JP2014236144A - 希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末及びその製造方法 - Google Patents

希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁石粉末を特定の粒度範囲に微粉砕し、残留P(燐)量を制御する事により、磁気特性の向上と表面安定性に優れた希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末、また、磁石粗粉末を特定の装置・条件で粉砕することによって効率的に製造しうる方法を提供する。【解決手段】希土類元素が23.0〜25.0質量%、Nが3.0〜3.6質量%および残りがFeである還元拡散法で製造された磁石合金粉末が、燐酸と共に少なくとも直径が0.1〜1mm径の粉砕媒体を用いた媒体攪拌ミルにより微粉砕された希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末であって、平均粒径(D50)が1.7μmを越え2.5μm以下で、1μm以下の粒度の割合が20%未満で、元素換算でのP含有量が0.6質量%以下であることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末などにより提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末及びその製造方法に関し、特に、磁石粉末を特定の粒度範囲に微粉砕し、残留P(燐)量を制御する事により、磁気特性の向上と表面安定性に優れた希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末、また、磁石粗粉末を特定の装置・条件で粉砕することによって効率的に製造しうる方法に関するものである。
SmFeNで代表される希土類−遷移金属−窒素系磁石は、高性能でかつ安価な希土類−遷移金属−窒素系磁石として知られている。
従来、この希土類−遷移金属−窒素系磁石は、希土類金属と遷移金属を溶解して合金を作製する溶解法や、希土類酸化物と遷移金属からなる原料にアルカリ土類金属を還元剤として配合し、高温で希土類酸化物を金属に還元するとともに遷移金属と合金化する還元拡散法によって製造されている。しかし、溶解法では、原料として使用する希土類金属が高価であるため経済的ではなく、安価な希土類酸化物粉末を原料として利用できる還元拡散法が望ましい方法であると考えられている。
すなわち、還元拡散法では、先ず希土類酸化物粉末原料、遷移金属粉末原料、および上記希土類酸化物の還元剤であるアルカリ土類金属を配合した混合物を、非酸化性雰囲気中で焼成して希土類−遷移金属系合金を合成する。その後、得られた希土類−遷移金属系合金を水素吸蔵させてから湿式処理して粉末状にした後、この粉末状の希土類−遷移金属合金を窒化処理する方法もしくは窒化処理と湿式処理の順番を入れ替えた方法により、所望の希土類−遷移金属−窒素系磁石が製造される。
この様にして得られた粉末状の希土類−遷移金属−窒素系磁石は、特定の粒度になるまで微粉砕処理される。この場合、希土類−遷移金属−窒素系磁石は、保磁力の発生機構がニュークリエーション型であることから、磁気特性の一つである減磁曲線の角形性、保磁力を高めるには、微粉砕された後の希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末の粒度を揃えることが必要とされている。
磁石粉末の粒度を揃えるために、出発原料として微細な鉄粉や酸化鉄粉が用いられているが、例えば、特許文献1および特許文献2には、共沈法で微細水酸化物を調製してから焼成して得られた微細粉末を原料粉末とし、還元拡散法で合金化して窒化することで、粉砕することなく高性能磁石粉末を製造していた。
しかしながら、この方法では、微細な鉄粉や酸化鉄粉を用いるために製造コストが高く、かつ合成時に磁石の微細粉末が凝集しやすくなり、結果として、残留磁束密度や減磁曲線の角形性が低下するという欠点を有していた。
一方、希土類−遷移金属系磁石粉末を粉砕する場合は、例えば、特許文献3のように、不活性ガス雰囲気を保持したハンマーミル、ディスクミル、振動ミル、アトライタ、ジェットミル、あるいはボールミルで通常行われ(段落0009)、実施例1には湿式ボールミルと乾式ジェットミル粉砕を行って微粉砕し、平均粉末粒径2.0〜3.0μmの磁粉が効率的に得られたとしている。しかし、得られる平均粉末粒径が大きく所望とする磁気特性が得られない。
また、アトライタ等の粉砕機を用い、鉄系ボールと溶媒、磁石粉末を混合し、0.3〜1.0m/s程度の回転周速度で粉砕を行った場合には、サブミクロンの微粉末が発生し粒度分布が広がってしまう傾向にあった。このため、希土類−遷移金属系磁石粉末に凝集が起こり、最終的に得られる希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末の磁気特性の低下が起こっていた。
このため、例えば、特許文献4では、SmFeN合金粒子を微粉砕する際、または微粉砕後の分級の際に、磁石粒子の温度を300〜650℃に保つようにして磁石粒子の凝集を防ぐ方法が提案されている。また、特許文献5では、SmFeN合金粒子の表面をフッ素化合物皮膜、ポリシラザン硬化皮膜、酸化ケイ素皮膜、窒化ケイ素皮膜のいずれかで被覆して保護層を形成することによって、耐酸化性を向上させ、微粉同士の凝集を抑制した高磁気特性の合金粉末が提案されている。
しかしながら、これらの方法では、製造時に温度調整や皮膜条件などをコントロールするのが難しく、製造工程も長くなり、バラツキが大きくなりやすいなどの問題があり、いずれも所望の磁気特性を有する磁石粉末を得ることが困難であった。
そこで本出願人は、上記課題を解決する方法として、磁石粉末を特定の粒度分布に揃えることで凝集度が低くなり、また、磁石粉末を特定の装置・条件で粉砕することによって磁気特性が向上した希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末を効率的に製造する方法を提案した(特許文献6)。
この方法では、希土類−遷移金属−窒素系磁石の粗粉末を媒体攪拌ミルの粉砕機に入れ、次いで、粉砕機の中で金属ボール又はセラミックスボールの粉砕媒体とともに回転させ、その際、粉砕機の回転周速度を10〜20m/sとすることにより、希土類−遷移金属−窒素系磁石の粗粉末を特定時間の微粉砕で、磁石粉末の平均粒径(D50)が2〜4μmで、粒度(D20−D70)幅が4μm以下の粒度分布となるようにしている。これにより、従来法と比較すると磁気特性は向上したものの、まだ残留磁束密度、角形性および最大エネルギー積などに改善の余地が残されていた。
一方、残留磁束密度、角形性および最大エネルギー積などを向上させるには粉砕時間を長くする必要があるが、生産性が悪化するだけでなく、1μm未満の超微粉が多量に発生し凝集により取り扱いにくくなる。
このような状況下、生産性を悪化することなく製造でき、十分に微細でありながら取り扱いが容易で残留磁束密度、角形性および最大エネルギー積などが向上した希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末が必要とされていた。
特許第4590920号公報 特許第4737161号公報 特開2003−272943号公報 特開平5−175022号公報 特開2000−34503号公報 特許第4063005号公報
本発明の目的は、このような従来の状況に鑑み、磁石粉末の粒度と残留P量の制御により、さらに磁気特性と表面安定性が向上した希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末、また、磁石粉末を特定の装置・条件で粉砕することによって効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、還元拡散法により得られた希土類−遷移金属系合金粉末を窒化後、磁石粗粉末を燐酸と共に媒体攪拌ミル中、特定の条件で微粉砕して、粉末の平均粒径(D50)が1.7μmを越え2.5μm以下、かつ1μm以下の粒度が20%未満となるように粉砕し、残留P量を制御する事によって、磁気特性が改善され、保磁力、残留磁束密度、角形性および最大エネルギー積がいずれも高く、表面安定性に優れた磁石微粉末を容易に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、希土類元素が23.0〜25.0質量%、Nが3.0〜3.6質量%および残りがFeである還元拡散法で製造された磁石合金粉末が、燐酸と共に少なくとも0.1〜1mmの粉砕媒体を用いた媒体攪拌ミルにより微粉砕された希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末であって、平均粒径(D50)が1.7μmを越え2.5μm以下で、1μm以下の粒度の割合が20%未満で、元素換算でのP含有量が0.6質量%以下であることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、保磁力iHcが935kA/m以上、残留磁束密度Brが1.35T以上、角形性(Hk/iHc)が0.5以上および最大エネルギー積(BH)maxが315kJ/m以上の磁気特性を有することを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、平均粒径(D50)が5μmを超える希土類−遷移金属−窒素系磁石の粗粉末を、有機媒体および粉砕媒体とともに粉砕機の媒体攪拌ミルに入れ、高速で回転させて磁石粗粉末を微粉砕した後、粉砕物を乾燥させる希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末の製造方法であって、
前記媒体攪拌ミルで、直径0.1〜1mm径の粉砕媒体を用い、有機媒体にリン酸を添加するとともに、粉砕機の回転数を1000rpm以上とすることにより、希土類−遷移金属−窒素系磁石の粗粉末を微粉砕することを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末の製造方法が提供される。
一方、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記磁石粗粉末が、前記直径が0.1〜1mm径の粉砕媒体を用いた媒体攪拌ミルで粉砕する前に、直径が1mmを超え5mm径以下の粉砕媒体を用いた媒体攪拌ミルで粉砕して、平均粒径(D50)が20μm以下になるようにすることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末の製造方法が提供される。
本発明によれば、平均粒径が1.7μmを超え2.5μm以下で、1μm以下の粒度の割合が20%未満といった粒径が揃った希土類−遷移金属−窒素系合金粉末を提供することができ、かかる合金粉末は、保磁力、残留磁束密度、角形性および最大エネルギー積がいずれも高く、含有するP量の制御によって表面安定性に優れている。
この磁気特性が改善された磁石微粉末は、特定量の磁石粗粉末を媒体攪拌ミルなどの粉砕機に入れ、回転数1000rpm以上の条件で粉砕することで、比較的低コストで安定的に該磁石合金粉末を生産できることから、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末及びその製造方法について詳細に説明する。
1.希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末
本発明に係る希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末は、微粉砕された磁石粉末の粒度が特定範囲に揃えられて、優れた磁気特性と表面安定性を有している磁石粉末である。磁石粉末は、希土類元素を含む遷移金属−窒素系磁石合金の粉末であり、例えば、希土類−鉄−窒素系の各種磁石粉末等を使用できる。
希土類元素には、Sm、Gd、Tb、Ceの内、少なくとも一種、あるいは、さらにPr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、Ybの内、一種以上を含むものが好ましい。中でもSmが含まれる場合、本発明による効果を著しく発揮させることが可能となる。希土類元素は、単独若しくは混合物として使用でき、その含有量は、23.0〜25.0質量%とすることが好ましい。含有量が23.0質量%よりも少ないと、合金中に軟磁性相であるα−Feが多く存在するようになって高い保磁力が得にくくなり、25.0質量%を超えると主相となる合金相の体積が減少してしまい飽和磁化が低下するため好ましくない。
遷移金属には、Feのほかに、Co、Ni、Mnが一般的に用いられるが、特に限定はされない。これらの中では、特に、Feを70質量%以上含有するものが好ましい。さらに、磁気特性を損なうことなく磁石の温度特性を改善する目的で、Feの一部をCoで置換することが好ましい。
遷移金属が、70質量%より少ないと磁化が低くなり好ましくないが、Fe成分が80質量%を超えると希土類元素の割合が少なくなり過ぎ、高い保磁力が得られず好ましくない。
遷移金属の組成範囲が70〜76質量%であれば、保磁力と磁化のバランスのとれた材料となり、特に好ましい。
また、保磁力の向上、生産性の向上並びに低コスト化のために、Ca、Cr、Nb、Mo、Sb、Ge、Zr、V、Si、Al、Ta、Ti、Zn又はCu等から選ばれた一種以上をM元素として添加してもよい。この場合、M元素の添加量は、遷移金属全重量に対して7質量%以下とすることが望ましい。また、不可避的不純物としてCあるいはB等が5質量%以下含有されていてもよい。
さらに、窒素Nは、磁気特性の観点から3.0〜3.6質量%とすることが好ましい。窒素が3.0質量%未満では9eサイトに窒素が埋まりきらないため高い磁気特性が得られず、窒素が3.6質量%より多く入ってしまうと結晶構造が壊れ磁気特性が下がってしまう。
本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末は、燐酸と共に少なくとも0.1〜1mmの粉砕媒体を用いた媒体攪拌ミルにより微粉砕されたものであり、平均粒径(D50)が1.7μmを超え2.5μm以下であり、かつ1μm以下の粒度の割合が20%未満のものである。
製造条件については、後で詳述するが、窒化後の磁石粗粉末が、燐酸と共に少なくとも0.1〜1mmの粉砕媒体を用いた媒体攪拌ミルにより微粉砕されなければならない。その際、粉砕媒体が1mmを超えるものを用いたのでは、平均粒径(D50)を前記範囲に収めることが難しく、所望とする磁気特性が得られない。
平均粒径(D50)が1μm以下の粒度の割合は、HELOS粒度分布測定装置を用いて測定した値である。HELOS粒度分布測定装置は、粒度分布を測定する際に、被測定粉末に一定の圧力の窒素を噴射させて凝集した粉末を解凝して測定するものである。そして、このときの窒素圧を分散力と呼んでいる。ここで、平均粒径(D50)が1μm以下の粒度は、いずれも窒素圧力を3.0×10Paで噴射して測定したものである。
P(リン)は表面安定化剤として機能するが、その含有量は、元素換算で0.6質量%以下である。0.6質量%を越えると、所望とする磁気特性が得られない。好ましいP含有量は、0.4〜0.6質量%である。
本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末は、1μm以下の粒度の割合が20%未満と微細な粒子が少なく、平均粒径(D50)が1.7μmを越え2.5μm以下であり、粒が揃っているので凝集が極めて少ない。
本発明において希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末の好ましい平均粒径(D50)は、1.9〜2.3μmである。また、1μm以下の粒度の割合は、18%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。さらに、4μmを越える粒度の割合が10%未満と比較的大きな粒子も少ない。媒体攪拌ミルの粉砕媒体として1mmを超えるものを用いると、4μmを越える比較的大きな粒子が増加しやすく、粒度の割合が10%を超え、20%以上になることもある。
本発明の磁石微粉末は、上記のような粒度分布を有することで、保磁力iHcが935kA/m以上、残留磁束密度Brが1.35T以上、角形性(Hk/iHc)が0.5以上および最大エネルギー積(BH)maxが315kJ/m以上という優れた磁気特性を有するものである。
2.磁石粉末の製造方法
本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末は、還元拡散法によって希土類−遷移金属−窒素系磁石粗粉末を製造した後、特定の粉砕装置・条件で微粉砕して、平均粒径と1μm以下の粒度の割合が特定以下となるように粒度を揃えることによって製造される。
(1)希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末の調製
原料の希土類粉末としては、通常希土類酸化物粉末が使用される。希土類酸化物粉末の粒径は、特に制限されないが、反応性、作業性等の面から10μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、希土類酸化物粉末は、粒径0.1〜10μmの粉末が希土類酸化物粉末全体の80質量%以上を占める粉末を用いるようにする。
粒径が1μm未満の粉末が多くなると、製造中に粉末が舞い上がり取り扱いにくくなる。また、10μmを越えるものが多くなると、還元拡散法で得られる希土類−遷移金属−窒素系磁石粉末で、希土類元素が拡散していない鉄部が多くなる。
原料として用いる遷移金属粉末の鉄粉末は、一般的にアトマイズ法、電解法等により製造されるが、粉末状のものであれば、その製法は限定されない。遷移金属、希土類元素、また、保磁力の向上、生産性の向上並びに低コスト化のために添加する元素は、前記の通りである。還元剤としては、Caなどのアルカリ土類金属が用いられる。上記還元剤の粒度は、5mm以下の塊状になっていることが好ましい。
上記希土類元素を含む希土類酸化物粉末原料と、その粒径が1μm〜100μmの範囲に粒度調整された遷移金属粉末原料および、その他原料粉末を秤量して反応容器に入れて混合し、さらに希土類元素を還元するのに十分な量の還元剤を添加し混合する。
上記原料混合物の入った反応容器を還元拡散炉に移し、非酸化性雰囲気中、例えば、アルゴンを流しながら還元拡散炉で上記還元剤が溶融状態になる温度まで昇温し加熱焼成する。
加熱温度は900〜1250℃程度として処理することが好ましい。還元剤として上記のようにCaを選定した場合、Caの融点が838℃、沸点が1480℃であるため、900〜1250℃の温度範囲内であれば還元剤は溶解するが、蒸気にはならずに処理することができる。
この加熱焼成により、上記混合物中の希土類酸化物が希土類元素に還元されるとともに、該希土類元素が鉄粉中に拡散され、希土類−鉄母合金が合成される。この還元拡散反応が起きる際、原料混合物が圧縮されていると圧縮されていない場合に比較して、原料混合物が炉内の底部、すなわち高温部で、温度分布の小さい範囲に配置され、均一に熱がかかることにより場所による反応のばらつきが小さくなり、よって組成ばらつきが小さい還元物が得られ、ひいては磁気特性の優れた合金粉末が得られることになる。さらに、原料混合物が圧縮されていることにより各原料粒子間の距離が短いため熱伝導がよく、短時間で還元拡散反応が起こり焼成時間も短くなる。還元拡散時間が長い場合、蒸気圧の高い希土類元素は高温部で揮発し、低温部に濃縮し組成のばらつきの原因になる。したがって、このように短時間で還元拡散反応できることは特性を向上させる大きな要因となる。
次に、この希土類−遷移金属系合金に対して水素吸蔵を行う。希土類−遷移金属系合金は、少なくとも水素を含有する雰囲気の温度が500℃以下となるように冷却する。500℃を越えると消費エネルギーが大きくなり、しかも、目的の希土類−鉄母合金が分解したり、副反応生成物が生じたりすることがある。反応生成物への水素吸蔵は、室温でも十分行うことができる。反応生成物が水素を吸蔵すると自己発熱を起こし、材料温度が上昇するため、500℃を越えないように留意する。
水素吸蔵では、還元拡散処理を行った後、冷却した反応生成物を炉内に入れたまま、還元拡散処理で用いた不活性ガスを水素ガスに置換し、この水素を含む雰囲気ガスで加圧するか、あるいは流しながら一定時間吸蔵処理することにより行う。この時、次工程の窒化処理に悪影響を与えない範囲で加熱しても構わない。水素ガスの置換は、炉内にある不活性ガスを脱気し、真空に引いてから水素ガスを導入した方が短時間で水素ガスに完全に置換できるので好ましい。この時の真空度は、大気圧に対して−30kPa以下が好ましく、−100kPa以下がさらに好ましい。
アルゴンガスは、水素ガスよりも比重が大きいため反応生成物の底部まで完全に水素ガスで置換しきれないと、水素吸蔵が効果的に行えず、水素吸蔵後も大きな塊のまま存在することがあるから、注意を要する。
次に、水素を含む雰囲気ガスで置換後、水素の吸蔵を促進するために炉内の圧力を大気圧に対して+5kPa以上に加圧しておくことが好ましい。加圧は大気圧に対して+10〜50kPaがより好ましい。加圧した状態で放置し、反応生成物が水素を吸蔵していくと、初期加圧圧力から徐々に低下していくことで水素吸蔵が進行していくことが確認できる。
反応生成物では、主相であるSmFe17相の周りにSmリッチ相で覆われている状態が通常である。上記水素吸蔵を行うことにより、水素がSmリッチ相等の結晶格子内に入ることで、Smリッチ相は主相よりも膨張率が大きいために、Smリッチ相と主相の粒界から割れて崩壊する。また、強固に凝集している反応生成物の周りにある未反応還元剤や酸化カルシウム等が水素と反応して、凝集がほぐれて崩壊していく。
取り出した崩壊物の粒径が10mm以下、好ましくは1mm以下になるように反応温度と時間を設定することが好ましい。崩壊物の粒径が10mmを越える状態では、窒化処理工程で均一な窒化が困難になり、磁気特性の角形が低下してしまい、水素吸蔵の効果がない。
このように、水素吸蔵させた反応生成物は、該水素処理後、容器から取り出した時点で既に崩壊しており、引き続き行われる水洗浄、デカンテーション工程での崩壊性も向上している。そのため、生成した主相であるSmFe17相磁性粉末の凝集が小さく、崩壊して、該磁性粉末の表面が活性となっており、その後の窒化処理において該磁性粉末合金内の窒素の分布が均一になり、結果として、微粉砕して得られる希土類−鉄−窒素系磁石粉末の減磁曲線の角形性が良好なものとなる。
その後、水素を吸蔵した焙焼物を純水中に投じ、水素イオン濃度pHが10以下となるまで、攪拌とデカンテーションとを繰り返す。そして、pHがおよそ5となるまで水中に酢酸を添加し、この状態で攪拌を行う。その後、得られた希土類−遷移金属系合金を乾燥して粉末状にした後、この粉末状の希土類−遷移金属合金を窒化処理することで、所望の希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末が製造される。
窒化処理では、希土類−鉄母合金粉末を装入した反応容器を予め窒素ガス又はアンモニア、あるいはアンモニア−水素混合ガスのいずれかを含む含窒素雰囲気とした後、加熱を行う。
窒化ガスには、窒素、またはアンモニアを用いることが好ましい。特に、アンモニアは希土類−鉄合金粉末を窒化しやすく、短時間で窒化できるため好ましい。本発明では、窒化ガスが少なくともアンモニアと水素とを含有していることが好ましく、反応をコントロールするためにアルゴン、窒素、ヘリウムなどを混合することができる。アンモニア−水素混合ガスを用いると、アンモニアだけで窒化した場合と比較し、アンモニア分圧が下がり、表面付近が過窒化になりづらく粉末内部まで均一に窒化できる。窒化ガスの量は、磁石粉末中の窒素量が3.0〜3.6質量%となるに十分な量であることが好ましい。
全気流圧力に対するアンモニアの比(アンモニア分圧)は、0.3〜0.7、好ましくは0.4〜0.6となるようにする。アンモニア分圧がこの範囲であると、母合金の窒化が進み、十分に磁石粉末の飽和磁化と保磁力を向上できる。
窒化反応を行う反応装置は、特に限定されず、横型、縦型の管状炉、回転式反応炉、密閉式反応炉などが挙げられる。何れの装置においても、本発明の希土類−鉄−窒素磁石粉末を調製することが可能であるが、特に窒素組成分布の揃った粉体を得るためにはキルンのような回転式反応炉を用いるのが好ましい。
窒化処理は、該希土類−鉄母合金粉末を含窒素雰囲気中で、例えば、200〜700℃に加熱する。加熱温度は、300〜600℃が好ましく、さらに好ましくは350〜550℃とする。200℃未満では母合金の窒化速度が遅く窒化が不十分になりやすく、700℃を超える温度では希土類の窒化物と鉄とに分解してしまうので好ましくない。加熱時間は、例えば2〜10時間とし、5〜10時間とするのが好ましく、より好ましくは7〜10時間とする。
窒化を効率よく行うためには、通常80μm程度以下の希土類−鉄母合金粉末を用いることが好ましい。粒子の大きさは特に制限されないが、凝集・融着部を実質的に含まない平均粒径1〜50μmの粉末であればなお好ましい。このため、希土類−鉄母合金粉末の凝集・融着部をなくすために、必要により解砕しておくことが好ましく、粒径の大きな希土類−鉄系合金粉末をさらに微粉砕(解砕を含む)して製造してもよい。粒径が1μmよりも細かいと、発火や表面酸化し易く取り扱いが難しくなる。また、粒径が80μmよりも粗いと、粒子内を均一に窒化することが行いづらくなり、磁気特性が低くなってしまう。窒化後の平均粒径は、5μmを超え、最大80μmとなる。
ここで、前記の通り還元拡散工程以降の工程を、水素吸蔵工程、水中デカンテーション工程と窒化処理工程の順番としたが、水中デカンテーション工程と窒化処理工程の順番を入れ替えてもよい。水素吸蔵で崩壊した後、窒化処理して得られる希土類−鉄−窒素系磁石粗粉末は、窒素の分布が均一となるので、磁気特性を低下させる希土類−鉄−窒素系磁石粉末が少なくなるので収率が高くなる。
(2)磁石粉末の微粉砕化
得られた希土類−遷移金属−窒素系磁石粗粉末は、平均粒径(D50)が5μmを超え、最大80μmと大きいので、これを媒体攪拌ミルの粉砕機に入れ、有機溶媒中で粉砕媒体によって微粉砕する。磁石粗粉末を、その平均粒径(D50)が1.7μmを越え2.5μm以下、1μm以下の粒度の割合が20%未満となるように微粉砕することで、優れた磁気特性の磁石微粉末を製造することができる。
本発明で磁石粉末を微粉砕するには、粉末の組成や粒子径を均一にしやすい観点から、媒体攪拌ミルによる粉砕方法を採用する。
媒体攪拌ミルは、有機溶媒と磁石粗粉末を混合して形成されたスラリーを微粉砕するものであり、金属もしくはセラミックスの粉砕媒体を充填したミルを、攪拌棒、回転ディスク等によって強制的に攪拌することにより、粉砕を行う装置が挙げられる。
有機溶媒を装置内に入れておき、これに磁石粗粉末を加えてから装置を回転させてもよいし、予め有機溶媒と磁石粉末を混合機によりプレミキシングしてスラリーを形成しておき、これをポンプにより媒体攪拌ミルに送って粉砕処理してもよい。また、予備粉砕として、下記径の金属もしくはセラミックスの粉砕媒体で粉砕処理しておくのが好ましい。この段階で磁石粉末の平均粒径(D50)が20μm以下になるように処理しておくと、次の微粉砕(本粉砕という)が効率的になるからである。
例えば、直径が1mmを超え5mm以下の金属としてはSUJ2(高炭素クロム軸受鋼鋼材)のボールが、セラミックスとしてはジルコニア、窒化珪素、アルミナなどのボールが挙げられる。
有機溶媒は、イソプロピルアルコール、エタノール、トルエン、メタノール、ヘキサン等のいずれかを使用できるが、特にイソプロピルアルコールを用いた場合、好ましい磁石微粉末を得ることができる。
この媒体攪拌ミル内では、有機溶媒によって磁石粉末と粉砕媒体がスラリー状態となって攪拌による攪拌作用を受ける。そして、磁石粉末同士あるいは粉砕媒体との摩擦により、磁石粉末はさらに細かく粉砕される。予備粉砕に要する時間は、磁石粉末の粒径や粉砕条件などによって異なるが、120〜300分とすることができる。
このとき有機溶媒には、表面安定化剤として燐酸やその化合物を添加することができる。燐酸などを添加することで、磁石微粉末が粉砕されるとともに燐酸塩の被膜が形成される。燐酸の添加量は、磁石微粉末への被膜が平均1〜20nm程度となる量が好ましく、所望とする磁気特性の観点から磁石微粉末中の元素換算でのP含有量が0.6wt%以下になるようにする。
所望とする粉末粒度や処理量に応じて、媒体攪拌ミル1台で循環処理したり、あるいは複数台を設置して連続処理を行うこともできる。媒体攪拌ミルを複数設置する場合、ミルの型式や運転条件(メディア径、主軸回転数、吐出量等)を変化させてもよい。
上記粒度の磁石微粉末を得るためには、希土類−遷移金属−窒素系磁石粗粉末を、媒体攪拌ミルの粉砕機の中に、金属もしくはセラミックスの粉砕媒体とともに入れて粉砕すればよいが、本粉砕の際、粉砕媒体の直径を0.1〜1mmとし、また、粉砕機の回転数を1000rpm以上として粉砕することが必要である。粉砕媒体の直径が0.1mmより小さいと、粉砕能力が落ちたり、ハンドリングの問題があり、1mmを越えると所望とする粒径までの粉砕が長くかかり、所望とする磁気特性が得られない。さらに、回転数が1000rpm未満では粉砕時間が極端に長くかかり、また目詰まりし易くなり好ましくない。回転数は、1000〜1500rpmとするのが好ましい。本粉砕に要する時間は、磁石粉末の粒径や粉砕条件などによって異なるが、100〜600分とすることができる。
本発明では、直径が1mmを超え5mm以下の粉砕媒体で粉砕した後、直径が0.1〜1mmの粉砕媒体で粉砕することが好ましい。
また、粉砕媒体の充填率は、粉砕機の種類や粉砕能力などによっても異なるが、容積の40〜75%とすることが好ましい。また、本粉砕におけるスラリ−の循環流量は、40〜50L/分とするのが好ましい。
(3)乾燥
粉砕された磁石粉末を含むスラリーは、引き続き、有機溶媒から磁石粉末を分離し乾燥する。乾燥条件は、特に制限されるわけではないが、磁石粉末を乾燥機に入れ、真空中あるいは不活性ガス雰囲気下で130℃以上、160℃以下で30〜480分間加熱するのが好ましい。
本発明の方法により、平均粒径が1.7μmを超え2.5μm以下で、1μm以下の粒度の割合が20%未満であり、保磁力、残留磁束密度、角形比および最大エネルギー積がいずれも高く、表面安定性に優れた希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末を製造することが可能となる。
すなわち、磁気特性は保磁力iHcが935kA/m以上、残留磁束密度Brが1.35T以上、角形性(Hk/iHc)が0.5以上、および最大エネルギー積(BH)maxが315kJ/m以上という優れた磁気特性を有する希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末を製造することができる。
本発明によれば、磁石粗粉末の粉砕条件などを最適化することで、保磁力iHcが980kA/m以上、残留磁束密度Brが1.38T以上、角形性(Hk/iHc)が0.55以上および最大エネルギー積(BH)maxが330kJ/m以上というさらに磁気特性に優れたものを安定的に製造することができる。
なお、本発明の方法で製造された希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末は、公知のリン酸、各種カップリング剤などによって表面処理を施すことができ、これによって耐酸化性、熱安定性などを向上させることが可能となる。
希土類−遷移金属−窒素系磁石には、フェライト、アルニコなど、通常、ボンド磁石の原料となる各種の磁石粉末を混合してもよく、異方性磁石粉末だけでなく、等方性磁石粉末も対象となるが、異方性磁場(HA)が、4000kA/m以上の磁石粉末が好ましい。
また、これら処理を施した磁石粉末に熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム組成物などを配合して射出成形、押出し成形などを行えば、樹脂結合型磁石すなわちボンド磁石を容易に製造することができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(1)磁石微粉末の磁気特性
日本ボンド磁石工業協会、ボンド磁石試験方法ガイドブック、BM−2002、BM−2005に準じて、得られた磁石粉末(比重:7.67g/cm)の磁気特性を測定した。
(2)平均粒径(D50)、1μm以下の粒度の割合
いずれも、HELOS粒度分布測定装置(SYMPATEC GmbH社製、商品名:レーザ−回折式粒度分布測定装置HELOS&RODOS)を用いて、被測定粉末に3.0×10Paの圧力の窒素を噴射させて、凝集した磁石粉末を解凝して測定した。
(実施例1)
磁石原料粉末として、粒径10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)77.63kg、粒径0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.5%)31.73kg、および粒状金属カルシウム(Ca純度99%)12.75kgとをVブレンダーを用いて混合した。得られた混合物を円筒形のステンレス容器に入れ、アルゴンガス雰囲気下、1180℃で6時間加熱処理を施した。
次いで、焙焼物を冷却して水素を吸蔵させた後、純水中に投じたところ、崩壊してスラリーが得られた。水素イオン濃度pHが10以下となるまで、攪拌とデカンテーションとを繰り返し行った後、pHが5となるまで水中に酢酸を添加し(以下「酸性水溶液pH値」という)、この状態で10分間攪拌を行った。その後、脱酢酸洗浄として純水中で洗浄を行い、乾燥して粉末を得た。
次に、アンモニア分圧が0.5のアンモニア−水素混合ガス雰囲気下で昇温し、440℃で500分保持し、その後、同温度で窒素ガスに切り替えて30分保持して冷却し磁石粗粉末を得た。磁石粗粉末の平均粒径は20μmであった。
得られた磁石粗粉末30kg、85%燐酸518.7gおよびイソプロピルアルコール75kgを、直径が3/16インチ(4.8mm)のSUJ2(高炭素クロム軸受鋼鋼材)を90kg充填した媒体攪拌ミル(ボール充填率49%)に入れて、180分予備粉砕を行った。予備粉砕後の磁石微粉末の平均粒径は約4μmであった。
その後、得られたスラリーを、直径が0.5mmのSi2.2kg充填した媒体攪拌ミル(ボール充填率72%)に入れ、循環流量50L/min、ローター回転数1400rpmとして、媒体攪拌ミルでの粉砕時間を150分とした。回収したスラリーの一部をサンプリングして真空乾燥機で、150℃で2時間保持して乾燥し磁石微粉末aを得た。この磁石微粉末a中のSmは23.3質量%で、Nは3.4質量%で、Pは0.40質量%であった。また、この磁石微粉末は大気に曝しても安定であった。
得られた磁石微粉末aに分散力を作用させて、HELOS Particle Size Analysisで、平均粒径(D50)および1μm以下の粒度の割合を測定するとともに、磁気特性として、保磁力iHc、残留磁束密度Br、角形性(Hk/iHc)および最大エネルギー積(BH)maxを測定し、その結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、Siを充填した媒体攪拌ミルでの粉砕時間を137分とした以外は、実施例1と同様にして磁石微粉末bを得た。この磁石微粉末b中のSmは23.3質量%で、Nは3.4質量%で、Pは0.40質量%であった。また、この磁石微粉末は大気に曝しても安定であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、Siを充填した媒体攪拌ミルでの粉砕時間を116分とした以外は、実施例1と同様にして磁石微粉末cを得た。この磁石微粉末c中のSmは23.3質量%で、Nは3.4質量%で、Pは0.40質量%であった。また、この磁石微粉末は大気に曝しても安定であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、ローター回転数を1200rpmとし、Siを充填した媒体攪拌ミルでの粉砕時間を300分とした以外は、実施例1と同様にして磁石微粉末dを得た。また、この磁石微粉末は大気に曝しても安定であった。この磁石微粉末d中のSmは23.3質量%で、Nは3.4質量%で、Pは0.41質量%であった。
(実施例5)
実施例1において、ローター回転数を1000rpmとし、Siを充填した媒体攪拌ミルでの粉砕時間を430分とした以外は、実施例1と同様にして磁石微粉末eを得た。また、この磁石微粉末は大気に曝しても安定であった。この磁石微粉末e中のSmは23.3質量%で、Nは3.4質量%で、Pは0.41質量%であった。
(実施例6)
実施例1において、3/16インチのSUJ2(高炭素クロム軸受鋼鋼材)を90kg充填した媒体攪拌ミルに入れて180分の予備粉砕を行わず、ローター回転数を1400rpmとし、Siを充填した媒体攪拌ミルでの粉砕時間を590分とした以外は、実施例1と同様にして磁石粉末fを得た。また、大気に曝しても安定であっって、この磁石微粉末f中のSmは23.3質量%で、Nは3.4質量%で、Pは0.40質量%であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、平均粒径(D50)が1.27μmとなるまで粉砕した以外は、実施例1と同様にして磁石粉末gを得た。この磁石微粉末g中のSmは23.4質量%で、Nは3.5質量%で、Pは0.58質量%であった。また、この磁石微粉末は大気に曝しても安定であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、平均粒径(D50)が1.69μmとなるまで粉砕した以外は、実施例1と同様にして磁石粉末hを得た。この磁石微粉末h中のSmは23.3質量%で、Nは3.5質量%で、Pは0.58質量%であった。また、この磁石微粉末は大気に曝しても安定であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、平均粒径(D50)が3.28μmとなるまで粉砕した以外は、実施例1と同様にして磁石粉末iを得た。この磁石微粉末i中のSmは23.3質量%で、Nは3.4質量%で、Pは0.41質量%であった。また、この磁石微粉末は大気に曝しても安定であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、得られた磁石粗粉末30kg、85%燐酸518.7gおよびイソプロピルアルコール75kgを、直径3/16インチ(4.8mm)のSUJ2(高炭素クロム軸受鋼鋼材)を75kg充填した媒体攪拌ミルでのみ1260分粉砕を行ったことと、直径が0.5mmのSiによる粉砕を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして磁石微粉末jを得た。この磁石微粉末j中のSmは23.3質量%で、Nは3.4質量%で、Pは0.42質量%であった。また、この磁石微粉末は大気に曝しても安定であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1において、ローター回転数700rpmとした以外は、実施例1と同様にして行ったところ、400分を越えても所望の平均粒径まで粉砕できず中断した。
(比較例6)
実施例1において、85%燐酸添加量を934.6gとした以外は、実施例1と同様にして磁石粉末kを得た。この磁石微粉末k中のSmは23.3質量%で、Nは3.4質量%で、Pは0.77質量%であった。また、この磁石微粉末は大気に曝しても安定であった。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例7)
実施例1において、85%燐酸を添加しない以外は、実施例1と同様にして磁石粉末lを得たが、大気に曝したところ一部発火した。
Figure 2014236144
Figure 2014236144
「評価」
以上の結果から、実施例1〜6は、平均粒径(D50)や1μm以下の粒度の割合、P含有量および粉砕条件が本発明の範囲内であるために、磁気特性に優れた磁石合金微粉末が得られることがわかる。
これに対して、比較例1〜3は、平均粒径(D50)および/または1μm以下の粒度の割合が本発明から外れているため、比較例1は残留磁束密度が1.2T未満および最大エネルギー積が300kJ/m未満で、比較例2は最大エネルギー積が315kJ/m未満で、比較例3は保磁力が700kA/m未満および最大エネルギー積が300kJ/m未満と、磁気特性が低いことが分かる。また、比較例4は、粉砕媒体のボール径が本発明から外れているため、保磁力が850kA/m未満および最大エネルギー積300kJ/m未満と低いことが分かる。比較例5はローター回転数が本発明から外れているため、400分を越えても所望の粒径まで粉砕できなかった。さらに、比較例6は、P含有量が本発明から外れて少ないため、保磁力が935kA/m未満および最大エネルギー積が315kJ/m未満と低くなり、比較例7は、粉砕時にリン酸を用いなかったので、磁粉が酸化し取り扱い難くなった。
本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末は、民生用あるいは産業用の各種機器に組み込まれるボンド磁石の原料として使用できる。

Claims (4)

  1. 希土類元素が23.0〜25.0質量%、Nが3.0〜3.6質量%および残りがFeである還元拡散法で製造された磁石合金粉末が、燐酸と共に少なくとも直径が0.1〜1mm径の粉砕媒体を用いた媒体攪拌ミルにより微粉砕された希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末であって、
    平均粒径(D50)が1.7μmを越え2.5μm以下で、1μm以下の粒度の割合が20%未満で、元素換算でのP含有量が0.6質量%以下であることを特徴とする希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末。
  2. 保磁力iHcが935kA/m以上、残留磁束密度Brが1.35T以上、角形性(Hk/iHc)が0.5以上および最大エネルギー積(BH)maxが315kJ/m以上の磁気特性を有することを特徴とする請求項1に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末。
  3. 平均粒径(D50)が5μmを超える希土類−遷移金属−窒素系磁石の粗粉末を、有機媒体および粉砕媒体とともに粉砕機の媒体攪拌ミルに入れ、高速で回転させて磁石粗粉末を微粉砕した後、粉砕物を乾燥させる希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末の製造方法であって、
    前記媒体攪拌ミルで、直径0.1〜1mm径の粉砕媒体を用い、有機媒体にリン酸を添加するとともに、粉砕機の回転数を1000rpm以上とすることにより、希土類−遷移金属−窒素系磁石の粗粉末を微粉砕することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末の製造方法。
  4. 前記磁石粗粉末が、前記直径が0.1〜1mm径の粉砕媒体を用いた媒体攪拌ミルで粉砕する前に、直径が1mmを超え5mm径以下の粉砕媒体を用いた媒体攪拌ミルで粉砕して、平均粒径(D50)が20μm以下になるようにすることを特徴とする請求項3に記載の希土類−遷移金属−窒素系磁石微粉末の製造方法。
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