JP5345352B2 - 光ファイバ用母材の製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、石英ガラス多孔質体を形成する方法としては、例えば、種棒の先端にスートを堆積させて鉛直方向に成長させるVAD法、該VAD法等によって形成させた石英ガラス多孔質体を透明ガラス化した後、得られたガラス母材を必要に応じて延伸してから、その外周上にスートを堆積させるOVD法(外付け法)等が例示できる。
このような透明ガラス化法では、加熱炉内の温度は、ヒータの表面温度を放射温度計等で測定したり、予めヒータ印加電力と加熱温度やその他の特性との相関を確認しておき、印加電力を調整したりすることで、制御している。このように加熱炉内の温度を制御することで、透明ガラス化する温度を適切な範囲に維持している。なお、スートに含有される水分を除去するために通常行われる脱水工程では、脱水温度が1000℃程度であるのに対し、焼結による透明ガラス化の温度は1500℃程度であり、より高温である。
例えば、特許文献1では、大型多孔質ガラス母材の透明ガラス化方法の最適化について開示されており、透明ガラス化されない未焼結部の改善と、透明ガラス化温度を上げ過ぎた場合の母材の延伸の抑制を目的に、透明ガラス化温度、母材の移動速度、ガスの供給条件を最適化する方法が提案されている。
本発明の光ファイバ用母材の製造方法は、ガラスロッドの外周上に石英ガラス多孔質体が堆積されてなり、且つ光ファイバの製造に使用される有効部と、該有効部の両端に隣接する非有効部とを備える多孔質ガラス母材を、加熱炉中のヒータにより加熱処理することで、前記石英ガラス多孔質体を透明ガラス化する光ファイバ用母材の製造方法であって、前記加熱炉中において、石英ガラス多孔質体がその一端から他端へ向けて前記ヒータによる加熱領域中を通過するように、前記多孔質ガラス母材を、その中心軸方向にヒータに対して相対的に移動させて加熱処理する第一工程と、該第一工程後、前記移動方向とは反対側の非有効部がヒータ近傍に到達した時点で、相対的な移動を停止させるか、又は相対的な移動速度を低下させる第二工程と、該第二工程後、石英ガラス多孔質体を透明ガラス化できる温度に加熱温度を保持し、前記非有効部の加熱処理を所定時間継続する第三工程と、該第三工程後、石英ガラスの徐冷点に200℃を加算した温度以下まで、加熱炉内の加熱温度を低下させる第四工程と、該第四工程後、石英ガラス多孔質体を透明ガラス化できる温度まで加熱温度を上昇させることなく、得られた石英ガラス母材を加熱炉外へ取り出す第五工程と、を有し、前記第三工程において、前記非有効部におけるガラスロッドの直径をXmm、前記加熱温度を保持する時間をY分とした時、前記X及びYが式「0.020X 2 −0.597X+3.588≦Y≦0.022X 2 +0.280X−13.104(ただし、Y<0となる場合には、Y=0とする。)」で表される関係を満たすことを特徴とする。
<光ファイバ用母材の製造方法>
本発明の光ファイバ用母材の製造方法は、ガラスロッドの外周上に石英ガラス多孔質体が堆積されてなり、且つ光ファイバの製造に使用される有効部と、該有効部の両端に隣接する非有効部とを備える多孔質ガラス母材を、加熱炉中のヒータにより加熱処理することで、前記石英ガラス多孔質体を透明ガラス化する光ファイバ用母材の製造方法であって、前記加熱炉中において、石英ガラス多孔質体がその一端から他端へ向けて前記ヒータによる加熱領域中を通過するように、前記多孔質ガラス母材を、その中心軸方向にヒータに対して相対的に移動させて加熱処理する第一工程と、該第一工程後、前記移動方向とは反対側の非有効部がヒータ近傍に到達した時点で、相対的な移動を停止させるか、又は相対的な移動速度を低下させる第二工程と、該第二工程後、石英ガラス多孔質体を透明ガラス化できる温度に加熱温度を保持し、前記非有効部の加熱処理を所定時間継続する第三工程と、該第三工程後、石英ガラスの徐冷点に200℃を加算した温度以下まで、加熱炉内の加熱温度を低下させる第四工程と、該第四工程後、石英ガラス多孔質体を透明ガラス化できる温度まで加熱温度を上昇させることなく、得られた石英ガラス母材を加熱炉外へ取り出す第五工程と、を有することを特徴とする。
本発明においては、加熱処理による透明ガラス化工程において、透明ガラス化過程にある石英ガラス多孔質体も、特に断りの無い限り、石英ガラス多孔質体と言うことにする。同様に、透明ガラス化工程においてコアとなる過程のガラスロッドも、特に断りの無い限り、ガラスロッドと言うことにする。そして、透明ガラス化過程にある多孔質ガラス母材も、特に断りの無い限り、多孔質ガラス母材と言うことにする。
ガラスロッドは、そのまま石英ガラス多孔質体の堆積に供しても良いが、両端部にダミーロッドを融着させたものが好ましい。ここで、ダミーロッドは、通常の光ファイバ用母材の製造に使用されるもので良く、所望の光ファイバ用母材のサイズに応じて、十分な強度を有するように径のサイズを調整すれば良い。このようにすることで、ダミーロッドが融着されたガラスロッドの大部分を有効部とすることができる。本発明において「ガラスロッド」とは、このようなダミーロッドを融着させたものも含むものとする。
多孔質ガラス母材は、公知の方法で作成すれば良い。例えば、ガラスロッドを石英ガラス多孔質体堆積装置にセットし、VAD法又はOVD法等のスート堆積法により、原料ガスからガラス微粒子合成用バーナで合成したガラス微粒子を、ガラスロッドの外周上に堆積させれば良い。このようにして作製された多孔質ガラス母材の概略縦断面図を図1に例示する。
このように、多孔質ガラス母材1において、石英ガラス多孔質体5の両端部近傍に相当する部位は、それぞれ第一の非有効部11及び第二の非有効部12となっており、石英ガラス多孔質体5はテーパ状である。本発明においては、必ずしも非有効部がテーパ状である必要性はないが、テーパ状である方が、非有効部を基点とする多孔質ガラス母材1の割れを防止する高い効果が得られる点で好ましい。そして、石英ガラス多孔質体5は、非有効部の一部でテーパ状とされていても良いが、ここに示すように非有効部の全体に渡ってテーパ状とされていることが特に好ましい。また、いずれか一方のみの非有効部(第一の非有効部11又は第二の非有効部12)がテーパ状とされていても良いが、両方(第一の非有効部11及び第二の非有効部12)が共にテーパ状とされていることが特に好ましい。
なかでも、本発明の効果が一層発揮されることから、多孔質ガラス母材は15kg以上のものが好ましく、20kg以上のものが特に好ましい。
第一工程では、多孔質ガラス母材を、その中心軸方向にヒータに対して相対的に移動させて加熱処理する。ここで「多孔質ガラス母材をヒータに対して相対的に移動させる」とは、多孔質ガラス母材とヒータとの相対的な位置関係を変化させることを指し、より具体的には、(A)ヒータを固定して多孔質ガラス母材を移動させること、(B)多孔質ガラス母材を固定してヒータを移動させること、(C)ヒータ及び多孔質ガラス母材をこれらの相対的な位置関係が変化するように共に移動させること、のいずれかを指す。これらの中では、(A)が最も簡便で好ましい。
第一工程では、第二の非有効部12から有効部10を経て第一の非有効部11までが順次加熱されるように、多孔質ガラス母材1を、上から下へ向けて移動させる。以上の点においては、公知の加熱処理方法を適用できる。
第二工程では、第一工程後、前記移動方向とは反対側の非有効部がヒータ近傍に到達した時点で、相対的な移動を停止させるか、又は相対的な移動速度を低下させる。ここで、ヒータ近傍とは、ヒータにより十分加熱可能な領域のことを指す。
図3は、相対的な移動を停止させた場合の、ゾーン加熱炉内での母材を例示する概略縦断面図である。ここでは、第一の非有効部11の先端部110が主要加熱領域600中に配置された状態を例示している。本発明においては、第一の非有効部11がヒータ60の近傍に到達した時点で、相対的な移動を停止させれば良い。そして、第一の非有効部11の少なくとも一部が、主要加熱領域600中に存在する状態で、相対的な移動を停止させることが好ましく、第一の非有効部11全体が主要加熱領域600中に存在する状態で、相対的な移動を停止させることがより好ましい。このように、多孔質ガラス母材1の中心軸方向において、ヒータ60の近傍又はヒータ60と重なる状態で、相対的な移動を停止させるか、又は相対的な移動速度を低下させることで、第三工程での非有効部の加熱処理が一層効果的に行われる。
その後は、第一の非有効部11において石英ガラス多孔質体5が十分透明ガラス化された後の任意の時期に、相対的な移動を停止させれば良い。
さらに、本発明においては、ヒータ60及び多孔質ガラス母材1をこれらの相対的な位置関係が変化するように共に移動させても良い。この時、ヒータ60及び多孔質ガラス母材1は、(C−1)互いに同じ方向に移動させても良いし、(C−2)互いに逆方向に移動させても良い。例えば、(C−1)の場合には、ヒータ60及び多孔質ガラス母材1を共に上から下へ移動させるのであれば、多孔質ガラス母材1の移動速度をヒータ60の移動速度よりも大きくすれば良いし、ヒータ60及び多孔質ガラス母材1を共に下から上へ移動させるのであれば、ヒータ60の移動速度を多孔質ガラス母材1の移動速度よりも大きくすれば良い。また、(C−2)の場合には、ヒータ60を下から上へ、多孔質ガラス母材1を上から下へそれぞれ移動させれば良く、それぞれの移動速度は任意に設定できる。この場合も、ヒータ60及び多孔質ガラス母材1は、これらの相対的な位置関係が上記と同じになるように停止させるか、又は相対的な移動速度を低下させれば良い。
第三工程では、第二工程後、石英ガラス多孔質体を透明ガラス化できる温度に加熱温度を保持し、前記非有効部の加熱処理を所定時間継続する。
これにより、石英ガラス多孔質体が透明ガラス化された母材が得られると共に、非有効部におけるガラスロッド(図3においては、第一の非有効部11における第一のダミーロッド3)は、外周から中心部に至るまで十分に加熱され、その径方向における温度差が十分小さくなり、母材の質量がガラスロッドの径方向において比較的均等にかかるようになる。ここで「比較的均等」とは、耐衝撃性及び耐熱衝撃性が実用上問題ないレベルとなる差であることを指す。その結果、残留応力の径方向における差が小さくなり、非有効部におけるガラスロッドに残留する径方向の歪みも小さくなり、耐衝撃性及び耐熱衝撃性が向上する。またこのような効果は、例えば、図3においては、第一の非有効部11における第一のダミーロッド3だけではなく、主要加熱領域600で十分加熱されるガラスロッドにおいても発現される。具体的には、第一のダミーロッド3のうち、石英ガラス多孔質体5が積層されずに露出されている部位や、有効部10におけるガラスロッド2のうち、第一の非有効部11近傍の部位においても、同様の効果が発現される。
一方、加熱温度が高過ぎると、非有効部におけるガラスロッドは、その粘度が低下して、該ガラスロッド自体の質量や支持している有効部の質量により延伸され、最終的には、透明ガラス化された母材が落下したり、母材下部が炉芯管下部に接触して、炉芯管が破損する可能性がある。これに対し、加熱温度が低過ぎると、本発明の効果が十分得られない。
好ましい保持時間は、非有効部におけるガラスロッドの直径の関数として表すことができる。例えば、図1に例示する多孔質ガラス母材1の場合には、保持時間Yは、式「0.020D3 2−0.597D3+3.588≦Y≦0.022D3 2+0.280D3−13.104(ただし、Y<0となる場合には、Y=0とする。)」の範囲であることが好ましい。これについて、以下、さらに詳しく説明する。
上記式(1)及び(2)を用いて、母材の非有効部におけるガラスロッドの形状を円柱で近似し、その外周上の温度を、石英ガラス多孔質体を透明ガラス化する温度とし、ガラスロッド内部に熱源が存在しないと仮定して、q(x)=0として、有限要素法、有限差分法、有限体積法等を用いて、非有効部におけるガラスロッド内部への熱伝導速度を計算し、ガラスロッド内部の温度と保持時間との関係を算出すると、図4〜6に示すグラフが得られる。図4〜6中、(a)は保持時間ごとの径方向の温度分布を、(b)は保持時間とガラスロッド中心部における温度との関係をそれぞれ示すグラフである。(a)において、例えば、横軸の「半径方向位置」が「0m」とは、中心部であることを示す。そして、図4は非有効部におけるガラスロッドの直径(以下、「ダミー径」と略記する)が20mm、図5はダミー径30mm、図6はダミー径40mmの場合について、それぞれ算出した時の代表的な結果である。
これらの結果から、ダミー径が大きくなるほど中心部まで温度が上昇するのに時間を要することが判る。例えば、ダミー径が20mmの場合には、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差を250℃以下とするためには、90秒程度の保持時間が必要だが、同様の温度差にするために、ダミー径が30mmの場合には5分程度、ダミー径が40mmの場合には15分程度の保持時間がそれぞれ必要であることが判る。
同様に、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差を100℃とするために必要な保持時間とダミー径との関係を、補正前及び補正後の両方について図8に示す。
さらに、図7及び8における補正後のデータを併記したグラフを図9に示す。
第四工程では、第三工程後、石英ガラスの徐冷点に200℃を加算した温度以下まで、加熱炉内の加熱温度を低下させる。ここで「加熱温度」とは、母材を加熱する温度のことを指す。
第三工程後に、透明ガラス化された母材を、例えば、直ちに加熱炉外に取り出すなど急冷した場合には、急冷開始時の環境温度に依存して、非有効部のガラスロッドにおける径方向に新たな残留歪みが生じてしまう。その結果、最終的に光ファイバ用母材とした時に、さらに径方向の残留歪みの分布が大きく変動してしまう。しかし、第三工程後に急冷することなく一旦所定の温度にまで徐々に母材の温度を低下させることで、母材の径方向の温度分布が急激に変化することがなく、第三工程終了時から径方向の残留歪みの分布がほとんど変動しない。本発明においては、第三工程後に、特に石英ガラスの徐冷点に200℃を加算した温度まで加熱温度を一旦低下させることで、径方向の残留歪みの分布変動を抑制する。この時、断熱材等で覆われ保温効果を有する加熱炉内で温度を低下させることにより、母材の急冷が回避される。
このように、加熱炉内の加熱温度の上限を設定することにより、加熱炉内での降温時間を短縮でき、製造効率を低下させることなく、良好な品質の光ファイバ用母材が得られる。
第五工程では、第四工程後、石英ガラス多孔質体を透明ガラス化できる温度まで加熱温度を上昇させることなく、得られた石英ガラス母材を加熱炉外へ取り出す。
本工程では、第四工程後、加熱炉内の加熱温度を上昇させることなく、石英ガラス母材を取り出すことが好ましい。第四工程後、必要に応じて、石英ガラス多孔質体を透明ガラス化できる温度よりも低い温度まで、加熱炉内の加熱温度を上昇させてから石英ガラス母材を取り出しても良いが、工程が煩雑になる。
本発明の光ファイバ用母材は、上記本発明の製造方法で製造されたことを特徴とする。
また、本発明の光ファイバ用母材製造用ガラスロッドは、上記本発明の製造方法で製造された光ファイバ用母材のうち、前記第三工程において加熱処理を所定時間継続した非有効部から取り出されたことを特徴とする。
上記本発明の製造方法によれば、特に、前記第三工程において加熱処理を所定時間継続した非有効部におけるガラスロッドの耐衝撃性及び耐熱衝撃性が向上する。このような光ファイバ用母材は、取り扱いが容易である。そして、製造する光ファイバ用母材が大型であるほど、このような優れた効果を発揮する。さらに、前記非有効部から取り出されたガラスロッド(ダミーロッド)は、耐衝撃性及び耐熱衝撃性が向上しているので、アニール等の再処理を行うことなく、光ファイバ用母材の製造に再利用できる。したがって、高品質な光ファイバ用母材を安価に製造できる。
なお、本実施例においては、非有効部のガラスロッドにおける径方向の残留歪みの分布を評価する方法として、以下の方法を適用した。残留歪みの評価方法としては、ストレインビュアー等が挙げられるが、ガラスロッド外周上の歪み評価等が非常に困難なためである。
評価方法;透明ガラス化された母材の加熱炉内での降温(本発明においては第四工程)後、非有効部のガラスロッド外周上の円周方向にヤスリで幅1mm、深さ0.5mm程度の溝(キズ)を約半周分設け、24時間以内にキズの成長に伴う割れの有無を確認した。
ダミー径が35mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約20kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、図2に示すようにゾーン加熱炉を使用して、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1480℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で10分間保持した。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、206℃、7.2分〜23.6分である。次いで1350℃まで降温後、光ファイバ用母材を加熱炉外へ取り出した。本法により10本の光ファイバ用母材を作製し、非有効部のガラスロッドを評価した結果、いずれにも割れは生じなかった。
ダミー径が40mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約50kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1490℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で15分間保持した。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、220℃、11.7分〜33.3分である。次いで1300℃まで降温後、光ファイバ用母材を加熱炉外へ取り出した。本法により10本の光ファイバ用母材を作製し、非有効部のガラスロッドを評価した結果、いずれにも割れは生じなかった。
ダミー径が45mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約80kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1500℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で30分間保持した。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、159℃、17.2分〜44.0分である。次いで1250℃まで降温後、光ファイバ用母材を加熱炉外へ取り出した。本法により10本の光ファイバ用母材を作製し、非有効部のガラスロッドを評価した結果、いずれにも割れは生じなかった。
ダミー径が35mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約20kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1480℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で20分間保持した。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、126℃、7.2分〜23.6分である。次いで1350℃まで降温後、光ファイバ用母材を加熱炉外へ取り出した。本法により10本の光ファイバ用母材を作製し、非有効部のガラスロッドを評価した結果、いずれにも割れは生じなかった。
ダミー径が40mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約50kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1490℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で30分間保持した。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、121℃、11.7分〜33.3分である。次いで1300℃まで降温後、光ファイバ用母材を加熱炉外へ取り出した。本法により10本の光ファイバ用母材を作製し、非有効部のガラスロッドを評価した結果、いずれにも割れは生じなかった。
ダミー径が45mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約80kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1500℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で40分間保持した。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、110℃、17.2分〜44.0分である。次いで1250℃まで降温後、光ファイバ用母材を加熱炉外へ取り出した。本法により10本の光ファイバ用母材を作製し、非有効部のガラスロッドを評価した結果、いずれにも割れは生じなかった。
ダミー径が35mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約20kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1480℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で5分間保持した。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、344℃、7.2分〜23.6分である。次いで1450℃まで降温後、光ファイバ用母材を加熱炉外へ取り出した。本法により10本の光ファイバ用母材を作製し、非有効部のガラスロッドを評価した結果、10本中4本のガラスロッドに割れが生じた。
ダミー径が40mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約50kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1490℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で10分間保持した。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、290℃、11.7分〜33.3分である。次いで1400℃まで降温後、光ファイバ用母材を加熱炉外へ取り出した。本法により10本の光ファイバ用母材を作製し、非有効部のガラスロッドを評価した結果、10本中6本のガラスロッドに割れが生じた。
ダミー径が45mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約80kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1500℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で15分間保持した。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、270℃、17.2分〜44.0分である。次いで1250℃まで降温後、光ファイバ用母材を加熱炉外へ取り出した。本法により10本の光ファイバ用母材を作製し、非有効部のガラスロッドを評価した結果、10本中3本のガラスロッドに割れが生じた。
ダミー径が35mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約20kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1480℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で30分間保持したところ、非有効部のガラスロッドが延伸され、母材が落下してしまった。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、84℃、7.2分〜23.6分である。
ダミー径が40mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約50kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1490℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で40分間保持したところ、非有効部のガラスロッドが延伸され、母材が落下してしまった。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、83℃、11.7分〜33.3分である。
ダミー径が45mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約80kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1500℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で60分間保持したところ、非有効部のガラスロッドが延伸され、母材が落下してしまった。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、56℃、17.2分〜44.0分である。
ダミー径が20mmであるガラスロッドを使用して外付けデポジションを行い、約15kgの多孔質ガラス母材を得た。次いで、実施例1と同様に、加熱炉内に固定配置されたヒータに対して、多孔質ガラス母材を100mm/時間の速度で上から下へ移動させることで、1460℃で透明ガラス化を行い、第一の非有効部の一部が主要加熱領域中に配置された状態で母材を停止させ、そのままの温度で5分間保持したところ、非有効部のガラスロッドが延伸され、母材が落下してしまった。なお、先に述べた方法による、ガラスロッドの中心部と外周上との温度差、加熱温度の好ましい保持時間は、それぞれ、62℃、0分〜1.3分である。
Claims (1)
- ガラスロッドの外周上に石英ガラス多孔質体が堆積されてなり、且つ光ファイバの製造に使用される有効部と、該有効部の両端に隣接する非有効部とを備える多孔質ガラス母材を、加熱炉中のヒータにより加熱処理することで、前記石英ガラス多孔質体を透明ガラス化する光ファイバ用母材の製造方法であって、
前記加熱炉中において、石英ガラス多孔質体がその一端から他端へ向けて前記ヒータによる加熱領域中を通過するように、前記多孔質ガラス母材を、その中心軸方向にヒータに対して相対的に移動させて加熱処理する第一工程と、
該第一工程後、前記移動方向とは反対側の非有効部がヒータ近傍に到達した時点で、相対的な移動を停止させるか、又は相対的な移動速度を低下させる第二工程と、
該第二工程後、石英ガラス多孔質体を透明ガラス化できる温度に加熱温度を保持し、前記非有効部の加熱処理を所定時間継続する第三工程と、
該第三工程後、石英ガラスの徐冷点に200℃を加算した温度以下まで、加熱炉内の加熱温度を低下させる第四工程と、
該第四工程後、石英ガラス多孔質体を透明ガラス化できる温度まで加熱温度を上昇させることなく、得られた石英ガラス母材を加熱炉外へ取り出す第五工程と、
を有し、
前記第三工程において、前記非有効部におけるガラスロッドの直径をXmm、前記加熱温度を保持する時間をY分とした時、前記X及びYが式「0.020X 2 −0.597X+3.588≦Y≦0.022X 2 +0.280X−13.104(ただし、Y<0となる場合には、Y=0とする。)」で表される関係を満たすことを特徴とする光ファイバ用母材の製造方法。
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