JP4817339B2 - 加熱炉のシール部材 - Google Patents

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Description

本発明は、炉内にロッドを挿入しつつ熱処理を施す加熱炉において、ロッドと加熱炉の隙間をシールする加熱炉のシール部材に関する。
光ファイバは、光ファイバプリフォーム(以下、単にプリフォームと称する)と呼ばれる石英ガラスロッドを加熱炉内に吊り下げてその一端から溶融し、これを引き取ることで製造される。このときの加熱炉内の温度は2000℃前後と非常に高温であり、ヒーターの材質には一般的にカーボンが採用されている。カーボンは、高温の酸素含有雰囲気中では酸化し損耗するため、加熱炉内はArやHe等の不活性ガス雰囲気に保たれている。
従来の線引き方法を図1を用いて説明する。プリフォーム1は加熱炉2内に垂下される。本図では、加熱方式として誘導加熱方式を用いており、コイル3に高周波電流を印加し、カーボン製の炉芯管4を誘導加熱してヒーターとしている。コイル3と炉芯管4の間には断熱材5が配置されている。炉芯管4からの輻射熱を受けて加熱されたプリフォーム1は溶融し、光ファイバ6として下方へ引き取られる。光ファイバ6は、図示していない樹脂コーティング装置によって樹脂被覆され、図示していない巻き取り装置によってボビンに巻き取られる。
加熱炉上部には、プリフォームの外径よりもわずかに大きな内径を持つ穴あき円盤7が、挿入されるプリフォームの中心軸(以下、ロッド挿入軸と称する)に対して直角すなわち水平に取り付けられ、プリフォームとの隙間をシールしている。また、加熱炉の下部には、内径を調整することのできるアイリス8が取り付けられ、光ファイバとの隙間をシールしている。
線引きして得られる光ファイバの外径は、通常125±1μmに制御されているため、光ファイバ6とアイリス8の隙間は実質的に一定であるが、プリフォーム1と穴あき円盤7との隙間は、プリフォームの外径変動によって大きく変化する。
この隙間の大きさが変動すると、加熱炉2の内部に供給されたAr, He等のガスの流れが変化して光ファイバ6の外径制御が困難になるばかりでなく、隙間が一定以上の大きさになると外気が炉内に侵入し、高温状態にある炉芯管4等のカーボン部材が浸食され、これらの部材の寿命が短くなるばかりでなく、浸食部分から発塵し、これがプリフォーム1の溶融部分に付着することで光ファイバの局所的な外径変動や強度低下を引き起こす。このような事態を防ぐために、プリフォーム1の外径は極めて均一に調整されている必要があった。
しかしながら、VAD法やOVD法といった焼結工程を経由する光ファイバプリフォームの製造は、多孔質ガラスの焼結時、軟化溶融部に作用する重力と多孔質ガラスの収縮力のバランスが長手方向で異なるため、一般に長手方向に外径のばらつきを生じる。
この対策として、特許文献1に開示されているように、プリフォームの伸び縮み量を焼結中モニタして焼結条件をコントロールする方法がある。しかしながら、この方法では、プリフォームのコアをあらかじめ伸び縮みを考慮して長手方向に外径を変化させておく必要があり、コアロッドの周囲へのスート付けも、長手方向にコアロッド径に従ってスート量を調整する必要があり、非常に手間のかかるものであった。
また、スート堆積・焼結して出来上がった外径変動のあるプリフォームを、一度延伸して細径のプリフォームにしてから線引きする場合であっても、特に延伸の開始および終了付近では、仕上がり外径に大きな変動が生じる場合があり、このような部分は線引きに供することができず、廃棄せざるを得なかった。このため、比較的大きな外径変動のあるプリフォームを処理する場合でも、加熱炉とプリフォームの隙間を効果的にシールする方法が考案されてきた。
特許文献2には、複数のリング片を連結して構成された内側シールリングと外側シールリングとを組み合わせて形成したシールリングを、外側シールリングの外周に配置された伸縮バネによって、プリフォーム表面に押し付けることによってシールする方法が開示されている。しかしながら、この方法ではシールリング片が外径変動に伴って均等に動作するようにするために、シールリング片およびその周囲に精密な加工が必要であった。また、組み合わせて動かすためにシールリング片にある程度の高さが必要であり、シール性を向上するために多段に配置すると、シールリングの重量がかなり大きくなる。線引きの際、光ファイバを外径測定機の中心に調整するためにプリフォームをXY方向に移動する必要があるが、重量が大きい場合、シールリングが滑らかに追従せず、思った通りに制御できない。
また、特許文献3には、カーボン光ファイバ製のドーナツ状ブラシによるシール方法が開示されている。この方法は、上記のような精密加工が必要なく軽量であり、常に良好なシールが得られるが、ブラシを構成するカーボン光ファイバが抜け落ち、プリフォーム表面に付着して光ファイバの強度を低下させるおそれがあった。
これらの問題を解決する策として、本発明者が先に提案した特許文献4には、図2に示すような線引き装置において、その加熱炉上端のプリフォーム挿通口に、図3に示すような、耐熱性弾性体からなり、中心孔から径方向に複数の切れ込みの入れられた穴あき円盤を積層したドーナツ円盤積層体9を配置し、その中心孔の内縁がたわむようにしたシール方法が開示されている。この方法は、ロッド挿入(下降)時は良好なシール性が得られるが、ロッドを上昇動作させた場合に問題を生じることがある。
図4は、ロッド挿入時及びロッド上昇時の動作の様子を示している。ドーナツ円盤積層体9は保持部材10に保持されており、その中心孔にロッド1が挿入される。ロッドを下降させる場合は、図4(a)→(b)に示すように、ドーナツ円盤積層体9の内周面が滑らかにロッド1の挿入方向に曲がってロッド表面に沿うために、加熱炉内のガスは良好にシールされるが、ロッドを上昇させる場合は、図4(b)→(c)に示すように、一部のドーナツ円盤の内縁がロッド表面に引っかかって隙間12を形成したり、上方へ折れ曲がった折れ曲がり部分13ができることがある。隙間12は、時間が経過すると急に元の位置に戻ることがあり、その際にガスシール状態が変化して炉内のガス流が変化してしまうことがある。また、最悪の場合、保持部材10全体が持ち上がって加熱炉内に外気が混入し、炉材の酸化劣化によってダストが発生し、光ファイバが破断することがあった。
また、折れ曲がり部分13が生じると、ドーナツ円盤の一部を交換しなければならない。また、グラファイト製のドーナツ円盤積層体を用いた場合は、グラファイトの自己潤滑性のためにこのような引っかかりは生じ難いが、特に膨張黒鉛シートのような、結晶粒の比較的細かいグラファイトでは、グラファイト自身の発塵が問題であり、グラファイト端面から発塵する他、ドーナツ円盤同士の間に入り込んだ塵がプリフォームに付着し、光ファイバ強度を低下させることがあった。さらに、グラファイト性のドーナツ円盤積層体は脆弱であるため、圧縮空気の吹き付けや掃除機吸引による掃除が困難で、特に長期間使用した場合の発塵性が問題であった。
特開2005-8452号公報 特開2006-342030号公報 特開2007-70189号公報 特願2007-191694号
本発明は、ロッドの加熱工程において、ロッドの外径が変化した場合でも、加熱炉上部とロッドとの隙間を効果的にシールすることができる、特に、ロッドの下降時のみならず、上昇時にも安定したシール性能を得ることができる加熱炉シール部材の提供を目的としている。
本発明の加熱炉シール部材は、加熱炉にロッドを挿入しつつ熱処理を施すに際し、該加熱炉のロッド挿通口に、該ロッドを包囲するように耐熱性弾性体箔から成る複数のシールチップを配置し、該シールチップの先端をロッド側面に押しあてることでガスシールを施すシール部材であって、ロッドが挿入されていないときのシールチップ面とロッド挿入軸とが直交しないように、シールチップが配置されていることを特徴としている。なお、シールチップ面とロッド挿入軸のなす角度は、ロッドを挿入しない状態において60°以下とするのが好ましい
複数のシールチップで円錐台側面状曲面を形成し、該円錐台側面状曲面の中央付近にロッドを挿入した際、該円錐台側面状曲面に隙間が生じないようにシールチップを配置する。また、前記複数のシールチップで形成した円錐台側面状曲面をロッド挿入軸方向に積層してシールチップ積層体とし、同一層内でのシールチップ同士の境界が、上下に隣接する層のシールチップ同士の境界と重ならないように配置するのが好ましい。また、前記シールチップ積層体を距離を空けて上下2段に配置することもできる。
なお、シールチップは、タンタル、ニッケル合金又はステンレス合金からなる耐熱性金属シート、あるいは高配向性熱分解黒鉛シートで作製するのが好ましい。
本発明の加熱炉シール部材を用いることにより、加熱炉内の安定して良好なシール状態を得ることができ、光ファイバの線引き炉に用いた場合には、外径変動の極めて小さい光ファイバが得られ、かつ線引き中の破断防止や、線引きされたファイバのプルーフテストでの破断防止に極めて効果がある。
従来の線引き方法を説明する概略縦断面図である。 従来の加熱炉上端のシール方法を説明する概略縦断面図である。 シール部材として、特許文献4に開示されたドーナツ円盤積層体を示す斜視図である。 ロッドの挿入、上昇時におけるドーナツ円盤積層体のロッドとの接触状態を説明する概略縦断面図である。 本発明の加熱炉シール部材を示す斜視図である。 (a)〜(c)は、順にロッドの挿入、上昇時におけるシールチップ積層体のロッドとの接触状態を説明する断面図である。 シールチップ配置角θ1とシールチップ接触角θ2との関係を示す概略縦断面図である。 (a)は、それぞれロッドの種類とシールチップの材質との組み合わせを変えて測定した、シールチップの配置角θ1に対するロッド上昇時に引っかかりが発生しない最大先端接触角θ2との関係を示すグラフである。 (b)は、それぞれロッドの種類とシールチップの材質との組み合わせを変えて測定した、シールチップの配置角θ1に対するロッド上昇時に引っかかりが発生しない最大先端接触角θ2との関係を示すグラフである。 (c)は、それぞれロッドの種類とシールチップの材質との組み合わせを変えて測定した、シールチップの配置角θ1に対するロッド上昇時に引っかかりが発生しない最大先端接触角θ2との関係を示すグラフである。 (d)は、それぞれロッドの種類とシールチップの材質との組み合わせを変えて測定した、シールチップの配置角θ1に対するロッド上昇時に引っかかりが発生しない最大先端接触角θ2との関係を示すグラフである。
本発明の加熱炉シール部材は、加熱炉上部のロッド挿通口に挿入されるロッドを包囲するように、耐熱性弾性体箔から成る複数のシールチップをロッド挿入軸と直交しないように角度を持たせて、かつシールチップ間に隙間を生じないように並べられている。
複数のシールチップをロッドとの間に隙間を生じないように並べるには、例えば、複数のシールチップで円錐台側面状曲面を形成すると良い。この状態でロッドが挿入されると、シールチップの先端部がロッド側面に沿って湾曲し、安定して良好なシール状態が得られる。
隣り合うシールチップ同士の境界に隙間が生じないようにするには、複数のシールチップで形成した円錐台側面状曲面を、同一層内でのシールチップ同士の境界が上下に隣接する層のシールチップ同士の境界と重ならないように位置をずらして配置すると良い。
これには、図5に示す例が挙げられる。シールチップ積層体14は、複数のシールチップ15を敷き詰めて形成した円錐台側面状曲面を積層して形成され、該曲面がロッド挿入軸と直交しない角度で配置されている。隣り合うシールチップ同士の境界は、上下に隣接する層のシールチップ同士の境界と重ならないように配置するのが好ましい。これにより、シール部材面からのガスの漏出を最小限に抑えることができる。
次に、本発明者は、ロッドを上昇させた時に、シールチップ先端がロッドに引っかからない角度範囲を検討した。すなわち、図7において、シールチップ15をロッド挿入軸に対して角度を持たせて配置し、シールチップ面とロッド挿入軸のなす角度(配置角θ1)と、シールチップ15の先端がロッド1と接触してたわんだ部分のなす角(接触角θ2)を測定し、ロッドを上昇させて引っかかりが起こるかどうかを検討した。
使用したロッドは、(1)VAD法で製造された焼結上がりのプリフォームと、(2)該プリフォームをさらに酸水素火炎でファイアポリッシュ処理したものであり、使用したシールチップは、(a)長さ60mm×幅35mm×厚さ0.05mmのタンタル箔と、(b)長さ60mm×幅35mm×厚さ0.1mmのグラファイトシートである。
ロッドを上昇させるた場合、接触角θ2がある角度を超えると、引っかかりを生じてシールチップ先端が上昇し、めくれ上がった。そこで、ロッドを上昇させたときに、シールチップの配置角θ1に対するシールチップ先端が1mm以上引っかかって上昇しない時の最大のシールチップ接触角θ2を測定し、その結果を図8(a)〜(d)に示した。なお、縦軸は上昇時に引っかかりが発生しない最大先端接触角(接触角θ2)であり、横軸はシールチップ配置角度(配置角θ1)である。
なお、図8(a)は、焼結上がりプリフォーム(ロッド)とタンタル箔(シールチップ)との組み合わせで測定したものであり、図8(b)は、ファイアポリッシュしたプリフォームとタンタル箔の組み合わせ、図8(c)は、焼結上がりプリフォームとグラファイトシートの組み合わせ、図8(d)は、ファイアポリッシュしたプリフォームとグラファイトシートの組み合わせで測定したものである。
図からθ1=θ2の関係から外れている部分で、シールチップの引っかかりによる上昇が起こっているのが認められる。また、図8(a)と(b)、又は図8(c)と(d)を比較すると、ロッドは、焼結上がり状態のままの方がファイアポリッシュ処理品よりも引っかかりが起こりやすく、図8(a)と(c)、又は(b)と(d)を比較すると、シールチップは、タンタル製の方がグラファイト製よりも引っかかりが起こりやすい。
焼結上がりプリフォームとタンタル製シールチップの組み合わせである図8(a)から、配置角θ1を60°以下に設定すれば、引っかかりは起こらなくなることが明らかとなった。
以上の結果、シールチップがロッド挿入軸となす角度は60°以下とするのが好ましく、この状態でロッドが挿入されると、シールチップの先端部がロッド側面に沿って湾曲し、安定して良好なシール状態が得られる。なお、60°未満では、シールチップの先端部が折れ曲がったり、めくれ上がることがあり、安定して良好なシール状態が得られないことがある。
次に、シールチップ積層体14は、図5に示したように、複数のシールチップ15を円錐台側面状に並べ積層して作られているが、ロッドがシールチップ積層体14の中央孔に挿入されると、シールチップがたわんで広がるため、面内で隣り合うシールチップ同士の間に隙間が生じる。そのため、隣り合うシールチップ同士の境界が上下層でほぼ重なるように配置されていると、生じた隙間がシールチップ積層体を貫通し、炉外から炉内が見えるようになる。これではガスシールの役が果たせないため、シールチップ積層体に、シールチップ面の垂直方向に貫通する隙間が生じないようにシールチップを配置する必要がある。このために、ある積層面におけるシールチップ同士の境界位置が、上下に隣接する層におけるシールチップ同士の境界位置と重ならないようにシールチップが配置されていると良い。より具体的には、各シールチップの中央に、上下に隣接する層の境界が来るようにすると、最も高いシール性能を発揮させることができる。
ところで、図8(a)〜(d)に示したように、グラファイト製のシールチップの方が、金属(タンタル)製のシールチップよりもロッド上昇時に引っかかりが起こり難く良好であるが、グラファイトシート、特にCCコンポジットや膨張黒鉛シートのような結晶粒の小さなグラファイトの場合、長期間の使用により先端や側面から発塵が起こり、それがロッドの表面に付着して問題を引き起こすことがある。また、CCコンポジットや膨張黒鉛シート製のシールチップは非常に脆いために、シールチップ同士の隙間に入り込んだゴミを掃除機で吸引して効果的に除去しようとすると容易に破損する。
このため、シールチップは、ロッドの上下降に際して、耐熱性に加えてロッドに傷を付けず、かつロッドとの間に隙間が生じないように、高温下での靭性が要求される。これにはタンタル、ニッケル合金(例えば、大同スペシャルメタル社製インコネル601)及びステンレス合金(例えば、SUS310)等が挙げられる。これらの材質を使用することで部材の酸化による侵食や発塵が抑えられ、良好な製造が行える。その他、シールチップには、結晶サイズが非常に大きく、発塵性の低い高配向性熱分解黒鉛シート(例えば、パナソニック社製PGSグラファイトシート)を用いることもできる。高配向性熱分解黒鉛シートは、折れ曲がった場合にも破損することなく、折れ曲がった箇所からの発塵も無いため、膨張黒鉛シートやCCコンポジットと比較して耐久性と信頼性が高く、付着した塵の清掃も容易である。
また、シールチップ積層体を距離を空けて上下2段に配置し、その間に不活性ガスを流すような配置構成とすることもできる。この場合、下段の炉に近い方はより高温になるが無酸素雰囲気であるため、耐酸化性は弱いが耐熱性に優れたタンタルを用い、上段の空気に触れる側のシールチップ積層体には、高温での耐酸化性に優れたインコネル601やSUS310等の合金を用いると良い。高配向性熱分解黒鉛シートは上下段いずれにも使用できる。
実施例1;
長さ60mm、先端の幅約8.7mm、厚さ0.05mmのタンタル箔製シールチップ39枚を、ロッド挿入軸と46.2°の角度をなすように円錐台側面状に敷き詰めたものを5層重ねて、図5に示したような内径108mmのロッド挿入孔を有するシールチップ積層体aとした。このとき、同一層内でのシールチップ同士の境界が、上下に隣接する層のシールチップ同士の境界と重ならないように配置した。シールチップは、石英ガラス製の固定治具にてその外周を固定した。
さらに、長さ60mm、先端の幅約8.7mm、厚さ0.05mmのインコネル601製シールチップ39枚を、ロッド挿入軸と46.2°の角度をなすように円錐台側面状に敷き詰めたものを5層重ねて、内径108mmのシールチップ積層体bとした。このとき、同一層内でのシールチップ同士の境界が、上下に隣接する層のシールチップ同士の境界と重ならないように配置した。シールチップは、石英ガラス製の固定治具にてその外周を固定した。
光ファイバの線引炉上部にシールチップ積層体aを、さらにその上方にシールチップ積層体bを配置し、シールチップ積層体aとbの間にはアルゴンガスを流し、シールチップ積層体aの酸化を防いだ。
線引炉上部から、直胴部の外径が長手方向に160mmから172mmに変動している長さ2000mmの光ファイバプリフォームを挿入し、加熱しつつ線引きを行った。
このプリフォームの約半分を線引きし、線引きされた光ファイバの全長にわたり、外径変動は±0.2μm以内であり、線引き中の破断も無かった。得られた光ファイバを1%×1秒のプルーフテストにかけたところ、平均サバイバル長552kmと良好であった。
なお、1%×1秒のプルーフテストとは、光ファイバの全長にわたり、1%の伸びを与える引っ張り荷重を1秒間かけるテストであり、プルーフテストにかけた光ファイバ中に低強度部が存在すると破断する。破断しなかったファイバの長さをサバイバル長と称し、破断しなかったファイバすべての長さの平均を平均サバイバル長と称する。
実施例2;
さらに、シールチップの材質を、厚さ0.1mmのPGSグラファイトシートに変更して、同様にプリフォームの残り約半分の加熱線引きを行ったところ、線引きされた光ファイバの全長にわたり、外径変動は±0.2μm以内に収まり、線引き中の破断も無かった。得られた光ファイバを1%×1秒のプルーフテストにかけたところ、平均サバイバル長601kmと良好であった。
なお、本発明は、上記態様に限定されず、特許請求の範囲に記載の範囲内において様々な態様が可能である。
1.ロッド、2.加熱炉、3.コイル、4.炉芯管、5.断熱材、6.光ファイバ、7.穴あき円盤、8.アイリス、9.ドーナツ円盤積層体、10.保持部材、12.隙間、13.折れ曲がり部分、14.シールチップ積層体、15.シールチップ。

Claims (7)

  1. 加熱炉にロッドを挿入しつつ熱処理を施すに際し、該加熱炉のロッド挿通口に、該ロッドを包囲するように耐熱性弾性体箔から成る複数のシールチップを配置し、該シールチップの先端をロッド側面に押しあてることでガスシールを施すシール部材であって、ロッドが挿入されていないときのシールチップ面とロッド挿入軸とが直交しないように、シールチップが配置されていることを特徴とする加熱炉シール部材。
  2. ロッドを挿入しない状態において、シールチップ面とロッド挿入軸のなす角度が60°以下である請求項1に記載の加熱炉シール部材。
  3. 複数の前記シールチップで円錐台側面状曲面を形成し、該円錐台側面状曲面の中央付近にロッドを挿入した際、該円錐台側面状曲面に空隙が生じないようにシールチップが配置されてなる請求項1又は2に記載の加熱炉シール部材。
  4. 前記複数のシールチップで形成した円錐台側面状曲面をロッド挿入軸方向に積層してシールチップ積層体とし、同一層内でのシールチップ同士の境界が、上下に隣接する層のシールチップ同士の境界と重ならないように配置されてなる請求項1乃至3のいずれかに記載の加熱炉シール部材。
  5. 前記シールチップ積層体を距離を空けて上下2段に配置してなる請求項4に記載の加熱炉シール部材。
  6. 前記シールチップが、耐熱性金属シートもしくは高配向性熱分解黒鉛シートからなる請求項1乃至5のいずれかに記載の加熱炉シール部材。
  7. 前記耐熱性金属シートが、タンタル又はニッケル合金、もしくはステンレス合金である請求項6に記載の加熱炉シール部材。
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