JP2014183197A - 半導体素子用基板、光電変換素子および太陽電池 - Google Patents

半導体素子用基板、光電変換素子および太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】形成される半導体素子の劣化を抑制することができる半導体素子用基板、ならびに耐久性に優れた光電変換素子および太陽電池を提供する。
【解決手段】半導体素子用基板10は、基材12と、基材12の少なくとも一方の面に形成されたアルカリ金属、ケイ素および酸素を含む第1化合物層14と、第1化合物層14に接して基材12の反対側に形成された、金属酸化物、金属水酸化物または金属硫化物を含む第2化合物層16とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材に形成され、アルカリ金属、ケイ素および酸素を含む第1化合物層の表面が、金属酸化物、金属水酸化物または金属硫化物を含む第2化合物層によって被覆された半導体素子用基板ならびにこの半導体素子用基板を用いた光電変換素子および太陽電池に関し、特に、形成される半導体素子の劣化を抑制することができる半導体素子用基板、ならびに耐久性に優れた光電変換素子および太陽電池に関する。
現在、太陽電池の研究が盛んに行われている。太陽電池は、光吸収により電流を発生する半導体の光電変換層を裏面電極と透明電極とで挟んだ積層構造を有する。
光電変換層にカルコパイライト系のCuInSe2(CIS)、Cu(In,Ga)Se2(以下、単にCIGSともいう)を用いたものが検討されている。CIGSを光電変換層に用いた太陽電池は、効率が比較的高く、光吸収率が高いため薄膜化できることから、盛んに研究されている。
また、現在、太陽電池用基板として、ガラス基板が主に使用されているが、可撓性を有する金属基板を使用することが検討されている。金属基板を用いた場合、基板とその上に形成される裏面電極および光電変換層との短絡の発生を抑制するために金属基板の表面に絶縁層を設ける。金属基板を用いた太陽電池は、基板の軽量性および可撓性という特徴から、ガラス基板を用いたものに比較して、広い用途へ適用できる可能性がある。さらに、金属基板は高温プロセスにも耐え得るという点で、光電変換特性が向上し、太陽電池のさらなる光電変換効率の向上が期待できる。
特許文献1には、太陽電池モジュールにおいて、セルの非受光面側に放熱膜として、特定の金属化合物を含有させたアルカリ金属ケイ酸塩層を有するモジュールが開示されている。
また、特許文献2には、放熱性に優れたアルミニウム基材として、表面にアルミニウム水酸化物とケイ酸化合物を含む皮膜が形成された基材が開示されている。特許文献2に開示の技術は、基材表面の放射率を高め、半導体装置の熱を外部に放射させることによって温度上昇を抑制しようとするものである。
特開2007−12967号公報 特許2012−62522号公報
特許文献1のように裏面にアルカリ金属ケイ酸塩層を形成した場合、特許文献2のように裏面に水酸化物とケイ酸化合物を含む皮膜を形成した場合等では、裏面に形成した上述のケイ酸塩層が劣化し、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属塩が析出するという問題がある。特に、裏面をバックシート等で封止しない場合に、アルカリ金属塩の析出の問題は顕著である。
上述のように、アルカリ金属塩が析出すると、放熱性が低下して半導体装置がより高温に曝されるため、寿命を縮める原因となる。また、裏面と封止部材間の密着性が低下したり、アルカリ金属塩が吸湿して基板を劣化させたりするため、形成される半導体素子の性能が劣化する。
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、形成される半導体素子の劣化を抑制することができる半導体素子用基板、ならびに耐久性に優れた光電変換素子および太陽電池を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、基材と、基材の少なくとも一方の面に形成されたアルカリ金属、ケイ素および酸素を含む第1化合物層と、第1化合物層に接して基材の反対側に形成された、金属酸化物、金属水酸化物または金属硫化物を含む第2化合物層とを有することを特徴とする半導体素子用基板を提供するものである。
例えば、第2化合物層は、ケイ素、カドミウム、亜鉛、インジウムおよびスズのうち少なくとも一種と、硫黄または酸素とを含む化合物からなるものである。この場合、例えば、アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムのうち、少なくとも一種である。
第1化合物層は、厚さが1nm以上1μm以下であることが好ましい。また、第2化合物層は、厚さが1nm以上200nm以下であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の半導体素子用基板と、半導体素子用基板上に形成された裏面電極と、裏面電極上に形成された光電変換層とを有することを特徴とする光電変換素子を提供するものである。
半導体素子用基板と裏面電極との間にアルカリ金属、ケイ素および酸素を含む第3化合物層が形成されていることが好ましい。
また、光電変換層に接して、バッファ層が形成されており、バッファ層は、カドミウム、亜鉛、インジウムおよびスズのうち、少なくとも一種と、硫黄または酸素とを含む化合物からなることが好ましい。
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
本発明によれば、金属酸化物、金属水酸化物または金属硫化物を含む第2化合物層によって、アルカリ金属、ケイ素および酸素を含む第1化合物層の表面が被覆されているため、第1化合物層からのアルカリ金属塩の析出が抑制され、基板に形成される半導体素子の劣化が抑制される。
なお、塗布法によって第1化合物層を形成する場合、ディップコート等の手法を用いれば、基材の両面に第1化合物層を簡便に形成できる。この場合、半導体素子を形成しようとする面に形成された第1化合物層は、特に光電変換層がCIGSで構成された光電変換素子においては、特開2011−176285号公報等に開示されているように、CIGSへのアルカリ供給層を兼ねることができるため、好ましい。
(a)は、本発明の実施形態の半導体素子用基板の第1の例を示す模式図であり、(b)は、本発明の実施形態の半導体素子用基板の第2の例を示す模式図であり、(c)は、本発明の実施形態の半導体素子用基板の第3の例を示す模式図である。 図1(c)に示す半導体素子用基板を用いた光電変換素子を示す模式的断面図である。 図1(c)に示す半導体素子用基板を用いた太陽電池を示す模式的断面図である。 (a)は、実施例1−1の光学顕微鏡像を示す図面代用写真であり、(b)は、実施例2−1の光学顕微鏡像を示す図面代用写真である。 (a)は、実施例1−1の初期の表面状態を示す図面代用写真であり、(b)は、実施例1−1を10日間保管した後の表面状態を示す図面代用写真である。 (a)は、比較例1−1の初期の表面状態を示す図面代用写真であり、(b)は、比較例1−1を10日間保管した後の表面状態を示す図面代用写真である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の半導体素子用基板、光電変換素子および太陽電池を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態の半導体素子用基板の第1の例を示す模式図であり、(b)は、本発明の実施形態の半導体素子用基板の第2の例を示す模式図であり、(c)は、本発明の実施形態の半導体素子用基板の第3の例を示す模式図である。
図1(a)に示す半導体素子用基板10(以下、単に基板10ともいう)は、基材12の裏面12bに第1化合物層14が設けられており、この第1化合物層14に隣接して、第1化合物層14の基材12との反対の面14aに第2化合物層16が設けられている。基材12の表面12aに半導体素子が形成される。
基材12は、基板10の芯材として機能するものである。基材12には、例えば、無アルカリガラスおよび石英ガラス等のガラス基板、アルミナ等で構成されるセラミックス基板、ステンレス、チタン箔およびシリコン等で構成される金属基板、ならびにポリイミド等で構成される高分子基板を用いることができる。
基材12は、表面12a側に絶縁層を形成しない場合、単体で絶縁性を有するもので構成される。
基材12としては、耐熱性および軽量性の観点から、特に金属板が好ましい。後述するように、絶縁層に陽極酸化膜を用いる場合には、アルミニウム、鉄、ジルコニウム、チタン、マグネシウム、銅、ニオブおよびタンタルのうち、少なくとも1種の金属板、または上記金属の合金で構成された金属板が好ましい。
基材12は、単層構造に限定されるものではなく、積層基材であってもよい。この場合、アルミニウムではない金属板の片面または両面にアルミニウム板またはアルミニウム合金板を積層して一体化したクラッド材を用いることができる。このクラッド材では、陽極酸化膜の形成が容易であること、耐久性が高いという観点からより好ましい。金属板の両面にアルミニウム板またはアルミニウム合金板で挟んで一体化したクラッド材の場合、アルミニウムまたはアルミニウム合金と、Al23からなる陽極酸化膜との熱膨張係数差に起因した基板の反り、および陽極酸化膜の膜剥がれ等を抑制することができる。
なお、金属板の片面にアルミニウム板を積層したクラッド材をAl/金属と表記し、金属板の両面にアルミニウム板を積層したクラッド材をAl/金属/Alと表記する。上記金属には、各種の素材名が入る。金属板には、例えば、ステンレス板、鋼板、チタン板等が用いられる。
第1化合物層14は、基板10に形成される半導体素子(図示せず)の熱を放熱させる機能を有するものである。また、後述する絶縁層13がポーラス構造を有する場合、ポーラスを封止する機能を有する。
第1化合物層14は、アルカリ金属、ケイ素および酸素を組成として含む。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムのうち、少なくとも一種である。第1化合物層14は、例えば、ソーダライムガラス(以下、SLGともいう)で構成することができる。
第1化合物層14のケイ素源およびアルカリ金属源としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウムが好ましく挙げられる。ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウムの製法は、湿式法、乾式法等が知られており、酸化ケイ素を、それぞれ水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムで溶解する等の手法によって作製することができる。また、種々のモル比のアルカリ金属ケイ酸塩が市販されており、これを利用することもできる。
ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウムとしては、種々のモル比のケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウムが市販されている。ケイ素とアルカリ金属の割合を示す指標として、SiO2/A2O(A:アルカリ金属)のモル比がしばしば用いられている。例えば、ケイ酸リチウムとしては、日産化学工業株式会社のリチウムシリケート35、リチウムシリケート45、リチウムシリケート75等がある。ケイ酸カリウムとしては、1号ケイ酸カリウム、2号ケイ酸カリウム等が市販されている。
ケイ酸ナトリウムとしては、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、1号ケイ酸ナトリウム、2号ケイ酸ナトリウム、3号ケイ酸ナトリウム、4号ケイ酸ナトリウム等が知られ、ケイ素のモル比を数十まで高めた高モルケイ酸ナトリウムも市販されている。
アルカリ金属として、ナトリウムと、リチウムまたはカリウムの2種を含む場合には、ケイ酸ナトリウムとケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウムとケイ酸カリウムのように2種を供給源として用いてもよいし、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩層がケイ酸リチウムとケイ酸ナトリウムを含む場合には、ケイ酸リチウムと水酸化ナトリウム、または水酸化リチウムとケイ酸ナトリウムとを、アルカリ金属ケイ酸塩層がケイ酸カリウムとケイ酸ナトリウムを含む場合には、水酸化カリウムとケイ酸ナトリウム、またはケイ酸カリウムと水酸化ナトリウムとを、それぞれ水と任意の比率で混合することによっても、ケイ酸リチウムとケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウムとケイ酸ナトリウムを含むアルカリ金属ケイ酸塩層を、第1化合物層14として作製することができる。また、供給源として、それぞれ、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩を添加してもよい。例えば、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が用いられる。
上述のケイ素源およびアルカリ金属源を、それぞれ水と任意の比率で混合することにより、第1化合物層14を形成するための塗布液を得ることができる。水の添加量を変更することにより塗布液の粘度を調整し、適切な塗布条件を定めることができる。塗布液を基材12上に塗布する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ドクターブレード法、ワイヤーバー法、グラビア法、スプレー法、ディップコート法、スピンコート法、およびキャピラリーコート法等の手法を用いることができる。
塗布液を基板上に塗布した後、熱処理を行うことによりアルカリ金属ケイ酸塩層を作製することができる。熱処理は、大気圧より低い圧力下、好ましくは全圧1×104Pa以下、より好ましくは全圧1×102Pa以下、さらに好ましくは1Pa以下、特に好ましくは1×10-2Pa以下の雰囲気下で行う。
アルカリ金属ケイ酸塩層を熱処理することによって、ケイ酸塩に含まれる水分が内部から蒸発するとともに、アルカリ金属ケイ酸塩層の内部においてはシラノール基同士の縮合反応によって水分子が失われてガラス構造を形成するが、その際、大気圧より低い雰囲気で熱処理を行うことによって、表面においてもシラノール基の縮合反応が促進され、最表面のシラノール基密度が低下するため、親水性が低下すると考えられる。このためアルカリ金属ケイ酸塩層表面には大気中の水分が吸着しにくくなり、大気中の二酸化炭素とケイ酸塩層内部から拡散するナトリウムイオン(アルカリ金属イオン)の反応が抑制されて、炭酸水素ナトリウム等の析出が抑えられて劣化が起こりにくくなると考えられると推定される。
また、熱処理を大気圧下で行ってアルカリ金属ケイ酸塩層を作製した後、作製したアルカリ金属ケイ酸塩層の表面にシラノール基と縮合反応する官能基を有する化合物、例えば、疎水性の官能基を有するシランカップリング剤と総称される化合物または界面活性剤等を結合、吸着させる方法によっても最表面のシラノール基密度を低下させることができる。
基材12に上述のクラッド材を用いた場合、400℃以上の高温でも、陽極酸化膜にクラック等が発生せず、高い耐熱性を有していることが知られている。また、基板をあらかじめ300℃以上で熱処理することによって陽極酸化膜に圧縮応力を付与することができ、さらに耐熱性を向上させ、絶縁性の長期信頼性を確保できることが知られている。この熱処理を第1化合物層14を形成のための塗布工程の後に実施することにより、第1化合物層14の脱水に必要な熱処理と、陽極酸化膜の圧縮応力化に必要な熱処理を兼ねることが可能である。
一方、熱処理温度が、温度600℃を超えると、第1化合物層14のガラス転移温度を超えるため好ましくない。
第1化合物層14は、厚さが1nm以上1μm以下であることが好ましい。第1化合物層14の厚さが1μmよりも厚くなると、熱処理時の第1化合物層14の収縮量が大きくなってクラックが発生しやすくなるため、好ましくない。
第2化合物層16は、第1の化合物層14からのアルカリ金属塩の析出を抑制するものである。第2化合物層16は、例えば、CIGSで光電変換層を形成した場合に設けられる後述のバッファ層36(図2、図3参照)と略同じ組成とすることができる。しかしながら、その作用は、全く異なるものである。第2化合物層16は、上述の機能を有するものであれば、バッファ層36と同じ組成であっても、また異なる組成であってもよい。また、膜質についても、第2化合物層16はバッファ層36と同じであっても、また異なってもよい。
第2化合物層16は、金属酸化物、金属水酸化物または金属硫化物を含むものである。具体的には、第2化合物層16は、ケイ素、カドミウム、亜鉛、インジウムおよびスズのうち少なくとも一種と、硫黄または酸素とを含む化合物からなるものである。
第2化合物層16は、より具体的には、CdS、ZnS,Zn(S,O)および/またはZn(S,O,OH)、SnS,Sn(S,O)および/またはSn(S,O,OH)、InS,In(S,O)および/またはIn(S,O,OH)等の、Cd,Zn,Sn,Inからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属硫化物を含むことが好ましい。
第2化合物層16は、厚さが1nm以上200nm以下であることが好ましい。
第2化合物層16の厚さが1nm未満では、実質的に第2化合物層16が形成されていないのと同じであり、第2化合物層16による効果が得られにくい。一方、第2化合物層16の厚さが200nmを超えると、第2化合物層16にクラックが入りやすくなる場合があり、剥離が発生することがある。第2化合物層16にクラックが入らない場合に、第2化合物層16の厚さが200nmを超えても第2化合物層16による効果に差がなくなり、逆に生産性が低下する。
本発明では、図1(a)に示す半導体素子用基板10に限定されるものではない。例えば、図1(b)に示す半導体素子用基板10a(以下、単に基板10aともいう)のように、基材12の表面12aに第1化合物層18を設ける構成でもよい。この場合、半導体素子は第1化合物層18の表面18a上に形成される。第1化合物層18は、第1化合物層14と同じ構成であるため、その詳細な説明は省略する。また、図1(b)に示す基板10aにおいて、図1(a)に示す基板10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
基板10bにおいて、基材12の各面に同じ構成の第1化合物層14と第1化合物層18とを形成することにより、基板10aの対称性が高くなり、加熱された場合等で基板10aの反りの発生が抑制される。
更には、図1(c)に示す半導体素子用基板10b(以下、単に基板10bともいう)のように、基材12の表面12aと裏面12bとにそれぞれ絶縁層13を配置し、各絶縁層13において基材12とは反対側の面13aに、第1化合物層14、第1化合物層18を設ける構成でもよい。この場合も、半導体素子は第1化合物層18の表面18a上に形成される。
なお、図1(c)に示す基板10bにおいて、図1(a)に示す基板10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図1(c)に示す基板10bでは、基材12とその両面に配置される絶縁層18とで基体20が構成される。絶縁層13は、特に限定されるものではなく、例えば、酸化物または窒化物等の絶縁体で構成される。
基板10bで、基材12に上記Al/金属/Alを用いた場合には、絶縁層13はアルミニウムの陽極酸化膜で構成される。また、基材12をアルミニウム材またはアルミニウム合金材とした場合でも、絶縁層13はアルミニウムの陽極酸化膜で構成される。ここで、アルミニウムの陽極酸化膜は、ポーラス構造であることが知られている。第1化合物層14、第1化合物層18で、陽極酸化膜のポーラスが封止される。また、第1化合物層14および第1化合物層18を設けることで、対称性が高くなり、加熱された場合等で基板10bの反りの発生が抑制される。
また、図1(c)に示す基板10bでは、基材12の表面12a側に第1化合物18を設けたが、この第1化合物層18は形成しなくともよい。この場合、絶縁層13上に半導体素子が形成される。
次に、基板10の製造方法について説明する。
基板10は、基材12の裏面12bに、第1化合物層14として、例えば、上記アルカリ金属ケイ酸塩層を形成する。そして、第1化合物層14の面14aに、第2化合物層16として、例えば、ZnS、Zn(S,O)および/またはZn(S,O,OH)を主成分とするZn化合物層を、CBD法を用いて形成する。
次に、第2化合物層16として、CBD法を用いた上記Zn化合物層の形成方法について説明する。
「CBD法」とは、一般式[M(L)i]m+⇔Mn++iL(式中、M:金属元素、L:配位子、m,n,i:正数を各々示す。)で表されるような平衡によって過飽和条件とさせることで、安定した環境で適度な速度で基板上に結晶を析出させる方法である。
次に、CBD法(化学浴析出法)に用いられる反応液の好ましい組成について説明する。
Zn源である成分(Z)として、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、クエン酸亜鉛、およびこれらの水和物からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。クエン酸亜鉛を用いる場合、クエン酸亜鉛は後記成分(C)も兼ねる。成分(Z)の濃度は特に制限されず、0.001〜0.5Mが好ましい。
S源である成分(S)として、チオ尿素を含むことが好ましい。成分(S)の濃度は特に制限されず、0.01〜1.0Mが好ましい。
pH調整剤等として機能する成分(N)としては、NH4OH等のアンモニウム塩が好適である。この成分(N)は、錯形成剤等として機能する成分でもある。成分(N)の濃度は0.001〜0.40Mが好ましい。成分(N)によってpHを調整して、金属イオンの溶解度や過飽和度を調整することができる。成分(N)の濃度が0.001〜0.40Mの範囲内であれば反応速度が速く、成膜工程の前に微粒子層形成工程を設けなくても実用的な生産速度で成膜を実施することができる。成分(N)の濃度が0.40M超では反応速度が遅くなる。成分(N)の濃度は好ましくは0.01〜0.30Mである。
反応開始前の反応液のpHは9.0〜12.5とする。
反応液の反応開始前のpHが9.0未満では、チオ尿素等の成分(S)の分解反応が進行しないか、進行しても極めてゆっくりであるため、析出反応が進行しない。チオ尿素の分解反応は下記の通りである。チオ尿素の分解反応については、Journal of the Electrochemical Society,141,205-210(1994)、およびJournal of Crystal Growth 299,136-141(2007)等に記載されている。
SC(NH22+OH-⇔SH-+CH22+H2
SH-+OH-⇔S2-+H2
反応液の反応開始前のpHが12.5超では、錯形成剤等としても機能する成分(N)が安定な溶液を作る効果が大きくなり、析出反応が進行しないか、あるいは進行しても極めて遅い進行となってしまう。
また、水酸化物イオンと錯イオンを形成しうる金属等、アルカリ性溶媒に溶解しやすい金属を含む基板、例えば、可撓性基板としての適用が可能な、Alを主成分とするAl基材の少なくとも一方の面側にAl23を主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、Feを主成分とするFe材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とするAl材が積層されたクラッド材の少なくとも一方の面側にAl23を主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、Feを主成分とするFe材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とするAl膜が成膜された基材の少なくとも一方の面側にAl23を主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板等の陽極酸化基板等を用いた場合にも、基板にダメージを与える恐れがない。
なお、本発明で用いる反応溶液は水系であり、反応溶液のpHは強酸条件ではない。反応溶液のpHは11.0〜12.5でもよいが、11.0未満の穏やかなpH条件でも反応を実施することができる。
反応液を弱塩基性とするために、クエン酸、酒石酸、マレイン酸等のカルボン酸、または当該カルボン酸イオンを含むことが好ましい。これらのカルボン酸またはカルボン酸イオンは、亜鉛の錯形成剤として作用するため、同じく錯形成剤として働くアンモニアの濃度を低くすることができる。すなわちクエン酸等のカルボン酸またはカルボン酸イオンを含む反応液は、より低いpHでも安定に化学浴析出反応を起こすことができる。
特に、カルボン酸であるクエン酸源の成分(C)として、クエン酸三ナトリウムおよび/またはその水和物を含むことが好ましい。成分(C)の濃度は0.001〜1Mが好ましい。成分(C)の濃度がこの範囲内であれば錯体が良好に形成され、下地を良好に被覆する膜を安定的に成膜することができる。成分(C)の濃度が1M超では、錯体が良好に形成された安定な水溶液となるが、その反面、基板上への析出反応の進行が遅くなったり、反応が全く進行しなくなったりする場合がある。成分(C)の濃度は好ましくは0.001〜0.1Mである。
なお、クエン酸三ナトリウムを含む反応液を用いると、第2化合物層16にアルカリ金属であるナトリウムを同時に添加することができ、第2化合物層の面内均一性向上の効果を得ることができる。第2化合物層16は、後述するバッファ層と同時に形成することができる。このため、バッファ層としても、面内均一性向上の効果を得ることができる。
本発明で用いる反応液では、成分(N)の濃度を0.001〜10.0Mとしており、かかる濃度であれば、成分(N)以外のpH調整剤を用いる等の特段のpH調整をしなくても、通常反応開始前の反応液のpHは9.0〜12.5の範囲内となる。
反応液の反応終了後のpHは特に制限されない。反応液の反応終了後のpHは7.5〜12.0であることが好ましい。反応液の反応終了後のpHが7.5未満では、反応が進行しない期間を含んでいたことになり、効率的な製造を考えると無意味である。また、緩衝作用のあるアンモニアが入っていた系でこれだけのpH低下があった場合には、アンモニアが加熱工程で過剰に揮発している可能性が高く、製造上の改善が必要であると考えられる。反応液の反応終了後のpHが12.0超では、チオ尿素の分解は促進されるが、亜鉛イオンの多くがアンモニウム錯体として安定になるため、析出反応の進行が著しく遅くなる場合がある。反応液の反応終了後のpHはより好ましくは9.5〜11.5である。
反応温度は60〜95℃とする。反応温度が60℃未満では反応速度が遅くなり、薄膜が成長しない、あるいは薄膜成長しても実用的な反応速度で所望の厚み、例えば、50nm以上を得るのが難しくなる。反応温度が95℃超では、反応液中で気泡等の発生が多くなり、それが膜表面に付着したりして平坦で均一な膜が成長しにくくなる。さらに、反応が開放系で実施される場合には、溶媒の蒸発等による濃度変化等が生じ、安定した薄膜析出条件を維持することが難しくなる。反応温度は好ましくは70〜90℃である。
反応時間は特に制限されない。本発明では、微粒子層を設けなくても実用的な反応速度で反応を実施することができる。反応時間は反応温度にもよるが、例えば、10〜90分間で、下地を良好に被覆し、バッファ層として充分な厚みの層を成膜することができる。
また、成膜工程後、基板の耐熱温度以下の温度で、少なくとも第2化合物層16をアニール処理する。アニール処理の方法は特に制限されるものではなく、ヒーターまたは乾燥機中でアニールしてもよく、レーザアニールまたはフラッシュランプアニール等の光アニールを用いてもよい。
なお、図1(b)に示す基板10aは、第1化合物層14、第1化合物層18を基材12の両面に形成する点以外は、図1(a)に示す基板10と同様にして製造することができる。
また、図1(c)に示す基板10bは、基体20の両面に第1化合物層14、第1化合物層18を形成する点以外は、図1(a)に示す基板10と同様にして製造することができる。絶縁層13は、例えば、基材12の両面を公知の方法で陽極酸化することにより形成することができる。
なお、第1化合物層14および第1化合物層18は、ケイ酸塩層で構成する場合、ディップコート等の手法を用いれば簡便に形成することができる。
次に、本発明の半導体素子用基板を用いた光電変換素子について説明する。
図2は、図1(c)に示す半導体素子用基板10bを用いた光電変換素子を示す模式的断面図である。
図2に示す本実施形態の光電変換素子30においては、基板10bを用いるが、これに限定されるものではなく、図1(a)に示す基板10、図1(b)に示す基板10aを用いることができることは言うまでもない。
図2に示す本実施形態の光電変換素子30は、基板10bの第1化合物層18の表面18aに形成された裏面電極32と、裏面電極32上に形成された光電変換層34と、この光電変換層34上に形成されたバッファ層36と、このバッファ層36上に形成された透明電極38と、裏面電極32上および透明電極38上に形成された上部電極40とを有する。
裏面電極32は、例えば、Mo、Cr、またはW、およびこれらを組合わせたものにより構成される。この裏面電極32は、単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。裏面電極32は、Moで構成することが好ましい。裏面電極32の膜厚は、200〜1000nm程度が好ましい
光電変換層34は、高光電変換効率が得られることから、例えば、カルコゲン化合物半導体、カルコパイライト構造の化合物半導体および欠陥スタナイト型構造の化合物半導体が用いられる。光電変換層34の膜厚は、好ましくは1.0〜3.0μmであり、1.5〜2.0μmが特に好ましい。
カルコゲン化合物(S、Se、Teを含む化合物)半導体としては、II−VI化合物:ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe等、I−III−VI2族化合物:CuInSe2、CuGaSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuInS2、CuGaSe2、Cu(In,Ga)(S,Se)2等、I−III3−VI5族化合物:Culn3Se5、CuGa3Se5、Cu(ln,Ga)3Se5等を好ましく挙げることができる。
カルコパイライト型構造および欠陥スタナイト型構造の化合物半導体としては、I−III−VI2族化合物:CuInSe2、CuGaSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuInS2、CuGaSe2、Cu(In,Ga)(S,Se)2等、I−III3−VI5族化合物:CuIn3Se5、CuGa3Se5、Cu(In,Ga)3Se5等を好ましく挙げることができる。なお、上記(In,Ga)、(S,Se)は、それぞれ(In1-xGax)、(S1-ySey)(ただし、x=0〜1、y=0〜1)を示す。
光電変換層34の形成方法は、特に制限されるものではない。例えば、Cu,In,(Ga),Sを含むCI(G)S系の光電変換層34の形成には、セレン化法および多元蒸着法等の公知の方法を用いることができる。
バッファ層36は、具体的には、CdS、ZnS,Zn(S,O)および/またはZn(S,O,OH)、SnS,Sn(S,O)および/またはSn(S,O,OH)、InS,In(S,O)および/またはIn(S,O,OH)等の、Cd,Zn,Sn,Inからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属硫化物を含むことが好ましい。バッファ層36の膜厚は、10nm〜2μmが好ましく、15〜200nmがより好ましい。
透明電極38は、光を光電変換層34に取り込むと共に、裏面電極32と対になって、光電変換層34で生成された電流が流れる電極として機能するものである。透明電極38は、公知の組成で構成することができるが、ZnO:Al等のn−ZnO等で構成することが好ましい。透明電極38の膜厚は、例えば、50nm〜2μmである。
上部電極40は、光電変換素子30がセルの場合に、光電変換層34で発生した電流を透明電極38から取り出すための電極である。このため、上部電極40は、設けられていなくてもよい。
上部電極40は、例えば、アルミニウムより構成されるものである。上部電極40は、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法等によって形成される。上部電極40のことをグリッド電極ともいう。
光電変換素子30においては、基板10bを用いることにより、第1化合物層14からのアルカリ金属塩の析出が抑制され、基板10bに形成される光電変換素子30の劣化を抑制することができる。
また、第1化合物層14は、放熱させる機能を有しており、光電変換素子30から発生する熱を外部に放熱し、光電変換素子30の耐久性を向上させることができる。
次に、光電変換素子30の製造方法について説明する。
光電変換素子30の構成は、基板10bの構成以外は、公知の光電変換素子と同様の構成である。このため、その製造方法についても、基板10b以外は、公知の光電変換素子の製造方法により製造することができる。
なお、光電変換素子30においては、基板10bの第2化合物層16と、バッファ層36とを略同じ組成とすることができる。この場合、基板10bにおいて、第2化合物層16を形成することなく、基体20に第1化合物層14、18が形成された状態で、第1化合物層18の表面18aに裏面電極32および光電変換層34を形成する。その後、例えば、CBD法において反応液に全体を浸漬させて、第1化合物層14の面14aに第2化合物層16を、光電変換層34上にバッファ層36を同一工程で同時に形成してもよい。これにより、製造工程を簡素化でき、製造時間および製造コストを低く抑えることができる。この場合、第2化合物層16とバッファ層36とは、製造条件等で必ずしも略同じ膜質にはならないが、第2化合物層16とバッファ層36とが略同じ膜質とはならなくてもよい。また、バッファ層36の組成と第2化合物層16の組成は一致しても、一致していなくてもよい。
また、図1(a)に示す基板10および図1(b)に示す基板10aにおいて、第2化合物層16以外を形成した状態で、基材12の表面12aまたは第1化合物層18の表面18aに裏面電極32および光電変換層34を形成した後、例えば、CBD法において反応液に全体を浸漬させて、第1化合物層14の面14aに第2化合物層16を、光電変換層34上にバッファ層36を同一工程で同時に形成してもよい。
次に、本発明の半導体素子用基板を用いた太陽電池について説明する。
図3は、図1(c)に示す半導体素子用基板を用いた太陽電池を示す模式的断面図である。
図3に示す本実施形態の太陽電池50おいては、基板10bを用いるが、これに限定されるものではなく、図1(a)に示す基板10、図1(b)に示す基板10aを用いることができることは言うまでもない。
図3に示す太陽電池50は、図2に示す光電変換素子30を集積したものである。太陽電池50において、図2に示す光電変換素子30と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
太陽電池50は、裏面電極32と光電変換層34とバッファ層36と透明電極38とが積層されており、裏面電極32のみを貫通する第1の開溝部P1、光電変換層34とバッファ層36とを貫通する第2の開溝部P2、および光電変換層34とバッファ層36と透明電極38とを貫通する第3の開溝部P3が形成されている。
太陽電池50では、第1の開溝部P1〜第3の開溝部P3によって、複数の光電変換素子52に分離されている。第2の開溝部62内に透明電極38が充填されることで、ある光電変換素子52の透明電極38が隣接する光電変換素子52の裏面電極32に直列接続した構造が得られる。各光電変換素子52で発生する電圧が加算されるように電気的に直列接続されており、このとき光電変換機能の有効部分は領域54である。
太陽電池50では、図3に示すD方向に電子が流れるように構成されており、裏面電極32がプラス極であり、透明電極38がマイナス極である。
なお、図3は光電変換素子52の繰返し直列接続構造をわかり易く図示したものであり、マイナス引出し電極の接続は図示したように透明電極38であってもよいし、第2の開溝部P2の下に位置する裏面電極32であってもよい。
太陽電池50においても、光電変換素子30と同様に基板10bを用いることにより、第1化合物層14からのアルカリ金属塩の析出が抑制され、基板10bに形成される光電変換素子30の劣化を抑制することができる。
また、第1化合物層14は、放熱させる機能を有しており、太陽電池50の光電変換素子52から発生する熱を外部に放熱し、太陽電池50の耐久性を向上させることができる。
なお、太陽電池50においても、基板10bの構成以外は、公知の太陽電池または太陽電池モジュールと同様の構成である。このため、その製造方法についても、公知の太陽電池または太陽電池モジュールの製造方法により製造することができる。
太陽電池50においても、図1(a)〜(c)に示す各基板10、10a、10bにおいて、第2化合物層16以外、全て形成した状態で、裏面電極32および光電変換層34を形成した後、例えば、CBD法において反応液に全体を浸漬させて、第1化合物層14の面14aに第2化合物層16を、光電変換層34上にバッファ層36を同一工程で同時に形成してもよい。この場合でも、光電変換素子30と同じく第2化合物層16は上述の機能を発揮するものであればよく、バッファ層36と第2化合物層16とは組成および膜質は一致しても、一致していなくてもよい。
図2に示す光電変換素子30、図3に示す太陽電池50において、光電変換層32をCIGSで構成した場合、裏面電極32の下にある第1化合物層18を、例えば、ソーダライムガラスで構成することにより、この第1化合物層18がアルカリ供給層として機能する。これにより、周知のように図2に示す光電変換素子30、図3に示す太陽電池50の光電変換効率を高くすることができる。
また、図1(b)に示す基板10aにおいても、基材12の表面12aに、例えば、ソーダライムガラス層を形成することにより、上述のように、図2に示す光電変換素子30、図3に示す太陽電池50の光電変換効率を高くすることができる。
なお、光電変換素子30および太陽電池50において、基板10aおよび基板10bの第1化合物層18、ならびに基材12の表面12aに形成されたソーダライムガラス層が、半導体素子用基板と裏面電極との間に形成されたアルカリ金属、ケイ素および酸素を含む第3化合物層に相当する。
本発明の半導体素子用基板は、半導体装置の基板として用いることができるものであり、上述の光電変換素子30、太陽電池50以外にも、電気エネルギーを光に変換する発光ダイオード、半導体レーザといった半導体素子、抵抗、トランジスタ、ダイオード、コイル等の電子素子を備える電子回路、およびLED、有機EL等の発光素子の基板として用いることができる。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の半導体素子用基板、光電変換素子および太陽電池について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
本実施例では、図1(a)に示す基板10のように、第1化合物層14に第2化合層16を形成した実施例1−1〜実施例2−3と、第2化合物層16を形成しない比較例1−1〜比較例1−3とを作製し、本発明の効果を確認した。
(基板の準備)
基板として3cm角の無アルカリガラス基板、ポリイミド基板、陽極酸化アルミニウム基板を準備した。
陽極酸化アルミニウム基板は、次の手法で作製したものを用いた。厚さ30μmのアルミニウム材と厚さ100μmのSUS430材からなるクラッド材を、シュウ酸電解液を用いて40Vの定電圧条件で陽極酸化し、厚さ10μmの陽極酸化アルミニウム層が表面に形成された基板を作製した。
(塗布液の準備)
本実施例では、アルカリ金属、ケイ素、酸素を含む第1化合物層14として、アルカリ金属ケイ酸塩層を用いた。
3号ケイ酸ナトリウム30gと、純水10gを混合し、アルカリ金属ケイ酸塩層用の塗布液Aを調液した。各基板上に塗布液Aをスピンコート法によって塗布し、アルカリ金属ケイ酸塩層を形成した。塗布液Aの塗布厚さは0.5μmとなるよう調整した。
(実施例1−1〜実施例1−3)
以下に示す反応液1を用いて、上述の3種の各基板に第2化合物層16を形成し、下記表1に示す実施例1−1〜実施例1−3を得た。
反応液1においては、水溶液(I)として硫酸亜鉛水溶液(0.18[M])、水溶液(II)としてチオ尿素水溶液(チオ尿素0.30[M])、水溶液(III)としてクエン酸三ナトリウム水溶液(0.18[M])、および水溶液(IV)としてアンモニア水(0.3[M])をそれぞれ調製した。次に、これらの水溶液のうち、水溶液(I)、水溶液(II)、水溶液(III)を同体積ずつ混合して、硫酸亜鉛0.06[M],チオ尿素0.10[M]、クエン酸三ナトリウム0.06[M]となる混合溶液を完成させ、この混合溶液と、0.3[M]のアンモニア水を同体積ずつ混合して反応液1を得た。
水溶液(I)〜(IV)を混合する際には、水溶液(IV)を最後に添加するようにした。透明な反応液とするには、水溶液(IV)を最後に添加することが重要である。反応液1は硫酸亜鉛0.03[M],チオ尿素0.05[M],クエン酸三ナトリウム0.03[M]およびアンモニア0.15[M]である。反応液1のpHは10.3であった。
次に、第1化合物層14としてアルカリ金属ケイ酸塩層を形成した基板の表面に、反応液1を用いたCBD法により、Zn(S,O)を主成分とする第2化合物層16を成膜した。具体的には、容器内の90℃に調温した反応液1、500mL中にアルカリ金属ケイ酸塩層を形成した基板を30分浸漬させた。その後、基板を取り出し、更に純水により表面を十分洗浄した後、これを室温乾燥させた。なお、反応液1中に基板を浸漬する工程においては、反応液1が入った容器の底面に対して基板面が垂直になるように、基板を設置した。
室温乾燥させた後、温度200℃にて1時間アニール処理を行うことにより第2化合物層16を形成した。このようにして、実施例1−1〜実施例1−3を得た。なお、実施例1−1を図4(a)に示す。
(実施例2−1〜実施例2−3)
以下に示す反応液2を用いて、上述の3種の各基板に第2化合物層16を形成し、下記表1に示す実施例2−1〜実施例2−3を得た。
反応液2として、0.16[M]硫酸亜鉛、0.60[M]チオ尿素、7.5[M]アンモニアを含む水溶液を調製した。反応液2のpHは12.2であった。
第2化合物層16の形成に際しては、具体的には、容器内の80℃に調温した反応液2、2500mL中に、第1化合物層14としてアルカリ金属ケイ酸塩層を形成した基板を45分浸漬させた。その後、基板を取り出し、更に純水により表面を十分洗浄した後、これを室温乾燥させた。
反応液2中に基板を浸漬する工程における基板の設置方法は、実施例1−1〜1−3と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
室温乾燥させた後に、200℃にて1時間アニール処理を行うことにより第2化合物層16を形成した。このようにして、実施例2−1〜実施例2−3を得た。なお、実施例2−1を図4(b)に示す。
(比較例1−1〜比較例1−3)
下記表1に示す比較例1−1〜比較例1−3は、上述の3種の各基板に塗布液Aをスピンコート法によって塗布し、アルカリ金属ケイ酸塩層を形成しただけのものである。
作製した実施例1−1〜実施例1−3および実施例2−1〜実施例2−3について、光学顕微鏡を用いて、第2化合物層の表面を観察し、初期の表面性を確認した。
また、実施例1−1〜実施例1−3および実施例2−1〜実施例2−3について、作製後、室温にて大気中10日間保管した後、光学顕微鏡を用いて、第2化合物層の表面を観察し、初期の表面性との差異から経時変化を評価した。
比較例1−1〜比較例1−3では、第2化合物層を作製していないため、光学顕微鏡を用いて、アルカリ金属ケイ酸塩層の表面を観察し、初期の表面性を確認した。
また、比較例1−1〜比較例1−3について、作製後、室温にて大気中10日間保管した後、光学顕微鏡を用いて、アルカリ金属ケイ酸塩層の表面を観察し、初期の表面性との差異から経時変化を評価した。
なお、経時変化については、10日経過後、異物の発生が確認された場合をNGとし、異物の発生が確認されなかった場合をOKとした。
実施例1−1〜実施例1−3、実施例2−1〜実施例2−3および比較例1−1〜比較例1−3の結果を、基板の種類と共に下記表1に示す。
なお、異物を電子顕微鏡で観察し、EDXによる分析の結果、Na元素が検出された。また、異物の赤外吸収スペクトルを測定した結果、炭酸ナトリウムに起因するピークを確認した。このことから、異物は炭酸ナトリウムである。
図4(a)に示すように、実施例1−1は、形成された第2化合物層が略平滑であった。図示はしていないが、他の実施例1−2、実施例1−3も実施例1−1と同様の結果が得られたことを確認している。
また、図4(b)に示すように、実施例2−1では、均一な膜が成膜されず、粒子状の析出が生じた。図示はしていないが、他の実施例2−2、実施例2−3も実施例2−1と同様の結果が得られたことを確認している。
実施例2−1〜実施例2−3は、実施例1−1〜実施例1−3と比べて光の散乱が大きく、表面性がやや低かった。放熱性の観点からは、均一な膜が成膜されている実施例1−1〜実施例1−3の方がより好ましい。
経時変化に関しては、図5(a)、(b)に示すように、実施例1−1は、大気中10日間保管した後に異物の発生が確認されず良好な結果が得られた。図示はしていないが、他の実施例1−2、実施例1−3、実施例2−1〜実施例2−3も経時変化に関し、いずれも異物の発生が確認されず、実施例1−1と同様の良好な結果が得られたことを確認している。
一方、図5(a)、(b)に示すように、比較例1−1は、大気中10日間保管した後に異物の発生が確認されており、良好な結果が得られなかった。図示はしていないが、他の比較例1−2、比較例1−3でも、いずれも異物の発生が確認されており、経時変化に関し、良好な結果が得られなかった。このように、第2化合物層を設けることによる基板の劣化の抑制の効果は明らかである。
10、10a、10b 半導体素子用基板
12 基材
13 絶縁層
14、18 第1化合物層
16 第2化合物層
20 基体
30、52 光電変換素子
32 裏面電極
34 光電変換層
36 バッファ層
38 透明電極
40 上部電極
50 太陽電池
54 領域

Claims (9)

  1. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面に形成されたアルカリ金属、ケイ素および酸素を含む第1化合物層と、
    前記第1化合物層に接して前記基材の反対側に形成された、金属酸化物、金属水酸化物または金属硫化物を含む第2化合物層とを有することを特徴とする半導体素子用基板。
  2. 前記第2化合物層は、ケイ素、カドミウム、亜鉛、インジウムおよびスズのうち少なくとも一種と、硫黄または酸素とを含む化合物からなるものである請求項1に記載の半導体素子用基板。
  3. 前記アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムのうち、少なくとも一種である請求項1または2に記載の半導体素子用基板。
  4. 前記第1化合物層は、厚さが1nm以上1μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体素子用基板。
  5. 前記第2化合物層は、厚さが1nm以上200nm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体素子用基板。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体素子用基板と、
    前記半導体素子用基板上に形成された裏面電極と、
    前記裏面電極上に形成された光電変換層とを有することを特徴とする光電変換素子。
  7. 前記半導体素子用基板と前記裏面電極との間にアルカリ金属、ケイ素および酸素を含む第3化合物層が形成されている請求項6に記載の光電変換素子。
  8. 前記光電変換層に接して、バッファ層が形成されており、
    前記バッファ層は、カドミウム、亜鉛、インジウムおよびスズのうち、少なくとも一種と、硫黄または酸素とを含む化合物からなる請求項6または7に記載の光電変換素子。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
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