JP2015006960A - 光ファイバ素線の製造装置および製造方法 - Google Patents

光ファイバ素線の製造装置および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】母材の曲がりや撓み、長さ方向の外径変動、ロット毎の母材外径のバラツキに対し安定してシール性を確保でき、設備の大型化や複雑化を招かない光ファイバ素線の製造装置および方法を提供する。
【解決手段】加熱炉の上部にシールドパイプを設け、母材の上端に送出ロッドを取り付け、母材を加熱炉内に鉛直に挿入し、炉内にガスを導入しながら母材を加熱して、光ファイバ裸線として線状に引き出す光ファイバ製造装置において、送出ロッドを水平面内で移動調整するための調芯機構を設け、送出ロッドの下部に、送出ロッドの水平面内移動に伴って水平面内で移動する内側シール体と、内側シール体に対し水平面内で移動可能でかつ送出ロッドから離間されしかも鉛直方向に移動可能な外側シール体とからなるシール部材を取り付け、外側シール体と前記シールドパイプとの間および内側シール体と外側シール体との間において、加熱炉内の空間をシールする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ素線の製造装置および製造方法に関するものであり、特に、光ファイバ母材を線引きして光ファイバ裸線を製造するにあたって、大型の光ファイバ母材を安定して線引きするに好適な光ファイバ素線の製造装置および製造方法に関するものである。
一般に石英ガラス系光ファイバ素線の製造装置としては、図5に示すような装置が広く使用されている。この光ファイバ素線製造装置10は、光ファイバ母材12を加熱溶融させるためのヒータ14Aを備えた紡糸用加熱炉14と、紡糸用加熱炉14から下方に向けて線状に引き出された光ファイバ裸線16を強制冷却するための冷却装置18と、冷却された光ファイバ裸線16を保護被覆用の樹脂により被覆するための樹脂被覆装置(コーティング装置)20と、その樹脂被覆装置20により被覆された樹脂を硬化させるための紫外線(UV)照射装置や熱架橋装置などの硬化装置22と、保護被覆用の樹脂が硬化された状態の光ファイバ素線24を引き取るための引取キャプスタン26と、巻き取り装置28とを備えた構成とされている。
このような光ファイバ素線製造装置によって光ファイバ素線を製造するにあたっては、光ファイバ裸線の原料となる光ファイバ母材(石英系ガラス母材)12を紡糸用加熱炉14において2000℃以上の高温に加熱して溶融させ、その紡糸用加熱炉14の下部から、高温状態で光ファイバ裸線16として伸長させながら細線状に下方に引き出し(紡糸し)、その光ファイバ裸線16を、樹脂によりコーティング可能となる温度まで冷却装置18により冷却する。そして所要の温度まで冷却された光ファイバ裸線16に、樹脂被覆装置20において保護のための樹脂が未硬化状態で被覆(塗布)され、さらにその被覆樹脂が、硬化装置22においてUV硬化あるいは加熱硬化などにより硬化され、保護被覆層を備えた光ファイバ素線24となる。そしてその光ファイバ素線24は、引取キャプスタン26を経て巻き取り装置28によって巻き取られる。
ところで、この種の光ファイバ素線の製造においては、生産性向上を目的として、光ファイバ母材の大型化が図られるとともに、線引き速度の高線速化が図られており、それに伴って、種々の課題が生じている。例えば、光ファイバ母材と加熱炉との間のシール性(気密性)の問題や、樹脂被覆装置20のダイス孔に対する加熱炉14から引き出される光ファイバ裸線16の調芯の問題などが生じやすくなり、その解決が求められている。
すなわち、紡糸用加熱炉においては、加熱炉内部のカーボン部品等の酸化を防ぐために加熱炉内にアルゴンガスなどの不活性ガスを供給することが行なわれており、その場合、光ファイバ母材の周囲の加熱炉内空間のシール性(気密性)、特に光ファイバ母材の外周面と加熱炉上部の開口部分との間のシール性が安定していることが求められる。すなわち、光ファイバ母材の外面と加熱炉上部開口端との間の隙間が均一でなければ、加熱炉内のガスの流れが不均一となり、光ファイバ裸線の外径変動が大きくなったり、さらに光ファイバ母材加熱温度も不均一となったりして、加熱炉から引き出される光ファイバ裸線の断面形状が真円から大きく外れてしまう(非円となる)おそれがある。一方、光ファイバ母材の大型化に伴って、光ファイバ母材の外径変動も大きくなり、また光ファイバ母材に曲がり(撓み)も生じやすくなり、そのため光ファイバ母材の外面と加熱炉上部開口端との間の隙間を均一に維持して、シール性(気密性)を安定化させることが難しくなっている。
また、光ファイバ素線の製造においては、加熱炉から鉛直下方に引き出される光ファイバ裸線の位置を、樹脂被覆装置におけるダイス中心位置に正確に合わせる必要がある。すなわち、加熱炉から引き出された光ファイバ裸線が樹脂被覆装置におけるダイス中心を通らなければ、光ファイバ裸線に対する樹脂の被覆が均一ではなくなって、被覆層の偏肉の問題が発生するおそれがある。そこで光ファイバ裸線の位置を、樹脂被覆装置におけるダイス中心位置に一致させる必要があり、一般にこれを調芯と称している。しかるに光ファイバ母材の大型化に伴って、母材の曲がり(撓み)も大きくなりやすく、そのため調芯も難しくなっているのが実情である。
そしてこれらの加熱炉のシール性の安定化や調芯の適切な制御は、線引き速度の増大に伴って、そのますます難しくなっている。
ところで特許文献1には、図6に示すように、紡糸用加熱炉14の内部空間(加熱空間)15と光ファイバ母材12との間のシール性(紡糸用加熱炉14の気密性)を安定させるために、加熱炉14の上部にその加熱炉内加熱空間14Aに連接する筒状のシールドパイプ30を設け、そのシールドパイプ30内に、光ファイバ母材12の線引量に応じて下降する送出ロッド32を設け、送出ロッド32の下端部周囲に、シールドパイプ30内において上下動可能に嵌り合うシール部材34を設けるとともに、送出ロッド32の下端部に、その下端部と光ファイバ母材12の上端部とを連結する連結部材36を設けた光ファイバ線引炉(紡糸用加熱炉)が提案されている。
この特許文献1の提案では、加熱炉14のシール性が、シールドパイプ30とシールドパイプ内のシール部材34との間で確保されるため、光ファイバ母材径に依存せず、安定したシール性が維持でき、良好な線引きが可能となるとされている。
一方特許文献2には、線引用加熱炉の上側に、光ファイバ母材の位置を水平面内のX方向、Y方向に調整する調整装置(調芯制御装置)を設けておき、加熱炉の直下において、加熱炉から鉛直下方に引き出されるファイバ裸線の位置を検出し、その検出信号を調芯制御装置に入力して、母材位置を制御することが提案されている。またこの特許文献2では、光ファイバ母材を把持するためのチャックにおける把持の芯ずれや母材自体の曲りがあれば、線引用加熱炉の上部開口端に設けられた気密板(上部気密板)と母材との間のクリアランスが非対称となるか、または接触するおそれがあることから、上部気密板も位置制御して、上記のクリアランスを一定に保つことが提案されている。
さらに特許文献3には、特許文献2と同様に、線引用加熱炉の直下において光ファイバ裸線の位置を検出し、その検出信号により光ファイバ母材の位置を調整することが記載されている。ここで、母材位置調整方法としては、母材を把持するホルダー部のみを移動させるのではなく、紡糸用加熱炉及び母材ホルダーを単一の可動テーブルに固定し、このテーブルを水平面内で摺動可能にし、可動テーブル直下のファイバ位置検出装置によって光ファイバ裸線の位置を検出し、その位置検出信号によって可動テーブルを摺動させることとしている。そしてこのようにすることによって、調芯装置が可動テーブルと支持台との間に介在され、そのため、他の機構を大型化、複雑化することがない旨記載されている。
上記の各特許文献に記載されている従来技術の概要をまとめれば、以下の通りである。
特許文献1:線引用加熱炉のシール性の安定化のために、加熱炉の上部にシールドパイプを連接して、シールドパイプの内面と、送出ロッドの周囲のシール部材の外面との間でシールする。
特許文献2:光ファイバ母材を支持するホルダー部と線引用加熱炉の上部気密板を、ともに調芯する。
特許文献3:光ファイバ裸線位置を調芯するために、線引用加熱炉と母材ホルダーを同一テーブルに載せて、テーブルごと調芯する。
以上のような特許文献1〜3の各技術には、それぞれ次のような問題があった。
すなわち特許文献1の場合は、調芯機構がなく、そのため光ファイバ母材が大型の場合の撓みや曲がりに対応することができない。
また特許文献2の場合は、シールドパイプがないため、光ファイバ母材の長さ方向に外径変動がある母材を使用したときのシール性の確保が難しく、また母材毎にその母材の外径に合わせた気密板を使用する必要があり、種々の径の光ファイバ母材を対象とする場合には、気密板の交換が煩雑となる。
さらに特許文献3の場合は、紡糸用加熱炉と光ファイバ母材との間の芯ずれは解消しない。そのため、母材が曲がっている場合や母材セット位置が紡糸用加熱炉の中心からずれている場合には、母材に加えられる熱の分布が周方向に不均一になり、光ファイバ裸線断面の真円性が悪くなったり、線引用加熱炉内でのガスの流れが不均一となり、光ファイバ裸線の外径変動が大きくなる。
したがって従来の各提案の技術では、光ファイバ母材の曲がりや撓み、長さ方向の光ファイバ母材外径の変動、あるいはロット毎の母材外径のバラツキに対して、常に安定して有効にシール性を確保することは困難であった。
なお、場合によっては、特許文献1〜3の技術を組合わせることも考えられるが、仮にこれらを組合わせたとしても、次のような問題がある。
たとえば特許文献1の技術と特許文献2の技術とを組合わせた場合、シールドパイプそのものを調芯する必要があり、そのためには線引用加熱炉の上部とシールドパイプの連接部(接触部)のシール方法と可動構造に課題が生じることに加え、調芯装置も大型化、複雑化してしまう。
また特許文献1の技術と特許文献3の技術とを組合わせた場合、線引用加熱炉、送出ロッド、およびシールドパイプの全てを同一の可動テーブルに載せて移動させることは可能ではあるが,上述したように、線引用加熱炉と光ファイバ母材間の心ずれは解消しない問題が残る。
特開平3−37128号公報 特開昭60−137842号公報 特開平4−130030号公報
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、基本的には、特許文献1に示されているシール部材を改良し、光ファイバ母材の曲がりや撓み、長さ方向の光ファイバ母材外径の変動、あるいはロット毎の母材外径のバラツキに対して、常に安定して有効にシール性を確保でき、しかも設備の大型化や複雑化を招かないようにした光ファイバ素線の製造装置、およびそれを使用した光ファイバ素線の製造方法を提供することを課題としている。
前述のような課題を解決するための手段について種々実験・検討を重ねた結果、特許文献1に示される装置に調芯機構を付加すると同時に、特許文献1に示される装置内のシールド部材(単一構造のもの)に代えて、2分割したシール部材を用いることによって、上記の課題を解決し得ることを見い出し、本発明をなすに至った。
具体的には、本発明の基本的な態様(第1の態様)による光ファイバ素線の製造装置は、
紡糸用加熱炉の上部にシールドパイプを設けておき、また石英系光ファイバ母材の上端に送出ロッドを取り付けて、その送出ロッドによって光ファイバ母材を前記シールドパイプの上端からシールドパイプ内及びそれに連続する紡糸用加熱炉内に鉛直に挿入し、紡糸用加熱炉内にガスを導入しながら光ファイバ母材を加熱して、軟化した光ファイバ母材を紡糸用加熱炉から下方に線状に引き出して光ファイバ裸線とし、その光ファイバ裸線を冷却固化させた後、光ファイバ裸線の外周上に樹脂被覆層を形成して光ファイバ素線に仕上げる光ファイバ素線の製造装置において、
前記送出ロッドを水平面内で移動調整するための調芯機構を設け、
さらに前記シールドパイプ内における前記送出ロッドの下部に、送出ロッドの水平面内移動に伴って水平方向に移動し得る内側シール体と、その内側シール体に対して相対的に水平面内で移動可能でかつ送出ロッドから離間されしかもシールドパイプの内周面に対して相対的に鉛直方向に移動可能な外側シール体とからなるシール部材を取り付けておき、
前記外側シール体の外周面と前記シールドパイプの内周面との間、および内側シール体と外側シール体との間において、紡糸用加熱炉内及びシールドパイプ下部内の空間を、シールドパイプ上方の外部空間に対してシールすることを特徴とするものである。
このように第1の実施形態の光ファイバ素線の製造装置においては、シール部材を二つの部品(内側シール体と外側シール体)に分割している。そして外側シール体と内側シール体との間の隙間(G1)、及び外側シール体とシールドパイプとの間の隙間(G2)によって、紡糸用加熱炉内及びシールドパイプ下部内の空間を、シールドパイプ上方の外部空間に対してシールしている。さらに、外側シール体を、調芯による送出ロッドの水平方向移動に伴って移動する内側シール体に対して相対的に水平面内で移動可能でしかも送出ロッドから離間された構成とすることによって、上記の特許文献1の技術の問題点を解決している。すなわち、調芯のために送出ロッドが水平面内で移動しても、外側シール体は実質的に移動しないため、送出ロッドの水平面内での大きな移動が許容されて送出ロッドの曲がりの発生が回避されると同時に、光ファイバ母材の曲がりや撓み、外径変動があっても、それに応じて調芯しつつ、上記の隙間G1、G2を安定して維持し、シール性を安定化することができる。
なお上記の第1の実施形態において、紡糸用加熱炉内及びシールドパイプ下部内の空間を、シールドパイプ上方の外部空間に対してシールするとは、完全に封止して、ガスが外部に完全に漏洩しないようにすることを意味するのではなく、極くわずかな流量で漏洩することを許容しながら、過大な流量で漏洩しないようにすることを意味している。具体的には、例えば、後述する製造方法についての第8の態様で記載しているように、紡糸用加熱炉の上端における加熱炉内のガス圧力を指標とすれば、そのガス圧力が5Pa〜500Paの範囲内となるように、紡糸用加熱炉内からのガスの漏洩および紡糸用加熱炉内への導入ガス流量を制限することを意味する。
また本発明の第2の態様による光ファイバ素線の製造装置は、前記第1の態様の光ファイバ素線の製造装置において、前記内側シール体と外側シール体との間の隙間が調整可能とされていることを特徴とするものである。
さらに本発明の第3の態様による光ファイバ素線の製造装置は、前記第2の態様の光ファイバ素線の製造装置において、前記内側シール体と外側シール体との間の隙間が0.01〜1.0mmの範囲内で調整可能とされていることを特徴とするものである。
また本発明の第4の態様による光ファイバ素線の製造装置は、前記第1〜第3のいずれかの態様の光ファイバ素線の製造装置において、前記内側シール体と外側シール体との間に、外側シール体を内側シール体に対して水平面内で移動自在に保持するためのボールトランスファが介在されていることを特徴とするものである。
また本発明の第5の態様による光ファイバ素線の製造装置は、前記第1の態様の光ファイバ素線の製造装置において、前記内側シール体と外側シール体との間の隙間が0.01〜1.0mmとされていることを特徴とするものである。
また本発明の第6の態様による光ファイバ素線の製造装置は、前記第1の態様の光ファイバ素線の製造装置において、前記外側シール体の外周面と前記シールドパイプの内周面との間の隙間が0.01〜1.0mmとされていることを特徴とするものである。
また本発明の第7の態様による光ファイバ素線の製造装置は、前記第1〜第6のいずれかの態様の光ファイバ素線の製造装置において、前記紡糸用加熱炉の直下に、紡糸用加熱炉から下方に引き出される光ファイバ裸線の水平面内での位置を検出するための位置検出器を配設しておき、その検出位置に応じて前記調芯機構によって送出ロッドの水平面内の位置を調整するように構成したことを特徴とするものである。
さらに本発明の第8の態様による光ファイバ素線の製造方法は、前記第1〜第7のいずれかの態様の光ファイバ素線の製造装置を用いて光ファイバ素線を製造するにあたり、
前記紡糸用加熱炉の上端における加熱炉内のガス圧力を、5Pa〜500Paの範囲内に調整しながら光ファイバ母材を加熱することを特徴とするものである。
さらに本発明の第9の態様による光ファイバ素線の製造方法は、前記第1〜第7のいずれかの態様の光ファイバ素線の製造装置を用いて光ファイバ素線を製造するにあたり、
前記送出ロッドの水平面内での調芯可能な範囲が、水平面内での送出ロッドの撓みの最大範囲よりも大きくなるように前記調芯機構を設定しておくことを特徴とするものである。
本発明の光ファイバ素線の製造装置、製造方法によれば、光ファイバ母材の曲がりや撓み、長さ方向の光ファイバ母材外径の変動、あるいはロット毎の母材外径のバラツキに対して、常に安定して有効にシール性を確保でき、かつ特許文献1の技術の場合のような送出ロッドに大きな曲がりが生じてしまうことも回避でき、しかも設備の大型化や複雑化を招くことも少ない。
本発明の第1の実施形態の光ファイバ素線の製造装置の要部、特に紡糸用加熱炉及びシールドパイプ付近の構造を示す略解的な縦断面図である。 図1の要部、特にシールドパイプ付近の構造を拡大して示す略解的な縦断面図である。 本発明の第2の実施形態の光ファイバ素線の製造装置の要部、特に図2と同様にシールドパイプ付近の構造を拡大して示す略解的な縦断面図である。 本発明の第3の実施形態の光ファイバ素線の製造装置の要部、特に図2と同様にシールドパイプ付近の構造を拡大して示す略解的な縦断面図である。 光ファイバ素線の製造装置の全体的な構成を示す概略図である。 特許文献1に示される従来の光ファイバ素線の製造装置を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1には本発明の第1の実施形態の光ファイバ素線の製造装置の要部、特に図5に示される紡糸用加熱炉14の付近を示し、さらに図2には、図1の要部(シール部材30付近)の構造を拡大して示す。
図1において、光ファイバ母材12を加熱軟化させるための紡糸用加熱炉14は、従来と同様に全体として中空円筒状に作られていて、ヒータ14Aを備えるとともに、内側に光ファイバ母材12を加熱する加熱空間15を有しており、その中心軸線が鉛直方向に沿うように配設されている。
紡糸用加熱炉14の上端には、中空円筒状のシールドパイプ30が設けられている。このシールドパイプ30は、その中心軸線が紡糸用加熱炉14の中心軸線と一致するように、かつ紡糸用加熱炉14に対して隙間なく連続するように紡糸用加熱炉14に連接されており、その内側が、紡糸用加熱炉14内の加熱空間15に連続する空間(以下シール空間と記す)31となっている。
紡糸用加熱炉14の加熱空間15及びシールドパイプ30のシール空間31には、紡糸時には上方から例えば丸棒状をなす光ファイバ母材12が挿入される。ここで、光ファイバ母材12は、その上端にダミー棒42が一体に融着されており、そのダミー棒42の上端部分が、送出ロッド32の下端の連結部32Aに連結されている。連結部32Aは、例えば下方に向かってコ字状をなす保持部材32Aaと、その保持部材32Aaの下方先端部間に水平に掛け渡されたピン(もしくは螺子棒)32Abとからなり、ピン(もしくは螺子棒)32Abがダミー棒42の上端部分を水平に貫通し、これによってダミー棒42およびそれに一体化された光ファイバ母材12が、送出ロッド32から吊り下げられている。
送出ロッド32は、その中心軸線が垂直となるように、その上部が把持部44によって把持されて、昇降機構46によって垂直方向に昇降されるように支持されている。また送出ロッド32は、把持部44と昇降機構46との間に介在する調芯機構48によって、水平面内でX方向、Y方向に位置調整可能とされている。なおこれらの昇降機構46および調芯機構48は、従来と同様であればよく、特に限定されるものではなく、図1には原理的構成のみを示している。すなわち図1において、昇降機構46としての図示しない昇降駆動源により駆動される昇降ロッド46Aの上端に、調芯機構48として、例えば水平面内X方向に位置調整可能な第1調整台48Aを取り付け、その第1調整台48Aに例えば水平面内Y方向に位置調整可能な第2調整台48Bを取り付け、その第2調整台48Bから水平に延出する支持腕48Cの先端に前述の把持部44を設けた構成としている。そして各調整台48A、48Bがそれぞれ図示しないサーボモータなどによって水平面内でX方向、Y方向に直線移動させられる構成となっている。
さらに紡糸用加熱炉14の直下、すなわち加熱炉14の下底部のファイバ引き出し口14Cの下側には、そのファイバ引き出し口14Cから下方に鉛直に引き出された(線引きされた)光ファイバ裸線16の位置(水平面内での位置)を検出するための、レーザー方式位置センサなどの位置検出器50が配置されている。
また紡糸用加熱炉14もしくはシールドパイプ30の適宜の位置には、外部からアルゴンガスなどの不活性ガスを導入するための1または2以上のガス導入口52が設けられている。図示の例では、二つのガス導入口52が紡糸用加熱炉14の下部の対称位置に形成されているが、これに限らないことはもちろんであり、要は加熱空間15およびそれに連続するシール空間31内に均一に(好ましくは周方向に均一に)ガスを導入し得るように形成されていれば良い。さらに紡糸用加熱炉14の上端付近の位置(図1の例ではシールドパイプ30の下端部)には、加熱空間15およびそれに連続するシール空間31内のガス圧力を検出するための圧力センサ53が取り付けられている。
以上のところまでの構成は、実質的に従来のものと同様であり、以下、さらに本発明における特徴的な構成について説明する。
シールドパイプ30内における送出ロッド32の下端の連結部32A上には、シール部材54が配設されている。このシール部材54は、送出ロッド32の下降を許容しながら、加熱空間15およびそれに連続するシール空間31を、外部空間に対してシールするためのものである。
シール部材54は、基本的には、下側の内側シール体56と、上側の外側シール体58との二つの部材によって構成されている。言い換えれば、本発明におけるシール部材54は、特許文献1に示されているシール部材34(図6参照)とは異なり、上下に2分割された構成となっている。このようなシール部材54の部分付近を拡大して図2に示している。
下側の内側シール体56は、図2に詳細に示すように、全体として水平な円盤状に作られて、その中央に上下に貫通する貫通孔56Aが形成されたものであり、その貫通孔56A内に送出ロッド32の下部が挿通されて、送出ロッド32の下端の連結部32Aの上面に水平に載置・固定されている。すなわち、連結部32Aにおける保持部材32Aaの肩部上面32Acが水平面とされていて、その肩部上面32Acに接するように、内側シール体56が水平に載置・固定されている。
なお内側シール体56の外径D1は、内側シール体56の外周面56Bとシールドパイプ30の内周面30Aとの間に所定の幅、例えば5mm程度以上の幅のスペースS1が保持されるように、シールドパイプ30の内径D2よりも所定寸法(スペースS1の2倍)だけ小径に設定されている。言い換えれば、内側シール体56は、スペースS1によってシールドパイプ30の内周面30Aから十分に離間されている。ここで、内側シール体56についての十分に離間とは、後述するように調芯のために送出ロッド32を水平面内で最大限移動させた場合においても、その送出ロッド32に伴う内側シール体56の水平面内移動によって、内側シール体56の外周面56Bがシールドパイプ30の内周面30Aに当接しない程度の離間を意味する。
上側の外側シール体58は、全体として短円筒状もしくは円盤状に作られたものであって中央に送出ロッド32が貫通する貫通孔58Aが形成されている。この外側シール体58は、貫通孔58Aに送出ロッド32が挿通された状態で、内側シール体56の水平な上面56C上に、その内側シール体56に対して水平面内X方向、Y方向に移動可能に載置・保持されている。
なお外側シール体58の貫通孔58Aの内径D3は、貫通孔58Aの内周面58Bと送出ロッド32の外周面32Bとの間に、所定の幅、例えば5mm程度以上の幅のスペースS2が保たれるように、送出ロッド32の外径D4よりも所定の寸法(スペースS2の2倍)だけ大径に定められている。言い換えれば、外側シール体58は、スペースS2によって送出ロッド32から十分に離間されている。ここで、外側シール体58についての十分に離間とは、後述するように調芯のために送出ロッド32を水平面内で最大限移動させた場合においても、その送出ロッド32が外側シール体58の内周面58Bに当接しない程度の離間を意味する。
一方、外側シール体58の外周面58Cとシールドパイプ30の内周面30Aとの間の隙間G1は、シール空間31からのごくわずかなガスの漏出を許容しつつ、加熱空間15およびそれに連続するシール空間31を外部空間に対してシールする面であり、そこでこの外側シール体58の外径D5は、シールドパイプ30の内径D2よりごくわずかだけ小径とされている。具体的には、後述するように、外側シール体58の外周面58Cとシールドパイプ30の内周面30Aとの間の隙間G1が、好ましくは0.01〜1.0mm程度のごくわずかな隙間となるように、外側シール体58の外径D5が定められている。
上側の外側シール体58を、下側の内側シール体56の水平な上面56C上に、その内側シール体56に対して水平面内X方向、Y方向に移動可能に載置・保持するための具体的構成は特に限定されないが、図1、図2に示す第1の実施形態の場合は、水平面内で360°方向に移動自在に支持するボールトランスファ(フリーベアリング)60によって保持した構成とされている。すなわち、外側シール体58の内周側の下部が段差状に切り欠かれて、その段差状切り欠き部分の上側部分58Dから、それぞれ鉛直方向に沿った調整軸62を介して複数のボールトランスファ60が垂下され、そのボールトランスファ60の先端(下端)が内側シール体56の水平な上面56Cに接している。ここで、ボールトランスファ60の数は、通常は3個以上とされて、外側シール体58の周方向に等間隔で配設されている。調整軸62は、ボールトランスファ60の位置を上下方向に調整するためのもので、例えば螺子棒などによって構成して、外側シール体58の段差状切り欠き部分の上側部分58Dに対して上下方向に進退させるように構成されていれば良い。
このように調整軸62によってボールトランスファ60の位置を上下方向に調整することによって、下側の内側シール体56の上面56Cと、上側の外側シール体58の下面58Eとの間の隙間G2の幅を調整可能となっている。すなわちこの隙間G2も、外側シール体58の外周側の隙間G1と同様に、加熱空間15およびそれに連続するシール空間31を外部空間に対してシールする(但しごくわずかなガスの漏出を許容しながらシールする)箇所であり、後述するように、例えば0.01〜1.0mmの範囲内で隙間G2を調整可能としておくことが望まれる。
以上のような実施形態の光ファイバ素線製造装置を用いて、光ファイバ母材12を線引きし、光ファイバ裸線16を得るにあたっては、予め光ファイバ母材12に融着されたダミー棒42の上端を、連結部32Aを介して送出ロッド32に取り付け、把持部44によって把持して、シールドパイプ30の上方からシールドパイプ30内、さらに紡糸用加熱炉14内に降下、挿入する。なお送出ロッド32の下部には、内側シール体56および外側シール体58からなるシール部材54を取り付けておく。また内側シール体56の上面56Cと外側シール体58の下面58Eとの間の隙間G2が、好ましくは0.01〜1.0mmの範囲内となるように、ボールトランスファ60の調整軸62を予め調整しておく。
そしてガス導入口52から加熱空間15およびそれに連続するシール空間31内にアルゴンガスなどの不活性ガスを導入しながら、ヒータ14Aによって光ファイバ母材12を加熱して軟化溶融させ、ファイバ引き出し口14Cから光ファイバ裸線16として下方に線状に引き出す。
上述のような線引きに際しては、昇降機構46により送出ロッド32を徐々に下降させる。また同時に、ファイバ引き出し口14Cから引き出される光ファイバ裸線16の水平面内での位置(X方向、Y方向)を位置検出器50によって検出し、その光ファイバ裸線16の引き出し位置が、下方の被覆装置のダイスの中心軸線位置に合致するように、調芯機構48によって送出ロッド32の水平方向の位置(X方向、Y方向)を調整しながら、線引きを行なう。すなわち、光ファイバ母材14やダミー棒42、あるいは送出ロッド32に撓みもしくは曲がりがある場合には、初期状態では光ファイバ裸線16の引き出し位置が被覆装置のダイスの中心軸線位置に合致するようにセットされていても、線引きが進むにつれて、上記の撓みもしくは曲がりによって光ファイバ裸線16の引き出し位置がダイスの中心軸線位置から外れていくことがある。そこで、常に光ファイバ裸線16の引き出し位置がダイスの中心軸線位置に合うように、調芯機構48によって送出ロッド32の水平方向の位置を調整(調芯)しながら、線引きを行なう。特に光ファイバ母材14が大型の場合には、その撓みもしくは曲がりが大きくなるおそれがあるから、調芯は重要となる。
このように、調芯のために送出ロッド32を水平方向に移動させたときには、送出ロッド32の下端部に取り付けられた内側シール体56は、送出ロッド32とともに水平方向に移動することになるが、内側シール体56の外周面56Bとシールドパイプ30の内周面30Aとの間には、大きなスペースS1が存在するため、内側シール体56が水平方向移動しても、その外周面56Bがシールドパイプ30の内周面30Aに当接して水平方向移動が阻止されることはなく、ひいては調芯のための送出ロッド32の水平方向移動が阻止されることもない。
また外側シール体58は、内側シール体56に対して水平面内で相対的に移動可能に支持されているため、調芯のための送出ロッド32の水平方向移動により内側シール体56が水平方向に移動しても、外側シール体58は実質的に移動しない。なお外側シール体58の内周面58Bと送出ロッド32の外周面32Bとの間には大きなスペースS2が存在するから、送出ロッド32を水平方向に移動させたときに、送出ロッド32が外側シール体58の内周面58Bに当接することはなく、したがって調芯のための送出ロッド32の水平方向移動が外側シール体58によって阻止されることはない。
なお、外側シール体58の外周面58Cとシールドパイプ30の内周面30Aとの間には、シールドパイプ30に対する外側シール体58の下降を許容しかつ極く小流量でのガスの通過を許容する程度(すなわちシール性を確保し得る程度)の極くわずかの隙間G1が存在するだけであるから、外側シール体58は、実質的に水平方向には移動しない。
ここで、ガス導入口52から導入されるガスは、加熱空間15およびそれに連続するシール空間31内に充満されるとともに、シール部材54における外側シール体58の外周面58Cとシールドパイプ30の内周面30Aとの間のわずかな隙間G1を通ってシールドパイプ30の上方の外部に開放された空間に漏洩する。またガスの一部は内側シール体56の上面56Cと外側シール体58の下面58Eとの間のわずかな隙間G2を経て、外側シール体58の内周面58Bと外側シール体58の外周面との間の大きなスペースS2を通り、シールドパイプ30の上方の外部に開放された空間に抜け出る。言い換えれば、加熱空間15およびそれに連続するシール空間31は、わずかな流量での漏出を許容されながら、上記の隙間G1、G2によってシールされている、と言うことができる。
ところで、外側シール体58の外周面58Cとシールドパイプ30の内周面30Aとの間のわずかな隙間G1の寸法、および内側シール体56の上面56Cと外側シール体58の下面58Eとの間のわずかな隙間G2の寸法が一定であれば、加熱空間15およびシール空間31内からシールドパイプ30上方の外部空間へのガスの漏洩量は経時的に一定となるとともに、シールドパイプ30の周方向の各部からの漏洩量も均一となる。そのため、加熱空間15およびシール空間31内でのガスの流れが安定し(すなわちシール性が安定し)、その結果、加熱空間15内の温度分布も安定化されるとともに周方向に常に温度が均一となって、光ファイバ母材14の加熱が安定して均一に行なわれることになる。
ここで、特許文献1に示すような単一の部品からなるシール部材34(図6参照)の場合、中心に設置されている送出ロッド32が水平面内で移動すれば、送出ロッド32とともにシール部材34も動くが、シール部材34とシールドパイプ30とのクリアランス分だけしか移動することができない。このクリアランスは、シール性確保のため通常は1mm程度以下とされることから、シール部材34は±1mm以下の範囲しか移動できず、それ以上動けば、送出ロッド32に無理な力が加わり、その結果、送出ロッド32が曲がってしまう。もちろん、シール部材34とシールドパイプ30とのクリアランスを大きくとれば、送出ロッド32の水平面内での移動に伴うシール部材34の±1mm程度を越える大きな移動が許容されて、送出ロッド32の曲がり発生も回避されるが、その場合にはシール性の問題が生じてしまう。
これに対して本発明の場合は、シール部材54を二つの部品(下側の内側シール体56と上側の外側シール体58)に分割し、外側シール体58と内側シール体56との間(隙間G1)、及び外側シール体58とシールドパイプ30との間(隙間G2)によってシールするとともに、送出ロッド32の水平方向移動に伴って移動する内側シール体56に対して、外側シール体58は相対的に水平面内で移動可能とすることによって、上記の特許文献1の技術の問題点を解決している。すなわち、送出ロッド32が水平面内で移動しても、外側シール体58は実質的に移動しないため、送出ロッド32の水平面内での大きな移動が許容されて送出ロッド32の曲がりの発生が回避されると同時に、外側シール体58と内側シール体56との間の隙間G1、及び外側シール体58とシールドパイプ30との間の隙間G2を安定して維持し、シール性を安定化することができるのである。
以上のところにおいて、内側シール体56の上面56Cと外側シール体58の下面58Eとの間の隙間G2は、既に述べたように0.01〜1.0mmの範囲内に調整することが望ましい。また外側シール体58の外周面58Cとシールドパイプ30の内周面30Aとの間の隙間G1も、同様に0.01〜1.0mmの範囲内に調整することが望ましい。内側シール体56と外側シール体58との間の隙間G2は、内側シール体56と外側シール体58との水平面内での相対移動を許容しつつ、その間で安定したシール性を確保するために必要であり、また外側シール体58とシールドパイプ30との間の隙間G1は、シールドパイプ30に対する鉛直方向相対移動を許容しつつ、その間で安定したシール性を確保するために必要である。
これらの隙間G1、G2が0.01mm未満では、部品の作製精度によっては隙間の平行度が確保できず、相手側のいずれかの箇所と接触したりして、移動が円滑でなくなるおそれがあり、また場合によっては隙間G1、G2における封止が完全すぎて、その隙間からガスがほとんど(または完全に)漏出しなくなって、後述する紡糸用加熱炉30の上端のガス圧力を500Pa以下に抑えることが困難となる。一方、隙間G1、G2が1.0mmを越えれば、シール性が十分ではなくなるおそれがある。すなわち、紡糸用加熱炉30の上端のガス圧力を5Pa以上とすることが困難となったり、隙間G1、G2からのガス流出量が周方向に不均一となったりするおそれがある。
また上側の外側シール体58と下側の内側シール体56との関係については、上側の外側シール体58下側の内側シール体56に対して水平面内で相対移動可能であって、しかも前述の隙間G2が確保されればよく、また好ましくはその隙間G2の寸法が調整可能であることが望ましい。そして図1、図2に示した第1の実施形態においては、下側の内側シール体56と上側の外側シール体58との間に介在するボールトランスファ(フリーベアリング)60を、下向きに配設した構成としている。すなわち調整軸62を上側の外側シール体58から垂下させ、その下端にボールトランスファ60を取り付けて、ボールトランスファ60の先端面が下側の内側シール体56の上面56Cに接するように構成している。そして調整軸62によってボールトランスファ60の上下方向の位置を調整することによって、隙間G2を調整可能としている。
しかしながら、場合によっては、図3に第2の実施形態として示しているように、ボールトランスファ60を、上向きに配設した構成としても良い。すなわち、調整軸62を下側の内側シール体56から垂直上方に突出させ、その上端にボールトランスファ60を取り付けて、ボールトランスファ60の先端面が上側の外側シール体58の段差部分58Dの下面56Eに接するように構成しても良い。
なお、図1、図2に示した第1の実施形態及び図3に示した第2の実施形態のいずれにおいても、ボールトランスファ60を調整軸62の先端に取り付けているが、場合によっては、調整軸なしでボールトランスファ60の固定側ハウジングを、上側の外側シール体58もしくは下側の内側シール体56に直接取り付けた構成としても良い。
さらに、ボールトランスファ60の代わりに、図4に第3の実施形態として示しているように、棒状その他の任意の形状の接触部材64を上側の外側シール体58から垂下させ、その下端が下側の内側シール体56の上面56Cに接するように構成したり、または図示しないが、上記とは逆に接触部材64を下側の内側シール体56から垂直上方に突出させ、その上端が上側の外側シール体58の段差部分56Dの下面56Eに接するように構成しても良い。この場合、接触部材64の先端は、相手側に対する摩擦抵抗が十分に小さいことが望まれる。そこで接触部材64の先端は、表面にフッ素樹脂系低摩擦コーティング、あるいは硬質めっき処理や鏡面仕上げ処理などの摩擦抵抗低減処理を施しておくことが望ましい。またこのようにボールトランスファを用いない場合も、特に図示はしないが、接触部材64の長さ(上側の外側シール体58からの垂下長さ、もしくは下側の内側シール体56からの突出高さ)を調整可能となるように構成しておき、これによって前記隙間G2を調整可能とすることが好ましい。
また図1、図2に示した第1の実施形態では、内側シール体56は、送出ロッド32の下端の連結部32Aにおける保持部材32Aaの水平な肩部上面32Acに載置されている。しかしながら内側シール体56を送出ロッド32の下部に保持するための構成は特に限定されるものではなく、例えば第2の実施形態として示した図3のように、連結部32Aにおける保持部材32Aaの上面をテーパー面32Adとし、そのテーパー面32Adに内側シール体56の逆テーパー面が嵌まるように構成しても良い。あるいは、図示はしないが、送出ロッド32の下端部を螺子状にネジ切りし、そのネジ部に内側シール体56を螺合させる構成でも良い。
内側シール体56、外側シール体58、及びボールトランスファ60(もしくは接触部材64)の材質は特に限定されるものではなく、ステンレスや真鍮、アルミニウム、スチール等を使用することができる。またこれらの部材には、適宜、防錆処理や、摩擦力低下のためのコーティング(例えばフッ素樹脂系コーティング)や、焼入れなどの硬化処理あるいは鏡面仕上げ等を施しておくことが望ましい。また、図示していないが,紡糸用加熱炉14からの輻射熱を防ぐために、カーボンなどの断熱部材を、内側シール体56の下面などに設けておいてもよい。
以上のところにおいて、シール部材54における上側の外側シール体58と下側の内側シール体56との間の摩擦力、とりわけボールトランスファ60(もしくは接触部材64)とそれが接する相手材との間の摩擦力は、できるだけ小さいことが望ましい。すなわち、これらの間での摩擦力が大きい場合には、調芯のために送出ロッド30を水平面内で移動調整しようとしたときに、摩擦力を越える力が蓄えられるまで送出ロッド30自体に撓みが生じ、その後、撓みに対する反発力が摩擦抵抗を超えた瞬間に一気に送出ロッド30の撓みが解放される方向に動いてしまう。そのため、水平面内の動きが歪になり、最悪の場合、送出ロッド30の水平方向の動きが、前後左右に振動する状態となってしまう。したがって、送出ロッドの撓み量が母材位置調芯の必要精度以下となるような、小さい摩擦係数を有する材料を、前記各部材(もしくはその表面)に使用することが望ましい。摩擦力がゼロであれば、理論的には撓み量が0μmとなる。したがって例えば、水平面内50μm四方の範囲内に母材位置を調芯する精度が必要な場合には、送出ロッド30の撓み量は50μm以下とすることが必要となる。そこでこのような撓み量を超えないように、送出ロッドの長さや、前述の各部材の接触面間の摩擦係数を選定することが望ましい。そして、送出ロッド30の水平面内での調芯可能な範囲(調芯範囲)が、水平面内での送出ロッド30の撓みの想定される最大範囲(最大撓み範囲)よりも大きくなるように調芯機構48を設定しておくことが望ましい。
以上のような製造装置を用いて、光ファイバ母材12の線引きを行なうにあたっては、紡糸用加熱炉14の上端における紡糸加熱炉14内のガス圧力を、5Pa〜500Paの範囲内に調整しながら光ファイバ母材12を加熱することが望ましい。なおここで、図1においては、シールドパイプ30の下端部に圧力センサ53を設置して、そのシールドパイプ30の下端部で圧力を測定しているが、シールドパイプ30の下端部での測定圧力は、実質的に紡糸用加熱炉14の上端における圧力とほとんど同じであり、したがって、シールドパイプ30の下端部の圧力センサ53による圧力測定値を、紡糸用加熱炉14の上端における圧力とみなすことができる。
紡糸用加熱炉14の上端位置でのガス圧力が5Pa未満であることは、シール性が悪いことを意味しており、その場合は、紡糸用加熱炉14内のガスが外部に大流量で漏れることに伴う炉内圧力の低下の影響により、外部からの空気やダストの混入、さらには紡糸用加熱炉14の下底のファイバ引き出し口14Cからのガスの引き込みによる炉内ガスの流れの乱れなどが生じ、その結果、光ファイバ裸線の外径変動や強度不良が生じ、光ファイバ素線の製造歩留まりの低下を招くおそれがある。
一方、紡糸用加熱炉14の上端のガス圧力が500Paを越える場合は、シール性が高過ぎることを意味し、その場合は、炉内ガスが外部に漏れにくくなってしまう。そのため、炉内ガス流入量が多すぎれば、やはり炉内ガスの流れの乱れなどが生じ、その結果、前記と同様に光ファイバの製造歩留まりの低下を招く。そして最悪の場合には、良品が製造できなくなる。
紡糸用加熱炉14の上端における紡糸加熱炉14内のガス圧力を、5Pa〜500Paの範囲内に調整するためには、既に述べたシール部材54における外側シール体58の外周面58Cとシールドパイプ30の内周面30Aとの間の隙間G1と、内側シール体56の上面56Cと外側シール体58の下面58Eとの間の隙間G2とのいずれか一方もしくは双方を調整すればよく、また紡糸用加熱炉14内へ導入するガスの流量を調整すれば良い。例えば、上記のガス圧力が5Pa未満の場合は、隙間G1、G2の少なくとも一方を狭めるか、または導入ガス流量を増加させれば良い。逆に上記のガス圧力が500Paを越える場合は、隙間G1、G2の少なくとも一方を拡大するか、または導入ガス流量を減少させれば良い。
またここで、シール部材54における外側シール体58の外周面58Cとシールドパイプ30の内周面30Aとの間の隙間G1の調整は、外側シール体58を異なる外径のものに交換することによって行なうことができる。一方、内側シール体56の上面56Cと外側シール体58の下面58Eとの間の隙間G2の調整は、既に述べたようにボールトランスファ60(もしくは接触部材64)の位置調整によって行なうことができる。
以下に本発明の光ファイバ素線製造方法についての実施例を、比較例とともに説明する。
実施例1:
この実施例1は、図5に示した光ファイバ製造装置に、図1、図2に示した構造を適用して、実際に光ファイバ素線を製造した実施例である。
光ファイバ素線の製造に使用した装置の具体的構成は次の通りである。
すなわち、紡糸用加熱炉の直下に、光ファイバ位置検出センサを2軸(X軸―Y軸)で設置しておいた(図示は1軸のみ)。この2軸の位置検出センサは互いに直行し、それぞれ光源と検出器で構成したものである。使用した光ファイバ母材は、外径φ140〜φ160mmの長手方向外径変動があった。シールドパイプ内径はφ200mmであり、光ファイバ母材がシールドパイプの中心に取り付けられた場合、最少で母材とシールドパイプの隙間が20mmとなる組合せである。シール部材の内側シール体は,2軸(X軸、Y軸)方向にそれぞれ±10mm移動できる構造とした。したがって、光ファイバ母材とシールドパイプとは絶対に接触しないようにした。内側シール体と外側シール体との間の隙間G2は、ボールトランスファの調整軸を調整することによって0.1mmとし、外側シール体とシールドパイプとの間の隙間G1は0.1mmとした。その結果、紡糸用加熱炉内上端の圧力は、後述するように100Paとなった。外側シール体の外周面には、低摩擦フッ素樹脂系コーティングを施して、シールドパイプと接触しても円滑に滑るようにした。シール部材の内側シール体と外側シール体としては、SUS440Cを使用し、焼入れしておいた。なお紡糸用加熱炉からの輻射熱を防ぐために、内側シール体の下面にカーボン部品を取り付けておいた。送出ロッドを動かした場合の最大撓み量は10μmであった。送出ロッドは、図示しないステッピングモータ、直線ガイド、およびボールネジなどからなる調芯機構によって、水平面内のX方向、Y方向に移動させることができる構造とした。
このような構成の装置を用いて、紡糸用加熱炉内に周方向の4箇所からアルゴンガスを導入しながら、光ファイバ母材を約2000℃に加熱し、2000m/minの線引き速度で、外径がφ125μmの光ファイバ裸線に線引きし、その光ファイバ裸線に保護被覆層を施し、φ250μmの光ファイバ素線を製造した。なお紡糸用加熱炉内へのアルゴンガスの導入流量は20SLMであり、また加熱炉上部の圧力は100Paでほぼ一定となった。
また製造時の光ファイバ裸線位置を位置検出センサで検出し、紡糸炉中心位置を0点として、XY軸共に±100μmの範囲内に入るように、調芯プログラムを設定した。すなわち、±100μmを超えた場合に送出ロッドを水平方向に移動させて、±100μmの調整範囲内に入るように制御した。その結果、全長にわたり良好な線引きが可能であった。
また、製造後の光ファイバ素線を検査した結果、ファイバ裸線径のバラツキが小さく、コーティングの偏心量が小さく維持でき、また光ファイバ裸線のクラッド非円(外径非円率)が小さく維持できていた。また強度不良も発生しなかった。ファイバ径、強度不良については、紡糸用加熱炉上部圧力を適切に維持できたため、良好であったと考えられる。偏心量については、光ファイバ母材から線引される光ファイバ裸線の位置が常に±100μm四方の範囲内で一定に制御されるため、樹脂被覆装置に入る光ファイバ裸線位置が常に一定となった結果であると考えられる。また、クラッド非円については、母材位置が紡糸炉内で中心位置になるため、光ファイバ母材の周方向に均一に熱が作用した結果であると考えられる。
実施例2:
この実施例2は、図5に示した光ファイバ製造装置に、図3に示した構造を適用して、実際に光ファイバ素線を製造した例である。
装置構成としては、実施例1におけるシール部材を、図3に示すシール部材に変更した。その他は基本的に実施例1と同じとしたが、以下の点を変更した.外側シール体と内側シール体との間の隙間G2は、ボールトランスファの調整軸を調整することによって、0.01mmとした.また同様に、外側シール部材とシールドパイプとの間の隙間G1は0.01mmのものに交換した。その結果、紡糸炉内上端の圧力は500Paとなった。シール部材の内側シール体および外側シール体としては、真鍮を使用した。また紡糸用加熱炉からの輻射熱を防ぐために、内側シール部材の下面にカーボン部品を取り付けておいた。送出ロッドを動かした場合の最大撓み量は20μmであった。そこで、光ファイバ裸線位置をXY軸共に±20μmの範囲内に入るように調芯プログラムを設定した。結果は実施例1と同様に、ファイバ径、偏心量、クラッド非円がいずれも良好であり、強度不良も生じなかった。
実施例3:
この実施例3は、図5に示した光ファイバ製造装置に、図4に示した構造を適用して、実際に光ファイバ素線を製造した実施例である。
装置構成としては、実施例1におけるシール部材を、図4に示すシール部材、すなわちボールトランスファを使用しないもの(接触部材64を使用)に変更した。また、接触部材64の先端面、及び内側シール体の上面、外側シール体の下面には、フッ素樹系コーティングを施しておいた。内側シール体と外側シール体との間の隙間G2は1mmとし、外側シール体とシールドパイプとの間の隙間G1は1mmとした。その結果、紡糸用炉内上端の圧力は5Paとなった。シール部材の内側シール体および外側シール体としては、アルミニウムを使用した。また紡糸用加熱炉からの輻射熱を防ぐために、内側シール部材の下面にカーボン部品を取り付けておいた。送出ロッドを動かした場合の最大撓み量は100μmであった。そこで、光ファイバ裸線位置をXY軸共に±150μmの範囲内に入るように調芯プログラムを設定した。結果は実施例1と同様に、ファイバ径、偏心量、クラッド非円がいずれも良好であり、強度不良も生じなかった。
比較例1:
この比較例1は、隙間G1、G2が大きく、シール性が悪い例である。
すなわち、実施例1において、隙間調整を次のように実施した。外側シール体と内側シール体との間の隙間(水平面内の隙間)G2を2mm、外側シール体とシールドパイプとの間の隙間G1を2mmとした。その結果、紡糸用加熱炉内上部の圧力は3Paとなった。
その他の条件は実施例1と同様にして線引きしたところ、線引き中にファイバ径(ファイバ裸線径)が安定せず、良品の光ファイバ素線が得られなかった。
比較例2:
この比較例2は、隙間G1、G2が小さすぎて、シール性が高過ぎた例である。
すなわち、実施例2において、隙間調整を次のように実施した。外側シール体と内側シール体との間の隙間(水平面内の隙間)G2を0.005mm、外側シール体とシールドパイプとの間の隙間G1を0.005mmとした。その結果、紡糸用加熱炉内上部の圧力は600Paとなった。
その他の条件は実施例2と同様にして線引きしたところ、線引き中にファイバ径(ファイバ裸線径)が安定せず、良品の光ファイバ素線が得られなかった。また、そのまま製造した光ファイバ素線を調べたところ、強度不良が発生していた。
比較例3:
この比較例3は、内側シール体と外側シール体との間の摩擦抵抗が大きく、送出ロッドに大きな撓みが発生した例である。
すなわち、実施例3において、図4に示すシール部材における接触部材64の先端面、及び内側シール体の上面、外側シール体の下面に、フッ素樹系コーティングを施さなかった。その結果、送出ロッドを動かした場合の最大撓み量は500μmに達した。その他の条件は実施例3と同様にして線引きしたところ、線引き中の調芯動作が安定せずに、±1mm程度の振動を繰返した。その結果、製造した光ファイバ素線を測定したところ、偏心量およびクラッド非円が長手方向に変動しており、製品品質の低下が認められた。
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例を説明したが、本発明はこれらの実施形態、実施例に限定されないことはもちろんである。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
12・・・光ファイバ母材、14・・・紡糸用加熱炉、15・・・加熱空間、16・・・光ファイバ裸線、18・・・冷却装置、20・・・樹脂被覆装置、22・・・硬化装置、24・・・光ファイバ素線、30・・・シールドパイプ、31・・・シール空間、32・・・送出ロッド、48・・・調芯機構、54・・・シール部材、56・・・内側シール体、58・・・外側シール体、60・・・ボールトランスファ。

Claims (9)

  1. 紡糸用加熱炉の上部にシールドパイプを設けておき、また石英系光ファイバ母材の上端に送出ロッドを取り付けて、その送出ロッドによって光ファイバ母材を前記シールドパイプの上端からシールドパイプ内及びそれに連続する紡糸用加熱炉内に鉛直に挿入し、紡糸用加熱炉内にガスを導入しながら光ファイバ母材を加熱して、軟化した光ファイバ母材を紡糸用加熱炉から下方に線状に引き出して光ファイバ裸線とし、その光ファイバ裸線を冷却固化させた後、光ファイバ裸線の外周上に樹脂被覆層を形成して光ファイバ素線に仕上げる光ファイバ素線の製造装置において、
    前記送出ロッドを水平面内で移動調整するための調芯機構を設け、
    さらに前記シールドパイプ内における前記送出ロッドの下部に、送出ロッドの水平面内移動に伴って水平方向に移動し得る内側シール体と、その内側シール体に対して相対的に水平面内で移動可能でかつ送出ロッドから離間されしかもシールドパイプの内周面に対して相対的に鉛直方向に移動可能な外側シール体とからなるシール部材を取り付けておき、
    前記外側シール体の外周面と前記シールドパイプの内周面との間、および内側シール体と外側シール体との間において、紡糸用加熱炉内及びシールドパイプ下部内の空間を、シールドパイプ上方の外部空間に対してシールすることを特徴とする光ファイバ素線の製造装置。
  2. 前記内側シール体と外側シール体との間の隙間が調整可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ素線の製造装置。
  3. 前記内側シール体と外側シール体との間の隙間が0.01〜1.0mmの範囲内で調整可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ素線の製造装置。
  4. 前記内側シール体と外側シール体との間に、外側シール体を内側シール体に対して水平面内で移動自在に保持するためのボールトランスファが介在されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の光ファイバ素線の製造装置。
  5. 前記内側シール体と外側シール体との間の隙間が0.01〜1.0mmとされていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ素線の製造装置。
  6. 前記外側シール体の外周面と前記シールドパイプの内周面との間の隙間が0.01〜1.0mmとされていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ素線の製造装置。
  7. 前記紡糸用加熱炉の直下に、紡糸用加熱炉から下方に引き出される光ファイバ裸線の水平面内での位置を検出するための位置検出器を配設しておき、その検出位置に応じて前記調芯機構によって送出ロッドの水平面内の位置を調整するように構成したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの請求項に記載の光ファイバ素線の製造装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかの請求項に記載の光ファイバ素線の製造装置を用いて光ファイバ素線を製造するにあたり、
    前記紡糸用加熱炉の上端における加熱炉内のガス圧力を、5Pa〜500Paの範囲内に調整しながら光ファイバ母材を加熱することを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項7のいずれかの請求項に記載の光ファイバ素線の製造装置を用いて光ファイバ素線を製造するにあたり、
    前記送出ロッドの水平面内での調芯可能な範囲が、水平面内での送出ロッドの撓みの最大範囲よりも大きくなるように前記調芯機構を設定しておくことを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。
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