JP2015020587A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ重量の増加を抑制しつつ耐偏摩耗性能を向上すること。
【解決手段】タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9を有し、車両装着時での車両内外の向きが指定された空気入りタイヤ1において、インナーライナー層9は、熱可塑性樹脂を含み、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みGinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みGoutとが、Gout<Ginの関係を有する。
【選択図】図1
【解決手段】タイヤ内面に設けられたインナーライナー層9を有し、車両装着時での車両内外の向きが指定された空気入りタイヤ1において、インナーライナー層9は、熱可塑性樹脂を含み、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みGinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みGoutとが、Gout<Ginの関係を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤ重量の増加を抑制しつつ耐偏摩耗性能を向上する空気入りタイヤに関するものである。
従来、例えば、特許文献1に記載の空気入りタイヤは、操縦安定性および乗り心地性能を低下させることなく、ロードノイズを低減することを目的としている。この空気入りタイヤは、リムに対するディスク部の連結位置をリム幅中心からホイール表側にオフセットしたホイールに装着される空気入りタイヤにおいて、カーカス層の内側に位置するインナーライナー層のタイヤ赤道位置からビードトウ位置までの領域の剛性をホイール表側とホイール裏側とで互いに異ならせ、ホイール表側に配置されるインナーライナー層の剛性をホイール裏側に配置されるインナーライナー層の剛性よりも低くしている。具体的に、カーカス層の内側に位置するインナーライナー層のタイヤ赤道位置からビードトウ位置までの領域の平均ゲージをホイール表側とホイール裏側とで互いに異ならせ、ホイール表側に配置されるインナーライナー層の平均ゲージをホイール裏側に配置されるインナーライナー層の平均ゲージよりも小さくしている。
ところで、車両に装着した場合の空気入りタイヤの上側が車両内側へ倒れ、車両を前後方向から見たときに車両左右で八の字型となるネガティブキャンバーが付与される場合、車両装着時にタイヤ赤道面を挟んで車両内側となる領域では、車両の重量によりタイヤ径方向につぶれやすく偏摩耗が発生するおそれがある。このような場合、特許文献1に示すように、ホイール表側(車両装着時の車両外側)に配置されるインナーライナー層の平均ゲージをホイール裏側(車両装着時の車両内側)に配置されるインナーライナー層の平均ゲージよりも小さくすることで、耐偏摩耗性能が向上する傾向となる。しかしインナーライナー層は、一般的にブチル系ゴムが適用されており、耐空気透過性能を維持しなければならない厚さを有さなければならない。よって、特許文献1のように、ホイール裏側のインナーライナー層を基準としてホイール表側のインナーライナー層の平均ゲージを小さくする手法では、耐空気透過性能を維持できず、逆に、ホイール表側のインナーライナー層を基準としてホイール裏側のインナーライナー層の平均ゲージを大きくする手法では、タイヤ重量が嵩んでしまうことになる。なお、例えば、特許文献2に記載の空気入りタイヤにおいては、タイヤの重量増加を抑制できるゴム組成物を含む熱可塑性樹脂でインターライナー層を構成しながら、耐空気透過性を向上させるとともに、耐久性を向上させるため、インナーライナー層が、ゴム組成物を含む熱可塑性樹脂からなるとともに、ショルダー部における厚さ寸法をタイヤクラウン部における厚さ寸法よりも大きくすることが示されている。この手法は、両側のショルダー部における厚さ寸法を大きくするもので、耐偏摩耗性能を向上するためのものではない。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤ重量の増加を抑制しつつ耐偏摩耗性能を向上することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、第1の発明の空気入りタイヤは、タイヤ内面に設けられたインナーライナー層を有し、車両装着時での車両内外の向きが指定された空気入りタイヤにおいて、前記インナーライナー層は、熱可塑性樹脂を含み、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みGinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みGoutとが、Gout<Ginの関係を有することを特徴とする。
車両に装着した場合の空気入りタイヤの上側が車両内側へ倒れ、車両を前後方向から見たときに車両左右で八の字型となるネガティブキャンバーが付与される場合、車両装着時にタイヤ赤道面を挟んで車両内側となる領域では、車両の重量によりタイヤ径方向につぶれやすく偏摩耗が発生するおそれがある。本発明の空気入りタイヤによれば、タイヤ赤道面を挟んで車両内側となる領域のインナーライナー層の平均厚みGinが、タイヤ赤道面を挟んで車両外側となる領域のインナーライナー層の平均厚みGoutよりも大きいため、車両内側の剛性が向上し、耐偏摩耗性能を向上することができる。しかも、この空気入りタイヤによれば、インナーライナー層が、軽量化を図ることのできる熱可塑性樹脂を含み構成されているため、車両外側の領域で耐空気透過性能を維持できる最低限の厚みとし、車両内側では剛性を向上することのできる厚みとしても、タイヤ重量の増加を抑制することができる。
また、第2の発明の空気入りタイヤでは、第1の発明において、前記インナーライナー層は、タイヤ赤道面から車両内側の前記平均厚みGinと、タイヤ赤道面から車両外側の前記平均厚みGoutとが、0.05mm≦Gin−Gout≦0.19mmの関係を有することを特徴とする。
インナーライナー層は、熱可塑性樹脂を含み構成されているため、一般的な空気入りタイヤのインナーライナー層を構成するブチル系ゴムと比較して高剛性の部材となる。従って、車両内側のインナーライナー層の平均厚みGinから、車両外側のインナーライナー層の平均厚みGoutを差し引いた値(Gin−Gout)を0.05mm以上0.19mm以下の範囲としても、剛性差を生じさせて耐偏摩耗性能を向上する効果を顕著に得ることができ、しかも、Gin−Goutが0.05mm以上0.19mm以下の範囲であるため、タイヤ重量の増加を抑制する効果を顕著に得ることができる。
また、第3の発明の空気入りタイヤでは、第1または第2の発明において、前記インナーライナー層によりタイヤ内面側が覆われたカーカス層と、トレッド部において前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層とを備え、前記ベルト層は、タイヤ径方向に少なくとも2層配置されており、前記インナーライナー層は、前記ベルト層のタイヤ径方向最外側の前記ベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域にて、当該配置領域の車両内側端の厚みDinと、車両外側端の平均厚みDoutとが、1.5≦Din/Dout≦5.0の関係を有することを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、ベルト層のタイヤ径方向最外側のベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域において、車両内側端および車両外側端は、トレッド部において路面に対するトレッド面の接地領域の接地端に近似する。よって、上記配置領域にて、車両内側端の厚みDinが、同配置領域にて車両外側端の厚みDoutの1.5倍以上あることで、車両内側の剛性をより向上させることができ、耐偏摩耗性能を向上する効果を顕著に得ることができる。ただし、車両内側の剛性が高すぎると、コーナリング走行時における旋回性能が低下するおそれがあるため、DinはDoutの5倍以下であることが好ましい。
また、第4の発明の空気入りタイヤでは、第1の発明において、前記インナーライナー層によりタイヤ内面側が覆われたカーカス層と、トレッド部において前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層とを備え、前記ベルト層は、タイヤ径方向に少なくとも2層配置されており、前記インナーライナー層は、前記ベルト層のタイヤ径方向最外側の前記ベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域にて、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みGin_bと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みGout_bとが、Gout_b<Gin_bの関係を有することを特徴とする。
ベルト層のタイヤ径方向最外側のベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域は、トレッド部において路面に対するトレッド面の接地領域に近似する。この接地領域においてトレッド面に偏摩耗が発生する。従って、このようなベルトの配置領域において、インナーライナー層が、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みGin_bと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みGout_bを、Gout_b<Gin_bの関係とされることで、耐偏摩耗性能を向上する効果をより顕著に得ることができる。
また、第5の発明の空気入りタイヤでは、第4の発明において、前記インナーライナー層は、前記ベルト層のタイヤ径方向最外側の前記ベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域にて、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みGin_bと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みGout_bとが、0.05mm≦Gin_b−Gout_b≦0.19mmの関係を有することを特徴とする。
インナーライナー層は、熱可塑性樹脂を含み構成されているため、一般的な空気入りタイヤのインナーライナー層を構成するブチル系ゴムと比較して高剛性の部材となる。従って、ベルト層のタイヤ径方向最外側のベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域にて、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みGin_bから、同配置領域にてタイヤ赤道面から車両外側の平均厚みGout_bを差し引いた値(Gin_b−Gout_b)を0.05mm以上0.19mm以下の範囲としても、剛性差を生じさせて耐偏摩耗性能を向上する効果を顕著に得ることができ、しかも、Gin_b−Gout_bが0.05mm以上0.19mm以下の範囲であるため、タイヤ重量の増加を抑制する効果を顕著に得ることができる。
また、第6の発明の空気入りタイヤでは、第4または第5の発明において、前記インナーライナー層は、前記ベルト層のタイヤ径方向最外側の前記ベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域にて、当該配置領域の車両内側端の厚みDinと、車両外側端の平均厚みDoutとが、1.5≦Din/Dout≦5.0の関係を有することを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、ベルト層のタイヤ径方向最外側のベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域において、車両内側端および車両外側端は、トレッド部において路面に対するトレッド面の接地領域の接地端に近似する。よって、上記配置領域にて、車両内側端の厚みDinが、同配置領域にて車両外側端の厚みDoutの1.5倍以上あることで、車両内側の剛性をより向上させることができ、耐偏摩耗性能を向上する効果を顕著に得ることができる。ただし、車両内側の剛性が高すぎると、コーナリング走行時における旋回性能が低下するおそれがあるため、DinはDoutの5倍以下であることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ重量の増加を抑制しつつ耐偏摩耗性能を向上することができる。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図であり、図2は、本実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面を一部拡大した概略図である。
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
本実施形態の空気入りタイヤ1は、図1に示すようにトレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4およびビード部5とを有している。また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、ベルト補強層8と、インナーライナー層9とを備えている。
トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド面21は、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なストレート主溝である複数(本実施形態では4本)の主溝22が設けられている。そして、トレッド面21は、これら複数の主溝22により、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なリブ状の陸部23が複数(本実施形態では5つ)形成されている。また、図には明示しないが、トレッド面21は、各陸部23において、主溝22に交差するラグ溝が設けられていてもよい。ラグ溝は、主溝22に交差していてもよく、またはラグ溝は、少なくとも一端が主溝22に交差せず陸部23内で終端していてもよい。ラグ溝の両端が主溝22に交差する場合、陸部23はタイヤ周方向で複数に分割されたブロック状の陸部として形成される。なお、ラグ溝は、タイヤ周方向に対して傾斜して延在しつつ屈曲や湾曲して形成されていてもよい。
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出したものである。また、ビード部5は、ビードコア51とビードフィラー52とを有する。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー52は、カーカス層6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置で折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
カーカス層6は、各タイヤ幅方向端部が、一対のビードコア51でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6は、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向にある角度を持って複数並設されたカーカスコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。カーカスコードは、有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。このカーカス層6は、少なくとも1層で設けられている。
ベルト層7は、少なくとも2層(一対)のベルト71,72を積層した多層構造をなし(本実施形態では2層構造)、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト71,72は、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20度〜30度)で複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。また、重なり合うベルト71,72は、互いのコードが交差するように配置されている。
ベルト補強層8は、ベルト層7の外周であるタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に略平行(±5度)でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示せず)がコートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。図1で示すベルト補強層8は、ベルト層7全体を覆うように配置され、かつベルト層7のタイヤ幅方向端部を覆うように積層配置されている。ベルト補強層8の構成は、上記に限らず、図には明示しないが、例えば、2層で、ベルト層7全体を覆うように配置されていたり、ベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されていたりしてもよい。また、ベルト補強層8の構成は、図には明示しないが、例えば、1層で、ベルト層7全体を覆うように配置されていたり、ベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されていたりしてもよい。すなわち、ベルト補強層8は、ベルト層7の少なくともタイヤ幅方向端部に重なるものである。また、ベルト補強層8は、帯状(例えば幅10[mm])のストリップ材をタイヤ周方向に巻き付けて設けられている。
インナーライナー層9は、タイヤ内面、すなわち、カーカス層6の内周面であって、各タイヤ幅方向両端部9aが一対のビード部5のビードコア51の下部やビードトウに至り、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されて貼り付けられている。インナーライナー層9は、空気分子の透過を抑制するためのものである。このインナーライナー層9は、熱可塑性樹脂を含み、熱可塑性樹脂シートで形成されている。このため、インナーライナー層がブチル系ゴムで形成されている一般的な空気入りタイヤと比較して軽量化を図ることができる。熱可塑性樹脂シートは、熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂中にエラストマー成分をブレンドした熱可塑性エラストマー組成物で構成されており、コードを有さないものである。
本実施形態で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂[例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体]、ポリエステル系樹脂[例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリブチレンテレフタレート/テトラメチレングリコール共重合体、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル]、ポリニトリル系樹脂[例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体]、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂[例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)]、ポリビニル系樹脂[例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体]、セルロース系樹脂[例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース]、フッ素系樹脂[例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)]、イミド系樹脂[例えば芳香族ポリイミド(PI)]などを挙げることができる。
本実施形態で使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴムおよびその水素添加物[例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBRおよび低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR]、オレフィン系ゴム[例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー]、含ハロゲンゴム[例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHC、CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)]、シリコーンゴム[例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム]、含イオウゴム[例えばポリスルフィドゴム]、フッ素ゴム[例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム]、熱可塑性エラストマー[例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー]などを挙げることができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1は、車両(図示せず)に装着した場合、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対する向きが指定されている。向きの指定は、図には明示しないが、例えば、サイドウォール部4に設けられた指標により示される。以下、車両に装着した場合に車両の内側に向く側を車両内側、車両の外側に向く側を車両外側という。なお、車両内側および車両外側の指定は、車両に装着した場合に限らない。例えば、リム組みした場合に、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対するリムの向きが決まっている。このため、空気入りタイヤ1は、リム組みした場合、タイヤ幅方向において、車両の内側(車両内側)および外側(車両外側)に対する向きが指定される。また、トレッド部2において、車両内側とは、車両に装着した場合にタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLよりも車両の内側の範囲を言い、車両外側とは、車両に装着した場合にタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLよりも車両の外側の範囲を言う。
上述した空気入りタイヤ1において、インナーライナー層9は、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みGinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みGoutとが、Gout<Ginの関係を有する。
すなわち、インナーライナー層9は、子午断面にて、車両内側においてタイヤ赤道面CLからビード部5に至るタイヤ幅方向端部9aまでの範囲における平均厚みGinと、車両外側においてタイヤ赤道面CLからビード部5に至るタイヤ幅方向端部9aまでの範囲における平均厚みGoutとが、Gout<Ginとなるように形成されている。
ここで、本実施形態で言う平均厚みは、タイヤ子午断面におけるインナーライナー層9の厚みの平均値として測定される。このとき、インナーライナー層9の厚みは、インナーライナー層9に局所的に形成された凹凸部(例えば、インナーライナー層9をラジアル方向で繋ぎ合わせた場合の局所的な盛り上がり部)を除外して測定される。また、カーカス層6のコートゴムの厚みは、インナーライナー層9の厚みに含まれない。
車両に装着した場合の空気入りタイヤ1の上側が車両内側へ倒れ、車両を前後方向から見たときに車両左右で八の字型となるネガティブキャンバーが付与される場合、車両装着時にタイヤ赤道面CLを挟んで車両内側となる領域では、車両の重量によりタイヤ径方向につぶれやすく偏摩耗が発生するおそれがある。本実施形態の空気入りタイヤ1によれば、タイヤ赤道面CLを挟んで車両内側となる領域のインナーライナー層9の平均厚みGinが、タイヤ赤道面CLを挟んで車両外側となる領域のインナーライナー層9の平均厚みGoutよりも大きいため、車両内側の剛性が向上し、耐偏摩耗性能を向上することができる。しかも、本実施形態の空気入りタイヤ1によれば、インナーライナー層9が、軽量化を図ることのできる熱可塑性樹脂を含み構成されているため、車両外側の領域で耐空気透過性能を維持できる最低限の厚みとし、車両内側では剛性を向上することのできる厚みとしても、タイヤ重量の増加を抑制することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みGinと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みGoutとが、0.05mm≦Gin−Gout≦0.19mmの関係を有する。
上述したようにインナーライナー層9は、熱可塑性樹脂を含み構成されているため、一般的な空気入りタイヤのインナーライナー層を構成するブチル系ゴムと比較して高剛性の部材となる。従って、車両内側のインナーライナー層9の平均厚みGinから、車両外側のインナーライナー層9の平均厚みGoutを差し引いた値(Gin−Gout)を0.05mm以上0.19mm以下の範囲としても、剛性差を生じさせて耐偏摩耗性能を向上する効果を顕著に得ることができ、しかも、Gin−Goutが0.05mm以上0.19mm以下の範囲であるため、タイヤ重量の増加を抑制する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図1に示すように、インナーライナー層9によりタイヤ内面側が覆われたカーカス層6と、トレッド部2においてカーカス層6のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層7とを備え、ベルト層7は、タイヤ径方向に少なくとも2層配置されている。そして、インナーライナー層9は、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBにて、当該配置領域WBの車両内側端の厚みDinと、車両外側端の厚みDoutとが、1.5≦Din/Dout≦5.0の関係を有することが好ましい。
ここで、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBとは、図1に示すように、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の各端72aからタイヤ径方向にタイヤ赤道面CLと平行な基準面L1を設けた場合の各基準面L1間の領域を言う。また、ベルト72におけるタイヤ幅方向の端72aとは、図2に示すように、ベルト72のタイヤ幅方向最外側のコード72bのタイヤ幅方向外側の端とする。
なお、ベルト72の配置領域WBの規定は、タイヤを正規リムに装着して正規内圧を付与するとともに無負荷状態として測定される。正規リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、正規内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、正規荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。
また、インナーライナー層9の配置領域WBの車両内側端の厚みDinや、車両外側端の厚みDoutは、図1および図2に示すように、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の各端72aからタイヤ径方向にタイヤ赤道面CLと平行な基準面L1を設けた場合に、図2に示すように各基準面L1上の位置の厚みを言う。
この空気入りタイヤ1によれば、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBにおいて、車両内側端および車両外側端は、トレッド部2において路面に対するトレッド面21の接地領域の接地端に近似する。よって、配置領域WBにて、車両内側端の厚みDinが、同配置領域WBにて車両外側端の厚みDoutの1.5倍以上あることで、車両内側の剛性をより向上させることができ、耐偏摩耗性能を向上する効果を顕著に得ることができる。好ましくは、DinがDoutの2倍以上であることが耐偏摩耗性能を向上する効果をより顕著に得ることができる。ただし、車両内側の剛性が高すぎると、コーナリング走行時における旋回性能が低下するおそれがあるため、DinはDoutの5倍以下であることが好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図1に示すように、インナーライナー層9によりタイヤ内面側が覆われたカーカス層6と、トレッド部2においてカーカス層6のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層7とを備え、ベルト層7は、タイヤ径方向に少なくとも2層配置されている。そして、インナーライナー層9は、タイヤ子午断面において、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBにて、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みGin_bと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みGout_bとが、Gout_b<Gin_bの関係を有することが好ましい。
ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBは、トレッド部2において路面に対するトレッド面21の接地領域に近似する。この接地領域においてトレッド面21に偏摩耗が発生する。従って、このようなベルト72の配置領域WBにおいて、インナーライナー層9が、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みGin_bと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みGout_bとを、Gout_b<Gin_bの関係とされることで、耐偏摩耗性能を向上する効果をより顕著に得ることができ、しかも、インナーライナー層9全体ではなく、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBの範囲でインナーライナー層9の厚みを変化させることで、タイヤ重量の増加を抑制する効果を顕著に得ることができる。
ここで、例えば、配置領域WBがタイヤ赤道面CLを中心としてなることとし、インナーライナー層9の厚みの変化領域を、タイヤ赤道面CLを中心として配置領域WBの100%(例えば140mm)としたものと比較する。インナーライナー層9の厚みの変化領域がタイヤ赤道面CLを中心として配置領域WBの50%(例えば70mm)である場合は、耐偏摩耗性能を向上する効果が得られるものの若干低下する傾向となる一方、タイヤ重量の増加を抑制する効果をより顕著に得ることができる。また、インナーライナー層9の厚みの変化領域がタイヤ赤道面CLを中心として配置領域WBの120%(例えば170mm)である場合は、耐偏摩耗性能を向上する効果がより顕著に得られる一方、タイヤ重量の増加を抑制する効果が得られるものの若干低下する傾向となる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図2に示すように、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBにおいて、インナーライナー層9は、車両外側の基準面L1から車両内側の基準面L1に至り、厚みが漸次増大するように構成されることが好ましい。この空気入りタイヤ1によれば、タイヤ幅方向における車両内側と車両外側とでの剛性差を効果的に生じさせることができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBにて、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みGin_bと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みGout_bとが、0.05mm≦Gin_b−Gout_b≦0.19mmの関係を有することが好ましい。
上述したようにインナーライナー層9は、熱可塑性樹脂を含み構成されているため、一般的な空気入りタイヤのインナーライナー層を構成するブチル系ゴムと比較して高剛性の部材となる。従って、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBにて、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みGin_bから、同配置領域WBにてタイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みGout_bを差し引いた値(Gin_b−Gout_b)を0.05mm以上0.19mm以下の範囲としても、剛性差を生じさせて耐偏摩耗性能を向上する効果を顕著に得ることができ、しかも、Gin_b−Gout_bが0.05mm以上0.19mm以下の範囲であるため、タイヤ重量の増加を抑制する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、インナーライナー層9は、上述のようにタイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みGin_bと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みGout_bとの関係が規定された場合において、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBにて、当該配置領域WBの車両内側端の厚みDinと、車両外側端の厚みDoutとが、1.5≦Din/Dout≦5.0の関係を有することが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBにおいて、車両内側端および車両外側端は、トレッド部2において路面に対するトレッド面21の接地領域の接地端に近似する。よって、配置領域WBにて、車両内側端の厚みDinが、同配置領域WBにて車両外側端の厚みDoutの1.5倍以上あることで、車両内側の剛性をより向上させることができ、耐偏摩耗性能を向上する効果を顕著に得ることができる。好ましくは、DinがDoutの2倍以上であることが耐偏摩耗性能を向上する効果をより顕著に得ることができる。ただし、車両内側の剛性が高すぎると、コーナリング走行時における旋回性能が低下するおそれがあるため、DinはDoutの5倍以下であることが好ましい。
ところで、上述した実施形態において、車両内側および車両外側の範囲を、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBとし、当該配置領域WBにて、タイヤ赤道面CLから車両内側の平均厚みGin_bと、タイヤ赤道面CLから車両外側の平均厚みGout_bとが、Gout_b<Gin_bの関係を有することが好ましいとしている。その他、上記配置領域WB以外の範囲において、インナーライナー層9の車両内側の平均厚みを車両外側の平均厚みよりも大きくすることで、上記と同様の効果を得ることができる。
具体的には、タイヤ子午断面において、上記配置領域WBのラジアル方向の外側(タイヤ幅方向外側およびタイヤ径方向内側)の領域、すなわち、図1に示すように、ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の各端72aからタイヤ径方向にタイヤ赤道面CLと平行な基準面L1を設けた場合の各基準面L1上のラジアル方向の外側であって、サイドウォール部4やビード部5を含む領域において、インナーライナー層9は、車両内側の平均厚みGin_sと、車両外側の平均厚みGout_sとが、Gout_s<Gin_sの関係を有していてもよい。
ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBのラジアル方向の外側の領域は、タイヤ転動時においてタイヤ径方向に変形する領域である。従って、この領域において、インナーライナー層9が、車両内側の平均厚みGin_sと、車両外側の平均厚みGout_sとを、Gout_s<Gin_sの関係とされることで、インナーライナー層9の車両内側の剛性が向上し、耐偏摩耗性能を向上することができ、しかも、インナーライナー層9全体ではなく、配置領域WB以外の範囲でインナーライナー層9の厚みを変化させることで、タイヤ重量の増加を抑制する効果を顕著に得ることができる。特に、上記領域(ベルト層7のタイヤ径方向最外側のベルト72におけるタイヤ幅方向の配置領域WBのラジアル方向の外側の領域)のうち、ビード部5のビードフィラー52の上端よりもタイヤ径方向外側の領域(サイドウォール部4に相当する領域)は、タイヤ転動時においてタイヤ径方向での変形が大きいため、このサイドウォール部4に相当する領域において、インナーライナー層9が、車両内側の平均厚みGin_sと、車両外側の平均厚みGout_sとを、Gout_s<Gin_sの関係とされることで、耐偏摩耗性能を向上する効果が大きい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、サイドウォール部4に相当する領域において、インナーライナー層9は、車両内側の平均厚みGin_sと、車両外側の平均厚みGout_sとが、0.05mm≦Gin_s−Gout_s≦0.19mmの関係を有することが好ましい。すなわち、上述したようにインナーライナー層9は、熱可塑性樹脂を含み構成されているため、一般的な空気入りタイヤのインナーライナー層を構成するブチル系ゴムと比較して高剛性の部材となる。従って、サイドウォール部4の領域において、車両内側の平均厚みGin_sから、車両外側の平均厚みGout_sを差し引いた値(Gin_s−Gout_s)を0.05mm以上0.19mm以下の範囲としても、剛性差を生じさせて耐偏摩耗性能を向上する効果を顕著に得ることができ、しかも、Gin_s−Gout_sが0.05mm以上0.19mm以下の範囲であるため、タイヤ重量の増加を抑制する効果を顕著に得ることができる。
本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、タイヤ重量および耐偏摩耗性能に関する性能試験が行われた(図3および図4参照)。
この性能試験では、タイヤサイズ195/65R15の空気入りタイヤを試験タイヤとした。
タイヤ重量の評価方法は、上記試験タイヤの重量を測定器により測定する。そして、この測定結果に基づいて、従来例1〜従来例3を基準(100)とした指数評価が行われる。この指数評価は、数値が96以上で大きいほどタイヤ重量が軽く優れていることを示している。
耐偏摩耗性能の評価方法は、上記試験タイヤを、正規リム(15×6J)にリム組みし、正規内圧(230kPa)を充填し、試験車両(排気量2000ccの前輪駆動車)に装着した。そして、上記試験車両にて、テストコースを1万km走行し、走行後に、トレッド部のタイヤ幅方向外側の各陸部(ショルダー陸部)の摩耗量がそれぞれ測定され、その差が算出される。そして、この算出結果に基づいて、従来例1〜従来例3を基準(100)とした指数評価が行われる。この指数評価は、数値が大きいほど耐偏摩耗性能が優れていることを示している。
図3および図4において、従来例1、比較例1、実施例1〜実施例18は、ベルト層が2層構造である。図3において、従来例1は、インナーライナー層がブチル系ゴムで構成され、タイヤ赤道面からインナーライナー層の端部までの範囲において、インナーライナー層の車両内側の平均厚みGinが車両外側の平均厚みGoutより大きい。比較例1は、インナーライナー層が熱可塑性樹脂を含み構成されているが、タイヤ赤道面からインナーライナー層の端部までの範囲において、インナーライナー層の車両内側の平均厚みGinと車両外側の平均厚みGoutとが均等である。一方、従来例1および比較例1に対し、実施例1〜実施例9は、インナーライナー層が熱可塑性樹脂を含み構成され、タイヤ赤道面からインナーライナー層の端部までの範囲において、インナーライナー層の車両内側の平均厚みGinが車両外側の平均厚みGoutより大きい。実施例3〜実施例9は、Gin−Goutが規定範囲とされている。実施例5〜実施例9は、Din/Doutが規定範囲とされている。
図4において、従来例2は、インナーライナー層がブチル系ゴムで構成され、タイヤ径方向最外側のベルトのタイヤ幅方向の配置領域にて、インナーライナー層のタイヤ赤道面から車両内側の平均厚みGin_bが車両外側の平均厚みGout_bより大きい。一方、従来例2および比較例1に対し、実施例10〜実施例18は、インナーライナー層が熱可塑性樹脂を含み構成され、タイヤ径方向最外側のベルトのタイヤ幅方向の配置領域にて、インナーライナー層のタイヤ赤道面から車両内側の平均厚みGin_bが車両外側の平均厚みGout_bより大きい。実施例12〜実施例18は、Gin_b−Gout_bが規定範囲とされている。実施例14〜実施例18は、Din/Doutが規定範囲とされている。
そして、図3および図4の試験結果に示すように、実施例1〜実施例18の空気入りタイヤは、タイヤ重量および耐偏摩耗性能が改善されていることが分かる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
6 カーカス層
7 ベルト層
71,72 ベルト
72a ベルトのタイヤ幅方向端
9 インナーライナー層
9a タイヤ幅方向端部
CL タイヤ赤道面(タイヤ赤道線)
WB タイヤ径方向最外側のベルトの配置領域
2 トレッド部
6 カーカス層
7 ベルト層
71,72 ベルト
72a ベルトのタイヤ幅方向端
9 インナーライナー層
9a タイヤ幅方向端部
CL タイヤ赤道面(タイヤ赤道線)
WB タイヤ径方向最外側のベルトの配置領域
Claims (6)
- タイヤ内面に設けられたインナーライナー層を有し、車両装着時での車両内外の向きが指定された空気入りタイヤにおいて、
前記インナーライナー層は、熱可塑性樹脂を含み、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みGinと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みGoutとが、Gout<Ginの関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記インナーライナー層は、タイヤ赤道面から車両内側の前記平均厚みGinと、タイヤ赤道面から車両外側の前記平均厚みGoutとが、0.05mm≦Gin−Gout≦0.19mmの関係を有することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記インナーライナー層によりタイヤ内面側が覆われたカーカス層と、トレッド部において前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層とを備え、前記ベルト層は、タイヤ径方向に少なくとも2層配置されており、
前記インナーライナー層は、前記ベルト層のタイヤ径方向最外側の前記ベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域にて、当該配置領域の車両内側端の厚みDinと、車両外側端の平均厚みDoutとが、1.5≦Din/Dout≦5.0の関係を有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記インナーライナー層によりタイヤ内面側が覆われたカーカス層と、トレッド部において前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されたベルト層とを備え、前記ベルト層は、タイヤ径方向に少なくとも2層配置されており、
前記インナーライナー層は、前記ベルト層のタイヤ径方向最外側の前記ベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域にて、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みGin_bと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みGout_bとが、Gout_b<Gin_bの関係を有することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記インナーライナー層は、前記ベルト層のタイヤ径方向最外側の前記ベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域にて、タイヤ赤道面から車両内側の平均厚みGin_bと、タイヤ赤道面から車両外側の平均厚みGout_bとが、0.05mm≦Gin_b−Gout_b≦0.19mmの関係を有することを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記インナーライナー層は、前記ベルト層のタイヤ径方向最外側の前記ベルトにおけるタイヤ幅方向の配置領域にて、当該配置領域の車両内側端の厚みDinと、車両外側端の平均厚みDoutとが、1.5≦Din/Dout≦5.0の関係を有することを特徴とする請求項4または5に記載の空気入りタイヤ。
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- 2013-07-19 JP JP2013150107A patent/JP2015020587A/ja active Pending
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