JP6665695B2 - 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法 - Google Patents

光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6665695B2
JP6665695B2 JP2016111427A JP2016111427A JP6665695B2 JP 6665695 B2 JP6665695 B2 JP 6665695B2 JP 2016111427 A JP2016111427 A JP 2016111427A JP 2016111427 A JP2016111427 A JP 2016111427A JP 6665695 B2 JP6665695 B2 JP 6665695B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical fiber
drawing furnace
seal structure
blade member
housing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016111427A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017218329A (ja
Inventor
巌 岡崎
巌 岡崎
青木 誠
誠 青木
山崎 卓
卓 山崎
小西 達也
達也 小西
吉村 文雄
文雄 吉村
智哉 鈴木
智哉 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2016111427A priority Critical patent/JP6665695B2/ja
Publication of JP2017218329A publication Critical patent/JP2017218329A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6665695B2 publication Critical patent/JP6665695B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Description

本発明は、光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法に関し、詳細には、光ファイバ用線引炉の上端開口部と上端開口部から挿入される光ファイバ用ガラス母材との間の隙間を塞ぐための光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法に関する。
光ファイバは、石英を主成分とする光ファイバ用ガラス母材(以下、ガラス母材という)を光ファイバ用線引炉(以下、線引炉という)の上端開口部から炉心管内に挿入し、ガラス母材の先端が加熱溶融して細径化されることにより、線引炉の下方から線引きされる。このときの線引炉内の温度は、約2000℃と非常に高温となるので、線引炉内の部品には、耐熱性に優れたカーボンが用いられている。
この場合、線引炉内を陽圧にし、外気(酸素)が線引炉内に入り込むことを防いでいるが、線引炉の上端開口部とガラス母材との隙間でうまく気密が取れていないと(シールされていないと)、外気を線引炉内に巻き込んで線引炉の寿命に影響を与える。例えば、特許文献1には、線引炉の上端開口部とガラス母材との隙間を塞ぐためのシール構造の技術が開示されている。
特開2012−106915号公報
ところで、上記特許文献1の技術では、ガラス母材の側面に当接するブレード部材(封止要素)が筐体(チャンバ)に収容されているが、通常、線引炉内の部材としてカーボンが多く使用されており、酸素が線引炉内に混入するとこれら部材が酸化劣化する。このため、筐体内に供給したガスの全部または一部が線引炉内へ漏れ出ることを考慮し、筐体内を線引炉内と同じ不活性ガス雰囲気としている。しかしながら、筐体内を不活性ガス雰囲気にし、ブレード部材やガイド部材に、カーボンや石英、金属を使用すると、高温下ではブレード部材の接触面の摩擦係数が増加し、ブレード部材の摺動性が低下する場合があることが判明した。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、摩擦係数の増加を抑えてブレード部材の摺動性を良好に維持する光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光ファイバ用線引炉のシール構造は、光ファイバ用線引炉の上端開口部と該上端開口部から挿入される光ファイバ用ガラス母材との間の隙間を塞ぐための光ファイバ用線引炉のシール構造であって、前記光ファイバ用ガラス母材の周方向側面に当接するブレード部材と、該ブレード部材を収容すると共に、該ブレード部材を摺動自在に支持するガイド部材を収容した筐体とを備え、該筐体内における前記ブレード部材と前記ガイド部材との摺動面の少なくとも一部または全部が、少なくとも水分あるいは酸素を0.1%以上含む雰囲気の空間にある。
上記によれば、摩擦係数の増加を抑えてガイド部材に対するブレード部材の摺動性を良好に維持することができる。
本発明の一実施形態による光ファイバ用線引炉の概略を説明する図である。 シール構造の一例を示す図である。 図2のブレード部材およびガイド部材を説明する図である。 図2のA−A矢視断面図である。 シール構造の円筒スリットバネの一例を示す図である。 ブレード部材の他の例を示す図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一態様に係る光ファイバ用線引炉のシール構造は、(1)光ファイバ用線引炉の上端開口部と該上端開口部から挿入される光ファイバ用ガラス母材との間の隙間を塞ぐための光ファイバ用線引炉のシール構造であって、前記光ファイバ用ガラス母材の周方向側面に当接するブレード部材と、該ブレード部材を収容すると共に、該ブレード部材を摺動自在に支持するガイド部材を収容した筐体とを備え、該筐体内における前記ブレード部材と前記ガイド部材との摺動面の少なくとも一部または全部が、少なくとも水分あるいは酸素を0.1%以上含む雰囲気の空間にある。筐体内を、水分を含む雰囲気あるいは酸素を含む雰囲気にすることにより、摩擦係数の増加を抑えてガイド部材に対するブレード部材の摺動性を良好に維持することができる。
(2)前記水分あるいは酸素を含む雰囲気が大気雰囲気である。筐体内を大気雰囲気(酸素が21%、湿度0.1〜80%程度の空気からなる雰囲気)にすれば、水分を含む雰囲気あるいは酸素を含む雰囲気の空間を容易に形成可能になる。
(3)前記光ファイバ用線引炉内の圧力が、前記筐体内の圧力よりも高い。線引炉内を筐体内よりも陽圧にし、筐体内の水分や酸素が線引炉内に入り込むのを防止できる。
(4)前記ブレード部材あるいは前記ガイド部材の少なくとも一方がカーボンで形成されている。筐体内を、水分を含む雰囲気あるいは酸素を含む雰囲気にすることにより、いずれかの部材にカーボンが用いられたとしても、高温下でカーボンの自己潤滑性が失われないので、摩擦係数の増加を抑制できる。
(5)前記ブレード部材あるいは前記ガイド部材の少なくとも一方が金属で形成されている。筐体内を、水分を含む雰囲気あるいは酸素を含む雰囲気にすることにより、いずれかの部材に金属が用いられたとしても、表面の酸化膜を維持できるため、摩擦係数の増加を抑制できる。
(6)前記金属として、ステンレス、二硫化モリブデン、フッ素コート金属、金メッキ金属、窒化クロムコート金属、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コート金属の何れかを含むとよい。
(7)前記ブレード部材あるいは前記ガイド部材の少なくとも一方が石英ガラスで形成されている。筐体内を、水分を含む雰囲気あるいは酸素を含む雰囲気にすることにより、いずれかの部材に石英ガラスが用いられたとしても、石英ガラス表面を清浄な状態にしないことで、摩擦係数の増加を抑制できる。
(8)前記ブレード部材は、複数の材質からなる。ブレード部材を複数の材質から構成し、ガラス母材に当接する前方部の材料と、ガイド部材に対して摺動する後方部の材料とを変えることにより、前方部をガラスに接触しても問題ない材料(カーボン、石英ガラス)とし、後方部をその他の材料(金属など)にすることができる。
(9)前記ガイド部材は水冷される。水冷することで、ガイド部材に使用するカーボンや金属が、熱により劣化するのを抑制することができる。
(10)本発明の一態様に係る光ファイバの製造方法は、上記いずれかの光ファイバ用線引炉のシール構造を用いて光ファイバを線引きする。上述のシール構造を用いているため、線引き中の気密能力を維持することができる。また、ガラス母材の挿入時や取出し時におけるガラス母材やシール構造の破損も防止できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら、本発明による光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法の好適な実施の形態について説明する。なお、以下ではヒータにより炉心管を加熱する抵抗炉を例に説明するが、コイルに高周波電源を印加し、炉心管を誘導加熱する誘導炉にも、本発明は適用可能である。また、ガラス母材の吊り下げ機構や、断熱材の構成なども、下記で説明するのは一例であり、これに限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態による光ファイバ用線引炉の概略を説明する図である。線引炉1は、炉筐体2と、炉心管3と、加熱源(ヒータ)4と、シール構造10とを備えている。炉筐体2は、上端開口部2aと下端開口部2bを有し、例えば、ステンレス鋼製で形成されている。炉心管3は、炉筐体2の中央部に円筒状で形成され、上端開口部2aと連通している。炉心管3はカーボン製であり、この炉心管3内には、ガラス母材5が上端開口部2aからシール構造10でシールされた状態で挿入される。
炉筐体2内には、ヒータ4が炉心管3を囲むように配置され、断熱材7がヒータ4の外側を覆うように収納されている。ヒータ4は、炉心管3の内部に挿入されたガラス母材5を加熱溶融し、その下端部5aから溶融縮径された光ファイバ5bを垂下させる。ガラス母材5は、別途設けた移動機構により線引方向(下側方向)に移動可能であり、ガラス母材5の上側には、ガラス母材5を吊り下げて支持するための支持棒6が連結されている。また、線引炉1には不活性ガス等による炉内ガスの供給機構(図示省略)が設けられ、炉心管3内やヒータ4の周りに、酸化や劣化防止のための不活性ガス等を供給可能である。
なお、図1では、炉心管3の内壁の上端部がそのまま上端開口部2aを形成している例を挙げているが、これに限ったものではない。例えば、炉心管3の内径dよりさらに狭い上端開口部となる上蓋を炉心管3の上側に設けてもよく、この場合にシール対象となる隙間は、この狭い上端開口部とガラス母材5との間に生じる隙間となる。また、ガラス母材5の断面形状は、基本的に真円を目指して生成されたものとするが、その精度を問わず一部で非円が存在してもよく、また楕円形などであってもよい。また、上端開口部2aの断面は円形としておけばよいが、この精度は問わない。
本発明の一実施形態は、線引炉1の上端開口部2aと上端開口部2aから挿入されたガラス母材5の外周との間の隙間Sを塞ぐためのシール構造10を対象とするものであり、特に、上端開口部2aに設けたシール構造10によって炉外の外気を巻き込まないようにしながら、線引炉内のガラス母材5をヒータ4により加熱している。
以下、図2〜図5を参照してシール構造の一例を説明する。図2はシール構造の一例を示す図、図3は図2のブレード部材およびガイド部材を説明する図、図4は図2の筐体内におけるA−A矢視断面図であり、図5は、シール構造の円筒スリットバネの一例を示す図である。
シール構造10は、耐熱性を持った複数のブレード部材14,15と、これらブレード部材14,15や、ブレード部材14,15を直線的にスライド移動させるためのガイド部材16,17を収容する筐体11とを備えている。なお、筐体の一部がガイド部材となるように、筐体とガイド部材とを一体成型した構成としてもよい。
図2に示すように、筐体11は、同心の貫通孔を有した円盤状の部材であり、図2を拡大した図3(A)に示すように、ブレード部材15を挿通させるための開口11bや、図3(A)よりも奥の断面図である図3(B)に示すように、ブレード部材14を挿通させるための開口11aが、筐体11の内周面上に、例えば互い違いに設けられている。なお、筐体11は、例えばステンレス鋼製で形成され、ブレード部材14,15を例えば400℃以下(カーボン製のブレード部材の場合には300℃以下にすることが好ましい)となるように冷却する機構(例えば水冷方式)を有することもでき、これにより、後述するガイド部材を冷却することができる。
ブレード部材14,15は、筐体11の中心軸に対して、それぞれ放射状に延びて筐体11内に設置され、ブレード部材14は筐体11の内周面に沿って等間隔で複数設けられ、ブレード部材15も筐体11の内周面に沿って等間隔で複数設けられている。ブレード部材14,15は、例えば、移動方向に垂直な面での断面形状が略長方形となる略直方体形状であり、上下2段で互い違いに配されている。
また、図3に示すように、ブレード部材14,15は、筐体11から突出してガラス母材の周方向側面に当接可能な先端部14a,15a、図4にも示すように、筐体11内でガイド部材16,17に接触して摺動する外周面部14b,14c,14d,14e,15b,15c,15d,15e、ブレード部材を押圧する、例えば後述するような円筒スリットバネ18に当接する後端部14f,15fで構成されている。なお、外周面部14b〜14e,15b〜15eが本発明の摺動面に相当する。
先端部14a,15aは、ガラス母材の側面に当接した際に、ガラス母材との隙間を可能な限り小さくする必要がある。このため、先端部14a,15aの先端は、ガラス母材の半径として想定される最大値(使用されるガラス母材の最大径)に合うような曲率を持つ円弧形状にしておくことが好ましい。
先端部14a,15aがガラス母材の側面に当接した際に、先端部14aと先端部15aとの間は、上下方向に隙間が生じないようにし、さらに、隣接する先端部14aで生じる隙間を先端部15aで埋めて、隣接する先端部15aで生じる隙間を先端部14aで埋めている。これにより、図1の隙間Sを塞ぎ、外気を炉内に巻き込まないようにシールすることができる。
ブレード部材14,15の材料はカーボンであることが好ましい。カーボンは、耐熱性に優れるだけでなく、やわらかい素材であるためガラス母材を傷付ける心配もない。特に、本例のブレード部材14,15には、ショア硬度100以下の軟質のカーボンを採用することが好ましい。また、カーボンは、プレス成型や削り出しなどにより容易に成型することができる点でも好ましい。
また、ブレード部材14,15の材料としては、カーボンの他に、例えば、石英ガラス、SiCコートカーボンなどを採用することもできる。他の硬質の材料を用いた場合でも、例えば、先端部分のみだけでも軟質のカーボンを使用することで、ガラス母材を傷付けないようにすることは可能である。
なお、上述したブレード部材14,15の幅や枚数は、使用するガラス母材の外径や外径変動量や曲がり量などに応じて、適宜選べばよい。
ガイド部材16,17は、図3,4に示すように、ブレード部材14,15の外周面部14b〜14e,15b〜15eを挿通させる筒状に形成され、例えば筐体11の底面、上面に設置されている。詳しくは、ガイド部材16,17は、ブレード部材14の外周面部14b〜14eの周囲に位置する摺動面16c〜16e,17dを有し、この摺動面16c〜16e,17dがブレード部材14の外周面部14b〜14eに四方から当接可能に構成されている。また、摺動面17dよりも低い位置で、ブレード部材15の外周面部15b〜15eの周囲に位置する摺動面16b,17b,17c,17eを有し、この摺動面16b,17b,17c,17eがブレード部材15の外周面部15b〜15eに四方から当接可能に構成されている。なお、ガイド部材16,17の摺動面16b〜16e,17b〜17eも本発明の摺動面に相当する。
ガイド部材16,17の材料もカーボンであることが好ましいが、窒化ボロン(BN)や、金属の場合にはステンレス、二硫化モリブテン(MoS2)などの金属を採用することもできる。あるいは、酸化膜を有した金属、フッ素コートや金メッキ、窒化クロムコート、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コートなどの各種コーティングを施した金属、若しくは石英ガラスなどを採用してもよい。
次に、ブレード部材を押圧する機構の一例である円筒スリットバネ18は、ブレード部材14,15の後端部14c,15cに当接するように設置されており、図5に示すように、上方向からのスリット18aと下方向からのスリット18bとが互い違いに形成されている。なお、円筒スリットバネ18の材料は、耐熱性の材料、例えば、カーボン、セラミックス、カーボン−セラミックス複合材、金属材のいずれかで形成されていることが望ましく、200℃以上の耐熱性を持つことが好ましい。
円筒スリットバネ18による円筒径方向への収縮力により、複数のブレード部材14,15の先端をガラス母材の側面に当接させる。これにより、線引きの進行によりガラス母材5が図2に矢印で示すように下降し、ガラス母材5の外径が、例えば、φ1からφ2(>φ1)まで増加しても、円筒スリットバネ18は、周方向に均一にブレード部材14,15を締め付けた状態で外側に延びる。逆にガラス母材5の外径が減少した場合、円筒スリットバネ18は、周方向に均一にブレード部材14,15を締め付けた状態で内側に縮むことができる。なお、円筒スリットバネ18はブレード部材を押圧する機構の一例であり、スリットバネ以外でも、ガスの給排気でブレード部材を押し引きしたり、コイルバネやエアシリンダを用いたりしてもよい。
ところで、図2に示した筐体11には、その内部の大気溜り12と筐体11の外部とを接続し、外部から空気を導入する給排ポート13が設けられており、この筐体11内におけるブレード部材14,15とガイド部材16,17との摺動面は、少なくとも水分あるいは酸素を0.1%以上含む雰囲気の空間に配置されている。
カーボンのブレード部材とガイド部材を使用した場合、水分や酸素が無い高温の不活性ガス雰囲気ではカーボン同士の結合が強固になってしまうため、摺動性が悪化し、その後、室温に下がっても摺動性は悪化した状態が維持される。しかし、筐体内を、水分を含む雰囲気(乾燥していない雰囲気)や酸素を含む雰囲気にすれば、カーボン同士の結合が強固にならず、ガイド部材に対するブレード部材の摺動性を良好に維持することができる。すなわち、水分や酸素を含む雰囲気にすれば、カーボンの自己潤滑性が失われないので、摩擦係数の増加を抑制できる。
なお、水分や酸素が無い高温の不活性ガス雰囲気となる箇所では、部材同士を接触させないことが好ましく、例えば線引炉内の雰囲気に近い、筐体11とブレード部材14,15との間には若干の隙間を空け、接触しないようにしておくことが好ましい。
また、例えば、酸化膜を有した金属をガイド部材に用いた場合、不活性ガス雰囲気では酸化膜が除去されるため、摺動性が悪化するが、筐体内に外気(酸素)を供給して、筐体内を、酸素を含む雰囲気にすれば、摩擦係数の増加を抑制できるので、ブレード部材の摺動性を良好に維持することができる。
また、例えば、石英ガラスのブレード部材とガイド部材を使用した場合、筐体内を、水分を含む雰囲気(乾燥していない雰囲気)にすれば、清浄化によって洗浄研磨された乾燥状態で大きくなる摩擦が生じないので、ブレード部材の摺動性を良好に維持することができる。
ブレード部材にカーボンを用い、ガイド部材にカーボン以外の材料を用いた場合など、それぞれの部材として上記した材料を組み合わせた場合も、同様に、筐体内を水分あるいは酸素を含む雰囲気にすれば、摺動面において摩擦係数の増加が生じにくくなり、ブレード部材の摺動性を良好に維持することができる。
そして、摩擦係数の増加を抑制したシール構造を用いた光ファイバの製造方法によれば、線引き中の気密能力を維持することができる。また、ガラス母材の挿入時や取出し時には、ブレード部材の摺動性を良好に維持できるため、ガラス母材が引っ掛かることなく、ガラス母材やシール構造の破損も防止できる。
なお、線引中における線引炉内の圧力は、筐体内の圧力よりも大きくすることが好ましい。線引炉内を陽圧にし、筐体内の水分や酸素が線引炉内に入り込むのを防止するためである。また、大気溜り12には例えば湿度センサあるいは酸素センサなどを設け、コントローラ(図示省略)からの指示に応じて給排ポート13から大気溜り12に外気を供給してもよい。
また、例えばガスの給排気でブレード部材を押し引きする場合、ブレード部材とガイド部材との摺動面を少なくとも水分あるいは酸素を含む雰囲気の空間に置きつつ、給排ポートから筐体内のガスを供給(筐体内にガス溜りを形成)してブレード部材をガラス母材の側面に当接させる一方、給排ポートから筐体内のガスを排出してブレード部材をガラス母材の側面から離すことも可能である。
図6は、ブレード部材の他の例を示す図である。ブレード部材14の例を挙げて説明すると、ブレード部材14は、ガラス母材に当接する前方部14gの材料と、ガイド部材に対して摺動する後方部14hの材料とを変更した、複合材料で構成してもよい。なお、この場合、後方部14hの側面が本発明の摺動面に相当する。
具体的には、前方部14gの材料には、上述したカーボン、石英ガラス、SiCコートカーボンなどを採用するのに対し、後方部14hの材料としては、上述したカーボンの他に、窒化ボロン(BN)、金属の場合にはステンレスや二硫化モリブテン(MoS2)など、前方部14gとは異なる材料を採用することもできる。あるいは、酸化膜を有した金属、フッ素コートや金メッキ、窒化クロムコート、DLCコートなどの各種コーティングを施した金属、若しくは石英ガラスなどを採用してもよい。このような構成にすることで、母材と接触する材質をカーボンや石英などのガラス母材に接触しても問題ない(強度劣化や断線が生じない)材質を選定し、摺動面については、色々な材質の中から、より摩擦が生じにくい材質を選定することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…光ファイバ用線引炉、2…炉筐体、2a…上端開口部、2b…下端開口部、3…炉心管、4…ヒータ、5…光ファイバ用ガラス母材、5a…下端部、5b…光ファイバ、6…支持棒、7…断熱材、10…シール構造、11…筐体、11a,11b…開口、12…大気溜り、13…給排ポート、14,15…ブレード部材、14a,15a…先端部、14b,14c,14d,14e,15b,15c,15d,15e…外周面部、14f,15f…後端部、14g…前方部、14h…後方部、16,17…ガイド部材、16b,16c,16d,16e,17b,17c,17d,17e…摺動面、18…円筒スリットバネ、18a,18b…スリット。

Claims (10)

  1. 光ファイバ用線引炉の上端開口部と該上端開口部から挿入される光ファイバ用ガラス母材との間の隙間を塞ぐための光ファイバ用線引炉のシール構造であって、
    前記光ファイバ用ガラス母材の周方向側面に当接するブレード部材と、該ブレード部材を収容すると共に、該ブレード部材を摺動自在に支持するガイド部材を収容した筐体とを備え、
    該筐体内における前記ブレード部材と前記ガイド部材との摺動面の少なくとも一部または全部が、少なくとも水分あるいは酸素を0.1%以上含む雰囲気の空間にある、光ファイバ用線引炉のシール構造。
  2. 前記水分あるいは酸素を含む雰囲気が大気雰囲気である、請求項1に記載の光ファイバ用線引炉のシール構造。
  3. 前記光ファイバ用線引炉内の圧力が、前記筐体内の圧力よりも高い、請求項1または2に記載の光ファイバ用線引炉のシール構造。
  4. 前記ブレード部材あるいは前記ガイド部材の少なくとも一方がカーボンで形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ用線引炉のシール構造。
  5. 前記ブレード部材あるいは前記ガイド部材の少なくとも一方が金属で形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ用線引炉のシール構造。
  6. 前記金属は、ステンレス、二硫化モリブデン、フッ素コート金属、金メッキ金属、窒化クロムコート金属、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コート金属の何れかを含む、請求項5に記載の光ファイバ用線引炉のシール構造。
  7. 前記ブレード部材あるいは前記ガイド部材の少なくとも一方が石英ガラスで形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ用線引炉のシール構造。
  8. 前記ブレード部材は、複数の材質からなる、請求項4〜7のいずれか1項に記載の光ファイバ用線引炉のシール構造。
  9. 前記ガイド部材は水冷される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光ファイバ用線引炉のシール構造。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光ファイバ用線引炉のシール構造を用いて光ファイバを線引きする、光ファイバの製造方法。
JP2016111427A 2016-06-03 2016-06-03 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法 Active JP6665695B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016111427A JP6665695B2 (ja) 2016-06-03 2016-06-03 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016111427A JP6665695B2 (ja) 2016-06-03 2016-06-03 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017218329A JP2017218329A (ja) 2017-12-14
JP6665695B2 true JP6665695B2 (ja) 2020-03-13

Family

ID=60657219

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016111427A Active JP6665695B2 (ja) 2016-06-03 2016-06-03 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6665695B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20220024800A1 (en) * 2018-11-21 2022-01-27 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Seal structure of wire drawing furnace for optical fiber, and production method for optical fiber

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4404015B2 (ja) * 2005-06-10 2010-01-27 日立電線株式会社 光ファイバ線引装置、該装置に用いるシール機構、及び光ファイバの線引き方法
JP4817339B2 (ja) * 2009-02-17 2011-11-16 信越化学工業株式会社 加熱炉のシール部材
JP5821514B2 (ja) * 2010-10-19 2015-11-24 住友電気工業株式会社 光ファイバ母材のシール構造
JP5768484B2 (ja) * 2011-05-12 2015-08-26 住友電気工業株式会社 耐熱ばね及びそれを用いた光ファイバ用線引炉のシール構造
JP2012246159A (ja) * 2011-05-26 2012-12-13 Sumitomo Electric Ind Ltd 光ファイバ用線引炉のシール構造
JP6048190B2 (ja) * 2013-02-12 2016-12-21 住友電気工業株式会社 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの線引方法
JP6024475B2 (ja) * 2013-01-24 2016-11-16 住友電気工業株式会社 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの線引方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017218329A (ja) 2017-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5023016B2 (ja) 光ファイバ製造装置および線引き炉のシール方法
WO2012053394A1 (ja) 光ファイバ用線引炉のシール構造
JP6665695B2 (ja) 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法
JP6048190B2 (ja) 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの線引方法
JP6024475B2 (ja) 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの線引方法
US10502636B2 (en) Temperature-measuring stick with an easily replaceable thermocouple
JP6729171B2 (ja) 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法
JP6677123B2 (ja) 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法
JP6421569B2 (ja) 光ファイバ製造方法及び光ファイバ製造装置
JP5821514B2 (ja) 光ファイバ母材のシール構造
JP6816670B2 (ja) 光ファイバ用線引炉のシール構造、光ファイバの製造方法
CN113165942B (zh) 光纤用拉丝炉的密封构造、光纤的制造方法
JP7334724B2 (ja) 炉内ガス供給装置、光ファイバ製造装置、光ファイバの製造方法
CN219556334U (zh) 加热机构及气溶胶生成装置
JP5768484B2 (ja) 耐熱ばね及びそれを用いた光ファイバ用線引炉のシール構造
JP4755688B2 (ja) 外側バルブを備えた電気的なランプ
JP2013203623A (ja) 光ファイバ用線引炉および線引方法
JP2013040085A (ja) 加熱炉
JP2012169174A (ja) ヒータ管
JP2024092844A (ja) 加熱炉
JP2007017101A (ja) 流体加熱装置
KR20140116000A (ko) 히터 장치 및 열처리 장치
JP2024022038A (ja) ガラス母材の加熱装置及びガラス母材の製造方法
KR100641939B1 (ko) 이동 가능한 mcvd 공정용 보조 가열 장치
KR20050011585A (ko) 광섬유 프리폼 제조를 위한 μcvd 공정용 수트 제거봉및 이를 이용한 수트 제거장치

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160614

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190422

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6665695

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250