全酸成分100モル%に占めるモノマー成分(表1ではTPA)の含有量を、「多価アルコール成分」および「エステル成分」の欄には全多価アルコール成分および全エステル成分の合計100モル%中に占める各モノマー成分の含有量を、それぞれ示している。
[ポリエステル原料B〜Fの合成]
上記ポリエステル原料Aと同様の手順に基づき、モノマー成分の異なるポリエステル原料B〜Fを得た。なお、ポリエステル原料Fは、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)をポリエステルに対して7,000ppmの割合で添加して製造した。各ポリエステルは、適宜チップ状にした。これらのモノマー成分の組成を表1に示す。各ポリエステル原料の固有粘度は、それぞれ、B:0.72dl/g、C:0.80dl/g、D:1.20dl/g、E:0.77dl/g、F:0.75dl/gであった。
Figure 0006984224
<単層フィルムの製造>
(フィルム1の製造)
上記ポリエステル原料Aとポリエステル原料Bとポリエステル原料Dとポリエステル原料Fを質量比5:60:30:5で混合して押出機に投入した。その後、上記混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さ240μmの未延伸フィルムを得た。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は約20m/minであった。次に、上記未延伸フィルムを、横延伸ゾーン、中間ゾーン、中間熱処理ゾーンを連続的に設けたテンター(第1テンター)に導いた。なお、中間ゾーンでは、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンからの熱風および熱処理ゾーンからの熱風が遮断されるように制御した。
そして、第1テンターに導かれた未延伸フィルムを、フィルム温度が80℃になるまで予備加熱した後、横延伸ゾーンで横方向に70℃で4倍に延伸し、中間ゾーンを通過させた後(通過時間=約1.2秒)、中間熱処理ゾーンへ導き、80℃の温度で8秒間に亘って熱処理することによって厚み60μmの横一軸延伸フィルムを得た。
更に、上記の横一軸延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、予熱ロール上でフィルム温度が70℃になるまで予備加熱した後、3倍に延伸した。その後、縦延伸したフィルムを、表面温度25℃に設定された冷却ロールによって強制的に冷却した。
そして、冷却後のフィルムをテンター(第2テンター)へ導き、第2テンター内で90℃の雰囲気下で10秒間に亘って熱処理した後、冷却し、両縁部を裁断除去することによって、厚みが20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜してフィルム1からなるフィルムロールを得た。
(フィルム2の製造)
上記フィルム1において、ポリエステル原料Bをポリエステル原料Cに変えたこと以外はフィルム1と同様にして、厚み20μmのフィルム2からなるフィルムロールを得た。
(フィルム3の製造)
上記フィルム1において、ポリエステル原料Dをポリエステル原料Eに変更したこと以外はフィルム1と同様にして、厚み20μmのフィルム3からなるフィルムロールを得た。
(フィルム4の製造)
上記フィルム1において、未延伸フィルムの厚みを80μmに変更し、且つ、縦延伸、最終熱処理を実施せずに横方向のみ延伸して厚み20μmのフィルム4からなるフィルムロールを得た。
(フィルム5の製造)
上記フィルム1において、ポリエステル原料Bの重量比率を60から80へ変更し、且つ、ポリエステル原料Dの重量比率を30から10へ変更したこと以外はフィルム1と同様にして、厚み20μmのフィルム5からなるフィルムロールを得た。
(フィルム6の製造)
上記フィルム1において、ポリエステル原料Aの重量比率を5から35へ変更し、且つ、ポリエステル原料Bの重量比率を60から50へ変更したこと以外はフィルム1と同様にして、厚み20μmのフィルム6からなるフィルムロールを得た。
(フィルム7の製造)
上記フィルム1において、フィルム厚みを20μmから40μmへ変更したこと以外はフィルム1と同様にして、厚み40μmのフィルム7からなるフィルムロールを得た。
(フィルム8の製造)
上記フィルム1において、フィルム厚みを20μmから12μmへ変更したこと以外はフィルム1と同様にして、厚み12μmのフィルム8からなるフィルムロールを得た。
(フィルム9の製造)
フィルム9は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製E5100、厚み12μm)である。
(フィルム10の製造)
フィルム10は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製P2161、厚み20μm)である。
このようにして得られたフィルム1〜10(単層フィルム)の特性を上記方法によって評価し、表2に併記した。
Figure 0006984224
表2より、フィルム1〜8(本発明例)はいずれも、折畳み保持角度が80度以下であり、良好な特性を有している。これらのうち特にフィルム5は非晶質成分の含有量が最も多いため、折畳み保持角度が24度と、折畳み保持性能に最も優れていた。
これに対し、フィルム9は非晶質成分を含まないポリエチレンテレフタレートフィルムであり、折畳み保持角度が100度と、上記フィルム1〜8に比べて折畳み保持性能に劣っている。
またフィルム10も非晶質成分を含まないポリプロピレンフィルムであり、折畳んだにもかかわらず、折畳み状態を保持することができなかった。
<積層フィルムの製造>
上記フィルム1〜10を用い、以下のようにして積層フィルムNo.1〜10を製造した。
(No.1の製造)
上記フィルム1に、印刷用インキとしてサカタインクス株式会社製「シュリンクパック」(登録商標)を用いてグラビア印刷法により図2の図柄の印刷を施して、厚さ4μmの印刷部を積層した。
上記とは別に、フィルム1に、ウレタン系2液硬化型接着剤[三井化学株式会社製の「タケラック(登録商標)A525S」および「タケネート(登録商標)A50」]と酢酸エチル(ナカライテスク株式会社製)を13.5:1:8.2の質量比率にて、ワイヤーバー#5を用いて4μmの厚さとなるように塗布した後、60℃のオーブンで30秒間静置させ、溶媒を揮発した。
その後、ドライラミネート法により、上記印刷を施したフィルム1の印刷部側と、上記接着剤を塗布したフィルム1の接着剤層側とを貼り合せ、40℃で3日間シーズニングを施した後、正方形状に裁断してNo.1の積層フィルムを製造した。
(No.2〜10の製造)
上記No.1において、フィルム1の代わりにフィルム2〜10を使用したこと以外はNo.1と同じ手順で、No.2〜10の積層フィルムを製造した。
このようにして得られたNo.1〜10(積層フィルム)の特性を上記方法によって評価し、その結果を表3に記載した。
Figure 0006984224
表3より、本発明の要件を満足するフィルム1〜8(単層フィルム)を用いたNo.1〜8の積層フィルムは、いずれも折り曲げ保持角度が80度以下に抑制されており、折り曲げ加工性及び折り曲げた後の形状保持性に優れている。また上記積層フィルムはいずれも、透明フィルムであるため、さまざまな角度から眺めても内部まで視認可能であり、また折り曲げ部分の印刷部に外観上の欠点は見られなかった。
これに対し、本発明の要件を満足しない比較例のフィルム9、10を用いたNo.9、10の積層フィルムは以下の不具合を抱えている。
まずNo.9の折畳み保持角度は120度であり、上記No.1〜8に比べて折畳み保持性能に劣っており、折りぐせがつき難く折り曲げ加工性が低下した。そのため、直方体状の電車構造体に何とか加工できるものの、直方体状の角がやや丸みを帯びたような状態となるために部分的に膨らんだ形状またはへこみのある形状となり、所望形状の立体構造体を加工できなかった。
またNo.10の折畳み保持角度は、フィルム10と同様に折畳んだにもかかわらず、折畳み状態を保持できなかった。また、折りぐせがつかないために折り曲げ加工性が悪く、所望形状の立体構造体を加工できなかった。
本発明によれば、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持性能に優れており、さまざまな角度から眺めても、内部まで視認可能な立体構造体を容易に作製可能な立体構造体作製用フィルムが得られるため、立体クラフトや立体模型等の立体構造体に好適に用いることができる。
1 サンプル
2 ガラス板
3 角度

Claims (7)

  1. 2枚のポリエステルフィルムの間に印刷部を有し、前記印刷部に折り曲げ部があると共に、
    前記ポリエステルフィルムは、エチレンテレフタレートユニットを全エステルユニット100モル%中、50モル%以上有し、
    全アルコール成分100モル%中の非晶質アルコール成分の割合と、全酸成分100モル%中の非晶質酸成分の割合の合計が12モル%以上30モル%以下であるポリエステル樹脂で構成されており、
    20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が80度以下であり、立体構造体の作製に用いられることを特徴とする立体構造体作製用フィルム。
  2. 前記印刷部の厚さは2〜8μmである請求項1に記載の立体構造体作製用フィルム。
  3. 前記印刷部が、絵柄、画像、図形、文字、及び数字よりなる群から選択される少なくとも一種以上の情報を含む請求項1または2に記載の立体構造体作製用フィルム。
  4. 前記印刷部以外の部分が、透明または半透明である部分を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の立体構造体作製用フィルム。
  5. 前記印刷部が印刷用インクで印刷されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の立体構造体作製用フィルム。
  6. 前記立体構造体が、立体クラフトまたは立体模型である請求項1〜のいずれか1項に記載の立体構造体作製用フィルム。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の立体構造体作製用フィルムを含むことを特徴とする立体構造体。
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