JP2012131459A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性を向上させつつ、ロードノイズと操縦安定性とを両立すること。
【解決手段】トレッド部2にてカーカス層6のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層7と、ベルト層7のタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7の少なくとも端部に重なるベルト補強層8とを備え、車両に装着した場合に装着内側および装着外側に対する向きが指定された空気入りタイヤにおいて、トレッド部2をなすトレッドゴムのモジュラスが、装着外側Moutよりも装着内側Minが大きく形成され、かつベルト補強層8の引張剛性指数が、装着内側Ginよりも装着外側Goutが大きく形成されていること。
【選択図】図1
【解決手段】トレッド部2にてカーカス層6のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層7と、ベルト層7のタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7の少なくとも端部に重なるベルト補強層8とを備え、車両に装着した場合に装着内側および装着外側に対する向きが指定された空気入りタイヤにおいて、トレッド部2をなすトレッドゴムのモジュラスが、装着外側Moutよりも装着内側Minが大きく形成され、かつベルト補強層8の引張剛性指数が、装着内側Ginよりも装着外側Goutが大きく形成されていること。
【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りタイヤに関し、特に、耐久性を向上させつつ、ロードノイズと操縦安定性とを両立した空気入りタイヤに関するものである。
近年、車両にはアライメントが付与されており、キャンバにおいてネガティブキャンバが設定されている。そのため、空気入りタイヤを車両に装着した場合、トレッド面の車両内側で接地圧が大きくなり、高速耐久性が損なわれるおそれがある(例えば、トレッド面の装着内側における摩耗過多など)。
従来、例えば、特許文献1に記載の空気入りタイヤは、タイヤのトレッド面を構成するキャップトレッドゴムを有する空気入りタイヤであって、キャップトレッドゴムは、タイヤ装着状態にてタイヤ赤道線CLよりも装着外側の領域に、300[%]引張時のモジュラスMo(JIS−K6251)が装着内側の領域よりも低く、かつ5[MPa]≦Mo≦10[MPa]の範囲内にある低モジュラス部を有する。
上述した特許文献1に記載の空気入りタイヤを、ネガティブキャンバが設定されている車両に装着した場合、接地圧の高い装着内側が高モジュラスとなることから、高速耐久性が向上する傾向となる。しかしながら、この場合、装着内側が接地圧過多となった場合、ベルト故障によって耐久性が損なわれたり、ロードノイズが悪化したりするおそれがある。しかも、トレッド面のタイヤ幅方向において剛性差が著しい場合は、操縦安定性が低下するおそれもある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐久性を向上させつつ、ロードノイズと操縦安定性とを両立することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部にてカーカス層のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配置されて前記ベルト層の少なくとも端部に重なるベルト補強層と、を備え、車両に装着した場合に装着内側および装着外側に対する向きが指定された空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部をなすトレッドゴムのモジュラスが、装着外側Moutよりも装着内側Minが大きく形成され、かつ前記ベルト補強層の引張剛性指数が、装着内側Ginよりも装着外側Goutが大きく形成されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、ネガティブキャンバが付与された車両に装着された場合、トレッド部をなすトレッドゴムのモジュラスが、装着外側Moutよりも装着内側Minが大きく形成されていることにより、トレッド部の装着内側の接地圧が大きくても、これに耐えることができるので、高速耐久性を向上することができる。しかも、ベルト補強層の引張剛性指数が、装着内側Ginよりも装着外側Goutが大きく形成されているため、上記モジュラスの関係としたことにより生じ得る、トレッド部の装着内側の接地圧過多が抑制されるので、耐久性を向上するとともに、ロードノイズを抑制することができる。しかも、ベルト補強層の引張剛性指数が、装着内側Ginよりも装着外側Goutが大きく形成されているため、上記モジュラスの関係としたことにより生じ得る、トレッド部の装着内側の接地圧過多が抑制されるので、トレッド面のタイヤ幅方向において著しい剛性差が抑えられ、剛性差による操縦安定性の低下を抑制することができる。
また、本発明の空気入りタイヤは、前記トレッドゴムの装着内側のモジュラスMinと、装着外側のモジュラスMoutとの関係が、1.1≦Min/Mout≦2.0を満たすことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、トレッドゴムの装着内側のモジュラスMinと、装着外側のモジュラスMoutとの差が1.1倍以上であることが、耐久性を向上させつつロードノイズを抑制する効果を顕著に得ることができる。また、トレッドゴムの装着内側のモジュラスMinと、装着外側のモジュラスMoutとの差が2.0倍以下であることが、耐久性を向上させつつ操縦安定性の低下を抑制する効果を顕著に得ることができる。
また、本発明の空気入りタイヤは、前記ベルト補強層の装着外側の引張剛性指数Goutと、装着内側の引張剛性指数Ginとの関係が、1.1≦Gout/Gin≦2.0を満たすことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、ベルト補強層の装着外側の引張剛性指数Goutと、装着内側の引張剛性指数Ginとの差が1.1倍以上であることが、耐久性を向上させつつロードノイズを抑制する効果を顕著に得ることができる。また、ベルト補強層の装着外側の引張剛性指数Goutと、装着内側の引張剛性指数Ginとの差が2.0倍以下であることが、耐久性を向上させつつ操縦安定性の低下を抑制する効果を顕著に得ることができる。
また、本発明の空気入りタイヤは、前記装着外側のモジュラスMoutは、300[%]引張時において、7[MPa]≦Mout≦12[MPa]を満たすことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、トレッドゴムの装着外側のモジュラスMoutが7[MPa]以上であることが、トレッド部の装着内側の接地圧が大きくても、これに十分耐えることができる。また、トレッドゴムの装着外側のモジュラスMoutが12[MPa]以下であることが、ベルト補強層の引張剛性指数によって、トレッド部の装着内側の接地圧過多を抑える効果を顕著に得ることができる。
本発明に係る空気入りタイヤは、耐久性を向上させつつ、ロードノイズと操縦安定性とを両立することができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの一部裁断子午断面図である。
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施の形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
本実施の形態の空気入りタイヤ1は、図1に示すように、トレッド部2を有している。トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。このトレッド部2の表面は、空気入りタイヤ1を装着する車両(図示せず)が走行した際に路面と接触する面であるトレッド面21として形成されている。
トレッド面21は、複数の溝により陸部が形成されている。その一例として、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、トレッド面21は、図1に示すように、タイヤ周方向に沿って延在する複数の縦溝22が設けられている。本実施の形態における縦溝22は、トレッド面21に4本設けられた周方向主溝であり、図には明示しないが周方向主溝よりも細幅の周方向細溝を含む。そして、トレッド面21は、複数の周方向主溝22により、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なリブ状の陸部23が複数形成されている。本実施の形態における陸部23は、周方向主溝22を境にしてトレッド面21に5本設けられている。
また、トレッド面21は、図には明示しないが、各陸部23について、周方向主溝22に交差する横溝が設けられている。かかる横溝は、ラグ溝やサイプを含む。
また、本実施の形態に係る空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、ベルト補強層8とを備えている。
カーカス層6は、各タイヤ幅方向端部が、一対のビードコア(図示せず)でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6は、タイヤ周方向に対する角度が90度(±5度)でタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向に複数並設されたカーカスコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。カーカスコードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンやアラミドなど)からなる。このカーカス層6は、図1に示すように、本実施の形態では1層で設けられているが、1層以上で設けられていてもよい。
ベルト層7は、少なくとも2層のベルト71,72を積層した多層構造をなし、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト71,72は、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20度〜30度)で複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンやアラミドなど)からなる。また、重なり合うベルト71,72は、互いのコードが交差するように配置されている。
ベルト補強層8は、ベルト層7の外周であるタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト補強層8は、本実施の形態では、ベルト層7の外周を覆う態様で2層配置された補強層81,82を有する。補強層81,82は、タイヤ周方向に並行(±5度)でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示せず)がコートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンやアラミドなど)からなる。図1で示すベルト補強層8は、ベルト層7側の補強層81がベルト層7よりもタイヤ幅方向で大きく形成されてベルト層7全体を覆うように配置され、補強層81のタイヤ径方向外側の補強層82がベルト層7におけるタイヤ径方向外側のベルト72のタイヤ幅方向端部を覆うように補強層81のタイヤ幅方向端部にのみ配置されている。ベルト補強層8の構成は、上記に限らず、図には明示しないが、各補強層81,82が共にベルト層7よりもタイヤ幅方向で大きく形成されてベルト層7全体を覆うように配置された構成、または各補強層81,82が共にベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置された構成であってもよい。すなわち、ベルト補強層8は、ベルト層7におけるタイヤ径方向外側のベルト72の少なくともタイヤ幅方向端部に重なるものであればよい。また、ベルト補強層8は、補強層81,82のいずれか一つからなる構成であってもよい。なお、ベルト補強層8は、ベルト72のタイヤ幅方向端部を覆う場合、ベルト72の全タイヤ幅方向寸法に対し、タイヤ幅方向端から少なくとも5[%]以上20[%]以下の範囲で、ベルト72のタイヤ幅方向端部を覆う。なお、ベルト補強層8は、本実施の形態では、図1に示すように、そのタイヤ幅方向外側端が、タイヤ幅方向最大幅のベルト71のタイヤ幅方向端と一致して設けられているが、一致していなくてもよい。また、ベルト補強層8(補強層81,82)は、帯状(例えば幅10[mm])のストリップ材をタイヤ周方向に巻き付けて設けられている。
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、車両(図示せず)に装着した場合、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対する向きが指定されている。向きの指定は、図には明示しないが、例えば、タイヤ側面となるサイドウォール部に設けられた指標により示される。以下、車両に装着した場合に車両の内側に向く側を装着内側、車両の外側に向く側を装着外側という。なお、装着内側および装着外側の指定は、車両に装着した場合に限らない。例えば、リム組みした場合に、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対するリムの向きが決まっている。このため、空気入りタイヤ1は、リム組みした場合、タイヤ幅方向において、車両の内側(装着内側)および外側(装着外側)に対する向きが指定されていてもよい。また、図1において、タイヤ赤道面CLより右側を装着外側とし、タイヤ赤道面CLより左側を装着内側とする。
このように構成された空気入りタイヤ1において、トレッド部2をなすトレッドゴムのモジュラスが、装着外側Moutよりも装着内側Minが大きく形成され、かつ前記ベルト補強層8の引張剛性指数が、装着内側Ginよりも装着外側Goutが大きく形成されている。
ここで、トレッド部2のトレッドゴムは、図には明示しないが、トレッド面21を構成するキャップトレッドゴムと、キャップトレッドゴムのタイヤ径方向内側であってベルト補強層8側に配置されたアンダートレッドゴムとがある。そして、上述したモジュラスの関係とするにあたり、キャップトレッドゴムのみのモジュラスを装着外側と装着内側とで異ならせてもよいし、キャップトレッドゴムおよびアンダートレッドゴムのモジュラスを装着外側と装着内側とで異ならせてもよい。なお、トレッドゴムのモジュラスは、所定の伸びになるまで伸ばした応力であり、100[%]引張時や、300[%]引張時のモジュラスを含む。
また、トレッドゴムの装着外側とは、タイヤ赤道面CLよりも装着外側のトレッドゴムを言う。具体的にトレッドゴムの装着外側とは、図1に示すように、ベルト層7のうちのタイヤ幅方向最大幅のベルト71において、装着外側のタイヤ幅方向端と、タイヤ赤道面CLとの間のタイヤ幅方向寸法をW1とし、このタイヤ幅方向寸法W1に対して、50[%]以上100[%]以下の範囲とする。そして、100[%]未満の場合、前記タイヤ幅方向寸法W1の範囲内とし、好ましくは、ベルト72の装着外側のタイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側の範囲とする。また、トレッドゴムの装着内側とは、タイヤ赤道面CLよりも装着内側のトレッドゴムを言う。具体的にトレッドゴムの装着内側とは、図1に示すように、ベルト層7のうちのタイヤ幅方向最大幅のベルト71において、装着内側のタイヤ幅方向端と、タイヤ赤道面CLとの間のタイヤ幅方向寸法をW2とし、このタイヤ幅方向寸法W2に対して、50[%]以上100[%]以下の範囲とする。そして、100[%]未満の場合、前記タイヤ幅方向寸法W2の範囲内とし、好ましくは、ベルト72の装着内側のタイヤ幅方向端からタイヤ幅方向内側の範囲とする。
ベルト補強層8の装着外側とは、タイヤ赤道面CLよりも装着外側のベルト補強層8を言う。具体的にベルト補強層8の装着外側とは、図1に示すように、ベルト補強層8の装着外側のタイヤ幅方向最外端と、タイヤ赤道面CLとの間のタイヤ幅方向寸法をW1とし、このタイヤ幅方向寸法W1に対して、50[%]以上100[%]以下の範囲とする。そして、100[%]未満の場合、前記タイヤ幅方向寸法W1の範囲内とし、好ましくは、ベルト補強層8の装着外側のタイヤ幅方向端部からタイヤ幅方向内側の範囲とする。また、ベルト補強層8の装着内側とは、タイヤ赤道面CLよりも装着内側のベルト補強層8を言う。具体的にベルト補強層8の装着内側とは、図1に示すように、ベルト補強層8の装着内側のタイヤ幅方向最外端と、タイヤ赤道面CLとの間のタイヤ幅方向寸法をW2とし、このタイヤ幅方向寸法W2に対して、50[%]以上100[%]以下の範囲とする。そして、100[%]未満の場合、前記タイヤ幅方向寸法W2の範囲内とし、好ましくは、ベルト補強層8の装着内側のタイヤ幅方向端部からタイヤ幅方向内側の範囲とする。
また、ベルト補強層8の引張剛性指数は、D/Sであらわせる。Dは、ベルト補強層8のタイヤ幅方向での50[mm]当たりのコード打ち込み本数であり、Sは、ベルト補強層8のコード1本に50[N]の負荷を加えたときの伸び率[%]である。また、ベルト補強層8の引張剛性指数は、伸び率[%]において、コードをなす有機繊維の種類(例えば、装着内側をナイロンとし、装着外側をアラミドとする)を異ならせても、コードをなす有機繊維の種類を同じくして撚り数などを異ならせてもよい。なお、引張剛性指数を異ならせるベルト補強層8は、図1に示す補強層81,82の双方、または補強層81,82のいずれか一方であってもよい。
このような、本実施の形態の空気入りタイヤ1によれば、静止の定積状態でネガティブキャンバ(例えば、キャンバ角は、2[度]以内)が付与された車両に装着された場合、トレッド部2をなすトレッドゴムのモジュラスが、装着外側Moutよりも装着内側Minが大きく形成されていることにより、トレッド部2の装着内側の接地圧が大きくても、これに耐えることができるので、高速耐久性を向上(例えば、トレッド面21の装着内側における摩耗抑制など)することが可能になる。しかも、ベルト補強層8の引張剛性指数が、装着内側Ginよりも装着外側Goutが大きく形成されているため、上記モジュラスの関係としたことにより生じ得る、トレッド部2の装着内側の接地圧過多が抑制されるので、耐久性を向上(例えば、ベルト層7の故障抑制)するとともに、ロードノイズを抑制することが可能になる。しかも、ベルト補強層8の引張剛性指数が、装着内側Ginよりも装着外側Goutが大きく形成されているため、上記モジュラスの関係としたことにより生じ得る、トレッド部2の装着内側の接地圧過多が抑制されるので、トレッド面21のタイヤ幅方向において著しい剛性差が抑えられ、剛性差による操縦安定性の低下を抑制することが可能になる。
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、トレッドゴムの装着内側のモジュラスMinと、装着外側のモジュラスMoutとの関係が、1.1≦Min/Mout≦2.0を満たすことが好ましい。
トレッドゴムの装着内側のモジュラスMinと、装着外側のモジュラスMoutとの差が1.1倍以上であることが、耐久性を向上させつつロードノイズを抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。また、トレッドゴムの装着内側のモジュラスMinと、装着外側のモジュラスMoutとの差が2.0倍以下であることが、耐久性を向上させつつ操縦安定性の低下を抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、ベルト補強層8の装着外側の引張剛性指数Goutと、装着内側の引張剛性指数Ginとの関係が、1.1≦Gout/Gin≦2.0を満たすことが好ましい。
ベルト補強層8の装着外側の引張剛性指数Goutと、装着内側の引張剛性指数Ginとの差が1.1倍以上であることが、耐久性を向上させつつロードノイズを抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。また、ベルト補強層8の装着外側の引張剛性指数Goutと、装着内側の引張剛性指数Ginとの差が2.0倍以下であることが、耐久性を向上させつつ操縦安定性の低下を抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、トレッドゴムの装着外側のモジュラスMoutは、300[%]引張時において、7[MPa]≦Mout≦12[MPa]を満たすことが好ましい。
トレッドゴムの装着外側のモジュラスMoutが7[MPa]以上であることが、トレッド部2の装着内側の接地圧が大きくても、これに十分耐えることが可能になる。また、トレッドゴムの装着外側のモジュラスMoutが12[MPa]以下であることが、ベルト補強層8の引張剛性指数によって、トレッド部2の装着内側の接地圧過多を抑える効果を顕著に得ることが可能になる。
本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、高速耐久性、ロードノイズ、および操縦安定性に関する性能試験が行われた(図2および図3参照)。
この性能試験では、タイヤサイズ225/50R17の空気入りタイヤを、正規リムに組み付け、正規内圧を充填した。そして、高速耐久性の性能試験では上記空気入りタイヤに正規荷重を加え、ロードノイズおよび操縦安定性の性能試験では上記空気入りタイヤを試験車両(国産FRセダン)に装着した。
ここで、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
高速耐久性の評価方法は、上記空気入りタイヤをキャンバ付高速試験機(ネガティブキャンバ角:4.0[度])により速度180[km/h]から試験開始し、10分走行毎に10[km/h]速度を増加させ、タイヤが破壊するまでの走行時間を測定した。そして、従来例の空気入りタイヤを基準(100)とした指数評価が行われる。この指数評価は、数値が大きいほど高速耐久性が優れていることを示している。
ロードノイズの評価方法は、上記試験車両にて乾燥試験路を惰行走行し、その音圧レベルを測定した。そして、従来例の空気入りタイヤを基準(100)とした、指数評価が行われる。この指数評価は、数値が大きいほど音圧レベルが低くロードノイズの抑制に優れていることを示している。
操縦安定性の評価方法は、上記試験車両にて乾燥試験路を走行し、レーンチェンジ時およびコーナリング時における操舵性ならびに直進時における安定性について、5人のテストドライバーによる10段階の官能評価の平均値によって行った。そして、この官能評価に基づいて従来例の空気入りタイヤを基準(100)とした指数評価が行われる。この指数評価は、数値が大きいほど、操縦安定性が優れていることを示している。
図2に示すように、従来例および比較例1、比較例2の空気入りタイヤは、トレッドゴムの300[%]モジュラスにおいて、装着内側と装着外側とが等しい。また、比較例3〜比較例5の空気入りタイヤは、トレッドゴムの300[%]モジュラスにおいて、装着外側が装着内側より大きい。また、比較例6、比較例7の空気入りタイヤは、トレッドゴムの300[%]モジュラスにおいて、装着内側が装着外側より大きいが、ベルト補強層の引張剛性指数において、比較例6は装着内側が装着外側より大きく、比較例7は装着内側と装着外側とが等しい。
一方、図3に示すように、実施例1〜実施例11の空気入りタイヤは、トレッドゴムの300[%]モジュラスにおいて、装着内側が装着外側より大きく、かつ、ベルト補強層の引張剛性指数において、装着外側が装着内側より大きい。
そして、図3の試験結果に示すように、実施例1〜実施例11の空気入りタイヤは、それぞれ高速耐久性が向上しつつ、ロードノイズと操縦安定性とが両立して改善されていることが分かる。
以上のように、本発明に係る空気入りタイヤは、耐久性を向上させつつ、ロードノイズと操縦安定性とを両立することに適している。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
21 トレッド面
22 縦溝(周方向主溝)
23 陸部
6 カーカス層
7 ベルト層
71,72 ベルト
8 ベルト補強層
81,82 補強層
CL タイヤ赤道面(タイヤ赤道線)
Gin 装着内側のベルト補強層の引張剛性指数
Gout 装着外側のベルト補強層の引張剛性指数
Min 装着内側のトレッドゴムのモジュラス
Mout 装着外側のトレッドゴムのモジュラス
2 トレッド部
21 トレッド面
22 縦溝(周方向主溝)
23 陸部
6 カーカス層
7 ベルト層
71,72 ベルト
8 ベルト補強層
81,82 補強層
CL タイヤ赤道面(タイヤ赤道線)
Gin 装着内側のベルト補強層の引張剛性指数
Gout 装着外側のベルト補強層の引張剛性指数
Min 装着内側のトレッドゴムのモジュラス
Mout 装着外側のトレッドゴムのモジュラス
Claims (4)
- トレッド部にてカーカス層のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配置されて前記ベルト層の少なくとも端部に重なるベルト補強層と、を備え、車両に装着した場合に装着内側および装着外側に対する向きが指定された空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド部をなすトレッドゴムのモジュラスが、装着外側Moutよりも装着内側Minが大きく形成され、かつ前記ベルト補強層の引張剛性指数が、装着内側Ginよりも装着外側Goutが大きく形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記トレッドゴムの装着内側のモジュラスMinと、装着外側のモジュラスMoutとの関係が、1.1≦Min/Mout≦2.0を満たすことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ベルト補強層の装着外側の引張剛性指数Goutと、装着内側の引張剛性指数Ginとの関係が、1.1≦Gout/Gin≦2.0を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記装着外側のモジュラスMoutは、300[%]引張時において、7[MPa]≦Mout≦12[MPa]を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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2010
- 2010-12-24 JP JP2010287524A patent/JP2012131459A/ja active Pending
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