JP2015013536A - 自動二輪車用メータ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】メータケース構造の工夫によってワイヤハーネスを保護すると共に、侵入した水分を容易に排出する構造を有する自動二輪車用メータ装置を提供する。【解決手段】車両の情報を表示する表示部52と、車両の情報を伝達するために表示部52に接続されるワイヤハーネスHと、表示部52を収納するメータケース51と、メータケース51に設けられてワイヤハーネスHを下方から支持する支持部Sとを備えた自動二輪車用メータ装置50において、支持部Sは、メータケース51の一端部に形成される角形断面のエッジ部Eより表示部52寄りの位置で、その上端部Rに丸みを帯びた形状を有して立設する板状部材からなり、支持部Sが、該支持部Sに設けられた通路としての水抜き部Tを有する。メータ装置50の表示面50aが車体に対して後ろ下がりに傾斜するように、メータケース51が後ろ下がりに傾斜しており、底板68が、後ろ下がりに傾斜している。【選択図】図4
Description
本発明は、自動二輪車用メータ装置に係り、特に、メータケースからのハーネスの取り出しが良好となる自動二輪車用メータ装置に関する。
従来から、エンジン回転数や走行距離等の各種の車両情報を乗員に報知するためのメータ装置が知られている。メータ装置を自動二輪車に適用する場合には、独立したメータケースを有するメータユニットとして操向ハンドルの車体前方側に固定されることが多い。このようなメータケースには、車体各部に設けられたセンサからの情報を伝達するセンサ信号線、メータ指針を駆動するモータや警告灯類への電力供給線等からなる配線の束としてのハーネス(ワイヤハーネス)が接続される。
特許文献1には、メータケースの内部から外部へワイヤハーネスを取り回す際に、メータケースの底面に設けられた貫通孔を通して車体下方側に引き出すようにした自動二輪車用メータ装置が開示されている(図3参照)。
ところで、メータケースを金型成形の樹脂等で製造する際には、金型から抜く際にメータケースの縁や角に鋭角のエッジ部が生じることがある。この点、特許文献1に記載されたメータ装置では、メータケースの底面に沿って配索されている配線が貫通孔のエッジ部に当接して下方に曲げられるため、エッジ部に接触する部分に応力集中が生じる可能性がある。この応力集中を避けるために、エッジ部を丸める後処理をしたり貫通孔にグロメットを設けようとすると、部品点数や生産工数が増大するという課題があった。
また、上記したようなメータ装置は、通常、自動二輪車の外部に露出して配設されるため、雨中走行による水圧や洗車による放水等でケース内に水分が浸入した際に、これを速やかに排出できる構造を有することが好ましいが、特許文献1ではそのような検討はなされていなかった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、メータケース構造の工夫によってワイヤハーネスを保護すると共に、侵入した水分を容易に排出する構造を有する自動二輪車用メータ装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、車両の情報を表示する表示部(52)と、前記車両の情報を伝達するために前記表示部(52)に接続されるワイヤハーネス(H)と、前記表示部(52)を収納するメータケース(51)と、前記メータケース(51)に設けられて前記ワイヤハーネス(H)を下方から支持する支持部(S)とを備えた自動二輪車用メータ装置(50)において、前記支持部(S)は、前記メータケース(51)の一端部に形成される角形断面のエッジ部(E)より前記表示部(52)寄りの位置で、その上端部(R)に丸みを帯びた形状を有して立設する板状部材からなり、前記支持部(S)が、該支持部(S)に設けられた通路としての水抜き部(T)を有する点に第1の特徴がある。
また、前記ワイヤハーネス(H)は、前記メータ装置(50)を車体に固定した際に前記メータケース(51)の車体後方側から引き出されるように構成されており、前記支持部(S)は、前記メータケース(51)の後端部に位置する底板(68)の上面に設けられている点に第2の特徴がある。
また、前記メータ装置(50)の表示面(50a)が車体に対して後ろ下がりに傾斜するように、前記メータケース(51)が後ろ下がりに傾斜しており、前記底板(68)が、後ろ下がりに傾斜している点に第3の特徴がある。
また、前記支持部(S)が一対のハーネス支持板(63,64)からなり、前記水抜き部(T)は、前記ハーネス支持板(63,64)同士の間に形成された隙間である点に第4の特徴がある。
また、前記一対のハーネス支持板(63,64)は、車幅方向に対称をなして立設しており、隣接配置される2辺が他の辺より車体下方側に位置するように設けられる点に第5の特徴がある。
また、前記ハーネス支持板(63,64)は、前記ワイヤハーネス(H)を前記メータ装置(50)の中央から車体後方側の前記エッジ部(E)に向けて配索させるために立設するガイド部(61,62)と一体に形成され、前記ガイド部(61,62)は、互いに平行をなして配設され、前記ハーネス支持板(63,64)の車幅方向外側の2辺と連結されている点に第6の特徴がある。
また、前記左右一対のガイド部材(61,62)の内側で、かつ前記ハーネス支持板(63,64)より前記メータ装置(50)の中央寄りの位置に、前記ガイド部材(61,62)と一体をなす車幅方向一対のリブ(70)が設けられており、前記複数のリブ(70)の車幅方向の間隔は、前記水抜き部(T)の隙間より広く設定されている点に第7の特徴がある。
また、前記ハーネス支持板(63,64)が、正面視で略三角形の板状部材である点に第8の特徴がある。
さらに、前記支持部(S)が、1枚のハーネス支持板(63b,64b)からなり、前記水抜き部(S)は、前記ハーネス支持板(63b,64b)に形成された貫通孔(H)である点に第9の特徴がある。
第1の特徴によれば、支持部は、メータケースの一端部に形成される角形断面のエッジ部より表示部寄りの位置で、その上端部に丸みを帯びた形状を有して立設する板状部材からなり、支持部が、該支持部に設けられた通路としての水抜き部を有するので、ワイヤハーネスがメータケースのエッジ部をまたいでメータケースの外部へ配索される場合に、立設する支持部によって下方からワイヤハーネスを支持することが可能となる。これにより、ワイヤハーネスがエッジ部の近傍で屈曲する場合でも、ワイヤハーネスがエッジ部に当接することがなく、かつ丸みを帯びた形状の支持部に支持されているため、ワイヤハーネスの一部に応力が集中することがなくなる。
また、支持部に水抜き機能を兼用させることが可能となるので、水抜き機能を得るための別個独立した構造等を必要とせず、簡単な構成でメータケースの水抜き機能を得ることが可能となる。
第2の特徴によれば、ワイヤハーネスは、メータ装置を車体に固定した際にメータケースの車体後方側から引き出されるように構成されており、支持部は、メータケースの後端部に位置する底板の上面に設けられているので、メータ装置の後端部から後方下方に向けてワイヤハーネスが引き出される際に、板部材の後端部に形成されるエッジ部にワイヤハーネスが当接することを防ぐことができる。
第3の特徴によれば、メータ装置の表示面が車体に対して後ろ下がりに傾斜するように、メータケースが後ろ下がりに傾斜しており、底板が、後ろ下がりに傾斜しているので、全体的に後ろ下がりに配設されたメータケースの後端部からワイヤハーネスが取り出されると共に、板部材の後端部にエッジ部が形成されている場合でも、支持部によってワイヤハーネスがエッジ部に触れることを避けることができる。
第4の特徴によれば、支持部が一対のハーネス支持板からなり、水抜き部は、ハーネス支持板同士の間に形成された隙間であるので、支持部の形状の工夫によって、後加工を行うことなく水抜き部を得ることができる。
第5の特徴によれば、一対のハーネス支持板は、車幅方向に対称をなして立設しており、隣接配置される2辺が他の辺より車体下方側に位置するように設けられるので、ハーネス支持板が略「ハ」の字をなすことにより、支持部によってハーネス支持板の中央に水分が集まりやすくなり、集まった水分を効率よくメータケースの外部に排出することが可能となる。
第6の特徴によれば、ハーネス支持板は、ワイヤハーネスをメータ装置の中央から車体後方側のエッジ部に向けて配索させるために立設するガイド部と一体に形成され、ガイド部は、互いに平行をなして配設され、ハーネス支持板の車幅方向外側の2辺と連結されているので、メータケースを製造する金型の形状の小変更のみで、ハーネスを所定の位置に配索させるガイド部にハーネスを下方から支持する機能を兼用させることができる。また、ハーネス支持部とガイド部とを一体形成することで強度が高まったぶん、両者の板厚を低減することが可能となる。
第7の特徴によれば、左右一対のガイド部材の内側で、かつハーネス支持板よりメータ装置の中央寄りの位置に、ガイド部材と一体をなす車幅方向一対のリブが設けられており、複数のリブの車幅方向の間隔は、水抜き部の隙間より広く設定されているので、複数のリブによってガイド部材をより強固に支持すると共に、水抜き部の外側から水が入りにくく、内側からの排出が容易な構造を得ることができる。
第8の特徴によれば、ハーネス支持板が、正面視で略三角形の板状部材であるので、ワイヤハーネスをガイド部材の中央に保持する機能をハーネス支持板に与えることが容易になる。
第9の特徴によれば、支持部が、1枚のハーネス支持板からなり、水抜き部は、ハーネス支持板に形成された貫通孔であるので、ハーネス支持板の強度を高めることができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車用メータ装置(以下、単にメータ装置と示すこともある)50を適用した自動二輪車1の左側面図である。また、図2は自動二輪車1の正面図である。本願発明に係るメータ装置50は、通常の自動二輪車に多く見られるように、操向ハンドル6とヘッドライト8との間の位置に配設されている。
車体フレーム2のメインフレーム4の前端部には、不図示のステアリングステムを回動自在に軸支するヘッドパイプ10が設けられている。ステアリングステムの上下端部にそれぞれ固定されるトップブリッジ5およびボトムブリッジ11は、左右一対のフロントフォーク13を支持している。フロントフォーク13の下端部には前輪WFが回転可能に軸支されており、その上方にはフロントフェンダ12が取り付けられている。
メインフレーム4の車体前方側には、エンジン20を車体前方側で支持するためのハンガフレーム14が設けられている。ハンガフレーム14の下端部には、ハンガフレーム14とエンジン20とを結合するブラケット18が固定されている。メインフレーム4の後方側で車体下方に湾曲した先には、スイングアーム22を揺動自在に軸支するピボット21が設けられている。
スイングアーム22の後方側は、車幅方向に一対のリヤクッション28を介して、メインフレーム4の後部に連なるシートフレーム27に支持されている。スイングアーム22の後端には、駆動輪としての後輪WRが回転自在に軸支されている。エンジン20によって生じる回転駆動力は、ドライブチェーン23を介して後輪WRへ伝達される。
エンジン20は、メインフレーム4とピボット21とハンガフレーム14とに囲まれる位置に固定されている。エンジン20のシリンダブロック15の車体前方側には、車体後方側のマフラ45(図2参照)に連結される排気管19が取り付けられている。一方、シリンダブロック15の車体後方側には、スロットルボディ一体式の燃料噴射装置24およびエアクリーナボックス25が接続されている。シート26やリヤクッション28等を支持するリヤフレーム27は、メインフレーム4が車体下方へ湾曲する部分の後方側に連結されている。
エンジン20の上方の位置には、車体中央のメインフレーム4を車幅方向に跨ぐ形状の燃料タンク3が取り付けられている。燃料タンク3の後方にはシート26が配設されており、シート26の後端部の下方には、テールランプ29、左右一対の後側ウインカ装置30およびリヤフェンダ31が取り付けられている。
燃料タンク3の車体前方上方の位置には、トップブリッジ5の上部に固定された操向ハンドル6が取り付けられている。操向ハンドル6には、左右一対のバックミラー7が固定されている。ヘッドパイプ3の前方の位置には、フロントフォーク13に固定されるステーによって支持されるヘッドライト9が配設されている。ヘッドライト9の車幅方向左右には、前側ウインカ装置9が取り付けられている。
前記したように、本願発明に係るメータ装置50は、操向ハンドル6とヘッドライトと8との間の位置に、メータケース全体が後ろ下がりに傾斜するようにして配設されている。これに合わせて、メータ装置50の表示面50aも後ろ下がりに傾斜させ、乗員に対する被視認性を向上させている。
操向ハンドル6の車幅方向右側には、前輪ブレーキレバー32が取り付けられている。前輪ブレーキレバー32の操作は、ブレーキワイヤ17を介して、前輪ブレーキドラムに伝達される。また、操向ハンドル6の右側グリップ6aは回動式のスロットル装置とされており、その操作はスロットルワイヤ46を介して燃料噴射装置24に伝達される。一方、操向ハンドル6の左側にはクラッチレバー33が取り付けられており、その操作は、クラッチケーブル16を介してクランクケース内のクラッチに伝達される。
燃料タンク3の下方でハンガフレーム14には、ホーン47が取り付けられている。エンジン20の車幅方向右側には、エンジン始動時に、セルモータを使わずに人力でクランク軸を回転させるためのキックペダル48が備えられている。左右一対の足乗せステップ44のうち、左側ステップの車体前方にはシフトチェンジペダル42が配設され、一方、右側ステップの車体前方にはリヤブレーキペダル43が配設されている。
図3は、自動二輪車1のメータまわりの一部拡大図である。この図は、運転者の目線から俯瞰したものに相当する。トップブリッジメータ装置50の表示面50aは、乗員に対向するように後方に傾斜して配設されている。メータ装置50は、メータケース51内に表示部52を収納して構成されている。表示部52には、警告灯(インジケータ)類、速度計および回転計等が表示される。
左右一体のパイプ部材からなる操向ハンドル6は、クランプ37によってトップブリッジ5の上面に固定されている。トップブリッジ5およびボトムブリッジ11をヘッドパイプ10に回動自在に支持するステアリングステムの上端部には、ロックナット41が固定されている。トップブリッジ5の車体前方側でメータ装置に近接する位置には、携帯キーで操作するイグニッションスイッチ36が設けられている。燃料タンク3の中央上部には、携帯キーで開錠できる給油キャップ3aが設けられている。
操向ハンドル6の左側でハンドルグリップ6aに近接する位置には、左側ハンドルスイッチ38が取り付けられている。左側ハンドルスイッチ38には、ヘッドライト8の光軸切替スイッチ(ディマースイッチ)39、ホーンスイッチ40およびウインカスイッチ34が設けられる。スロットル装置として回動する右側のハンドルグリップ6aの基部には、スロットルホルダ49が設けられている。スロットルホルダ49には、セルモータによってクランク軸を回転させてエンジンを始動するスタータボタン35が設けられている。
図4は、メータ装置50の拡大斜視図である。メータ装置50のメータケース51は、上側メータケース51aおよび下側メータケース51bとからなる。メータ装置50の表示部52は、第1表示部58および第2表示部59とからなり、それぞれ、上側メータケース51aに形成された窓から表示部分のみが露出するように構成されている。第2表示部59の車幅方向左右には、メータ装置50の表示の切換や設定等を行う操作スイッチ53,54が設けられている。表示部52は、LEDによる警告灯や液晶表示のほか、物理的な指針が駆動する計器であってもよい。また、本実施形態に係る第1表示部58および第2表示部59は、単一のプリント基板に実装された2つの表示装置とされるが、両表示部は完全な別体式であってもよい。
メータケース51の車体後方側には、開口60が設けられる。開口60は、容器状の下側メータケース51bの車体後方側の壁を除去することで、下側メータケース51bの底板68が外観できるような態様で構成されている。この開口60は、メータ装置50を車体に固定すると、イグニッションスイッチ36を構成する円筒状のキーシリンダ(不図示)やフロントフォーク13が近接するため、外部からアクセスしにくくなる。
本実施形態に係るメータ装置50では、車体側の各部に設けられたセンサからの信号を伝達する配線や、インジケータへの電力供給線などを含めた配線の束としてのワイヤハーネスHを、開口60を通して後方下方に引き出すように構成されている。これにより、例えば、下側メータケース51bに貫通孔を設けて引き出す方式に比して、ワイヤハーネスHの引き出し部分が外方から視認されず、デザイン性が向上すると共に貫通孔から水分等が浸入することもなくなる。なお、開口60における他の空間は、例えば、オプショナル部品の盗難防止装置等を収納するスペースとして使うことができる。
ワイヤハーネスHは、メータ装置50の車幅方向中央より右側にオフセットした所定の位置で、支持部Sによって下方から支持される。支持部Sは、底板68から上方に立設する一対のハーネス支持板63,64によって構成されている。ハーネス支持板63,64には、互いに平行をなして車体前後方向に指向するガイド部61,62と一体に形成されている。
ワイヤハーネスHは、ガイド部61,62に挟まれることで車幅方向の位置が規制されると共に、ハーネス支持板63,64によって高さ方向の位置が規制される。これにより、ワイヤハーネスHは、ガイド部61,62に軽く触れた状態で、かつガイド部61,62の間の底部69に触れることなくメータ装置50の後方下方に引き出される。ガイド部61,62は、複数のリブ65,66,67によって外側から支持されることで、板厚を薄くしても高い強度が保たれている。
図5は、メータまわりの断面側面図である。また、図6は下側メータケース51bのみとしたメータ装置50およびその周辺を示す上面図であり、図7はワイヤハーネスHの支持部Sを示す拡大斜視図である。
図5を参照して、ワイヤハーネスHは、その端部に設けられたコネクタCによって表示部52の裏面側に連結されている。そして、コネクタCの直下で車体後方側に屈曲され、底板68の傾斜に沿って車体後方側へ導かれ、さらに、底板68の後端部において車体下方側へ屈曲される。本願発明では、この底板68の後端部でワイヤハーネスHが車体下方側に屈曲される構造において、ワイヤハーネスHが支持部Sで下方から支持されることによって、ワイヤハーネスHが底板68の後端部に形成されるエッジ部Eに接触しないようにした点に特徴がある。その効果等は後述する。
メータケース51は、下側メータケース51bの底面からメータハーネスが突出することがないので、レイアウトの自由度が増す。本実施形態では、ヘッドライト8との間隔を小さくすることで、外方からメータケースの裏面が視認されることを防いでいる。また、下側メータケース51bの車体前方側の形状を、ヘッドライト8と連なるバイザーのようにして空気抵抗の低減も図られている。ヘッドライト8は、レンズ87およびマルチリフレクタ88をハウジング85に収納してリング86で固定する一般的な白熱電球方式であるが、メータ側の厚みが小さいことで、新たな外観デザインを与えることができる。
メータ装置50は、ワッシャWに挟まれた防振ラバーLを介して、締結部材N(図6参照)によってトップブリッジ5に取り付けられている。開口部60には、携帯キー36aによって回動駆動する円筒状のイグニッションスイッチ36が近接配置される。
図6,7を参照して、ワイヤハーネスHは、車幅方向中央から右側にオフセットした位置で車体後方下方に取り回されることで、イグニッションスイッチ36との干渉を避けつつ、メータケース51をイグニッションスイッチ36に近接配置することを可能としている。車体前後方向に指向する2つの長尺の板であるガイド部61,62は、その車幅方向外側で、リブ65,66,67,71に支持されている。
図6において、イグニッションスイッチ36の車幅方向左側で、メータケース51とトップブリッジ5との間の空間には、クラッチワイヤ16およびハンドルスイッチ38の配線80がまとめて取り回されている。一方、イグニッションスイッチ36の右側には、ブレーキワイヤ17とスロットルワイヤ46とスタータスイッチ35の配線81とがまとめて取回されている。これにより、メータケース51とトップブリッジ5との間の空間を利用してワイヤ類を配索することで、シンプルな外観を実現している。
図8は、支持部Sおよびその周辺の拡大図である。また、図9は図8のA−A線断面図である。本発明に係るメータ装置50は、支持部SによってワイヤハーネスHを下方から支持していることにより、底板68の後端部に形成されるエッジ部EにワイヤハーネスHが当接しないようにした点に特徴がある。
詳しくは、メータケース51は、樹脂を金型成形することで製作される。このため、下側メータケース51bの底板68の後端部のような角や縁をなす部分に、鋭角のエッジ部Eが生じることがある。しかしながら、本願発明においては、底板68の後端部に形成されるエッジ部Eに対して、これより少し車体前方側の位置に支持部S(ハーネス支持部63,64)が設けられていることにより、例えば、ワイヤハーネスHの湾曲度合が図5に示す程度のものであるなら、これがエッジ部Eに当接することはなく、エッジ部Eに当接する部分に応力集中が生じることを防ぐことが可能となる。また、本実施形態では、ハーネス支持板63,64の上端部Rを曲面で構成しているので、より一層ワイヤハーネスHに与える影響を低減することができる。
図8を参照して、本実施形態に係るハーネス支持板63,64は、左右対称の略三角形状の板部材とされる。そして、両者の間に隙間による水抜き部Tを設けると共に、この上面視において、ハーネス支持板63,64とガイド部61,62との結合部よりエッジ部E寄りの位置に水抜き部Tが設けられている。このとき、ハーネス支持板63,64は、互いにいわゆる「ハの字」をなして底板68から立設している。
メータ装置50は自動二輪車1の外部に露出して配設されており、開口60に蓋がされることもないので、雨中走行や洗車等により開口部60から水分が浸入することが考えられる。本願発明では、底板68が後ろ下がりに傾斜しているうえ、ハーネス支持板63,64の間に隙間としての水抜き部Tが設けられているので、開口部60から水分が侵入しても、これが速やかに水抜き部Tから排出されることとなる。このとき、ハーネス支持板63,64がいわゆる「ハの字」に配設されているので、ガイド部61,62の間に入り込んだ水分が「ハの字」の中央に集まって抜けるため、水分が抜け切れないという事態もない。支持部の形状の工夫によって、後加工を行うことなく水抜き部を得ることができる。
したがって、本願発明に係る支持部Sによれば、支持部Sが下部メータケース51bと一体的に形成されるため、樹脂の金型形状を少し変更するだけで所望の効果を奏するメータケースを得ることが可能となる。
また、図8に示すように、ハーネス支持板63,64より車体前方側、すなわち、ガイド部61,62に沿って表示部52の方向に近づいた位置には、ガイド部61,62を内側から支持するリブ70が左右一対に形成されている。このリブ70の車幅方向の間隔は、水抜き部Tの隙間より広く設定されているので、複数のリブによってガイド部材をより強固に支持すると共に、水抜き部の外側から水が入りにくく、内側からの排出が容易な構造を得ることができる。
図10は、メータ装置50を車体後方側から見た場合の支持部Sの構造説明図である。前記したように、ハーネス支持板63,64は、ガイド部61,62やリブ65と同様に、下側メータケース51bの底板68と一体に形成されている。本実施形態では、ハーネス支持板63,64が略三角形に形成され、ワイヤハーネスHと接触する辺が直線的に形成されているが、図11に示す変形例のように曲線的に形成することもできる。すなわち、図11のハーネス支持板63a,64aは、ワイヤハーネスHと接触する辺を曲線的に形成することで、接触面積をより一層少なくするものである。
図12,13は、本発明に係るメータ装置50の第2変形例を示す構造説明図である。図13は、図12のA方向視図である。この変形例では、支持部Sを2枚の分離した板状部材ではなく、水抜き孔Pを有する1枚の板としたものである。本変形例では、貫通する水抜き孔Pを後加工で形成する必要があるが、ハーネス支持板63b,64bの強度を高めやすく、水抜き孔Pの部分で屈曲させることにより水分を効率よく排出することができる。
また、ワイヤハーネスHとの接触面を、ワイヤハーネスHの形状に合わせた曲面とすることにより、ワイヤハーネスHを保持する力を高めることができる。
図14は、本発明に係るメータ装置50の第3変形例を示す構造説明図である。図14も、図12と同様の上面図である。この変形例では、金型からの抜きやすさを考慮して、左右一体式のハーネス支持板63c、64cを上面視で湾曲させているが、支持部Sを設けることでワイヤハーネスHをエッジ部Eに触れさせないことと、支持部Sを利用してメータケース51内部の水分を排出することを目標とする点に変わりはない。この点が保持されるのであれば、上記したように、支持部S、ガイド部61,62、各種リブの形状は、種々の変形が可能である。
なお、自動二輪車の形態、メータ装置の形状や構造、ワイヤハーネスを構成する配線の種類、メータケースの形状や材質、メータケースの製造方法、支持部の板厚や形状等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。本発明に係るメータ装置は、鞍乗型の三/四輪車等の各種車両に適用することが可能である。
1…自動二輪車、2…車体フレーム、50…メータ装置、50a…表示面、51…メータケース、51a…上側メータケース、51b…下側メータケース、61,62…ガイド部、S(63,64)…支持部(ハーネス支持板)、68…底板、E…エッジ部、H…ワイヤハーネス(ハーネス)、T…水抜き部、P…水抜き孔(貫通孔)
燃料タンク3の車体前方上方の位置には、トップブリッジ5の上部に固定された操向ハンドル6が取り付けられている。操向ハンドル6には、左右一対のバックミラー7が固定されている。ヘッドパイプ3の前方の位置には、フロントフォーク13に固定されるステーによって支持されるヘッドライト8が配設されている。ヘッドライト8の車幅方向左右には、前側ウインカ装置9が取り付けられている。
図4は、メータ装置50の拡大斜視図である。メータ装置50のメータケース51は、上側メータケース51aおよび下側メータケース51bとからなる。メータ装置50の表示部52は、上側メータケース51aに形成された窓から表示部分のみが露出するように構成されている。表示部52は、LEDによる警告灯や液晶表示のほか、物理的な指針が駆動する計器であってもよい。また、表示部52は、単一のプリント基板に実装された2つの表示装置であってもよい。
図8を参照して、本実施形態に係るハーネス支持板63,64は、左右対称の略三角形状の板部材とされる。そして、両者の間に隙間による水抜き部Tを設けると共に、この上面視において、ハーネス支持板63,64とガイド部G(61,62)との結合部よりエッジ部E寄りの位置に水抜き部Tが設けられている。このとき、ハーネス支持板63,64は、互いにいわゆる「ハの字」をなして底板68から立設している。
1…自動二輪車、2…車体フレーム、50…メータ装置、50a…表示面、51…メータケース、51a…上側メータケース、51b…下側メータケース、61,62…ガイド部、S(63,64)…支持部(ハーネス支持板)、68…底板、E…エッジ部、H…ワイヤハーネス(ハーネス)、T…水抜き部、P…水抜き孔(貫通孔)、R…上端部
Claims (9)
- 車両の情報を表示する表示部(52)と、
前記車両の情報を伝達するために前記表示部(52)に接続されるワイヤハーネス(H)と、
前記表示部(52)を収納するメータケース(51)と、
前記メータケース(51)に設けられて前記ワイヤハーネス(H)を下方から支持する支持部(S)とを備えた自動二輪車用メータ装置(50)において、
前記支持部(S)は、前記メータケース(51)の一端部に形成される角形断面のエッジ部(E)より前記表示部(52)寄りの位置で、その上端部(R)に丸みを帯びた形状を有して立設する板状部材からなり、
前記支持部(S)が、該支持部(S)に設けられた通路としての水抜き部(T)を有することを特徴とする自動二輪車用メータ装置。 - 前記ワイヤハーネス(H)は、前記メータ装置(50)を車体に固定した際に前記メータケース(51)の車体後方側から引き出されるように構成されており、
前記支持部(S)は、前記メータケース(51)の後端部に位置する底板(68)の上面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用メータ装置。 - 前記メータ装置(50)の表示面(50a)が車体に対して後ろ下がりに傾斜するように、前記メータケース(51)が後ろ下がりに傾斜しており、
前記底板(68)が、後ろ下がりに傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車用メータ装置。 - 前記支持部(S)が一対のハーネス支持板(63,64)からなり、
前記水抜き部(T)は、前記ハーネス支持板(63,64)同士の間に形成された隙間であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の自動二輪車用メータ装置。 - 前記一対のハーネス支持板(63,64)は、車幅方向に対称をなして立設しており、
隣接配置される2辺が他の辺より車体下方側に位置するように設けられることを特徴とする請求項4に記載の自動二輪車用メータ装置。 - 前記ハーネス支持板(63,64)は、前記ワイヤハーネス(H)を前記メータ装置(50)の中央から車体後方側の前記エッジ部(E)に向けて配索させるために立設するガイド部(61,62)と一体に形成され、
前記ガイド部(61,62)は、互いに平行をなして配設され、前記ハーネス支持板(63,64)の車幅方向外側の2辺と連結されていることを特徴とする請求項5に記載の自動二輪車用メータ装置。 - 前記左右一対のガイド部材(61,62)の内側で、かつ前記ハーネス支持板(63,64)より前記メータ装置(50)の中央寄りの位置に、前記ガイド部材(61,62)と一体をなす車幅方向一対のリブ(70)が設けられており、
前記複数のリブ(70)の車幅方向の間隔は、前記水抜き部(T)の隙間より広く設定されていることを特徴とする請求項6に記載の自動二輪車用メータ装置。 - 前記ハーネス支持板(63,64)が、正面視で略三角形の板状部材であることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の自動二輪車用メータ装置。
- 前記支持部(S)が、1枚のハーネス支持板(63b,64b)からなり、
前記水抜き部(T)は、前記ハーネス支持板(63b,64b)に形成された貫通孔(P)であることを特徴とする請求項3に記載の自動二輪車用メータ装置。
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JP2015067049A (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-13 | 本田技研工業株式会社 | 自動二輪車のメータ装置 |
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- 2013-07-04 JP JP2013140675A patent/JP2015013536A/ja active Pending
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2014
- 2014-06-05 BR BR102014013662-2A patent/BR102014013662B1/pt active IP Right Grant
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