JP2014234539A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】泡スジの発生を抑制でき、かつ膜厚均一性に優れた膜を成膜できる成膜装置を提供する。
【解決手段】成膜装置は化学浴析出法を用いて被成膜材に膜を成膜する。成膜装置は、反応溶液が溜められ、被成膜材を反応溶液に浸漬させて被成膜材に膜を成膜するための反応槽と、反応槽の下部に設けられ、反応槽内に反応溶液を供給する供給管と、反応溶液を供給する供給部と、供給管の他方の端部に設けられ、反応溶液から泡を取り除く泡抜部とを有する。供給管は、反応溶液を反応槽内に供給するための穴が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、化学浴析出方法を用いた成膜装置に関し、特に、泡スジの発生を抑制でき、かつ膜厚均一性に優れた膜を成膜できる成膜装置に関する。
従来から、化学浴析出法(CBD法:Chemical Bath Deposition)によって成膜がなされている。化学浴析出法(以下、CBD法ともいう)は、反応溶液に浸漬した基板上に膜を析出させる手法である。反応溶液の温度、溶質の濃度およびpH等を調整し、過飽和度を制御することによって析出反応を進行させる。また、反応中に、副反応によるコロイド生成、特にアンモニア等の気体成分を溶存する場合、溶質濃度またはpHが刻々と変化することが知られている。
CBD法を用いた成膜装置として、特許文献1には、第1開口部に第1ピストンが挿通されているとともに第1開口部よりも開口面積が小さい第2開口部に第2ピストンが挿通されており、第1ピストンと第2ピストンとの間に液体が封入されたシリンダーと、第1ピストンに搭載された成膜用槽と、成膜用槽と切り離し可能に設けられており、成膜用溶液を成膜用槽内に供給する供給系機構と、成膜用槽と連動するように設けられており、成膜用溶液を成膜用槽内で循環させる循環系機構と、成膜用槽と切り離し可能に設けられており、成膜用溶液を成膜用槽内から排出する排出系機構とを具備する成膜装置が開示されている。
特許文献1では、供給系機構と排出系機構は、成膜用槽と切り離し可能であることにより、成膜用溶液を入れる際に外部からの干渉を防止し、精度よく重量測定できる。また、循環系機構は、成膜用槽と連動するように設けられていることにより、成膜中においても精度よく成膜用溶液の重量を直接測定して管理することができる。
また、特許文献1には、成膜用槽の内側に成膜用溶液を整流化するための整流板を有することが記載されている。さらに、循環系機構は、成膜用槽の上部からオーバーフローした成膜用溶液を成膜用槽の底部へ流入させることにより成膜用溶液を循環させることが記載されている。さらに、特許文献1には、成膜用溶液を、供給配管を通して成膜用槽に上部から供給することも開示されている。
特開2012−134216号公報 特許第4050841号公報
特許文献1に成膜装置では、成膜した膜に泡スジが生じるという問題点がある。
また、成膜用槽に対して上部から成膜用溶液を供給する場合、成膜用溶液の基板に対する均一性の確保が難しく、1つのバッチで多数枚の基板を成膜する際に膜厚にばらつきが生じてしまうという問題点がある。
ここで、特許文献2の記載の従来のウェットエッチング処理装置では、上方が開放された有底箱形をした処理槽1の底部にはエッチング液供給ノズル2が取付けられており、一方、上縁周囲にはオーバーフロー樋3が設けられ、処理対象物4は処理対象物設置機構5に載置された状態で、エッチング液6が満たされている処理槽1内に浸漬される様になっている。またオーバーフロー樋3は循環ポンプ7およびフィルタ−8を介してエッチング液供給ノズル2と接続されており、処理槽1から溢れ出たエッチング液6はオーバーフロー樋3で補集された後、エッチング液供給ノズル2から再度処理槽1内に吐出して、再循環するようになっている。この特許文献2のウェットエッチング処理装置では、エッチングの均一性が得られないため、成膜装置に用いても膜厚の均一性を得ることができない。
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、泡スジの発生を抑制でき、かつ膜厚均一性に優れた膜を成膜できる成膜装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、化学浴析出法を用いて被成膜材に膜を成膜する成膜装置であって、反応溶液が溜められ、被成膜材を反応溶液に浸漬させて被成膜材に膜を成膜するための反応槽と、反応槽の下部に設けられ、反応槽内に反応溶液を供給する供給管と、反応溶液を供給する供給部と、供給管の他方の端部に設けられ、反応溶液から泡を取り除く泡抜部とを有し、供給管は、反応溶液を反応槽内に供給するための穴が形成されていることを特徴とする成膜装置を提供するものである。
泡抜部を通過した反応溶液を供給管に再度供給する循環部を有することが好ましい。例えば、被成膜材は、反応槽内に垂直に複数枚設置される。
また、反応槽内において供給管と被成膜材の間に整流板が設けられていることが好ましい。さらには、供給管の穴は、単位長さあたりの開口率が、泡抜部側の反対側ほど低く、泡抜部側ほど高いことが好ましい。
本発明の成膜装置によれば、泡スジがなく、かつ膜厚均一性に優れた膜が得られる。
(a)は、本発明の実施形態の成膜装置を示す模式図であり、(b)は、被成膜材の配置状態を示す模式的斜視図である。 (a)は、図1(a)に示す成膜装置の供給管の配置を示す模式的断面図であり、(b)は、図1(a)に示す成膜装置の供給管の穴の配置を示す模式図であり、(c)は、本発明の実施形態の成膜装置に用いられる泡抜部を示す模式的斜視図である。 (a)は、比較のための成膜装置の第1の例を示す模式的斜視図であり、(b)は、比較のための成膜装置の第2の例を示す模式斜視図である。 (a)は、本発明の実施形態の成膜装置を用いて成膜された膜を示す図面代用写真であり、(b)は、図3(b)に示す第2の例の成膜装置を用いて成膜された膜を示す図面代用写真である。 本発明の実施形態の成膜装置を用いて形成される光電変換素子の一例を示す模式的断面図である。 (a)、(b)は、本発明の実施形態の成膜装置を用いたバッファ層の形成方法を説明するためのものであり、(a)は、バッファ層の形成前の状態を示す模式的断面図であり、(b)は、バッファ層の形成後の状態を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の成膜装置を用いて形成される太陽電池の一例を示す模式的断面図である。 (a)および(b)は、本発明の実施形態の成膜装置を用いたバッファ層の形成工程を工程順に示す模式的断面図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の成膜装置を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態の成膜装置を示す模式図であり、(b)は、被成膜材の配置状態を示す模式的斜視図である。図2(a)は、図1(a)に示す成膜装置の供給管の配置を示す模式的断面図であり、(b)は、図1(a)に示す成膜装置の供給管の穴の配置を示す模式図であり、(c)は、本発明の実施形態の成膜装置に用いられる泡抜部を示す模式的斜視図である。
図1(a)に示す成膜措置10は、化学浴析出法を用いて被成膜材Sに膜を成膜するものである。被成膜材Sは、例えば、板状の基板であるが、特に限定されるものではない。例えば、被成膜材Sとしては、半導体素子、光電変換素子および太陽電池等の半完成品であってもよい。
ここで、化学浴析出法とは、一般式[M(L)i]m+⇔Mn++iL(式中、M:金属元素、L:配位子、m,n,i:正数を各々示す。)で表されるような平衡によって過飽和条件とさせることで、安定した環境で適度な速度で被成膜材S上に膜を析出させて成膜する方法である。
図1(a)に示す成膜装置10は、反応槽12と、外槽14と、供給管16と、泡抜部18と、ヒータ20と、ポンプ22とを有する。供給管16と、泡抜部18と、ヒータ20と、ポンプ22とは配管26で接続されており、これにより、反応槽12に供給される反応溶液13を、供給管16に供給し、かつ循環させることができる。また、配管26と、外槽14に設けられた配管28とが接続されている。これにより、外槽14に溜った反応溶液13も循環させ、再度利用することができる。
反応槽12は、被成膜材Sに膜を成膜するための反応溶液13を内部12aに溜めておき、被成膜材Sを反応溶液13に浸漬させて被成膜材Sに所定の膜を成膜するためのものである。反応槽12は上部12bが開放されている。図1(b)に示すように、反応槽12内には複数の被成膜材Sが所定の間隔をあけて垂直に設置される。被成膜材Sは、複数に限定されるものではなく1枚であってもよい。
反応槽12は、特に限定されるものではなく、化学浴析出法に用いられる公知の反応槽および容器等を適宜用いることができる。
反応溶液13は、成膜する膜に応じた成分を有するものが用いられる。CIGSで光電変換層を形成した場合、バッファ層の形成に用いられる反応溶液については後に詳細に説明する。
外槽14は、反応槽12の上部12bからオーバーフローした反応溶液13を溜めておくものであり、反応槽12の外縁を囲んで設けられている。外槽14の底部に、外槽14に溜った反応溶液13を外部に取り出すための配管28が設けられている。この配管28は上述のように配管26に接続されている。外槽14に溜った反応溶液13は配管26を介してヒータ20およびポンプ22を経て供給配管16に供給される。これにより、オーバーフローした反応溶液13を再度利用することができる。
反応槽12の上部12bおよび外槽14の開口部を塞ぐ蓋を有することが好ましい。
供給管16は、反応溶液13を反応槽12に供給するものである。この供給管16は、反応槽12の下部12cに反応槽12を貫通して設けられ、反応溶液13を反応槽12の下方から内部12aに供給する。
供給管16は、一方の端部に配管26が接続されている。この配管26が接続される側を供給側または上流側という。また、供給管16は他方の端部に泡抜部18が接続されている。この泡抜部18が接続される側を泡抜部18側または下流側という。供給管16には、その内部を供給側から泡抜部18に向けて反応溶液13が供給される。
供給管16には、複数の穴16aが形成されており(図2(a)参照)、穴16aは反応槽12の底12dに向けて配置されている(図2(a)参照)。穴16aを底12dに向けることにより、流れを乱すことなく反応溶液13を供給することができる。
供給管16は、図2(b)に示すように穴16aの単位長さあたりの開口率が、反応溶液の供給側ほど低く、泡抜部18側ほど高いことが好ましい。これにより、反応溶液13を供給管16の長手方向において被成膜材Sに対してより均一に供給することができ、膜厚均一性を向上させることができる。
単位長さあたりの開口率は、例えば、穴16aのピッチを変えることにより変えることができる。また、例えば、供給管16の中央より上流側の穴16aの平均間隔を下流側の穴16aの平均間隔の倍にしてもよい。
なお、供給管16の穴16aを設ける位置、数および密度等は、特に限定されるものではなく、成膜装置の大きさ、成膜対象および成膜条件等により、適宜設定されるものである。
供給管16と被成膜材Sとの間に整流板24が設けられている。整流板24は、反応槽12の内部12aに隙間なく設けられている。この整流板24は、複数の穴24aが形成されたものである。この穴24aは、例えば、円形である。この整流板24により、反応溶液13の流れを均質化でき、反応溶液13を被成膜材Sに対してより均一に供給することができる。なお、整流板24は、必ずしも設ける必要はない。
泡抜部18は、反応槽12内部12aでの泡の発生を抑制するためのものである。泡抜部18は、例えば、図1(a)、図2(c)に示すように供給管16と配管26が接続されており、配管26の方が低い位置に接続されている。また、泡抜部18には上部に戻し管19が接続されており、この戻し管19は外槽14に、その端部の開口が向けられている。戻し管19にはバルブ29aが設けられている。また、泡抜部18の配管26にバルブ29bが設けられている。
供給管16に供給される反応溶液13は、移送中に空気を巻きこんだり、所定の温度に加熱されることにより生じる泡を含んでいる。反応溶液13が供給側から泡抜部18側に移動する場合、流れがあるため、泡は反応槽12の内部12aに発生しにくい。そして、泡抜部18に供給管16から反応溶液13が供給されると反応溶液13が溜り、その表面に泡が浮く。反応溶液13はFl方向に配管26側に流れるが、泡は気体であり軽いためFa方向に戻し管19側に移動する。これにより、反応溶液13から泡が取り除かれる。戻し管19には泡と一緒に反応溶液13も一部移動するが、その反応溶液13は外槽14に戻される。なお、バルブ29aの開閉程度を調整することにより、泡を効率よく戻し管19に移動させて、泡を取り除くことができる。また、例えば、泡抜部18の泡の量に応じて、バルブ29bの開閉率が調整される。これにより、泡のない反応溶液13を反応槽12に送ることができる。なお、泡抜部18の構成は、図1(a)、図2(c)に示す構成に特に限定されるものではない。
ヒータ20は、反応溶液13を所定の温度に加熱するものである。ヒータ20は、泡抜部18と配管26を介して接続されている。ヒータ20の構成は、特に限定されるものではなく、CBD法に用いられる公知の各種のヒータを用いることができる。
ポンプ22は、反応溶液13を供給管16に供給する供給部として機能するとともに、反応溶液13を循環させて反応溶液13を供給管16に再度供給する循環部として機能するものである。ポンプ22の構成は、反応溶液13を移送することができれば、特に限定されるものではなく、公知のものを適宜利用することができる。
次に、反応溶液13について詳細に説明する。反応溶液13は、成膜する膜に応じて適正なものが用いられる。具体的には、反応溶液13として、後に詳細に説明する光電変換素子および太陽電池のバッファ層の形成に用いられるものを例にして説明する。このバッファ層は、例えば、硫化物を含む化合物からなる。
反応溶液13には、例えば、所定の金属のイオン、チオ尿素、またはチオアセトアミドを含むものを用いる。例えば、反応溶液13として、以下に示す文献に記載されている溶液を用いることができる。文献としては、所定の金属が亜鉛の場合には、M.A. Contreras, et. al., Thin Solid Films, 403, 204, (2002)、所定の金属がカドミウムの場合には、C. Hubert, et al., Phys. Stat. Sol. 205, 2335, (2008)、所定の金属がインジウムの場合には、D. Hariskos, et al., Sol. Energ. Mat. Sol. C, 41, 345, (1996) である。
以下に説明する例は、反応溶液13の好ましい組成である。なお、以下において、所定の金属が亜鉛である場合について説明するが、カドミウム、インジウム、スズの場合もほぼ同様である。
Zn源として、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、クエン酸亜鉛、およびこれらの水和物からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。濃度は特に制限されず、0.001〜0.5Mが好ましい。S源として、チオ尿素を含むことが好ましい。チオ尿素の濃度は特に制限されず、0.01〜1.0Mが好ましい。
反応溶液13中には、pH調整剤等として機能するNHOH等のアンモニウム塩を含むことが好ましい。アンモニウム塩は、錯形成剤等として機能する成分でもある。アンモニウム塩の濃度は0.001〜10.0Mが好ましい。これによりpHを調整して、金属イオンの溶解度または過飽和度を調整することができる。アンモニウム塩の濃度が0.001〜10.0Mの範囲内であれば反応速度が速く、実用的な生産速度で成膜することができる。
さらに1M以上のアルカリ金属イオンを含んでいてもよい。ここで、アルカリ金属源としては、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウムおよび/またはその水和物を含むことが好ましい。クエン酸三ナトリウムを用いたときはナトリウム、クエン酸三カリウムを用いたときはカリウム、クエン酸三リチウムを用いたときはリチウムがバッファ層中に取り込まれる。
なお、このクエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムおよびクエン酸三リチウムは、錯形成剤等として機能する成分を兼ねるものであり、例えば、特開2002−343987号公報では、反応溶液中のクエン酸三ナトリウムの濃度は0.001〜0.25Mが好ましいと記載されている。
反応開始前の反応溶液13のpHは、例えば、9.0〜12.5とする。
反応溶液13の反応開始前のpHが9.0未満では、チオ尿素等の成分(S)の分解反応が進行しないか、進行しても極めてゆっくりであるため、析出反応が進行しない。チオ尿素の分解反応は下記の通りである。チオ尿素の分解反応については、Journal of the Electrochemical Society,141,205-210(1994)、およびJournal of Crystal Growth 299,136-141(2007)等に記載されている。
SC(NH+OH⇔SH+CH+H
SH+OH⇔S2−+H
反応溶液13の反応開始前のpHが12.5超では、錯形成剤等としても機能する成分(N)が安定な溶液を作る効果が大きくなり、析出反応が進行しないか、あるいは進行しても極めて遅い進行となってしまう。
反応溶液13の反応終了後のpHは特に制限されない。反応溶液13の反応終了後のpHは7.5〜12.5であることが好ましい。反応溶液13の反応終了後のpHが7.5未満では、反応が進行しない期間を含んでいたことになり、効率的な製造を考えると無意味である。また、緩衝作用のあるアンモニアが入っていた系でこれだけのpH低下があった場合には、アンモニアが加熱工程で過剰に揮発している可能性が高く、製造上の改善が必要であると考えられる。反応溶液13の反応終了後のpHが12.5超では、チオ尿素の分解は促進されるが、亜鉛イオンの多くがアンモニウム錯体として安定になるため、析出反応の進行が著しく遅くなる場合がある。反応溶液13の反応終了後のpHはより好ましくは9.5〜10.5である。
また、水酸化物イオンと錯イオンを形成しうる金属等、アルカリ性溶媒に溶解しやすい金属を含む基板、例えば、可撓性基板としての適用が可能な、Alを主成分とするAl基材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、Feを主成分とするFe材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とするAl材が積層されたクラッド材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、Feを主成分とするFe材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とするAl膜が成膜された基材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板等の陽極酸化基板等を用いた場合にも、被成膜材Sにダメージを与える恐れがなく、一様性の高いバッファ層を成膜することができる。
反応温度は、例えば、60〜98℃である。反応温度が60℃未満では反応速度が遅くなり、膜が成長しない、また膜成長しても実用的な反応速度で所望の厚み、例えば、50nm以上を得るのが難しくなる。反応温度が98℃超では、反応温度の均一性を保つことが難しく、温度ムラ起因の膜厚ムラが生じてしまう。さらに、反応が開放系で実施される場合には、溶媒の蒸発等による濃度変化等が生じ、安定した膜析出条件を維持することが難しくなる。反応温度は好ましくは70〜90℃である。
反応時間は特に制限されるものではない。反応時間は反応温度にもよるが、例えば、10〜90分間で、下地を良好に被覆する充分な厚さの膜を成膜することができる。
成膜装置10では、反応槽12内に被成膜材Sを配置し、その後、成膜条件に応じてヒータ20で所定の温度にされた反応溶液13を、ポンプ22により供給管16を介して下部から反応槽12内に供給し、反応槽12内を反応溶液13で満たす。その後も、成膜条件に応じて供給管16を介して下部から反応槽14内に反応溶液13を所定の時間供給する。このとき、供給管16の穴16aは底12dを向いているため、反応溶液13は流れを乱すことなく被成膜材Sに供給される。また、整流板24があるため、反応溶液13が被成膜材Sに対して均一に供給される。供給管16を経た反応溶液13は泡抜部18にて、反応溶液13から泡が取り除かれる。これにより、反応槽12内での泡の発生を抑制することができ、膜に泡スジが発生することを抑制することができ、かつ膜厚均一性が高い膜を成膜することができる。このため、膜厚が数十nm程度と薄く、かつ高い膜厚精度が要求される膜でも、その膜を所定の膜厚精度で形成することができる。
なお、成膜装置10では、複数の被成膜材Sをまとめて、それぞれに膜を成膜しても、各被成膜材Sにおいて泡スジが発生することなく、かつ膜厚均一性が高い膜を成膜できる。また、反応槽12の内部12aを反応溶液13で満たした後に被成膜材Sを配置してもよい。
泡抜部18にて泡が取り除かれた反応溶液13は、配管26を介してヒータ20に送られ、成膜に再度利用される。泡抜部18で除かれた泡は一部反応溶液13とともに戻し管19を経て外槽14に供給される。一方、反応槽12に供給された反応溶液13は、反応槽12の容積を超えると反応槽12の上部12bから外槽14に溢れる。外槽14に溜った反応溶液13は配管28を介して配管26、ヒータ20、ポンプ22を経て供給管16に再度供給され成膜に再度利用される。このように、反応溶液13を再度利用することにより、成膜に要する反応溶液13の量を低減することができる。
なお、反応槽12の内部12aを反応溶液13で満たした後に被成膜材Sを配置してもよい。
ここで、図3(a)は、比較のための成膜装置の第1の例を示す模式的斜視図であり、(b)は、比較のための成膜装置の第2の例を示す模式斜視図である。図1(a)に示す成膜装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図3(a)に示す成膜装置100は、図1(a)に示す成膜装置10に比して、供給管16の下流側に泡抜部18が設けられていない点以外は、成膜装置10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
また、図3(b)に示す成膜装置102は、図1(a)に示す成膜装置10に比して、供給管16の下流側に泡抜部18が設けられていない点、供給管16の両側から反応溶液13が供給される点以外は、成膜装置10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
図3(a)に示す下流側に泡抜部18が設けられていない成膜装置100では、下流側に泡Bが発生した。また、図3(b)に示す両側から反応溶液13を供給する成膜装置102では、中央部に泡Bが発生した。その結果、図3(b)に示す成膜装置102で膜を成膜した場合、図4(b)に示すように膜に泡スジαができることを確認している。また、図示はしないが、図3(a)に示す成膜装置100で膜を成膜した場合でも、泡スジができる。
一方、成膜装置10では、図4(a)に示すように泡スジが生じることなく、膜厚均一性が高い膜を成膜できることを確認している。
次に、成膜装置10を用いた成膜の具体例について説明する。
上述の成膜装置10は、例えば、図5に示す光電変換素子30のバッファ層38を形成することができる。バッファ層38の形成の説明に先立ち、まず、図5に示す光電変換素子30について説明する。
図5に示す光電変換素子30は、基板32の表面32aに形成された裏面電極34と、裏面電極34の表面34aに形成された光電変換層36と、この光電変換層36の表面36aに形成されたバッファ層38と、このバッファ層38上に形成された透明電極40と、裏面電極34上および透明電極40上に形成された上部電極42とを有する。
基板32には、例えば、無アルカリガラスおよび石英ガラス等のガラス基板、アルミナ等で構成されるセラミックス基板、ステンレス、チタン箔およびシリコン等で構成される金属基板、ならびにポリイミド等で構成される高分子基板を用いることができる。
基板32は絶縁層を形成しない場合、単体で絶縁性を有するもので構成される。
基板32としては、耐熱性および軽量性の観点から、特に金属板を有することが好ましい。絶縁層に陽極酸化膜を用いる場合には、アルミニウム、鉄、ジルコニウム、チタン、マグネシウム、銅、ニオブおよびタンタルのうち、少なくとも1種の金属板、または上記金属の合金で構成された金属板を用いることが好ましい。
基板32は、単層構造に限定されるものではなく、積層基板であってもよい。この場合、アルミニウムではない金属板の片面または両面にアルミニウム板またはアルミニウム合金板を積層して一体化したクラッド材を用いることができる。このクラッド材では、陽極酸化膜の形成が容易であること、耐久性が高いという観点からより好ましい。金属板の両面にアルミニウム板またはアルミニウム合金板で挟んで一体化したクラッド材の場合、アルミニウムまたはアルミニウム合金と、Alからなる陽極酸化膜との熱膨張係数差に起因した基板の反り、および陽極酸化膜の膜剥がれ等を抑制することができる。
なお、金属板の片面にアルミニウム板を積層したクラッド材をAl/金属と表記し、金属板の両面にアルミニウム板を積層したクラッド材をAl/金属/Alと表記する。上記金属には、各種の素材名が入る。金属板には、例えば、ステンレス板、鋼板、チタン板等が用いられる。
裏面電極34は、例えば、Mo、Cr、またはW、およびこれらを組み合わせたものにより構成される。この裏面電極34は、単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。裏面電極34は、Moで構成することが好ましい。裏面電極34の膜厚は、200〜1000nm程度が好ましい。
光電変換層36は、高光電変換効率が得られることから、例えば、カルコゲン化合物半導体、カルコパイライト構造の化合物半導体および欠陥スタナイト型構造の化合物半導体が用いられる。光電変換層36の膜厚は、好ましくは1.0〜3.0μmであり、1.5〜2.0μmが特に好ましい。
カルコゲン化合物(S、Se、Teを含む化合物)半導体としては、II−VI化合物:ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe等、I−III−VI族化合物:CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Se、CuInS、CuGaSe、Cu(In,Ga)(S,Se)等、I−III−VI族化合物:CulnSe、CuGaSe、Cu(ln,Ga)Se等を好ましく挙げることができる。
カルコパイライト型構造および欠陥スタナイト型構造の化合物半導体としては、I−III−VI族化合物:CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Se、CuInS、CuGaSe、Cu(In,Ga)(S,Se)等、I−III−VI族化合物:CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Se等を好ましく挙げることができる。なお、上記(In,Ga)、(S,Se)は、それぞれ(In1−xGa)、(S1−ySe)(ただし、x=0〜1、y=0〜1)を示す。
また、光電変換層36は、例えば、CZTS系化合物で構成することもできる。CZTS系化合物としては、例えば、CuZnSnSが挙げられる。
光電変換層36の形成方法は、特に制限されるものではない。例えば、Cu,In,(Ga),Sを含むCI(G)S系の光電変換層36の形成には、セレン化法および多元蒸着法等の公知の方法を用いることができる。
バッファ層38は、具体的には、CdS、ZnS,Zn(S,O)および/またはZn(S,O,OH)、SnS,Sn(S,O)および/またはSn(S,O,OH)、InS,In(S,O)および/またはIn(S,O,OH)等の、Cd,Zn,Sn,Inからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属硫化物を含むことが好ましい。
バッファ層38の膜厚は、10nm〜2μmが好ましく、15〜200nmがより好ましい。このバッファ層38が10nmよりも薄いと、バッファ層38の後に形成する透明電極40の形成時に、光電変換層36がダメージを受ける可能性がある。一方、バッファ層38が厚すぎると、光電変換層36に入射する光量が小さくなる可能性がある。
また、バッファ層38に膜厚ムラがあると、膜厚が薄い場合、光電変換層36はダメージを受けるところとそうでないところが生じる。一方、膜厚が厚い場合、光電変換層36への光量がばらつく。このため、バッファ層38は膜厚均一性が高いことが好ましい。
透明電極40は、光を光電変換層36に取り込むと共に、裏面電極40と対になって、光電変換層36で生成された電流が流れる電極として機能するものである。透明電極40は、公知の組成で構成することができるが、ZnO:Al等のn−ZnO等で構成することが好ましい。透明電極40の膜厚は、例えば、50nm〜2μmである。
上部電極42は、光電変換素子30がセルの場合に、光電変換層36で発生した電流を透明電極40から取り出すための電極である。このため、上部電極42は、設けられていなくてもよい。
上部電極42は、例えば、アルミニウムより構成されるものである。上部電極42は、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法等によって形成される。上部電極42のことをグリッド電極ともいう。
次に、成膜装置10を用いた光電変換素子30のバッファ層38の形成方法について説明する。
図6(a)、(b)は、本発明の実施形態の成膜装置を用いたバッファ層の形成方法を説明するためのものであり、(a)は、バッファ層の形成前の状態を示す模式的断面図であり、(b)は、バッファ層の形成後の状態を示す模式的断面図である。
まず、図6(a)に示すように、基板32の表面32aに裏面電極34が形成され、この裏面電極34上にCIGSで構成された光電変換層36が形成された状態のものを用意する。この状態のものが被成膜材44である。被成膜材44の光電変換層36の表面36aにバッファ層38を形成する。
なお、被成膜材44の裏面電極34および光電変換層36は、公知の方法で形成することができるため、製造方法についてその詳細な説明は省略する。
バッファ層38の形成では、反応溶液13として、上述の光電変換素子および太陽電池のバッファ層の形成に用いられるものが用いられる。
被成膜材44を、成膜装置10の反応槽12内に配置する。そして、成膜条件に応じてヒータ20で所定の温度にされた反応溶液13を、ポンプ22により供給管16を介して下部から反応槽12内に供給し、反応槽12内を反応溶液13で満たす。その後も、成膜条件に応じて供給管16を介して下部から反応槽14内に反応溶液13を所定の時間供給する。これにより、図6(b)に示すように光電変換層36の表面36aにバッファ層38が形成される。なお、裏面電極34の表面34aにはマスクをしておくことが好ましい。また、反応槽12の内部12aを反応溶液13で満たした後に被成膜材44を配置してもよい。
バッファ層38の形成において、供給管16を経た反応溶液13は泡抜部18にて、反応溶液13から泡が取り除かれ、反応槽12内で泡が発生することが抑制され、バッファ層38への泡スジの発生を抑制できる。これにより、泡スジのないバッファ層38が得られる。
供給管16内では反応溶液13と泡が混在している。しかし、泡は反応溶液13よりも流れにより押されて容易に移動できるため、泡は一部の反応溶液13とともに泡抜部18に移動し、泡を含まない反応溶液13のみが反応槽12に送られる。
泡抜部18を通過した反応溶液13は、配管26およびバルブ29bを介してヒータ20に送られ、成膜に再度利用される。泡抜部18で取り除かれた泡は、一部反応溶液13とともに戻し管19を経て外槽14に供給される。一方、反応槽12に供給された反応溶液13は、反応槽12の容積を超えると反応槽12の上部12bから外槽14に溢れる。外槽14に溜った反応溶液13は配管28を介して供給管16に送られ成膜に再度利用される。このように、反応溶液13を再度利用することにより、バッファ層38の成膜に要する反応溶液13の量を低減できる。
また、上述の成膜装置10は、例えば、図7に示す太陽電池50のバッファ層38を形成することができる。バッファ層38の形成の説明に先立ち、まず、図7に示す図7に示す太陽電池50について説明する。
図7に示す太陽電池50は、図5に示す光電変換素子30を集積したものである。太陽電池50において、図5に示す光電変換素子30と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
太陽電池50は、裏面電極34と光電変換層36とバッファ層38と透明電極40とが積層されており、裏面電極34のみを貫通する第1の開溝部P1、光電変換層36とバッファ層38とを貫通する第2の開溝部P2、および光電変換層36とバッファ層38と透明電極40とを貫通する第3の開溝部P3が形成されている。
太陽電池50では、第1の開溝部P1〜第3の開溝部P3によって、複数の光電変換素子52に分離されている。第2の開溝部62内に透明電極40が充填されることで、ある光電変換素子52の透明電極40が隣接する光電変換素子52の裏面電極34に直列接続した構造が得られる。各光電変換素子52で発生する電圧が加算されるように電気的に直列接続されており、このとき光電変換機能の有効部分は領域54である。
太陽電池50では、図7に示すD方向に電子が流れるように構成されており、裏面電極34がプラス極であり、透明電極40がマイナス極である。
なお、図7は光電変換素子52の繰返し直列接続構造をわかり易く図示したものであり、マイナス引出し電極の接続は図示したように透明電極40であってもよいし、第2の開溝部P2の下に位置する裏面電極34であってもよい。
成膜装置10を用いた太陽電池50のバッファ層38の形成方法について説明する。
図8(a)および(b)は、本発明の実施形態の成膜装置を用いたバッファ層の形成工程を工程順に示す模式的断面図である。
まず、図8(a)に示すように、基板32に裏面電極34が形成され、裏面電極34が第1の開溝部P1で分離されており、裏面電極34上にCIGSで構成された光電変換層36が形成された状態のものを用意する。この状態のものが被成膜材56である。被成膜材56の光電変換層36の表面36aにバッファ層38を形成する。
なお、被成膜材56では、例えば、基板32に上述のAlを主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板を用いる。被成膜材56の裏面電極34および光電変換層36は、公知の方法で形成することができるため、製造方法についてその詳細な説明は省略する。
太陽電池50のバッファ層38の形成では、反応溶液13として、上述の光電変換素子および太陽電池のバッファ層の形成に用いられるものが用いられる。
太陽電池50のバッファ層38の形成方法は、上述の光電変換素子30のバッファ層38の形成方法に比して、被成膜材56の構成が異なる点以外は、上述の光電変換素子30のバッファ層38の形成方法と同じである。このため、その詳細な説明は省略する。なお、裏面電極34の表面34aにはマスクをしておくことが好ましい。
この場合でも、図8(b)に示すように光電変換層36の表面36aにバッファ層38が形成される。バッファ層38については、泡スジがなく、膜厚均一性に優れたものが形成される。
さらには、反応溶液13を再度利用することにより、少ない反応溶液13の量でバッファ層38を形成することができる。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の成膜装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
本実施例では、以下に示す実施例1〜3および比較例1、2の成膜装置で、以下に示す反応溶液を用いて被成膜材に、厚さ40nmの膜を成膜し、得られた膜について、膜厚ムラおよび泡スジを評価した。成膜条件としては、反応溶液の温度を90℃とし、反応溶液の流量を8L/minとした。
また、実施例1〜3および比較例1、2の成膜装置では、反応槽の大きさは共通しており、いずれも大きさを40cm×10cm×50cmとした。この反応槽内に、被成膜材として、30cm角の大きさのSUS(ステンレス)基板(厚さ100μm)を18枚平行に設置して成膜した。なお、後述するように、膜厚ムラの評価は18枚の全ての基板の平均値からのずれを用いて行う。
反応溶液には以下のものを用いた。
反応溶液においては、水溶液(I)として硫酸亜鉛水溶液(0.18[M])、水溶液(II)としてチオ尿素水溶液(チオ尿素0.30[M])、水溶液(III)としてクエン酸三ナトリウム水溶液(0.18[M])、および水溶液(IV)としてアンモニア水(0.3[M])をそれぞれ調製した。次に、これらの水溶液のうち、水溶液(I)、水溶液(II)、水溶液(III)を同体積ずつ混合して、硫酸亜鉛0.06[M],チオ尿素0.10[M]、クエン酸三ナトリウム0.06[M]となる混合溶液を完成させ、この混合溶液と、0.3[M]のアンモニア水を同体積ずつ混合して反応溶液を得た。
水溶液(I)〜(IV)を混合する際には、水溶液(IV)を最後に添加するようにした。透明な反応溶液とするには、水溶液(IV)を最後に添加することが重要である。反応溶液は硫酸亜鉛0.03[M],チオ尿素0.05[M],クエン酸三ナトリウム0.03[M]およびアンモニア0.15[M]である。反応溶液のpHは10.3であった。
膜厚ムラについては、各基板の膜厚を測定し、その平均値を求めた。この平均値に対する各基板の膜厚の測定値のずれを求めた。
膜厚ムラの評価については、測定膜厚の平均値からの最大のずれが±10%以下であるものをAとし、測定膜厚の平均値からの最大のずれが±10%を超え±15%未満であるものをBとし、測定膜厚の平均値からの最大のずれが±15%を超え±20%未満であるものをCとし、測定膜厚の平均値からの最大のずれが±20%以上であるものをDとした。
泡スジについては、各基板について、目視により泡スジの有無を評価した。泡スジの評価については、泡スジが視認できないものをAとし、泡スジを視認でき、かつ泡スジ部の厚み増加が他の平均値よりも7.5%未満の泡スジが生じたものをBとし、泡スジを視認でき、かつ泡スジ部の厚み増加が他の平均値よりも7.5%以上の泡スジが生じたものをCとした。
以下、実施例1〜3、比較例1、2の各成膜装置について説明する。
なお、本実施例では、供給管16について、下記に示す供給管種A、供給管種Bを用いた。供給管種Aは、供給管16の中央より上流側(配管26側)の供給用の穴16aの平均間隔が下流側(泡抜部18側)の穴16aの平均間隔の半分である。供給管種Bは、等間隔で液供給用の穴16aが形成されたものである。
実施例1は、図1(a)に示す成膜装置10において、供給管16に供給管種Aを用いた点が異なり、それ以外の構成は図1(a)に示す成膜装置10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
実施例2は、図1(a)に示す成膜装置10において、供給管16に供給管種Bを用いた点が異なり、それ以外の構成は図1(a)に示す成膜装置10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
実施例3は、図1(a)に示す成膜装置10において、供給管16に供給管種Bを用い、整流板24が設けられていない点が異なり、それ以外の構成は図1(a)に示す成膜装置10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
比較例1は、図1(a)に示す成膜装置10において、供給管16に供給管種Aを用い、泡抜部18を供給管16の下流側ではなく上流側に設けた点が異なり、それ以外の構成は図1(a)に示す成膜装置10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
比較例2は、図1(a)に示す成膜装置10において、供給管16に供給管種Aを用い、整流板24が設けられておらず、さらには、泡抜部18を供給管16の下流側ではなく上流側に設けた点が異なり、それ以外の構成は図1(a)に示す成膜装置10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
上記表1に示すように、実施例1は、泡抜部を供給管の下流側に設け、整流板を設け、さらには供給管16の中央より上流側の供給用の穴16aの平均間隔を倍にしており、膜厚ムラおよび泡スジについて高い評価を得ることができた。
実施例2は、泡抜部を供給管の下流側に設け、整流板を設け、さらには供給管16の穴16aを等間隔で形成しており、膜厚ムラおよび泡スジについて高い評価を得ることができた。
実施例3は、泡抜部を供給管の下流側に設け、さらには供給管16の穴16aを等間隔で形成しており、泡スジについて高い評価を得ることができた。
比較例1は、泡抜部を供給管の上流側に設け、整流板を設けている。比較例1では、泡スジの程度が大きかった。
比較例2は、泡抜部を供給管の上流側に設け、整流板を設けている。比較例2では、膜厚ムラの程度が大きく、かつ泡スジの程度も大きい。
10 成膜装置
12 反応槽
14 外槽
16 供給管
18 泡抜部
20 ヒータ
22 ポンプ
24 整流板
26、28 配管
30 光電変換素子
32 基板
34 裏面電極
36 光電変換層
38 バッファ層
40 透明電極
42 上部電極
44、56、S 被成膜材
50 太陽電池
α 泡スジ

Claims (5)

  1. 化学浴析出法を用いて被成膜材に膜を成膜する成膜装置であって、
    反応溶液が溜められ、前記被成膜材を反応溶液に浸漬させて前記被成膜材に前記膜を成膜するための反応槽と、
    前記反応槽の下部に設けられ、前記反応槽内に前記反応溶液を供給する供給管と、
    前記反応溶液を供給する供給部と、
    前記供給管の他方の端部に設けられ、前記反応溶液から泡を取り除く泡抜部とを有し、
    前記供給管は、前記反応溶液を前記反応槽内に供給するための穴が形成されていることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記泡抜部を通過した前記反応溶液を前記供給管に再度供給する循環部を有する請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記被成膜材は、前記反応槽内に垂直に複数枚設置される請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 前記反応槽内において前記供給管と前記被成膜材の間に整流板が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の成膜装置。
  5. 前記供給管の穴は、単位長さあたりの開口率が、前記泡抜部側の反対側ほど低く、前記泡抜部側ほど高い請求項1〜4のいずれか1項に記載の成膜装置。
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