JP6984224B2 - 立体構造体作製用フィルムおよび立体構造体 - Google Patents
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Description
1.プラスチックフィルムと印刷部を有し、20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が80度以下であり、立体構造体の作製に用いられることを特徴とする立体構造体作製用フィルム。
2.2枚のプラスチックフィルムの間に印刷部を有する上記1に記載の立体構造体作製用フィルム。
3.前記プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである上記1または2に記載の立体構造体作製用フィルム。
4.前記ポリエステルフィルムは、エチレンテレフタレートユニットを全エステルユニット100モル%中、50モル%以上有し、全アルコール成分100モル%中の非晶質アルコール成分の割合と、全酸成分100モル%中の非晶質酸成分の割合の合計が12モル%以上30モル%以下であるポリエステル樹脂で構成されている上記3に記載の立体構造体作製用フィルム。
5.前記印刷部が、絵柄、画像、図形、文字、及び数字よりなる群から選択される少なくとも一種以上の情報を含む上記1〜4のいずれかに記載の立体構造体作製用フィルム。
6.前記印刷部以外の部分が、透明または半透明である部分を含む上記1〜5のいずれかに記載の立体構造体作製用フィルム。
7.前記立体構造体が、折り曲げ部を有する上記1〜6のいずれかに記載の立体構造体作製用フィルム。
8.前記立体構造体が、立体クラフトまたは立体模型である上記1〜7のいずれかに記載の立体構造体作製用フィルム。
9.上記1〜8のいずれかに記載の立体構造体作製用フィルムを含むことを特徴とする立体構造体。
前述したように乗物や建築物等の立体模型を含む立体構造体は、従来は紙や合成紙が使用されており、必要によりその表面に色や図柄等が印刷されていた。しかし、紙や合成紙を用いた立体構造体では、立体的な外観形状を視認できるだけで、その内部を視認することは不可能である。また、立体構造体の内部を視認するため開口部をわざわざ設けると、その外観形状が損なわれる虞がある。
これに対し、本発明の立体構造体作製用フィルムを用いれば、透明なプラスチックフィルムを使用しているのでその内部を視認可能となり、さらに印刷部を有しているので立体構造体の外観形状を損なうことなく、所望とする立体構造体が得られる。
上記高融点結晶性ポリエステルセグメントとして、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の残基と、ペンタメチレングリコール、2,2−ジメチルトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、p−キシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、芳香族、または脂環族ジオールの残基とからなるポリエステル;p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、p−オキシ安息香酸ピバロラクトン等のオキシ酸の残基からなるポリエステル;1,2−ビス(4,4’−ジカルボキシメチルフェノキシ)エタン、ジ(4−カルボキシフェノキシ)エタン等の芳香族エーテルジカルボン酸の残基と上記の脂肪族、芳香族、または脂環族ジオールの残基とからなるポリエーテルエステル;ビス(N−パラカルボエトキシフェニル)テレフタルイミド等の芳香族アミドジカルボン酸の残基と上記の脂肪族、芳香族、または脂環族ジオールの残基とからなるポリアミドエステル等が挙げられる。また、上記ジカルボン酸の残基および/またはジオールの残基を2種以上使用した共重合ポリエステル等も使用することができる。
ポリエステル系エラストマーに占める上記低融点軟重合体セグメントの割合は、1〜90質量%が好ましく、より好ましくは5〜80質量%である。
上記接着剤層の厚さは1〜6μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。
このようにしてポリエステル原料を乾燥させた後、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融し、フィルム状に押し出す。押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
(単層フィルムの場合)
20℃、50%RH環境の恒温室で各フィルムを24時間放置した。その後直ちに、各フィルムを20℃、65%RH環境下で10cm×10cmの正方形に裁断し、4つ折にした(2.5cm×2.5cmの正方形が重なった状態)。その後、底面の大きさが3cm×3cmの5kgの錘を20秒間、4つ折りのフィルムに乗せた。そして錘を外した後、図1に示すように、サンプル1の四隅がガラス板2に接するか、またはガラス板2近傍に位置する[折り目の頂点(4つ折り前のサンプル1の中央部)がガラス板2から離れたところに位置する]ように4つ折りにしたサンプル1をガラス板2上に置き、1分経過後に折られた単層フィルムが開いた角度3(完全に折りたたまれた状態を0度とした)を測定して折畳み保持角度を求めた。フィルムの縦方向および横方向の両方の折畳み保持角度を同様にして測定し、角度が大きい方の値をフィルムの折畳み保持角度とした。なお、折畳み保持角度の測定においては、フィルムの縦方向と横方向が不明瞭なフィルムサンプルの場合、一方向を仮に縦方向と定め、上記仮の縦方向と直交する方向を仮の横方向と定めた。なお表中、折畳み保持角が×となっている例は、上記のように折畳んだにもかかわらず、1秒後には折畳み状態を保持できなかったことを意味する。
積層フィルムについては、以下の点を除いて上記単層フィルムと同様にして折畳み保持角度を測定した。
4つ折(2.5cm×2.5cmの正方形が重なった状態)状態にする前に、まず2つ折りを行った。その際、積層フィルムの一方の面(表面)が山折り面となるように2つ折りした場合の折畳み保持角度と、積層フィルムの他方の面(裏面)が山折り面となるように2つ折りした場合の折畳み保持角度とを測定し、角度が小さい方の値を折畳み保持角度とした。
非晶質成分の含有量は、サンプリングしたフィルム約5mgを重クロロホルムとトリフルオロ酢酸との混合溶液(体積比9/1)0.7mLに溶解し、1H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して求めた。具体的には、温度23℃、積算回数64回の測定条件で試料溶液のプロトンのNMRスペクトルを測定した。
NMRスペクトルの測定チャートにおけるプロトンのピークの周波数により、試料溶液中のポリエステルを構成する多価アルコール成分の構成単位のモノマー種類を特定した。そして各モノマー種に対応する所定のプロトンのピーク強度の値に基づき、試料溶液中のポリエステルを構成する多価アルコール成分100モル%中のネオペンチルグリコール量、または1,4−シクロヘキサンジメタノール量を非晶質成分の含有量(モル%)として算出した。
[ポリエステル原料Aの合成]
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチル(DMT)100モル%と、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、エチレングリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)用いて、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.225モル%(酸成分に対して)を添加し、280℃で26.7Paの減圧条件下、重縮合反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリエステル原料Aを得た。このポリエステル原料Aはポリエチレンテレフタレートである。ポリエステル原料Aのモノマー成分の組成を表1に示す。
上記ポリエステル原料Aと同様の手順に基づき、モノマー成分の異なるポリエステル原料B〜Fを得た。なお、ポリエステル原料Fは、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)をポリエステルに対して7,000ppmの割合で添加して製造した。各ポリエステルは、適宜チップ状にした。これらのモノマー成分の組成を表1に示す。各ポリエステル原料の固有粘度は、それぞれ、B:0.72dl/g、C:0.80dl/g、D:1.20dl/g、E:0.77dl/g、F:0.75dl/gであった。
(フィルム1の製造)
上記ポリエステル原料Aとポリエステル原料Bとポリエステル原料Dとポリエステル原料Fを質量比5:60:30:5で混合して押出機に投入した。その後、上記混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さ240μmの未延伸フィルムを得た。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は約20m/minであった。次に、上記未延伸フィルムを、横延伸ゾーン、中間ゾーン、中間熱処理ゾーンを連続的に設けたテンター(第1テンター)に導いた。なお、中間ゾーンでは、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンからの熱風および熱処理ゾーンからの熱風が遮断されるように制御した。
上記フィルム1において、ポリエステル原料Bをポリエステル原料Cに変えたこと以外はフィルム1と同様にして、厚み20μmのフィルム2からなるフィルムロールを得た。
上記フィルム1において、ポリエステル原料Dをポリエステル原料Eに変更したこと以外はフィルム1と同様にして、厚み20μmのフィルム3からなるフィルムロールを得た。
上記フィルム1において、未延伸フィルムの厚みを80μmに変更し、且つ、縦延伸、最終熱処理を実施せずに横方向のみ延伸して厚み20μmのフィルム4からなるフィルムロールを得た。
上記フィルム1において、ポリエステル原料Bの重量比率を60から80へ変更し、且つ、ポリエステル原料Dの重量比率を30から10へ変更したこと以外はフィルム1と同様にして、厚み20μmのフィルム5からなるフィルムロールを得た。
上記フィルム1において、ポリエステル原料Aの重量比率を5から35へ変更し、且つ、ポリエステル原料Bの重量比率を60から50へ変更したこと以外はフィルム1と同様にして、厚み20μmのフィルム6からなるフィルムロールを得た。
上記フィルム1において、フィルム厚みを20μmから40μmへ変更したこと以外はフィルム1と同様にして、厚み40μmのフィルム7からなるフィルムロールを得た。
上記フィルム1において、フィルム厚みを20μmから12μmへ変更したこと以外はフィルム1と同様にして、厚み12μmのフィルム8からなるフィルムロールを得た。
フィルム9は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製E5100、厚み12μm)である。
フィルム10は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製P2161、厚み20μm)である。
これに対し、フィルム9は非晶質成分を含まないポリエチレンテレフタレートフィルムであり、折畳み保持角度が100度と、上記フィルム1〜8に比べて折畳み保持性能に劣っている。
またフィルム10も非晶質成分を含まないポリプロピレンフィルムであり、折畳んだにもかかわらず、折畳み状態を保持することができなかった。
上記フィルム1〜10を用い、以下のようにして積層フィルムNo.1〜10を製造した。
上記フィルム1に、印刷用インキとしてサカタインクス株式会社製「シュリンクパック」(登録商標)を用いてグラビア印刷法により図2の図柄の印刷を施して、厚さ4μmの印刷部を積層した。
上記とは別に、フィルム1に、ウレタン系2液硬化型接着剤[三井化学株式会社製の「タケラック(登録商標)A525S」および「タケネート(登録商標)A50」]と酢酸エチル(ナカライテスク株式会社製)を13.5:1:8.2の質量比率にて、ワイヤーバー#5を用いて4μmの厚さとなるように塗布した後、60℃のオーブンで30秒間静置させ、溶媒を揮発した。
その後、ドライラミネート法により、上記印刷を施したフィルム1の印刷部側と、上記接着剤を塗布したフィルム1の接着剤層側とを貼り合せ、40℃で3日間シーズニングを施した後、正方形状に裁断してNo.1の積層フィルムを製造した。
上記No.1において、フィルム1の代わりにフィルム2〜10を使用したこと以外はNo.1と同じ手順で、No.2〜10の積層フィルムを製造した。
まずNo.9の折畳み保持角度は120度であり、上記No.1〜8に比べて折畳み保持性能に劣っており、折りぐせがつき難く折り曲げ加工性が低下した。そのため、直方体状の電車構造体に何とか加工できるものの、直方体状の角がやや丸みを帯びたような状態となるために部分的に膨らんだ形状またはへこみのある形状となり、所望形状の立体構造体を加工できなかった。
またNo.10の折畳み保持角度は、フィルム10と同様に折畳んだにもかかわらず、折畳み状態を保持できなかった。また、折りぐせがつかないために折り曲げ加工性が悪く、所望形状の立体構造体を加工できなかった。
2 ガラス板
3 角度
Claims (7)
- 2枚のポリエステルフィルムの間に印刷部を有し、前記印刷部に折り曲げ部があると共に、
前記ポリエステルフィルムは、エチレンテレフタレートユニットを全エステルユニット100モル%中、50モル%以上有し、
全アルコール成分100モル%中の非晶質アルコール成分の割合と、全酸成分100モル%中の非晶質酸成分の割合の合計が12モル%以上30モル%以下であるポリエステル樹脂で構成されており、
20℃の環境下で24時間保管した後の折畳み保持角度が80度以下であり、立体構造体の作製に用いられることを特徴とする立体構造体作製用フィルム。 - 前記印刷部の厚さは2〜8μmである請求項1に記載の立体構造体作製用フィルム。
- 前記印刷部が、絵柄、画像、図形、文字、及び数字よりなる群から選択される少なくとも一種以上の情報を含む請求項1または2に記載の立体構造体作製用フィルム。
- 前記印刷部以外の部分が、透明または半透明である部分を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の立体構造体作製用フィルム。
- 前記印刷部が印刷用インクで印刷されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の立体構造体作製用フィルム。
- 前記立体構造体が、立体クラフトまたは立体模型である請求項1〜5のいずれか1項に記載の立体構造体作製用フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の立体構造体作製用フィルムを含むことを特徴とする立体構造体。
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