JP2014231278A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Hiroshi Hata
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Abstract

【課題】タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立すること。
【解決手段】複数のコードがタイヤ周方向で併設され、タイヤ幅方向の両端が両ビード部5に至りタイヤ周方向に掛け回されて設けられトレッド部2でタイヤ幅方向に分断された分断部6Aを有する少なくとも1層のカーカス層6と、トレッド部2においてカーカス層6のタイヤ径方向外側に配置される少なくとも1層のベルト層7と、カーカス層6のタイヤ内側のタイヤ内周面に配置されたインナーライナー8とを有し、インナーライナー8は、トレッド部2であってカーカス層6の分断部6Aの少なくとも一部に重なり設けられる第一インナーライナー8Aと、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナー8Bとを有し、第一インナーライナー8Aの平均空気透過量をVx、第二インナーライナー8Bの平均空気透過量をVyとしVx<Vyの関係を満たす。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、分割カーカス構造を有する空気入りタイヤに関するものである。
従来、例えば、特許文献1では、1プライ以上のラジアルカーカス層と2層以上のゴム被覆コード交差層のベルト層とを備え、カーカス層はベルト層の配置領域内のプライに1箇所以上のコード分断部を有し、コード分断部のタイヤ軸方向合計幅はベルト最大幅の90%以下の値を有し、カーカス層の折返し部はリム径ラインから測って35mm以下の高さを有する空気入りタイヤが示されている。
また、例えば、特許文献2では、複数のコードが併設された少なくとも1層で形成されトレッド部で分断されたカーカス層と、カーカス層のタイヤ径方向外側にて複数のコードが併設された少なくとも2層で形成されて重なり合う層のコードが交差するベルト層と、カーカス層のタイヤ径方向内側のタイヤ内周面に配置されたインナーライナーとを備え、カーカス層とインナーライナーとの間にゴム層を設け、カーカス層の分断端からインナーライナーに至るゴム層の厚みDを0.5[mm]≦D≦3[mm]とする空気入りタイヤが示されている。
特開2001−187511号公報 特開2011−251646号公報
上述した特許文献1のように、カーカス層に分断部を設けることで、タイヤ重量の低減効果があり転がり抵抗を低減することが可能である。しかしながら、ベルト層下でカーカス層を除去したことで、耐空気透過性能が悪化する傾向となり、タイヤの耐久性能が悪化するおそれがある。
一方、上述した特許文献2のように、カーカス層とインナーライナーとの間にゴム層を設けることで、カーカス層の分断端が起点となるインナーライナーの耐久性能の低下を抑えることが可能である。かかる特許文献2では、インナーライナーが熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物で構成されているため、耐空気透過性能を向上することが可能であり、ゴム層を設けたとしてもタイヤ重量の増加を防ぐことが可能である。しかし、熱可塑性エラストマー組成物は、一般的な空気入りタイヤのインナーライナーのようにブチルゴムを主成分とする構成と比較して剛性が高いため、タイヤ剛性が高すぎる傾向となり、乗り心地性能が悪化するおそれがある。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、第1の発明の空気入りタイヤは、複数のコードがタイヤ周方向で併設され、タイヤ幅方向の両端が両ビード部に至りタイヤ周方向に掛け回されて設けられトレッド部でタイヤ幅方向に分断された分断部を有する少なくとも1層のカーカス層と、前記トレッド部において前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置される少なくとも1層のベルト層と、前記カーカス層のタイヤ内側のタイヤ内周面に配置されたインナーライナーと、を有する空気入りタイヤにおいて、前記インナーライナーは、前記トレッド部であって前記カーカス層の前記分断部の少なくとも一部を含み設けられる第一インナーライナーと、当該第一インナーライナーのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナーとを有し、前記第一インナーライナーの平均空気透過量をVx、前記第二インナーライナーの平均空気透過量をVyとして、Vx<Vyの関係を満たすことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、カーカス層に分断部を設けることで、タイヤ重量を低下できるため、空気入りタイヤの軽量化を図ることができる。しかも、カーカス層の分断部の少なくとも一部に重なり設けられる第一インナーライナーの平均空気透過量Vxと、第一インナーライナーのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナーの平均空気透過量Vyとを、Vx<Vyの関係としたことにより、カーカス層がない分断部における耐空気透過性能を補完し、耐久性能の低下を防ぐことができる。しかも、Vx<Vyの関係としたことにより、分断部を有さない部分では、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持することができる。この結果、タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立することができる。
また、第1の発明の空気入りタイヤは、第1の発明において、前記第一インナーライナーの平均空気透過量Vxに対する前記第二インナーライナーの平均空気透過量をVyの比Vy/Vxを、1.03以上とすることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、Vy/Vxを、1.03以上とすることで、カーカス層がない分断部における耐空気透過性能を補完して耐久性能の低下を防ぐ効果を顕著に得ることができる。
また、第3の発明の空気入りタイヤは、第1または第2の発明において、前記第一インナーライナーの空気透過係数をRx、前記第二インナーライナーの空気透過係数をRyとして、Rx<Ryの関係を満たすことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、カーカス層に分断部を設けることで、タイヤ重量を低下できるため、空気入りタイヤの軽量化を図ることができる。しかも、カーカス層の分断部の少なくとも一部に重なり設けられる第一インナーライナーの空気透過係数Rxと、第一インナーライナーのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナーの空気透過係数Ryとを、Rx<Ryの関係としたことにより、カーカス層がない分断部における耐空気透過性能を補完し、耐久性能の低下を防ぐことができる。しかも、Rx<Ryの関係としたことにより、分断部を有さない部分では、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持することができる。しかも、第一インナーライナーと第二インナーライナーとを、空気透過係数が異なる異材料としたことで、各部の剛性を乗り心地性能を維持するように材料を選択することができる。この結果、タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立することができる。
また、第4の発明の空気入りタイヤは、第3の発明において、前記第一インナーライナーの空気透過係数Rxに対する前記第二インナーライナーの空気透過係数Ryの比Ry/Rxを、1.1以上40以下とすることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、Ry/Rxを、1.1以上とすることで、カーカス層がない分断部における耐空気透過性能を補完して耐久性能の低下を防ぐ効果を顕著に得ることができる。一方、Ry/Rxが40を超えると、第一インナーライナーと第二インナーライナーとの部材物性差(剛性差)が大きくなるため、第一インナーライナーと第二インナーライナーとの接合部に応力が集中した場合クラックが発生するおそれがある。従って、Ry/Rxを、1.1以上40以下とすることが好ましい。
また、第5の発明の空気入りタイヤは、第1〜第4のいずれか一つの発明において、前記第一インナーライナーの平均厚みをGx、前記第二インナーライナーの平均厚みをGyとして、Gx≦Gyの関係を満たすことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、カーカス層に分断部を設けることで、タイヤ重量を低下できるため、空気入りタイヤの軽量化を図ることができる。しかも、カーカス層の分断部の少なくとも一部に重なり設けられる第一インナーライナーの平均厚みGxと、第一インナーライナーのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナーの平均厚みGyとを、Gx≦Gyの関係としたことにより、カーカス層がない分断部における耐空気透過性能を補完しつつ、第一インナーライナーの平均厚みGxを薄くして空気入りタイヤの軽量化を図ることができる。しかも、Gx≦Gyの関係としたことにより、分断部を有さない部分では、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持することができる。この結果、タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立することができる。
また、第6の発明の空気入りタイヤは、第5の発明において、前記第一インナーライナーの平均厚みGxに対する前記第二インナーライナーの平均厚みGyの比Gy/Gxを、1.1以上30以下とすることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、Gy/Gxを、1.1以上とすることで、第一インナーライナーによるタイヤ重量の増加を防ぐことができる。一方、Gy/Gxが30を超えると、第一インナーライナーと第二インナーライナーとの部材物性差(剛性差)が大きくなるため、第一インナーライナーと第二インナーライナーとの接合部に応力が集中した場合クラックが発生するおそれがある。従って、Gy/Gxを、1.1以上30以下とすることが好ましい。
また、第7の発明の空気入りタイヤは、第1〜第6のいずれか一つの発明において、前記第一インナーライナーが熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物で構成され、前記第二インナーライナーがブチルゴムを主成分とするゴム組成物で構成されることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、カーカス層に分断部を設けることで、タイヤ重量を低下できるため、空気入りタイヤの軽量化を図ることができる。しかも、カーカス層の分断部の少なくとも一部に重なり設けられる第一インナーライナーを比較的耐空気透過性能の高い熱可塑性エラストマー組成物とし、第一インナーライナーのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナーを低剛性のゴム組成物としたことにより、カーカス層がない分断部における耐空気透過性能を補完し、耐久性能の低下を防ぐことができる。第二インナーライナーを低剛性のゴム組成物としたことにより、分断部を有さない部分では、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持することができる。この結果、タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立することができる。
また、第8の発明の空気入りタイヤは、第1〜第7のいずれか一つの発明において、前記カーカス層は、前記分断部が前記ベルト層のタイヤ幅方向最大幅の5%以上95%以下の範囲で分断されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、分断部のタイヤ幅方向寸法を、ベルト層のタイヤ幅方向最大幅の5%以上とすることで、空気入りタイヤの軽量化の効果を顕著に得ることができる。一方、分断部のタイヤ幅方向寸法を、ベルト層のタイヤ幅方向最大幅の95%以下とすることで、耐久性能の悪化を防ぐことができる。従って、ベルト層のタイヤ幅方向最大幅の5%以上95%以下の範囲で分断部を設けることが好ましい。
また、第9の発明の空気入りタイヤは、第1〜第8のいずれか一つの発明において、前記第一インナーライナーは、前記カーカス層の前記分断部のタイヤ幅方向寸法の50%以上であり、かつ前記ベルト層のタイヤ幅方向最大幅以下の範囲に設けられていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、第一インナーライナーのタイヤ幅方向寸法を、カーカス層の分断部のタイヤ幅方向寸法の50%以上とすることで、分断部における耐空気透過性能を補完する効果を顕著に得ることができる。一方、第一インナーライナーのタイヤ幅方向寸法を、ベルト層のタイヤ幅方向最大幅以下の範囲とすることで、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持する効果を顕著に得ることができる。
また、第10の発明の空気入りタイヤは、第1〜第8のいずれか一つの発明において、前記第一インナーライナーが、前記ベルト層のタイヤ幅方向最大幅の両端部から、前記インナーライナーの法線に垂直な基準線をそれぞれ引いた、各前記基準線の間の範囲内に設けられていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、第一インナーライナーを、各基準線の間の範囲内に設けることで、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持する効果を顕著に得ることができる。
また、第11の発明の空気入りタイヤは、第1〜第10のいずれか一つの発明において、前記第一インナーライナーの端部と前記第二インナーライナーの端部とが相互にオーバーラップして接合されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、第一インナーライナーの端部と第二インナーライナーの端部とが相互にオーバーラップして接合されることで、第一インナーライナーと第二インナーライナーとの接合部の強度を向上させ、接合部における耐久性能を向上するとともに、応力が集中した場合のクラックの発生を抑制することができる。
また、第12の発明の空気入りタイヤは、第11の発明において、前記第一インナーライナーの端部と前記第二インナーライナーの端部との相互のオーバーラップ量が0.1mm以上20mm以下の範囲を満たすことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、オーバーラップ量を0.1mm以上とすることで、第一インナーライナーと第二インナーライナーとの接合部の強度を向上させ、接合部における耐久性能を向上するとともに、応力が集中した場合のクラックの発生を抑制する効果を顕著に得ることができる。一方、オーバーラップ量を20mm以下とすることで、タイヤ重量の増加を抑制することができる。従って、第一インナーライナーの端部と第二インナーライナーの端部との相互のオーバーラップ量を0.1mm以上20mm以下の範囲とすることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図3は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図4は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図5は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図6は、本発明の実施例に係る試験結果を示す図表である。 図7は、本発明の実施例に係る試験結果を示す図表である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1〜図5は、本実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
本実施形態の空気入りタイヤ1は、図1に示すようにトレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4およびビード部5とを有している。また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、インナーライナー8とを備えている。
トレッド部2は、主にゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド面21は、タイヤ周方向に沿って延在する複数(本実施形態では4本)の主溝22が設けられている。そして、トレッド面21は、これら複数の主溝22により、タイヤ周方向に沿って延在するリブ状の陸部23が複数形成されている。また、図には明示しないが、トレッド面21は、各陸部23において、主溝22に交差するラグ溝が設けられている。陸部23は、ラグ溝によってタイヤ周方向で複数に分割されている。また、ラグ溝は、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側でタイヤ幅方向外側に開口して形成されている。なお、ラグ溝は、主溝22に連通している形態、または主溝22に連通していない形態の何れであってもよい。
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出したものである。また、ビード部5は、ビードコア51とビードフィラー52とを有する。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー52は、カーカス層6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置で巻き上げられることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
カーカス層6は、本実施形態の帯材を構成するもので、各タイヤ幅方向両端部が、一対のビードコア51でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に巻き上げられてタイヤ径方向外側に延在され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6は、少なくとも1層で設けられている。カーカス層6は、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向にある角度を持って複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。カーカス層6のコードは、有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。
また、カーカス層6は、トレッド部2でタイヤ幅方向に分断された分断部6Aを備える。すなわち、本実施形態の空気入りタイヤは、カーカス層6が、トレッド部2でタイヤ幅方向に分断され、対向する各分断端6Aaが分離されている。分断部6Aは、図において、タイヤ赤道面CLを中心とした位置に設けられているが、タイヤ幅方向に偏って設けられていてもよい。このように、本実施形態の空気入りタイヤは、分割カーカス構造とされている。
ベルト層7は、少なくとも1層のベルト層からなり、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。本実施形態におけるベルト層7は、タイヤ径方向内側から2層のベルト層7A,7Bを積層した多層構造をなしている。ベルト層7A,7Bは、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20度〜30度)で複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。ベルト層7のコードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。また、重なり合うベルト層7A,7Bは、互いのコードが交差するように配置されている。
インナーライナー8は、カーカス層6のタイヤ内側のタイヤ内周面に、各タイヤ幅方向両端部が一対のビード部5に至り、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されて設けられている。インナーライナー8は、タイヤ外側への空気分子の透過を抑制するためのものである。インナーライナー8の各端部は、タイヤ内周面のビード部5の横で終端していてもよく、ビード部5の外側に巻き上げられていてもよい。
インナーライナー8は、第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとを有する。第一インナーライナー8Aは、トレッド部2であってカーカス層6の分断部6Aの少なくとも一部に重なり設けられている。第二インナーライナー8Bは、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向両側に設けられている。第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとは相互の端部が接合され、空気分子の透過を抑制する。そして、本実施形態では、第一インナーライナーの平均空気透過量をVx、前記第二インナーライナーの平均空気透過量をVyとして、Vx<Vyの関係を満たす。
このように、本実施形態の空気入りタイヤ1は、複数のコードがタイヤ周方向で併設され、タイヤ幅方向の両端が両ビード部5に至りタイヤ周方向に掛け回されて設けられトレッド部2でタイヤ幅方向に分断された分断部6Aを有する少なくとも1層のカーカス層6と、トレッド部2においてカーカス層6のタイヤ径方向外側に配置される少なくとも1層のベルト層7と、カーカス層6のタイヤ内側のタイヤ内周面に配置されたインナーライナー8と、を有しており、インナーライナー8は、トレッド部2であってカーカス層6の分断部6Aの少なくとも一部に重なり設けられる第一インナーライナー8Aと、当該第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナー8Bとを有し、第一インナーライナー8Aの平均空気透過量をVx、第二インナーライナー8Bの平均空気透過量をVyとして、Vx<Vyの関係を満たす。
なお、空気透過量とは、単位面積において単位時間当たりに透過する空気量であり(単位[10−12・cc/cm・sec・cmHg])、温度30℃でJIS K 7126−7に準拠して、プラスチック−フィルムおよびシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法により測定したものである。平均空気透過量とは、複数箇所のサンプルの空気透過量の平均値である。
この空気入りタイヤ1によれば、カーカス層6に分断部6Aを設けることで、タイヤ重量を低下できるため、空気入りタイヤ1の軽量化を図ることができる。しかも、カーカス層6の分断部6Aの少なくとも一部に重なり設けられる第一インナーライナー8Aの平均空気透過量Vxと、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナー8Bの平均空気透過量Vyとを、Vx<Vyの関係としたことにより、カーカス層6がない分断部6Aにおける耐空気透過性能を補完し、耐久性能の低下を防ぐことができる。しかも、Vx<Vyの関係としたことにより、分断部6Aを有さない部分では、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持することができる。この結果、タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、第一インナーライナー8Aの平均空気透過量Vxに対する第二インナーライナー8Bの平均空気透過量をVyの比Vy/Vxを、1.03以上とすることが好ましい。
Vy/Vxを、1.03以上とすることで、カーカス層6がない分断部6Aにおける耐空気透過性能を補完して耐久性能の低下を防ぐ効果を顕著に得ることができる。
なお、Vy/Vxが15.0を超えると、第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとの部材物性差(剛性差)が大きくなるため、第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとの接合部に応力が集中した場合クラックが発生するおそれがある。従って、Vy/Vxを、1.03以上15.0以下とすることが好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、第一インナーライナー8Aの空気透過係数をRx、第二インナーライナー8Bの空気透過係数をRyとして、Rx<Ryの関係を満たすことが好ましい。
なお、空気透過係数とは、空気透過係量をあらわす材料固有の値であり(単位[10−12・cc・cm/cm・sec・cmHg])、材料の厚さを含み、温度30℃でJIS K 7126−7に準拠して、プラスチック−フィルムおよびシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法により測定したものである。
この空気入りタイヤ1によれば、カーカス層6に分断部6Aを設けることで、タイヤ重量を低下できるため、空気入りタイヤ1の軽量化を図ることができる。しかも、カーカス層6の分断部6Aの少なくとも一部に重なり設けられる第一インナーライナー8Aの空気透過係数Rxと、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナー8Bの空気透過係数Ryとを、Rx<Ryの関係としたことにより、カーカス層6がない分断部6Aにおける耐空気透過性能を補完し、耐久性能の低下を防ぐことができる。しかも、Rx<Ryの関係としたことにより、分断部6Aを有さない部分では、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持することができる。しかも、第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとを、空気透過係数が異なる異材料としたことで、各部の剛性を乗り心地性能を維持するように材料を選択することができる。この結果、タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、第一インナーライナー8Aの空気透過係数Rxに対する第二インナーライナー8Bの空気透過係数Ryの比Ry/Rxを、1.1以上40以下とすることが好ましい。
Ry/Rxを、1.1以上とすることで、カーカス層6がない分断部6Aにおける耐空気透過性能を補完して耐久性能の低下を防ぐ効果を顕著に得ることができる。一方、Ry/Rxが40を超えると、第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとの部材物性差(剛性差)が大きくなるため、第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとの接合部に応力が集中した場合クラックが発生するおそれがある。従って、Ry/Rxを、1.1以上40以下とすることが好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、第一インナーライナー8Aの平均厚みをGx、第二インナーライナー8Bの平均厚みをGyとして、Gx≦Gyの関係を満たすことが好ましい。
なお、平均厚みとは、複数箇所のサンプルの厚みの平均値である。
この空気入りタイヤ1によれば、カーカス層6に分断部6Aを設けることで、タイヤ重量を低下できるため、空気入りタイヤ1の軽量化を図ることができる。しかも、カーカス層6の分断部6Aの少なくとも一部に重なり設けられる第一インナーライナー8Aの平均厚みGxと、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナー8Bの平均厚みGyとを、Gx≦Gyの関係としたことにより、カーカス層6がない分断部6Aにおける耐空気透過性能を補完しつつ、第一インナーライナー8Aの平均厚みGxを薄くして空気入りタイヤ1の軽量化を図ることができる。しかも、Gx≦Gyの関係としたことにより、分断部6Aを有さない部分では、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持することができる。この結果、タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、第一インナーライナー8Aの平均厚みGxに対する第二インナーライナー8Bの平均厚みGyの比Gy/Gxを、1.1以上30以下とすることが好ましい。
Gy/Gxを、1.1以上とすることで、第一インナーライナー8Aによるタイヤ重量の増加を防ぐことができる。一方、Gy/Gxが30を超えると、第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとの部材物性差(剛性差)が大きくなるため、第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとの接合部に応力が集中した場合クラックが発生するおそれがある。従って、Gy/Gxを、1.1以上30以下とすることが好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、第一インナーライナー8Aが熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物で構成され、第二インナーライナー8Bがブチルゴムを主成分とするゴム組成物で構成されることが好ましい。
ここで、本実施形態で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕、ポリエステル系樹脂〔例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリブチレンテレフタレート/テトラメチレングリコール共重合体、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂〔例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)〕、ポリビニル系樹脂〔例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば芳香族ポリイミド(PI)〕などを挙げることができる。
本実施形態で使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴムおよびその水素添加物〔例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBRおよび低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)〕、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、含ハロゲンゴム〔例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHC、CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)〕、シリコーンゴム〔例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム〕、含イオウゴム〔例えばポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕などを挙げることができる。
また、ブチルゴムを主成分とするゴム組成物は、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)が挙げられる。これらは、市販されているものを使用できる。ブチル系ゴムとしては、ハロゲン化ブチルゴムが好ましい。ハロゲン化ブチルゴムの例としては、例えば、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムが挙げられる。
この空気入りタイヤ1によれば、カーカス層6に分断部6Aを設けることで、タイヤ重量を低下できるため、空気入りタイヤ1の軽量化を図ることができる。しかも、カーカス層6の分断部6Aの少なくとも一部に重なり設けられる第一インナーライナー8Aを比較的耐空気透過性能の高い熱可塑性エラストマー組成物とし、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナー8Bを低剛性のゴム組成物としたことにより、カーカス層6がない分断部6Aにおける耐空気透過性能を補完し、耐久性能の低下を防ぐことができる。第二インナーライナー8Bを低剛性のゴム組成物としたことにより、分断部6Aを有さない部分では、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持することができる。この結果、タイヤ重量の軽量化を図り、耐久性能および乗り心地性能を両立することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図1に示すように、カーカス層6は、分断部6Aのタイヤ幅方向寸法W2が、ベルト層7のタイヤ幅方向最大幅W1の5%以上95%以下の範囲で分断されていることが好ましい。
なお、ベルト層7のタイヤ幅方向最大幅W1は、複数層のベルト層7の場合、最もタイヤ幅方向寸法の大きいベルト(本実施形態ではベルト層7A)のタイヤ幅方向寸法となる。
分断部6Aのタイヤ幅方向寸法W2を、ベルト層7のタイヤ幅方向最大幅W1の5%以上とすることで、空気入りタイヤ1の軽量化の効果を顕著に得ることができる。一方、分断部6Aのタイヤ幅方向寸法W2を、ベルト層7のタイヤ幅方向最大幅W1の95%以下とすることで、耐久性能の悪化を防ぐことができる。従って、ベルト層7のタイヤ幅方向最大幅W1の5%以上95%以下の範囲で分断部6Aを設けることが好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図1に示すように、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向寸法W3は、カーカス層6の分断部6Aのタイヤ幅方向寸法W2の50%以上であり、かつベルト層7のタイヤ幅方向最大幅W1以下の範囲に設けられていることが好ましい。
第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向寸法W3を、カーカス層6の分断部6Aのタイヤ幅方向寸法W2の50%以上とすることで、分断部6Aにおける耐空気透過性能を補完する効果を顕著に得ることができる。一方、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向寸法W3を、ベルト層7のタイヤ幅方向最大幅W1以下の範囲とすることで、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持する効果を顕著に得ることができる。なお、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向寸法W3が、カーカス層6の分断部6Aのタイヤ幅方向寸法W2よいも小さい場合、第一インナーライナー8Aの全てが分断部6Aの範囲にある。また、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向寸法W3が、カーカス層6の分断部6Aのタイヤ幅方向寸法W2よいも小さい場合、分断部6Aの範囲内で第一インナーライナー8Aの位置が分断部6Aの中央からずれていても、分断部6Aにおける耐空気透過性能を補完する効果を得ることができる。
なお、分断部6Aにおける耐空気透過性能を補完する効果をより顕著に得るうえで、第一インナーライナー8Aのタイヤ幅方向寸法W3を、カーカス層6の分断部6Aのタイヤ幅方向寸法W2の85%以上115%以下の範囲とすることが好ましく、105%以上110%以下とすることがさらに好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図2に示すように、第一インナーライナー8Aが、ベルト層7のタイヤ幅方向最大幅W1の両端部から、インナーライナー8の法線に垂直な基準線Lをそれぞれ引いた、各基準線Lの間の範囲内に設けられていることが好ましい。
第一インナーライナー8Aを、各基準線Lの間の範囲内に設けることで、剛性が高すぎる事態を防ぎ、乗り心地性能を維持する効果を顕著に得ることができる。
また、実施形態の空気入りタイヤ1では、図3〜図5に示すように、第一インナーライナー8Aの端部と第二インナーライナー8Bの端部とが相互にオーバーラップして接合されていることが好ましい。
第一インナーライナー8Aの端部と第二インナーライナー8Bの端部とのオーバーラップは、いずれがタイヤ径方向の内側や外側であってもよい。例えば、図3では、第一インナーライナー8Aが分断部6Aの範囲内に設けられ、当該第一インナーライナー8Aのタイヤ径方向外側に第二インナーライナー8Bがオーバーラップしている。また、例えば、図4では、第一インナーライナー8Aが分断部6Aの範囲を超えて設けられ、当該第一インナーライナー8Aのタイヤ径方向外側に第二インナーライナー8Bがオーバーラップしている。また、例えば、図5では、第一インナーライナー8Aが分断部6Aの範囲を超えて設けられ、当該第一インナーライナー8Aが第二インナーライナー8Bのタイヤ径方向外側にオーバーラップしている。なお、第一インナーライナー8Aの配置形態や、オーバーラップの形態は、図3〜図5に示す形態に限定されない。
この空気入りタイヤ1によれば、第一インナーライナー8Aの端部と第二インナーライナー8Bの端部とが相互にオーバーラップして接合されることで、第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとの接合部の強度を向上させ、接合部における耐久性能を向上するとともに、応力が集中した場合のクラックの発生を抑制することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図3〜図5に示すように、第一インナーライナー8Aの端部と第二インナーライナー8Bの端部との相互のオーバーラップ量rが0.1mm以上20mm以下の範囲を満たすことが好ましい。
オーバーラップ量rを0.1mm以上とすることで、第一インナーライナー8Aと第二インナーライナー8Bとの接合部の強度を向上させ、接合部における耐久性能を向上するとともに、応力が集中した場合のクラックの発生を抑制する効果を顕著に得ることができる。一方、オーバーラップ量rを20mm以下とすることで、タイヤ重量の増加を抑制することができる。従って、第一インナーライナー8Aの端部と第二インナーライナー8Bの端部との相互のオーバーラップ量rを0.1mm以上20mm以下の範囲とすることが好ましい。
なお、上述した実施形態において、カーカス層6は、図にて1層で示しているが、複数層であってもよい。この場合、図には明示しないが、分断部6Aは、少なくとも1層のカーカス層6に設けられていればよい。また、カーカス層6が1層の場合、図には明示しないが、カーカス層6自体は分断されておらず、ビード部5で折り返された端部が、トレッド部2のベルト層7のタイヤ径方向内側に延在し対向して離れている形態で分断部6Aを有する形態であってもよい。
図6および図7は、本実施例に係る試験結果を示す図表である。本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、タイヤ重量、耐久性能、および乗り心地性能に関する試験が行われた。
この試験では、タイヤサイズ235/40R18の空気入りタイヤを試験タイヤとした。
タイヤ重量の評価方法は、上記試験タイヤの重量を測定器により測定する。そして、この測定結果に基づいて、従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この指数評価は、数値が95以上で大きいほどタイヤ重量が軽く優れていることを示している。
耐久性能の評価方法は、上記試験タイヤを正規リムにリム組みし、正規内圧(240kPa)を充填して、ドラム径1707mmのドラム試験機に取り付け、時速82km/h、周囲温度38℃±3℃の条件下で正規荷重の88%から2時間ごとに13%ずつ荷重を増加し、ベルト層がセパレーションを発生するまでの時間を測定する。そして、この測定結果に基づいて、従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この指数評価は、数値が95以上で大きいほど耐久性能が優れていることを示している。
なお、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
乗り心地性能の評価方法は、上記試験タイヤ正規リムにリム組みし、正規内圧(240kPa)を充填して、試験車両(排気量2.0L国産FF乗用車)に装着し、段差10mmの凹凸を有する直進テストコースを50km/hで実車走行し、パネラー3人による乗り心地のフィーリングテストを実施する。そして、テスト結果3回の平均を、従来例を基準(100)とした指数で示した指数評価が行われる。この指数評価は、この指数が95以上で大きいほど乗り心地性能が優れていることを示している。
図6に示すように、従来例1および従来例2は、カーカス層に分断部を有しているが、第一インナーライナーおよび第二インナーライナーを有さず、インナーライナーの規定が満たされていない。なお、図6において、従来例1および従来例2の第一インナーライナーおよび第二インナーライナーは、分断部の位置と他の位置とで厚みが異なることを示している。
一方、図6および図7に示すように、実施例1〜実施例18は、カーカス層に分断部を有するとともに、第一インナーライナーおよび第二インナーライナーを有し、インナーライナーの規定が満たされている。
図6および図7の試験結果に示すように、実施例1〜実施例18の空気入りタイヤは、タイヤ重量の軽量化を図りつつ、耐久性能および乗り心地性能が両立されていることが分かる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
5 ビード部
6 カーカス層
6A 分断部
7 ベルト層
8 インナーライナー
8A 第一インナーライナー
8B 第二インナーライナー
L 基準線
r オーバーラップ量
Gx,Gy インナーライナー平均厚み
Rx,Ry インナーライナー空気透過係数
Vx,Vy インナーライナー平均空気透過量
W1 ベルト層タイヤ幅方向最大幅
W2 分断部タイヤ幅方向寸法
W3 第一インナーライナータイヤ幅方向寸法

Claims (12)

  1. 複数のコードがタイヤ周方向で併設され、タイヤ幅方向の両端が両ビード部に至りタイヤ周方向に掛け回されて設けられトレッド部でタイヤ幅方向に分断された分断部を有する少なくとも1層のカーカス層と、前記トレッド部において前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置される少なくとも1層のベルト層と、前記カーカス層のタイヤ内側のタイヤ内周面に配置されたインナーライナーと、を有する空気入りタイヤにおいて、
    前記インナーライナーは、前記トレッド部であって前記カーカス層の前記分断部の少なくとも一部を含み設けられる第一インナーライナーと、当該第一インナーライナーのタイヤ幅方向両側に設けられた第二インナーライナーとを有し、前記第一インナーライナーの平均空気透過量をVx、前記第二インナーライナーの平均空気透過量をVyとして、Vx<Vyの関係を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記第一インナーライナーの平均空気透過量Vxに対する前記第二インナーライナーの平均空気透過量をVyの比Vy/Vxを、1.03以上とすることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第一インナーライナーの空気透過係数をRx、前記第二インナーライナーの空気透過係数をRyとして、Rx<Ryの関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第一インナーライナーの空気透過係数Rxに対する前記第二インナーライナーの空気透過係数Ryの比Ry/Rxを、1.1以上40以下とすることを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記第一インナーライナーの平均厚みをGx、前記第二インナーライナーの平均厚みをGyとして、Gx≦Gyの関係を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記第一インナーライナーの平均厚みGxに対する前記第二インナーライナーの平均厚みGyの比Gy/Gxを、1.1以上30以下とすることを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記第一インナーライナーが熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物で構成され、前記第二インナーライナーがブチルゴムを主成分とするゴム組成物で構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記カーカス層は、前記分断部が前記ベルト層のタイヤ幅方向最大幅の5%以上95%以下の範囲で分断されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記第一インナーライナーは、前記カーカス層の前記分断部のタイヤ幅方向寸法の50%以上であり、かつ前記ベルト層のタイヤ幅方向最大幅以下の範囲に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記第一インナーライナーが、前記ベルト層のタイヤ幅方向最大幅の両端部から、前記インナーライナーの法線に垂直な基準線をそれぞれ引いた、各前記基準線の間の範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記第一インナーライナーの端部と前記第二インナーライナーの端部とが相互にオーバーラップして接合されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記第一インナーライナーの端部と前記第二インナーライナーの端部との相互のオーバーラップ量が0.1mm以上20mm以下の範囲を満たすことを特徴とする請求項11に記載の空気入りタイヤ。
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