JP2014201170A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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孝志 芝井
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Abstract

【課題】操縦安定性、排水性および乗り心地性を改善すること。
【解決手段】車両装着時での車両内外の向きが指定され、トレッド面に複数の主溝22が形成されることで複数の陸部23Aを備える空気入りタイヤ1において、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも1つの陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23aの少なくとも一方に対し、主溝22の延在方向に沿って凹部10が設けられ、車両最内側に近い側壁23aに設けられる凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い側壁23aに設けられる凹部10ほど体積が小さく形成され、かつタイヤ内面に設けられたインナーライナー層において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たす。
【選択図】図3

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、操縦安定性、排水性および乗り心地性を改善する空気入りタイヤに関するものである。
従来、例えば、特許文献1〜特許文献3は、トレッド面に形成した溝の溝壁に凹部を設けることで排水性(または排雪性)の向上を図る空気入りタイヤが示されている。また、従来、特許文献4は、トレッド面に形成された溝によりブロックを備え、このブロックの側壁に形成した凹部の断面積を変えることでヒールアンドトウ摩耗の抑制を図る空気入りタイヤが示されている。また、従来、特許文献5は、溝壁の中腹部に形成した凹部の体積を、溝が交差する角部から離れるに従って小さくすることで接地圧の不均一に起因する偏摩耗の抑制を図る空気入りタイヤが示されている。
特開平11−321238号公報 特開2005−324685号公報 特開2006−137239号公報 特開2004−98943号公報 特開2005−193702号公報 特開2007−253708号公報
上述した特許文献に記載の空気入りタイヤのように、溝壁(ブロックの側壁)に凹部を形成することで排水性が改善され、凹部の断面積(体積)を適宜変えることで偏摩耗が改善されることが知られている。その一方で、空気入りタイヤは、乗り心地性を改善することが望まれている。また、特許文献に記載の空気入りタイヤのように、溝壁(ブロックの側壁)に凹部を形成すると、ブロック剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。なお、特許文献6においては、操縦安定性および乗り心地性を低下させることなくロードノイズを低下させるため、ホイール表側(車両装着時タイヤ幅方向外側)に配置されるインナーライナー層の剛性を、ホイール裏側(車両装着時タイヤ幅方向内側)に配置されるインナーライナー層の剛性よりも低くすることが記載されている。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操縦安定性、排水性および乗り心地性を改善することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、第1の発明の空気入りタイヤは、車両装着時での車両内外の向きが指定され、トレッド面に複数の溝が形成されることで複数の陸部を備える空気入りタイヤにおいて、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも1つの前記陸部のタイヤ幅方向に向く複数の側壁の少なくとも1つに対し、前記溝の延在方向に沿って凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が小さく形成され、かつタイヤ内面に設けられたインナーライナー層において、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、凹部により溝の溝断面積が増加するため、溝の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することができる。しかも、車両最内側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を小さく(0を含む)形成したことにより、凹部を設けた車両外側の陸部の剛性よりも、車両内側の陸部の剛性が低くなる。車両内側の陸部は、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部により負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することができる。その反面、陸部の側壁に凹部を設けると、陸部の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤによれば、車両最内側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を小さく(0を含む)形成したことにより、凹部を設けた車両内側の陸部の剛性よりも、車両外側の陸部の剛性が高くなる。車両外側の陸部は、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部により負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることができる。
しかも、この空気入りタイヤによれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層において、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面から車両外側のインナーライナー層の剛性が、タイヤ赤道面から車両内側のインナーライナー層の剛性よりも高くなる。ここで、陸部の側壁に凹部を設けると、陸部の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤでは、インナーライナー層において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層により負荷を受けることから操縦安定性を向上することができる。
また、第2の発明の空気入りタイヤは、第1の発明において、前記陸部がタイヤ周方向に沿って延在しタイヤ幅方向に並ぶ複数の主溝と、前記主溝に交差するラグ溝とによりブロック状に形成されており、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも1つの前記陸部のタイヤ幅方向に向く前記側壁の少なくとも一方に対し、前記陸部のタイヤ周方向の両端部に開口して前記主溝の延在方向に連続して前記凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が小さく形成されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、凹部により主溝の溝断面積が増加するため、主溝の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することができる。しかも、車両最内側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を小さく(0を含む)形成したことにより、凹部を設けた車両外側の陸部の剛性よりも、車両内側の陸部の剛性が低くなる。車両内側の陸部は、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部により負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することができる。その反面、陸部の側壁に凹部を設けると、陸部の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤによれば、車両最内側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を小さく(0を含む)形成したことにより、凹部を設けた車両内側の陸部の剛性よりも、車両外側の陸部の剛性が高くなる。車両外側の陸部は、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部により負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることができる。しかも、この空気入りタイヤによれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層において、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面から車両外側のインナーライナー層の剛性が、タイヤ赤道面から車両内側のインナーライナー層の剛性よりも高くなる。ここで、陸部の側壁に凹部を設けると、陸部の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤでは、インナーライナー層において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層により負荷を受けることから操縦安定性を向上することができる。
また、第3の発明の空気入りタイヤは、第1の発明において、前記陸部がタイヤ周方向に沿って延在する主溝とタイヤ周方向に交差するラグ溝とによりブロック状に形成されており、タイヤ幅方向に並ぶ各前記陸部のうちの少なくとも1つであって当該陸部のタイヤ周方向に向く各側壁に対し、前記陸部のタイヤ幅方向の両端部に開口して前記ラグ溝の延在方向に沿って連続して前記凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が小さく形成されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、凹部によりラグ溝の溝断面積が増加するため、ラグ溝の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することができる。しかも、車両最内側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を小さく(0を含む)形成したことにより、凹部を設けた車両外側の陸部の剛性よりも、車両内側の陸部の剛性が低くなる。車両内側の陸部は、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部により負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することができる。その反面、陸部の側壁に凹部を設けると、陸部の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤによれば、車両最内側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を小さく(0を含む)形成したことにより、凹部を設けた車両内側の陸部の剛性よりも、車両外側の陸部の剛性が高くなる。車両外側の陸部は、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部により負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることができる。しかも、この空気入りタイヤによれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層において、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面から車両外側のインナーライナー層の剛性が、タイヤ赤道面から車両内側のインナーライナー層の剛性よりも高くなる。ここで、陸部の側壁に凹部を設けると、陸部の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤでは、インナーライナー層において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層により負荷を受けることから操縦安定性を向上することができる。
また、第4の発明の空気入りタイヤは、第1の発明において、前記陸部がタイヤ周方向に沿って延在する主溝とタイヤ周方向に交差するラグ溝とによりブロック状に形成されており、タイヤ幅方向に並ぶ各前記陸部のタイヤ幅方向に向く複数の側壁のうちの少なくとも2つに対し、前記陸部のタイヤ周方向の両端部に開口して前記主溝の延在方向に連続して前記凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が小さく形成され、かつタイヤ幅方向に並ぶ各前記陸部のうちの少なくとも2つであって当該陸部のタイヤ周方向に向く各側壁に対し、前記陸部のタイヤ幅方向の両端部に開口して前記ラグ溝の延在方向に沿って連続して前記凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が小さく形成されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、凹部により主溝およびラグ溝の溝断面積が増加するため、主溝およびラグ溝の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することができる。しかも、車両最内側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を小さく形成したことにより、凹部を設けた車両外側の陸部の剛性よりも、車両内側の陸部の剛性が低くなる。車両内側の陸部は、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部により負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することができる。その反面、陸部の側壁に凹部を設けると、陸部の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤによれば、車両最内側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を小さく形成したことにより、凹部を設けた車両内側の陸部の剛性よりも、車両外側の陸部の剛性が高くなる。車両外側の陸部は、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部により負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることができる。しかも、この空気入りタイヤによれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層において、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面から車両外側のインナーライナー層の剛性が、タイヤ赤道面から車両内側のインナーライナー層の剛性よりも高くなる。ここで、陸部の側壁に凹部を設けると、陸部の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤでは、インナーライナー層において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層により負荷を受けることから操縦安定性を向上することができる。
また、第5の発明の空気入りタイヤは、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記凹部が設けられた前記側壁をなす前記溝の溝底から当該凹部のタイヤ径方向中央位置までの距離D1と当該溝の溝深さDとが0.10≦D1/D≦0.60の範囲を満たすことを特徴とする。
D1/Dが0.10未満や0.60を超える場合、陸部の付け根近傍や先端近傍に凹部が設けられるため陸部の剛性差を生じさせる効果が低い。一方、D1/Dが0.10以上で0.60以下の範囲である場合、陸部の中央寄りに凹部が設けられるため陸部の剛性差を生じさせる効果が顕著に得られる。
また、第6の発明の空気入りタイヤは、第2、第4、第5のいずれか1つの発明において、前記陸部のタイヤ幅方向に向く前記側壁の少なくとも2つに設けられた前記凹部について、最も車両内側に配置される前記凹部の溝深さ方向の開口幅B1と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記主溝の溝深さDとが0.10≦B1/D≦0.35の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される前記凹部の溝深さ方向の開口幅B2と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記主溝の溝深さDとが0.05≦B2/D≦0.20の範囲を満たし、かつ最も車両内側に配置される前記凹部の最大深さA1と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記主溝の開口幅Wとが0.10≦A1/W≦0.30の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される前記凹部の最大深さA2と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記主溝の開口幅Wとが0.05≦A2/W≦0.20の範囲を満たすことを特徴とする。
最も車両内側の凹部の開口幅B1および最大深さA1と、最も車両外側の凹部の開口幅B2および最大深さA2とを上記範囲とすることにより、陸部の剛性差のバランスを保つことができ、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。
また、第7の発明の空気入りタイヤは、第3〜第5のいずれか1つの発明において、少なくとも2つの前記陸部のタイヤ周方向に向く各前記側壁に設けられた前記凹部について、最も車両内側に配置される前記凹部の溝深さ方向の開口幅B1と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記ラグ溝の溝深さDとが0.10≦B1/D≦0.35の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される前記凹部の溝深さ方向の開口幅B2と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記ラグ溝の溝深さDとが0.05≦B2/D≦0.20の範囲を満たし、かつ最も車両内側に配置される前記凹部の最大深さA1と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記ラグ溝の開口幅Wとが0.10≦A1/W≦0.30の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される前記凹部の最大深さA2と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記ラグ溝の開口幅Wとが0.05≦A2/W≦0.20の範囲を満たすことを特徴とする。
最も車両内側の凹部の開口幅B1および最大深さA1と、最も車両外側の凹部の開口幅B2および最大深さA2とを上記範囲とすることにより、陸部の剛性差のバランスを保つことができ、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。
また、第8の発明の空気入りタイヤは、第2、第4〜第6のいずれか1つの発明において、前記陸部のタイヤ幅方向に向く前記側壁の少なくとも2つに設けられた前記凹部について、最も車両外側に配置される前記凹部のタイヤ周方向での平均断面積Soutと最も車両内側に配置される前記凹部のタイヤ周方向での平均断面積Sinとが1.1≦Sin/Sout≦15の範囲を満たすことを特徴とする。
最も車両外側の凹部のタイヤ周方向での平均断面積Soutと、最も車両内側の凹部のタイヤ周方向での平均断面積Sinとの関係を上記範囲とすることにより、陸部の剛性差のバランスを保つことができ、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。
また、第9の発明の空気入りタイヤは、第3〜第5、第7のいずれか1つの発明において、少なくとも2つの前記陸部のタイヤ周方向に向く各前記側壁に設けられた前記凹部について、最も車両外側に配置される前記凹部のタイヤ周方向での平均断面積Soutと最も車両内側に配置される前記凹部のタイヤ周方向での平均断面積Sinとが1.1≦Sin/Sout≦15の範囲を満たすことを特徴とする。
最も車両外側の凹部のタイヤ周方向での平均断面積Soutと、最も車両内側の凹部のタイヤ周方向での平均断面積Sinとの関係を上記範囲とすることにより、陸部の剛性差のバランスを保つことができ、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。
また、第10の発明の空気入りタイヤは、第1の発明において、前記陸部がタイヤ周方向に沿って延在しタイヤ幅方向に並ぶ複数の主溝と、前記主溝に交差するラグ溝とによりブロック状に形成されており、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも1つの前記陸部のタイヤ幅方向に向く側壁の少なくとも一方に対し、前記主溝の延在方向に沿って複数の前記凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど総体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど総体積が小さく形成されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、凹部により主溝の溝断面積が増加するため、主溝の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することができる。しかも、車両最内側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を小さく(0を含む)形成したことにより、凹部を設けた車両外側の陸部の剛性よりも、車両内側の陸部の剛性が低くなる。車両内側の陸部は、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部により負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することができる。その反面、陸部の側壁に凹部を設けると、陸部の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤによれば、車両最内側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁に設けられる凹部ほど体積を小さく(0を含む)形成したことにより、凹部を設けた車両内側の陸部の剛性よりも、車両外側の陸部の剛性が高くなる。車両外側の陸部は、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部により負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることができる。しかも、この空気入りタイヤによれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層において、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面から車両外側のインナーライナー層の剛性が、タイヤ赤道面から車両内側のインナーライナー層の剛性よりも高くなる。ここで、陸部の側壁に凹部を設けると、陸部の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤでは、インナーライナー層において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層により負荷を受けることから操縦安定性を向上することができる。
また、第11の発明の空気入りタイヤは、第1〜第10のいずれか1つの発明において、前記インナーライナー層は、熱可塑性樹脂層を含むことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、一般的な空気入りタイヤに適用されるブチル系ゴムで形成されたインナーライナー層と比較して、厚みを薄くしても同等またはそれ以上の剛性を確保することができる。
また、第12の発明の空気入りタイヤは、第1〜第11のいずれか1つの発明において、前記インナーライナー層は、車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとの関係が1.5≦Dout/Dinの範囲を満たすことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、インナーライナー層において車両外側の平均厚みDoutが車両内側の平均厚みDinの1.5倍以上あることで、旋回時の操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。
本発明に係る空気入りタイヤは、操縦安定性、排水性および乗り心地性を改善することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図である。 図3は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図4は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図5は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図6は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図7は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す拡大斜視図である。 図8は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤの凹部を示す拡大断面図である。 図9は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤの凹部を示す拡大断面図である。 図10は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤの凹部を示す拡大断面図である。 図11は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤの凹部を示す拡大断面図である。 図12は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤの凹部を示す拡大断面図である。 図13は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤの凹部を示す拡大断面図である。 図14は、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤの凹部を示す拡大断面図である。 図15は、本発明の実施形態1の変形例に係る空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図である。 図16は、本発明の実施形態2に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図17は、本発明の実施形態2に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図18は、本発明の実施形態2に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図19は、本発明の実施形態2に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図20は、本発明の実施形態2に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す拡大斜視図である。 図21は、本発明の実施形態3に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図22は、本発明の実施形態3に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図23は、本発明の実施形態3に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図24は、本発明の実施例に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図25は、本発明の実施例に係る比較例3の空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図26は、本発明の実施例に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図27は、本発明の実施例に係る比較例6の空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。 図28は、本発明の実施例に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図29は、本発明の実施例に係る比較例9の空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図であり、図2は、本実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図である。
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
本実施形態の空気入りタイヤ1は、図1に示すようにトレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4およびビード部5とを有している。また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、ベルト補強層8と、インナーライナー層9とを備えている。
トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド面21は、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なストレート主溝である複数(本実施形態では3本)の主溝22が設けられている。そして、トレッド面21は、これら複数の主溝22により、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なリブ状の陸部23が複数形成されている。また、図2に示すように、トレッド面21は、各陸部23において、主溝22に交差するラグ溝24が設けられている。このため、ラグ溝24によって陸部23がタイヤ周方向で複数に分割されたブロック状の陸部23Aが形成されている。なお、図2は、トレッド部2を概略化したものであり、主溝22は、タイヤ周方向に沿って延在しつつ屈曲や湾曲して形成されていてもよく、ラグ溝24は、タイヤ周方向に対して傾斜して延在しつつ屈曲や湾曲して形成されていてもよい。
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出したものである。また、ビード部5は、ビードコア51とビードフィラー52とを有する。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー52は、カーカス層6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置で折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
カーカス層6は、各タイヤ幅方向端部が、一対のビードコア51でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6は、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向にある角度を持って複数並設されたカーカスコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。カーカスコードは、有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。このカーカス層6は、少なくとも1層で設けられている。
ベルト層7は、少なくとも2層のベルト71,72を積層した多層構造をなし、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト71,72は、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20度〜30度)で複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。また、重なり合うベルト71,72は、互いのコードが交差するように配置されている。
ベルト補強層8は、ベルト層7の外周であるタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に略平行(±5度)でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示せず)がコートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。図1で示すベルト補強層8は、ベルト層7のタイヤ幅方向端部を覆うように配置されている。ベルト補強層8の構成は、上記に限らず、図には明示しないが、ベルト層7全体を覆うように配置された構成、または、例えば2層の補強層を有し、タイヤ径方向内側の補強層がベルト層7よりもタイヤ幅方向で大きく形成されてベルト層7全体を覆うように配置され、タイヤ径方向外側の補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成、あるいは、例えば2層の補強層を有し、各補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成であってもよい。すなわち、ベルト補強層8は、ベルト層7の少なくともタイヤ幅方向端部に重なるものである。また、ベルト補強層8は、帯状(例えば幅10[mm])のストリップ材をタイヤ周方向に巻き付けて設けられている。
インナーライナー層9は、タイヤ内面、すなわち、カーカス層6の内周面であって、各タイヤ幅方向両端部が一対のビード部5のビードトウに至り、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されて貼り付けられている。インナーライナー層9は、タイヤ外側への空気分子の透過を抑制するためのものである。このインナーライナー層9は、一般的な空気入りタイヤに適用されるブチル系ゴムで形成されていてもよいが、熱可塑性樹脂シートで形成されていることが軽量化を図るうえで好ましい。熱可塑性樹脂シートは、熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物で構成されており、コードを有さないものである。
本実施形態で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂[例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体]、ポリエステル系樹脂[例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリブチレンテレフタレート/テトラメチレングリコール共重合体、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル]、ポリニトリル系樹脂[例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体]、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂[例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)]、ポリビニル系樹脂[例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体]、セルロース系樹脂[例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース]、フッ素系樹脂[例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)]、イミド系樹脂[例えば芳香族ポリイミド(PI)]などを挙げることができる。
本実施形態で使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴムおよびその水素添加物[例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBRおよび低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR]、オレフィン系ゴム[例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー]、含ハロゲンゴム[例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHC、CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)]、シリコーンゴム[例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム]、含イオウゴム[例えばポリスルフィドゴム]、フッ素ゴム[例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム]、熱可塑性エラストマー[例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー]などを挙げることができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1は、車両(図示せず)に装着した場合、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対する向きが指定されている。向きの指定は、図には明示しないが、例えば、サイドウォール部4に設けられた指標により示される。以下、車両に装着した場合に車両の内側に向く側を車両内側、車両の外側に向く側を車両外側という。なお、車両内側および車両外側の指定は、車両に装着した場合に限らない。例えば、リム組みした場合に、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対するリムの向きが決まっている。このため、空気入りタイヤ1は、リム組みした場合、タイヤ幅方向において、車両の内側(車両内側)および外側(車両外側)に対する向きが指定される。また、トレッド部2において、車両内側とは、車両に装着した場合にタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLよりも車両の内側の範囲を言い、車両外側とは、車両に装着した場合にタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLよりも車両の外側の範囲を言う。
[実施形態1]
図3〜図6は、本実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。本実施形態の空気入りタイヤ1は、ブロック状の陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23aに凹部10が設けられている。
図3に示す空気入りタイヤ1では、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23Aのタイヤ幅方向に向く複数の側壁(主溝22の溝壁に相当)23aのうちの1つに設けられている。この凹部10は、陸部23Aのタイヤ周方向の両端部に開口して主溝22の延在方向に沿って連続して設けられた1つの溝状に形成されている。また、凹部10は、タイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される側壁23aに設けられている。また、図には明示しないが、凹部10は、タイヤ周方向に並ぶ各陸部23Aにおいて、タイヤ幅方向の同位置の側壁23aに設けられている。なお、図3において、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23Aのタイヤ幅方向に向く複数の側壁23aのうち、車両最内側(車両内側で最もタイヤ赤道面CLから離れる側)の側壁23aに配置されている例を示しているが、車両内側に寄って配置される他の側壁23aに配置されていてもよい。すなわち、図3に示す空気入りタイヤ1は、車両最内側に近い側壁23aに設けられる凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い側壁23aに設けられる凹部10ほど体積が小さく(ここではタイヤ赤道面CLよりも車両外側の側壁23aに凹部10を設けていないので体積は0)形成されている。
また、この空気入りタイヤ1は、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たす。すなわち、インナーライナー層9は、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutが、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinよりも厚く形成されている。
この図3に示す空気入りタイヤ1によれば、凹部10により主溝22の溝断面積が増加するため、主溝22の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することが可能になる。しかも、凹部10をタイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される側壁23aに設けたことにより、凹部10を設けた車両外側の陸部23Aの剛性よりも、車両内側の陸部23Aの剛性が低くなる。車両内側の陸部23Aは、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部23Aにより負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することが可能になる。その反面、陸部23Aの側壁23aに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1によれば、凹部10をタイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される側壁23aに設けたことにより、凹部10を設けた車両内側の陸部23Aの剛性よりも、車両外側の陸部23Aの剛性が高くなる。車両外側の陸部23Aは、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部23Aにより負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることが可能になる。
しかも、この空気入りタイヤ1によれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面CLから車両外側のインナーライナー層9の剛性が、タイヤ赤道面CLから車両内側のインナーライナー層9の剛性よりも高くなる。上述したように、陸部23Aの側壁23aに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層9により負荷を受けることから操縦安定性を向上することが可能になる。
なお、インナーライナー層9の剛性を車両外側と車両内側とで変える場合、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとをインナーライナー層9の端部まで(ビードトウまで)の全てとすることが、車両旋回時にタイヤ全体で負荷を受けるうえで好ましい。ただし、これに限らず、例えば、図1に示すように、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとを、タイヤ断面高さSHを基準として設定してもよい。具体的には、タイヤ最大幅位置Pからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの1/4(1/4SH)の範囲を境にしたタイヤ径方向外側の範囲Hにおいて、Din<Doutの関係を満たすようにする。この範囲Hは、車両旋回時に特に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、例えば、図1に示すようにベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(本実施形態ではベルト72)のタイヤ幅方向端を基準として設定してもよい。具体的には、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)のタイヤ幅方向端を通過するタイヤ赤道面CLに平行な基準線Lが交差する位置において、Din<Doutの関係を満たすようにする。ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)の範囲は、車両旋回時に特に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、インナーライナー層9の厚さの変化は、タイヤ赤道面CLから漸次変化することが、局所的な剛性変化を生じさせないうえで好ましい。
図4〜図6に示す空気入りタイヤ1では、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23Aのタイヤ幅方向に向く複数の側壁23aのうちの少なくとも2つに設けられている。この凹部10は、陸部23Aのタイヤ周方向の両端部に開口して主溝22の延在方向に沿って連続して設けられた1つの溝状に形成されている。また、凹部10は、車両最内側に近い凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部10ほど体積が小さく形成されている。凹部10の体積は、凹部10のタイヤ径方向の幅や側壁23aに対する深さにより変えることができる。なお、図4において、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ異なる陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23aに配置されている例を示している。図5において、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ陸部23Aのうちの1つのタイヤ幅方向に向く両側壁23aに配置されている例を示している。図6において、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ全ての陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23aに配置されている例を示している。また、各図には明示しないが、凹部10は、タイヤ周方向に並ぶ各陸部23Aにおいて、タイヤ幅方向の同位置の側壁23aに設けられている。
また、この空気入りタイヤ1は、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たす。すなわち、インナーライナー層9は、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutが、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinよりも厚く形成されている。
この図4〜図6に示す空気入りタイヤ1によれば、凹部10により主溝22の溝断面積が増加するため、主溝22の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することが可能になる。しかも、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも2つの側壁23aに設けた凹部10を、車両最内側に近い凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部10ほど体積が小さく形成したことにより、凹部10を設けた車両外側の陸部23Aの剛性よりも、車両内側の陸部23Aの剛性が低くなる。車両内側の陸部23Aは、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部23Aにより負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することが可能になる。その反面、陸部23Aの側壁23aに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1によれば、少なくとも2つの凹部10を、車両最内側に近い凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部10ほど体積が小さく形成したことにより、凹部10を設けた車両内側の陸部23Aの剛性よりも、車両外側の陸部23Aの剛性が高くなる。車両外側の陸部23Aは、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部23Aにより負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることが可能になる。
なお、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得るには、図6に示すように、タイヤ幅方向に並ぶ全ての陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23aに凹部10が配置され、最も車両内側の凹部10の体積が最大で、車両外側に向かって漸次凹部10の体積が減少する形態が最も好ましい。この形態であれば、隣接する陸部23Aの剛性差を抑えて偏摩耗の発生を抑制することが可能になる。
しかも、この空気入りタイヤ1によれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面CLから車両外側のインナーライナー層9の剛性が、タイヤ赤道面CLから車両内側のインナーライナー層9の剛性よりも高くなる。上述したように、陸部23Aの側壁23aに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層9により負荷を受けることから操縦安定性を向上することが可能になる。
なお、インナーライナー層9の剛性を車両外側と車両内側とで変える場合、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとをインナーライナー層9の端部まで(ビードトウまで)の全てとすることが、車両旋回時にタイヤ全体で負荷を受けるうえで好ましい。ただし、これに限らず、例えば、図1に示すように、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとを、タイヤ断面高さSHを基準として設定してもよい。具体的には、タイヤ最大幅位置Pからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの1/4(1/4SH)の範囲を境にしたタイヤ径方向外側の範囲Hにおいて、Din<Doutの関係を満たすようにする。この範囲Hは、車両旋回時に特に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、例えば、図1に示すようにベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(本実施形態ではベルト72)のタイヤ幅方向端を基準として設定してもよい。具体的には、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)のタイヤ幅方向端を通過するタイヤ赤道面CLに平行な基準線Lが交差する位置において、Din<Doutの関係を満たすようにする。ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)の範囲は、車両旋回時に特に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、インナーライナー層9の厚さの変化は、タイヤ赤道面CLから漸次変化することが、局所的な剛性変化を生じさせないうえで好ましい。
図7は、本実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す拡大斜視図である。図3〜図6に示す空気入りタイヤ1は、図7に示すように、凹部10が設けられた側壁23aをなす主溝22の溝底から当該凹部10のタイヤ径方向中央位置までの距離D1と、当該主溝22の溝深さDとが、0.10≦D1/D≦0.60の範囲を満たすことが好ましい。
D1/Dが0.10未満や0.60を超える場合、陸部23Aの付け根近傍や先端近傍に凹部10が設けられるため陸部23Aの剛性差を生じさせる効果が低い。一方、D1/Dが0.10以上で0.60以下の範囲である場合、陸部23Aの中央寄りに凹部10が設けられるため陸部23Aの剛性差を生じさせる効果が顕著に得られる。
図8〜図14は、本実施形態に係る空気入りタイヤの凹部を示す拡大断面図である。凹部10の断面形状は、例えば、図8に示すように、溝底側に向かって溝幅を狭めた略台形とされている。また、凹部10の断面形状は、例えば、図9に示すように、矩形とされている。また、凹部10の断面形状は、例えば、図10に示すように、半円状とされている。また、凹部10の断面形状は、例えば、図11および図12に示すように、三角形の断面形状とされており、三角形状が、凹部10の開口部側を底辺とした二等辺三角形状(図11)であってもよく、凹部10の開口部側を底辺とし、頂点を主溝22の溝底側に向けた三角形状(図12)、または凹部10の開口部側を上辺とし、頂点を主溝22の溝底側に向けた三角形状(図示せず)であってもよい。また、凹部10の断面形状は、例えば、図13および図14に示すように、凹部10の最も凹んだ部分に凸部10aを有する断面形状であってもよい。このとき、凸部10aが凹部10の開口部から陸部23Aの側壁23a側に突出しない。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1は、図7〜図14に示すように、最も車両内側に配置される凹部10の開口幅B1と、当該凹部10が設けられる側壁23aをなす主溝22の溝深さDとが、0.10≦B1/D≦0.35の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される凹部10の開口幅B2と当該凹部10が設けられる側壁23aをなす主溝22の溝深さDとが0.05≦B2/D≦0.20の範囲を満たし、かつ最も車両内側に配置される凹部10の最大深さA1と当該凹部10が設けられる側壁23aをなす主溝22の開口幅Wとが0.10≦A1/W≦0.30の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される凹部10の最大深さA2と当該凹部10が設けられる側壁23aをなす主溝22の開口幅Wとが0.05≦A2/W≦0.20の範囲を満たすことが好ましい。なお、凹部10がタイヤ幅方向最外側(車両最内側や車両最外側)の側壁23aに配置される場合、その側壁23aをなす主溝22として、タイヤ幅方向最外側(車両最内側や車両最外側)の主溝22を対象とする。
最も車両内側の凹部10の開口幅B1および深さA1と、最も車両外側の凹部10の開口幅B2および深さA2とを上記範囲とすることにより、陸部23Aの剛性差のバランスを保つことができ、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得ることが可能になる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1は、最も車両外側に配置される凹部10のタイヤ周方向での平均断面積Soutと、最も車両内側に配置される凹部10のタイヤ周方向での平均断面積Sinとが、1.1≦Sin/Sout≦15の範囲を満たすことが好ましい。
最も車両外側の凹部10のタイヤ周方向での平均断面積Soutと、最も車両内側の凹部10のタイヤ周方向での平均断面積Sinとの関係を上記範囲とすることにより、陸部23Aの剛性差のバランスを保つことができ、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得ることが可能になる。
図15は、本実施形態の変形例に係る空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図である。上述した実施形態では、主溝22とラグ溝24とによりブロック状の陸部23Aをトレッド部2に形成した空気入りタイヤ1について説明した。この変形例として、図15に示すように、ラグ溝24を設けず(またはラグ溝24の一端が主溝22に開口せず)、主溝22によりリブ状の陸部23をトレッド部2に形成した空気入りタイヤ1において、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23のタイヤ幅方向に向く複数の側壁23aのうちの少なくとも1つに対し、主溝22の延在方向に沿って複数の凹部10(図示せず)が設けられていてもよい。
そして、図3〜図6を参照するように、車両最内側に近い側壁23aに設けられる凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い側壁23aに設けられる凹部10ほど体積が小さく(タイヤ赤道面CLよりも車両外側の側壁23aに凹部10を設けていない場合の体積は0)形成されている。
また、この空気入りタイヤ1は、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たす。すなわち、インナーライナー層9は、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutが、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinよりも厚く形成されている。
この図15に示す空気入りタイヤ1によれば、凹部10により主溝22の溝断面積が増加するため、主溝22の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することが可能になる。しかも、凹部10をタイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される側壁23aに設けたり、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも2つの側壁23aに設けた凹部10を、車両最内側に近い凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部10ほど体積が小さく形成したりすることにより、凹部10を設けた車両外側の陸部23の剛性よりも、車両内側の陸部23の剛性が低くなる。車両内側の陸部23は、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部23により負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することが可能になる。その反面、陸部23の側壁23aに凹部を設けると、陸部23の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1によれば、1つの凹部10をタイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される側壁23aに設けたり、少なくとも2つの凹部10を、車両最内側に近い凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部10ほど体積が小さく形成したりすることにより、凹部10を設けた車両内側の陸部23の剛性よりも、車両外側の陸部23の剛性が高くなる。車両外側の陸部23は、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部23により負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることが可能になる。
しかも、この空気入りタイヤ1によれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面CLから車両外側のインナーライナー層9の剛性が、タイヤ赤道面CLから車両内側のインナーライナー層9の剛性よりも高くなる。上述したように、陸部23の側壁23aに凹部を設けると、陸部23の剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層9により負荷を受けることから操縦安定性を向上することが可能になる。
なお、インナーライナー層9の剛性を車両外側と車両内側とで変える場合、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとをインナーライナー層9の端部まで(ビードトウまで)の全てとすることが、車両旋回時にタイヤ全体で負荷を受けるうえで好ましい。ただし、これに限らず、例えば、図1に示すように、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとを、タイヤ断面高さSHを基準として設定してもよい。具体的には、タイヤ最大幅位置Pからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの1/4(1/4SH)の範囲を境にしたタイヤ径方向外側の範囲Hにおいて、Din<Doutの関係を満たすようにする。この範囲Hは、車両旋回時に特に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、例えば、図1に示すようにベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(本実施形態ではベルト72)のタイヤ幅方向端を基準として設定してもよい。具体的には、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)のタイヤ幅方向端を通過するタイヤ赤道面CLに平行な基準線Lが交差する位置において、Din<Doutの関係を満たすようにする。ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)の範囲は、車両旋回時に顕著に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、インナーライナー層9の厚さの変化は、タイヤ赤道面CLから漸次変化することが、局所的な剛性変化を生じさせないうえで好ましい。
また、上述した本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、上述した熱可塑性樹脂層を含むことが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、一般的な空気入りタイヤに適用されるブチル系ゴムで形成されたインナーライナー層と比較して、厚みを薄くしても同等またはそれ以上の剛性を確保することができる。
また、上述した本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとの関係が1.5≦Dout/Dinの範囲を満たすことが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、インナーライナー層9において車両外側の平均厚みDoutが車両内側の平均厚みDinの1.5倍以上あることで、旋回時の操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。なお、インナーライナー層9は、車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとの関係が2.0≦Dout/Dinの範囲を満たすことが、旋回時の操縦安定性の向上効果をより顕著に得るうえで好ましい。
また、上述した本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、上述した熱可塑性樹脂層を含み、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとの上記関係が、0.05mm≦Dout−Dinの範囲を満たすことが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、一般的な空気入りタイヤに適用されるブチル系ゴムで形成されたインナーライナー層と比較して、高い剛性を有するため、0.05mm≦Dout−Dinの範囲で操縦安定性を向上する効果を得ることができる。
[実施形態2]
図16〜図19は、本実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。本実施形態の空気入りタイヤ1は、ブロック状の陸部23Aのタイヤ周方向に向く側壁23bに凹部11が設けられている。
図16に示す空気入りタイヤ1では、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23Aのうちの1つであって当該陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁(ラグ溝24の溝壁に相当)23bに設けられている。この凹部11は、陸部23Aのタイヤ幅方向の両端部に開口してラグ溝24の延在方向に沿って連続して設けられた1つの溝状に形成されている。1つの陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁23bに設けられた各凹部11は、相互の体積が等しく形成されている。また、凹部11は、タイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される陸部23Aの側壁23bに設けられている。また、図には明示しないが、凹部11は、タイヤ周方向に並ぶ各陸部23Aの側壁23bに設けられている。なお、図16において、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23Aのうち、車両最内側(車両内側で最もタイヤ赤道面CLから離れる側)の陸部23Aの側壁23bに配置されている例を示しているが、車両内側に寄って配置される他の陸部23Aの側壁23bに設けてもよい。すなわち、図16に示す空気入りタイヤ1は、車両最内側に近い側壁23bに設けられる凹部11ほど体積が大きく、車両最外側に近い側壁23bに設けられる凹部11ほど体積が小さく(ここではタイヤ赤道面CLよりも車両外側の側壁23bに凹部11を設けていないので体積は0)形成されている。
また、この空気入りタイヤ1は、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たす。すなわち、インナーライナー層9は、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutが、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinよりも厚く形成されている。
この図16に示す空気入りタイヤ1によれば、凹部11によりラグ溝24の溝断面積が増加するため、ラグ溝24の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することが可能になる。しかも、凹部11をタイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される陸部23Aの側壁23bに設けたことにより、凹部11を設けた車両外側の陸部23Aの剛性よりも、車両内側の陸部23Aの剛性が低くなる。車両内側の陸部23Aは、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部23Aにより負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することが可能になる。その反面、陸部23Aの側壁23bに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1によれば、凹部11をタイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される陸部23Aの側壁23bに設けたことにより、凹部11を設けた車両内側の陸部23Aの剛性よりも、車両外側の陸部23Aの剛性が高くなる。車両外側の陸部23Aは、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部23Aにより負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることが可能になる。
しかも、この空気入りタイヤ1によれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面CLから車両外側のインナーライナー層9の剛性が、タイヤ赤道面CLから車両内側のインナーライナー層9の剛性よりも高くなる。上述したように、陸部23Aの側壁23bに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層9により負荷を受けることから操縦安定性を向上することが可能になる。
なお、インナーライナー層9の剛性を車両外側と車両内側とで変える場合、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとをインナーライナー層9の端部まで(ビードトウまで)の全てとすることが、車両旋回時にタイヤ全体で負荷を受けるうえで好ましい。ただし、これに限らず、例えば、図1に示すように、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとを、タイヤ断面高さSHを基準として設定してもよい。具体的には、タイヤ最大幅位置Pからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの1/4(1/4SH)の範囲を境にしたタイヤ径方向外側の範囲Hにおいて、Din<Doutの関係を満たすようにする。この範囲Hは、車両旋回時に特に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、例えば、図1に示すようにベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(本実施形態ではベルト72)のタイヤ幅方向端を基準として設定してもよい。具体的には、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)のタイヤ幅方向端を通過するタイヤ赤道面CLに平行な基準線Lが交差する位置において、Din<Doutの関係を満たすようにする。ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)の範囲は、車両旋回時に顕著に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、インナーライナー層9の厚さの変化は、タイヤ赤道面CLから漸次変化することが、局所的な剛性変化を生じさせないうえで好ましい。
図17〜図19に示す空気入りタイヤ1では、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも2つの陸部23Aであって当該陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁(ラグ溝24の溝壁に相当)23bに設けられている。この凹部11は、陸部23Aのタイヤ幅方向の両端部に開口してラグ溝24の延在方向に沿って連続して設けられた1つの溝状に形成されている。1つの陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁23bに設けられた各凹部11は、相互の体積が等しく形成されている。また、凹部11は、車両最内側に近い凹部11ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部11ほど体積が小さく形成されている。凹部11の体積は、凹部11のタイヤ径方向の幅や側壁23bに対する深さにより変えることができる。なお、図17において、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ異なる陸部23Aのタイヤ周方向に向く側壁23bに配置されている例を示している。図18において、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ全ての陸部23Aのタイヤ周方向に向く側壁23bに配置され、1つの陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁23bに設けられた各凹部11は、タイヤ幅方向に一定の断面積で形成されている。図19において、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ全ての陸部23Aのタイヤ周方向に向く側壁23bに配置され、1つの陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁23bに設けられた各凹部11は、車両内側から車両外側に向かって漸次断面積が減少して形成されている例を示している。また、各図には明示しないが、凹部11は、タイヤ周方向に並ぶ各陸部23Aの側壁23bに設けられている。
また、この空気入りタイヤ1は、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たす。すなわち、インナーライナー層9は、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutが、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinよりも厚く形成されている。
この図17〜図19に示す空気入りタイヤ1によれば、凹部11によりラグ溝24の溝断面積が増加するため、ラグ溝24の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することが可能になる。しかも、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも2つの陸部23Aの側壁23bに設けた凹部11を、車両最内側に近い凹部11ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部11ほど体積が小さく形成したことにより、凹部11を設けた車両外側の陸部23Aの剛性よりも、車両内側の陸部23Aの剛性が低くなる。車両内側の陸部23Aは、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部23Aにより負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することが可能になる。その反面、陸部23Aの側壁23bに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1によれば、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも2つの陸部23Aの側壁23bに設けた凹部11を、車両最内側に近い凹部11ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部11ほど体積が小さく形成したことにより、凹部11を設けた車両内側の陸部23Aの剛性よりも、車両外側の陸部23Aの剛性が高くなる。車両外側の陸部23Aは、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部23Aにより負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることが可能になる。
なお、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得るには、図19に示すように、タイヤ幅方向に並ぶ全ての陸部23Aのタイヤ周方向に向く側壁23bに凹部11が配置され、1つの陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁23bに設けられた各凹部11は、車両内側から車両外側に向かって漸次断面積が減少する形態が最も好ましい。この形態であれば、隣接する陸部23Aの剛性差を抑えて偏摩耗の発生を抑制することが可能になる。
しかも、この空気入りタイヤ1によれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面CLから車両外側のインナーライナー層9の剛性が、タイヤ赤道面CLから車両内側のインナーライナー層9の剛性よりも高くなる。上述したように、陸部23Aの側壁23bに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層9により負荷を受けることから操縦安定性を向上することが可能になる。
なお、インナーライナー層9の剛性を車両外側と車両内側とで変える場合、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとをインナーライナー層9の端部まで(ビードトウまで)の全てとすることが、車両旋回時にタイヤ全体で負荷を受けるうえで好ましい。ただし、これに限らず、例えば、図1に示すように、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとを、タイヤ断面高さSHを基準として設定してもよい。具体的には、タイヤ最大幅位置Pからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの1/4(1/4SH)の範囲を境にしたタイヤ径方向外側の範囲Hにおいて、Din<Doutの関係を満たすようにする。この範囲Hは、車両旋回時に特に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、例えば、図1に示すようにベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(本実施形態ではベルト72)のタイヤ幅方向端を基準として設定してもよい。具体的には、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)のタイヤ幅方向端を通過するタイヤ赤道面CLに平行な基準線Lが交差する位置において、Din<Doutの関係を満たすようにする。ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)の範囲は、車両旋回時に顕著に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、インナーライナー層9の厚さの変化は、タイヤ赤道面CLから漸次変化することが、局所的な剛性変化を生じさせないうえで好ましい。
図20は、本実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す拡大斜視図である。図16〜図19に示す空気入りタイヤ1は、図20に示すように、凹部11が設けられた側壁23bをなす主溝22の溝底から当該凹部11のタイヤ径方向中央位置までの距離D1(D1’)と、当該主溝22の溝深さD(D’)とが、0.10≦D1/D≦0.60の範囲を満たすことが好ましい。
D1/Dが0.10未満や0.60を超える場合、陸部23Aの付け根近傍や先端近傍に凹部11が設けられるため陸部23Aの剛性差を生じさせる効果が低い。一方、D1/Dが0.10以上で0.60以下の範囲である場合、陸部23Aの中央寄りに凹部11が設けられるため陸部23Aの剛性差を生じさせる効果が顕著に得られる。
凹部11の断面形状は、例えば、図8に示すように、溝底側に向かって溝幅を狭めた略台形とされている。また、凹部11の断面形状は、例えば、図9に示すように、矩形とされている。また、凹部11の断面形状は、例えば、図10に示すように、半円状とされている。また、凹部11の断面形状は、例えば、図11および図12に示すように、三角形の断面形状とされており、三角形状が、凹部11の開口部側を底辺とした二等辺三角形状(図11)であってもよく、凹部11の開口部側を底辺とし、頂点を主溝22の溝底側に向けた三角形状(図12)、または凹部11の開口部側を上辺とし、頂点を主溝22の溝底側に向けた三角形状(図示せず)であってもよい。また、凹部11の断面形状は、例えば、図13および図14に示すように、凹部11の最も凹んだ部分に凸部10aを有する断面形状であってもよい。このとき、凸部10aが凹部11の開口部から陸部23Aの側壁23b側に突出しない。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1は、図20、図8〜図14に示すように、最も車両内側に配置される凹部11の開口幅B1と、当該凹部11が設けられる側壁23bをなすラグ溝24の溝深さDとが、0.10≦B1/D≦0.35の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される凹部11の開口幅B2と当該凹部11が設けられる側壁23bをなすラグ溝24の溝深さDとが0.05≦B2/D≦0.20の範囲を満たし、かつ最も車両内側に配置される凹部11の最大深さA1と当該凹部11が設けられる側壁23bをなすラグ溝24の開口幅Wとが0.10≦A1/W≦0.30の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される凹部11の最大深さA2と当該凹部11が設けられる側壁23bをなすラグ溝24の開口幅Wとが0.05≦A2/W≦0.20の範囲を満たすことが好ましい。
最も車両内側の凹部11の開口幅B1および最大深さA1と、最も車両外側の凹部11の開口幅B2および最大深さA2とを上記範囲とすることにより、陸部23Aの剛性差のバランスを保つことができ、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得ることが可能になる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1は、最も車両外側に配置される凹部11のタイヤ周方向での平均断面積Soutと、最も車両内側に配置される凹部11のタイヤ周方向での平均断面積Sinとが、1.1≦Sin/Sout≦15の範囲を満たすことが好ましい。
最も車両外側の凹部11のタイヤ周方向での平均断面積Soutと、最も車両内側の凹部11のタイヤ周方向での平均断面積Sinとの関係を上記範囲とすることにより、陸部23Aの剛性差のバランスを保つことができ、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得ることが可能になる。
また、上述した本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、上述した熱可塑性樹脂層を含むことが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、一般的な空気入りタイヤに適用されるブチル系ゴムで形成されたインナーライナー層と比較して、厚みを薄くしても同等またはそれ以上の剛性を確保することができる。
また、上述した本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとの関係が1.5≦Dout/Dinの範囲を満たすことが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、インナーライナー層9において車両外側の平均厚みDoutが車両内側の平均厚みDinの1.5倍以上あることで、旋回時の操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。なお、インナーライナー層9は、車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとの関係が2.0≦Dout/Dinの範囲を満たすことが、旋回時の操縦安定性の向上効果をより顕著に得るうえで好ましい。
また、上述した本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、上述した熱可塑性樹脂層を含み、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとの上記関係が、0.05mm≦Dout−Dinの範囲を満たすことが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、一般的な空気入りタイヤに適用されるブチル系ゴムで形成されたインナーライナー層と比較して、高い剛性を有するため、0.05mm≦Dout−Dinの範囲で操縦安定性を向上する効果を得ることができる。
[実施形態3]
図21〜図23は、本実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す斜視図である。本実施形態の空気入りタイヤ1は、上述した実施形態1および実施形態2の空気入りタイヤ1の双方を含むもので、ブロック状の陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23aに凹部10が設けられ、かつブロック状の陸部23Aのタイヤ周方向に向く側壁23bに凹部11が設けられている。
図21に示す空気入りタイヤ1では、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23Aのタイヤ幅方向に向く複数の側壁(主溝22の溝壁に相当)23aのうちの1つに設けられている。この凹部10は、陸部23Aのタイヤ周方向の両端部に開口して主溝22の延在方向に沿って連続して設けられた1つの溝状に形成されている。また、凹部10は、タイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される側壁23aに設けられている。また、図には明示しないが、凹部10は、タイヤ周方向に並ぶ各陸部23Aにおいて、タイヤ幅方向の同位置の側壁23aに設けられている。なお、図21において、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23Aのタイヤ幅方向に向く複数の側壁23aのうち、車両最内側(車両内側で最もタイヤ赤道面CLから離れる側)の側壁23aに配置されている例を示しているが、車両内側に寄って配置される他の側壁23aに配置されていてもよい。すなわち、図21に示す空気入りタイヤ1は、車両最内側に近い側壁23aに設けられる凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い側壁23aに設けられる凹部10ほど体積が小さく(ここではタイヤ赤道面CLよりも車両外側の側壁23aに凹部10を設けていないので体積は0)形成されている。
さらに、図21に示す空気入りタイヤ1では、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23Aのうちの1つであって当該陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁(ラグ溝24の溝壁に相当)23bに設けられている。この凹部11は、陸部23Aのタイヤ幅方向の両端部に開口してラグ溝24の延在方向に沿って連続して設けられた1つの溝状に形成されている。1つの陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁23bに設けられた各凹部11は、相互の体積が等しく形成されている。また、凹部11は、タイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される陸部23Aの側壁23bに設けられている。また、図には明示しないが、凹部11は、タイヤ周方向に並ぶ各陸部23Aの側壁23bに設けられている。なお、図21において、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23Aのうち、車両最内側(車両内側で最もタイヤ赤道面CLから離れる側)の陸部23Aの側壁23bに配置されている例を示しているが、車両内側に寄って配置される陸部23Aの側壁23bに設けてもよい。すなわち、図21に示す空気入りタイヤ1は、車両最内側に近い側壁23b設けられる凹部11ほど体積が大きく、車両最外側に近い側壁23bに設けられる凹部11ほど体積が小さく(ここではタイヤ赤道面CLよりも車両外側の側壁23bに凹部11を設けていないので体積は0)形成されている。
また、この空気入りタイヤ1は、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たす。すなわち、インナーライナー層9は、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutが、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinよりも厚く形成されている。
この図21に示す空気入りタイヤ1によれば、凹部10および凹部11により主溝22およびラグ溝24の溝断面積が増加するため、主溝22およびラグ溝24の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することが可能になる。しかも、凹部10をタイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される陸部23Aの側壁23aに設け、かつ凹部11をタイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される陸部23Aの側壁23bに設けたことにより、凹部10および凹部11を設けた車両外側の陸部23Aの剛性よりも、車両内側の陸部23Aの剛性が低くなる。車両内側の陸部23Aは、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部23Aにより負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することが可能になる。その反面、陸部23Aの側壁23a,23bに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1によれば、また、凹部10をタイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される側壁23aに設け、かつ凹部11をタイヤ赤道面CLより車両内側に寄って配置される陸部23Aの側壁23bに設けたことにより、凹部10および凹部11を設けた車両内側の陸部23Aの剛性よりも、車両外側の陸部23Aの剛性が高くなる。車両外側の陸部23Aは、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部23Aにより負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることが可能になる。
しかも、この空気入りタイヤ1によれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面CLから車両外側のインナーライナー層9の剛性が、タイヤ赤道面CLから車両内側のインナーライナー層9の剛性よりも高くなる。上述したように、陸部23Aの側壁23a,23bに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層9により負荷を受けることから操縦安定性を向上することが可能になる。
なお、インナーライナー層9の剛性を車両外側と車両内側とで変える場合、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとをインナーライナー層9の端部まで(ビードトウまで)の全てとすることが、車両旋回時にタイヤ全体で負荷を受けるうえで好ましい。ただし、これに限らず、例えば、図1に示すように、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとを、タイヤ断面高さSHを基準として設定してもよい。具体的には、タイヤ最大幅位置Pからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの1/4(1/4SH)の範囲を境にしたタイヤ径方向外側の範囲Hにおいて、Din<Doutの関係を満たすようにする。この範囲Hは、車両旋回時に特に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、例えば、図1に示すようにベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(本実施形態ではベルト72)のタイヤ幅方向端を基準として設定してもよい。具体的には、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)のタイヤ幅方向端を通過するタイヤ赤道面CLに平行な基準線Lが交差する位置において、Din<Doutの関係を満たすようにする。ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)の範囲は、車両旋回時に顕著に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、インナーライナー層9の厚さの変化は、タイヤ赤道面CLから漸次変化することが、局所的な剛性変化を生じさせないうえで好ましい。
図22および図23に示す空気入りタイヤ1では、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ各陸部23Aのタイヤ幅方向に向く複数の側壁23aのうちの少なくとも2つに設けられている。この凹部10は、陸部23Aのタイヤ周方向の両端部に開口して主溝22の延在方向に沿って連続して設けられた1つの溝状に形成されている。また、凹部10は、車両最内側に近い凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部10ほど体積が小さく形成されている。凹部10の体積は、凹部10のタイヤ径方向の幅や側壁23aに対する深さにより変えることができる。なお、図22において、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ異なる陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23aに配置されている例を示している。図23において、凹部10は、タイヤ幅方向に並ぶ陸部23Aのうちの1つのタイヤ幅方向に向く両側壁23aに配置され、かつタイヤ幅方向に並ぶ全ての陸部23Aの側壁23aに配置されている例を示している。また、各図には明示しないが、凹部10は、タイヤ周方向に並ぶ各陸部23Aにおいて、タイヤ幅方向の同位置の側壁23aに設けられている。
さらに、図22および図23に示す空気入りタイヤ1では、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも2つの陸部23Aであって当該陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁(ラグ溝24の溝壁に相当)23bに設けられている。この凹部11は、陸部23Aのタイヤ幅方向の両端部に開口してラグ溝24の延在方向に沿って連続して設けられた1つの溝状に形成されている。1つの陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁23bに設けられた各凹部11は、相互の体積が等しく形成されている。また、凹部11は、車両最内側に近い凹部11ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部11ほど体積が小さく形成されている。凹部11の体積は、凹部11のタイヤ径方向の幅や側壁23bに対する深さにより変えることができる。なお、図22において、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ異なる陸部23Aのタイヤ周方向に向く側壁23bに配置されている例を示している。図23において、凹部11は、タイヤ幅方向に並ぶ全ての陸部23Aのタイヤ周方向に向く側壁23bに配置され、1つの陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁23bに設けられた各凹部11は、車両内側から車両外側に向かって漸次断面積が減少して形成されている例を示している。また、各図には明示しないが、凹部11は、タイヤ周方向に並ぶ各陸部23Aの側壁23bに設けられている。
また、この空気入りタイヤ1は、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たす。すなわち、インナーライナー層9は、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutが、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinよりも厚く形成されている。
この図22および図23に示す空気入りタイヤ1によれば、凹部10および凹部11により主溝22およびラグ溝24の溝断面積が増加するため、主溝22およびラグ溝24の排水性が良くなる。このため、排水性を向上することが可能になる。しかも、タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも2つの側壁23aに設けた凹部10を、車両最内側に近い側壁23aに設けられる凹部10ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁23aに設けられる凹部10ほど体積を小さく形成し、かつタイヤ幅方向に並ぶ少なくとも2つの陸部23Aの側壁23bに設けた凹部11を、車両最内側に近い側壁23bに設けられる凹部11ほど体積を大きく、車両最外側に近い側壁23bに設けられる凹部11ほど体積を小さく形成したことにより、凹部10および凹部11を設けた車両外側の陸部23Aの剛性よりも、車両内側の陸部23Aの剛性が低くなる。車両内側の陸部23Aは、車両直進時に負荷がかかり乗り心地性への寄与が高い。このため、車両直進時に剛性の低い車両内側の陸部23Aにより負荷を受け流すことから乗り心地性を向上することが可能になる。その反面、陸部23Aの側壁23a,23bに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1によれば、陸部23Aの側壁23aに設けた少なくとも2つの凹部10を、車両最内側に近い凹部10ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部10ほど体積が小さく形成し、かつタイヤ幅方向に並ぶ少なくとも2つの陸部23Aの側壁23bに設けた凹部11を、車両最内側に近い凹部11ほど体積が大きく、車両最外側に近い凹部11ほど体積が小さく形成したことにより、凹部10および凹部11を設けた車両内側の陸部23Aの剛性よりも、車両外側の陸部23Aの剛性が高くなる。車両外側の陸部23Aは、車両旋回時に車両内側よりも負荷がかかり操縦安定性への寄与が高い。このため、車両旋回時に剛性の高い車両外側の陸部23Aにより負荷を受けることから操縦安定性の悪化を抑えることが可能になる。
なお、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得るには、図23に示すように、タイヤ幅方向に並ぶ全ての陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23aに凹部10が配置され、最も車両内側の凹部10の体積が最大で、車両外側に向かって漸次凹部10の体積が減少する形態が最も好ましい。この形態であれば、隣接する陸部23Aの剛性差を抑えて偏摩耗の発生を抑制することが可能になる。さらに、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得るには、図23に示すように、タイヤ幅方向に並ぶ全ての陸部23Aのタイヤ周方向に向く側壁23bに凹部11が配置され、1つの陸部23Aのタイヤ周方向に向く各側壁23bに設けられた各凹部11は、車両内側から車両外側に向かって漸次断面積が減少する形態が最も好ましい。この形態であれば、隣接する陸部23Aの剛性差を抑えて偏摩耗の発生を抑制することが可能になる。
しかも、この空気入りタイヤ1によれば、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9において、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすため、タイヤ赤道面CLから車両外側のインナーライナー層9の剛性が、タイヤ赤道面CLから車両内側のインナーライナー層9の剛性よりも高くなる。上述したように、陸部23Aの側壁23a,2bに凹部を設けると、陸部23Aの剛性が低下するため、旋回時の操縦安定性が悪化する傾向となる。この点、この空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9において車両外側の剛性を車両内側よりも高くすることで、車両旋回時に剛性の高い車両外側のインナーライナー層9により負荷を受けることから操縦安定性を向上することが可能になる。
なお、インナーライナー層9の剛性を車両外側と車両内側とで変える場合、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとをインナーライナー層9の端部まで(ビードトウまで)の全てとすることが、車両旋回時にタイヤ全体で負荷を受けるうえで好ましい。ただし、これに限らず、例えば、図1に示すように、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとを、タイヤ断面高さSHを基準として設定してもよい。具体的には、タイヤ最大幅位置Pからタイヤ径方向外側にタイヤ断面高さSHの1/4(1/4SH)の範囲を境にしたタイヤ径方向外側の範囲Hにおいて、Din<Doutの関係を満たすようにする。この範囲Hは、車両旋回時に特に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、例えば、図1に示すようにベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(本実施形態ではベルト72)のタイヤ幅方向端を基準として設定してもよい。具体的には、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)のタイヤ幅方向端を通過するタイヤ赤道面CLに平行な基準線Lが交差する位置において、Din<Doutの関係を満たすようにする。ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト(ベルト72)の範囲は、車両旋回時に顕著に負荷を受ける範囲であるため、操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。また、インナーライナー層9の厚さの変化は、タイヤ赤道面CLから漸次変化することが、局所的な剛性変化を生じさせないうえで好ましい。
なお、実施形態の空気入りタイヤ1は、上述した実施形態1および実施形態2と同様に(図7および図20参照)、凹部10が設けられた側壁23aをなす主溝22の溝底から当該凹部10のタイヤ径方向中央位置までの距離D1と、当該主溝22の溝深さDとが、0.10≦D1/D≦0.60の範囲を満たすことが好ましい。なお、距離D1の基準は、最小値のD1/Dの場合は最もタイヤ径方向内側の凹部10であり、最大値のD1/Dの場合は最もタイヤ径方向外側の凹部10である。しかも、凹部11が設けられた側壁23bをなすラグ溝24の溝底から当該凹部11のタイヤ径方向中央位置までの距離D1(D1’)と、当該ラグ溝24の溝深さD(D’)とが、0.10≦D1/D≦0.60の範囲を満たすことが好ましい。なお、凹部11を複数設けたときの距離D1(D1’)の基準は、最小値のD1/Dの場合は最もタイヤ径方向内側の凹部11であり、最大値のD1/Dの場合は最もタイヤ径方向外側の凹部11である。
D1/Dが0.10未満や0.60を超える場合、陸部23Aの付け根近傍や先端近傍に凹部10,11が設けられるため陸部23Aの剛性差を生じさせる効果が低い。一方、D1/Dが0.10以上で0.60以下の範囲である場合、陸部23Aの中央寄りに凹部10,11が設けられるため陸部23Aの剛性差を生じさせる効果が顕著に得られる。
また、凹部10および凹部11の断面形状は、上述した実施形態1および実施形態2と同様に(図8〜図14参照)、例えば、図8に示すように、溝底側に向かって溝幅を狭めた略台形とされている。また、凹部10および凹部11の断面形状は、例えば、図9に示すように、矩形とされている。また、凹部10および凹部11の断面形状は、例えば、図10に示すように、半円状とされている。また、凹部10および凹部11の断面形状は、例えば、図11および図12に示すように、三角形の断面形状とされており、三角形状が、凹部10および凹部11の開口部側を底辺とした二等辺三角形状(図11)であってもよく、凹部10および凹部11の開口部側を底辺とし、頂点を主溝22の溝底側に向けた三角形状(図12)、または凹部10および凹部11の開口部側を上辺とし、頂点を主溝22の溝底側に向けた三角形状(図示せず)であってもよい。また、凹部10および凹部11の断面形状は、例えば、図13および図14に示すように、凹部10および凹部11の最も凹んだ部分に凸部10aを有する断面形状であってもよい。このとき、凸部10aが凹部10および凹部11の開口部から陸部23Aの側壁23a,23b側に突出しない。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1は、上述した実施形態1と同様に(図7〜図14)、陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23aに設けられた凹部10において、最も車両内側に配置される凹部10の開口幅B1と、当該凹部10が設けられる側壁23aをなす主溝22の溝深さDとが、0.10≦B1/D≦0.35の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される凹部10の開口幅B2と当該凹部10が設けられる側壁23aをなす主溝22の溝深さDとが0.05≦B2/D≦0.20の範囲を満たし、かつ最も車両内側に配置される凹部10の最大深さA1と当該凹部10が設けられる側壁23aをなす主溝22の開口幅Wとが0.10≦A1/W≦0.30の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される凹部10の最大深さA2と当該凹部10が設けられる側壁23aをなす主溝22の開口幅Wとが0.05≦A2/W≦0.20の範囲を満たすことが好ましい。なお、凹部10がタイヤ幅方向最外側(車両最内側や車両最外側)の側壁23aに配置される場合、その側壁23aをなす主溝22として、タイヤ幅方向最外側(車両最内側や車両最外側)の主溝22を対象とする。
しかも、本実施形態の空気入りタイヤ1は、上述した実施形態1と同様に(図7〜図14、図20参照)、陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23bに設けられた凹部11において、最も車両内側に配置される凹部11の開口幅B1と、当該凹部11が設けられる側壁23bをなすラグ溝24の溝深さD(D’)とが、0.10≦B1/D≦0.35の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される凹部11の開口幅B2と当該凹部11が設けられる側壁23bをなすラグ溝24の溝深さD(D’)とが0.05≦B2/D≦0.20の範囲を満たし、かつ最も車両内側に配置される凹部11の最大深さA1と当該凹部11が設けられる側壁23bをなすラグ溝24の開口幅Wとが0.10≦A1/W≦0.30の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される凹部11の最大深さA2と当該凹部11が設けられる側壁23bをなすラグ溝24の開口幅Wとが0.05≦A2/W≦0.20の範囲を満たすことが好ましい。
最も車両内側の凹部10,11の開口幅B1および深さA1と、最も車両外側の凹部10,11の開口幅B2および深さA2とを上記範囲とすることにより、陸部23Aの剛性差のバランスを保つことができ、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得ることが可能になる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1は、上述した実施形態1と同様に、陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23aに設けられた凹部10において、最も車両外側に配置される凹部10のタイヤ周方向での平均断面積Soutと、最も車両内側に配置される凹部10のタイヤ周方向での平均断面積Sinとが、1.1≦Sin/Sout≦15の範囲を満たすことが好ましい。
さらに、本実施形態の空気入りタイヤ1は、上述した実施形態2と同様に、陸部23Aのタイヤ幅方向に向く側壁23bに設けられた凹部11において、最も車両外側に配置される凹部11のタイヤ周方向での平均断面積Soutと、最も車両内側に配置される凹部11のタイヤ周方向での平均断面積Sinとが、1.1≦Sin/Sout≦15の範囲を満たすことが好ましい。
最も車両外側の凹部10,11のタイヤ周方向での平均断面積Soutと、最も車両内側の凹部10,11のタイヤ周方向での平均断面積Sinとの関係を上記範囲とすることにより、陸部23Aの剛性差のバランスを保つことができ、乗り心地性および操縦安定性の向上効果を顕著に得ることが可能になる。
また、上述した本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、上述した熱可塑性樹脂層を含むことが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、一般的な空気入りタイヤに適用されるブチル系ゴムで形成されたインナーライナー層と比較して、厚みを薄くしても同等またはそれ以上の剛性を確保することができる。
また、上述した本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとの関係が1.5≦Dout/Dinの範囲を満たすことが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、インナーライナー層9において車両外側の平均厚みDoutが車両内側の平均厚みDinの1.5倍以上あることで、旋回時の操縦安定性の向上効果を顕著に得ることができる。なお、インナーライナー層9は、車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとの関係が2.0≦Dout/Dinの範囲を満たすことが、旋回時の操縦安定性の向上効果をより顕著に得るうえで好ましい。
また、上述した本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、上述した熱可塑性樹脂層を含み、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みDoutとの上記関係が、0.05mm≦Dout−Dinの範囲を満たすことが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、一般的な空気入りタイヤに適用されるブチル系ゴムで形成されたインナーライナー層と比較して、高い剛性を有するため、0.05mm≦Dout−Dinの範囲で操縦安定性を向上する効果を得ることができる。
本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、排水性、操縦安定性および乗り心地性に関する性能試験が行われた(図24〜図29参照)。
この性能試験では、タイヤサイズ195/65R15の空気入りタイヤを、正規リムにリム組みし、正規内圧(230kPa)を充填して、試験車両(排気量2000ccの前輪駆動車)に装着した。
なお、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。
排水性の評価方法は、上記試験車両にて、水深10±1mmかつ旋回半径100mのテストコースを走行し、タイヤの最大横加速度が発生した時の試験車両の走行速度を測定する。そして、この測定結果に基づいて、従来例の空気入りタイヤを基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど排水性が優れていることを示している。
操縦安定性の評価方法は、上記試験車両にて、乾燥したテストコースを速度60km/hから120km/hで走行し、直進時における直進安定性ならびにレーンチェンジ時およびコーナリング時における旋回安定性、剛性感、操舵性の項目について、熟練のテストドライバー2名による官能評価によって行う。この官能評価は、各項目を1点〜10点の評点をつけ、熟練のテストドライバー2名の評点の平均を求め、これにより従来例の空気入りタイヤを基準(100)とした指数で示し、この指数が92よりも大きければ操縦安定性の悪化が抑えられていることを示している。
乗り心地性の評価方法では、上記試験車両にて、平坦で乾燥したテストコースを速度60km/hで走行し、走行振動について、熟練のテストドライバー1名による官能評価によって行う。この官能評価は、走行振動を5段階で評価し、3回の平均を、従来例の空気入りタイヤを基準(100)とした指数で示し、この指数が大きいほど乗り心地性が優れていることを示している。
図24は、陸部のタイヤ幅方向に向く側壁に凹部を設けた実施例である。図24において、従来例1の空気入りタイヤは、凹部を有していない。また、比較例1の空気入りタイヤは、図3の車両内側と車両外側とを逆にしたものであって実施例1〜実施例3と比較する。また、比較例2の空気入りタイヤは、凹部を有していないがインナーライナー層が規定を満たしている。また、比較例3の空気入りタイヤは、陸部のタイヤ幅方向に向く側壁に凹部を有しているが、図25に示すように、タイヤ幅方向において凹部の体積が均等であり、かつインナーライナー層が規定を満たしていないものであって実施例4〜実施例21と比較する。一方、図24において、実施例1〜実施例21の空気入りタイヤは、陸部のタイヤ幅方向に向く側壁に凹部を有してタイヤ幅方向において凹部の体積が異なり、かつインナーライナー層が規定を満たしている。
図26は、陸部のタイヤ周方向に向く側壁に凹部を設けた実施例である。図26において、従来例1の空気入りタイヤは、凹部を有していない。また、比較例4の空気入りタイヤは、図16の車両内側と車両外側とを逆にしたものであって実施例22〜実施例24と比較する。また、比較例5の空気入りタイヤは、凹部を有していないがインナーライナー層が規定を満たしている。また、比較例6の空気入りタイヤは、陸部のタイヤ周方向に向く側壁に凹部を有しているが、図27に示すように、タイヤ幅方向において凹部の体積が均等であり、かつインナーライナー層が規定を満たしていないものであって実施例25〜実施例42と比較する。一方、図26において、実施例22〜実施例42の空気入りタイヤは、陸部のタイヤ周方向に向く側壁に凹部を有してタイヤ幅方向において凹部の体積が異なり、かつインナーライナー層が規定を満たしている。
図28は、陸部のタイヤ幅方向およびタイヤ周方向に向く側壁に凹部を設けた実施例である。図28において、従来例1の空気入りタイヤは、凹部を有していない。また、比較例7の空気入りタイヤは、図21の車両内側と車両外側とを逆にしたものであって実施例43〜実施例45と比較する。また、比較例8の空気入りタイヤは、凹部を有していないがインナーライナー層が規定を満たしている。また、比較例9の空気入りタイヤは、陸部のタイヤ幅方向およびタイヤ周方向に向く側壁に凹部を有しているが、図29に示すように、タイヤ幅方向において凹部の体積が均等であり、かつインナーライナー層が規定を満たしていないものであって実施例46〜実施例60と比較する。一方、図28において、実施例43〜実施例60の空気入りタイヤは、陸部のタイヤ幅方向およびタイヤ周方向に向く側壁に凹部を有してタイヤ幅方向において凹部の体積が異なり、かつインナーライナー層が規定を満たしている。
そして、図24、図26、図28の試験結果に示すように、実施例1〜実施例60の空気入りタイヤは、操縦安定性、排水性および乗り心地性が改善されていることが分かる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
21 トレッド面
22 主溝(溝)
23 陸部(リブ状の陸部)
23A 陸部(ブロック状の陸部)
23a 側壁(タイヤ幅方向に向く側壁)
23b 側壁(タイヤ周方向に向く側壁)
24 ラグ溝(溝)
9 インナーライナー層
10 凹部
11 凹部
CL タイヤ赤道面(タイヤ赤道線)

Claims (12)

  1. 車両装着時での車両内外の向きが指定され、トレッド面に複数の溝が形成されることで複数の陸部を備える空気入りタイヤにおいて、
    タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも1つの前記陸部のタイヤ幅方向に向く複数の側壁の少なくとも1つに対し、前記溝の延在方向に沿って凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が小さく形成され、かつタイヤ内面に設けられたインナーライナー層において、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとがDin<Doutの関係を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記陸部がタイヤ周方向に沿って延在しタイヤ幅方向に並ぶ複数の主溝と、前記主溝に交差するラグ溝とによりブロック状に形成されており、
    タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも1つの前記陸部のタイヤ幅方向に向く前記側壁の少なくとも一方に対し、前記陸部のタイヤ周方向の両端部に開口して前記主溝の延在方向に連続して前記凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記陸部がタイヤ周方向に沿って延在する主溝とタイヤ周方向に交差するラグ溝とによりブロック状に形成されており、
    タイヤ幅方向に並ぶ各前記陸部のうちの少なくとも1つであって当該陸部のタイヤ周方向に向く各側壁に対し、前記陸部のタイヤ幅方向の両端部に開口して前記ラグ溝の延在方向に沿って連続して前記凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記陸部がタイヤ周方向に沿って延在する主溝とタイヤ周方向に交差するラグ溝とによりブロック状に形成されており、
    タイヤ幅方向に並ぶ各前記陸部のタイヤ幅方向に向く複数の側壁のうちの少なくとも2つに対し、前記陸部のタイヤ周方向の両端部に開口して前記主溝の延在方向に連続して前記凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が小さく形成され、
    かつタイヤ幅方向に並ぶ各前記陸部のうちの少なくとも2つであって当該陸部のタイヤ周方向に向く各側壁に対し、前記陸部のタイヤ幅方向の両端部に開口して前記ラグ溝の延在方向に沿って連続して前記凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど体積が小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記凹部が設けられた前記側壁をなす前記溝の溝底から当該凹部のタイヤ径方向中央位置までの距離D1と当該溝の溝深さDとが0.10≦D1/D≦0.60の範囲を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記陸部のタイヤ幅方向に向く前記側壁の少なくとも2つに設けられた前記凹部について、
    最も車両内側に配置される前記凹部の溝深さ方向の開口幅B1と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記主溝の溝深さDとが0.10≦B1/D≦0.35の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される前記凹部の溝深さ方向の開口幅B2と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記主溝の溝深さDとが0.05≦B2/D≦0.20の範囲を満たし、かつ最も車両内側に配置される前記凹部の最大深さA1と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記主溝の開口幅Wとが0.10≦A1/W≦0.30の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される前記凹部の最大深さA2と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記主溝の開口幅Wとが0.05≦A2/W≦0.20の範囲を満たすことを特徴とする請求項2、4、5のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 少なくとも2つの前記陸部のタイヤ周方向に向く各前記側壁に設けられた前記凹部について、
    最も車両内側に配置される前記凹部の溝深さ方向の開口幅B1と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記ラグ溝の溝深さDとが0.10≦B1/D≦0.35の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される前記凹部の溝深さ方向の開口幅B2と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記ラグ溝の溝深さDとが0.05≦B2/D≦0.20の範囲を満たし、かつ最も車両内側に配置される前記凹部の最大深さA1と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記ラグ溝の開口幅Wとが0.10≦A1/W≦0.30の範囲を満たすとともに、最も車両外側に配置される前記凹部の最大深さA2と当該凹部が設けられる前記側壁をなす前記ラグ溝の開口幅Wとが0.05≦A2/W≦0.20の範囲を満たすことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記陸部のタイヤ幅方向に向く前記側壁の少なくとも2つに設けられた前記凹部について、
    最も車両外側に配置される前記凹部のタイヤ周方向での平均断面積Soutと最も車両内側に配置される前記凹部のタイヤ周方向での平均断面積Sinとが1.1≦Sin/Sout≦15の範囲を満たすことを特徴とする請求項2、4〜6のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 少なくとも2つの前記陸部のタイヤ周方向に向く各前記側壁に設けられた前記凹部について、
    最も車両外側に配置される前記凹部のタイヤ周方向での平均断面積Soutと最も車両内側に配置される前記凹部のタイヤ周方向での平均断面積Sinとが1.1≦Sin/Sout≦15の範囲を満たすことを特徴とする請求項3〜5、7のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記陸部がタイヤ周方向に沿って延在しタイヤ幅方向に並ぶ複数の主溝と、前記主溝に交差するラグ溝とによりブロック状に形成されており、
    タイヤ幅方向に並ぶ少なくとも1つの前記陸部のタイヤ幅方向に向く側壁の少なくとも一方に対し、前記主溝の延在方向に沿って複数の前記凹部が設けられ、車両最内側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど総体積が大きく、車両最外側に近い前記側壁に設けられる前記凹部ほど総体積が小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記インナーライナー層は、熱可塑性樹脂層を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記インナーライナー層は、車両内側の平均厚みDinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みDoutとの関係が1.5≦Dout/Dinの範囲を満たすことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
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KR20190085381A (ko) * 2018-01-10 2019-07-18 넥센타이어 주식회사 타이어

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