JP2005008475A - 光ファイバ線引き装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】80 mm以上の太径のプリフォームに、直径の異なるハンドルを溶着してなる線引きロッドや、溶着部に凸部がある場合でも、加熱炉内への大気の進入を防止することができ、さらに、プリフォームやハンドルの外径が線引きロッド毎に異なっている場合でも、容易に対応できるように構成した、ガスシール機構を有する光ファイバ線引き装置を提供する。
【課題手段】プリフォーム1の端部にハンドル2が溶着されてなる線引きロッドを、加熱炉15で溶融、細径化して、光ファイバを線引きする装置において、ハンドル2とプリフォーム1の外径が異なる線引きロッドを使用するに際し、線引きロッドが送り込まれる側の加熱炉15の開口部に設置されるガスシール機構10,16が、プリフォーム部分とハンドル部分とで、別々のガスシール機構10,16が作用するように構成されていることを特徴としている。
【選択図】 図5
【課題手段】プリフォーム1の端部にハンドル2が溶着されてなる線引きロッドを、加熱炉15で溶融、細径化して、光ファイバを線引きする装置において、ハンドル2とプリフォーム1の外径が異なる線引きロッドを使用するに際し、線引きロッドが送り込まれる側の加熱炉15の開口部に設置されるガスシール機構10,16が、プリフォーム部分とハンドル部分とで、別々のガスシール機構10,16が作用するように構成されていることを特徴としている。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ用プリフォーム(以下、単にプリフォームという)を加熱炉内で加熱軟化させ、加熱炉の下部から、細径化された光ファイバを引き出す光ファイバ線引き装置、特には、大気中に含まれる酸素または水分が加熱炉内に侵入したり、加熱炉内の不活性ガスが大気中に放出されて、炉材が酸化されるのを防止するガスシール機構を有する光ファイバ線引き装置に関する。
【0002】
【従来技術】
軸付け法(VAD法)、外付け法(OVD法)等によりガラス微粒子を堆積して多孔質ガラス母材を製造し、これを脱水・焼結することで、透明ガラス化した母材インゴットが得られる。これをさらに電気炉で粗延伸し、線引き時に使用する径に細径化してプリフォームとされる。プリフォームは、線引き装置の最上部に設置された、加熱炉の上部から炉内に送り込まれ、加熱軟化されて、炉の下部から細径化された光ファイバが取り出される。光ファイバは、表面に保護コートが施され、巻き取り装置でボビンに巻き取られる。
【0003】
一般に加熱炉には、高密度のカーボングラファイトがヒーターとして使用され、断熱材には、低密度のカーボン材料が用いられている。線引き中、炉内温度は2,000 ℃以上に保たれるが、このような高温の状態では、炉内に用いられているカーボン材料は、わずかな酸素又は水分の混入でも酸化され、表面から酸化物またはカーボン粒子の剥落が発生する。
このようにして炉内に発生した粒子は、線引き中のプリフォームや細径化された光ファイバの表面に付着し、光ファイバの強度を著しく低下させる。そのため、線引き中、加熱炉内に大気中に含まれる酸素や水分が混入するのを防止する必要がある。
【0004】
加熱炉内に大気が混入するのを防止するためには、加熱炉内にArやN2のような不活性ガスを導入して炉内を正圧に保持し、上下の開口部を極力小さくして、ガスの漏れを防ぐことが望ましい。また、加熱炉内に導入される不活性ガスは、プリフォームが軟化して光ファイバに縮径される部分(ネックダウン部)の表面に、安定したガスの流れを形成し、光ファイバの径変動を抑制する働きもある。しかし、加熱炉上下の開口部の断面積が変化すると、炉内のガス圧が変動し、安定したガスの流れを乱す原因になる。このため、つねに開口部を小さくしておくことが望ましい。
【0005】
プリフォームは、線引き装置の上部に設けられたチャックに把持され、上下移動機構により、加熱炉内に1〜5mm/分というゆっくりした速度で送り込まれる。炉内は、上部の入口から数十cmのところで最高温度となり、プリフォームが溶融される。プリフォームの上端まで炉の加熱部分に挿入するために、プリフォームの上部には、ハンドルと呼ばれる石英ガラス棒が溶着されており、最終的には、ハンドル部分まで加熱炉内に挿入される。
加熱が始まると、先ずプリフォームの下端が溶融され、最初は直径5〜20 mmの棒状のガラスが、加熱炉の下側から引き出される。その後、所定の径を有する光ファイバへと調整される。
【0006】
光ファイバが引き出される加熱炉下側の開口部のガスシールは、一般に、次ぎのように行われる。
加熱炉下側の開口部には、虹彩絞りのような、連続的に開口径を変えられる機構や、中心部に3〜7mmの開口部を有する開閉可能なシャッター機構が装着されている。光ファイバは、線引き開始直後を除くと、径の変動や位置のずれが非常に小さいため、最低限のクリアランスを確保した、これらのガスシール機構で、ガスの漏れや大気の進入を有効に防ぐことができる。
【0007】
従来、プリフォームの線引きには、図7に示すような装置が使用され、プリフォーム1の直径がφ60 mm以下程度に細い場合には、プリフォーム1と同じ外径のハンドル2を溶着し、溶着部3に段差がないように平らに加工していた。
このように加工することで、プリフォーム1とハンドル2の境界を意識することなく、一つのガスシール機構でプリフォーム1の全長にわたって線引きすることが可能であった。この場合の一般的な加熱炉15上部のガスシールには、線引きロッドとのクリアランスが0.5〜1mmとなる金属リング18が用いられる。
【0008】
しかし、プリフォーム1の直径が太くなった場合に、同径のハンドル2を用いると、線引きロッドの重量が大きくなり、ハンドル2に用いられる石英ガラス量も多く、コストが上がるため、一般的には図8に示すように、プリフォーム1より細径のハンドル2を溶着している。この場合、線引きが進み、加熱炉上部の開口部にハンドル2が達すると、ガスの漏れや大気の進入を防止することができない。
この対策として、ハンドル2にプリフォーム1と同径の中空石英ガラス管を用いることで、コストと重量を低減する方法もあるが、表面を平らに溶着することの難しさに加えて、接続部やハンドルの強度が低下するため、特にφ80 mm以上のプリフォームでは採用できない。また、使用するプリフォームの径に合わせる必要から、1mm毎に径の異なるハンドルを用意しておく必要があり不経済でもあった。
【0009】
図1に示すように、プリフォームに径の異なるハンドルを接続して、線引きできるようにするためには、加熱炉上部のガスシール機構を変更する必要がある。
特許文献1には、加熱炉の上部に炉体と一体に構成された上部チャンバーを設けた例が示されている。また、特許文献2,3には、線引きロッドの位置を常時監視し、プリフォームやハンドルの径が変わっても、クリアランスが一定になるように、上部シャッターを自動で開閉する機構が開示されている。
【0010】
しかし、これらの方法では、加熱炉の寸法が高くなったり、ガスシール部材と線引きロッドとのクリアランスの制御が複雑になり、実際の運用が難しいという問題があった。また、特許文献4は、ハンドルの周りにプリフォームと同じ外径の円筒型キャップを被せ、プリフォームと同径にした状態で線引きする方法を開示している。この方法は、比較的容易に実施できるが、プリフォームの外径が0.5 mm以上変わると、これに合わせてキャップ全体を取りかえる必要があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−2832号公報
【特許文献2】
特開平8−253337号公報
【特許文献3】
特開平10−8633号公報
【特許文献4】
特開2002−356344号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、φ80 mm以上の太径のプリフォームに、直径の異なるハンドルを溶着してなる線引きロッドや、溶着部に凸部がある場合でも、加熱炉内への大気の進入を防止することができ、さらに、プリフォームやハンドルの外径が線引きロッド毎に異なっている場合でも、容易に対応できるように構成した、ガスシール機構を有する光ファイバ線引き装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバ線引き装置は、プリフォームの端部にハンドルが溶着されてなる線引きロッドを、加熱炉で溶融、細径化して、光ファイバを線引きする装置において、ハンドルとプリフォームの外径が異なる線引きロッドを使用するに際し、線引きロッドが送り込まれる側の加熱炉の開口部に設置されるガスシール機構が、プリフォーム部分とハンドル部分とで、別々のガスシール機構が作用するように構成されていることを特徴としている。
【0014】
ハンドル部のガスシール機構には、ハンドルとプリフォームの溶着部から放射される輻射熱を遮る、不透明な耐熱部材が配設されており、この耐熱部材には、BN,SiN,SiCのいずれかからなるセラミック材料、またはW,Ta,ステンレス材のいずれかからなる金属材料が用いられている。
ガスシール機構のガスシール部材には、接触、摺動により、ガラスの表面に傷を付けない硬度の小さな耐熱材料、例えば、シート状のカーボンフィルムが使用されている。
【0015】
【発明の実施の形態】
上記したように、本発明の光ファイバ線引き装置は、加熱炉の上部ガスシールに、プリフォームとハンドルの部分とで、別々のガスシール機構を有していることを特徴とするものである。
プリフォームにハンドルが溶着されてなる線引きロッドには、線引き装置のチャック機構に取り付けられる前に、ハンドル部分用のガスシール機構が取り付けられ、加熱炉の上部には、プリフォーム部分でガスをシールするためのガスシール機構が装着される。この状態で、線引きロッドは線引き装置に取り付けられ、線引きが開始される。
【0016】
加熱炉の上部開口部にプリフォームが位置している間は、プリフォーム部のガスシール機構により、加熱炉内の雰囲気は外気と隔離される。線引きの進行とともに線引きロッドが下方に移動し、上部開口部により細径のハンドル部分が達すると、プリフォーム部のガスシール機構は完全に開き、ガスシールの役割を果たさなくなるが、それに代わって、ハンドル部のガスシール機構により、加熱炉内と外気の雰囲気が隔離される。
【0017】
以下、図を用いて本発明の光ファイバ線引き装置について、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されず、様々な態様が可能である。
本発明で使用される線引きロッドには、プリフォーム全体を加熱炉内に挿入して光ファイバ化するために、図1に示すように、プリフォーム1の上端にハンドル2が溶着部3に溶着されている。ハンドルには、合成石英又は天然石英のむく棒か肉厚5mm以上の管が用いられ、その外径はプリフォームより細く、長さは加熱炉の寸法によって変わるが、一般には、500〜1,000 mmのものが用いられる。
例えば、直径φ80 mm、長さ1,000 mm(以下、単にφ80×1,000 mmと記す)のプリフォームに溶着されるハンドルは、φ50×700 mm程度のものが用いられ、線引きロッドの全長は1,700 mmとなり、線引き装置のプリフォーム供給部のチャックに把持され、炉内に垂下される。
【0018】
ハンドル部に用いられるガスシール機構を、図2に示す。
線引きロッドの溶着部3ないしその直近のプリフォーム1の肩部に、ハンドル径より5〜10 mm大きな穴の空いた上下面が平坦な円盤4が掛止される。なお、円盤4に代えて、図3に示すような、同様の内径を有する上面が平坦な円盤5に、プリフォーム径より内径が5〜10 mm大きな円筒6を溶接したものを用いることもできる。
【0019】
さらに、円盤4の上には、ハンドルより内径が3〜8mm大きい穴の空いた、不透明の耐熱材料でできた遮熱用リング7が載せられる。この遮熱用リング7は、加熱時にプリフォームとハンドルの溶着部から放出される輻射熱を遮るためのものであり、材質としては、BN,SiN,SiC等のセラミック材料や、800 ℃以上の温度に耐えるW,Taその他耐熱性のステンレス材などの金属材料が使用される。
さらに、この遮熱用リング7の上に、ハンドル径より0.5〜1.5 mm大きい穴の空いたガスシール部材8が載せられる。
【0020】
ガスシール部材8としては、プリフォーム1やハンドル2との接触や摺動により、ガラスに傷を付けない、柔らかく高温に耐える材料として、0.5〜2mm厚のカーボンフィルムが好ましく、2〜3枚重ねて使用される。さらに、ガスシール部材8が浮き上がるのを防ぐために、この上におもり用リング9が載せられる。おもりとしては、800 ℃以上の高温に耐えられるものが使用され、特には、石英ガラスや前出のセラミック材料、金属材料が好適である。おもり用リング9の内径は、ハンドルに接触しない程度に、ハンドルより10 mm程度大きくしておくと良い。
上記構成からなるハンドル部のガスシール機構10を、線引きロッドの溶着部3にセットした後、線引きロッドを線引き装置のプリフォーム供給部のチャックに把持させ、炉内に垂下した。
【0021】
プリフォーム部のガスシール機構は、図4に示すような構成からなっている。図中、符号11は、ガスシール部材を支えるための台となる円筒部材であり、ステンレス材などの耐熱材料が使用される。この内径は、プリフォームが接触しないように、プリフォーム径より5〜10 mm程度大きくしておく。この上に、ハンドル部分のガスシール機構と同様、プリフォーム1との接触により、プリフォーム表面に傷を付けない、カーボンフィルム等からなるリング状のガスシール部材12が配置される。このガスシール部材12は、内径がプリフォーム径より0.5〜2mm大きく、厚さ0.5〜2mm程度のものが2〜3枚重ねて使用される。
【0022】
加熱炉の内部は、不活性ガス雰囲気に保たれているため、ガスシール部材12にカーボンフィルムを用いても、輻射熱により酸化されることはなく、輻射熱を防ぐための不透明な耐熱材料は不要である。
ガスシール部材12の上には、プリフォームの上下移動でガスシール部材12がずれないように、おもり用リング13が載せられている。このおもりとしては、石英ガラス、セラミック材料、金属材料等の耐熱材料が使用される。
【0023】
上記したハンドル部のガスシール機構10において、円盤4を用いた場合には、おもり用リング13の上に、さらに、石英ガラス等からなる透明な円筒部材14が載せられる。なお、ハンドル部のガスシール機構10に、図3に示した円盤5と円筒6を一体に形成した円筒状のものを使用した場合には、円筒部材14は必要としない。この部分は、プリフォーム1とハンドル2の溶着部3から輻射熱が放射され、高温となるため、光を透過する石英ガラスを用いるのが好ましい。
【0024】
図5に示すように、加熱炉15の上に、上述したような構成からなるプリフォーム部のガスシール機構16が設置され、プリフォーム1とハンドル2の溶着部分には、ハンドル部のガスシール機構10をセットした状態で、線引きロッドが線引き装置のチャックに把持され、線引きの進行とともに、徐々に加熱炉内に送り込まれる。加熱炉15の上部にプリフォーム1が位置している段階では、プリフォーム部のガスシール機構16により、炉内に大気が進入したり、逆に炉内のガスが、外部に大量に放出されるのを防止される。なお、符号17は加熱用ヒーターである。
【0025】
次に、溶着部3が加熱炉15の上部にさしかかると、ハンドル2の方がプリフォーム1より細いため、プリフォーム部のガスシール機構16は、ガスシールの役割を果たせなくなる。しかし、これ以降は、溶着部3に装着した、ハンドル部のガスシール機構10により、ガスシールが行われることになる(図6参照)。
このような構成をとることにより、内径の異なるガスシール部材8,12を用意しておき、プリフォーム1やハンドル2の径に合わせて使用することで、それらの径が1〜5mm違っていても、ガスシール部材8,12以外の部材は変更せずに、良好なガスシール効果が得られる。また、ガスシール部材にカーボンフィルムを用いる場合には、容易に切断加工できるため、大きな面積の材料から、異なる径のガスシール部材を複数作成することができる。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
ガラス旋盤を用いて酸水素バーナーで、φ80 mmのプリフォームの一端にφ50 mmのハンドルを溶着し、線引きロッドとした。この線引きロッドの溶着部に、図2に示すようなハンドル部のガスシール機構10を取り付けた後、線引き装置のチャックでハンドル部を把持し、チャックを下げ、加熱炉内にプリフォーム1を垂下した。加熱炉15の上部には、予め図4に示すようなプリフォーム部のガスシール機構16を取り付けておいた。この状態で炉内を2,080 ℃に昇温して、プリフォーム1の下部にネックダウン部を形成し、加熱炉15の下面に設けた開口部から、光ファイバを引き出した(図5参照)。
【0027】
線引きの経過につれて、プリフォーム1は下方に移動し、加熱炉15の下方からファイバが引き出されるが、線引きロッドの溶着部3が加熱炉15の上部に達すると、図6に示すように、プリフォーム部のガスシール機構16を構成する円筒部材14と、ハンドル部のガスシール機構10を構成する円盤4とが当接する。さらに、プリフォーム1が炉内に挿入されていくと、線引きロッドのハンドル部分がプリフォーム部のガスシール機構16に達し、ガスシール部材12が完全にハンドル2の表面から離れ、全くガスシールの役割を果たさなくなるが、代わりに、ハンドル部のガスシール機構10によりシールされ、大気が炉内に混入したり、炉内の不活性ガスが放出されることはなかった。
また、プリフォーム部分は全長にわたって線引きに利用され、ハンドルとの溶着部まで光ファイバにすることができた。得られた光フナイバーは、外径変動が±0.3 μm以下で、プルーフ試験の結果も、良好な強度特性を有していることが確認できた。
【0028】
(実施例2)
次に、実施例1と同様にして、φ83 mmのプリフォームの一端にφ55 mmのハンドルを溶着し、これにハンドル部のガスシール機構を取り付けた後、加熱炉の上部に予め取り付けられたプリフォーム部のガスシール機構を通して、炉内にプリフォームを挿入した。このハンドル部のガスシール機構において、ガスシール部材に穴径がφ56 mmのリング状のカーボンフィルムを使用した以外は、実施例1で使用した部材をそのまま使用した。プリフォーム部のガスシール機構についても、穴径がφ84 mmのカーボンフィルムを使用した以外は、実施例1で使用した部材をそのまま使用した。
このような構成からなる線引き装置を使用して、プリフォームを線引きしたところ、得られた光ファイバの外径変動は、±0.3 μm以下に抑えられ、強度特性においても全く問題ないことが確認できた。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同様に、φ80 mmプリフォームにφ50 mmハンドルを溶着し、加熱炉の上部にガスシール機構として、図8に示す、従来から一般に用いられているステンレス製の金属リング18を載せて、線引きを行った。この場合は、金属リング18に線引きロッドの溶着部3がさしかかったところで、ガスのシールができなくなるため、それ以上、線引きは継続できなかった。
使用した加熱炉15は、上部の開口から350 mm入ったところで、最も温度が高くなり、ネックダウン部が形成されていた。このため、プリフォーム1の溶着部3から350 mmのところまでで線引きを中止せざるを得ず、その分、光ファイバの収率が低いものとなった。
【0030】
(比較例2)
実施例1と同様に、φ80 mmのプリフォームの一端にφ50 mmのハンドルを溶着し、図2に示す遮熱用リング7に、石英ガラスを用いて線引きを行った。プリフォーム1が加熱炉15に入って高温になると同時に、線引きロッドの溶着部3から炉内で発生した輻射光が、カーボンフィルムからなるガスシール部材8に照射され、大気中でガスシール部材8が酸化してぼろぼろになり、まったくガスシール部材としての役割を果たせなくなってしまった。
以上示したように、遮熱用リング7には、輻射光を遮る、不透明な耐熱材料を用いるのが必要であることが分かった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の線引き装置によれば、プリフォームに直径の異なるハンドルを溶着してなる線引きロッドを線引きする場合でも,炉内への大気の進入及び大気中への炉内不活性ガスの拡散を防止でき、さらに、プリフォームやハンドルの外径が線引きロッド毎に異なっている場合でも、容易に対応でき、プリフォーム全体を光ファイバ化することができるため、光ファイバの収率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリフォームに径の異なるハンドルを溶着してなる線引きロッドを示す概略断面図である。
【図2】線引きロッドにセットされた、ハンドル部のガスシール機構を示す概略断面図である。
【図3】ハンドル部のガスシール機構に使われる、円盤と円筒を溶着した部材を示す概略斜視図である。
【図4】加熱炉の上部に設置される、プリフォーム部のガスシール機構を示す概略断面図である。
【図5】本発明の線引き装置において、プリフォームが炉内に挿入されている状態を示す概略断面図である。
【図6】本発明の線引き装置において、ハンドル部分が加熱炉上部にさしかかった状態を示す概略断面図である。
【図7】従来のガスシール機構を備えた、比較例1に使用した線引き装置を示す概略断面図である。
【図8】従来のガスシール機構を備えた、比較例2に使用した線引き装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1……プリフォーム、
2……ハンドル、
3……溶着部、
4……上下面が平坦な円盤、
5……上面が平坦な円盤、
6……円筒、
7……遮熱用リング、
8,12……ガスシール部材、
9,13……おもり用リング、
10……ハンドル部のガスシール機構、
11……円筒部材、
14……透明な円筒部材、
15……加熱炉、
16……プリフォーム部のガスシール機構、
17……加熱用ヒーター、
18……金属リング。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ用プリフォーム(以下、単にプリフォームという)を加熱炉内で加熱軟化させ、加熱炉の下部から、細径化された光ファイバを引き出す光ファイバ線引き装置、特には、大気中に含まれる酸素または水分が加熱炉内に侵入したり、加熱炉内の不活性ガスが大気中に放出されて、炉材が酸化されるのを防止するガスシール機構を有する光ファイバ線引き装置に関する。
【0002】
【従来技術】
軸付け法(VAD法)、外付け法(OVD法)等によりガラス微粒子を堆積して多孔質ガラス母材を製造し、これを脱水・焼結することで、透明ガラス化した母材インゴットが得られる。これをさらに電気炉で粗延伸し、線引き時に使用する径に細径化してプリフォームとされる。プリフォームは、線引き装置の最上部に設置された、加熱炉の上部から炉内に送り込まれ、加熱軟化されて、炉の下部から細径化された光ファイバが取り出される。光ファイバは、表面に保護コートが施され、巻き取り装置でボビンに巻き取られる。
【0003】
一般に加熱炉には、高密度のカーボングラファイトがヒーターとして使用され、断熱材には、低密度のカーボン材料が用いられている。線引き中、炉内温度は2,000 ℃以上に保たれるが、このような高温の状態では、炉内に用いられているカーボン材料は、わずかな酸素又は水分の混入でも酸化され、表面から酸化物またはカーボン粒子の剥落が発生する。
このようにして炉内に発生した粒子は、線引き中のプリフォームや細径化された光ファイバの表面に付着し、光ファイバの強度を著しく低下させる。そのため、線引き中、加熱炉内に大気中に含まれる酸素や水分が混入するのを防止する必要がある。
【0004】
加熱炉内に大気が混入するのを防止するためには、加熱炉内にArやN2のような不活性ガスを導入して炉内を正圧に保持し、上下の開口部を極力小さくして、ガスの漏れを防ぐことが望ましい。また、加熱炉内に導入される不活性ガスは、プリフォームが軟化して光ファイバに縮径される部分(ネックダウン部)の表面に、安定したガスの流れを形成し、光ファイバの径変動を抑制する働きもある。しかし、加熱炉上下の開口部の断面積が変化すると、炉内のガス圧が変動し、安定したガスの流れを乱す原因になる。このため、つねに開口部を小さくしておくことが望ましい。
【0005】
プリフォームは、線引き装置の上部に設けられたチャックに把持され、上下移動機構により、加熱炉内に1〜5mm/分というゆっくりした速度で送り込まれる。炉内は、上部の入口から数十cmのところで最高温度となり、プリフォームが溶融される。プリフォームの上端まで炉の加熱部分に挿入するために、プリフォームの上部には、ハンドルと呼ばれる石英ガラス棒が溶着されており、最終的には、ハンドル部分まで加熱炉内に挿入される。
加熱が始まると、先ずプリフォームの下端が溶融され、最初は直径5〜20 mmの棒状のガラスが、加熱炉の下側から引き出される。その後、所定の径を有する光ファイバへと調整される。
【0006】
光ファイバが引き出される加熱炉下側の開口部のガスシールは、一般に、次ぎのように行われる。
加熱炉下側の開口部には、虹彩絞りのような、連続的に開口径を変えられる機構や、中心部に3〜7mmの開口部を有する開閉可能なシャッター機構が装着されている。光ファイバは、線引き開始直後を除くと、径の変動や位置のずれが非常に小さいため、最低限のクリアランスを確保した、これらのガスシール機構で、ガスの漏れや大気の進入を有効に防ぐことができる。
【0007】
従来、プリフォームの線引きには、図7に示すような装置が使用され、プリフォーム1の直径がφ60 mm以下程度に細い場合には、プリフォーム1と同じ外径のハンドル2を溶着し、溶着部3に段差がないように平らに加工していた。
このように加工することで、プリフォーム1とハンドル2の境界を意識することなく、一つのガスシール機構でプリフォーム1の全長にわたって線引きすることが可能であった。この場合の一般的な加熱炉15上部のガスシールには、線引きロッドとのクリアランスが0.5〜1mmとなる金属リング18が用いられる。
【0008】
しかし、プリフォーム1の直径が太くなった場合に、同径のハンドル2を用いると、線引きロッドの重量が大きくなり、ハンドル2に用いられる石英ガラス量も多く、コストが上がるため、一般的には図8に示すように、プリフォーム1より細径のハンドル2を溶着している。この場合、線引きが進み、加熱炉上部の開口部にハンドル2が達すると、ガスの漏れや大気の進入を防止することができない。
この対策として、ハンドル2にプリフォーム1と同径の中空石英ガラス管を用いることで、コストと重量を低減する方法もあるが、表面を平らに溶着することの難しさに加えて、接続部やハンドルの強度が低下するため、特にφ80 mm以上のプリフォームでは採用できない。また、使用するプリフォームの径に合わせる必要から、1mm毎に径の異なるハンドルを用意しておく必要があり不経済でもあった。
【0009】
図1に示すように、プリフォームに径の異なるハンドルを接続して、線引きできるようにするためには、加熱炉上部のガスシール機構を変更する必要がある。
特許文献1には、加熱炉の上部に炉体と一体に構成された上部チャンバーを設けた例が示されている。また、特許文献2,3には、線引きロッドの位置を常時監視し、プリフォームやハンドルの径が変わっても、クリアランスが一定になるように、上部シャッターを自動で開閉する機構が開示されている。
【0010】
しかし、これらの方法では、加熱炉の寸法が高くなったり、ガスシール部材と線引きロッドとのクリアランスの制御が複雑になり、実際の運用が難しいという問題があった。また、特許文献4は、ハンドルの周りにプリフォームと同じ外径の円筒型キャップを被せ、プリフォームと同径にした状態で線引きする方法を開示している。この方法は、比較的容易に実施できるが、プリフォームの外径が0.5 mm以上変わると、これに合わせてキャップ全体を取りかえる必要があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−2832号公報
【特許文献2】
特開平8−253337号公報
【特許文献3】
特開平10−8633号公報
【特許文献4】
特開2002−356344号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、φ80 mm以上の太径のプリフォームに、直径の異なるハンドルを溶着してなる線引きロッドや、溶着部に凸部がある場合でも、加熱炉内への大気の進入を防止することができ、さらに、プリフォームやハンドルの外径が線引きロッド毎に異なっている場合でも、容易に対応できるように構成した、ガスシール機構を有する光ファイバ線引き装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバ線引き装置は、プリフォームの端部にハンドルが溶着されてなる線引きロッドを、加熱炉で溶融、細径化して、光ファイバを線引きする装置において、ハンドルとプリフォームの外径が異なる線引きロッドを使用するに際し、線引きロッドが送り込まれる側の加熱炉の開口部に設置されるガスシール機構が、プリフォーム部分とハンドル部分とで、別々のガスシール機構が作用するように構成されていることを特徴としている。
【0014】
ハンドル部のガスシール機構には、ハンドルとプリフォームの溶着部から放射される輻射熱を遮る、不透明な耐熱部材が配設されており、この耐熱部材には、BN,SiN,SiCのいずれかからなるセラミック材料、またはW,Ta,ステンレス材のいずれかからなる金属材料が用いられている。
ガスシール機構のガスシール部材には、接触、摺動により、ガラスの表面に傷を付けない硬度の小さな耐熱材料、例えば、シート状のカーボンフィルムが使用されている。
【0015】
【発明の実施の形態】
上記したように、本発明の光ファイバ線引き装置は、加熱炉の上部ガスシールに、プリフォームとハンドルの部分とで、別々のガスシール機構を有していることを特徴とするものである。
プリフォームにハンドルが溶着されてなる線引きロッドには、線引き装置のチャック機構に取り付けられる前に、ハンドル部分用のガスシール機構が取り付けられ、加熱炉の上部には、プリフォーム部分でガスをシールするためのガスシール機構が装着される。この状態で、線引きロッドは線引き装置に取り付けられ、線引きが開始される。
【0016】
加熱炉の上部開口部にプリフォームが位置している間は、プリフォーム部のガスシール機構により、加熱炉内の雰囲気は外気と隔離される。線引きの進行とともに線引きロッドが下方に移動し、上部開口部により細径のハンドル部分が達すると、プリフォーム部のガスシール機構は完全に開き、ガスシールの役割を果たさなくなるが、それに代わって、ハンドル部のガスシール機構により、加熱炉内と外気の雰囲気が隔離される。
【0017】
以下、図を用いて本発明の光ファイバ線引き装置について、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されず、様々な態様が可能である。
本発明で使用される線引きロッドには、プリフォーム全体を加熱炉内に挿入して光ファイバ化するために、図1に示すように、プリフォーム1の上端にハンドル2が溶着部3に溶着されている。ハンドルには、合成石英又は天然石英のむく棒か肉厚5mm以上の管が用いられ、その外径はプリフォームより細く、長さは加熱炉の寸法によって変わるが、一般には、500〜1,000 mmのものが用いられる。
例えば、直径φ80 mm、長さ1,000 mm(以下、単にφ80×1,000 mmと記す)のプリフォームに溶着されるハンドルは、φ50×700 mm程度のものが用いられ、線引きロッドの全長は1,700 mmとなり、線引き装置のプリフォーム供給部のチャックに把持され、炉内に垂下される。
【0018】
ハンドル部に用いられるガスシール機構を、図2に示す。
線引きロッドの溶着部3ないしその直近のプリフォーム1の肩部に、ハンドル径より5〜10 mm大きな穴の空いた上下面が平坦な円盤4が掛止される。なお、円盤4に代えて、図3に示すような、同様の内径を有する上面が平坦な円盤5に、プリフォーム径より内径が5〜10 mm大きな円筒6を溶接したものを用いることもできる。
【0019】
さらに、円盤4の上には、ハンドルより内径が3〜8mm大きい穴の空いた、不透明の耐熱材料でできた遮熱用リング7が載せられる。この遮熱用リング7は、加熱時にプリフォームとハンドルの溶着部から放出される輻射熱を遮るためのものであり、材質としては、BN,SiN,SiC等のセラミック材料や、800 ℃以上の温度に耐えるW,Taその他耐熱性のステンレス材などの金属材料が使用される。
さらに、この遮熱用リング7の上に、ハンドル径より0.5〜1.5 mm大きい穴の空いたガスシール部材8が載せられる。
【0020】
ガスシール部材8としては、プリフォーム1やハンドル2との接触や摺動により、ガラスに傷を付けない、柔らかく高温に耐える材料として、0.5〜2mm厚のカーボンフィルムが好ましく、2〜3枚重ねて使用される。さらに、ガスシール部材8が浮き上がるのを防ぐために、この上におもり用リング9が載せられる。おもりとしては、800 ℃以上の高温に耐えられるものが使用され、特には、石英ガラスや前出のセラミック材料、金属材料が好適である。おもり用リング9の内径は、ハンドルに接触しない程度に、ハンドルより10 mm程度大きくしておくと良い。
上記構成からなるハンドル部のガスシール機構10を、線引きロッドの溶着部3にセットした後、線引きロッドを線引き装置のプリフォーム供給部のチャックに把持させ、炉内に垂下した。
【0021】
プリフォーム部のガスシール機構は、図4に示すような構成からなっている。図中、符号11は、ガスシール部材を支えるための台となる円筒部材であり、ステンレス材などの耐熱材料が使用される。この内径は、プリフォームが接触しないように、プリフォーム径より5〜10 mm程度大きくしておく。この上に、ハンドル部分のガスシール機構と同様、プリフォーム1との接触により、プリフォーム表面に傷を付けない、カーボンフィルム等からなるリング状のガスシール部材12が配置される。このガスシール部材12は、内径がプリフォーム径より0.5〜2mm大きく、厚さ0.5〜2mm程度のものが2〜3枚重ねて使用される。
【0022】
加熱炉の内部は、不活性ガス雰囲気に保たれているため、ガスシール部材12にカーボンフィルムを用いても、輻射熱により酸化されることはなく、輻射熱を防ぐための不透明な耐熱材料は不要である。
ガスシール部材12の上には、プリフォームの上下移動でガスシール部材12がずれないように、おもり用リング13が載せられている。このおもりとしては、石英ガラス、セラミック材料、金属材料等の耐熱材料が使用される。
【0023】
上記したハンドル部のガスシール機構10において、円盤4を用いた場合には、おもり用リング13の上に、さらに、石英ガラス等からなる透明な円筒部材14が載せられる。なお、ハンドル部のガスシール機構10に、図3に示した円盤5と円筒6を一体に形成した円筒状のものを使用した場合には、円筒部材14は必要としない。この部分は、プリフォーム1とハンドル2の溶着部3から輻射熱が放射され、高温となるため、光を透過する石英ガラスを用いるのが好ましい。
【0024】
図5に示すように、加熱炉15の上に、上述したような構成からなるプリフォーム部のガスシール機構16が設置され、プリフォーム1とハンドル2の溶着部分には、ハンドル部のガスシール機構10をセットした状態で、線引きロッドが線引き装置のチャックに把持され、線引きの進行とともに、徐々に加熱炉内に送り込まれる。加熱炉15の上部にプリフォーム1が位置している段階では、プリフォーム部のガスシール機構16により、炉内に大気が進入したり、逆に炉内のガスが、外部に大量に放出されるのを防止される。なお、符号17は加熱用ヒーターである。
【0025】
次に、溶着部3が加熱炉15の上部にさしかかると、ハンドル2の方がプリフォーム1より細いため、プリフォーム部のガスシール機構16は、ガスシールの役割を果たせなくなる。しかし、これ以降は、溶着部3に装着した、ハンドル部のガスシール機構10により、ガスシールが行われることになる(図6参照)。
このような構成をとることにより、内径の異なるガスシール部材8,12を用意しておき、プリフォーム1やハンドル2の径に合わせて使用することで、それらの径が1〜5mm違っていても、ガスシール部材8,12以外の部材は変更せずに、良好なガスシール効果が得られる。また、ガスシール部材にカーボンフィルムを用いる場合には、容易に切断加工できるため、大きな面積の材料から、異なる径のガスシール部材を複数作成することができる。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
ガラス旋盤を用いて酸水素バーナーで、φ80 mmのプリフォームの一端にφ50 mmのハンドルを溶着し、線引きロッドとした。この線引きロッドの溶着部に、図2に示すようなハンドル部のガスシール機構10を取り付けた後、線引き装置のチャックでハンドル部を把持し、チャックを下げ、加熱炉内にプリフォーム1を垂下した。加熱炉15の上部には、予め図4に示すようなプリフォーム部のガスシール機構16を取り付けておいた。この状態で炉内を2,080 ℃に昇温して、プリフォーム1の下部にネックダウン部を形成し、加熱炉15の下面に設けた開口部から、光ファイバを引き出した(図5参照)。
【0027】
線引きの経過につれて、プリフォーム1は下方に移動し、加熱炉15の下方からファイバが引き出されるが、線引きロッドの溶着部3が加熱炉15の上部に達すると、図6に示すように、プリフォーム部のガスシール機構16を構成する円筒部材14と、ハンドル部のガスシール機構10を構成する円盤4とが当接する。さらに、プリフォーム1が炉内に挿入されていくと、線引きロッドのハンドル部分がプリフォーム部のガスシール機構16に達し、ガスシール部材12が完全にハンドル2の表面から離れ、全くガスシールの役割を果たさなくなるが、代わりに、ハンドル部のガスシール機構10によりシールされ、大気が炉内に混入したり、炉内の不活性ガスが放出されることはなかった。
また、プリフォーム部分は全長にわたって線引きに利用され、ハンドルとの溶着部まで光ファイバにすることができた。得られた光フナイバーは、外径変動が±0.3 μm以下で、プルーフ試験の結果も、良好な強度特性を有していることが確認できた。
【0028】
(実施例2)
次に、実施例1と同様にして、φ83 mmのプリフォームの一端にφ55 mmのハンドルを溶着し、これにハンドル部のガスシール機構を取り付けた後、加熱炉の上部に予め取り付けられたプリフォーム部のガスシール機構を通して、炉内にプリフォームを挿入した。このハンドル部のガスシール機構において、ガスシール部材に穴径がφ56 mmのリング状のカーボンフィルムを使用した以外は、実施例1で使用した部材をそのまま使用した。プリフォーム部のガスシール機構についても、穴径がφ84 mmのカーボンフィルムを使用した以外は、実施例1で使用した部材をそのまま使用した。
このような構成からなる線引き装置を使用して、プリフォームを線引きしたところ、得られた光ファイバの外径変動は、±0.3 μm以下に抑えられ、強度特性においても全く問題ないことが確認できた。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同様に、φ80 mmプリフォームにφ50 mmハンドルを溶着し、加熱炉の上部にガスシール機構として、図8に示す、従来から一般に用いられているステンレス製の金属リング18を載せて、線引きを行った。この場合は、金属リング18に線引きロッドの溶着部3がさしかかったところで、ガスのシールができなくなるため、それ以上、線引きは継続できなかった。
使用した加熱炉15は、上部の開口から350 mm入ったところで、最も温度が高くなり、ネックダウン部が形成されていた。このため、プリフォーム1の溶着部3から350 mmのところまでで線引きを中止せざるを得ず、その分、光ファイバの収率が低いものとなった。
【0030】
(比較例2)
実施例1と同様に、φ80 mmのプリフォームの一端にφ50 mmのハンドルを溶着し、図2に示す遮熱用リング7に、石英ガラスを用いて線引きを行った。プリフォーム1が加熱炉15に入って高温になると同時に、線引きロッドの溶着部3から炉内で発生した輻射光が、カーボンフィルムからなるガスシール部材8に照射され、大気中でガスシール部材8が酸化してぼろぼろになり、まったくガスシール部材としての役割を果たせなくなってしまった。
以上示したように、遮熱用リング7には、輻射光を遮る、不透明な耐熱材料を用いるのが必要であることが分かった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の線引き装置によれば、プリフォームに直径の異なるハンドルを溶着してなる線引きロッドを線引きする場合でも,炉内への大気の進入及び大気中への炉内不活性ガスの拡散を防止でき、さらに、プリフォームやハンドルの外径が線引きロッド毎に異なっている場合でも、容易に対応でき、プリフォーム全体を光ファイバ化することができるため、光ファイバの収率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリフォームに径の異なるハンドルを溶着してなる線引きロッドを示す概略断面図である。
【図2】線引きロッドにセットされた、ハンドル部のガスシール機構を示す概略断面図である。
【図3】ハンドル部のガスシール機構に使われる、円盤と円筒を溶着した部材を示す概略斜視図である。
【図4】加熱炉の上部に設置される、プリフォーム部のガスシール機構を示す概略断面図である。
【図5】本発明の線引き装置において、プリフォームが炉内に挿入されている状態を示す概略断面図である。
【図6】本発明の線引き装置において、ハンドル部分が加熱炉上部にさしかかった状態を示す概略断面図である。
【図7】従来のガスシール機構を備えた、比較例1に使用した線引き装置を示す概略断面図である。
【図8】従来のガスシール機構を備えた、比較例2に使用した線引き装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1……プリフォーム、
2……ハンドル、
3……溶着部、
4……上下面が平坦な円盤、
5……上面が平坦な円盤、
6……円筒、
7……遮熱用リング、
8,12……ガスシール部材、
9,13……おもり用リング、
10……ハンドル部のガスシール機構、
11……円筒部材、
14……透明な円筒部材、
15……加熱炉、
16……プリフォーム部のガスシール機構、
17……加熱用ヒーター、
18……金属リング。
Claims (5)
- プリフォームの端部にハンドルが溶着されてなる線引きロッドを、加熱炉で溶融、細径化して、光ファイバを線引きする装置において、ハンドルとプリフォームの外径が異なる線引きロッドを使用するに際し、線引きロッドが送り込まれる側の加熱炉の開口部に設置されるガスシール機構が、プリフォーム部分とハンドル部分とで、別々のガスシール機構が作用するように構成されていることを特徴とする光ファイバ線引き装置。
- ハンドル部のガスシール機構に、ハンドルとプリフォームの溶着部から放射される輻射熱を遮る、不透明な耐熱部材が配設されている請求項1に記載の光ファイバ線引き装置。
- 前記耐熱部材に、BN,SiN,SiCのいずれかからなるセラミック材料、またはW,Ta,ステンレス材のいずれかからなる金属材料が用いられている請求項2に記載の光ファイバ線引き装置。
- ガスシール機構のガスシール部材が、接触、摺動により、ガラスの表面に傷を付けない、硬度の小さな耐熱材料からなる請求項1に記載の光ファイバ線引き装置。
- ガスシール機構のガスシール部材が、シート状のカーボンフィルムである請求項4に記載の光ファイバ線引き装置。
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