JP2005206443A - 光ファイバ線引き装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、光ファイバ母材4の少なくとも先端部41を収容する筒状の炉心管21と、前記光ファイバ母材4の先端部41を加熱溶融する熱源22を備えた光ファイバ線引き装置において、前記炉心管21上に、前記炉心管21に連通された孔部31を有するシール部3を備え、前記シール部3の孔径と前記光ファイバ母材4の直径(φ)との差が6mm以下である構成とする。
【選択図】 図1
Description
前記収納室414には鉛直方向に貫通孔414aが設けられており、この貫通孔414aを介して、光ファイバ母材402を保持した状態の支持棒403が線引室412内部に挿通できるようになっている。
また、支持棒403に吊り下げられた光ファイバ母材402を下降させ、光ファイバ母材402を収納室414に収納し、収納室414内のガス噴出口415から窒素ガスを供給しながら、排出口416から不要の酸素等を排出し、収納室414内を高濃度の窒素ガス雰囲気とする。
そして、シャッター413を開けて線引室412と収納室414とを連通した後、光ファイバ母材402を下降して線引室412に挿入し、次いで支持棒403の蓋部431によって線引室412の入り口側開口部412aを塞ぐ。この状態で、ヒータ417により光ファイバ母材402の先端部421を加熱溶融して線引し、光ファイバ404を製造する。
これにより、光ファイバ母材とシール部間の隙間から外気が炉心管内に侵入することを抑制できる。また、炉心管上にシール部を備えた構成であるため、従来の線引室と開閉自在なシャッターを介して連通された収納室を備えた装置に比べて簡単な構造とすることができる。
これにより、リング厚さ(d)が厚く外気の侵入経路長さを十分に長くでき、光ファイバ母材とシール部間の隙間から外気が炉心管内に侵入することを更に抑制できる。
これにより、シールリング間がガス溜りとして機能し、炉心管への外気の流れを抑制できる。特に、関係式dt≧(φ/2)/2を満たすことによって、光ファイバ母材とリング積層体間の隙間において、外気の侵入経路長さを十分に長くすることができる。また、関係式s≧2dを満たすことによって、ガス溜りとなるシールリング間を大きくとることができる。以上により、外気が炉心管内に侵入することを大幅に抑制できる。
第三及び第四の光ファイバ線引き装置では、ガスの流れによって外気の炉心管への侵入を抑制できる。
これにより、外気が炉心管内に侵入することを大幅に抑制でき、炉心管内の酸素濃度を低く抑えることができる。
これにより、高周波誘導コイルに供給する電流の周波数等を調整することによって温度調整等を精度良く行うことができ、また急速加熱が容易なため、優れた制御性で光ファイバを線引きできる。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第一の光ファイバ線引き装置1の一例を示す概略構成図である。この光ファイバ線引き装置1は、炉心管21と熱源22とが少なくとも備えられた線引き炉本体2と、前記炉心管21の上端21aに備えられたシール部3とから概略構成されている。
前記炉心管21は、カーボン等の耐熱性に優れた材質から構成されている。
また、炉心管21の下端21cには、線引きされた光ファイバ5を炉心管21外に引き出すための開口部21dが設けられている。
前記熱源22としては、抵抗線(ヒータ線)を有するヒータや高周波誘導コイル等が挙げられる。
また、炉心管21の外周面を覆うように断熱材23が設けられている。この断熱材23の上面には補強用の板材24が備えられ、この板材24上にシール部3が備えられている。
炉心管21の下端側には、炉心管21内部の酸素濃度を測定するための酸素濃度計25が備えられている。
なお、炉心管21には、その内部に不活性ガスを供給するためのガス供給手段が備えられていても構わない。
炉心管21の上端21a(板材24上)に設けられたシール部3は、孔部31を有する環状体や筒体であり、例えば、カーボン,石英ガラス等の耐熱性や強度に優れた材質から構成された円環状のシールリングや上部延長管等が挙げられる。前記カーボン,石英ガラス等の材質は、安価でかつ加工性に優れるため、安価にシール部3を形成できる。
一例として図1に示された光ファイバ線引き装置では、シール部3として、カーボン,石英ガラス等から構成された円環状のシールリング3aが備えられている。前記シールリング3aは、その孔部(以下、リング穴とも言う。)31と炉心管21の入り口側開口部21bとが連通するように配置されている。
また、シールリング3aのリング穴31の穴径、すなわちシールリング3aの内径は、光ファイバ母材4の直径(φ)よりも大きく、光ファイバ母材4を、リング穴31を通して入り口側開口部21bから炉心管21内に導入できるようになっている。
このため、光ファイバ母材4を炉心管21内に導入すると、光ファイバ母材4は、その側面42がシールリング3aの内周面31aに空間(隙間)6を介して添った状態となる。
前記シールリング3aの内径や厚さ(d)等の寸法を調整することによって、光ファイバ母材4の側面42とシールリング3aの内周面31aとの間の隙間6の大きさを調整でき、この隙間6から外気が炉心管21内に侵入することを抑制できる。
なお、光ファイバ母材4の側面42の一部がシールリング3aの内周面31aに接触していても構わない。
図2は、炉心管21内の酸素濃度と、シールリング3aの内周径と光ファイバ母材4の直径(φ)との差(クリアランス)との関係の一例を示す図である。
ここで、図2では、光ファイバ母材4を炉心管21内に導入し、光ファイバ母材4の側面42が空間(隙間)6を介してシールリング3aの内周面31aに添った状態とし、この状態で炉心管21内にHeガスを供給しながら光ファイバ母材4を線引きした際の炉心管21内の酸素濃度を示している。
このため、シールリング3aと、光ファイバ母材4とのクリアランスが6mm以下となるように、予めシールリング3aの内周径を定めておくことによって、光ファイバ母材4の側面42とシールリング3aの内周面31aとの間の隙間6から外気が炉心管21内に侵入することを抑制でき、炉心管21内の酸素濃度を0ppmとすることができる。
ここで、図3では、図2と同様にして光ファイバ母材4を線引きした際の炉心管21内の酸素濃度を示している。
シールリング3aの厚さ(d)と光ファイバ母材4の半径(φ/2)との差(d−(φ/2))が0mm以上のとき、シールリング3aと光ファイバ母材4とのクリアランスや光ファイバ母材4の直径(φ)に関わらず、炉心管21内の酸素濃度は0ppmとなる。
シールリング3aの厚さ(d)が、炉心管21に導入する光ファイバ母材4の半径(φ/2)よりも薄い場合、外気の侵入経路長さが短く、隙間6からの外気の侵入量が多くなり、炉心管21内の酸素濃度が高くなってしまうため好ましくない。
図4は、炉心管に熱源22として高周波誘導コイル22aが備えられた光ファイバ線引き装置11の一例を示す概略構成図である。高周波誘導コイル22aには、交流電源が接続され、高周波の交流電流が供給されるようになっている。
高周波誘導コイル22aから高周波を発生させることによって導電性のカーボンからなる炉心管が誘導加熱され、この熱によって光ファイバ母材4の先端部41を加熱溶融できる。
熱源22として高周波誘導コイル22aが設けられたことによって、この高周波誘導コイル22aに供給する電流の周波数等を調整することによって温度調整等を精度良く行うことができ、また急速加熱が容易なため、優れた制御性で光ファイバ母材4を線引きできる。
まず、炉心管21内に、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスをガス供給手段(図示省略)によって供給し、炉心管21内を不活性ガス雰囲気とする。
次に、支持棒先端に光ファイバ母材4を固定し、この支持棒に吊り下げられた状態の光ファイバ母材4を降下させて、光ファイバ母材4を、リング穴31を通して炉心管21の入り口側開口部21bから炉心管21内に導入する。
そして、光ファイバ母材4を、その先端部41が熱源22近傍にくる位置で固定する。このとき、光ファイバ母材4が、入り口側開口部21bから突出し空間(隙間)6を介してシールリング3aの内周面31aに添った状態となる。
この状態の光ファイバ母材4の先端部41を熱源22によって加熱溶融し、線引きする。
次に、本発明の第二の光ファイバ線引き装置について説明する。
図5は、本発明の第二の光ファイバ線引き装置の要部の一例を示す概略構成図である。この光ファイバ線引き装置(装置の要部)は、炉心管121の上端121aに設けられたシール部103近傍であり、図1中、2点鎖線αによって囲まれた部分に相当する。
本実施形態の光ファイバ線引き装置が、第1の実施形態と異なる点は、シールリング3aの代わりに、リング積層体103が備えられている点である。
第1の実施形態と同様に、光ファイバ母材104の先端部を炉心管121内に導入すると、光ファイバ母材104が、入り口側開口部121bから突出し空間(隙間)106を介してリング積層体103の孔部内面に添った状態となるようになっている。
また他の構成は、第1の実施形態と同様であるため詳細の説明を省略する。
前記リング固定部103cは、シールリング103aと同様にカーボンや石英ガラス等から構成された円環状や柱状等のものであり、耐熱性に優れ、かつシールリング103aを支持できる強度を有する。
光ファイバ母材104の先端部を炉心管121内に導入した際、光ファイバ母材104の側面142と、リング積層体103の孔部内面とのクリアランスは、シールリング103aの内面において最小となり、リング固定部103の側面(凹部103d)において最大となる。
外気がリング積層体103の孔部131内を炉心管121に向かって流れると、外気の一部は光ファイバ母材104に向かって突出したシールリング103aに当たり、シールリング103a間の凹部103dにて滞留することになる。このようにリング積層体103のシールリング103a間の凹部103dがガス溜りとして機能し、炉心管121への外気の流れを抑制できる。
前記シールリング103aの厚さ(d)は、0.5mm以上、2mm以下が好ましく、これによりリング積層体103において、シールリング103aの容積を抑え、ガス溜りとなるシールリング103a間の凹部103dを大きくとることができる。このため、隙間106から外気が炉心管121内に侵入することを抑制でき、かつ装置の小型化が可能となる。
シールリング103aの厚さ(d)が0.5mm未満の場合、シールリング103aの強度が弱く、運転中に脱落する等の不具合が発生しやすいため好ましくない。また、シールリング103aの厚さ(d)が2mmよりも厚い場合、リング積層体103が大型化してしまうため好ましくない。
図6は、炉心管121内の酸素濃度と、リング積層体103の積層厚さ(dt)と光ファイバ母材104の半径(φ/2)との差(dt−(φ/2))との関係の一例を示す図である。
ここで、図6では、厚さ(d)が1mmであり、光ファイバ母材104とのクリアランスが2mmのシールリング103aが積層されたリング積層体103を備えた光ファイバ線引き装置を用い、図2と図3と同様に、光ファイバ母材104を加熱溶融して線引きした際の炉心管121内の酸素濃度の測定結果を示している。
また、直径(φ)が100mmの光ファイバ母材104を用いた場合、{dt−(φ/2)}が−25mm以上のとき、炉心管121内の酸素濃度は0ppmとなる。
このため、光ファイバ母材104の直径(φ)に関わらず、リング積層体103の積層厚さ(dt)が光ファイバ母材104の半径(φ/2)の1/2倍以上の厚さのとき、炉心管121内の酸素濃度は0ppmとなる。
ここで、光ファイバ母材104の直径(φ)の変動率とは、光ファイバ母材104の長手方向において、直径(φ)の平均値に対する変化量の最大値であり、変動率が大きいほど長手方向に対して直径(φ)のばらつきが大きいことになる。
直径(φ)の変動率が3%よりも大きい光ファイバ母材104を溶融、線引きする場合、この光ファイバ母材104を炉心管121内に導入すると、光ファイバ母材104とリング積層体103とのクリアランスのばらつきが大きく、炉心管121への外気の侵入を抑制できず、炉心管121内の酸素濃度が高くなってしまう。
第二の光ファイバ線引き装置を用いる以外は、第一の実施形態と同様にして、光ファイバ母材104を、その先端部141が熱源近傍にくるように炉心管121内に導入し、光ファイバ母材104が、入り口側開口部121bから突出し空間(隙間)6を介してリング積層体の内周面31aに添った状態となるようにする。
この状態の光ファイバ母材104の先端部141を熱源によって加熱溶融し、線引きする。
図8は、本発明の第三の光ファイバ線引き装置の要部の一例を示す概略構成図である。この光ファイバ線引き装置(装置の要部)は、炉心管221の上端221aに設けられたシール部203近傍であり、図1中、2点鎖線αによって囲まれた部分に相当する。
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、シール部203の孔部231の内周面231aにガス吹き出し口232a,232bが備えられ、孔部231内において光ファイバの線引き方向に対して順方向と逆方向に向かってガスが流れるようになっている点である。
他の構成は、第1の実施形態と同様であるため詳細の説明を省略する。
上部延長管203の内周面231aには、光ファイバ母材204の線引き方向に対して順方向にガスを吹き出すガス吹き出し口232aと、逆方向にガスを吹き出すガス吹き出し口232bとが設けられている。
ここで、図中、光ファイバ母材204の線引き方向とは、光ファイバ母材204の中心軸の紙面上、上下方向の上側から下側に向かう方向である。
前記した順方向にガスを吹き出すガス吹き出し口232aと、逆方向にガスを吹き出すガス吹き出し口232bとは、それぞれ光ファイバ母材204の中心軸に対して対称となる位置に複数、上部延長管203の内周面231aに備えられている。
光ファイバ母材204の線引き方向に対して順方向にガスを吹き出すガス吹き出し口232aには、ガス供給用配管233aが、その配管233aの長手方向が光ファイバ母材204の線引き方向に対して鋭角となるようにガス吹き出し口232aに接続されている。
このため、ガスは、ガス吹き出し口232aより、配管233aの長手方向と同一方向に吹き出され、炉心管221から突出した光ファイバ母材204の側面242に当たり、孔部231内において光ファイバ母材204の線引き方向に対して順方向、すなわち炉心管221内に向かって流れるようになっている。
このため、ガスは、ガス吹き出し口232bより、配管233bの長手方向と同一方向に吹き出され、炉心管221から突出した光ファイバ母材204の側面242に当たり、孔部231内において光ファイバ母材204の線引き方向に対して逆方向、すなわち炉心管221外に向かって流れるようになっている。
第1の実施形態と同様に、まず、炉心管221内を不活性ガス雰囲気とした後、光ファイバ母材204を、上部延長管203の貫通孔231を通して炉心管221の入り口側開口部221bから炉心管221内に導入する。
そして、光ファイバ母材204を、その先端部が熱源近傍にくる位置で固定する。このとき、光ファイバ母材204が、入り口側開口部221bから突出し空間206を介して上部延長管203の貫通孔231の内周面231aに添った状態となる。
この状態を維持したまま、光ファイバの線引き方向に対して順方向と逆方向に向かって、同時に上部延長管203のガス吹き出し口232a,232bから不活性ガスを吹き出しながら、光ファイバ母材204の先端部を熱源によって加熱溶融し、線引きする。
また、上部延長管203のガス吹き出し口232bから不活性ガスを吹き出し、孔部231内において光ファイバの線引き方向に対して逆方向に向かって不活性ガスを流すことによって、この不活性ガスの流れにより、外気の炉心管221への侵入を抑制できる。
これにより、ガス吹き出し口232a,232bから吹き出されたガスは、光ファイバ母材204の側面242の全周に沿って流れ、このガスの流れにより、光ファイバ母材204の側面242の全周に渡って外気の炉心管221への侵入を抑制できる。
また、前述した光ファイバ線引き装置を用いて光ファイバを線引きする場合、上部延長管203のガス吹き出し口232a,232bから不活性ガスを吹き出し、光ファイバの線引き方向に対して順方向又は逆方向のいずれか一方に向かって不活性ガスを流しながら、光ファイバ母材を溶融、線引きしても構わない。
これにより、前述した作用効果のうち、光ファイバの線引き方向に対して順方向又は逆方向のいずれか一方に向かって不活性ガスが流れることによる作用効果が得られる。
図9は、第4の実施形態の光ファイバ線引き装置の要部の一例を示す概略構成図である。この光ファイバ線引き装置(装置の要部)は、炉心管321の上端321aに設けられたシール部近傍であり、図1中、2点鎖線αによって囲まれた部分に相当する。
本実施形態が、第3の実施形態と異なる点は、炉心管321内の圧力が外気の圧力に対して数十Torr僅かに陽圧状態となるように、ガス吹き出し口332から炉心管内へガスが供給されるようになっている点である。
他の構成は、第3の実施形態と同様であるため詳細の説明を省略する。
上部延長管303の内周面331aには、光ファイバ母材304の側面342に対向するようにガス吹き出し口332が設けられている。このガス吹き出し口332は、上部延長管303の内周面331aのうち、上部延長管303の長手方向の略中央付近に備えられている。
またガス吹き出し口332には、ガス供給用配管334が、その配管334の長手方向が光ファイバ母材304の線引き方向に対して略垂直となるようにガス吹き出し口332に接続されている。
このため、ガス吹き出し口332に供給されたガスは、配管334の長手方向と同一方向に吹き出され、炉心管321から突出した光ファイバ母材304の側面342に垂直に当たり、貫通孔331内において、光ファイバ母材304の線引き方向に対して少なくとも順方向、すなわち炉心管321内に向かって流れるようになっている。
差圧計334のガス導入口334aのうち、吹き出し口332よりも炉心管側の位置における圧力が、炉心管321内の圧力とほぼ同じであるとすると、差圧計334によって、外側の圧力(大気圧)に対する炉心管321内の圧力の差圧が測定できることになる。
このため、外側の圧力に対して炉心管321内の圧力が陽圧状態となるように、炉心管321に供給されるガス量を調整できるようになっている。
そして、光ファイバ母材304を、その先端部が熱源近傍にくる位置で固定する。このとき、光ファイバ母材304が、入り口側開口部321bから突出し空間(隙間)306を介して上部延長管303の内周面331aに添った状態となる。
次に、外側の圧力(大気圧)に対する炉心管側の圧力の差圧を差圧計334によって測定し、この差圧の測定値をもとにしてガス吹き出し口332に供給するガス量を調整し、炉心管321内の圧力を外気の圧力よりも数十Torr僅かに陽圧状態とする。そして、炉心管321内の圧力を外気の圧力よりも陽圧状態としたまま、光ファイバ母材304の先端部を熱源によって加熱溶融し、線引きする。
[実施例1]
図1に示された第1の実施形態と同様の光ファイバ線引き装置(本発明の第一の光ファイバ線引き装置)1を用意した。炉心管21の下端に酸素濃度計(Model LC-750 TORAY社製)25を設け、炉心管21内部の酸素濃度を測定できるようにした。
また、シールリング3aとして、カーボンリングを用いた。このシールリング3aの外周径は120mmであり、また内周径は、シールリング3aと光ファイバ母材4とのクリアランスが1mm以上、6mm以下となる大きさであった。また、リング厚さ(d)は、光ファイバ母材4の半径(φ/2)と等しい大きさであった。
光ファイバ母材4としては、直径(φ)が40,80,100mmであり、直径(φ)の変動率が−2%以上、2%以下のものを用いた。
その他の構成は、第1の実施形態の光ファイバ線引き炉1と同様であるため説明を省略する。
次に、支持棒に吊り下げられた状態の光ファイバ母材4を降下させて、光ファイバ母材4を、シールリング3のリング穴31を通して入り口側開口部21bから炉心管21内に導入した。
そして、光ファイバ母材4を、その先端部41が熱源22近傍にくる位置で固定した。このとき、光ファイバ母材が入り口側開口部21bから突出し空間(隙間)6を介してシールリング3の内周面31aに添った状態となる。
得られた結果を図2に示す。
本実施例が、実施例1と異なる点は、使用したシールリング(カーボンリング)3aの内周径は、シールリング3aと光ファイバ母材4とのクリアランスが1,2,3mmとなる大きさである点と、リング厚さ(d)が、このリング厚さ(d)と光ファイバ母材4の半径(φ/2)との差(d−(φ/2))が−40mm以上、40mm以下となる大きさである点である。他の構成は、実施例1と同様であるため説明を省略する。
光ファイバ母材4を加熱溶融して光ファイバ5を線引きしているときの炉心管21内の酸素濃度を測定し、炉心管21内の酸素濃度と、シールリング3aの厚さ(d)と光ファイバ母材4の半径(φ/2)との差(d−(φ/2))との関係を調べた。
得られた結果を図3に示す。
本実施例では、図5に示された第2の実施形態と同様の光ファイバ線引き装置(本発明の第二の光ファイバ線引き装置)を用意した。装置構成は、第2の実施形態と同様であるため、詳細の説明は省略する。
ここで、リング積層体103に用いられたシールリング103aは、カーボンリングであり、その外周径は120mmであり、また内周径は、シールリング103aと光ファイバ母材104とのクリアランスが2mmとなる大きさであり、またリング厚さ(d)は1mmのものであった。
リング積層体103として、前記シールリング103aが、複数のリング固定部103cによって、間隔(s)2mmで交互に積層されたものを用いた。
また、用いた光ファイバ母材104や、光ファイバの線引き条件は、実施例1と同様とした。
得られた結果を図6に示す。
本実施例が実施例3と異なる点は、リング積層体103の積層厚さ(dt)が40mmである点である。
光ファイバ母材としては、直径(φ)が80mmであり、直径(φ)の変動率の最大値が1%以上、5%以下のものを用いた。
他の構成は、実施例3と同様であるため説明を省略する。
得られた結果を図7に示す。
本実施例では、第3の実施形態の光ファイバ線引き装置を用いた。
ここで、上部延長管203としては、外周径が180mmであり、内周径が、上部延長管203と光ファイバ母材204とのクリアランスが5mmとなる大きさであり、厚さ(d)が50mmのものを用いた。
また、用いた光ファイバ母材204や、光ファイバの線引き条件は、実施例1と同様とした。
そして、光ファイバ母材204を、その先端部が熱源近傍にくる位置で固定した。このとき、光ファイバ母材204が入り口側開口部221bから突出し空間(隙間)206を介して上部延長管221の内周面に添った状態となる。
この状態を維持したまま、光ファイバの線引き方向に対して順方向又は逆方向に向かって、上部延長管221のガス吹き出し口から不活性ガスを吹き出しながら、光ファイバ母材204の先端部を熱源によって加熱溶融し、線引きした。
また、不活性ガスの供給を止めて不活性ガスを吹き出さずに、光ファイバ母材204の線引きも行った。
得られた結果を表1に示す。
上部延長管203のガス吹き出し口232a,232bから不活性ガスを吹き出し、貫通孔(孔部)231内において不活性ガスを光ファイバの線引き方向に対して順方向又は逆方向に向かって流すことによって、外気が炉心管221内に侵入することを抑制でき、酸素濃度を100ppm以下とすることができる。
光ファイバの線引き方向に対して少なくとも逆方向に向かって不活性ガスを流すことが好ましく、これにより線引きされた光ファイバの直径の変動量を0.2μm以下とすることができる。
特に、光ファイバの線引き方向に対して順方向と逆方向の2方向に向かって、同時に不活性ガスを流すことが更に好ましく、これにより外気が炉心管203内に侵入することを大幅に抑制でき、炉心管203内の酸素濃度を低く抑え、0ppmとすることができる。
Claims (7)
- 光ファイバ母材を収容する炉心管と、この炉心管に収容された光ファイバ母材を加熱溶融する熱源を備えた光ファイバ線引き装置において、
前記炉心管上に、前記炉心管に連通された孔部を有し前記炉心管内への外気の流入を阻止するシール部を備え、
前記シール部の孔径と前記光ファイバ母材の直径との差が6mm以下であることを特徴とする光ファイバ線引き装置。 - 前記シール部の厚さ(d)と前記光ファイバ母材の半径(φ/2)とが、関係式d≧(φ/2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ線引き装置。
- 光ファイバ母材を収容する炉心管と、この炉心管に収容された光ファイバ母材を加熱溶融する熱源を備えた光ファイバ線引き装置において、
前記炉心管上に、複数のシールリングが積層され前記炉心管内への外気の流入を阻止するリング積層体を備え、
前記リング積層体の積層高さ(dt)と前記光ファイバ母材の半径(φ/2)とが、関係式dt≧(φ/2)/2を満たし、
かつ各シールリング間の間隔(s)と前記シールリングの厚さ(d)とが、関係式s≧2dを満たすことを特徴とする光ファイバ線引き装置。 - 光ファイバ母材を収容する炉心管と、この炉心管に収容された光ファイバ母材を加熱溶融する熱源を備えた光ファイバ線引き装置において、
前記炉心管上に、前記炉心管に連通された孔部を有し前記炉心管内への外気の流入を阻止するシール部を備え、
前記シール部の孔部内面に、ガス吹き出し口を備え、
光ファイバの線引き方向に対して順方向又は逆方向に向かってガスが流れるようになっていることを特徴とする光ファイバ線引き装置。 - 光ファイバ母材を収容する炉心管と、この炉心管に収容された光ファイバ母材を加熱溶融する熱源を備えた光ファイバ線引き装置において、
前記炉心管上に、複数のシールリングが積層され前記炉心管内への外気の流入を阻止するリング積層体を備え、
前記リング積層体の内面に、ガス吹き出し口を備え、
光ファイバの線引き方向に対して順方向又は逆方向に向かってガスが流れるようになっていることを特徴とする光ファイバ線引き装置。 - 前記炉心管内の圧力が外気の圧力に対して陽圧状態となるように、前記ガス吹き出し口から前記炉心管内へガスが供給されるようになっていることを特徴とする請求項4又は5に記載の光ファイバ線引き装置。
- 前記熱源が高周波誘導コイルであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光ファイバ線引き装置。
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