JP2014237244A - 難燃性積層ポリエステルフィルム - Google Patents

難燃性積層ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 例えば、硬化型シリコーン塗布をしても、離型性と難燃性とをともに満足できる難燃性積層ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】 リン酸二水素アンモニウム、水酸化カリウム、および芳香族リン酸エステルから得られる難燃剤を含有するポリエステル樹脂(A)を含むポリエステル層(X)と、リン元素を実質的に含まないポリエステル樹脂からなるポリエステル層(Y)とを有することを特徴とする難燃性積層ポリエステルフィルム。【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコーンの硬化を阻害させない難燃性積層ポリエステルフィルムに関するものである
従来、OA・家電などの電気機器部材や、自動車・車両・航空機の内装材料には、主にポリ塩化ビニルのような、ハロゲン系材料が用いられてきている。これらのハロゲン系材料は難燃性を有するが、燃焼時にダイオキシンのような有害な材料を発生するため、非ハロゲン系の難燃性軟質オレフィン材料などの発明がなされている(特許文献1)。
特許文献1のような材料は、そのまま単独で使用されることはなく、接着剤や粘着剤を介して部材同士が接合されて利用される。そのときは、粘着剤や接着剤にも難燃性が求められるため、ノンハロゲン系の難燃性接着剤や粘着剤に関する発明がなされている(特許文献2、特許文献3、特許文献4)。粘着剤や接着剤の離型フィルムに対しても離型性が必要だが、そのような発明はなされていない。
難燃性ポリエステルフィルムの製造技術としては、例えば、特許文献5には、有機リン系難燃剤を用いた、難燃性ポリエステルフィルムの発明が記載されている。しかしながら、当該発明のポリエステルフィルム上にシリコーンを積層させても、難燃性ポリエステルフィルム中のリン元素がシリコーンの硬化を阻害するため、難燃性は満足できても離型性を満足することができない。
特開2008−195933号公報 特開2005−112910号公報 特開2012−180495号公報 特開2005−170990号公報 国際公開2001−053377
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、例えば、硬化型シリコーン塗布をしても、離型性と難燃性とをともに満足できる難燃性積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の耕成を採用することによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、リン酸二水素アンモニウム、水酸化カリウム、および芳香族リン酸エステルから得られる難燃剤を含有するポリエステル樹脂(A)を含むポリエステル層(X)と、リン元素を実質的に含まないポリエステル樹脂からなるポリエステル層(Y)とを有することを特徴とする難燃性積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、例えば、硬化型シリコーン塗布をしても、離型性と難燃性とをともに満足できる難燃性積層ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
燃焼試験装置
本発明の難燃性積層ポリエステルフィルムのポリエステル層(X)とポリエステル層(Y)におけるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
一方、共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
いずれにしても本発明でいうポリエステルとは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエチレン−2,6−ナフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明に係る難燃性積層ポリエステルフィルムのポリエステル層(X)に用いられる難燃性ポリエステル樹脂(A)は、ポリエステル樹脂に添加される難燃化剤として物性効果の相違する2種類のリン酸二水素アンモニウムと芳香族リン酸エステルとが含有され、ポリエステル樹脂内のpH調整のための水酸化カリウムが含有されている。そしてポリエステルフィルム製膜時の破断を防止するために、極限粘度IVが高いポリエステル樹脂が用いられることが望ましく、具体的には0.65dl/g以上のポリエステル樹脂(B)が含有されていることが好ましい。
難燃性ポリエステル樹脂(A)は、非ハロゲン系無機難燃剤としてリン酸二水素アンモニウム(NHPO)が用いられる。ただし、リン酸二水素アンモニウムを単独でポリエステル樹脂と混合した時に、170℃付近でアンモニアを遊離してポリエステル樹脂内のpH値が4.7から2.5に低下するため、当該リン酸二水素アンモニウムのみからなる難燃化剤ではポリエステル樹脂を劣化させてIV値(極限粘度)が低下する。極限粘度低下を防ぐためにリン酸二水素アンモニウムに水酸化カリウム(KOH)を反応させて事前にアンモニアを飛散させれば、pH値を低下させることなく、極限粘度値の低下を防止することが可能となる。
リン酸二水素アンモニウム(NHPO)が、添加される水酸化カリウム(KOH)量の増加によって、NHKHPO、K2HPO4,K3PO4に順次変化し、これら化学種の混合物が難燃化剤の主成分を構成して複分解も平行して進行して微量に存在する化学種を含めると(NH4nmpPO4(nまたはm=0〜3,p=0〜2)の組成をもつ混合物が存在することとなり、当該(NH4nmpPO4組成混合物は混練りしやすい粒子状結晶として形成され、ポリエステル樹脂の溶融温度付近に融点を有してポリエステル樹脂との混練過程で分散すると共に液化し、一部生成しているK3PO4は、ポリエステルフィルム製造時に析出した粒子として働き、フィルム巻上げ時の効率向上に寄与する。
なお、リン酸二水素アンモニウムと水酸化カリウムからなる難燃剤は、リン酸二水素アンモニウムに水酸化カリウムを添加してさらに水を加えて水溶液にした組成物を、加熱(100〜120℃)しながら攪拌して水分を蒸発させると共に、アンモニアを飛散させることで得られる、粒子状結晶の粉体からなる。
リン酸二水素アンモニウム100重量部に対し、水酸化カリウムは10〜70重量部の範囲で含有されていることが望ましい。水酸化カリウム量が下限値以下だと、上述の粉体作成時にアンモニアが飛散せず、pH低下由来のポリエステル樹脂の極限粘度低下が起こるため、難燃性ポリエステル樹脂製造時、ならびに難燃性ポリエステルフィルム製造時に、トラブルを起こしやすく好ましくない。一方、上限値以上だと、析出粒子が多いため、最終的に得られるポリエステルフィルムのヘーズが高くなり、好ましくない。
リン酸二水素アンモニウムは無機難燃剤であり、ポリエステル樹脂との分散性が低いため、最終的に得られるポリエステルフィルムの難燃性にばらつきが生じる恐れがある。リン酸二水素アンモニウムとポリエステル樹脂との相溶化剤が必要である。相溶剤を入れることで相対的に組成物中のリン酸二水素アンモニウムが減るため、相溶剤は難燃性を有することが望ましい。そのような相溶剤として、リン原子を含有する有機系組成物である、芳香族リン酸エステルが挙げられる。芳香族リン酸エステルは、リン酸二水素アンモニウム100重量部に対し、385〜595重量部であることが好ましい。下限値未満だと、上述のようにリン酸二水素アンモニウムのフィルム中での分散性が低くなるため、ポリエステルフィルムの難燃性が低下しやすくなる。また、リン酸二水素アンモニウムのみで難燃性を向上させるべく、リン酸二水素アンモニウムのフィルム中の量を増やすと、アンモニア量が増量するため、極限粘度が低下しやすくなり、プロセス上好ましくない。
一方上限値より多く芳香族リン酸エステルが含まれていると、リン酸エステル自体がポリエステル樹脂の加水分解を引き起こし、逆に好ましくない。
リン酸二水素アンモニウムと水酸化カリウムと芳香族リン酸エステルの重量和は難燃性ポリエステル樹脂(A)中に、4〜16重量%含有されていることが好ましい。下限値未満だと、ポリエステルフィルムに難燃性を付与することが難しくなり好ましくない。上限値より多いと、難燃性ポリエステル樹脂(A)の製造時に、ストランド形成が困難となるため好ましくない。
混合するポリエステル樹脂(B)の極限粘度IVは0.65dl/g以上が好ましく、さらに好ましくは0.70dl/g以上、最も好ましくは0.75dl/g以上である。極限粘度IVが下限値未満だと、ポリエステルフィルム製膜時に破断が起こりやすく、好ましくない。
本発明においては、滑り性の付与されたポリエステルフィルムを製造するため、ポリエステル(B)に無機粒子および/ または有機粒子のスラリーを混合することができる。無機粒子としては、例えば、酸化シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、フッ化リチウム、カオリンの他、酸化鉄などの無機顔料が例示され、有機粒子としては、ジビニルベンゼン重合体、スチレン・ジビニルベンゼンの共重合体、各種イオン交換樹脂の他、アントラキノン等の有機顔料が例示される。液状スラリーとして供給できる粒子であればその種類は特に限定されない。
難燃性ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の重量和に対する、難燃性ポリエステル樹脂(A)の重量は30重量%以上が好ましく、33重量%以上がさらに好ましく、35重量%以上が最も好ましい。上記下限値未満だと、ポリエステルフィルムに難燃性が得られにくい。
難燃性ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の重量和に対する、難燃性ポリエステル樹脂(A)の重量は50重量%以下が好ましく、47重量%以下がさらに好ましく、45重量%未満が最も好ましい。上記上限値より難燃性ポリエステル樹脂(A)が多いと、ポリエステルフィルムの極限粘度IVが低下しやすくなり、プロセスに破断等のトラブルが起こりやすい。
本発明においては、ポリエステルに後述の無機粒子および/ または有機粒子のスラリーを混合するか否かに拘らず、難燃性ポリエステル(A)とポリエステル(B)は、乾燥ポリエステルを敢えて使用する必要がない。勿論、乾燥されたポリエステルを使用することは何ら問題が無く、例えば、含水率が50ppm以下に乾燥されたポリエステルを使用してもポリエステルの性質が悪化することはないが、乾燥するプロセスを含むことで、製品のコストアップが懸念され、安価にポリエステルフィルムを製造する目的から外れるので好ましくない。
ポリエステル(X)層を形成する難燃性ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を溶融押出しするための押出機は、ベント式二軸押出機であることが最も好ましい。
ベント式二軸押出機の脱気効率は、一定の押出量に対しスクリュー回転数の高い方が良好であると言える。すなわち、一定の押出量に対し、スクリュー回転数を増大させるとスクリュー表面に存在するポリエステルの表面を強制的に更新することができ、その分、溶融ポリエステルからの脱気効率が増大することになる。そして、その結果、ポリエステルの極限粘度IVの保持率が改善される。
ベント付き二軸押出機のシリンダーの内径(直径)をD(mm)とした際、単位時間当たりの押出量Q(kg/h r)とスクリュー回転数N(rpm)とが次の式(I)、好ましくは次の(II)式、さらに好ましくは次の(III)式を満足する条件下に溶融押出しを行う点にある。斯かる条件を満足することにより、スクリューの剪断作用による過度の発熱を抑制しつつ脱気効率を高め、ポリエステルの極限粘度(IV)低下を防止することができる。
Figure 2014237244
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次の(IV)式に示す条件では、回転数が押出量に対して高すぎるため、スクリューの剪断による発熱が過多となりIV保持率が悪化する傾向がある。また、次の( V ) 式に示す条件では、回転数が押出量に対して低すぎるため、減圧下での溶融樹脂表面の更新度が低下して十分な脱気が行えずに極限粘度IV保持率が悪化する傾向がある。
Figure 2014237244
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実質的に未乾燥のポリエステルを使用した場合、当該ポリエステルの内部の水分は、ベント孔からの減圧作用によって脱気される。水分の脱気効率を高めるため、ベント孔の減圧度は、通常40mmHg以下、好ましくは30mmHg以下、さらに好ましくは10mmHg以下とされる。
リン元素を実質的に含まないポリエステル樹脂からなるポリエステル層(Y)の「実質的にリン元素を含有しない」とは、リン元素濃度が200ppm未満のことを定義する。なお、ポリエステル層(Y)中のさらに好ましいリン元素濃度は170ppm未満であり、特に好ましくは70ppm未満であり、最も好ましくは40ppm未満である。ポリエステル層(Y)に含まれるリン濃度が200ppm以上だと、ポリエステル層(Y)上に硬化型シリコーンを塗布したときの硬化阻害がおきるため、離型性の観点から好ましくない。
ポリエステル層(Y)を形成するための溶融押出機は、単軸押出機でもベント式二軸押出機でも構わないが、ベント式二軸押出機を用いるほうが好ましい。単軸押出機を用いる場合は、ポリエステルの極限粘度低下防止のため、ポリエステルレジン中の水分を乾燥除去した後、溶融押出を行う必要がある。ベント式二軸押出機を用いる場合は、ポリエステル層(X)の形成の段落にて記載されている内容と同様な方法をとることで、ポリエステルの極限粘度低下防止が可能となる。
本発明におけるポリエステル層(X)とポリエステル層(Y)中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合しても構わない。配合する粒子の種類は易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
使用する粒子の平均粒径は0.1〜5μmを満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となることがあり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を設ける場合等に不具合を生じることがある。
さらにポリエステル中の粒子含有量は、0.01〜5重量%を満足するのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.01重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分になる場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルム表面の平滑性が不十分になる場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明の難燃性積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムの全体の厚みは特に限定されるものではないが、通常、9〜188μm、好ましくは15〜100μm、さらに好ましくは、20〜75μm、特に好ましくは20〜50μmの範囲がよい。
難燃性積層ポリエステルフィルムの全体の厚みに対して、ポリエステル層(Y)の厚みの割合は15%以下であることが好ましく、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。ポリエステル層(Y)の厚みの割合が15%より大きいと、相対的に難燃性を発現するポリエステル層(X)の割合が減るため、難燃性積層ポリエステルフィルムの難燃性が低下する傾向がある。下限については特に設けないが、リン元素を含有するポリエステル層(X)によるシリコーン硬化不足への影響の緩和のため、難燃性積層ポリエステルフィルムの厚み全体に対して650nm以上であることが好ましい。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層以上の積層構成とすることが好ましい。層の構成としては、ポリエステル層(Y)が、難燃性積層ポリエステルフィルムの少なくとも片方の外層にあることが好ましく、X/Y構成、Y/X/Y構成などが考えられる。
二層構成であるX/Y構成の難燃性積層ポリエステルフィルムであれば、硬化型シリコーン塗布層を設ける場合、リン元素を実質的に含まないポリエステル(Y)層上に設けてある必要があり、Y/X/Y構成であれば、いずれか一方の面に塗布層が設けられている必要がある。
本発明においては、キャスティングドラム表面にポリエステルシートを溶融押出しする際、キャスティングドラムに対するポリエステルシートの密着性を高めるため、静電密着法、エアナイフ法、2つのロールでニップするニップロール法などを適宜採用することができる。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70℃〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90℃〜160℃で2〜6倍延伸を行い、180〜245℃にて熱固定工程に移る。
本発明によれば、ベント式二軸押出機を使用する場合、実質的に乾燥または未乾燥の何れのポリエステル樹脂をも使用することができるが、実質的に未乾燥のポリエステルを使用しても極限粘度IV低下は少ない。
すなわち、単軸押出機を使用する場合、加水分解によって生じる極限粘度IV低下に基づいて発生する延伸工程の破断などの問題を解決するため、溶融時の極限粘度IV低下を20%未満に抑制する必要があるとの観点から、溶融前のポリエステルは、含水率が50ppm以下となるまで乾燥する必要があるとされている。ところが、斯かる乾燥は、例えば、80℃で3時間の条件を必要とし、しかも、乾燥後のポリエステルは、放冷後に溶融押出しされるため、乾燥工程の加熱エネルギーの大部分は、溶融押出工程に利用されることなく失われる。したがって、本発明において、ベント式二軸押出機を用いる場合、実質的に未乾燥のポリエステルを使用し得る効果は、生産効率のみならず、省エネルギー化の観点から、その工業的価値は顕著である。
また、実質的に未乾燥のポリエステルをベント式二軸押出機にて使用する場合は、フィルム製造工程から排出されるスリットフイルム等の再生ポリエステルも同様に乾燥することなく適当に粉砕した後に、直接未乾燥の新規ポリエステルと共に溶融押出を行うことができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、単に「%」とあるのは「重量%」を意味する。
(1)ポリエステルの極限粘度IV〔η〕(dl/g)
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および粒子を除去したポリエステル1 g に対し、フェノ−ル/テトラクロロエタン:50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)ポリエステルの含水率
水分測定装置(三菱化学製微量水分測定装置「CA−06」)で測定した。
(3)ポリエステルフィルムの製膜性
下記基準によって評価した。
○:二軸延伸時フィルムを安定して生産ができる
×:二軸延伸時にフィルム破断が頻発。生産の連続性が得られなくなる
(4)難燃性
I:試験片作成
フィルム試験片として、200mm×50mmに裁断し、試料の一端(下部)から125mmの所で、試料の幅を横切って標線を入れる。シリコーンコート面が内側になるように、試料の縦軸を直径12.7mmのマンドレルの縦軸に硬く巻きつけて、125mmの線が外側に露出する、長さ200mmの巻かれた円筒になるようにする。試料の外にはみ出た縁は、125mmの標線(筒の上部)の上方75mmの間で、粘着テープにより固定する。そしてマンドレルを引き抜く。
II:状態調節
上記で得られた試験片を、23℃および50%の相対湿度で、48時間前処理をする。
III:燃焼試験手順
・試験片固定
図1に記載の燃焼試験装置を使用し、試料の縦軸を垂直にして、上端の長さ6mmの位置で、強いスプリング付きのクランプで固定し、筒の上端が閉じて試験中に煙突効果を生じないようにする。試料の下端は、最大厚が6mmの厚さにした、1枚の水平な0.05gの脱脂100%の綿(50mm×50mm)より、300mm上にあるようにする。
・バーナーの調整
バーナーから高さ15mmの青炎が出るように調整する。その炎を出すためにはガスの供給とバーナーの空気入口を調整して、15mmの先端が黄色い青い炎が出るようにする。そして黄色い先端が丁度消えるまで空気の供給を増やす。再度炎の高さを測定して、必要に応じて再調節をする。なお、バーナーへのメタンガス供給は、ASTMD5207に準じた方法で流量を調整する。
・一回目の接炎
炎は、試料の巻かれていない方の下端の中心点を中心にあて、バーナーの先端は試料の下端のその点から10mm下にあるようにして、その距離で3秒続ける。ただし、試料の長さまたは位置のあらゆる変化に応じてバーナーを移動させる。接炎中に溶融または発煙物質が滴下する場合は、バーナーの角度を45度までの範囲で傾けて、バーナーの管の中にその物質が落下するのを防ぐのにちょうど十分なだけ試料の下から移動させる。しかし、その間もバーナーの先端の中心と試料の残存部分間は10mm±1mmの間隔を保たなければならない。試料に3秒間接炎すると、直ちにバーナーを試料から毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけて、同時に計時装置により残炎時間tを秒で計り始める。そしてそのtを記録する。
・二回目の接炎
試料の残炎が消滅した時点で(バーナーを試料から150mm離れたところまで完全に取り去っていない状態であっても)、直ちにバーナーを試料の下に持ってきて、試料の残りの部分から10mm±1mm離れた箇所にバーナーを保持しておく。ただし、必要に応じてバーナーを動かして、妨害物のない状態で落下物の自然挙動が確認できるようにする。この試料に3秒の接炎を行った後、直ちに毎秒約300mmの速度で少なくとも150mm遠ざけて、同時に計時装置により残炎時間tを秒で計り始める。
・難燃性評価基準
下記表1に記載の基準で評価した。
Figure 2014237244
(5)離型性
試料フィルムの離型層に粘着テープ(日東電工製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
○:50mN/cm未満
△:50mN/cm以上100mN/cm未満
×:100mN/cm以上
(6)残留接着性
(サンプリング方法)
試料の測定面およびブランクとしてナフロンテープの片面に粘着テープ;日東電工製「No.31B」を貼り合わせる。
(調整)
100℃に加熱したオーブン内で、1時間加熱処理する。次いで20mm幅に切り出し、常温常湿に1時間放置する。予め用意しておいた専用SUS304板の表面をエタノールで拭き、乾いたガーゼで拭き上げた面に、試験片から剥がしたNo,31テープを圧着させる。
(評価)
測定試料およびステンレス板を引張試験機に取り付けて、剥離速度300mm/min、剥離角度180度の条件下で剥離力を測定する。
(残留接着率の計算方法と評価基準)
残留接着率=(試料測定面貼合せ品の接着力/ナフロンテープ貼合せ品の接着力)×100
残留接着性について、下記評価基準を設けた。
◎:残留接着率が95%以上
○:残留接着率が90%以上95%未満
△:残留接着率が80%以上90%未満
×:残留接着率が80%未満
<硬化型シリコーン離型剤組成−A>
硬化型シリコーン樹脂 (X−62−5039:信越化学社製) 20部
架橋剤 (X−92−185:信越化学社製) 0.4部
触媒 (PL−5000:信越化学社製) 1.0部
MEK/トルエン/n-ヘプタン混合溶媒(混合率は1:1:1)
<ポリエステル(1)の製造法>
1個のスラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続式重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを重量比で100:45の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してリン原子としての含有量が4重量ppmとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを、窒素雰囲気下で267℃、相対圧力100kPa、平均滞留時間4時間に設定され、反応生成物が存在する第1段目のエステル化反応槽に連続的に流量120kg/hrで供給し、次いで、第1段目のエステル化反応生成物を、窒素雰囲気下で265℃、相対圧力5kPa、平均滞留時間2時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、さらにエステル化反応させた。その際、第2段エステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、エチレングリコールを生成するポリエステル樹脂に対して322モル/トンになる量を連続的に供給した。この場合、第2段エステル化反応槽におけるエステル化率は97%であった。
上述のエステル化反応生成物を、移送配管を経由して第1段重縮合反応槽に連続的に供給した。このとき移送配管に設けた移送ポンプの吐出圧は500kPaであった。移送配管中のエステル化反応生成物に、酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール0.6 重量%溶液を得られるポリエステル樹脂1t当たりのマグネシウム原子としての含有量が0.165モル/樹脂tとなる量で連続的に添加した。添加配管を使用して、テトラブチルチタネートのエチレングリコール溶液を生成ポリエステル樹脂に対してチタン原子としての含有量が4重量ppmとなる量だけ連続的に添加した。
溶融重縮合の反応条件は、第1段重縮合反応槽が269℃、絶対圧力4kPa、平均滞留時間1時間であり、第2段重縮合反応槽は274℃、絶対圧力0.4kPa、平均滞留時間0.9時間、第3段重縮合反応槽は277℃、絶対圧力0.2kPa、平均滞留時間1時間であった。第3段重縮合反応槽から取り出した溶融重縮合反応生成物は、ダイからストランド状に押出して冷却固化し、カッターで切断して1個の重さが平均粒重24mgのポリエステル樹脂チップ:ポリエステル(1)とした。ポリエステル(1)の極限粘度は0.64(dl/g)、含水率は0.2%であった。
<ポリエステル(2)の製造法>
ポリエステル(1)を出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるようにチップが重ならないようにした状態で連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.83(dl/g)となるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル(2)を得た。含水率は0.2%であった。
<ポリエステル(3)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が0.06 重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60(dl/g)に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップを得た。
上記で、得られたポリエステルチップを真空下220℃で固相重合し、ポリエステル(53)を得た。極限粘度は0.90(dl/g)、含水率は0.2%であった。
<ポリエステル(4)>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール200重量部とを出発原料とし、エステル交換触媒として、酢酸マグネシウム・4水和物を得られるポリエステル樹脂1tあたりのマグネシウム含有量が46g/樹脂tとなる量で、加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。
この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子、エチルアシッドホスフェート、酢酸マグネシウム・4水和物、そしてテトラ−n−ブチルチタネートとの混合物からなるエチレングリコールスラリー溶液を添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。なお、エチレングリコールスラリー溶液中の各化合物の量は、得られるポリエステルに対する含有量について、シリカ粒子は3.0重量%となるように、エチルアシッドホスフェートについてはリン元素量として74g/樹脂tとなるように、酢酸マグネシウム・4水和物については、マグネシウム元素量として46g/樹脂tとなるように(エステル交換時に添加したマグネシウムも含めて、マグネシウム元素量として92g/樹脂tとなる)、テトラ−n−ブチルチタネートについてはチタン元素量として5g/樹脂tとなるように、調整してある。
反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(4)を得た。極限粘度は0.60(dl/g)、含水率は0.2%であった。
<ポリエステル(5)の製造法:(難燃性ポリエステル樹脂)>
リン酸二水素アンモニウム100重量部に対し水酸化カリウムを67重量部配合し、
これに水を100重量部加えて水溶液にした。この後、当該水溶液を100〜120℃で加熱しながら攪拌して水分を蒸発させると共に、アンモニアを飛散させて粒子状結晶の粉体Aを得た。
粉体A:100重量部に対し、芳香族リン酸エステルとして大八化学製PX−200:350重量部を混合し、難燃剤を得た。ここで得られた難燃剤9重量部に、ポリエステル(3)91重量部をタンブラーで混合した。得られた混合物を、ベント付き二軸押出機にて溶融混練し、ストランド化後ペレット化し、ポリエステル(5)を得た。ポリエステル(5)の極限粘度IVは0.60[dl/g]、含水率は0.2%であった。
<ポリエステル(6)の製造法:(難燃性ポリエステル樹脂)>
ポリエステル(5)の製造時、PX−200を混合しないことを除き、ポリエステル(5)の製造方法と同様の方法で、ポリエステル(6)を得た。ポリエステル(6)の極限粘度IVは0.60[dl/g]、含水率は0.2%であった。
<ポリエステル(7)の製造法>
ポリエステル(5)の製造時、水酸化カリウムを混合しないことを除き、ポリエステル(5)の製造方法と同様の方法で、ポリエステルを得る検討を行なったが、混練時の劣化が激しく、安定したストランドを作成できなかった。
<ポリエステル(8)の製造法>
テレフタル酸43重量部と 、エチレングリコール19重量部のスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート50重量部が仕込まれ、温度250℃、相対圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行った。このエステル化反応生成物を重縮合槽に移送した。エステル交換反応生成物が移送された前記重縮合槽に、引き続いて正リン酸および二酸化ゲルマニウムをエチレングリコール溶液として順次5分間隔で添加した。なお、正リン酸は、リン原子として樹脂1トンあたり32.2モル、二酸化ゲルマニウムについては、ゲルマニウム原子として、樹脂1トンあたり0.6モル含有するように添加した。その後、反応系内を2時間30分かけて225℃から280℃まで昇温すると共に、85分で常圧から400Pa(絶対圧力)に減圧して、同圧を保持しつつ、極限粘度0.63(dl/g)に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(8)を得た。ポリエステル(8)の極限粘度は0.63(dl/g)、含水率は0.2%であった。
<ポリエステルフィルムの製造>
以下、ポリエステル(5)もしくは(6)を本発明における難燃性ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル(5)もしくは(6)を含有しないポリエステルでの組み合わせにより作られる組成物を本発明におけるポリエステル樹脂(B)とする。
なお、ポリエステル樹脂(B)の極限粘度IVとは、難燃性ポリエステル樹脂(A)を除く、添加ポリエステル樹脂の平均極限粘度のことを指す。
実施例1:
上記ポリエステル(2)、ポリエステル(4)およびポリエステル(5)を56:4:40の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(X)の原料とし、上記ポリエステル(1)およびポリエステル(4)を96:4の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(Y)の原料とした。ポリエステル層(X)について、シリンダー内径Dは90mmのベント付二軸押出機を用いて、吐出量Qは400kg/hr、スクリュー回転数Nは100rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとし、ポリエステル層(Y)について、シリンダー内径Dは30mmのベント付二軸押出機を用いて、吐出量Qは24kg/hr、スクリュー回転数Nは150rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとした。双方の原料を二軸押出機中290℃で溶融混練し、得られた溶融体を多層Tダイ内でX/Y=94.3/5.7の構成比となるように合流させてスリット状に押出しする。静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の2種2層からなる積層シートを得た。得られたシートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、予熱/横延伸/熱固定1/熱固定2/熱固定3/冷却の各ゾーンにおける温度[℃]を95/110/200/221/180/125℃に設定したテンターに導くことでフィルム製膜を行った。得られたフィルムの平均厚さは38μmであった。
得られたフィルムのポリエステル層(Y)側に、予め用意した硬化型シリコーン離型剤組成−Aからなる離型剤溶液を、塗布量(乾燥後)が0.12g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、160℃で1分乾燥させた。得られたシリコーン塗布フィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例2〜8:
表2に示す配合比、運転条件で行なうことを除いて、実施例1と同様の方法で、シリコーン塗布フィルムを得た。シリコーン塗布フィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例9:
上記ポリエステル(2)、ポリエステル(4)およびポリエステル(5)を56:4:40の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(X)の原料とし、上記ポリエステル(1)およびポリエステル(4)を96:4の比率で混合したポリエステルをポリエステル層(Y1)とポリエステル層(Y2)の原料とした。ポリエステル層(X)について、シリンダー内径Dは90mmのベント付二軸押出機を用いて、吐出量Qは400kg/hr、スクリュー回転数Nは100rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとし、ポリエステル層(Y1)とポリエステル層(Y2)について、各々シリンダー内径Dは30mmのベント付二軸押出機を用いて、吐出量Qは12kg/hr、スクリュー回転数Nは150rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとした。双方の原料を二軸押出機中290℃で溶融混練し、得られた溶融体を多層Tダイ内でY1/X/Y2=2.85/94.3/2.85の構成比となるように合流させてスリット状に押出しする。静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の2種2層からなる積層シートを得た。得られたシートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、予熱/横延伸/熱固定1/熱固定2/熱固定3/冷却の各ゾーンにおける温度[℃]を95/110/200/221/180/125℃に設定したテンターに導くことでフィルム製膜を行った。得られたフィルムの平均厚さは38μmであった。
得られたフィルムのポリエステル層(Y1)側に、予め用意した硬化型シリコーン離型剤組成−Aからなる離型剤溶液を、塗布量(乾燥後)が0.12g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、160℃で1分乾燥させた。得られたシリコーン塗布フィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
比較例1〜4:
表3に示す配合比、運転条件で行なうことを除いて、実施例1と同様の方法で、シリコーン塗布フィルムを得た。フィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
Figure 2014237244
Figure 2014237244
本発明のフィルムは、例えば、難燃性が求められる各種用途において、好適に利用することができる。
1 クランプ
2 粘着テープ
3 125mm標線
4 バーナー
5 綿

Claims (3)

  1. リン酸二水素アンモニウム、水酸化カリウム、および芳香族リン酸エステルから得られる難燃剤を含有するポリエステル樹脂(A)を含むポリエステル層(X)と、リン元素を実質的に含まないポリエステル樹脂からなるポリエステル層(Y)とを有することを特徴とする難燃性積層ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステル層(Y)が少なくとも一方の外層にあること請求項1に記載の難燃性積層ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステル層(X)が、30〜50重量%のポリエステル樹脂(A)と極限粘度が0.65以上のポリエステル樹脂(B)とをベント式二軸押出機により押し出してなる請求項1または2に記載の難燃性積層ポリエステルフィルム。
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