JP7155631B2 - 光ファイバの線引き方法 - Google Patents
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Description
特許文献2~4には、上記仕切り板が複数設けられた光ファイバ線引装置が記載されている。
炉心部の上部に煙突部が設けられた上煙突型の筐体を有する線引装置を用いて、ダミー棒で支持した光ファイバ母材を上下に昇降自在に前記筐体内に収容して前記光ファイバ母材を加熱して溶融させ、前記光ファイバ母材の下端から光ファイバを線引きする光ファイバの線引方法であって、
少なくとも外側部材と内側部材とを有して前記内側部材が前記外側部材の上に載るように構成された一つ以上の遮蔽板を、前記ダミー棒に挿通して移動可能に取り付けると共に、一番下の前記遮蔽板と前記光ファイバ母材の上端との間に風防板を取付けて、
光ファイバの線引きが進行して前記光ファイバ母材が下降するのに伴い、前記外側部材が前記煙突部内の内径縮径部に係止されることにより前記遮蔽板が係止されて、係止された前記遮蔽板により前記煙突部の空間が上下に遮蔽され、前記風防板が前記光ファイバ母材の上端との距離を一定に保って下降するように、光ファイバを線引きする。
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係る光ファイバの線引き方法は、
(1)炉心部の上部に煙突部が設けられた上煙突型の筐体を有する線引装置を用いて、ダミー棒で支持した光ファイバ母材を上下に昇降自在に前記筐体内に収容して前記光ファイバ母材を加熱して溶融させ、前記光ファイバ母材の下端から光ファイバを線引きする光ファイバの線引方法であって、
少なくとも外側部材と内側部材とを有して前記内側部材が前記外側部材の上に載るように構成された一つ以上の遮蔽板を、前記ダミー棒に挿通して移動可能に取り付けると共に、一番下の前記遮蔽板と前記光ファイバ母材の上端との間に風防板を取付けて、
光ファイバの線引きが進行して前記光ファイバ母材が下降するのに伴い、前記外側部材が前記煙突部内の内径縮径部に係止されることにより前記遮蔽板が係止されて、係止された前記遮蔽板により前記煙突部の空間が上下に遮蔽され、前記風防板が前記光ファイバ母材の上端との距離を一定に保って下降するように、光ファイバを線引きする。
上記方法によれば、光ファイバ母材の上端と一番下の遮蔽板との間に生じる強い上昇気流を風防板によって抑制することができる。これにより、炉心部の上部に煙突部が設けられた上煙突型の筐体を有する線引装置を用いて光ファイバの線引きを行う場合に、線引き終了間際に線引きされた光ファイバのガラス径の変動が大きくなることを抑制することができる。
上記方法によれば、石英ガラスによって形成された風防板は、例えばカーボンのように高温化した光ファイバ母材から発生するSiO2の蒸気や酸素により酸化され発塵することは無い。
また、石英ガラスによって形成された風防板は、光ファイバ母材の上端からの輻射光をある程度透過させることができる。これにより、煙突部における風防板の上下の空間の温度差が大きくなることを抑制することができる。風防板の上下の空間の温度差が抑制されることで気流の乱れが抑制され、線引きされた光ファイバのガラス径の変動が大きくなることを、さらに抑制することができる。
上記方法によれば、風防板の直径が、煙突部の最小内径の0.98倍以下であるので、風防板と煙突部内面とがほぼ接触することなく線引きすることができる。
上記方法によれば、風防板の直径が、光ファイバ母材の直径の0.80倍以上であるので、光ファイバのガラス径の変動を、さらに確実に抑制することができる。
本発明の実施形態に係る光ファイバの線引き方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1に示すように、線引装置1は、光ファイバ母材Gから光ファイバG1を線引きする装置である。線引装置1は、光ファイバ母材Gを上下に昇降自在に収容する線引炉2と、線引炉2内をダミー棒3に沿って移動可能な一つ以上(本例では4枚)の遮蔽板4,5,6,7と、を備えている。また、線引装置1は、光ファイバ母材Gを加熱するヒータ8と、線引炉2内に不活性ガス(例えば、ヘリウムガス)を供給するガス供給部9と、を備えている。
内側部材4b,5b,6b,7bの中心部に形成された孔の内径は、外側部材4a,5a,6a,7aの中心部に形成された孔の内径よりも小さく、かつ、ダミー棒3の外径よりも僅かに大きく、ダミー棒3に対して摺動可能に形成されている。このため、中心部の孔にダミー棒3が挿通されたとき、内側部材4b,5b,6b,7bは、外側部材4a,5a,6a,7aの上に載るように構成されている。
まず、ダミー棒3の下端に連結部材10を介して光ファイバ母材Gを取り付け、光ファイバ母材Gの下端をヒータ8で加熱し溶融させる。そして、溶融されている光ファイバ母材Gの下端から光ファイバG1を線引きする。線引きされる光ファイバG1は、下方延長部25から引き出される。光ファイバ母材Gは、光ファイバG1の線引きが進むと短くなるのでダミー棒3を下降させて光ファイバ母材Gの下端がヒータ8によって常に加熱されるようにする。線引き中は、ガス供給部9から不活性ガスを線引炉2の内部に供給する。また、煙突部22の上部は、内部の不活性ガスが流出しないように蓋部材21で蓋をする。
光ファイバ母材Gが炉心部123のヒータ108によって直接加熱されるのは光ファイバ母材Gの下端側であるが、ヒータ108の輻射光は光ファイバ母材G内を下から上へと伝搬する。このため、光ファイバ母材Gの上端側は、光ファイバ母材Gの上端部(外径が小さくなる肩部)からヒータ108の輻射光が放出されて、輻射光の熱を放出するヒータのように作用する。
次に、線引装置1における風防板11の直径Dを変えて、本実施形態に係る光ファイバの線引き方法によって線引きを行った風防板実験例について述べる。
風防板実験例では、同一の線引装置1に対して同一径の光ファイバ母材を用いて、直径Dが異なる風防板11を用いた例1~例9の場合において、それぞれ線引きを行った。例1~例9の風防板11の直径Dは、煙突部22の最小内径Dcとの比率(D/Dc)、および、光ファイバ母材Gの直径Dpとの比率(D/Dp)で示した。各例ともそれぞれ100本の光ファイバ母材Gに対して線引きができるか否かを検査した。そして、線引きされた光ファイバG1に対して、線引き時間の経過に対する光ファイバG1のガラス径の測定を行い、測定結果(例えば図3のようなグラフ)から所定の大きさ以上のガラス径の変動が発生するか否かを検査した。
表1は、例1~例9におけるそれぞれの線引きの結果を示す。
D/Dcが0.98の例2では、98%の光ファイバ母材Gにおいて、風防板11が煙突部22の内面に接触することなく線引きができた。
D/Dcが0.95以下かつ0.38以上の場合(例3~9)は、全ての光ファイバ母材Gにおいて、風防板11が煙突部22の内面に接触することなく線引きができた。ところが、D/Dcが0.70以下の場合(例7~9)は、D/Dpが0.74以下となり、線引きで得られた一部の光ファイバG1で所定の大きさ以上のガラス径の変動が発生した。
一方、D/Dpが0.80以上かつ1.03以下の場合(例2~6)は、線引きで得られた全ての光ファイバG1で所定の大きさ以上のガラス径の変動が発生しなかった。なお、D/Dpが1.05の場合(例1)は、D/Dcが1.00であり、前述のように、風防板11と煙突部22の内面が接触して全く線引きができなかったので、光ファイバG1のガラス径の変動の検査は行っていない。
2:線引炉
3:ダミー棒
4,5,6,7:遮蔽板
4a,5a,6a,7a:外側部材
4b,5b,6b,7b:内側部材
10:連結部材
11:風防板
22:煙突部
22a:内周部
22b:外周部
23:炉心部
24a~24d:内径縮径部
25:下方延長部
D:風防板の直径
Dc:最小内径
Dp:光ファイバ母材の直径
G:光ファイバ母材
G1:光ファイバ
Claims (3)
- 炉心部の上部に煙突部が設けられた上煙突型の筐体を有する線引装置を用いて、ダミー棒で支持した光ファイバ母材を上下に昇降自在に前記筐体内に収容して前記光ファイバ母材を加熱して溶融させ、前記光ファイバ母材の下端から光ファイバを線引きする光ファイバの線引方法であって、
少なくとも外側部材と内側部材とを有して前記内側部材が前記外側部材の上に載るように構成された一つ以上の遮蔽板を、前記ダミー棒に挿通して移動可能に取り付けると共に、一番下の前記遮蔽板と前記光ファイバ母材の上端との間に風防板を取付けて、
光ファイバの線引きが進行して前記光ファイバ母材が下降するのに伴い、前記外側部材が前記煙突部内の内径縮径部に係止されることにより前記遮蔽板が係止されて、係止された前記遮蔽板により前記煙突部の空間が上下に遮蔽され、前記風防板が前記光ファイバ母材の上端との距離を一定に保って下降するように、光ファイバを線引きし、
前記風防板の直径は、前記煙突部の最小内径の0.95倍以下である光ファイバの線引き方法。 - 前記風防板は、石英ガラスによって形成されている、請求項1に記載の光ファイバの線引き方法。
- 前記風防板の直径は、前記光ファイバ母材の直径の0.80倍以上である、請求項1または請求項2に記載の光ファイバの線引き方法。
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