JP2014516131A - シリンダライナならびに少なくとも1つのシリンダライナとクランクケースとから成る構造ユニット - Google Patents
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Abstract
本発明は、内燃機関のシリンダクランクケース(11,12;111,112)に用いられるシリンダライナ(30,130)に関し、該シリンダライナ(30,130)の外周面(34,134)の少なくとも1つの部分領域が、金属材料から成るスリーブ(35,135)によって取り囲まれていることを特徴とする。さらに本発明は、内燃機関に用いられる、少なくとも1つのシリンダライナ(30,130)およびシリンダクランクケース(11,12;111,112)から成る構造ユニット(10,110)に関する。
Description
本発明は、内燃機関のシリンダクランクケースに用いられるシリンダライナに関する。さらに本発明は、内燃機関に用いられる、少なくとも1つのシリンダライナとシリンダクランクケースとから成る構造ユニットであって、少なくとも1つのシリンダライナに対応配置された少なくとも1つの冷却材室を有する、構造ユニットに関する。
内燃機関において、「湿式」のシリンダライナと「乾式」のシリンダライナとが区別される。湿式のシリンダライナにおいて、冷却材室は、シリンダクランクケース内に組み込まれ、シリンダクランクケースとシリンダライナとの間に形成されている。この場合、冷却材に直接に接触するシリンダライナが、冷却材内のキャビテーションにより損傷されるおそれがある。キャビテーションは、たとえば、燃焼室内のガス力およびピストンの横方向運動時の衝撃により発生させられる高周波の振動により引き起こされる。高周波の振動は、特にシリンダライナを介して冷却材に伝達される。キャビテーションの発生時に典型的である極端な圧力ピークおよび温度ピークは、この場合、シリンダライナの特に外周面の材料の損傷を引き起こす。このおそれは特に、シリンダライナが鋳鉄材料から製造されている場合に生じる。なぜならば、この鋳鉄材料は、グラファイト包有物(球状グラファイトまたは層状グラファイト)に基づいて、比較的不均質な構造を有しているからである。この不均質な構造は、このような極端な圧力ピークおよび温度ピークに対して特に弱いので、材料粒子がシリンダライナから脱落し得る。その結果シリンダ壁に穴が生じ、これにより冷却材が燃焼室の方向に漏れ出ることがある。
したがって、本発明の根底を成す課題は、上述のシリンダライナ、もしくは少なくとも1つのシリンダライナおよびシリンダクランクケースから成る上述の構造ユニットを改良して、キャビテーション損傷のおそれを少なくとも減じることである。
上記課題を解決するために本発明に係る構成では、シリンダライナの外周面の少なくとも1つの部分領域が、金属材料から成るスリーブによって取り囲まれているようにした。さらに本発明の対象は、少なくとも1つのシリンダライナおよびシリンダクランクケースから成る構造ユニットであり、この場合、シリンダライナの外周面の少なくとも1つの部分領域が、少なくとも1つの冷却材室に面した、金属材料から成るスリーブによって取り囲まれている。
本発明による構成は、シリンダライナの外周面が、少なくとも部分的に、キャビテーション耐性の材料から成る被覆部によってキャビテーション損傷から保護されることで優れている。本発明に係るシリンダライナもしくは本発明に係る構造ユニットの、キャビテーションによる損傷は、これにより明らかに減じられる。
本発明の有利な実施の形態は、従属請求項に記載されている。
好適には、シリンダライナの外周面全体が、金属材料から成るスリーブによって取り囲まれている。これにより、キャビテーション損傷からの保護を最適化することができる。鋼材料から成るスリーブは、特にキャビテーション発生時に生じる圧力および温度が作用することに対して耐性がある。
本発明により規定されたスリーブは、特に鋳鉄材料から成るシリンダライナをキャビテーション損傷から保護する。
本発明により設けられたスリーブは、自体公知の方法で、シリンダライナの外周面に収縮嵌めされるか、またはシリンダライナの外周面に鋳ぐるまれて結合されている。
スリーブが、シリンダライナの外周面の少なくとも1つの部分領域を取り囲んでいる場合、スリーブがシリンダライナの外周面に面一に整合していると有利である。これにより、滑らかな外周面を形成することができる。
本発明の実施の形態を以下に添付の図面につき詳しく説明する。図面は概略的であり、正しい縮尺ではない。
図1は、本発明によるシリンダライナ30の第1の実施の形態を示している。シリンダライナ30は、本実施の形態では、自体公知の形式で鋳鉄材料から成っていて、たとえば遠心鋳造法で製造されていてよい。シリンダライナ30は、本実施の形態では、環状に延びるフランジ32を備えた軸部31を有している。フランジ32の下方で軸部31には、環状に延びるえぐられた凹所(Hohlkehle)33が延びている。軸部31の外周面34は、本発明によれば、スリーブ35によって取り囲まれている。このスリーブ35は、本実施の形態では鋼材料から製造されている。スリーブ35は、本実施の形態ではシリンダライナ30の仕上げ加工後に軸部31に被せ嵌められ、自体公知の方法で収縮嵌めにより位置固定される。
図2は、本発明によるシリンダライナ130の第2の実施の形態を示している。シリンダライナ130は、本実施の形態では、やはり鋳鉄材料から成っている。シリンダライナ130は、本実施の形態では、環状に延びるフランジ132を備えた軸部131を有している。フランジ132の下方では軸部131に、環状に延びるえぐられた凹所133が設けられている。軸部131の下方の領域には環状に延びる溝136が設けられている。軸部131の外周面134は、本発明によれば部分的にスリーブ135によって取り囲まれている。スリーブ135は、本実施の形態では、鋼材料から製造されている。スリーブ135は、本実施の形態では、シリンダライナ130の鋳造金型内に挿入されて、自体公知の方法でシリンダライナ130に鋳ぐるまれて結合される。シリンダライナ130の仕上げ加工後に、滑らかな外側の表面が生じ、この外側の表面はスリーブ135と、外周面134の露出した領域とにより形成されている。この場合、スリーブ135は周面134に面一に整合している。
図3は、内燃機関に用いられる本発明による構造ユニット10の第1の実施の形態を示している。構造ユニット10は、上側のシリンダケース11と、該シリンダケース11に隣接した下側のクランクケース12とを有している。シリンダケース11と、クランクケース12とは、自体公知の方法で好適にはアルミニウムまたはマグネシウムをベースとする軽金属合金または鋳鉄合金から成っている。シリンダケース11内には、図1に示した少なくとも1つのシリンダライナ30が挿入されている。シリンダライナ30は、本実施の形態では、シリンダケース11の段部23によってセンタリングされている。シリンダライナ30内で滑動するピストンは、公知の形式でコンロッドを介してクランクシャフトに結合されている(図示せず)。この場合、クランクシャフトは、クランクケース12内に形成された支承箇所14に支承されている。
運転中にシリンダライナ30を冷却するために、シリンダケース11内にはシリンダライナ30を取り囲む冷却材室13が設けられている。この冷却材室13は、切欠きの形態で直接にシリンダケース11に形成されており、シリンダライナ30を、当該シリンダライナ30のほぼ軸方向高さ全体にわたって取り囲んでいる。本発明によれば、冷却材室13内に存在する冷却材は、シリンダライナ30の外周面34を取り囲むスリーブ35に直接に接触している。スリーブ35および冷却材室13の内周面21は、冷却材室13を半径方向で画定している。冷却材室13は、上方に向かってフランジ32とシリンダヘッドカバー17とにより密閉されている。
図4は、内燃機関に用いられる本発明による構造ユニット110の別の実施の形態を示している。構造ユニット110は、実質的に図3に示した構造ユニット10に相当しているので、同一の構造エレメントは同一の符号を備えており、これらの構造エレメントに関しては、図3の図面の説明が参照される。構造ユニット110は、同様に上側のシリンダケース111と、該シリンダケース111に隣接する下側のクランクケース112とを有している。シリンダケース111内には、図2に示した少なくとも1つのシリンダライナ130が挿入されている。シリンダライナ130は、本実施の形態では、段部123ならびにそのフランジ132によって、シリンダケース111内でセンタリングされている。さらにシリンダライナ130は、シリンダヘッドカバー117により位置固定されている。
運転中にシリンダライナ130を冷却するために、シリンダケース111内には、シリンダライナ130を取り囲む冷却材室113が設けられている。この冷却材室113は、切欠きの形態で直接にシリンダケース111に形成されており、シリンダライナ130をそのスリーブ135の軸方向高さにわたってのみ取り囲んでいる。本発明によれば、冷却材室113内に存在する冷却材は、シリンダライナ130の外周面134を取り囲むスリーブ135に直接に接触している。スリーブ135および冷却材室113の内周面121は、冷却材室113を半径方向で画定している。
結果として、シリンダライナの外周面34,134は、本発明により設けられたスリーブ35,135によって、冷却材室13,113内に存在する冷却材を原因とするキャビテーション損傷から効果的に保護されている。
Claims (12)
- 内燃機関のシリンダクランクケース(11,12;111,112)に用いられるシリンダライナ(30,130)であって、
該シリンダライナ(30,130)の外周面(34,134)の少なくとも1つの部分領域が、金属材料から成るスリーブ(35,135)によって取り囲まれていることを特徴とする、内燃機関のシリンダクランクケースに用いられるシリンダライナ。 - 前記シリンダライナ(30)の前記外周面(34)全体が、金属材料から成るスリーブ(35)によって取り囲まれている、請求項1記載のシリンダライナ。
- 前記スリーブ(35,135)は、鋼材料から成っている、請求項1または2記載のシリンダライナ。
- 前記シリンダライナ(30,130)は、鋳鉄材料から成っている、請求項1または2記載のシリンダライナ。
- 前記スリーブ(35)は、前記シリンダライナ(30)の前記外周面(34)に収縮嵌めされている、請求項1記載のシリンダライナ。
- 前記スリーブ(135)は、前記シリンダライナ(130)の前記外周面(34)に鋳ぐるまれて結合されている、請求項1記載のシリンダライナ。
- 前記スリーブ(135)は、前記シリンダライナ(130)の前記外周面(134)の少なくとも1つの部分領域を取り囲んでおり、前記シリンダライナ(130)の前記外周面(134)に面一に整合している、請求項1記載のシリンダライナ。
- 内燃機関に用いられる、少なくとも1つのシリンダライナ(30,130)およびシリンダクランクケース(11,12;111,112)から成る構造ユニット(10,110)であって、前記少なくとも1つのシリンダライナ(30,130)に対応配置された少なくとも1つの冷却材室(13,113)が設けられている、構造ユニット(10,110)において、
前記シリンダライナ(30,130)の外周面(34,134)の少なくとも1つの部分領域が、前記少なくとも1つの冷却材室(13,113)に面した、金属材料から成るスリーブ(35,135)によって取り囲まれていることを特徴とする、構造ユニット(10,110)。 - 前記シリンダライナ(30)の前記外周面(34)全体が、前記少なくとも1つの冷却室(13)に面した、金属材料から成るスリーブ(35)によって取り囲まれている、請求項8記載の構造ユニット。
- 前記スリーブ(35,135)は、鋼材料から成っている、請求項8記載の構造ユニット。
- 前記シリンダライナ(30,130)は、鋳鉄材料から成っている、請求項8記載の構造ユニット。
- 前記スリーブ(135)は、前記シリンダライナ(130)の前記外周面(134)の少なくとも1つの部分領域を取り囲み、前記シリンダライナ(130)の前記外周面(134)に面一に整合している、請求項8記載の構造ユニット。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150423 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20151005 |