JP2014234539A - 成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成膜装置は化学浴析出法を用いて被成膜材に膜を成膜する。成膜装置は、反応溶液が溜められ、被成膜材を反応溶液に浸漬させて被成膜材に膜を成膜するための反応槽と、反応槽の下部に設けられ、反応槽内に反応溶液を供給する供給管と、反応溶液を供給する供給部と、供給管の他方の端部に設けられ、反応溶液から泡を取り除く泡抜部とを有する。供給管は、反応溶液を反応槽内に供給するための穴が形成されている。
【選択図】図1
Description
また、特許文献1には、成膜用槽の内側に成膜用溶液を整流化するための整流板を有することが記載されている。さらに、循環系機構は、成膜用槽の上部からオーバーフローした成膜用溶液を成膜用槽の底部へ流入させることにより成膜用溶液を循環させることが記載されている。さらに、特許文献1には、成膜用溶液を、供給配管を通して成膜用槽に上部から供給することも開示されている。
また、成膜用槽に対して上部から成膜用溶液を供給する場合、成膜用溶液の基板に対する均一性の確保が難しく、1つのバッチで多数枚の基板を成膜する際に膜厚にばらつきが生じてしまうという問題点がある。
また、反応槽内において供給管と被成膜材の間に整流板が設けられていることが好ましい。さらには、供給管の穴は、単位長さあたりの開口率が、泡抜部側の反対側ほど低く、泡抜部側ほど高いことが好ましい。
図1(a)は、本発明の実施形態の成膜装置を示す模式図であり、(b)は、被成膜材の配置状態を示す模式的斜視図である。図2(a)は、図1(a)に示す成膜装置の供給管の配置を示す模式的断面図であり、(b)は、図1(a)に示す成膜装置の供給管の穴の配置を示す模式図であり、(c)は、本発明の実施形態の成膜装置に用いられる泡抜部を示す模式的斜視図である。
ここで、化学浴析出法とは、一般式[M(L)i]m+⇔Mn++iL(式中、M:金属元素、L:配位子、m,n,i:正数を各々示す。)で表されるような平衡によって過飽和条件とさせることで、安定した環境で適度な速度で被成膜材S上に膜を析出させて成膜する方法である。
反応槽12は、特に限定されるものではなく、化学浴析出法に用いられる公知の反応槽および容器等を適宜用いることができる。
反応溶液13は、成膜する膜に応じた成分を有するものが用いられる。CIGSで光電変換層を形成した場合、バッファ層の形成に用いられる反応溶液については後に詳細に説明する。
反応槽12の上部12bおよび外槽14の開口部を塞ぐ蓋を有することが好ましい。
供給管16は、一方の端部に配管26が接続されている。この配管26が接続される側を供給側または上流側という。また、供給管16は他方の端部に泡抜部18が接続されている。この泡抜部18が接続される側を泡抜部18側または下流側という。供給管16には、その内部を供給側から泡抜部18に向けて反応溶液13が供給される。
供給管16は、図2(b)に示すように穴16aの単位長さあたりの開口率が、反応溶液の供給側ほど低く、泡抜部18側ほど高いことが好ましい。これにより、反応溶液13を供給管16の長手方向において被成膜材Sに対してより均一に供給することができ、膜厚均一性を向上させることができる。
単位長さあたりの開口率は、例えば、穴16aのピッチを変えることにより変えることができる。また、例えば、供給管16の中央より上流側の穴16aの平均間隔を下流側の穴16aの平均間隔の倍にしてもよい。
なお、供給管16の穴16aを設ける位置、数および密度等は、特に限定されるものではなく、成膜装置の大きさ、成膜対象および成膜条件等により、適宜設定されるものである。
供給管16に供給される反応溶液13は、移送中に空気を巻きこんだり、所定の温度に加熱されることにより生じる泡を含んでいる。反応溶液13が供給側から泡抜部18側に移動する場合、流れがあるため、泡は反応槽12の内部12aに発生しにくい。そして、泡抜部18に供給管16から反応溶液13が供給されると反応溶液13が溜り、その表面に泡が浮く。反応溶液13はFl方向に配管26側に流れるが、泡は気体であり軽いためFa方向に戻し管19側に移動する。これにより、反応溶液13から泡が取り除かれる。戻し管19には泡と一緒に反応溶液13も一部移動するが、その反応溶液13は外槽14に戻される。なお、バルブ29aの開閉程度を調整することにより、泡を効率よく戻し管19に移動させて、泡を取り除くことができる。また、例えば、泡抜部18の泡の量に応じて、バルブ29bの開閉率が調整される。これにより、泡のない反応溶液13を反応槽12に送ることができる。なお、泡抜部18の構成は、図1(a)、図2(c)に示す構成に特に限定されるものではない。
反応溶液13には、例えば、所定の金属のイオン、チオ尿素、またはチオアセトアミドを含むものを用いる。例えば、反応溶液13として、以下に示す文献に記載されている溶液を用いることができる。文献としては、所定の金属が亜鉛の場合には、M.A. Contreras, et. al., Thin Solid Films, 403, 204, (2002)、所定の金属がカドミウムの場合には、C. Hubert, et al., Phys. Stat. Sol. 205, 2335, (2008)、所定の金属がインジウムの場合には、D. Hariskos, et al., Sol. Energ. Mat. Sol. C, 41, 345, (1996) である。
以下に説明する例は、反応溶液13の好ましい組成である。なお、以下において、所定の金属が亜鉛である場合について説明するが、カドミウム、インジウム、スズの場合もほぼ同様である。
反応溶液13の反応開始前のpHが9.0未満では、チオ尿素等の成分(S)の分解反応が進行しないか、進行しても極めてゆっくりであるため、析出反応が進行しない。チオ尿素の分解反応は下記の通りである。チオ尿素の分解反応については、Journal of the Electrochemical Society,141,205-210(1994)、およびJournal of Crystal Growth 299,136-141(2007)等に記載されている。
SC(NH2)2+OH−⇔SH−+CH2N2+H2O
SH−+OH−⇔S2−+H2O
反応溶液13の反応開始前のpHが12.5超では、錯形成剤等としても機能する成分(N)が安定な溶液を作る効果が大きくなり、析出反応が進行しないか、あるいは進行しても極めて遅い進行となってしまう。
なお、成膜装置10では、複数の被成膜材Sをまとめて、それぞれに膜を成膜しても、各被成膜材Sにおいて泡スジが発生することなく、かつ膜厚均一性が高い膜を成膜できる。また、反応槽12の内部12aを反応溶液13で満たした後に被成膜材Sを配置してもよい。
なお、反応槽12の内部12aを反応溶液13で満たした後に被成膜材Sを配置してもよい。
図3(a)に示す成膜装置100は、図1(a)に示す成膜装置10に比して、供給管16の下流側に泡抜部18が設けられていない点以外は、成膜装置10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
また、図3(b)に示す成膜装置102は、図1(a)に示す成膜装置10に比して、供給管16の下流側に泡抜部18が設けられていない点、供給管16の両側から反応溶液13が供給される点以外は、成膜装置10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
一方、成膜装置10では、図4(a)に示すように泡スジが生じることなく、膜厚均一性が高い膜を成膜できることを確認している。
上述の成膜装置10は、例えば、図5に示す光電変換素子30のバッファ層38を形成することができる。バッファ層38の形成の説明に先立ち、まず、図5に示す光電変換素子30について説明する。
図5に示す光電変換素子30は、基板32の表面32aに形成された裏面電極34と、裏面電極34の表面34aに形成された光電変換層36と、この光電変換層36の表面36aに形成されたバッファ層38と、このバッファ層38上に形成された透明電極40と、裏面電極34上および透明電極40上に形成された上部電極42とを有する。
基板32は絶縁層を形成しない場合、単体で絶縁性を有するもので構成される。
基板32としては、耐熱性および軽量性の観点から、特に金属板を有することが好ましい。絶縁層に陽極酸化膜を用いる場合には、アルミニウム、鉄、ジルコニウム、チタン、マグネシウム、銅、ニオブおよびタンタルのうち、少なくとも1種の金属板、または上記金属の合金で構成された金属板を用いることが好ましい。
なお、金属板の片面にアルミニウム板を積層したクラッド材をAl/金属と表記し、金属板の両面にアルミニウム板を積層したクラッド材をAl/金属/Alと表記する。上記金属には、各種の素材名が入る。金属板には、例えば、ステンレス板、鋼板、チタン板等が用いられる。
また、光電変換層36は、例えば、CZTS系化合物で構成することもできる。CZTS系化合物としては、例えば、Cu2ZnSnS4が挙げられる。
また、バッファ層38に膜厚ムラがあると、膜厚が薄い場合、光電変換層36はダメージを受けるところとそうでないところが生じる。一方、膜厚が厚い場合、光電変換層36への光量がばらつく。このため、バッファ層38は膜厚均一性が高いことが好ましい。
上部電極42は、例えば、アルミニウムより構成されるものである。上部電極42は、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法等によって形成される。上部電極42のことをグリッド電極ともいう。
図6(a)、(b)は、本発明の実施形態の成膜装置を用いたバッファ層の形成方法を説明するためのものであり、(a)は、バッファ層の形成前の状態を示す模式的断面図であり、(b)は、バッファ層の形成後の状態を示す模式的断面図である。
まず、図6(a)に示すように、基板32の表面32aに裏面電極34が形成され、この裏面電極34上にCIGSで構成された光電変換層36が形成された状態のものを用意する。この状態のものが被成膜材44である。被成膜材44の光電変換層36の表面36aにバッファ層38を形成する。
なお、被成膜材44の裏面電極34および光電変換層36は、公知の方法で形成することができるため、製造方法についてその詳細な説明は省略する。
被成膜材44を、成膜装置10の反応槽12内に配置する。そして、成膜条件に応じてヒータ20で所定の温度にされた反応溶液13を、ポンプ22により供給管16を介して下部から反応槽12内に供給し、反応槽12内を反応溶液13で満たす。その後も、成膜条件に応じて供給管16を介して下部から反応槽14内に反応溶液13を所定の時間供給する。これにより、図6(b)に示すように光電変換層36の表面36aにバッファ層38が形成される。なお、裏面電極34の表面34aにはマスクをしておくことが好ましい。また、反応槽12の内部12aを反応溶液13で満たした後に被成膜材44を配置してもよい。
バッファ層38の形成において、供給管16を経た反応溶液13は泡抜部18にて、反応溶液13から泡が取り除かれ、反応槽12内で泡が発生することが抑制され、バッファ層38への泡スジの発生を抑制できる。これにより、泡スジのないバッファ層38が得られる。
泡抜部18を通過した反応溶液13は、配管26およびバルブ29bを介してヒータ20に送られ、成膜に再度利用される。泡抜部18で取り除かれた泡は、一部反応溶液13とともに戻し管19を経て外槽14に供給される。一方、反応槽12に供給された反応溶液13は、反応槽12の容積を超えると反応槽12の上部12bから外槽14に溢れる。外槽14に溜った反応溶液13は配管28を介して供給管16に送られ成膜に再度利用される。このように、反応溶液13を再度利用することにより、バッファ層38の成膜に要する反応溶液13の量を低減できる。
図7に示す太陽電池50は、図5に示す光電変換素子30を集積したものである。太陽電池50において、図5に示す光電変換素子30と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
太陽電池50では、図7に示すD方向に電子が流れるように構成されており、裏面電極34がプラス極であり、透明電極40がマイナス極である。
なお、図7は光電変換素子52の繰返し直列接続構造をわかり易く図示したものであり、マイナス引出し電極の接続は図示したように透明電極40であってもよいし、第2の開溝部P2の下に位置する裏面電極34であってもよい。
図8(a)および(b)は、本発明の実施形態の成膜装置を用いたバッファ層の形成工程を工程順に示す模式的断面図である。
まず、図8(a)に示すように、基板32に裏面電極34が形成され、裏面電極34が第1の開溝部P1で分離されており、裏面電極34上にCIGSで構成された光電変換層36が形成された状態のものを用意する。この状態のものが被成膜材56である。被成膜材56の光電変換層36の表面36aにバッファ層38を形成する。
なお、被成膜材56では、例えば、基板32に上述のAl2O3を主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板を用いる。被成膜材56の裏面電極34および光電変換層36は、公知の方法で形成することができるため、製造方法についてその詳細な説明は省略する。
太陽電池50のバッファ層38の形成方法は、上述の光電変換素子30のバッファ層38の形成方法に比して、被成膜材56の構成が異なる点以外は、上述の光電変換素子30のバッファ層38の形成方法と同じである。このため、その詳細な説明は省略する。なお、裏面電極34の表面34aにはマスクをしておくことが好ましい。
この場合でも、図8(b)に示すように光電変換層36の表面36aにバッファ層38が形成される。バッファ層38については、泡スジがなく、膜厚均一性に優れたものが形成される。
さらには、反応溶液13を再度利用することにより、少ない反応溶液13の量でバッファ層38を形成することができる。
また、実施例1〜3および比較例1、2の成膜装置では、反応槽の大きさは共通しており、いずれも大きさを40cm×10cm×50cmとした。この反応槽内に、被成膜材として、30cm角の大きさのSUS(ステンレス)基板(厚さ100μm)を18枚平行に設置して成膜した。なお、後述するように、膜厚ムラの評価は18枚の全ての基板の平均値からのずれを用いて行う。
反応溶液においては、水溶液(I)として硫酸亜鉛水溶液(0.18[M])、水溶液(II)としてチオ尿素水溶液(チオ尿素0.30[M])、水溶液(III)としてクエン酸三ナトリウム水溶液(0.18[M])、および水溶液(IV)としてアンモニア水(0.3[M])をそれぞれ調製した。次に、これらの水溶液のうち、水溶液(I)、水溶液(II)、水溶液(III)を同体積ずつ混合して、硫酸亜鉛0.06[M],チオ尿素0.10[M]、クエン酸三ナトリウム0.06[M]となる混合溶液を完成させ、この混合溶液と、0.3[M]のアンモニア水を同体積ずつ混合して反応溶液を得た。
水溶液(I)〜(IV)を混合する際には、水溶液(IV)を最後に添加するようにした。透明な反応溶液とするには、水溶液(IV)を最後に添加することが重要である。反応溶液は硫酸亜鉛0.03[M],チオ尿素0.05[M],クエン酸三ナトリウム0.03[M]およびアンモニア0.15[M]である。反応溶液のpHは10.3であった。
膜厚ムラの評価については、測定膜厚の平均値からの最大のずれが±10%以下であるものをAとし、測定膜厚の平均値からの最大のずれが±10%を超え±15%未満であるものをBとし、測定膜厚の平均値からの最大のずれが±15%を超え±20%未満であるものをCとし、測定膜厚の平均値からの最大のずれが±20%以上であるものをDとした。
なお、本実施例では、供給管16について、下記に示す供給管種A、供給管種Bを用いた。供給管種Aは、供給管16の中央より上流側(配管26側)の供給用の穴16aの平均間隔が下流側(泡抜部18側)の穴16aの平均間隔の半分である。供給管種Bは、等間隔で液供給用の穴16aが形成されたものである。
実施例1は、図1(a)に示す成膜装置10において、供給管16に供給管種Aを用いた点が異なり、それ以外の構成は図1(a)に示す成膜装置10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
実施例2は、図1(a)に示す成膜装置10において、供給管16に供給管種Bを用いた点が異なり、それ以外の構成は図1(a)に示す成膜装置10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
実施例3は、図1(a)に示す成膜装置10において、供給管16に供給管種Bを用い、整流板24が設けられていない点が異なり、それ以外の構成は図1(a)に示す成膜装置10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
比較例2は、図1(a)に示す成膜装置10において、供給管16に供給管種Aを用い、整流板24が設けられておらず、さらには、泡抜部18を供給管16の下流側ではなく上流側に設けた点が異なり、それ以外の構成は図1(a)に示す成膜装置10と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
実施例2は、泡抜部を供給管の下流側に設け、整流板を設け、さらには供給管16の穴16aを等間隔で形成しており、膜厚ムラおよび泡スジについて高い評価を得ることができた。
実施例3は、泡抜部を供給管の下流側に設け、さらには供給管16の穴16aを等間隔で形成しており、泡スジについて高い評価を得ることができた。
比較例2は、泡抜部を供給管の上流側に設け、整流板を設けている。比較例2では、膜厚ムラの程度が大きく、かつ泡スジの程度も大きい。
12 反応槽
14 外槽
16 供給管
18 泡抜部
20 ヒータ
22 ポンプ
24 整流板
26、28 配管
30 光電変換素子
32 基板
34 裏面電極
36 光電変換層
38 バッファ層
40 透明電極
42 上部電極
44、56、S 被成膜材
50 太陽電池
α 泡スジ
Claims (5)
- 化学浴析出法を用いて被成膜材に膜を成膜する成膜装置であって、
反応溶液が溜められ、前記被成膜材を反応溶液に浸漬させて前記被成膜材に前記膜を成膜するための反応槽と、
前記反応槽の下部に設けられ、前記反応槽内に前記反応溶液を供給する供給管と、
前記反応溶液を供給する供給部と、
前記供給管の他方の端部に設けられ、前記反応溶液から泡を取り除く泡抜部とを有し、
前記供給管は、前記反応溶液を前記反応槽内に供給するための穴が形成されていることを特徴とする成膜装置。 - 前記泡抜部を通過した前記反応溶液を前記供給管に再度供給する循環部を有する請求項1に記載の成膜装置。
- 前記被成膜材は、前記反応槽内に垂直に複数枚設置される請求項1または2に記載の成膜装置。
- 前記反応槽内において前記供給管と前記被成膜材の間に整流板が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の成膜装置。
- 前記供給管の穴は、単位長さあたりの開口率が、前記泡抜部側の反対側ほど低く、前記泡抜部側ほど高い請求項1〜4のいずれか1項に記載の成膜装置。
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