JP2014240361A - 抗老化剤、美白剤、皮膚化粧料および飲食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性の高い天然物の中から抗老化作用または美白作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗老化剤および美白剤を提供する。【解決手段】本発明の抗老化剤および美白剤の有効成分として、米麹の加温加圧処理物を含有させる。また、本発明の皮膚化粧料および飲食品に、米麹の加温加圧処理物を配合する。上記抗老化剤においては、上記加温加圧処理物が、フィラグリン産生促進作用、プロフィラグリン産生促進作用、線維芽細胞増殖促進作用および表皮角化細胞増殖促進作用からなる群より選択される1種または2種以上の作用を有することが好ましい。また、上記美白剤においては、上記加温加圧処理物が、メラニン産生抑制作用および/またはメラニン取込抑制作用を有することが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、抗老化剤、美白剤、皮膚化粧料および飲食品に関するものである。
フィラグリンは、皮膚の構成成分であり、皮膚におけるバリア機能に関与し、アレルゲン、毒素、感染性生物の侵入を防ぐ機能を有していると考えられている。フィラグリンの遺伝子の変異等による機能の低下は、アトピー性皮膚炎(湿疹、皮膚の炎症、皮膚のかゆみ等)、アレルギー、喘息等を包含するアトピー性疾患の発症リスクと関連し、さらに重篤な場合は尋常性魚鱗癬等の皮膚疾患につながることが知られている(非特許文献1参照)。
一方、天然保湿因子(Natural Moisturizing Factors;NMF)の主成分であるアミノ酸は、ケラトヒアリン顆粒に由来するフィラグリンが角質層内で分解されて産生される。このフィラグリンは、角質層直下の顆粒層に存在する表皮ケラチノサイトでプロフィラグリンとして発現する。その後、直ちにリン酸化し、ケラトヒアリン顆粒に蓄積され、脱リン酸、加水分解を経てフィラグリンへと分解され、角質層に移行して、ケラチンフィラメントの凝集効率を高め、角質細胞の内部構築に関与することが知られている(非特許文献2参照)。近年、このフィラグリンが、皮膚の水分保持に非常に重要かつ必要不可欠であること、および乾燥等の条件によってフィラグリンの合成力が低下し、角質層におけるアミノ酸量が低下することが知られている(非特許文献3参照)。
したがって、表皮ケラチノサイトにおいて、フィラグリンの産生を促進することにより、アトピー性皮膚炎(湿疹、皮膚の炎症、皮膚のかゆみ等)、アレルギー、喘息等を包含するアトピー性疾患を予防・治療または改善できると考えられる。また、フィラグリンの産生を促進し、それにより角質層内のアミノ酸量を増大させることで、角質層の水分環境を本質的に改善できることが期待される。
従来、プロフィラグリン産生促進作用またはフィラグリン産生促進作用を有するものとして、カンゾウ抽出物(特許文献1参照)、エイジツ抽出物(特許文献2参照)等が知られている。
皮膚の表皮および真皮は、表皮細胞、線維芽細胞およびこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するエラスチン、コラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては線維芽細胞の増殖は活発であり、線維芽細胞、コラーゲン等の皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、線維芽細胞の増殖が遅くなり皮膚の保湿機能や弾力性が低下する。そして、皮膚は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。そのため、線維芽細胞の増殖を促進することにより皮膚の老化を予防または改善することができると考えられる。
また、線維芽細胞は、外傷や火傷等の創傷の治癒過程において重要な役割を果たしているほか、皮膚疾患(例えば,褥瘡,熱傷潰瘍,糖尿病性潰瘍等の皮膚潰瘍)の治癒過程にも重要である。そのため、線維芽細胞の増殖を促進することにより創傷や皮膚疾患を治療することができると考えられる。さらに、再生医療の分野において、自己治癒が困難な創傷(重度の熱傷等)を負った患者の治療法として、患者自身の皮膚断片から皮膚細胞を培養・増殖させ、これを患者に移植する方法が知られているが、細胞増殖促進剤の使用により皮膚細胞の培養期間短縮が期待される。
従来、線維芽細胞増殖促進作用を有するものとして、クスノハガシワ抽出物(特許文献3参照)等が知られている。
表皮は、外部刺激を緩和し、水分等の体内成分の逸失を制御する働きをしており、最下層である基底層から始まって、有棘層、顆粒層、角質層へと連なる4層構造から構成されている。各層に存在する大部分の細胞は、基底層から分化した角化細胞である。基底層で分裂、増殖した角化細胞は、有棘層、顆粒層を通過しながら分化し角質細胞となって、強固な架橋結合をもったケラチン蛋白線維で構成された角質層を構成し、最終的には垢として角質層から脱落する。
角質層は皮膚の最外殻に存在しており、外界からの刺激に対する物理的なバリアとしての役割を果たしている。皮膚ではこのバリア機能を持たせるため、角化細胞が基底層で産生されてから垢となって剥がれ落ちるまでのサイクル(角化)を通常4週間の周期で繰り返し、表皮の新陳代謝を行っている。しかしながら、この角質層も加齢によって新陳代謝機能が衰え、こじわ、くすみ、色素沈着、肌荒れ等の皮膚トラブルを発生することになる。そのため、角化細胞の増殖を促進し、肌の新陳代謝機能を回復させることにより、こじわ、くすみ、色素沈着等の皮膚の老化を改善できるものと考えられる。
従来、表皮角化細胞増殖促進作用を有するものとして、タイソウ抽出物(特許文献4参照)、土貝母抽出物(特許文献5参照)等が知られている。
皮膚においてメラニンは、紫外線から生体を保護する役目も果たしているが、過剰生成や不均一な蓄積は、皮膚の黒化やシミの原因となる。一般にメラニンは、色素細胞の中で生合成される酵素チロシナーゼの働きによって、チロシンからドーパ、ドーパからドーパキノンに変化し、ついで5,6−ジヒドロキシインドフェノール等の中間体を経て形成されるものとされている。したがって、皮膚の色黒(皮膚色素沈着症)、シミ、ソバカス等を予防、治療または改善するためには、メラニンの産生を抑制することが考えられる。
従来、メラニン産生抑制作用を有するものとして、トウゴマ根部抽出物(特許文献6参照)、サウスウレア(Saussurea)属に属する植物からの抽出物(特許文献7参照)等が知られている。
一方、上記のようにして形成されるメラニンは、色素細胞におけるメラノソーム(小胞)において合成・貯蔵され、ファゴサイトーシス(貪食作用)によって表皮細胞(ケラチノサイト)にメラノソームとして取り込まれることで、表皮が黒化することが知られている(特許文献8参照)。したがって、表皮細胞(ケラチノサイト)におけるメラノソームの取り込みを抑制することができれば、皮膚の色黒(皮膚色素沈着症)、シミ、ソバカス等を予防、治療または改善することができると考えられる。
従来、メラニン取込抑制作用を有するものとして、イロハモミジ、アスパラサスリネアリス等の植物からの抽出物(特許文献9)が知られている。
特開2002−363054号公報 特開2008−285423号公報 特開2003−146837号公報 特開2006−316028号公報 特開2006−056854号公報 特開2001−213757号公報 特開2002−201122号公報 特開2008−024691号公報 特開2011−105644号公報
"Nat Genet.",2006年,Vol.38,No.4,p.441-446 「フレグランスジャーナル臨時増刊」,2000年,Vol.17,p.14-19 "Arch. Dermatol. Res.",1996年,Vol.288,p.442-446
本発明は、安全性の高い天然物の中から抗老化作用または美白作用を有するものを見出し、それを有効成分とする抗老化剤および美白剤、ならびに当該化合物を配合した皮膚化粧料および飲食品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の抗老化剤および美白剤は、米麹の加温加圧処理物を有効成分として含有することを特徴とする。上記抗老化剤においては、前記加温加圧処理物が、フィラグリン産生促進作用、プロフィラグリン産生促進作用、線維芽細胞増殖促進作用および表皮角化細胞増殖促進作用からなる群より選択される1種または2種以上の作用を有することが好ましい。また、上記美白剤においては、前記加温加圧処理物が、メラニン産生抑制作用および/またはメラニン取込抑制作用を有することが好ましい。
さらに、本発明の皮膚化粧料および飲食品は、米麹の加温加圧処理物を配合したことを特徴とする。
上記発明においては、前記加温加圧処理物が、温度40〜80℃、圧力40〜200MPaで1〜48時間処理されたものであることが好ましい。
本発明によれば、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性の高い抗老化剤、および優れた美白作用を有し、かつ安全性の高い美白剤を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の抗老化剤および美白剤は、米麹の加温加圧処理物を有効成分として含有するものである。また、本実施形態の皮膚化粧料および飲食品は、米麹の加温加圧処理物が配合されるものである。
本実施形態において用いる米麹の加温加圧処理物は、米麹に水を添加し、加温および加圧の処理を施すことにより得られるものである。
米麹は、蒸した米に麹菌を付着させ、増殖させることで米を醗酵させたものである。本実施形態において使用し得る米麹としては、味噌や、酒、醤油等の製造のために使用されるものであれば特に限定されない。
米麹に添加される水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。米麹に添加する水の添加量は特に限定されるものではないが、米麹100gに対して100〜2000mLであることが好ましい。
加温加圧処理における温度は、40〜80℃であることが好ましく、40〜70℃であることがより好ましく、50℃程度であることが特に好ましい。また、圧力は、40〜200MPaであることが好ましく、50〜150MPaであることがより好ましく、60MPa程度であることが特に好ましい。処理時間は、1〜48時間であることが好ましく、3〜36時間であることがより好ましく、24時間程度であることが特に好ましい。上記条件の範囲内であれば、後述する酵素(麹菌に由来する酵素および添加する酵素)の失活を起こすことなく酵素反応が速やかに進む温度を保つことができる。また、上記条件の範囲内であれば、有害微生物の増殖を阻止できるため、腐敗の心配がなく、防腐剤等の添加やその他の腐敗防止措置を取る必要がない。
上述のように米麹に加温加圧処理を行うことで、麹菌に由来する酵素(例えば、α−アミラーゼやプロテアーゼ等)により、米麹に含まれるデンプンやタンパク質・ペプチド等の分解が促進される。これにより、加温加圧処理後には、デンプンやタンパク質等がほぼ完全に分解されているとともに、一部の繊維質を除き反応物がほぼ完全に水に溶解したものとなる。そのため、加温加圧処理の前のいわゆる米麹と、本実施形態において用いられる米麹の加温加圧処理物とは、その組成・性状ともに全く異なるものである。
本実施形態においては、米麹の加温加圧処理における酵素分解を促進するため、さらに酵素を添加することが好ましい。本実施形態において添加し得る酵素は、酵素活性を有するものであれば特に制限されず、例えば精製された酵素だけでなく粗酵素であってもよい。使用し得る酵素の種類としては、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコシダーゼ(マルターゼ)、β−ガラクトシダーゼ、リゾチーム等の糖質分解酵素;パパイン、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン等の蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)等や各種ペプチダーゼ等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、米麹の効率的な分解を促進する観点から、α−アミラーゼが好ましい。また、酵素の添加量は、使用する酵素の種類にもよるが、例えば、酵素としてα−アミラーゼ(エイチビィアイ社製,液化酵素T)を使用した場合、米麹100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。
このようにして米麹の加温加圧処理を行った後、必要に応じて酵素失活処理および/または濾過を行うことで、本実施形態において用いる米麹の加温加圧処理物を得ることができる。
なお、上述のようにして得られた米麹の加温加圧処理物は、そのままでも抗老化剤または美白剤の有効成分として使用することができるが、常法により希釈、濃縮、乾燥した希釈物、濃縮物、乾燥物、または得られた乾燥物を所定の粒径に粉砕した粉砕物を上記有効成分として使用してもよい。ここで、本実施形態において「米麹の加温加圧処理物」とは、米麹を加温加圧処理して得られた処理液の他、当該処理液にさらに酵素失活処理および/もしくは濾過を行ったもの、これらの希釈物、濃縮物、乾燥物、またはこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
また、このようにして得られる米麹の加温加圧処理物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、皮膚化粧料等に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。
〔抗老化剤,美白剤〕
以上のようにして得られる米麹の加温加圧処理物は、優れた抗老化作用および美白作用を有しているため、抗老化剤または美白剤の有効成分として用いることができる。本実施形態の抗老化剤または美白剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の幅広い用途に使用することができる。
ここで、米麹の加温加圧処理物が有する抗老化作用は、例えば、フィラグリン産生促進作用、プロフィラグリン産生促進作用、線維芽細胞増殖促進作用および表皮角化細胞増殖促進作用からなる群より選択される1種または2種以上の作用に基づいて発揮される。ただし、米麹の加温加圧処理物が有する抗老化作用は、上記作用に基づいて発揮される抗老化作用に限定されるものではない。
また、米麹の加温加圧処理物が有する美白作用は、例えば、メラニン産生抑制作用および/またはメラニン取込抑制作用に基づいて発揮される。ただし、米麹の加温加圧処理物が有する美白作用は、上記作用に基づいて発揮される美白作用に限定されるものではない。
米麹の加温加圧処理物は、これが有するフィラグリン産生促進作用、プロフィラグリン産生促進作用、線維芽細胞増殖促進作用、表皮角化細胞増殖促進作用、メラニン産生抑制作用またはメラニン取込抑制作用を利用して、それぞれフィラグリン産生促進剤、プロフィラグリン産生促進剤、線維芽細胞増殖促進剤、表皮角化細胞増殖促進剤、メラニン産生抑制剤またはメラニン取込抑制剤の有効成分として使用してもよい。
本実施形態の抗老化剤または美白剤は、米麹の加温加圧処理物のみからなるものでもよいし、米麹の加温加圧処理物を製剤化したものでもよい。製剤化する場合は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。抗老化剤または美白剤は、他の組成物(例えば、皮膚外用剤、美容用飲食品等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
本実施形態の抗老化剤または美白剤を製剤化した場合、米麹の加温加圧処理物の含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
なお、本実施形態の抗老化剤または美白剤は、必要に応じて、抗老化作用または美白作用を有する他の天然抽出物等を、米麹の加温加圧処理物とともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態の抗老化剤または美白剤の患者に対する投与方法としては、経皮投与、経口投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本実施形態の抗老化剤または美白剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本実施形態の抗老化剤は、米麹の加温加圧処理物が有するフィラグリン産生促進作用、プロフィラグリン産生促進作用、線維芽細胞増殖促進作用および表皮角化細胞増殖促進作用からなる群より選択される1種または2種以上の作用を通じて、皮膚のシワの形成、弾力性の低下、保湿機能の低下等の皮膚の老化症状を予防、治療または改善することができる。ただし、本実施形態の抗老化剤は、これらの用途以外にもフィラグリン産生促進作用、プロフィラグリン産生促進作用、線維芽細胞増殖促進作用および表皮角化細胞増殖促進作用からなる群より選択される1種または2種以上の作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
例えば、本実施形態の抗老化剤または上述したフィラグリン産生促進剤もしくはプロフィラグリン産生促進剤は、米麹の加温加圧処理物が有するフィラグリン産生促進作用および/またはプロフィラグリン産生促進作用を通じて、細胞内でのプロフィラグリンの産生を促進しフィラグリン量を増加させることにより、皮膚のバリア機能を高め、アトピー性皮膚炎(湿疹、皮膚の炎症、皮膚のかゆみ等)、アレルギー、喘息等を包含するアトピー性疾患を予防、治療または改善することができる。さらに、本実施形態の抗老化剤または上述した線維芽細胞増殖促進剤もしくは表皮角化細胞増殖促進剤は、米麹の加温加圧処理物が有する線維芽細胞増殖促進作用および/または表皮角化細胞増殖促進作用を通じて、創傷治療や皮膚疾患の治療、さらには再生医療分野への応用等の用途にも使用することができる。
本実施形態の美白剤は、米麹の加温加圧処理物が有するメラニン産生抑制作用および/またはメラニン取込抑制作用を通じて、皮膚の黒化(色素沈着症)、シミ、ソバカス等を予防、治療または改善することができる。ただし、本実施形態の美白剤は、これらの用途以外にもメラニン産生抑制作用および/またはメラニン取込抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
また、本実施形態の抗老化剤または美白剤は、それぞれ優れた抗老化作用または美白作用を有するため、例えば、皮膚外用剤に配合するのに好適である。この場合に、米麹の加温加圧処理物をそのまま配合してもよいし、米麹の加温加圧処理物から製剤化した抗老化剤または美白剤を配合してもよい。
ここで、皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、後述する皮膚化粧料のほか、経皮的に使用される医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。
また、本実施形態の抗老化剤または美白剤は、それぞれ優れた抗老化作用または美白作用を有するので、老化現象または美白に関連する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
〔皮膚化粧料〕
米麹の加温加圧処理物は、優れた抗老化作用および美白作用を有しているため、皮膚化粧料に配合するのに好適である。この場合に、米麹の加温加圧処理物をそのまま配合してもよいし、米麹の加温加圧処理物から製剤化した抗老化剤または美白剤を配合してもよい。米麹の加温加圧処理物、抗老化剤または美白剤を皮膚化粧料に配合することによって、皮膚化粧料に抗老化作用または美白作用を付与することができる。
米麹の加温加圧処理物、抗老化剤または美白剤を配合し得る皮膚化粧料としては、特に限定されるものではなく、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ファンデーション、リップクリーム、入浴剤、ヘアートニック、ヘアーローション、石鹸、ボディシャンプー等が挙げられる。
米麹の加温加圧処理物、または米麹の加温加圧処理物から製剤化した抗老化剤もしくは美白剤を皮膚化粧料に配合する場合、その配合量は、皮膚化粧料の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は約0.0001〜10質量%であり、特に好適な配合率は約0.001〜1質量%である。
本実施形態の皮膚化粧料は、米麹の加温加圧処理物が有する抗老化作用または美白作用を妨げない限り、通常の皮膚化粧料の製造に用いられる主剤、助剤またはその他の成分、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等を併用することができる。このように併用することで、より一般性のある製品となり、また、併用された他の有効成分との間の相乗作用が通常期待される以上の優れた効果をもたらすことがある。
本実施形態の皮膚化粧料は、フィラグリン産生促進作用、プロフィラグリン産生促進作用、線維芽細胞増殖促進作用および表皮角化細胞増殖促進作用からなる群より選択される1種または2種以上の作用を通じて、皮膚のシワの形成、弾力性の低下、保湿機能の低下等の皮膚の老化症状を予防、治療または改善することができる。また、本実施形態の皮膚化粧料は、メラニン産生抑制作用および/またはメラニン取込抑制作用を通じて、皮膚の黒化、シミ、ソバカス等の色素沈着を予防・改善することができる。
〔飲食品〕
米麹の加温加圧処理物は、優れた抗老化作用および美白作用を有しているため、飲食品に配合するのに好適である。この場合、米麹の加温加圧処理物をそのまま配合してもよいし、米麹の加温加圧処理物から製剤化した抗老化剤または美白剤を配合してもよい。
ここで、飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口または消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態における「飲食品」は、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。
米麹の加温加圧処理物、または米麹の加温加圧処理物から製剤化した抗老化剤もしくは美白剤を飲食品に配合する場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象となる飲食品の一般的な摂取量を考慮して、米麹の加温加圧処理物の成人1日あたりの摂取量が約1〜1000mgになるようにするのが好ましい。なお、添加対象飲食品が顆粒状、錠剤状またはカプセル状の飲食品の場合、抗老化剤または美白剤の添加量は、添加対象飲食品に対して通常0.1〜100質量%であり、好ましくは5〜100質量%である。
本実施形態の飲食品は、米麹の加温加圧処理物をその活性を妨げないような任意の飲食品に配合したものであってもよいし、米麹の加温加圧処理物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。
本実施形態の飲食品を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類などの任意の助剤を添加して任意の形状の飲食品にすることができる。
米麹の加温加圧処理物を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液および調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂および油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤などが挙げられ、これらの飲食品に米麹の加温加圧処理物を配合するときに、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
なお、本実施形態の抗老化剤、美白剤、皮膚化粧料および飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば,マウス,ラット,ハムスター,イヌ,ネコ,ウシ,ブタ,サル等)に対して適用することもできる。
以下、製造例および試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。
〔製造例1〕米麹加温加圧処理物の製造
米麹100gに水500mLを加え、さらにα−アミラーゼ(エイチビィアイ社製,液化酵素T)1.0gを添加して攪拌した。これを圧力酵素分解機(ヤンマー社製)を用いて50℃、60MPaにて24時間反応させた。その後、90℃で30分処理することにより酵素を失活させ、得られた反応液を濾過し、得られた濾液を減圧濃縮することにより、米麹加温加圧処理物(76g,試料1)を得た。
〔試験例1〕プロフィラグリン/フィラグリン産生促進作用試験
製造例1で得られた米麹加温加圧処理物(試料1)について、以下のようにしてプロフィラグリン/フィラグリン産生促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、75cmのフラスコで正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて37℃、5%CO−95%airの条件下で前培養し、常法により細胞を回収した。得られた細胞を1.5×10cells/mLの細胞密度になるようにKGM培地に希釈した後、6ウェルコラーゲンコートプレートに2mLずつ播種して37℃、5%CO−95%airの条件下で3日間培養した。培養後、培地を除去し、0.2%DMSOに溶解した被験試料(試料1,試料濃度は下記表1を参照)を添加したKGM培地または試料無添加のKGM培地を各ウェルに2mLずつ添加し、37℃、5%CO−95%airの条件下で5日間培養した。培養終了後、常法により総タンパク質の調製を行った。
10μg/列に調製したサンプルをSDS−PAGEにより展開し、PVDF膜に転写した。4%ブロックエース溶液(DSファーマバイオメディカル社製)でブロッキングを行った後、抗ヒトフィラグリンモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)、ビオチン標識抗マウスIgG(Whole Ab)(GEヘルスケア社製)およびストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(CALBIOCHEM社製)を、0.1%Tween20および0.3%ブロックエース含有溶液にてそれぞれ5000倍、10000倍、および10000倍に希釈して順次反応させ、ECL Plus Western Blotting Detection Reagents(GEヘルスケア社製)の発光によりプロフィラグリンおよびフィラグリンを画像撮影装置ChemiDoc XRS Plus(Bio-Rad Laboratories社製)を用いて検出した。検出したバンドをImage Lab Software version2.0(Bio-Rad Laboratories社製)にて定量的に測定した。
結果は、試料添加および無添加で培養した細胞のそれぞれから調製したタンパク質10μg中のプロフィラグリンおよびフィラグリンのNet intensity(バンド強度)を合算した値を用いて、試料のプロフィラグリン産生促進作用を評価し、プロフィラグリン産生促進率(%)を下記式に基づいて算出した。
プロフィラグリン/フィラグリン産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「被験試料添加サンプルのNet intensity(プロフィラグリンおよびフィラグリンの合計値)」を表し、Bは「試料無添加サンプル(コントロール)のNet intensity」を表す。
結果を表1に示す。
Figure 2014240361
表1に示すように、米麹加温加圧処理物(試料1)は、優れたプロフィラグリン/フィラグリン産生促進作用を有することが確認された。なお、フィラグリンは、生体内でプロフィラグリンの加水分解により産生されるものであることから、プロフィラグリン産生促進作用を有する米麹加温加圧処理物は、プロフィラグリンの産生を促進し、細胞内におけるプロフィラグリン量を増加させることで、フィラグリン量をも増加させることができ、結果としてフィラグリン産生促進作用を有するものと考えられる。
〔試験例2〕皮膚線維芽細胞増殖促進作用試験
製造例1で得られた米麹加温加圧処理物(試料1)について、以下のようにして皮膚線維芽細胞増殖促進作用を試験した。
正常ヒト皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有α−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を7.0×10cells/mLの細胞密度になるように5%FBS含有α−MEM培地で希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を除去し、被験試料(試料1,試料濃度は下記表2を参照)を添加した5%FBS含有α−MEM培地または試料無添加の5%FBS含有α−MEM培地を各ウェルに100μLずつ添加し、3日間培養した。
線維芽細胞増殖促進作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。3日間培養後、培地を除去し、終濃度5mg/mLでPBS緩衝液に溶解したMTTを各ウェルに100μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。得られた結果から、下記の式により線維芽細胞増殖促進率(%)を算出した。
線維芽細胞増殖促進率(%)=St/Ct×100
式中、Stは「被験試料を添加した細胞でのブルーホルマザン生成量」を表し、Ctは「試料無添加の細胞でのブルーホルマザン生成量」を表す。
結果を表2に示す。
Figure 2014240361
表2に示すように、米麹加温加圧処理物(試料1)は、優れた線維芽細胞増殖促進作用を有することが確認された。
〔試験例3〕表皮角化細胞増殖促進作用試験
製造例1で得られた米麹加温加圧処理物(試料1)について、以下のようにして表皮角化細胞増殖促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理にて細胞を回収した。回収した細胞を3.0×10cells/mLの細胞密度になるようにKGM培地で希釈した後、コラーゲンコートした96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、被験試料(試料1,試料濃度は下記表3を参照)を添加したKGM培地または試料無添加のKMG培地を各ウェルに100μL添加し、3日間培養した。
表皮角化細胞増殖促進作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。3日間培養後、培地を除去し、終濃度0.4mg/mLでPBS緩衝液に溶解したMTTを各ウェル100μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。得られた結果から、下記式により表皮角化細胞増殖促進率(%)を算出した。
表皮角化細胞増殖促進率(%)=St/Ct×100
式中、Stは「被験試料を添加した細胞でのブルーホルマザン生成量」を表し、Ctは「試料無添加の細胞でのブルーホルマザン生成量」を表す。
上記試験の結果を表3に示す。
Figure 2014240361
表3に示すように、米麹加温加圧処理物(試料1)は、優れた表皮角化細胞増殖促進作用を有することが確認された。
〔試験例4〕B16メラノーマ細胞に対するメラニン産生抑制作用試験
製造例1で得られた米麹加温加圧処理物(試料1)について、以下のようにしてB16メラノーマ細胞に対するメラニン産生抑制作用を試験した。
B16メラノーマ細胞を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を24.0×10cells/mLの細胞密度になるように10%FBSおよび1mmol/Lテオフィリン含有ダルベッコMEM培地で希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり300μLずつ播種し、6時間培養した。
培養終了後、被験試料(試料1,試料濃度は下記表4を参照)を添加した10%FBSおよび1mmol/Lテオフィリン含有ダルベッコMEM培地または試料無添加の10%FBSおよび1mmol/Lテオフィリン含有ダルベッコMEM培地を各ウェルに300μL添加し、4日間培養した。培養終了後、培地を除去し、2mol/LのNaOH溶液200μLを添加して超音波破砕機により細胞を破壊し、波長475nmにおける吸光度を測定した。測定した吸光度の値から、合成メラニン(SIGMA社製)を用いて作成した検量線をもとにメラニン量を算出した。
また、細胞生存率を測定するために、上記と同様にして培養した後、培地を除去し400μLのPBS緩衝液で洗浄して、終濃度0.05mg/mLで10%FBS含有ダルベッコMEMに溶解したニュートラルレッドを各ウェルに200μL添加し、2.5時間培養した。培養後、ニュートラルレッド溶液を除去し、エタノール・酢酸溶液(エタノール:酢酸:水=50:1:49)を各ウェルに200μL添加し、色素を抽出した。抽出後、波長540nmにおける吸光度を測定した。得られた結果から、下記式により細胞生存率により補正したメラニン産生抑制率(%)を算出した。
メラニン産生抑制率(%)={1−(B/D)/(A/C)}×100
式中、Aは「試料無添加のサンプルにおけるメラニン量」を表し、Bは「被験試料を添加したサンプルにおけるメラニン量」を表し、Cは「試料無添加のサンプルにおける540nmにおける吸光度」を表し、Dは「被験試料添加のサンプルにおける540nmにおける吸光度」を表す。
結果を表4に示す。
Figure 2014240361
表4に示すように、米麹加温加圧処理物(試料1)は、優れたメラニン産生抑制作用を有することが確認された。
〔試験例5〕メラニン取込抑制作用試験
製造例1で得られた米麹加温加圧処理物(試料1)について、以下のようにメラニン取込抑制作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト新生児表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2×10cells/mLの細胞密度になるようにKGM培地で希釈した後、コラーゲンコートした96ウェルプレートに100μLずつ播種し、2日間培養した。培養終了後、培地を除去し、被験試料(試料1,試料濃度は下記表5を参照)を添加したKGM培地または試料無添加のKGM培地を各ウェルに100μLずつ添加し、24時間培養した。
培養終了後、擬似メラニンとしての赤色蛍光ビーズ(粒径:1.0μm,Fluorescent Microspheres,580/605 nm;Molecular Probes社製)を3.6×10個/mLになるよう添加した0.5%BSA含有KGM培地を、各ウェルに100μLずつ添加し、4時間培養した。その後培地を除去し、氷冷したKGM培地およびPBS緩衝液で洗浄した後、PBS緩衝液を各ウェルに100μLずつ添加し、蛍光量を測定した。得られた測定結果から、下記式によりメラニン取込抑制率(%)を算出した。
メラニン取込抑制率(%)=(1−A/B)×100
式中、Aは「被験試料を添加した細胞における蛍光量」を表し、Bは「試料無添加の細胞における蛍光量」を表す。
結果を表5に示す。
Figure 2014240361
表5に示すように、米麹加温加圧処理物(試料1)は、優れたメラニン取込抑制作用を有することが確認された。
〔配合例1〕
下記組成に従い、乳液を常法により製造した。
米麹加温加圧処理物(製造例1) 0.01g
ホホバオイル 4.00g
1,3−ブチレングリコール 3.00g
アルブチン 3.00g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.50g
オリーブオイル 2.00g
スクワラン 2.00g
セタノール 2.00g
モノステアリン酸グリセリル 2.00g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.00g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
グリチルリチン酸ステアリル 0.10g
黄杞エキス 0.10g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
イチョウ葉エキス 0.10g
コンキオリン 0.10g
オウバクエキス 0.10g
カミツレエキス 0.10g
香料 0.05g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例2〕
下記組成のクリームを常法により製造した。
米麹加温加圧処理物(製造例1) 0.05g
クジンエキス 0.1g
オウゴンエキス 0.1g
流動パラフィン 5.0g
サラシミツロウ 4.0g
スクワラン 10.0g
セタノール 3.0g
ラノリン 2.0g
ステアリン酸 1.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3.0g
油溶性甘草エキス 0.1g
1,3−ブチレングリコール 6.0g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例3〕
下記組成の美容液を常法により製造した。
米麹加温加圧処理物(製造例1) 0.01g
カミツレエキス 0.1g
ニンジンエキス 0.1g
キサンタンガム 0.3g
ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
カルボキシビニルポリマー 0.1g
1,3−ブチレングリコール 4.0g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
グリセリン 2.0g
水酸化カリウム 0.25g
香料 0.01g
防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
エタノール 2.0g
精製水 残部(全量を100gとする)
〔配合例4〕
常法により、以下の組成を有する錠剤を製造した。
米麹加温加圧処理物(製造例1) 5.0mg
ドロマイト(カルシウム20%、マグネシウム10%含有) 83.4mg
カゼインホスホペプチド 16.7mg
ビタミンC 33.4mg
マルチトール 136.8mg
コラーゲン 12.7mg
ショ糖脂肪酸エステル 12.0mg
〔配合例5〕
常法により、以下の組成を有する経口液状製剤を製造した。
<1アンプル(1本100mL)中の組成>
米麹加温加圧処理物(製造例1) 0.3質量%
ソルビット 12.0質量%
安息香酸ナトリウム 0.1質量%
香料 1.0質量%
硫酸カルシウム 0.5質量%
精製水 残部(100質量%)
本発明の抗老化剤は、皮膚のシワの形成、弾力性の低下、保湿機能の低下等の皮膚の老化症状の予防、治療または改善に、また本発明の美白剤は、皮膚の黒化(色素沈着症)、シミ、ソバカス等の予防、治療または改善に、大きく貢献できる。

Claims (7)

  1. 米麹の加温加圧処理物を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤。
  2. 前記加温加圧処理物が、温度40〜80℃、圧力40〜200MPaで1〜48時間処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の抗老化剤。
  3. 前記加温加圧処理物が、フィラグリン産生促進作用、プロフィラグリン産生促進作用、線維芽細胞増殖促進作用および表皮角化細胞増殖促進作用からなる群より選択される1種または2種以上の作用を有することを特徴とする請求項1または2に記載の抗老化剤。
  4. 米麹の加温加圧処理物を有効成分として含有することを特徴とする美白剤。
  5. 前記加温加圧処理物が、メラニン産生抑制作用および/またはメラニン取込抑制作用を有することを特徴とする請求項3に記載の美白剤。
  6. 米麹の加温加圧処理物を配合したことを特徴とする皮膚化粧料。
  7. 米麹の加温加圧処理物を配合したことを特徴とする飲食品。
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