JP2010132505A - 光ファイバ製造装置、光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光ファイバ母材Fが挿入される炉心管2を内部に有する紡糸炉3の端部に、前記光ファイバ母材Fをシールするリング状のシール部材を有するシール機構Sを具備し、シール部材としてその内周側から切り込むように形成された内周側スリット及び外周側から切り込むように形成された外周側スリットを有してなるスリット付きカーボンシート21を用いた光ファイバ製造装置100、光ファイバの製造方法を提供する。
【選択図】図1
Description
しかし、一体化しながら光ファイバまで一度に線引きする後者の場合、炉心管内部のガス流が重要であるため大流量でのガスシールはファイバ径変動の原因となる。そのため大流量のガスシールを用いることなく、炉心管と光ファイバ母材をシールできることが必要である。
また、ダミー石英管はリサイクルすることもできるため、使用回数とともに外径が細くなる可能性がある。つまり、光ファイバ用石英ガラス管とダミー石英管とには外径差が必然的に生じてしまうことになる。さらに、光ファイバ用石英ガラス管の端部まで線引きしようとした場合、線引き工程の後半において、光ファイバ用石英ガラス管とダミー石英管の溶接部が炉心管内部に入ることになる。
特許文献1に示される光ファイバ線引炉では、光ファイバ母材径に相当する穴をあけたカーボンシートをガスシールと併用することで、炉心管内をわずかに陽圧に保ら、外気の混入及び炉心管内部からのダストの飛散を防止できるものである。
具体的には、特許文献1に示される光ファイバ線引炉では、光ファイバ母材径に相当する穴をあけたカーボンシートをガスシールとして併用しているが、該カーボンシートに開けられた穴の内径が一定であるために、光ファイバ母材径の変化に伴ない、光ファイバ母材とカーボンシートの穴との間に隙間が生じる。これによって炉心管内の圧力が変化するが、その圧力変化を是正するためにガス流量の調整を行う必要がある。しかしながら、線引き途中のガス流量の変化はファイバ径の変動要因となり好ましくない。
第1の発明は、光ファイバ母材が挿入される炉心管を内部に有する紡糸炉と、該紡糸炉の端部に中心を同じくして配置されたリング状のシール部材によって該シール部材の中央に形成された開口部に挿通した光ファイバ母材をシールするシール機構と、を具備し、前記紡糸炉内で加熱された光ファイバ母材を線引きすることで光ファイバを製造する光ファイバ製造装置において、前記シール機構は、前記シール部材として、該シール部材の内周から切り込むように形成されたスリットである内周側スリットと、該シール部材の外周から切り込むように形成されたスリットである外周側スリットとをそれぞれ複数有してなるスリット付きシール部材を具備して構成されていることを特徴とする光ファイバ製造装置を提供する。
第2の発明は、前記シール部材のスリットは、前記光ファイバ母材が挿通される前記開口部の半径方向に沿うように形成されているとともに、内周側スリットと外周側スリットとが、該シール部材の周方向に沿って互い違いに配置されていることを特徴とする第1の発明の光ファイバ製造装置を提供する。
第3の発明は、前記シール部材はカーボンシートからなることを特徴とする第1又は2の発明の光ファイバ製造装置を提供する。
第4の発明は、前記シール機構は、前記スリット付きシール部材と中心を同じくしかつ軸方向に間隔をおいてスリットを有していないシール部材であるスリット無しシール部材が配置されてなることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明の光ファイバ製造装置を提供する。
第5の発明は、前記シール機構は前記スリット無しシール部材を複数具備し、前記スリット付きシール部材は軸方向に互いに離隔して設けられたスリット無しシール部材の間に配置されていることを特徴とする第4の発明の光ファイバ製造装置を提供する。
第6の発明は、前記スリット無しシール部材の開口部内径は、前記光ファイバ母材の最大径よりも大きく設定されていることを特徴とする第4又は5の発明の光ファイバ製造装置を提供する。
第7の発明は、前記スリット付きシール部材の開口部内径は、前記光ファイバ母材の最小径よりも小さく設定されていることを特徴とする第1〜6のいずれかの発明の光ファイバ製造装置を提供する。
第8の発明は、前記光ファイバ母材の端部にダミー石英管が接合されていることを特徴とする第1〜7のいずれかの発明の光ファイバ製造装置を提供する。
第9の発明は、紡糸炉の内部に設けられた炉心管に光ファイバ母材を挿入し、前記紡糸炉の端部に中心を同じくして配置されたリング状のシール部材によって該シール部材の中央に形成された開口部に挿通した光ファイバ母材をシールした状態で、前記光ファイバ母材を線引きすることで光ファイバを製造する光ファイバ製造方法において、前記シール部材として、該シール部材の内周から切り込むように形成されたスリットである内周側スリットと、該シール部材の外周から切り込むように形成されたスリットである外周側スリットとをそれぞれ複数有してなるスリット付きシール部材を1以上用い、該スリット付きシール部材の開口部に前記光ファイバ母材が挿通された状態で前記光ファイバ母材を線引きすることを特徴とする光ファイバの製造方法を提供する。
第10の発明は、前記シール部材のスリットとして、前記光ファイバ母材が挿通される前記開口部の半径方向に沿うように形成されているとともに、内周側スリットと外周側スリットとが、該シール部材の周方向に沿って互い違いに配置されているものを用いることを特徴とする第9の発明の光ファイバの製造方法を提供する。
第11の発明は、前記シール部材として、カーボンシートからなるものを用いることを特徴とする第9又は10の光ファイバの製造方法を提供する。
第12の発明は、前記紡糸炉の端部に、前記スリット付きシール部材と中心を同じくしかつ軸方向に間隔をおいてスリットを有していないシール部材であるスリット無しシール部材と、前記スリット付きシール部材とを具備してなるシール機構を配置し、全てのシール部材の開口部に前記光ファイバ母材が挿通された状態で前記光ファイバ母材を線引きすることを特徴とする第9〜11のいずれかの光ファイバの製造方法を提供する。
第13の発明は、前記紡糸炉の端部に前記スリット無しシール部材を複数設け、前記スリット付きシール部材を軸方向に互いに離隔して設けられたスリット無しシール部材の間に配置し、全てのシール部材の開口部に前記光ファイバ母材が挿通された状態で前記光ファイバ母材を線引きすることを特徴とする第12の光ファイバの製造方法を提供する。
第14の発明は、前記スリット無しシール部材として、その開口部内径が、前記光ファイバ母材の最大径よりも大きく設定されているものを用いることを特徴とする第12又は13の光ファイバの製造方法を提供する。
第15の発明は、前記スリット付きシール部材として、その開口部内径が、前記光ファイバ母材の最小径よりも小さく設定されているものを用い、前記スリット付きシール部材の弾性変形によって該スリット付きシール部材の内周縁を前記光ファイバ母材の外周に弾性付勢し接触させた状態で、光ファイバ母材を線引きすることを特徴とする第9〜14のいずれかの光ファイバの製造方法を提供する。
第16の発明は、前記紡糸炉の炉内空間を、真空引きによる減圧と不活性ガスの導入によるガスパージとを同時に行うことによって陽圧に保ち、該炉内空間の前記シール部材側の端部における酸素濃度を200ppm以下とした状態で前記光ファイバ母材を線引きすることを特徴とする第9〜15のいずれかの光ファイバの製造方法を提供する。
第17の発明は、前記光ファイバ母材として、その端部にダミー石英管が接合されているものを用いることを特徴とする第9〜16のいずれかの光ファイバの製造方法を提供する。
スリット付きシール部材の変形によって、内周側スリット間のシール片の先端、すなわちスリット付きシール部材の内周縁を光ファイバ母材に密着状態に接触させることが可能となり、光ファイバの線引き中に光ファイバ母材の外径変動があった場合、及び光ファイバ用石英ガラス管とダミー石英管に外径差があった場合でも、隙間を発生させず、光ファイバ母材との良好なシール性を維持することができる。その結果、外気の進入を防止することができ、紡糸炉内の酸素濃度を目的値以下(例えば炉内空間の前記シール部材側の端部における酸素濃度200ppm以下)に抑えるといったことも容易に実現でき、ファイバ径を安定化させることが可能となり、紡糸炉内のカーボン製の炉心管やヒータの劣化防止及び寿命延長を図ることができる。
また、従来のような、シール性を維持するための重りが不要となり、光ファイバ母材を傷つけるという問題(特許文献2)、シールリング構成部材の接合不良及び錆発生の問題(特許文献3)、粉体の大量発生による作業不良の問題(特許文献4)も発生させることなく、均一な径の光ファイバを製造することが可能となる。
本発明は、まず、紡糸炉内に充填される酸素濃度が一定値以下であるとファイバ径が安定するという事実に着目し、該酸素濃度を一定の範囲とすることによってファイバ径の安定性を図るという目的のために、光ファイバ母材が紡糸炉に挿入される箇所のシール性を充分な状態に維持する光ファイバ製造装置及び光ファイバの製造方法を提供するものである。
しかしながら、光ファイバの紡糸において若干の外形変動があること、及び光ファイバには若干の非円を有していることが知られており、光ファイバの全長に渡ってφ125.0μmとすることは困難である。また、市販の外径測定器(例えば、アンリツ社製のレーザー外径測定器、型番;KL−151A・TW)には、アベレージングや温度等による測定誤差があることが知られている。以上により、中心値をφ125.0μmとして、光ファイバの外径変動の公差が±0.2μmであれば、好適であるということができる。もしくは、光ファイバ外径が安定していると表現できる。従って、光ファイバ外径を全長にわたってφ125.0±0.2μmにすることは、光ファイバ径の安定性を向上させる手法であると言うことができる。一般に、光ファイバ外径が不安定であると光ファイバの強度が低下したり、光ファイバの接続損失が悪化してしまうことが知られており、このため、光ファイバ径の安定性を向上させることは、光ファイバの信頼性を向上させるという点においても重要である。
図1は、本発明に係わる光ファイバ製造装置100である。この光ファイバ製造装置100は、ヒータ1が内蔵されてその内部に、光ファイバ母材Fが挿入される炉心管2が上下に沿う軸方向(矢印a−b方向)に配置された紡糸炉3と、この紡糸炉3の前記炉心管2が位置する上部位置にて中心軸(符号Oで示す)を同じくするように開口部(後述する)が配置されたリング状のシール機構Sと、を有するものである。
また、図5に示す光ファイバ製造装置101は、本発明に係わる光ファイバ製造装置の他の例であって、図1の光ファイバ製造装置100のシール機構を変更した構成になっている。図5に示す光ファイバ製造装置101は、シール機構S1のみが図1の光ファイバ製造装置100と異なるものであり、シール機構S1以外の構成は図1の光ファイバ製造装置100と同様になっている。
なお、図1、図2(a)〜(c)、図5において、上側を上、下側を下として説明する。
ダミー石英管10は、光ファイバ用石英ガラス管4の上端部に火炎溶接された管体であって、その内部には、光ファイバ用コアロッド5を先端部で固定するための押さえ石英管11が挿入されている。
真空引き用キャップ12は、ダミー石英管10の上端面に設置されるものであって、光ファイバ用コアロッド5をダミー石英管10の内部に挿入した後、該光ファイバ用コアロッド5を固定及び保持する。
ダミー部材13は、光ファイバ用石英ガラス管4の下端部に火炎溶接されることで固定されるものであって、ファイバ線引時に口出し部となる。
図2(a)〜(c)に示すように、前記シール機構Sは紡糸炉3の上部に配置されている。このシール機構Sは、炉心管2内に酸素を含む外気が流入することを防止するために、シール部材として、リング状のカーボンシート20、21を複数組み合わせて用いることでシール性の維持を実現している。
また、スリット無しカーボンシート21上には、3枚のシール部材(カーボンシート20、21、23)及びシート支持部24を紡糸炉3上に押さえ込むためのリング状の重し部材28が設けられている。図2(a)〜(c)、図4に示すように、この重し部材28は、上下方向において(平面視において)シート支持部24に重なるようにして、スリット無しカーボンシート21の外周部上に設けられている。なお、図4は、スリット付きカーボンシート21の上側のスリット無しカーボンシート23を透視して示した平面図である。
3枚のシール部材(カーボンシート20、21、23)及びシート支持部24は紡糸炉3に対して固定されておらず、重し部材28も紡糸炉3に対して固定されていない。シール機構Sは、重し部材28の質量(重量)によって、3枚のシール部材(カーボンシート20、21、23)及びシート支持部24を紡糸炉3に押さえ込んだ構成になっている。
なお、図3(c)は、比較例(後述する)のカーボンシート22を示す。
図3(c)に示すカーボンシート22は、開口部22Mの内周から該カーボンシート22に切り込むように延在形成されたスリット25aが、前記開口部22Mの内周縁22Aに沿う方向に一定の間隔で複数設けられたものである。このカーボンシート22は、スリット付きカーボンシート21について外周側スリット26を省略した構成であり、外周側スリット26を省略したこと以外はスリット付きカーボンシート21と同様の構成になっている。
また、図1では、ダミー石英管10として、その外径が光ファイバ母材Fの外径よりも若干小さいものを用いている構成を例示している。スリット無しカーボンシート20、23の開口部20M、23Mの内径は、光ファイバ母材Fの最大径よりも僅かに大きく設定しており、スリット無しカーボンシート20、23の開口部20M、23Mにダミー石英管10が挿通された際のギャップは小さい状態に維持される。
また、シール機構Sへの光ファイバ母材Fの送り込みによって変形したスリット付きカーボンシート21の内周縁21Aがスリット無しカーボンシート20に接触しないように、スリット付きカーボンシート21とスリット無しカーボンシート20との間の距離を充分に確保することで、スリット付きカーボンシート21の変形がスリット無しカーボンシート20のシール性に影響を与えることを回避できる。
シール部材の中心軸Oに直交する方向への変位が可能である構成であれば、例えば、光ファイバ母材Fの位置が中心軸Oに対してずれが生じていたり、光ファイバ母材Fが中心軸Oに対して斜めにセットされた場合に、シール部材が中心軸Oに直交する方向に変位することでシール部材に無理な力が作用することを防ぐことができ、シール部材(カーボンシート)の破損を防止できる。
スリット付きカーボンシート21は、その開口を形成する内周縁21Aが、カーボンシート20の内周縁20Aより若干内方側に突出するように配置されている(開口部を符号21Mで示す)ことは、図1に例示した光ファイバ製造装置100と同様である。また、既述の通り、このスリット付きカーボンシート21の開口部21Mの内径は、光ファイバ母材Fの最小径よりも小さく(若干小さい)、かつダミー石英管10の外径よりも若干小さく設定されている。
また、このシール機構S1において、スリット付きカーボンシート21は、シート支持部27よりも内側に張り出された張出部21H1を有している。前記張出部21H1と紡糸炉3との間にはクリアランスC1が確保されているため、このクリアランスC1によってスリット付きカーボンシート21の変形自由度を確保できる。
また、図1、図2(a)〜(c)に例示した光ファイバ製造装置100のシール機構S1では、カーボンシート20及び23をスリット付きカーボンシート21を介して上下に1枚ずつ配置したが、本発明に係る光ファイバ製造装置のシール機構としては、これに限定されず、さらに、スリット無しカーボンシート(スリット無しシール部材)を多く設置すれば、シール性の維持に効果が高くなり、より望ましい。
スリット付きカーボンシート21の周方向の複数箇所に形成されたスリット25、26の間隔については、それぞれ、スリット付きカーボンシート21の中心を基準にして20°以下の間隔(各側で18箇所以上のスリットに相当)とすることが破損抑制の点で好ましい。スリット25、26を互い違いになるように形成した構成であれば、破損の抑制をさらに高めることが可能となる。
図6に示すシール機構S2は、2枚のスリット無しカーボンシート20、23をスリット付きカーボンシート21の上下に、スリット付きカーボンシート21に直接接触させて重ね合わせた構成になっている。図6に例示したシース機構S2においても、スリット付きカーボンシート21の上側のスリット無しカーボンシート23上に載置(紡糸炉3に対して固定していない)したリング状の重し部材28によって、カーボンシート20、21、23を紡糸炉3に押さえ込み、紡糸炉3からの浮き上がりを抑える構成を採用している。
このシール機構S2は、光ファイバ母材Fの送り込みに伴うスリット付きカーボンシート21の変形量が小さい場合は、スリット付きカーボンシート21が破損しにくいことに加えて、スリット付きカーボンシート21の変形に起因するスリット無しカーボンシート20、23の破損も回避できる。然るに、カーボンシート20、21、23の長期使用が可能となるため、優れたシール性を長期にわたって安定に確保できる。
以下に示す実施例1〜5は、本願発明に係わるものサンプルであって、シール機構Sの中間シール部材として、内周縁21A及び外周縁21Bの両方にスリット25、26を有するスリット付きカーボンシート21を使用している。一方、比較例1〜3は、本発明と比較するためのサンプルであって、中間シール部材を使用しない(比較例1)、又は中間シール部材として、開口部22Mの内周縁22Aにのみにスリット25を有するカーボンシート22(比較例2及び3)を使用している。
外径φ155mm、内径φ45mm、長さ1500mmの光ファイバ用石英ガラス管4の端部に外径φ145mm、内径φ80mm、長さ800mmのダミー石英管10を火炎溶接した。
また、光ファイバ用石英ガラス管4の反対の端部には、ファイバ化時に口出し部となるダミー部材13(長さ:100mm)を火炎溶接した。
溶接された光ファイバ用石英ガラス管4及びダミー石英管10、ダミー部材13をフッ酸洗浄後、純水でリンスし、乾燥した。乾燥後の光ファイバ用石英ガラス管4内面を、ハロゲンランプの光をあてて観察したところ、傷、乾燥染み(ウォータマーク)は確認されなかった。
引き続き光ファイバ用コアロッド5を固定するための押さえ石英管をダミー石英管10の内部に挿入後、ダミー石英管10の端部に真空引き用のキャップ12を設置した。
外径φ190m、内径φ55mm、長さ1500mmの光ファイバ用石英ガラス管4の端部に外径φ180mm、内径φ100mm、長さ800mmのダミー石英管10を火炎溶接したものに、実施例1と同様の方法で光ファイバ用コアロッド5(φ52mm×1500mm、火炎加工で曲がり取り済み)を挿入した。炉心管2と光ファイバ母材Fのシール部材として、カーボンシート20、21、23を3枚(肉厚0.6mm)を使用した。用いたカーボンシートは図3(b)の形状を持つスリット付きカーボンシート21(内径φ179.5mm、スリット数:計72箇所)1枚と、図3(a)の形状を持つスリット無しカーボンシート20、23(内径φ191mm)を1枚ずつ上下に重ねるように用いた。
実施例1と同様に、紡糸前のスリット付きカーボンシート21直下における酸素濃度を測定した結果、80ppmと充分低い値を示しシール性が充分であることを確認した。また、実施例1と同様に紡糸中の酸素濃度を測定したところ、図2(b)に示すように、光ファイバ用石英ガラス管4をシールしているときは80〜100ppm、図2(c)に示すように、ダミー石英管10をシールしているときは70〜100ppmであり、シール性が充分であることを確認した。紡糸中は断線もなく、紡糸中のオンラインでのファイバ径変動は125±0.1μmと安定しており良好であった。線引き終了後、カーボン部品の外観を確認したところ劣化は見られず良好な状態であった。
図3(b)の形状を持つスリット付きカーボンシート21として、スリット数が計36箇所のものを用いた以外は実施例1と同様の方法で紡糸を実施した。
実施例1と同様に、紡糸前のスリット付きカーボンシート21直下における酸素濃度を測定した結果、120ppmと充分低い値を示しシール性が充分であることを確認した。また実施例1と同様に紡糸中の酸素濃度を測定したところ、図2(b)に示すように、光ファイバ用石英ガラス管4をシールしているときは110〜140ppm、図2(c)に示すように、ダミー石英管10をシールしているときは100〜120ppmであり、シール性が充分であることを確認した。紡糸中は断線もなく、紡糸中のオンラインでのファイバ径変動は125±0.1μmと安定しており良好であった。線引き終了後、カーボン部品の外観を確認したところ劣化は見られず良好な状態であった。
外径φ155mm、内径φ45mmの光ファイバ用石英ガラス管4と外径φ150mm、内径φ80mmのダミー石英管10を用いたことと、図3(b)の形状を持つスリット付きカーボンシート21(内径φ149.5mm、スリット数:計18箇所)1枚と、図3(a)の形状を持つスリット無しカーボンシート20、23(内径φ156mm)を2枚用いた以外は実施例1と同様の方法で紡糸を実施した。
実施例1と同様に、紡糸前のスリット付きカーボンシート21直下における酸素濃度を測定した結果、90ppmと充分低い値を示しシール性が充分であることを確認した。また実施例1と同様に紡糸中の酸素濃度を測定したところ、図2(b)に示すように、光ファイバ用石英ガラス管4をシールしているときは80〜110ppm、図2(c)に示すように、ダミー石英管10をシールしているときは90〜100ppmであり、シール性が充分であることを確認した。紡糸中は断線もなく、紡糸中のオンラインでのファイバ径変動は125±0.1μmと安定しており良好であった。線引き終了後、カーボン部品の外観を確認したところ劣化は見られず良好な状態であった。
図3(b)の形状を持つスリット付きカーボンシート21として、内径φ145.0mm、スリット数:計72箇所ものを用いた以外は実施例1と同様の方法で紡糸を実施した。
実施例1と同様に、紡糸前のスリット付きカーボンシート21直下における酸素濃度を測定した結果、130ppmと充分低い値を示しシール性が充分であることを確認した。また実施例1と同様に紡糸中の酸素濃度を測定したところ、図2(b)に示すように、光ファイバ用石英ガラス管4をシールしているときは120〜140ppm、図2(c)に示すように、ダミー石英管10をシールしているときは160〜180ppmであり、シール性が充分であることを確認した。紡糸中は断線もなく、紡糸中のオンラインでのファイバ径変動は125±0.1μmと安定しており良好であった。線引き終了後、カーボン部品の外観を確認したところ劣化は見られず良好な状態であった。
図3(b)の形状を持つスリット付きカーボンシート21として、内径φ145.5mm、スリット数:計72箇所ものを用いた以外は実施例1と同様の方法で紡糸を実施した。
実施例1と同様に紡糸前のスリット付きカーボンシート21直下における酸素濃度を測定した結果、140ppmと充分低い値を示しシール性が充分であることを確認した。また実施例1と同様に紡糸中の酸素濃度を測定したところ、図2(b)に示すように、光ファイバ用石英ガラス管4をシールしているときは130〜150ppm、図2(c)に示すように、ダミー石英管10をシールしているときは190〜210ppmであり、シール性が充分であることを確認した。紡糸中は断線もなく、紡糸中のオンラインでのファイバ径変動は125士0.15μmと安定しており良好であった。線引き終了後、カーボン部品の外観を確認したところ劣化は見られず良好な状態であった。
シール冶具として、図3(a)の形状を持つスリット無しカーボンシート20(内径φ156mm)を1枚のみ用いた以外は実施例1と同様の方法で紡糸を実施した。
実施例1と同様に紡糸前の酸素濃度及び、紡糸中の図3(c)の光ファイバ用石英ガラス管4をシールしているときの酸素濃度を測定した結果は130〜150ppmとなりシール性は充分であった。紡糸前半はファイバ径が125±0.1μmと安定していたが、図2(c)に示すように、ダミー石英管10をシールしているときは250〜300ppmとなりシール性が悪化した。シール性が悪化した直後にファイバ径変動が激しくなり、125±0.35μmとファイバ径が不安定になった。
線引き終了後、カーボン部品の外観を確認したところ、炉心管2内面が変色し一部は焼損している状態であった。
シール冶具として、図3(c)の形状を持つカーボンシート22(内径φt154.5mm、スリット数:36箇所)を1枚のみ用いた以外は実施例1と同様の方法で紡糸を実施した。
実施例1と同様に、紡糸前の酸素濃度及び、紡糸中の図3(c)の光ファイバ用石英ガラス管4をシールしているときの酸素濃度を測定した結果は70〜90ppmとなりシール性は充分であった。紡糸前半はファイバ径が125±0.1μmと安定していたが、図2(c)に示すように、ダミー石英管10をシールしているときは200〜230ppmとなりシール性が悪化した。シール性が悪化した直後にファイバ径変動が激しくなり、125±0.3μmとファイバ径が不安定になった。線引き終了後、カーボン部品の外観を確認したところ、炉心管2内面が変色し一部は焼損している状態であった。
外径φ148mm、内径φ45mmの光ファイバ用石英ガラス管4と外径φ145mm、内径φ80mmのダミー石英管10を用いたことと、シール冶具として、図3(c)の形状を持つカーボンシート22(内径φ144.5mm、スリット数:36箇所)を1枚のみ用いた以外は、実施例1と同様の方法で紡糸を実施した。
実施例1と同様に紡糸前の酸素濃度を測定した結果は60〜80ppmとなりシール性は充分であった。しかし、紡糸長として200kmc紡糸した段階で酸素濃度が250ppmとなり、突然シール性が悪化した。そのため線引きを中止した。炉内冷却後にカーボンシート22の外観を確認したところ、カーボンシート22の内周縁22Aのスリットが破れたように欠落していた。
この点、スリット付きカーボンシート21の開口部21Mの内径が、光ファイバ母材Fの最小径よりも小さく設定されている構成であれば、隣接するスリット25、26間のシール片25A、26Aが常時、光ファイバ母材Fに密着することになり、これによって線引き時において、光ファイバ母材Fとのシール性を継続的に維持することが可能となり、シール性の安定確保に有利である。
Claims (17)
- 光ファイバ母材が挿入される炉心管を内部に有する紡糸炉と、該紡糸炉の端部に中心を同じくして配置されたリング状のシール部材によって該シール部材の中央に形成された開口部に挿通した光ファイバ母材をシールするシール機構と、を具備し、前記紡糸炉内で加熱された光ファイバ母材を線引きすることで光ファイバを製造する光ファイバ製造装置において、
前記シール機構は、前記シール部材として、該シール部材の内周から切り込むように形成されたスリットである内周側スリットと、該シール部材の外周から切り込むように形成されたスリットである外周側スリットとをそれぞれ複数有してなるスリット付きシール部材を具備して構成されていることを特徴とする光ファイバ製造装置。 - 前記シール部材のスリットは、前記光ファイバ母材が挿通される前記開口部の半径方向に沿うように形成されているとともに、内周側スリットと外周側スリットとが、該シール部材の周方向に沿って互い違いに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ製造装置。
- 前記シール部材はカーボンシートからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ製造装置。
- 前記シール機構は、前記スリット付きシール部材と中心を同じくしかつ軸方向に間隔をおいてスリットを有していないシール部材であるスリット無しシール部材が配置されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ製造装置。
- 前記シール機構は前記スリット無しシール部材を複数具備し、前記スリット付きシール部材は軸方向に互いに離隔して設けられたスリット無しシール部材の間に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ製造装置。
- 前記スリット無しシール部材の開口部内径は、前記光ファイバ母材の最大径よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の光ファイバ製造装置。
- 前記スリット付きシール部材の開口部内径は、前記光ファイバ母材の最小径よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光ファイバ製造装置。
- 前記光ファイバ母材の端部にダミー石英管が接合されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光ファイバ製造装置。
- 紡糸炉の内部に設けられた炉心管に光ファイバ母材を挿入し、前記紡糸炉の端部に中心を同じくして配置されたリング状のシール部材によって該シール部材の中央に形成された開口部に挿通した光ファイバ母材をシールした状態で、前記光ファイバ母材を線引きすることで光ファイバを製造する光ファイバ製造方法において、
前記シール部材として、該シール部材の内周から切り込むように形成されたスリットである内周側スリットと、該シール部材の外周から切り込むように形成されたスリットである外周側スリットとをそれぞれ複数有してなるスリット付きシール部材を1以上用い、該スリット付きシール部材の開口部に前記光ファイバ母材が挿通された状態で前記光ファイバ母材を線引きすることを特徴とする光ファイバの製造方法。 - 前記シール部材のスリットとして、前記光ファイバ母材が挿通される前記開口部の半径方向に沿うように形成されているとともに、内周側スリットと外周側スリットとが、該シール部材の周方向に沿って互い違いに配置されているものを用いることを特徴とする請求項9に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記シール部材として、カーボンシートからなるものを用いることを特徴とする請求項9又は10に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記紡糸炉の端部に、前記スリット付きシール部材と中心を同じくしかつ軸方向に間隔をおいてスリットを有していないシール部材であるスリット無しシール部材と、前記スリット付きシール部材とを具備してなるシール機構を配置し、全てのシール部材の開口部に前記光ファイバ母材が挿通された状態で前記光ファイバ母材を線引きすることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記紡糸炉の端部に前記スリット無しシール部材を複数設け、前記スリット付きシール部材を軸方向に互いに離隔して設けられたスリット無しシール部材の間に配置し、全てのシール部材の開口部に前記光ファイバ母材が挿通された状態で前記光ファイバ母材を線引きすることを特徴とする請求項12に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記スリット無しシール部材として、その開口部内径が、前記光ファイバ母材の最大径よりも大きく設定されているものを用いることを特徴とする請求項12又は13に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記スリット付きシール部材として、その開口部内径が、前記光ファイバ母材の最小径よりも小さく設定されているものを用い、前記スリット付きシール部材の弾性変形によって該スリット付きシール部材の内周縁を前記光ファイバ母材の外周に弾性付勢し接触させた状態で、光ファイバ母材を線引きすることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記紡糸炉の炉内空間を、真空引きによる減圧と不活性ガスの導入によるガスパージとを同時に行うことによって陽圧に保ち、該炉内空間の前記シール部材側の端部における酸素濃度を200ppm以下とした状態で前記光ファイバ母材を線引きすることを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記光ファイバ母材として、その端部にダミー石英管が接合されているものを用いることを特徴とする請求項9〜16のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
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