JP2002289451A - チップ型インピーダンス素子の製造方法 - Google Patents

チップ型インピーダンス素子の製造方法

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JP2002289451A
JP2002289451A JP2001084801A JP2001084801A JP2002289451A JP 2002289451 A JP2002289451 A JP 2002289451A JP 2001084801 A JP2001084801 A JP 2001084801A JP 2001084801 A JP2001084801 A JP 2001084801A JP 2002289451 A JP2002289451 A JP 2002289451A
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JP
Japan
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conductor
base
wire
chip
impedance element
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Application number
JP2001084801A
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English (en)
Inventor
Hidekazu Ochiai
英一 落合
Shinji Wada
信二 和田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ばらつきの少ない直流抵抗値,イ
ンピーダンス特性を有し、かつ安価で量産性に優れ、実
装性が向上するチップ型インピーダンス素子を提供する
ことを目的としている。 【解決手段】 結晶磁性体および誘電体等の基台11の
内部に焼結時のひずみを緩和させるために導体の近傍に
焼失してなくなる線を配置し、結晶磁性体および誘電体
等のセラミックの両端部に導体と電気的に接続された端
子電極を設け、さらに焼失してなくなる線と導体をスパ
イラル状に基台11の内部に配置させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種電子回路に
使用される部品に用いられるチップ型インピーダンス素
子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ノイズ対策の要求が高まってお
り、ノイズ部品として安価でかつ小型化が要求されてい
る。
【0003】そのなかで、ノイズ部品として特開平5−
152137号公報の様なものが提案されている。この
様な構成によってノイズ部品を安価にかつ小型化するこ
とができる。
【0004】図11は従来のチップ型インピーダンス素
子を示す斜視図である。図11において、1は結晶磁性
体および誘電体等のセラミック(以下セラミックと記
す)、2はセラミックの中央部に設けられた導体、3は
導体12に電気的に接続された端子電極である。このよ
うな電子部品は、フェライト焼結体の材料特性および銀
線の線径などを最適化することによって、所定の特性を
得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記従来
の構成では、セラミックの内部に金属導体を設置して所
定の形状に成形および切断して、セラミックを800〜
1200度で焼成することによって約10〜20%の焼
成収縮が発生するが金属導体は、ほとんど変化しないた
めにセラミックに応力が蓄積され、ひずみによる磁気特
性の劣化が発生して本来のセラミックの磁気特性を十分
得ることができないという問題点があった。また、その
ためにインピーダンス特性がばらつき、不良が発生する
という問題点があった。
【0006】さらにセラミックが焼成収縮するのに対し
て導体は収縮がほとんどないために、クラックやデラミ
は発生していた。また焼成後基台の端面に導体が突出し
てしまうために端子電極を塗布する場合に安定した寸法
を確保することが難しかった。
【0007】また、高インピーダンスを得るために導体
長を長くする必要があるが、導体を単体でスパイラル状
にすると、線間を一定に保つことが難しく、また線間が
なくなり接触してしまう等の問題があった。よって小型
で高インピ−ダンスの特性を実現する事ができなかっ
た。
【0008】本発明は、上記従来の課題を解決するもの
で、製品の品質安定化ができかつ安価で小型のチップ型
インピーダンス素子の製造方法を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、シートの間に
導体線及び焼失線の双方を挟み込むか、あるいは押し出
された基材中に導体線及び焼失線の双方を埋設して基台
を形成し、基台を焼成することで焼失線を焼失させ、そ
の後に基台の両端に導体線と電気的に接続するように端
子部を設けた。
【0010】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、シートの
間に導体線及び焼失線の双方を挟み込むか、あるいは基
台となる材料と導体線及び焼失線の双方とを同時に押し
出した基台を形成し、前記基台を焼成することで前記焼
失線を焼失させ、その後に前記基台の両端に前記導体線
と電気的に接続するように端子部を設けたことによっ
て、基台を焼成する際に、焼失線が応力を緩和すると共
に、焼成時に焼失するので、基台と導体線との焼成ひず
みを緩和することができ、インピーダンス特性を向上さ
せることができる。
【0011】請求項2記載の発明は、導体線と焼失線を
撚り合わせて基台中に設けた請求項1記載のチップ型イ
ンピーダンス素子の製造方法とすることによって、導体
線を略コイル状とすることができるので、基台と導体線
との焼成ひずみを更に緩和することができインピーダン
ス特性を向上させることができる。また、撚り線とする
ことで、コイル状の導体線の線間は焼成後も均一で安定
している。さらに焼失線によって導体線を保持できるの
で製造工程における導体線破損を防ぐことができる。さ
らに、導体の線長が長くなるために高インピ−ダンス特
性を得ることができる。
【0012】請求項3記載の発明は、焼失線中にセラミ
ックもしくは金属の粒体を含有させたことを特徴とする
請求項1記載のチップ型インピーダンス素子の製造方法
とすることで、焼成した後に導体線と基台との間にセラ
ミックもしくは金属の粒体が残留することになるので、
基台と導体線間の接合強度やインピーダンス特性を向上
させることができる。
【0013】請求項4記載の発明は、焼失線は、ポリウ
レタン樹脂,エナメル樹脂,エポキシ樹脂,ポリイミド
樹脂,フッ素樹脂の少なくとも一つの材料で構成された
線状体で構成されたことを特徴と請求項1記載のチップ
型インピーダンス素子の製造方法とすることで、取り扱
いが簡単でしかも焼失線にある程度の強度を持たせるこ
とができるので特性が向上する。
【0014】請求項5記載の発明は、基台の焼成の際
に、基台と導体線の間に僅かに焼失線の焼失物を残留さ
せことを特徴とする請求項1記載のチップ型インピーダ
ンス素子の製造方法とすることで、少なくとも導体線と
基台との間に焼失線の反応物(主に炭素)を介在させる
ことによって、基台と導体線の間の保持性を向上させる
ことができる。
【0015】以下、本発明におけるチップ型インピーダ
ンス素子及びそれを用いた適用例について説明する。
【0016】図1,図2はそれぞれ本発明の一実施の形
態におけるチップ型インピーダンス素子を示す斜視図及
び断面図である。
【0017】図1において、11は絶縁材料などをプレ
ス加工,押し出し、またはシートによる積層工法等を施
して構成されている基台11で、基台11はセラミック
などの材料で構成され、しかもそのセラミック材料とし
ては誘電材料やフェライト材料などが用いられる。12
は基台11の中に設けられている導体で、導体12は、
基台11に穴を設けてその穴に挿入したり、シートによ
る積層工法であれば、積層する際に導体をシートの上に
おいて、さらにその上にシートを乗せて加圧そして焼結
を行ことによって配置し固定する。
【0018】また、押出し工法の場合は、導体12とセ
ラミック材料を同時に押出し規定の寸法に切断そして焼
成、面取りを行う。
【0019】15,16はそれぞれ端子電極で、端子電
極15、16は、導体と電気的に接続されている。
【0020】また、本実施の形態のチップ型インピーダ
ンス素子は、チップ型インピーダンス素子の長さL1,
幅L2,高さL3は以下の通りとなっていることが好ま
しい。
【0021】L1=0.5〜2.1mm(好ましくは
0.6〜1.0mm) L2=0.2〜1.3mm(好ましくは0.3〜0.6
mm) L3=0.2〜1.3mm(好ましくは0.3〜0.6
mm) L1が0.5mm以下であると、自己共振周波数f0が
下がってしまうとともにQ値が低下してしまい、良好な
特性を得ることができない。また、L1が2.1mmを
超えてしまうと、素子自体が大きくなってしまい、電子
回路等が形成された基板など(以下回路基板等と略す)
回路基板等の小型化ができず、ひいてはその回路基板等
を搭載した電子機器等の小型化を行うことができない。
また、L2,L3それぞれが0.2mm以下であると、
素子自体の機械的強度が弱くなりすぎてしまい、実装装
置などで、回路基板等に実装する場合に、素子折れ等が
発生することがある。また、L2,L3が1.3mm以
上となると、素子が大きくなりすぎて、回路基板等の小
型化、ひいては装置の小型化を行うことができない。以
上の様に構成されたチップ型インピーダンス素子につい
て、以下各部の詳細な説明をする。以下の説明は、セラ
ミックを焼成後の素子であり、図3は本発明の一実施の
形態におけるチップ型インピーダンス素子に用いられる
導体を形成したセラミックの断面図、図4(a),
(b)は本発明の一実施の形態におけるチップ型インピ
ーダンス素子に用いられるセラミックを示す図である。
【0022】まず、基台11の形状について説明する。
【0023】基台11は、図3及び図4に示す様に、回
路基板等に実装しやすいように断面が四角形状の角柱状
となっている。断面四角形状としたが、五角形状や六角
形状などの多角形状でも良い。本実施の形態では、断面
四角形状にすることよって、回路基板等へのチップ型イ
ンピーダンス素子の装着性を良好にした。また11a、
11bは両端部である。
【0024】なお、本実施の形態では、断面が四角形状
としたが、正五角形状等の正多角形状、および円形状と
しても良い。
【0025】また、図4(a)に示す様に基台11の端
部の高さZ1及びZ2は下記の条件を満たすことが好ま
しい。
【0026】 |Z1−Z2|≦80μm(好ましくは50μm) Z1とZ2の高さの違いが80μm(好ましくは50μ
m以下)を超えると、素子を基板に実装し、半田等で回
路基板等に取り付ける場合、半田等の表面張力によって
素子が一方の端部に引っ張られて、素子が立ってしまう
というマンハッタン現象の発生する確率が非常に高くな
る。このマンハッタン現象を図5に示す。図5に示すよ
うに、基板200の上にチップ型インピーダンス素子を
配置し、端子電極15,16のそれぞれと基板200の
間に半田201,202が設けられているが、リフロー
などによって半田201,202を溶かすと、半田20
1,202のそれぞれの塗布量の違いや、材質が異なる
ことによる融点の違いによって、溶融した半田201,
202の表面張力が端子電極15と端子電極16で異な
り、その結果、図5に示すように一方の端子電極(図5
の場合は端子電極15)を中心に回転し、チップ型イン
ピーダンス素子が立ち上がってしまう。Z1とZ2の高
さの違いが80μm(好ましくは50μm以下)を超え
ると、素子が傾いた状態で基板200に配置されること
となり、素子立ちを促進する。また、マンハッタン現象
は特に小型軽量のチップ型の電子部品(チップ型チップ
型インピーダンス素子を含む)において顕著に発生し、
しかもこのマンハッタン現象の発生要因の一つとして、
端子電極15,16の高さの違いによって素子が傾いて
基板200に配置されることを着目した。この結果、Z
1とZ2の高さの差を80μm以下(好ましくは50μ
m以下)となるように、基台11を成形及びシート工法
時のプレス工程などで加工することによって、このマン
ハッタン現象の発生を大幅に抑えることができた。Z1
とZ2の高さの差を50μm以下とすることによって、
ほぼ、マンハッタン現象の発生を抑えることができる。
【0027】次に基台11の面取りについて説明する。
【0028】図6は本発明の一実施の形態におけるチッ
プ型インピーダンス素子に用いられるセラミックの斜視
図である。図6に示されるように、基台11の端部11
a,11bそれぞれの角部11e,11dには面取りが
施されており、その面取りした角部11e,11dのそ
れぞれの曲率半径R1及び隣接する側面との交わる角部
11fの曲率半径R2は以下の通りに形成されることが
好ましい。
【0029】0.03<R1<0.20(mm) 0.03<R2<0.20(mm) R1が0.03mm以下であると、角部11e,11d
が尖った形状となっているので、ちょっとした衝撃など
によって角部11e,11dに欠けなどが生じることが
あり、その欠けによって、特性の劣化等が発生したりす
る。また、R1が0.20mm以上であると、角部11
e,11dが丸くなりすぎて、前述のマンハッタン現象
を起こしやすくなり、不具合が生じる。更にR2が0.
03mm以下であると、角部11fにバリなどが発生し
やすく、後工程における搬送等においてカケ等が発生
し、素子特性のばらつきが大きくなる。また、R2が
0.20mm以上であると、角部11fが丸くなりすぎ
て、プリント基板に実装しにくく、不具合が生じる。
【0030】次に基台11の構成材料について説明す
る。基台11の構成材料として下記の特性を満足してお
くことが好ましい。
【0031】 体積固有抵抗:1013以上(好ましくは1014以上) 熱膨張係数:10×10-4以下(好ましくは9×10-5
以下)[20℃〜500℃における熱膨張係数] 誘電率:1MHzにおいて12以下(好ましくは10以
下) 曲げ強度:1300kg/cm2以上(好ましくは20
00kg/cm2以上) 密度:3〜7g/cm3(好ましくは4〜6g/cm3) 基台11の構成材料の体積固有抵抗が1013以下である
と、導体12とともに基台11にも所定に電流が流れ始
めるので、並列回路が形成された状態となり、自己共振
周波数f0が低くなってしまい、高周波用の素子として
は不向きである。
【0032】また熱膨張係数が10×10-4以上である
と、基台11にヒートショック等でクラックなどが入る
ことがある。すなわち熱膨張係数が10×10-4以上で
あると、上述の様に導体をシートにはさみ込み、加圧、
焼成した後に端部に銀ペーストを塗布し焼き付けするの
で、基台11が高温になり、基台11にクラックなどが
生じることあるが、上述の様な熱膨張係数を有すること
によって、大幅にクラック等の発生を抑止できる。
【0033】また、誘電率が1MHzにおいて12以上
であると、自己共振周波数f0が低くなってしまい、高
周波用の素子としては不向きである。
【0034】曲げ強度が1300kg/cm2以下であ
ると、実装装置で回路基板等に実装する際に素子折れ等
が発生することがある。
【0035】密度が3g/cm3以下であると、基台1
1の吸水率が高くなり、基台11の特性が著しく劣化
し、素子としての特性が悪くなる。また密度が7g/c
3以上になると、基台11の重量が重くなり、実装性
などに問題が発生する。特に密度を上記範囲内に設定す
ると、吸水率も小さく、チップマウンタなどで基板に実
装する際にも問題は発生しない。
【0036】この様に基台11の体積固有抵抗,熱膨張
係数,誘電率,曲げ強度,密度を規定することによっ
て、自己共振周波数f0が低下しないので、高周波用の
素子として用いることができ、ヒートショック等で基台
11にクラック等が発生することを抑制できるので、不
良率を低減することができ、更には、機械的強度を向上
させることができるので、実装装置などを用いて回路基
板等に実装できるので、生産性が向上する等の優れた効
果を得ることができる。
【0037】上記の諸特性を得る材料としては、セラミ
ック材料が挙げられるが、しかしながら、単にセラミッ
ク材料を用いても上記諸特性を得ることはできない。す
なわち、上記諸特性は、基台11を作製する際のプレス
圧力や焼成温度及び添加物によって異なるので、作製条
件などを適宜調整しなければならない。具体的な作製条
件として、基台11の加工時のプレス圧力を2〜5t,
焼成温度を850〜950℃,焼成時間1〜3時間等の
条件が挙げられる。また、磁性体シート材料の具体的な
材料としては、Fe23が40mol%以上,NiO2
が15mol%以下,ZnOが40mol%以下,Cu
Oが15mol%以下,Bi2Oが10重量%以下等が
挙げられる。
【0038】なお、セラミック材料の中でも、特に加工
のしやすさや、コスト面から考慮すると、フェライト材
料が好ましい。また、フェライト材料であって、絶縁性
を有する材料が最も好ましい。これら具体的材料として
は、Mn−Zn系フェライト,Ni−Zn系フェライ
ト、Cu−Zn系フェライトなどの軟質強磁性の少なく
とも1で構成された材料が好ましい。
【0039】次に導体12について説明する。
【0040】導体12としては、抵抗率が20℃におい
て1.67×10-6Ωcm以下で、しかもビッカース硬
さ(Hv)が30〜100のものが好ましい。この様な
特性の導体12を得るためには、材料及び製法等を選択
しなければならない。
【0041】以下具体的に導体12について説明する。
【0042】導体12の構成材料としては、銅,銀,
金,ニッケル、白金、鉄などの金属導電材料が挙げられ
る。この銅,銀,金,ニッケル、白金、鉄等の材料に
は、耐候性等を向上させために所定の元素を添加しても
よい。また、導電材料と非金属材料等の合金を用いても
よい。構成材料としてコスト面や耐食性の面及び作り易
さの面から銀及びその合金がよく用いられる。
【0043】また銀等を用いる場合には、まず、セラミ
ックシート上に銀線を配置し、その上にセラミックシー
トを重ねる。なお銀線の純度としては99.0%以上が
望ましい。銀の純度が99.0%以下になると導電率が
小さくなるために製品にした場合の直流抵抗が大きくな
り、定格電流も小さくなってしまう。回路に対する影響
としては回路の電圧を低下させ動作が不安定となる。
【0044】また、導体の線径については、銀成分99
%の場合において線方向の長さ2mmの場合の時、線径
は0.12mmとすることによって直流抵抗値を10m
Ω以下にすることができる。
【0045】なお、導体12は束線で構成してもよい
が、単線の方が構造が単純で安価であるので好ましい。
さらに切断時の際に切断機の刃の消耗を抑えるために、
前処理として焼まなしを行ってビッカース硬さをさげる
てもよい。
【0046】単線を用いる場合は、基台11との密着を
取り、導体のずれを防ぐために、導体の表面に凹凸を設
けることが有効である。たとえば、基台11の長手方向
と垂直方向に溝を設けたり、または、ローレット加工等
を導体表面に施すことができる。溝の深さは、5〜10
μmが望ましいが、線径によっては、もっと深くするこ
とが可能である。
【0047】導体12の構造としては、薄膜の導体を用
いるときは、中空状の内部に、焼失してなくなる樹脂を
用いることによって、製造工程中に導体の断線を防ぐこ
とができる。さらに、導体の線径が小さい場合にも有効
である。なお、焼失してなくなる線に、スパッタやメッ
キおよび蒸着等によって導体を形成することによって、
さらに線径の細い中空状の導体を形成することができ
る。
【0048】また、導体の近傍に焼失してなくなる線を
配置することによって基台11と導体の焼成ひずみを緩
和させることができる。焼失してなくなる材料としては
有機物等で構成されるものが考えられる。
【0049】有機物の種類としては、耐熱性の高い材料
の方が焼結時にセラミックの収縮に影響されにくいので
反応を抑えることができる。たとえばエナメル樹脂、ポ
リウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ
素等があるがコストの面よりポリウレタン樹脂が好まし
い。なお以上の樹脂の中にセラミックの粉体および金属
粉体等を添加させることによって、焼結後にできる銀線
とセラミックとの空間部分にセラミック及び金属粉体が
残ってインピーダンス特性を向上させることができる。
【0050】図7は本発明の一実施の形態におけるチッ
プ型インピーダンス素子に用いられる導体の斜視図であ
る。導体12と焼失してなくなる線13とを撚り線にし
て、線長を長くすることによって、インピーダンスを大
きくすることができる。また、焼失してなくなる線13
とを撚り線することによって焼成後に均一の線間が確保
できるために線長が均一なり、インピ−ダンス特性のば
らつきを小さくすることができる。さらに、樹脂の中に
セラミックの粉体および金属粉体等を添加させることに
よって、焼結後にできる銀線とセラミックとの空間部分
にセラミック及び金属粉体が残ってインピーダンス特性
を向上させることができる。
【0051】また、導体が基台11の長手方向に対して
柔軟に縮むのでクラックやデラミの発生を防ぐことがで
きる。
【0052】さらに、焼成後に基台11の端面に導体1
2が突出しなく、端面電極の寸法ばらつきを防ぐことが
できる。
【0053】さらに、導体12とセラミック等から成る
線を撚り線とすることによって、導体12の近傍に焼結
したセラミックがあるためにより高インピーダンス特性
を得ることができる。また、導体が基台11の長手方向
に対して柔軟に縮むのでクラックやデラミの発生を防ぐ
ことができる。
【0054】さらに、焼成後に基台11の端面に導体が
突出しなく、端面電極の寸法ばらつきを防ぐことができ
る。
【0055】セラミック等の線は、押し出し工法によっ
て成型し、乾燥した状態のものを使用するのが経済的で
ある。材料としては、基台11の組成系と同等の材料を
使用するのがよい。セラミックの線径は、導体の線径お
よび硬度によって選択されるべきである。たとえば、導
体が銀でその線径が0.05φであれば、セラミック線
は、約0.15φ程度がよい。
【0056】また、導体12と基台11の密着強度は、
導体12を形成した基台11を400℃の温度下に数秒
間放置した後に基台11から導体12が抜けない程度以
上であることが好ましい。素子を基板等に実装した際
に、素子には自己発熱や他の部材からの熱が加わること
によって、素子に200℃以上の温度が加わることがあ
る。従って、400℃で基台11からの導体12のはが
れが発生しない程度の密着強度であれば、たとえ素子に
熱が加わっても、素子の特性劣化等は発生しない。
【0057】次に端子電極15、16について説明す
る。
【0058】端子電極15、16は、銀のみでも十分に
機能するが、様々な環境条件等に順応させるために、多
層構造とすることが好ましい。
【0059】図8は本発明の一実施の形態におけるチッ
プ型インピーダンス素子の端子電極の断面図である。図
8において、端子電極15,16は多層構造となってお
り、基台11の端部11aの上に銀ペーストを塗布焼成
し、端部11aの基台11端面に露出している導体12
と電気的に接続する銀電極14を形成する。しかも銀電
極14の上には耐候性を有するニッケル,チタン等の材
料で構成される保護層300が形成されており、更に保
護層300の上にはすずメッキを施しさらに半田メッキ
等で構成された接合層301が形成されている。保護層
300は銀電極14の耐候性を向上させることができ
る。本実施の形態では、保護層300の構成材料とし
て、ニッケルかニッケル合金の少なくとも一方とし、接
合層301の構成材料としては半田を用いた。保護層3
00(ニッケル)の厚みは1〜7μmが好ましく、1μ
mを下回ると耐候性が悪くなり、7μmを上回ると保護
層300(ニッケル)自体の電気抵抗が高くなり、素子
特性が大きく劣化する。また、接合層301(すずと半
田)の厚みは2μm〜10μm程度が好ましく、2μm
を下回ると半田食われ現象が発生して素子と回路基板等
との良好な接合が期待できず、10μmを上回るとマン
ハッタン現象が発生し易くなり、実装性が非常に悪くな
る。
【0060】以上の様に構成されたチップ型インピーダ
ンス素子は、特性劣化が無く、しかも,実装性及び生産
性が非常によい。
【0061】以上の様に構成されたチップ型インピーダ
ンス素子について、以下その製造方法について図9を用
いて説明する。
【0062】まず、フェライト等の磁性体材料をシート
工法によって、フェライトシート20を作製する。次に
そのフェライトシート20の上に銀導体線22ととも
に、図示していないが、焼失線を近傍或いは、銀導体線
22と焼失線を撚った撚り線を配置する。次に銀導体線
22及びの上にフェライトシート11と同じシート21
を積み重ねる。なお、銀導体線22がずれるのを防ぐた
めに導体にシラン等の摩擦係数の大きな材料を塗布して
も良い。次に積み重ねられたシートを加熱プレスして2
枚のシートを圧着してブロック23を作製する。次にこ
のシートを切断機によって切断して素子単品24として
ばらす。さらに素子24を焼結させる。さらに焼結した
状態でバレルによって面取りをして乾燥させる。次に素
体端面に銀ペーストを塗布して乾燥、焼き付けを行う。
【0063】なお、他の製造方法としては、フェライト
等の磁性体ペーストと導体とを同時に押出す押出し工法
がある。
【0064】この時点でも、製品は完成するが、特に端
子電極15,16にニッケル層やすず層および半田層を
積層して、耐候性や接合性を向上させることもある。
【0065】なお、本実施の形態は、チップ型インピー
ダンス素子について説明したが、絶縁材料によって構成
されたセラミックスシートの中に導体を形成する電子部
品でも同様な効果を得ることができる。
【0066】図10(a)、(b)、(c)はそれぞれ
本発明の一実施の形態におけるチップ型インピーダンス
素子の適用例を示すブロック図である。図10(a)に
おいて、30はI/Oコネクタであり、チップ型インピ
ーダンス素子17を信号ラインに直列接続することによ
って、他の機器と接続して使用する際に相手側からのノ
イズを減衰させるとともに、自分のノイズも減衰させる
ために使用される。図10(b)において、31はCP
Uであり、チップ型インピーダンス素子17をクロック
ラインに直列接続することによって、CPUから発生す
るノイズを減衰させるために使用される。図10(c)
において、32はICであり、チップ型インピーダンス
素子17をDC電源ラインに直列接続することによっ
て、電源ラインに含まれているノイズがICに与える影
響を低減させる。
【0067】上記で説明したチップ型インピーダンス素
子17は、パーソナルコンピュータ、ワープロ、通信機
器、デジタルTV、VTR等の機器のクロックラインや
高速バスラインや高速アナログラインなどのノイズ対策
部品として使用される。さらに、電源回路のノイズ対策
部品としても使用される。
【0068】なお、インダクタ素子としてフィルタ回路
やマッチング回路などにも用いられており、その数は、
一つの無線端末装置に数個〜40個程度用いられてい
る。上述の様な構成のチップ型インピーダンス素子を用
いることによって、良好なノイズ除去特性を得ることが
できるので、装置の誤動作の防止等の発生を抑制でき
る。
【0069】
【発明の効果】本発明は、シートの間に導体線及び焼失
線の双方を挟み込むか、あるいは基台となる材料と導体
線及び焼失線の双方とを同時に押し出した基台を形成
し、基台を焼成することで焼失線を焼失させ、その後に
基台の両端に導体線と電気的に接続するように端子部を
設けたことによって、基台を焼成する際に、焼失線が応
力を緩和すると共に、焼成時に焼失するので、基台と導
体線との焼成ひずみを緩和することができ、インピーダ
ンス特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるチップ型インピ
ーダンス素子を示す斜視図
【図2】本発明の一実施の形態におけるチップ型インピ
ーダンス素子を示す断面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるチップ型インピ
ーダンス素子に用いられる導体を形成したセラミックの
断面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるチップ型インピ
ーダンス素子に用いられるセラミックを示す図
【図5】マンハッタン現象を示す側面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるチップ型インピ
ーダンス素子に用いられるセラミックの斜視図
【図7】本発明の一実施の形態におけるチップ型インピ
ーダンス素子に用いられる導体の斜視図
【図8】本発明の一実施の形態におけるチップ型インピ
ーダンス素子の端子電極の断面図
【図9】本発明の一実施の形態におけるチップ型インピ
ーダンス素子の製造方法を示す斜視図
【図10】本発明の一実施の形態におけるチップ型イン
ピーダンス素子の適用例を示すブロック図
【図11】従来のチップ型インピーダンス素子を示す斜
視図
【符号の説明】
1 フェライト 2 導体線 3 端子電極 11 基台 11a,11b 端部 11d,11e,11f 角部 12 導体 13 焼失する線 14 銀電極 15,16 端子電極 17 チップ型インピーダンス素子 20,21 フェライトシート 22 銀導体線 23 ブロック 24 素子単体 30 I/Oコネクタ 31 CPU 32 IC 200 基板 201,202 半田 300 保護層 301 接合層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シートの間に導体線及び焼失線の双方を挟
    み込むか、あるいは基台となる材料と導体線及び焼失線
    の双方とを同時に押し出した基台を形成し、前記基台を
    焼成することで前記焼失線を焼失させ、その後に前記基
    台の両端に前記導体線と電気的に接続するように端子部
    を設けたことを特徴とするチップ型インピーダンス素子
    の製造方法。
  2. 【請求項2】導体線と焼失線を撚り合わせて基台中に設
    けた請求項1記載のチップ型インピーダンス素子の製造
    方法。
  3. 【請求項3】焼失線中にセラミックもしくは金属の粒体
    を含有させたことを特徴とする請求項1記載のチップ型
    インピーダンス素子の製造方法。
  4. 【請求項4】焼失線は、ポリウレタン樹脂,エナメル樹
    脂,エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,フッ素樹脂の少な
    くとも一つの材料で構成された線状体で構成されたこと
    を特徴と請求項1記載のチップ型インピーダンス素子の
    製造方法。
  5. 【請求項5】基台の焼成の際に、基台と導体線の間に僅
    かに焼失線の焼失物を残留させことを特徴とする請求項
    1記載のチップ型インピーダンス素子の製造方法。
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