JP2014217904A - ガラス物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】研削速度の劣化が少ないクーラント液を用いた研削工程を有するガラス物品の製造方法を提供する。【解決手段】ガラス素材2に対してクーラント液を供給しながら研削パッド3により研削する研削工程を有するガラス物品の製造方法であって、一旦貯蔵槽4に集めた使用済みのクーラント液を遠心分離機5により遠心分離し、白濁成分とスラッジ6が除去され貯蔵槽7に貯蔵された使用済みのクーラント液の陽イオン濃度を測定し、使用前のクーラント液の陽イオン濃度とを比較して、閾値を越えたイオン濃度が検出された場合には、ガラス素材2から溶出される陽イオンによりクーラント液が劣化したと判定し、クーラント液に必要量の有効成分を補充する。【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス物品の製造方法に関する。より詳しくは、研削速度の劣化が少ないクーラント液を用いてガラス素材を研削する工程を有するガラス物品の製造方法に関する。
一般にガラスは熱伝導率が低いため、その研削加工を行う際に熱が発生しやすい。この研削熱がある限度を超えると、ガラスや砥粒が熱的損傷を受けるため、研削加工の高速化や切り込みを増すことが制約される。とりわけ、ダイヤモンド砥石で研削加工する場合には、ダイヤモンド砥粒が熱に弱いため、クーラント液が一般に使用されている。
クーラント液には、鉱油をベースにし、水に希釈しないで使用する不水溶性クーラント液と、鉱油、界面活性剤、有機アミン等を含有し、水に希釈して使用する水溶性クーラント液とがある。しかし、近年の生産性の向上に伴って機械加工条件や環境条件に対する要求がますます厳しくなってきており、不水溶性クーラント液を適用していた研削加工の分野において、発煙、ミスト、引火等の問題があるため、水溶性クーラント液が広く使用されるようになってきた。
このような水溶性クーラント液としては、(i)不水溶性研削の基油である鉱油に界面活性剤や有機アミン等を添加し、水に希釈できるようにしたエマルションタイプの水溶性クーラント液、(ii)鉱油と界面活性剤とからなり、エマルションタイプのものよりも多量の界面活性剤を含有させたソリューションタイプの水溶性クーラント液、(iii)不水溶性クーラント液の基油である鉱油を含有させず、アミンや無機塩類のように主に水溶性物質を含有するソリューションタイプの水溶性クーラント液、が開発されている。クーラント液を使うことにより、研削時の潤滑性、消泡性、防錆性、耐摩耗性が良好となり、研削物の研削を効率的に行うことが可能となる。
しかし、ガラス素材の研削が進むにしたがって、クーラント液内に研削物が混入し、この研削物の混入によりクーラント液の性能が劣化し、加工速度や加工精度が低下し生産性が低下するという問題がある。
この問題に対して、例えば、特許文献1には研磨工程終了後のクーラント液に混じり込んだガラスの粉などの異物を遠心分離装置を用いて除去、分離することにより、クーラント液をガラス基板研磨の再利用する技術が開示されている。
また特許文献2には、クーラント液の液質の検出手段と、液質の劣化時の警告表示手段を備えた工作機械が開示されている。
しかしながら、これらの方法では、クーラント液の有効成分が減少する場合には、全クーラント液の交換等で対応せざるを得なく、生産性に問題があった。特に、連続研削しクーラント液を循環して繰り返し使う場合には、有効成分の減少が大きいため、研削速度の劣化の抑制には不十分であった。
特開2010−221347号公報 特開2010−188480号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、研削速度の劣化が少ないクーラント液を用いた研削工程を有するガラス物品の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程においてガラス研削における研削速度の低下は、使用前のクーラント液の新液の陽イオン濃度と使用後の陽イオン濃度の変化を測定することにより検出できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.ガラス素材に対してクーラント液を供給しながら研削する研削工程を有するガラス物品の製造方法であって、前記研削工程において使用された、使用前のクーラント液の陽イオン濃度と使用後のクーラント液の陽イオン濃度の測定値に基づき、前記ガラス素材から溶出される陽イオンにより消費されるクーラント液の有効成分を補充することを特徴とするガラス物品の製造方法。
2.前記クーラント液の陽イオン濃度の測定を、電気伝導度の測定により行うことを特徴とする第1項に記載のガラス物品の製造方法。
3.前記有効成分が脂肪酸であることを特徴とする第1項又は第2項に記載のガラス物品の製造方法。
4.使用前の前記クーラント液の陽イオン濃度を1.0としたとき、使用後のクーラント液の陽イオン濃度が1.3を超えたときに前記有効成分を補充することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のガラス物品の製造方法。
本発明の上記手段により、研削速度の劣化が少ないクーラント液を用いた研削工程を有するガラス物品の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
ガラスの研削が進むにしたがって、ガラス素材から溶出される陽イオンによってクーラント液中の陽イオン濃度が増加する。陽イオンの混入により、研削を効率的に行うために必要な有効成分が陽イオンと反応する。さらに進むと陽イオンが反応しきれなくなり、クーラント液中にイオンとして残ることになり、イオン濃度が増加し、研削性能が低下する。ガラス素材の研削においてクーラント液の使用前と使用後の陽イオン濃度を測定することで、クーラント液の劣化度を測定し、クーラント液の劣化度に応じて有効成分を補充することによりクーラント液の劣化を抑制し、研削速度の低下を抑制することができる。
クーラント液を循環供給しながらガラス素材を研削する工程のフロー図の一例 水溶性クーラント液の導電率と研削速度の回復に必要な補充量の一例 HDD用ガラス基板の製造工程図 第1及び第2研削工程で用いられる両面研削機の主要部の構成を示す部分側面図 図4のIII−III線に沿う矢視図であって下定盤及びキャリアの平面図
本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス素材に対してクーラント液を供給しながら研削する研削工程を有するガラス物品の製造方法であって、前記研削工程において使用された、使用前のクーラント液の陽イオン濃度と使用後のクーラント液の陽イオン濃度の測定値に基づき、前記ガラス素材から溶出される陽イオンにより消費されるクーラント液の有効成分を補充することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項4までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記クーラント液の陽イオン濃度の測定を、電気伝導度の測定により行うことが好ましい。また、前記有効成分が脂肪酸であることが、本発明の効果発現の観点から好ましい。
さらに、本発明においては、使用前の前記クーラント液の陽イオン濃度を1.0としたとき、使用後のクーラント液の陽イオン濃度が1.3を超えたときに前記有効成分を補充することが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《ガラス物品の製造方法の概要》
本発明のガラス物品の製造方法は、ガラス素材に対してクーラント液を供給しながら研削する研削工程を有するガラス物品の製造方法であって、前記研削工程において使用された、使用前のクーラント液の陽イオン濃度と使用後のクーラント液の陽イオン濃度の測定値に基づき、前記ガラス素材から溶出される陽イオンにより消費されるクーラント液の有効成分を補充することを特徴とする。
本発明の、ガラス物品の製造方法において、製造されるガラス物品は、ハードディスクドライブ(HDD)用ガラス基板、光学レンズ等研削工程を経て製造されるガラス物品である。本発明においてガラス物品の製造方法は、特にガラス基板HDDの研削工程に好ましく適用できる。
以下図を用いて本発明の製造方法の特徴について説明する。
図1は、クーラント液を循環供給しながらガラス素材を研削する工程のフロー図の一例である。図中の矢印はクーラント液の流れを示している。フィルター1を通して供給されたクーラント液の存在下、ガラス素材2は、研削工程において、研削パッド3、例えばダイヤモンドパッドにより研削される。使用済みのクーラント液は、一旦貯蔵槽4に集められる。その後遠心分離機5により遠心分離され、白濁成分とスラッジ6が除去され、貯蔵槽7に貯蔵される。貯蔵槽7に貯蔵された使用済みのクーラント液は、再使用される前にイオン濃度が測定される。この使用後のクーラント液とあらかじめ測定された使用前の新液のクーラント液のイオン濃度とを比較して、閾値を越えたイオン濃度が検出された場合には、クーラント液が劣化したと判定し、必要量の有効成分をそれぞれ補充槽8から使用済みのクーラント液に補充して再使用する。このようにして、クーラント液を循環使用していても、新液での研削速度に匹敵する研削速度を維持することができる。
《クーラント液の劣化》
クーラント液は、ガラスの研削が進むにしたがって、研削物が混入するためにクーラント液中の陽イオン濃度が増加する。陽イオンの混入により、研削を効率的に行うために必要な成分が陽イオンと反応する。さらに進むと陽イオンが反応しきれなくなり、クーラント液中にイオンとして残ることになり、陽イオン濃度が増加する。つまり潤滑性、消泡性、防錆性、耐摩耗性を有する成分が陽イオンと反応してしまいクーラント液の性質が変化する。したがって水溶性クーラント液の研削性能が低下し、加工時間、加工圧力等の調整が必要となり生産性が低下する。
本発明では、ガラス素材の研削においてクーラント液の使用前と使用後の陽イオン濃度を測定することで、クーラント液の劣化度を測定し、クーラント液の劣化度に応じて有効成分を補充することによりクーラント液の劣化を抑制し、研削速度の低下を抑制することができる。陽イオン濃度の測定は、電気伝導度の測定(以下導電率ともいう。)により行うことが好ましい。陽イオン濃度の増加と電気伝導度の増加は比例関係にあるので、使用前のクーラント液の電気伝導度と使用後のクーラント液の電気伝導度の測定値に基づき、ガラス素材から溶出される陽イオンにより消費されるクーラント液の有効成分を補充することができる。
例えば、図2は水溶性クーラント液の導電率(mS/cm)と研削速度の回復に必要な有効成分の補充量(ml)を示している。この図は、クーラント液としてアミン系化合物と脂肪酸とその他の組成のもので、0.5時間から15時間、ガラス研削した後、有効成分として脂肪酸を補充した例である。水溶性クーラント液2L当たりの有効成分の補充量で示した。導電率の上昇率の割合が高いクーラント液ほど、研削速度の回復に必要な補充量も多く必要で、導電率の増加とクーラント液の劣化度は比例関係にあることがわかる。
《研削工程》
研削工程は、クーラント液を用いてガラス素材を研削する工程である。
ガラス素材としては、特に限定されることがなく、例えば、光学的用や基板用に用いられる公知のガラス素材を用いることができる。具体的には、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、結晶化ガラス等のガラスセラミック、リン酸系ガラス又はランタン系ガラス等を挙げることができる。
本発明においては固定砥粒を用いて表面研削加工を行うことが好ましい。固定砥粒パッドを上下定盤に装着することが好ましい。この固定砥粒パッドは、基材に研削砥粒を散在させてなるものである。例えば、固定砥粒パッドとしては、ダイヤモンドシートが挙げられる。このダイヤモンドシートは、基材であるシートにダイヤモンド砥粒を研削砥粒として備えたものである。基材としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)などを用いることができる。
研削面は平面であっても、球面であってもかまわない。例えば光学レンズにおける球面研削の場合、球心揺動型研削盤を用いることができる。
また研削工程は複数設けることができる。例えば第1研削工程では粗く、第2研削工程ではより滑らかに研削することができる。本発明では、少なくとも、第2研削工程に本発明に係るクーラント液を用いて研削する。
(クーラント液)
クーラント液は一般に、素材を切削や研削を行うことにより除去加工する工程で使用される。研削工程では研削時に摩擦熱が生じてしまうため、潤滑性を保持するクーラント液が必要となる。クーラント液は安全面や扱いやすさ、及びイオン濃度の測定のし易さから水溶性クーラント液であることが好ましい。
水溶性クーラント液には潤滑性、消泡性、防錆性、耐摩耗性、キレート性、分散性を有する液となるような化合物が含まれる水溶液である。潤滑性、消泡性、防錆性、耐摩耗性、キレート性、分散性の性質を有することにより、研削物を効率的に研削することができる。研削効率や研削精度は潤滑性、消泡性、耐摩耗性の成分の状態変化や、成分量の不足により変化する。防錆剤は加工装置等の腐食を防ぐ役割がある。
クーラント液に含有される化合物の代表的な例としては、防錆剤の代表的な例としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミンといった一級アミン、二級アミン、三級アミンが挙げられる。乳化剤としては脂肪酸や芳香族カルボン酸等、カルボキシ基を含む化合物が代表的である。また、そのほかの化合物としてはEDTA、pH調整剤、グリコール等が挙げられる。
具体的には、クーラント液と使用される各種の構成成分としては、水溶性のポリエーテル、炭化水素系潤滑油、乳化剤、極圧剤、油性剤および防錆剤等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用してもよい。
水溶性のポリエーテルとしては、例えば数平均分子量500〜20000のポリエチレングリコール、プルロニック型界面活性剤、ポリエチレングリコールのPOブロック付加体、2価アルコールのEO/POランダム付加体(20〜40モル付加)、又はグリセリン、ソルビトール等の3〜6価の多価アルコールのEO/POランダム付加(20〜100モル付加)体等が挙げられる。水溶性ポリエーテルの含有量は、水溶性金属加工油の質量に基づいて、好ましくは40%以下である。
炭化水素系潤滑油としては、溶剤精製油、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、ポリ−α−オレフィン(重量平均分子量200〜4000)、ポリブテン(重量平均分子量200〜4000)等が挙げられる。これらの内好ましいのは、溶剤精製油、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油である。炭化水素系潤滑油の含有量は、水溶性金属加工油の質量に基づいて、好ましくは70%以下である。
乳化剤としては、例えば炭素数10〜40のスルホン酸類(アルキルベンゼンスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸等)のNa、K塩等、炭素数3〜22の脂肪酸類(プロピオン酸、リノール酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ひまし油脂肪酸等)のNa、K塩等、これら脂肪酸と数平均分子量500〜5000のポリエチレングリコールとをエステル化したPEGエステル等及び炭素数2〜24のアルコール(エタノール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール等)にエチレンオキサイドを2〜40モル付加した非イオン活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル及びこれらのエチレンオキサイドを5〜40モル付加した非イオン活性剤等が挙げられる。乳化剤の使用量は、水溶性金属加工油の質量に基づいて好ましくは30%以下である。
極圧剤としては、ジアルキル(C1〜36)ジチオリン酸亜鉛、例えばジオクチルジチオリン酸亜鉛及びジアリルジチオリン酸亜鉛;炭素数3〜60の有機硫化物、例えばジラウリルチオジプロピオネート及びテトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等が挙げられる。極圧剤の使用量は、水溶性金属加工油の質量に基づいて好ましくは5%以下である。
油性剤としては、例えば、炭素数8〜22の脂肪酸のアミン塩又はアルカリ金属塩、炭素数8〜22のアルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩及び炭素数8〜22の脂肪酸と炭素数8〜22の1価アルコール又は2〜6価若しくはそれ以上の多価ルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ネオペンチルアルコール、ペンタエリスリトール等)のエステル、動植物油等が挙げられる。油性剤の使用量は、水溶性金属加工油の質量に基づいて好ましくは20%以下である。
防錆剤としては、例えば、炭素数2〜36の有機アミン(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、脂肪族アミン、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、オレイルアミン;脂環式アミン、例えばシクロヘキシルアミン;複素環式アミン、例えばモルホリン;炭素数6〜36の脂肪族カルボン酸アミド(カプリル酸、ラウリル酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸のアミド等);炭素数6〜24の二塩基酸アミド(アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、ダイマー酸のアミド等);炭素数6〜36のアルケニルコハク酸アミド(オクテニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸のアミド等);芳香族カルボン酸アミド(安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、ニトロ安息香酸のアミド等);シクロヘキシルアミンナイトライト;ベンゾトリアゾール;メルカプトベンゾチアゾール;N,N’−ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン;アリザリン等が挙げられる。上記アミドの構成成分であるアミンとしては、前記のアミン及びアンモニアが挙げられる。防錆剤の使用量は、水溶性金属加工油の質量に基づいて好ましくは10%以下である。
クーラント液の組成は上記に示したが、連続研削したとき高い研削速度の維持と本発明の効果の発現からの観点から、特に、防錆剤としてアミン系化合物の濃度は、クーラント液に対して1質量%以上、乳化剤として脂肪酸の濃度は、0.05質量%以上であることが好ましい。
《イオン濃度の測定》
研削が進むにしたがって、増加するイオンとしては、ガラス素材の成分であるNaイオン、Kイオン、Liイオン、Caイオン、Znイオン、Bイオンなどがある。イオン濃度(mol/L)の測定は測定の容易さ、イオン濃度との相関性から電気伝導度(mS/cm)の測定により行うことが好ましい。
クーラント液の導電率を測定する方法として、特に制限はないが、例えば、コンパクト電気伝導率計<LAQUAtwin>B−771(HORIBA社製)を用いることができる。
研削を行う加工機に取り付けた、貯蔵タンクに置いて、クーラント液を適当量取り出し、導電率計を用いて温度25℃にて、クーラント液の導電率を測定する。
《判定》
上記測定したイオン濃度から研削後のクーラント液の劣化度を判定することができる。未使用クーラント液の場合、クーラント液の組成物の濃度と導電率は比例関係にある。クーラント液の組成物の濃度が高くなると導電率の値も高くなる。研削が進むと前述のように陽イオン濃度が高くなる。本発明では、研削が進むことにより増加するイオン濃度を、クーラント液の劣化の判定に用いる。したがって使用前のクーラント液と使用済みのクーラント液の導電率の値の変化を比較して、クーラント液の劣化度を判定する。
イオン濃度は、例えば、貯蔵槽にためられた水溶性クーラント液の導電率を日々測定することができる。
使用前の前記クーラント液のイオン濃度を1.0としたとき、使用後のクーラント液のイオン濃度が1.3を超えたときに前記有効成分を補充することが好ましい。この変化は導電率の変化で測定することができる。
《クーラント液の有効成分の補充》
本発明において使用済みにクーラント液に補充される有効成分とは、使用前のクーラント液に含まれる成分をいう。使用前のクーラント液に含まれる成分の全てを添加する必要はなく、陽イオン等により、研削が進むにしたがって消費する成分だけで良い。添加剤の主成分は使用するクーラント液により異なるが、特に防錆剤としてのアミン系化合物及び乳化剤としての脂肪酸をクーラント液の有効成分として、使用済みのクーラント液に補充することが好ましい。特に、研削が進むにしたがって増加する陽イオンで多く消費されてしまう脂肪酸を補充することが好ましい。必要であれば酸や塩基を加え、pHの調整を行うこともできる。
有効成分の補充量は、処方の異なるクーラント液ごとに、研削速度の低下と導電率の上昇率の関係、及び導電率の上昇率が閾値に達したとき研削速度を回復するために必要な有効成分の補充量の関係をあらかじめ求めておき、導電率の上昇率が閾値に達したとき研削速度を回復するために必要な有効成分を補充することができる。また、導電率の上昇率が閾値以下であっても、導電率の増加の割合に応じて有効成分を補充することができる。この場合研削速度の低下を少ない状態で維持することができる。
有効成分を補充しても、総イオン量は増えるので、導電率は下がるわけではない。したがって、有効成分を補充した直後の導電率を記録しておき、研削を続け、この値に対して導電率の上昇率が閾値に達したとき、次の補充を行なうことにより、良好な研削速度を維持しつつ繰り返してクーラント液を用いることができる。
有効成分の補充方法としては、研削工程において水溶性クーラント液の貯蔵槽、または送液のためにライン内に取り付けたタンクに補充する方法がある。
貯蔵槽の液を全量交換し未使用のクーラント液と交換しなくとも、有効成分の補充のみで研削速度の回復を行うことができるため生産効率が高い状態を維持できる。さらに、生産工程を停止することなく速度を回復させることができる。
また、本発明の製造方法は、連続研削しクーラント液を循環して繰り返し使う場合に特に有効である。
以下ガラス物品が、HDD用ガラス基板である場合を例にとって、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
<HDD用ガラス基板の製造方法>
図3に示した工程図を参照して、HDD用ガラス基板の製造方法を説明する。
[ガラス溶融工程]
まず、ガラス溶融工程として、ガラス素材を溶融する。ガラス基板の素材としては、例えば、SiO、NaO、CaOを主成分としたソーダライムガラス;SiO、Al、RO(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラス;ボロシリケートガラス;LiO−SiO系ガラス;LiO−Al−SiO系ガラス;R’O−Al−SiO系ガラス(R’=Mg、Ca、Sr、Ba)等を使用することができる。これらのなかでも、アルミノシリケートガラスやボロシリケートガラスは、耐衝撃性や耐振動性に優れるため特に好ましい。
[成形工程]
次に、成形工程として、溶融したガラス素材を下型に流し込み、上型によってプレス成形して円板状のガラス基板(ブランクス)を得る。なお、ブランクスは、プレス成形に限られず、例えばダウンドロー法やフロート法等で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよい。この成形工程において、ブランクスの表面近傍には、異物や気泡が混入し、あるいはキズがついて、欠陥が発生する。
ガラス基板、すなわちブランクスの大きさに限定はない。例えば、外径が2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチ等の種々の大きさのガラス基板がある。ガラス基板の厚さにも限定はない。例えば、2mm、1mm、0.8mm、0.63mm等の種々の厚さのガラス基板がある。
[熱処理工程]
次に、熱処理工程として、プレス成形や切り出しによって作製されたガラス基板を耐熱部材のセッターと交互に積層し、高温の電気炉を通過させることにより、ガラス基板の反りの低減やガラスの結晶化を促進させる。
[第1研削工程]
次に、第1研削工程として、ガラス基板の両表面を研削加工し、ガラス基板の平行度、平坦度及び厚さを予備調整する。
[コアリング加工工程]
次に、コアリング加工工程として、第1研削工程後のガラス基板の中心部に円形の穴を開ける。穴開けは、例えば、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリル等で研削することにより行う。
[内・外径加工工程]
次に、内・外径加工工程として、ガラス基板の外周端面及び内周端面を、例えばダイヤモンド等を用いた鼓状の研削砥石により研削することで内・外径加工する。
[第2研削工程]
次に、第2研削工程として、ガラス基板の両表面を再び研削加工し、ガラス基板の平行度、平坦度及び厚さを微調整する。
第1及び第2研削工程では、図4及び図5に示すように、遊星歯車機構を利用した両面研削機と称される公知の研削機が使用できる。両面研削機10は、互いに平行になるように上下に配置された円盤状の上定盤11と下定盤12とを備えており、互いに逆方向に回転する。この上下の定盤11,12の対向するそれぞれの面にガラス基板の主表面を研削するためのダイヤモンドペレット13,14が貼り付けられている。上下の定盤11,12の間には、下定盤12の回転軸の周囲に設けてあるサンギア15と下定盤12の外周に円環状に設けてあるインターナルギア16とに結合して回転する複数のキャリア17が配設されている。このキャリア17には、複数の穴18が形成されており、この穴18にガラス基板(図示せず)が遊嵌合されて保持される。上下の定盤11,12、サンギア15及びインターナルギア16は、それぞれ別駆動で動作する。
両面研削機10の研削動作はおよそ次のようにして行われる。すなわち、上下の定盤11,12が互いに逆方向に回転すると、ダイヤモンドペレット13,14を介して上下の定盤11,12間に挟まれているキャリア17は、複数のガラス基板を保持した状態で、自転しながら定盤11,12の回転中心に対して下定盤12と同じ方向に公転する。このように動作している両面研削機10に対して、上定盤11のダイヤモンドペレット13とガラス基板との間、及び、下定盤12のダイヤモンドペレット14とガラス基板との間に前述したクーラント液を供給することにより、ガラス基板の研削が行われる。本発明に係るクーラント液は第2研削工程で少なくとも使用される。
この両面研削機10を使用する際、ガラス基板に加わる定盤11,12の加重及び定盤11,12の回転数を所望の研削状態に応じて適宜調整する。第1及び第2研削工程における加重は、60〜120g/cmとするのが好ましい。また、定盤11,12の回転数は、10〜30rpm程度とし、上定盤11の回転数を下定盤12の回転数よりも30〜40%程度遅くするのが好ましい。定盤11,12による加重を大きくし、定盤11,12の回転数を速くすると、研削量は多くなるが、加重が大きすぎると面粗さが良好とならず、回転数が速すぎると平坦度が良好とならない。また、定盤11,12の加重を小さくし、定盤11,12の回転数を遅くすると、研削量が少なくなり、製造効率が低くなる。
第2研削工程を終えた時点で、ガラス基板の大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥はほぼ除去される。また、ガラス基板の主表面の面粗さは、Raが0.2〜0.4μm程度とするのが好ましい。このような面状態にしておくことで、次の第1ポリッシング工程での研磨を効率よく行うことができる。
なお、第1研削工程では、第2研削工程を効率よく行うことができるように大まかにガラス基板の大きなうねり、欠け、ひび等を除去する。そのため、第2研削工程で使用する粗さ#1300〜#1700メッシュより粗い#800〜#1200メッシュ程度のダイヤモンドペレット13,14を使用するのが好ましい。第1研削工程を終えた時点でのガラス基板の主表面の面粗さは、Raが0.4〜0.8μm程度とするのが好ましい。
また、第1及び第2研削工程の後、ガラス基板の表面に残ったクーラント液やガラス粉を除去するための洗浄工程を行うことが好ましい。
第1及び第2研削工程の研削量Qの上限値は特に限定されるものではないが、最終のガラス基板の厚さをtとしたときに、t×0.25が好ましい。
[端面研磨加工工程]
次に、端面研磨加工工程として、第2研削工程を終えたガラス基板の外周端面及び内周端面を、端面研磨機を用いて研磨加工する。
[第1ポリッシング工程]
次に、第1ポリッシング工程として、ガラス基板の両表面を研磨加工する。第1ポリッシング工程では、次の化学強化工程後に行われる第2ポリッシング工程で最終的に必要とされる面粗さが効率よく得られるようにガラス基板の表面の面粗さを向上させると共に、最終のガラス基板の形状が効率よく得られるように研磨加工を行う。
研磨の方法は、研削工程で使用したダイヤモンドペレット13,14及びクーラント液に代えて、研磨パッド及び研磨液を使用する以外は、図2及び図3に示した、第1及び2研削工程で使用する両面研削機10と類似の構成の両面研磨機を使用する。
研磨パッドは、硬度Aで80〜90程度の硬質パッドが好ましく、例えば発泡ウレタンを使用するのが好ましい。研磨パッドの硬度が研磨による発熱により軟らかくなると、研磨面の形状変化が大きくなるため、硬質パッドを用いるのが好ましい。
研磨液は、平均粒径が0.6〜2.5μmの酸化セリウムを砥粒として使用し、この砥粒を水に分散させてスラリー状にしたものが好ましい。水と砥粒との混合比率は、概ね1:9〜3:7程度が好ましい。
上下の定盤によるガラス基板への加重は、90〜110g/cmとするのが好ましい。
また、ガラス基板の主表面の面粗さを向上させるために、上下の定盤の回転数は、25〜50rpmとし、上定盤の回転数を下定盤の回転数よりも30〜40%程度遅くするのが好ましい。
第1ポリッシング工程での研磨量は25〜40μmとするのが好ましい。25μm未満では、キズや欠陥を十分に除去できない可能性がある。40μmを超えると、面粗さをRmaxが20〜60nm、Raが2〜4nmの範囲とすることができるが、必要以上に研磨を行うことになって製造効率が低下する可能性がある。
[化学強化工程]
次に、化学強化工程として、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬することにより、ガラス基板の主表面、外周端面及び内周端面に化学強化層(応力層)を形成する。
化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス基板を浸漬することによってガラス基板に含まれるリチウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンで置換するイオン交換法により行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス基板の主表面、外周端面及び内周端面が応力層によって強化される。ガラス基板の表面が応力層で強化される結果、ガラス基板の耐衝撃性がより一層改善される。化学強化処理液に特に制限はなく、公知の化学強化処理液を用いることができる。
応力層の厚さは特に限定されるものではないが、30μm未満が好ましい。応力層の厚さが30μm以上になると、その後の加工でガラス基板の表面の平坦度や表面粗さを所望の規格に仕上げるのが困難となって好ましくないからである。
[第2ポリッシング工程]
次に、第2ポリッシング工程として、化学強化工程後のガラス基板の両表面をさらに精密に研磨加工する。第2ポリッシング工程では、第1ポリッシング工程で使用する両面研磨機と類似の構成の両面研磨機を使用する。
第2ポリッシング工程で用いる研磨パッドは、第1ポリッシング工程で使用する研磨パッドよりも軟らかい硬度65〜80(Asker−C)程度の軟質パッドが好ましく、例えば発泡ウレタンやスウェードを使用するのが好ましい。
研磨液としては、第1ポリッシング工程と同様の酸化セリウム等を砥粒として含有するスラリーを用いることができる。ただし、ガラス基板の表面をより滑らかにするために、砥粒の粒径がより細かくバラツキが少ない研磨液を用いるのが好ましい。例えば、平均粒径が40〜70nmのコロイダルシリカを砥粒として水に分散させてスラリー状にしたものを研磨液として用いることが好ましい。水と砥粒との混合比率は、概ね1:9〜3:7程度が好ましい。
上下の定盤によるガラス基板への加重は、90〜110g/cmとするのが好ましい。また、上下の定盤の回転数は、15〜35rpmとし、上定盤の回転数を下定盤の回転数よりも30〜40%程度遅くするのが好ましい。
第2ポリッシング工程の研磨条件を適宜調整することにより、ガラス基板の主表面の平坦度を3μm以下、ガラス基板の主表面の面粗さRaを0.1nmまで小さくすることができる。
第2ポリッシング工程での研磨量は2〜5μmとするのが好ましい。研磨量をこの範囲とすることにより、ガラス基板の表面に発生した微小な荒れやうねり、あるいはこれまでの工程で発生した微小なキズ痕といった微小欠陥を良好に除去することができる。
[洗浄工程]
次に、洗浄工程として、第2ポリッシング工程後のガラス基板をスクラブ洗浄する。ただし、スクラブ洗浄に限られず、ポリッシング工程後のガラス基板の表面を清浄にできる洗浄方法であればいずれの洗浄方法でも構わない。
スクラブ洗浄されたガラス基板に対して、必要により、超音波による洗浄及び乾燥処理が行われる。乾燥処理は、ガラス基板の表面に残る洗浄液をIPA(イソプロピルアルコール)等を用いて除去した後、ガラス基板の表面を乾燥させる処理である。例えば、スクラブ洗浄後のガラス基板に水リンス洗浄工程を2分間行ない、洗浄液の残渣を除去する。次に、IPA洗浄工程を2分間行い、ガラス基板の表面に残る水をIPAにより除去する。最後に、IPA蒸気乾燥工程を2分間行い、ガラス基板の表面に付着している液状のIPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させる。
ガラス基板の乾燥処理としてはこれに限定されるわけではなく、スピン乾燥、エアーナイフ乾燥等、ガラス基板の乾燥方法として一般的に知られたいずれの乾燥方法でも構わない。
[検査工程]
次に、検査工程として、ガラス基板のキズ、割れ、異物の付着等の有無を目視にて検査する。目視では判別できない場合は、光学表面アナライザ(例えば、KLA−TENCOL社製の「OSA6100」)を用いて検査を行う。
検査工程で良品と判定されたガラス基板は、異物等が表面に付着しないように、清浄な環境の中で、専用収納カセットに収納され、真空パックされた後、HDD用ガラス基板として出荷される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
<HDD用ガラス基板の製造>
図1の製造工程に従って、HDD用ガラス基板を製造した。
[1.ガラス溶融工程、成形工程]
ガラス素材として、Tgが480℃のアルミノシリケートガラスを用い、溶融したガラス素材をプレス成形して、外径が68mmの円板状のブランクスを作製した。ブランクスの厚さは、0.95mmとした。
[2.熱処理工程]
外形が70mm、厚さが2mm、材質がアルミナのセッターとブランクスとを交互に積層し、約430℃に設定された高温の電気炉を2時間かけて通過させることにより、ブランクスの反りや内部応力を低減させた。
[3.第1研削工程]
ブランクスの両表面を両面研削機(HAMAI社製)を用いて研削加工した。研削条件として、ダイヤモンドペレットは#1200メッシュのものを用い、加重は100g/cmとし、上定盤の回転数は20rpmとし、下定盤の回転数は30rpmとした。得られたブランクスの平坦度は15μm、表面粗さRaは0.5μmであった。
[4.コアリング加工工程]
円筒状のダイヤモンド砥石を備えたコアドリルを用いてブランクスの中心部に直径が18mmの円形の穴を開けた。
[5.内・外径加工工程]
鼓状のダイヤモンド砥石を用いて、ブランクスの外周端面及び内周端面を、外径65mm、内径20mmに内・外径加工した。
[6.第2研削工程]
ブランクスの両表面を両面研削機(HAMAI社製)を用いて再び研削加工した。研削条件として、ダイヤモンドペレットは#1700メッシュのものを用い、加重は100g/cmとし、上定盤の回転数は20rpmとし、下定盤の回転数は30rpmとした。得られたブランクスの平坦度は10μm、表面粗さRaは0.25μmであった。
クーラント液は、未使用の新液を用い、研削時基板1cmあたり1.0ml/分の速度で供給した。使用後のクーラント液は回収して遠心分離にかけ、白濁成分とスラッジを取り除いた。
このとき使用したクーラント液の組成は以下のとおりである。
(1L当たりのクーラント液の組成)
ジエチレングリコール 30.0g
トリエタノールアミン 12.5g
プロピオン酸 2.5g
EDTA 3.5g
水 951.5g
第1及び第2研削工程の合計の研削量Qは、0.12mmとした。その結果、ブランクスの厚さは、0.83mmとなった。
[7.端面研磨加工工程]
ブランクスを100枚重ね、この状態で、ブランクスの外周端面及び内周端面を、端面研磨機を用いて研磨加工した。研磨機のブラシ毛として、直径が0.2mmのナイロン繊維を用いた。研磨液は、平均粒径が3μmの酸化セリウムを砥粒として含有するスラリーを用いた。得られたブランクスの内周端面の面粗さは、Raが0.03μmであった。
[8.第1ポリッシング工程]
ブランクスの両表面を両面研磨機(HAMAI社製)を用いて研磨加工した。研磨条件として、研磨パッドは、硬度Aで80度の発泡ウレタン製のものを用い、研磨液は、平均粒径が1.5μmの酸化セリウムを砥粒として水に分散させてスラリー状にしたものを用い、水と砥粒との混合比率は、2:8とした。また、加重は100g/cmとし、上定盤の回転数は30rpmとし、下定盤の回転数は50rpmとした。得られたブランクスの平坦度は4μm、表面粗さRaは0.7nmであった。
第1ポリッシング工程の研磨量は、実施例1〜3及び比較例1のいずれも25μmとした。
[9.化学強化工程]
ブランクスを化学強化処理液に浸漬してブランクスの表面に化学強化層(応力層)を形成した。化学強化処理液として、硝酸カリウム(KNO)と硝酸ナトリウム(NaNO)との混合溶融塩の水溶液を用いた。混合比は質量比で1:1とした。化学強化処理液の温度は380℃とし、浸漬時間は25分とした。得られた応力層の厚さは約10μmであった。
[10.第2ポリッシング工程]
ブランクスの両表面を両面研磨機(HAMAI社製)を用いてさらに精密に研磨加工した。研磨条件として、研磨パッドは、硬度がAsker−Cで70度の発泡ウレタン製のものを用い、研磨液は、平均粒径が60nmのコロイダルシリカを砥粒として水に分散させてスラリー状にしたものを用い、水と砥粒との混合比率は、2:8とした。また、加重は90g/cmとし、上定盤の回転数は20rpmとし、下定盤の回転数は30rpmとした。得られたガラス基板の平坦度は2μm、表面粗さRaは0.1nmであった。
第2ポリッシング工程の研磨量は、いずれも5μmとした。
[11.洗浄工程]
ガラス基板をスクラブ洗浄した。洗浄液として、水酸化カリウム(KOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)とを質量比で1:1に混合したものを超純水(DI水)で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加して得られた液体を用いた。洗浄液の供給は、スプレー噴霧によって行った。スクラブ洗浄後、ガラス基板の表面に残る洗浄液を除去するために、水リンス洗浄工程を超音波槽で2分間行い、IPA洗浄工程を超音波槽で2分間行い、最後に、IPA蒸気によりガラス基板の表面を乾燥させた。
(使用後のクーラント液の研削速度)
上記のHDDのガラス基板の製造において、研削工程におけるクーラント液を循環使用し、さらに使用毎に遠心分離を施して、クーラント液の導電率が表1になるまでそれぞれ研削を繰り返して、クーラント液2〜クーラント液7を得た。クーラント液1は未使用の新液のクーラント液である。導電率は、クーラント液1に対する相対値として表1に示した。
これらのクーラント液を用いて研削したときの研削速度をそれぞれ求めた。
研削速度は、第2研削工程において、同一時間の研削加工における、ガラス板の厚さの減少を測定し、クーラント液1に対する厚さの比の値を測定して、以下の評価基準にてランク付けを行った。値の低いほうが研削速度が低いことを示している。
○:0.95以上1.0以下
△:0.8以上0.95未満
×:0.8未満
(導電率の測定)
導電率の測定は、コンパクト電気伝導率計<LAQUAtwin>B−771(HORIBA社製)を用いて、温度25℃で行った。
Figure 2014217904
表1より、導電率が増加するにつれ、研削速度が低下することが分かる。
また、研削速度は0.8以上あれば実用に供されるが、0.8未満では研削速度が遅く生産性に支障をきたす。使用後の導電率が使用前の導電率に対して1.3を超えた場合有効成分を補充することが好ましいことが分かった。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、研削工程においてクーラント液の導電率が表2の有効成分投入前の導電率になるまでそれぞれ繰り返し使用してクーラント液11〜クーラント液17の有効成分投入前のクーラント液を得た。クーラント液11は未使用の新液のクーラント液である。導電率は、クーラント液11に対する相対値として表2に示した。pH値の調整等は行わなかった。
クーラント液11〜クーラント液17の有効成分投入前のクーラント液に対して、有効成分としてプロピオン酸を、クーラント液10L当たりに対して表2に示した量それぞれ補充して、有効成分投入後の導電率と研削速度を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2014217904
表2から、実施例1で示した研削速度の劣化が、有効成分の追加により全て、未使用の新液の研削速度に対して相対速度が0.95以上1.0以下の範囲にまで回復していることが分かる。
1 フィルター
2 ガラス素材
3 研削パッド
4、7 貯蔵槽
5 遠心分離機
6 白濁成分とスラッジ
8 補充槽
10 両面研削機
11、12 定盤
13、14 ダイヤモンドペレット
15 サンギア
16 インターナルギア
17 キャリア
18 複数の穴

Claims (4)

  1. ガラス素材に対してクーラント液を供給しながら研削する研削工程を有するガラス物品の製造方法であって、前記研削工程において使用された、使用前のクーラント液の陽イオン濃度と使用後のクーラント液の陽イオン濃度の測定値に基づき、前記ガラス素材から溶出される陽イオンにより消費されるクーラント液の有効成分を補充することを特徴とするガラス物品の製造方法。
  2. 前記クーラント液の陽イオン濃度の測定を、電気伝導度の測定により行うことを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
  3. 前記有効成分が脂肪酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス物品の製造方法。
  4. 使用前の前記クーラント液の陽イオン濃度を1.0としたとき、使用後のクーラント液の陽イオン濃度が1.3を超えたときに前記有効成分を補充することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のガラス物品の製造方法。
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