JP2014216370A - 積層型インダクタ素子およびその製造方法 - Google Patents

積層型インダクタ素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【構成】積層体12は、コイル導体CP2〜CP5がそれぞれ印刷された磁性のセラミックシートSH2〜SH5と、コイル導体CP1が印刷された非磁性のセラミックシートSH1と、何も印刷されていない非磁性のセラミックシートSH6とを積層してなる。ビア導体VH1a〜VH5aおよびVH1b〜VH5bは、積層体12の一方主面に露出した両端を有するインダクタをコイル導体CP1〜CP5とともになすべく、積層体12の積層方向に形成される。パッド電極14aおよび14bは、積層体12の下面に露出したビア導体VH1aおよびVH1bをそれぞれ覆うべく、積層体12の下面に形成される。積層体12の内部には、インダクタの延在方向に延びかつインダクタの両端に相当する2つの位置の各々に開口を有する単一の空隙が形成される。【効果】積層型インダクタ素子の信頼性が向上する。【選択図】図1

Description

この発明は、積層型インダクタ素子に関し、特に、複数の磁性体層を積層してなる積層体と、積層体に埋め込まれたインダクタとを備える、積層型インダクタ素子に関する。
この発明はまた、このような積層型インダクタ素子を製造する製造方法に関する。
この種の積層型インダクタ素子およびその製造方向の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1によれば、カーボンペーストが印刷された内部導体パターンを各々が有する複数の磁性体シートが積層され、この積層体の上下に内部導体パターンを有しないダミーの磁性体シートがさらに積層される。積層されたこれらのシートは、圧着によって一体化された後に焼成される。カーボンペーストは焼成によって焼失し、これによって焼結体の内部に空洞層が形成される。
焼結体にはセラミックと導体との間の熱膨張率の相違に起因して応力が発生するところ、この応力は焼結体に形成された空洞層で緩和される。これによって、応力歪に起因する磁気特性の低下を回避することができる。
特開平8−64421号公報(段落0042,0059参照)
しかし、カーボンペーストは導電性であるため、その一部が焼失することなく残渣として残ると、積層方向において隣り合う2つの内部導体パターンの間の距離が実質的に短縮される。このような距離の短縮は、インダクタの耐電性の低下ひいては素子の信頼性の低下を引き起こすおそれがある。
それゆえに、この発明の主たる目的は、素子の信頼性を確保することができる、積層型インダクタ素子およびその製造方法を提供することである。
この発明に従う積層型インダクタ素子(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、複数のコイル導体(CP1~CP5)がそれぞれ印刷されかつ少なくとも一部が磁性を有する複数のシート(SH1~SH5)を積層してなる積層体(12)と、積層体の一方主面に露出した両端を有するインダクタを複数のコイル導体とともになすべく積層体の積層方向に形成された複数のビア導体(VH1a~VH5a, VH1b~VH5b)と、複数のビア導体のうち積層体の一方主面に露出した2つのビア導体をそれぞれ覆うべく積層体の一方主面に形成された2つのパッド電極(14a, 14b)と、を有する積層型インダクタ素子(10)であって、積層体は、インダクタの延在方向に沿って充填された焼失材(CBP)の焼失によって形成され、インダクタの両端に相当する2つの位置で開口する空隙(SP1~SP5, HL1a~HL5a, HL1b~HL5b)を有し、2つのパッド電極は焼失材の焼失の後に形成された電極に相当する。
好ましくは、積層体の一方主面に露出した2つのビア導体の各々は貫通孔を有し、空隙の開口は貫通孔の端部に相当する。
好ましくは、インダクタは積層方向に延びる巻回軸を有する。
好ましくは、焼失材はカーボンペースト(CBP)に相当する。
この発明に従う積層型インダクタ素子(10)の製造方法は、少なくとも一部が磁性を有して積層される複数のシート(BS1~BS5)の各々に複数の第1孔(MH1a~MH5a, MH1b~MH5b)を形成する第1工程と、第2孔(HL1a~HL5a, HL1b~HL5b)を各々が有する複数のビア導体(VH1a~VH5a, VH1b~VH5b)を第1工程によって形成された複数の第1孔にそれぞれ形成する第2工程と、第2工程によって形成された複数のビア導体とともにインダクタをなすコイル導体(CP1~CP5)を複数のシートの各々に形成する第3工程と、インダクタの延在方向に延びかつインダクタの両端に相当する2つの位置で開口する空隙を焼成によって形成するべく焼失材(CBP)を複数のシートの各々に形成する第4工程と、第4工程の後に複数のシートを積層して作製される積層体(LB1)を焼成する第5工程と、第5工程によって焼成された積層体の一方主面にインダクタの両端として露出した2つのビア導体をそれぞれ覆う2つのパッド電極(14a, 14b)を形成する第6工程と、を有する。
好ましくは、第4工程は第3工程によって形成されたコイル導体の上に焼失材を形成する工程を含む。
さらに好ましくは、第4工程は第2工程によって形成された第2孔に焼失材を充填する工程をさらに含む。
好ましくは、第5工程によって形成された空隙(SP1~SP5, HL1a~HL5a, HL1b~HL5b)に残存する残渣を第6工程の前に排除する第7工程をさらに有する。
好ましくは、インダクタは複数のシートの積層方向に沿って延びる巻回軸を有する。
好ましくは、焼失材はカーボンペースト(CBP)に相当する。
この発明によれば、焼失材の焼失によって形成された空隙は、積層体の内部をインダクタの延在方向に延びて、インダクタの両端に相当する2つの位置で開口する。また、インダクタの両端として積層体の一方主面に露出した2つのビア導体をそれぞれ覆う2つのパッド電極は、焼失材の焼失の後に形成される。
積層体に空隙を形成することで、シートと導体との間の熱膨張係数の相違に起因する応力歪みが緩和され、ひいては積層体にクラックが発生する現象が回避される。また、空隙は開口を有するため、酸素不足に起因して空隙に残渣が残る事態が回避され、これによってインダクタの耐電性が向上する。さらに、開口をパッド電極で覆うことで、異物の進入が回避される。こうして、積層型インダクタ素子の信頼性が確保される。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
この実施例の積層型インダクタ素子を分解した状態を示す分解図である。 (A)は積層型インダクタ素子を形成するセラミックシートSH1の一例を示す平面図であり、(B)は積層型インダクタ素子を形成するセラミックシートSH2の一例を示す平面図であり、(C)は積層型インダクタ素子を形成するセラミックシートSH3の一例を示す平面図である。 (A)は積層型インダクタ素子を形成するセラミックシートSH4の一例を示す平面図であり、(B)は積層型インダクタ素子を形成するセラミックシートSH5の一例を示す平面図であり、(C)は積層型インダクタ素子を形成するセラミックシートSH6の一例を示す平面図である。 この実施例の積層型インダクタ素子の外観を示す斜視図である。 図4に示す積層型インダクタ素子のA−A断面図である。 (A)はセラミックシートSH1の製造工程の一部を示す工程図であり、(B)はセラミックシートSH1の製造工程の他の一部を示す工程図であり、(C)はセラミックシートSH1の製造工程のその他の一部を示す工程図であり、(D)はセラミックシートSH1の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。 (A)はセラミックシートSH1の製造工程の他の一部を示す工程図であり、(B)はセラミックシートSH1の製造工程のその他の一部を示す工程図であり、(C)はセラミックシートSH1の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。 (A)はセラミックシートSH2の製造工程の一部を示す工程図であり、(B)はセラミックシートSH2の製造工程の他の一部を示す工程図であり、(C)はセラミックシートSH2の製造工程のその他の一部を示す工程図であり、(D)はセラミックシートSH2の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。 (A)はセラミックシートSH2の製造工程の他の一部を示す工程図であり、(B)はセラミックシートSH2の製造工程のその他の一部を示す工程図であり、(C)はセラミックシートSH2の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。 (A)はセラミックシートSH3の製造工程の一部を示す工程図であり、(B)はセラミックシートSH3の製造工程の他の一部を示す工程図であり、(C)はセラミックシートSH3の製造工程のその他の一部を示す工程図であり、(D)はセラミックシートSH3の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。 (A)はセラミックシートSH3の製造工程の他の一部を示す工程図であり、(B)はセラミックシートSH3の製造工程のその他の一部を示す工程図であり、(C)はセラミックシートSH3の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。 (A)はセラミックシートSH4の製造工程の一部を示す工程図であり、(B)はセラミックシートSH4の製造工程の他の一部を示す工程図であり、(C)はセラミックシートSH4の製造工程のその他の一部を示す工程図であり、(D)はセラミックシートSH4の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。 (A)はセラミックシートSH4の製造工程の他の一部を示す工程図であり、(B)はセラミックシートSH4の製造工程のその他の一部を示す工程図であり、(C)はセラミックシートSH4の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。 (A)はセラミックシートSH5の製造工程の一部を示す工程図であり、(B)はセラミックシートSH5の製造工程の他の一部を示す工程図であり、(C)はセラミックシートSH5の製造工程のその他の一部を示す工程図であり、(D)はセラミックシートSH5の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。 (A)はセラミックシートSH5の製造工程の他の一部を示す工程図であり、(B)はセラミックシートSH5の製造工程のその他の一部を示す工程図であり、(C)はセラミックシートSH5の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。 積層型インダクタ素子の製造工程の一部を示す工程図である。 積層型インダクタ素子の製造工程の他の一部を示す工程図である。 積層型インダクタ素子の製造工程のその他の一部を示す工程図である。 積層型インダクタ素子の製造工程のさらにその他の一部を示す工程図である。
図1を参照して、この実施例の積層型インダクタ素子10は、13.56MHz帯における無線通信用のアンテナ素子として利用され、各々の主面が正方形をなして積層されたセラミックシートSH1〜SH6を含む。セラミックシートSH1〜SH6の各々の主面のサイズは互いに一致し、セラミックシートSH1およびSH6は非磁性体を有する一方、セラミックシートSH2〜SH5は磁性体を有する。
積層体12は直方体をなし、セラミックシートSH2〜SH5によって磁性層12aが形成され、セラミックシートSH1によって非磁性層12bが形成され、そしてセラミックシートSH6によって非磁性層12cが形成される。つまり、積層型インダクタ素子10をなす積層体12は、磁性体層12aが非磁性体層12bおよび12cによって挟持された積層構造を有する。積層体12の主面(=上面または下面)をなす正方形の各辺はX軸またはY軸に沿って延び、積層体12の厚みはZ軸に沿って増大する。
図2(A)を参照して、セラミックシートSH1の上面には、貫通孔HL1aを有するビア導体VH1aと、貫通孔HL1bを有するビア導体VH1bと、空隙SP1を有するコイル導体CP1とが形成される。ビア導体VH1aはX軸方向において上面中央位置よりも負側の位置に設けられ、ビア導体VH1bはX軸方向において上面中央位置よりも正側の位置に設けられる。また、コイル導体CP1は、上面中央位置とビア導体VH1bの位置とを結ぶように形成される。なお、空隙SP1は、厳密にはセラミックシートSH2の下面とコイル導体CP1の上面との間に形成される(詳細は後述)。
図2(B)を参照して、セラミックシートSH2の上面には、貫通孔HL2aを有するビア導体VH2aと、貫通孔HL2bを有するビア導体VH2bと、空隙SP2を有するコイル導体CP2とが形成される。ビア導体VH2aはX軸方向において上面中央位置よりも負側の位置に設けられ、ビア導体VH2bは上面中央位置に設けられる。また、コイル導体CP2は、X軸方向およびY軸方向の各々において上面中央位置よりも負側の位置からビア導体VH2bを囲むように延びて、ビア導体VH2aの位置に達する。なお、空隙SP2は、厳密にはセラミックシートSH3の下面とコイル導体CP2の上面との間に形成される(詳細は後述)。
図2(C)を参照して、セラミックシートSH3の上面には、貫通孔HL3aを有するビア導体VH3aと、貫通孔HL3bを有するビア導体VH3bと、空隙SP3を有するコイル導体CP3とが形成される。ビア導体VH3aはX軸方向およびY軸方向の各々において上面中央位置よりも負側の位置に設けられ、ビア導体VH3bは上面中央位置に設けられる。また、コイル導体CP3は、Y軸方向において上面中央位置よりも負側の位置からビア導体VH3bを囲むように延びて、ビア導体VH3aの位置に達する。なお、空隙SP3は、厳密にはセラミックシートSH4の下面とコイル導体CP3の上面との間に形成される(詳細は後述)。
図3(A)を参照して、セラミックシートSH4の上面には、貫通孔HL4aを有するビア導体VH4aと、貫通孔HL4bを有するビア導体VH4bと、空隙SP4を有するコイル導体CP4とが形成される。ビア導体VH4aはY軸方向において上面中央位置よりも負側の位置に設けられ、ビア導体VH4bは上面中央位置に設けられる。また、コイル導体CP4は、X軸方向において上面中央位置よりも正側でかつY軸方向において上面中央位置よりも負側の位置からビア導体VH4bを囲むように延びて、ビア導体VH4aの位置に達する。なお、空隙SP4は、厳密にはセラミックシートSH5の下面とコイル導体CP4の上面との間に形成される(詳細は後述)。
図3(B)を参照して、セラミックシートSH5の上面には、貫通孔HL5aを有するビア導体VH5aと、貫通孔HL5bを有するビア導体VH5bと、空隙SP5を有するコイル導体CP5とが形成される。ビア導体VH5aはX軸方向において上面中央位置よりも正側でかつY軸方向において上面中央位置よりも負側の位置に設けられ、ビア導体VH5bは上面中央位置に設けられる。また、コイル導体CP5は、ビア導体VH5aの位置とビア導体VH5bの位置とを結ぶように形成される。なお、空隙SP5は、厳密にはセラミックシートSH6の下面とコイル導体CP5の上面との間に形成される(詳細は後述)。なお、図3(C)に示すように、セラミックシートSH6は貫通孔や導体を有しない。
セラミックシートSH1〜SH6が上述のように構成されることから、図1に示す積層体12をZ軸方向から眺めたとき、ビア導体VH5aはコイル導体CP4の一方端と重なり、ビア導体VH4aはコイル導体CP3の一方端と重なり、ビア導体VH3aはコイル導体CP2の一方端と重なり、ビア導体VH2aはビア導体VH1aと重なる。
この結果、コイル導体CP1〜CP5,ビア導体VH1a〜VH5a,VH1b〜VH5bは螺旋状に接続され、これによってZ軸を巻回軸とする巻回体が形成される。巻回体の内側および外側には磁性体が存在するため、巻回体はインダクタとして機能する。
また、空隙SP1〜SP5は、貫通孔HL1a〜HL5aおよびHL1b〜HL5bと連通する。これによって、インダクタの両端に相当する2つの位置で積層体12の下面に開口する単一の空隙が積層体12の内部に形成される。
パッド電極14aは、ビア導体VH1aよりも格段に大きいサイズを有して、ビア導体VH1aを覆うように積層体12の下面に形成される。また、パッド電極14bは、ビア導体VH1bよりも格段に大きいサイズを有して、ビア導体VH1bを覆うように積層体12の下面に形成される。ビア導体VH1aはパッド電極14aと電気的に接続され、ビア導体VH1bはパッド電極14aと電気的に接続される。したがって、積層体12の下面に形成された2つの開口は、パッド電極14aおよび14bによってそれぞれ塞がれる。
こうして作製された積層体12つまり積層型インダクタ素子10は、図4に示す外観を有する。また、この積層型インダクタ素子10のA−A断面は図5に示す構造を有する。
なお、セラミックシートSH1およびSH6は非磁性(比透磁率:1)のフェライトを材料とし、熱膨張係数は“8.5”〜“9.0”の範囲の値を示す。また、セラミックシートSH2〜SH5は磁性(比透磁率:100〜120)のフェライトを材料とし、熱膨張係数は“9.0”〜“10.0”の範囲の値を示す。さらに、パッド電極14aおよび14b,コイル導体CP1〜CP5,ビア導体VH1a〜VH5aおよびVH1b〜VH5bは、銀を材料とし、熱膨張係数は“20”を示す。
セラミックシートSH1は、図6(A)〜図6(D)および図7(A)〜図7(C)に示す要領で作製される。まず、非磁性のフェライト材料からなるセラミックグリーンシートがマザーシートBS1として用意される(図6(A)参照)。ここで、X軸方向およびY軸方向に延びる複数の破線は切り出し位置を示す。この破線によって定義される複数の矩形の各々を“分割ユニット”と定義する。
次に、貫通孔MH1aおよびMH1bが分割ユニット毎にマザーシートBS1に形成される(図6(B)参照)。各分割ユニットに注目したとき、貫通孔MH1aはX軸方向において上面中央位置よりも負側の位置に設けられ、貫通孔MH1bはX軸方向において上面中央位置よりも正側の位置に設けられる。
続いて、導電ペーストCDPが貫通孔MH1aおよびMH1bに充填され(図6(C)参照)、各分割ユニットの上面中央位置と貫通孔MH1bの位置とを結ぶように導電ペーストCDPがマザーシートBS1の上面に印刷される(図6(D)参照)。貫通孔MH1aに充填された導電ペーストCDSはビア導体VH1aをなし、貫通孔MH1bに充填された導電ペーストCDSはビア導体VH1bをなし、マザーシートBS1の上面に印刷された導電ペーストCDPはコイル導体CP1をなす。
導電ペーストCDPの充填ないし印刷が完了すると、貫通孔HL1aおよびHL1bが分割ユニット毎に形成される(図7(A)参照)。貫通孔HL1aは貫通孔MH1aに充填された導電ペーストCDSを貫くように形成され、貫通孔HL1bは貫通孔MH1bに充填された導電ペーストCDSを貫くように形成される。
続いて、カーボンペーストCBPが貫通孔HL1aおよびHL1bに充填され(図7(B)参照)、同じカーボンペーストCBPが導電ペーストCDPの上に印刷される(図7(C)参照)。印刷されたカーボンペーストCBPが描く線は、印刷された導電ペーストCDPが描く線とほぼ同じ長さを有する。また、前者の線幅は後者の線幅よりも小さい。
セラミックシートSH2は、図8(A)〜図8(D)および図9(A)〜図9(C)に示す要領で作製される。まず、磁性のフェライト材料からなるセラミックグリーンシートがマザーシートBS2として用意される(図8(A)参照)。ここで、X軸方向およびY軸方向に延びる複数の破線は切り出し位置を示す。
次に、貫通孔MH2aおよびMH2bが分割ユニット毎にマザーシートBS2に形成される(図8(B)参照)。各分割ユニットに注目したとき、貫通孔MH2aはX軸方向において上面中央位置よりも負側の位置に設けられ、貫通孔MH2bは上面中央位置に設けられる。
続いて、導電ペーストCDPが貫通孔MH2aおよびMH2bに充填され(図8(C)参照)、同じ導電ペーストCDPが各分割ユニットの上面に印刷される(図8(D)参照)。各分割ユニットに注目したとき、印刷された導電ペーストCDPは、X軸方向およびY軸方向の各々において上面中央位置よりも負側の位置から貫通孔MH2bを囲むように延びて、貫通孔MH2aの位置に達する。
貫通孔MH2aに充填された導電ペーストCDSはビア導体VH2aをなし、貫通孔MH2bに充填された導電ペーストCDSはビア導体VH2bをなし、マザーシートBS2の上面に印刷された導電ペーストCDPはコイル導体CP2をなす。
導電ペーストCDPの充填ないし印刷が完了すると、貫通孔HL2aおよびHL2bが分割ユニット毎に形成される(図9(A)参照)。貫通孔HL2aは貫通孔MH2aに充填された導電ペーストCDSを貫くように形成され、貫通孔HL2bは貫通孔MH2bに充填された導電ペーストCDSを貫くように形成される。
続いて、カーボンペーストCBPが貫通孔HL2aおよびHL2bに充填され(図9(B)参照)、同じカーボンペーストCBPが導電ペーストCDPの上に印刷される(図9(C)参照)。印刷されたカーボンペーストCBPが描く線は、印刷された導電ペーストCDPが描く線とほぼ同じ長さを有する。また、前者の線幅は後者の線幅よりも小さい。
セラミックシートSH3は、図10(A)〜図10(D)および図11(A)〜図11(C)に示す要領で作製される。まず、磁性のフェライト材料からなるセラミックグリーンシートがマザーシートBS3として用意される(図10(A)参照)。ここで、X軸方向およびY軸方向に延びる複数の破線は切り出し位置を示す。
次に、貫通孔MH3aおよびMH3bが分割ユニット毎にマザーシートBS3に形成される(図10(B)参照)。各分割ユニットに注目したとき、貫通孔MH3aはX軸方向およびY軸方向の各々において上面中央位置よりも負側の位置に設けられ、貫通孔MH3bは上面中央位置に設けられる。
続いて、導電ペーストCDPが貫通孔MH3aおよびMH3bに充填され(図10(C)参照)、同じ導電ペーストCDPが各分割ユニットの上面に印刷される(図10(D)参照)。各分割ユニットに注目したとき、印刷された導電ペーストCDPは、Y軸方向において上面中央位置よりも負側の位置から貫通孔MH3bを囲むように延びて、貫通孔MH3aの位置に達する。
貫通孔MH3aに充填された導電ペーストCDSはビア導体VH3aをなし、貫通孔MH3bに充填された導電ペーストCDSはビア導体VH3bをなし、マザーシートBS3の上面に印刷された導電ペーストCDPはコイル導体CP3をなす。
導電ペーストCDPの充填ないし印刷が完了すると、貫通孔HL3aおよびHL3bが分割ユニット毎に形成される(図11(A)参照)。貫通孔HL3aは貫通孔MH3aに充填された導電ペーストCDSを貫くように形成され、貫通孔HL3bは貫通孔MH3bに充填された導電ペーストCDSを貫くように形成される。
続いて、カーボンペーストCBPが貫通孔HL3aおよびHL3bに充填され(図11(B)参照)、同じカーボンペーストCBPが導電ペーストCDPの上に印刷される(図11(C)参照)。印刷されたカーボンペーストCBPが描く線は、印刷された導電ペーストCDPが描く線とほぼ同じ長さを有する。また、前者の線幅は後者の線幅よりも小さい。
セラミックシートSH4は、図12(A)〜図12(D)および図13(A)〜図13(C)に示す要領で作製される。まず、磁性のフェライト材料からなるセラミックグリーンシートがマザーシートBS4として用意される(図12(A)参照)。ここで、X軸方向およびY軸方向に延びる複数の破線は切り出し位置を示す。
次に、貫通孔MH4aおよびMH4bが分割ユニット毎にマザーシートBS4に形成される(図12(B)参照)。各分割ユニットに注目したとき、貫通孔MH4aはY軸方向において上面中央位置よりも負側の位置に設けられ、貫通孔MH4bは上面中央位置に設けられる。
続いて、導電ペーストCDPが貫通孔MH4aおよびMH4bに充填され(図12(C)参照)、同じ導電ペーストCDPが各分割ユニットの上面に印刷される(図12(D)参照)。各分割ユニットに注目したとき、印刷された導電ペーストCDPは、X軸方向において上面中央位置よりも正側でかつY軸方向において上面中央位置よりも負側の位置から貫通孔MH4bを囲むように延びて、貫通孔MH4aの位置に達する。
貫通孔MH4aに充填された導電ペーストCDSはビア導体VH4aをなし、貫通孔MH4bに充填された導電ペーストCDSはビア導体VH4bをなし、マザーシートBS4の上面に印刷された導電ペーストCDPはコイル導体CP4をなす。
導電ペーストCDPの充填ないし印刷が完了すると、貫通孔HL4aおよびHL4bが分割ユニット毎に形成される(図13(A)参照)。貫通孔HL4aは貫通孔MH4aに充填された導電ペーストCDSを貫くように形成され、貫通孔HL4bは貫通孔MH4bに充填された導電ペーストCDSを貫くように形成される。
続いて、カーボンペーストCBPが貫通孔HL4aおよびHL4bに充填され(図13(B)参照)、同じカーボンペーストCBPが導電ペーストCDPの上に印刷される(図13(C)参照)。印刷されたカーボンペーストCBPが描く線は、印刷された導電ペーストCDPが描く線とほぼ同じ長さを有する。また、前者の線幅は後者の線幅よりも小さい。
セラミックシートSH5は、図14(A)〜図14(D)および図15(A)〜図15(C)に示す要領で作製される。まず、磁性のフェライト材料からなるセラミックグリーンシートがマザーシートBS5として用意される(図14(A)参照)。ここで、X軸方向およびY軸方向に延びる複数の破線は切り出し位置を示す。
次に、貫通孔MH5aおよびMH5bが分割ユニット毎にマザーシートBS5に形成される(図14(B)参照)。各分割ユニットに注目したとき、貫通孔MH5aはX軸方向において上面中央位置よりも正側でかつY軸方向において上面中央位置よりも負側の位置に設けられ、貫通孔MH5bは上面中央位置に設けられる。
続いて、導電ペーストCDPが貫通孔MH5aおよびMH5bに充填され(図14(C)参照)、貫通孔MH5aの位置と貫通孔MH5bの位置とを結ぶように導電ペーストCDPが各分割ユニットの上面に印刷される(図14(D)参照)。貫通孔MH5aに充填された導電ペーストCDSはビア導体VH5aをなし、貫通孔MH5bに充填された導電ペーストCDSはビア導体VH5bをなし、マザーシートBS5の上面に印刷された導電ペーストCDPはコイル導体CP5をなす。
導電ペーストCDPの充填ないし印刷が完了すると、貫通孔HL5aおよびHL5bが分割ユニット毎に形成される(図15(A)参照)。貫通孔HL5aは貫通孔MH5aに充填された導電ペーストCDSを貫くように形成され、貫通孔HL5bは貫通孔MH5bに充填された導電ペーストCDSを貫くように形成される。
続いて、カーボンペーストCBPが貫通孔HL5aおよびHL5bに充填され(図15(B)参照)、同じカーボンペーストCBPが導電ペーストCDPの上に印刷される(図15(C)参照)。印刷されたカーボンペーストCBPが描く線は、印刷された導電ペーストCDPが描く線とほぼ同じ長さを有する。また、前者の線幅は後者の線幅よりも小さい。
上述の要領で作成されたマザーシートBS1〜BS5および非磁性のフェライト材料からなるセラミックグリーンシートつまりマザーシートBS6は、この順序で積層されかつ圧着される(図16参照)。このとき、各シートの積層位置は、各シートに割り当てられた破線がZ軸方向から眺めて重なるように調整される。これによって、図17に示す積層体基板LB1が作製される。
作製された積層体基板LB1は、その後焼成される。カーボンペーストCBPは積層体基板LB1の外部から供給される酸素と反応して気化(二酸化炭素に変化)し、気化した二酸化炭素は積層体基板LB1の外部に放出される。この結果、積層体基板LB1の下面に2つの開口を有する単一の空隙が分割ユニット毎に形成される(図18参照)。焼成が完了すると、各分割ユニットに形成された2つの開口の一方から空気が注入される。空隙に残存した残渣は、他方の開口から外部に放出される。
残渣が排除されると、積層体基板LB1が上下方向において反転され、電極パッド14aおよび14bが分割ユニット毎に積層体基板LB1の下面に形成される。電極パッド14aおよび14bは、分割ユニット毎に設けられた2つの開口をそれぞれ覆うように形成される。積層体基板LB1は、電極パッド14aおよび14bが形成された後に分割ユニット毎に個辺化され、これによって複数の積層型インダクタ素子10,10,…が得られる。
以上の説明から分かるように、積層体12は、コイル導体CP2〜CP5がそれぞれ印刷された磁性のセラミックシートSH2〜SH5と、コイル導体CP1が印刷された非磁性のセラミックシートSH1と、何も印刷されていない非磁性のセラミックシートSH6とを積層してなる。ビア導体VH1a〜VH5aおよびVH1b〜VH5bは、積層体12の一方主面に露出した両端を有するインダクタをコイル導体CP1〜CP5とともになすべく、積層体12の積層方向に形成される。パッド電極14aおよび14bは、積層体12の下面に露出したビア導体VH1aおよびVH1bをそれぞれ覆うべく、積層体12の下面に形成される。積層体12の内部には、インダクタの延在方向に延びかつインダクタの両端に相当する2つの位置の各々に開口を有する単一の空隙が形成される。
このような構造を有する積層型インダクタ素子10は、以下の要領で作製される。まず、貫通孔MH1aおよびMH1bが分割ユニット毎にマザーシートBS1に形成され、貫通孔MH2aおよびMH2bが分割ユニット毎にマザーシートBS2に形成され、貫通孔MH3aおよびMH3bが分割ユニット毎にマザーシートBS3に形成され、貫通孔MH4aおよびMH4bが分割ユニット毎にマザーシートBS4に形成され、そして貫通孔MH5aおよびMH5bが分割ユニット毎にマザーシートBS5に形成される。
マザーシートBS1の貫通孔MH1aおよびMH1bには貫通孔HL1aおよびHL1bを有するビア導体VH1aおよびVH1bが形成され、マザーシートBS2の貫通孔MH2aおよびMH2bには貫通孔HL2aおよびHL2bを有するビア導体VH2aおよびVH2bが形成される。マザーシートBS3の貫通孔MH3aおよびMH3bには貫通孔HL3aおよびHL3bを有するビア導体VH3aおよびVH3bが形成され、マザーシートBS4の貫通孔MH4aおよびMH4bには貫通孔HL4aおよびHL4bを有するビア導体VH4aおよびVH4bが形成され、マザーシートBS5の貫通孔MH5aおよびMH5bには貫通孔HL5aおよびHL5bを有するビア導体VH5aおよびVH5bが形成される。
コイル導体CP1〜CP5は、ビア導体VH1a〜VH5aおよびVH1b〜VH5bとともにインダクタをなすべく、マザーシートBS1〜BS5にそれぞれ印刷される。
焼失材CBPは、インダクタの両端に相当する2つの位置の各々に開口を有してインダクタの延在方向に延びる空隙を焼成によって形成するべく、貫通孔HL1a〜HL5aおよびHL1b〜HL5bに充填され、かつコイル導体CP1〜CP5の上に印刷される。
これらの処理が完了すると、マザーシートBS1〜BS5はマザーシートBS6とともに積層され、これによって作製された積層体基板LB1が焼成される。パッド電極14aおよび14bは、インダクタの両端として露出した2つのビア導体VH1aおよびVN1bを覆うべく、焼成された積層体基板LB1の下面に分割ユニット毎に形成される。積層体基板LB1はその後分割ユニット毎に個辺化され、これによって複数の積層型インダクタ素子10,10,…が得られる。
焼失材CBPは積層体基板LB1を焼成することで焼失し、これによって分割ユニット毎に形成された空隙はインダクタの両端に相当する2つの位置の各々に開口を有してインダクタの延在方向に延びる。また、インダクタの両端として積層体基板LB1の一方主面に露出した2つのビア導体をそれぞれ覆う2つのパッド電極14aおよび14bは、積層体基板LB1の焼成の後に形成される。
積層体12(積層体基板LB1)に空隙を形成することで、コイル導体CP1〜CP5またはビア導体VH1a〜VH5a,VH1b〜VH5bとマザーシートBS1〜BS6との間の熱膨張係数の相違に起因する応力歪みが緩和され、ひいては積層体12にクラックが発生する現象が回避される。また、焼失材CBPの焼失によって形成される空隙は開口を有するため、酸素不足に起因して空隙に残渣が残る事態が回避され、これによってインダクタの耐電性が向上する。さらに、開口をパッド電極14aおよび14bで覆うことで、異物の進入が回避される。こうして、積層型インダクタ素子10の信頼性が確保される。
10 …積層型インダクタ素子
SH1〜SH6 …セラミックシート
12 …積層体
14a,14b …パッド電極
CP1〜CP5 …コイル導体
SP1〜SP5 …空隙
VH1a〜VH5a,VH1b〜VH5b…ビア導体
HL1a〜HL5a,HL1b〜HL5b…貫通孔

Claims (10)

  1. 複数のコイル導体がそれぞれ印刷されかつ少なくとも一部が磁性を有する複数のシートを積層してなる積層体と、
    前記積層体の一方主面に露出した両端を有するインダクタを前記複数のコイル導体とともになすべく前記積層体の積層方向に形成された複数のビア導体と、
    前記複数のビア導体のうち前記積層体の一方主面に露出した2つのビア導体をそれぞれ覆うべく前記積層体の一方主面に形成された2つのパッド電極と、
    を有する積層型インダクタ素子であって、
    前記積層体は、前記インダクタの延在方向に沿って充填された焼失材の焼失によって形成され、前記インダクタの両端に相当する2つの位置で開口する空隙を有し、
    前記2つのパッド電極は前記焼失材の焼失の後に形成された電極に相当する、積層型インダクタ素子。
  2. 前記積層体の一方主面に露出した2つのビア導体の各々は貫通孔を有し、
    前記空隙の開口は前記貫通孔の端部に相当する、請求項1記載の積層型インダクタ素子。
  3. 前記インダクタは前記積層方向に延びる巻回軸を有する、請求項1または2記載の積層型インダクタ素子。
  4. 前記焼失材はカーボンペーストに相当する、請求項1ないし3のいずれかに記載の積層型インダクタ素子。
  5. 少なくとも一部が磁性を有して積層される複数のシートの各々に複数の第1孔を形成する第1工程と、
    第2孔を各々が有する複数のビア導体を前記第1工程によって形成された複数の第1孔にそれぞれ形成する第2工程と、
    前記第2工程によって形成された複数のビア導体とともにインダクタをなすコイル導体を前記複数のシートの各々に形成する第3工程と、
    前記インダクタの延在方向に延びかつ前記インダクタの両端に相当する2つの位置で開口する空隙を焼成によって形成するべく焼失材を前記複数のシートの各々に形成する第4工程と、
    前記第4工程の後に前記複数のシートを積層して作製される積層体を焼成する第5工程と、
    前記第5工程によって焼成された積層体の一方主面に前記インダクタの両端として露出した2つのビア導体をそれぞれ覆う2つのパッド電極を形成する第6工程と、
    を有する、積層型インダクタ素子の製造方法。
  6. 前記第4工程は前記第3工程によって形成されたコイル導体の上に前記焼失材を形成する工程を含む、請求項5記載の積層型インダクタ素子の製造方法。
  7. 前記第4工程は前記第2工程によって形成された第2孔に前記焼失材を充填する工程をさらに含む、請求項6記載の積層型インダクタ素子の製造方法。
  8. 前記第5工程によって形成された空隙に残存する残渣を前記第6工程の前に排除する第7工程をさらに有する、請求項5ないし7のいずれかに記載の積層型インダクタ素子の製造方法。
  9. 前記インダクタは前記複数のシートの積層方向に沿って延びる巻回軸を有する、請求項5ないし8のいずれかに記載の積層型インダクタ素子の製造方法。
  10. 前記焼失材はカーボンペーストに相当する、請求項5ないし9のいずれかに記載の積層型インダクタ素子の製造方法。
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