JP3289824B2 - インダクタンス素子及び無線端末装置 - Google Patents

インダクタンス素子及び無線端末装置

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JP3289824B2
JP3289824B2 JP29064497A JP29064497A JP3289824B2 JP 3289824 B2 JP3289824 B2 JP 3289824B2 JP 29064497 A JP29064497 A JP 29064497A JP 29064497 A JP29064497 A JP 29064497A JP 3289824 B2 JP3289824 B2 JP 3289824B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信などの
電子機器に用いられ、特に高周波回路等に好適に用いら
れるインダクタンス素子及び無線端末装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】図20は従来のインダクタンス素子を示
す側面図である。図20において、1は四角柱状また
は、円柱状の基台、2は基台1の上に形成された導電
膜、3は導電膜2に設けられた溝、4は導電膜3の上に
積層された保護材である。
【0003】この様な電子部品は、溝3の間隔などを調
整することによって、所定の特性に調整する。
【0004】先行例としては、特開平7−307201
号公報,特開平7−297033号公報,特開平5−1
29133号公報,特開平1−238003号公報,実
開昭57−117636号公報,特開平5−29925
0号公報,特開平7−297033号公報等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら以上のよ
うな構成では、インダクタンス素子は、高電流を流すと
異常発熱を起こすことがあり、導電膜2の剥離等が発生
し、特性劣化の原因となったり、他の部品に熱的なダメ
ージを与え、機器の特性を劣化させる事があるので、高
電流を流す回路等には用いることができない。また、低
電圧駆動回路で高抵抗の素子を用いると、電圧低下を引
き起こし、動作不良が発生するという課題を有してい
た。
【0006】本発明は、上記従来の課題を解決するもの
で、特性劣化や他の部品の熱的なダメージを抑えること
ができ、省電力タイプのインダクタンス素子及び無線端
末装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、基台と、基台
上に形成された導電膜と、導電膜に設けられた溝と、溝
を覆うとともに凹凸の段差を50μm以下とした保護材
と、基台の両端に設けられた端子電極とを備え、素子の
長さL1(P2),幅L2,高さL3(P3)としたと
きに、 L1=0.5〜2.1mm L2=0.2〜1.5mm L3=0.2〜1.5mm としたインダクタンス素子であって、素子の長さをP2
とし、溝の両端間の長さである有効長をP1としたとき
に、0.5<P1÷P2<0.8とし、更に素子の高さ
をP3とし、溝の両端間領域である有効長領域の導電膜
の膜厚をP4としたときに、0.05<P4÷P3<
0.2とし、更に、コイル状の導電膜の幅をP5とした
ときにP4<P5とした。
【0008】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、基台と、
前記基台上に形成された導電膜と、前記導電膜に設けら
れた溝と、前記溝を覆うとともに凹凸の段差を50μm
以下とした保護材と、前記基台の両端に設けられた端子
電極とを備え、素子の長さL1(P2),幅L2,高さ
L3(P3)としたときに、 L1=0.5〜2.1mm L2=0.2〜1.5mm L3=0.2〜1.5mm としたインダクタンス素子であって、素子の長さをP2
とし、溝の両端間の長さである有効長をP1としたとき
に、0.5<P1÷P2<0.8とし、更に素子の高さ
をP3とし、溝の両端間領域である有効長領域の導電膜
の膜厚をP4としたときに、0.05<P4÷P3<
0.2とし、更に、コイル状の導電膜の幅をP5とした
ときにP4<P5としたことによって、素子の有効長領
域の導電膜の幅等を比較的大きくとることができ、定格
電流を大きくすることができるので、チョークコイルと
して十分な特性を得ることができる。更に、両端に設け
られた端子部を広く取ることができるので、回路基板な
どとの接合面積を大きくすることができ接合強度を大き
くすることができる。更に、低い直流抵抗を有すること
ができ、大電流を流せるとともに、L値も小さくできる
ので、高周波用のチョークコイルとして用いることがで
きる。また、溝を覆うように保護材を設け、前記保護材
の凹凸の段差を50μm以下としたことによって、比較
的深い溝が形成されても、ノズルの吸着ミスなどの発生
を防止することができる。更に、導電膜の膜厚をP4と
し、コイル状の導電膜の幅をP5としたときにP4<P
5としたことによって、導電膜の破損等が発生する確率
は極めて小さくなる。更に、素子の長さ、幅、高さを規
定することで、基板への取付領域を小さくできるので、
基板の小型化ひいては装置の小型化を行うことができ、
しかも素子の破損等を防止することができる。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】請求項記載の発明は、請求項1におい
て、基台の形状が、両端の断面が略正方形であることに
よって、基板への取り付けの際に、方向性が存在せず、
実装性が向上する。
【0013】
【0014】請求項記載の発明は、音声を音声信号に
変換する音声信号変換手段と、電話番号等を入力する操
作手段と、着信表示や電話番号等を表示する表示手段
と、音声信号を復調して送信信号に変換する送信手段
と、受信信号を音声信号に変換する受信手段と、前記送
信信号及び前記受信信号を送受信するアンテナと、各部
を制御する制御手段を備えた無線端末装置であって、受
信手段及び送信手段を構成するフィルタ回路やマッチン
グ回路または、送信手段に用いられるパワーモジュール
を構成する部品として、請求項1〜いずれか1記載の
インダクタンス素子を用いることによって、大電流の回
路基板等を小型化することができ、装置の小型化も行う
ことができ、更には、装置内部の熱的なダメージを防止
できる。
【0015】以下、本発明におけるインダクタンス素子
及び無線端末装置の実施の形態について説明する。
【0016】図1,図2はそれぞれ本発明の一実施の形
態におけるインダクタンス素子を示す斜視図及び側面図
である。
【0017】図1において、11は絶縁材料などをプレ
ス加工,押し出し法等を施して構成されている基台、1
2は基台11の上に設けられている導電膜で、導電膜1
2は、メッキ法やスパッタリング法等の蒸着法等によっ
て基台11上に形成される。13は基台11及び導電膜
12に設けられた溝で、溝13は、レーザ光線等を導電
膜12に照射することによって形成したり、導電膜12
に砥石等を当てて機械的に形成されている。14は基台
11及び導電膜12の溝13を設けた部分に塗布された
保護材、15,16はそれぞれ端子電極が形成された端
子部で、端子部15と端子部16の間には、溝13及び
保護材14が設けられている。なお、図2は、保護材1
4の一部を取り除いた図である。
【0018】また、本実施の形態のインダクタンス素子
は、実用周波数帯域が1〜6GHzと高周波数域に対応
するとともに、50nH以下の微小インダクタンスを有
し、しかもインダクタンス素子の長さL1,幅L2,高
さL3は以下の通りとなっていることが好ましい。
【0019】L1=0.5〜2.1mm(好ましくは
0.6〜1.6mm) L2=0.2〜1.5mm(好ましくは0.3〜0.8
mm) L3=0.2〜1.5mm(好ましくは0.3〜0.8
mm) (なお、L1,L2,L3のそれぞれの寸法誤差は0.
02mm以下が好ましい。) L1が0.5mm以下であると、必要とするインダクタ
ンスを得ることができず、更に、基台11上に形成され
る導電膜(後に説明)の膜厚を50μm以上(好ましく
は100μm以上)形成することが困難であり、導電膜
の直流抵抗を50mΩ以下とすることが困難であり、素
子の発熱を所定温度以下にすることは難しく、良好な特
性を得ることができない。また、L1が2.1mmを超
えてしまうと、素子自体が大きくなってしまい、電子回
路等が形成された基板など(以下回路基板等と略す)回
路基板等の小型化ができず、ひいてはその回路基板等を
搭載した電子機器等の小型化を行うことができない。ま
た、L2,L3それぞれが0.2mm以下であると、素
子自体の機械的強度が弱くなりすぎてしまい、実装装置
などで、回路基板等に実装する場合に、素子折れ等が発
生することがある。また、L2,L3が1.5mm以上
となると、素子が大きくなりすぎて、回路基板等の小型
化、ひいては装置の小型化を行うことができない。な
お、L4(段落ちの深さ)は5μm〜50μm程度が好
ましく、5μm以下であれば、保護材14の厚さ等を薄
くしなければならず、良好な保護特性等を得ることがで
きない。また、L4が50μmを超えると基台の機械的
強度が弱くなり、やはり素子折れ等が発生することがあ
る。
【0020】以上の様に構成されたインダクタンス素子
について、以下各部の詳細な説明をする。図3は本発明
の一実施の形態におけるインダクタンス素子に用いられ
る導電膜を形成した基台の断面図、図4(a)(b)は
本発明の一実施の形態におけるインダクタンス素子に用
いられる基台を示す図である。
【0021】まず、基台11の形状について説明する。
基台11は、図3及び図4に示す様に、回路基板等に実
装しやすいように断面が四角形状の中央部11aと中央
部11aの両端に一体に設けられ、しかも断面が四角形
状の端部11b,11cによって構成されている。な
お、端部11b,11c及び中央部11aは断面四角形
状としたが、五角形状や六角形状などの多角形状でも良
い。中央部11aは端部11b,11cから段落ちした
構成となっている。本実施の形態では、端部11b,1
1cの断面形状を略正四角状とすることによって、回路
基板等へのインダクタンス素子を装着性を良好にした。
また、本実施の形態では中央部11aに横向きに溝13
を形成することによって、どのように回路基板等に実装
しても方向性が無いために、取り扱いが容易になる。ま
た、中央部11aには素子部(溝13や保護材14)が
形成されることとなり、端部11b,11cには端子部
15,16が形成される。
【0022】なお、本実施の形態では、中央部11a及
び端部11b,11cをともに略正四角形状としたが、
正五角形状等の正多角形状にしてもよい。さらに、本実
施の形態では、中央部11aと端部11c,11bそれ
ぞれの断面形状を正四角形というように同一にしたが、
異なっても良い。すなわち、端部11b、11cの断面
形状を正多角形状とし、中央部11aの断面形状を他の
多角形状としたり、円形状としても良い。中央部11a
の断面形状を円形とすることによって、良好に溝13を
形成することができる。
【0023】さらに、本実施の形態では、中央部11a
を端部11b,11cより段落ちさせることによって、
保護材14を塗布した際に、その保護材14と回路基板
等が接触することなどを防止していたが、特に保護材1
4の厚みや実装される回路基板等の状況(回路基板等の
実装される部分に溝が形成されていたり、回路基板等の
電極部が盛り上がっている等)によって、中央部11a
を段落ちさせなくてもよい。中央部11aを端部11
b,11cから段落ちさせないと、基台11の構造が簡
単になり、生産性が向上し、さらに中央部11aの機械
的強度も向上する。この様に段落ちさせない場合でも、
断面四角形状の四角柱形状としてもよいし、さらに断面
を多角形状とする角柱とすることもできる。
【0024】また、図4(a)に示す様に基台11の端
部の高さZ1及びZ2は下記の条件を満たすことが好ま
しい。
【0025】 |Z1−Z2|≦80μm(好ましくは50μm) Z1とZ2の高さの違いが80μm(好ましくは50μ
m以下)を超えると、素子を基板に実装し、半田等で回
路基板等に取り付ける場合、半田等の表面張力によって
素子が一方の端部に引っ張られて、素子が立ってしまう
というマンハッタン現象の発生する確率が非常に高くな
る。このマンハッタン現象を図5に示す。図5に示すよ
うに、基板200の上にインダクタンス素子を配置し、
端子部15,16それぞれと基板200の間に半田20
1,202が設けられているが、リフローなどによって
半田201,202を溶かすと、半田201,202の
それぞれの塗布量の違いや、材質が異なることによる融
点の違いによって、溶融した半田201,202の表面
張力が端子部15と端子部16で異なり、その結果、図
5に示すように一方の端子部(図5の場合は端子部1
5)を中心に回転し、インダクタンス素子が立ち上がっ
てしまう。Z1とZ2の高さの違いが80μm(好まし
くは50μm以下)を超えると、素子が傾いた状態で基
板200に配置されることとなり、素子立ちを促進す
る。また、マンハッタン現象は特に小型軽量のチップ型
の電子部品(チップ型インダクタンス素子を含む)にお
いて顕著に発生し、しかもこのマンハッタン現象の発生
要因の一つとして、端子部15,16の高さの違いによ
って素子が傾いて基板200に配置されることを着目し
た。この結果、Z1とZ2の高さの差を80μm以下
(好ましくは50μm以下)となるように、基台11を
成形などで加工することによって、このマンハッタン現
象の発生を大幅に抑えることができた。Z1とZ2の高
さの差を50μm以下とすることによって、ほぼ、マン
ハッタン現象の発生を抑えることができる。
【0026】また、基台11の形状として、円柱状とし
てもよい。基台11の形状を円柱状とすることによっ
て、後述するように基台11上に導電膜12を形成し、
その導電膜12にレーザ加工等によって溝を形成する場
合、その溝の深さなどを精度よく形成することができ、
特性のばらつきを抑えることができる。また、基台11
を円筒状とした場合に、基台11の中央部の直径を両端
の直径よりも小さくすることが特性の面から好ましい。
【0027】次に基台11の面取りについて説明する。
図6は本発明の一実施の形態におけるインダクタンス素
子に用いられる基台の斜視図である。図6に示されるよ
うに、基台11の端部11b,11cそれぞれの角部1
1e,11dには面取りが施されており、その面取りし
た角部11e,11dのそれぞれの曲率半径R1及び中
央部11aの角部11fの曲率半径R2は以下の通りに
形成されることが好ましい。
【0028】0.03<R1<0.15(mm) 0.01<R2(mm) R1が0.03mm以下であると、角部11e,11d
が尖った形状となっているので、ちょっとした衝撃など
によって角部11e,11dに欠けなどが生じることが
あり、その欠けによって、特性の劣化等が発生したりす
る。また、R1が0.15mm以上であると、角部11
e,11dが丸くなりすぎて、前述のマンハッタン現象
を起こしやすくなり、不具合が生じる。更にR2が0.
01mm以下であると、角部11fにバリなどが発生し
やすく、中央部11a上に形成され、しかも素子の特性
を大きく左右する導電膜12の厚みが角部11fと平坦
な部分で大きく異なることがあり、素子特性のばらつき
が大きくなる。
【0029】次に基台11の構成材料について説明す
る。基台11の構成材料として下記の特性を満足してお
くことが好ましい。
【0030】体積固有抵抗:1013Ωm以上(好ましく
は1014Ωm以上) 熱膨張係数:5×10-4/℃以下(好ましくは2×10
-5/℃以下)[20℃〜500℃における熱膨張係数] 比誘電率:1MHzにおいて12以下(好ましくは10
以下) 曲げ強度:1300kg/cm2以上(好ましくは20
00kg/cm2以上) 密度:2〜5g/cm3(好ましくは3〜4g/cm3) 基台11の構成材料が体積固有抵抗が1013Ωm以下で
あると、導電膜12とともに基台11にも所定に電流が
流れ始めるので、並列回路が形成された状態となり、自
己共振周波数f0及びQ値が低くなってしまい、高周波
用の素子としては不向きである。
【0031】また熱膨張係数が5×10-4/℃以上であ
ると、基台11にヒートショック等でクラックなどが入
ることがある。すなわち熱膨張係数が5×10-4/℃以
上であると、上述の様に溝13を形成する際にレーザ光
線や砥石等を用いるので、基台11が局部的に高温にな
り、基台11にクラックなどが生じることあるが、上述
の様な熱膨張係数を有することによって、大幅にクラッ
ク等の発生を抑止できる。
【0032】また、誘電率が1MHzにおいて12以上
であると、自己共振周波数f0及びQ値が低くなってし
まい、高周波用の素子としては不向きである。
【0033】曲げ強度が1300kg/cm2以下であ
ると、実装装置で回路基板等に実装する際に素子折れ等
が発生することがある。
【0034】密度が2g/cm3以下であると、基台1
1の吸水率が高くなり、基台11の特性が著しく劣化
し、素子としての特性が悪くなる。また密度が5g/c
3以上になると、基台の重量が重くなり、実装性など
に問題が発生する。特に密度を上述の範囲内に設定する
と、吸水率も小さく基台11への水の進入もほとんどな
く、しかも重量も軽くなり、チップマウンタなどで基板
に実装する際にも問題は発生しない。
【0035】この様に基台11の体積固有抵抗,熱膨張
係数,誘電率,曲げ強度,密度を規定することによっ
て、自己共振周波数f0やQが低下しないので、高周波
用の素子として用いることができ、ヒートショック等で
基台11にクラック等が発生することを抑制できるの
で、不良率を低減することができ、更には、機械的強度
を向上させることができるので、実装装置などを用いて
回路基板等に実装できるので、生産性が向上する等の優
れた効果を得ることができる。
【0036】上記の諸特性を得る材料としては、アルミ
ナを主成分とするセラミック材料が挙げられる。しかし
ながら、単にアルミナを主成分とするセラミック材料を
用いても上記諸特性を得ることはできない。すなわち、
上記諸特性は、基台11を作製する際のプレス圧力や焼
成温度及び添加物によって異なるので、作製条件などを
適宜調整しなければならない。具体的な作製条件とし
て、基台11の加工時のプレス圧力を2〜5t,焼成温
度を1500〜1600℃,焼成時間1〜3時間等の条
件が挙げられる。また、アルミナ材料の具体的な材料と
しては、Al23が92重量%以上,SiO2が6重量
%以下,MgOが1.5重量%以下,Fe23が0.1
%以下,Na2Oが0.3重量%以下等が挙げられる。
【0037】また、基台11の構成材料として、フェラ
イト等の磁性材料で構成してもよい。基台11をフェラ
イト等の磁性材料で構成すると、高いインダクタンス
(大体18nH〜50nH)を有する素子を形成するこ
とができる。
【0038】次に基台11の表面粗さについて説明す
る。なお、以下の説明で出てくる表面粗さとは、全て中
心線平均粗さを意味するものであり、導電膜12の説明
等に出てくる粗さも中心線平均粗さである。
【0039】基台11の表面粗さは0.15〜0.5μ
m程度、好ましくは0.2〜0.3μm程度がよい。図
7は本発明の一実施の形態におけるインダクタンス素子
に用いられる基台の表面粗さと剥がれ発生率を示したグ
ラフである。図7は下記に示すような実験の結果であ
る。基台11及び導電膜12はそれぞれアルミナ,銅で
構成し、基台11の表面粗さをいろいろ変えたサンプル
を作製し、その各サンプルの上に同じ条件で導電膜12
を形成した。それぞれのサンプルに超音波洗浄を行い、
その後に導電膜12の表面を観察して、導電膜12の剥
がれの有無を測定した。基台11の表面粗さは、表面粗
さ測定器(東京精密サーフコム社製 574A)を用い
て、先端Rが5μmのものを用いた。この結果から判る
ように平均表面粗さが0.15μm以下であると、基台
11の上に形成された導電膜12の剥がれの発生率が5
%程度であり、良好な基台11と導電膜12の接合強度
を得ることができる。更に、表面粗さが0.2μm以上
であれば導電膜12の剥がれがほとんど発生していない
ので、できれば、基台11の表面粗さは0.2μm以上
が好ましい。導電膜12の剥がれは、素子の特性劣化の
大きな要因となるので、歩留まり等の面から発生率は5
%以下が好ましい。
【0040】図8は本発明の一実施の形態におけるイン
ダクタンス素子に用いられる基台の表面粗さに対する周
波数とQ値の関係を示すグラフである。図8は以下のよ
うな実験の結果である。まず、表面粗さが0.1μm以
下の基台11と、表面粗さが0.2〜0.3μmの基台
11と、表面粗さが0.5μm以上の基台11のそれぞ
れのサンプルを作製し、それぞれのサンプルに同じ材料
(銅)で同じ厚さの導電膜を形成した。そして、各サン
プルにおいて、所定の周波数FにおけるQ値を測定し
た。図8から判るように基台11の表面粗さが0.5μ
m以上であると、導電膜12の膜構造が悪くなることが
原因と考えられるQ値の低下が見られる。特に高周波領
域で顕著にQ値の劣化が見られる。また、自己共振周波
数f0(各線の極大値)も基台11の表面粗さが0.5
μmのものは、低周波側にシフトしている。従ってQ値
の面及び自己共振周波数f0の面から見れば基台11の
表面粗さは0.5μm以下とすることが好ましい。
【0041】以上の様に、導電膜12と基台11との密
着強度,導電膜のQ値及び自己共振周波数f0の双方の
結果から判断すると、基台11の表面粗さは、0.15
μm〜0.5μmが好ましく、さらに好ましくは0.2
〜0.3μmが良い。
【0042】また、表面粗さは、端部11b,11cと
中央部11aでは、平均表面粗さを異ならせた方が好ま
しい。すなわち、平均表面粗さ0.15〜0.5μmの
範囲内で端部11b,11cの平均表面粗さを中央部1
1aの平均表面粗さよりも小さくすることが好ましい。
端部11b,11cは導電膜12を積層することによっ
て上述の様に端子部15,16が構成されるので、端部
11b,11cの表面粗さを中央部11aより小さくす
ることによって、端部11b,11c上に形成される導
電膜12の表面粗さを小さくできるので、回路基板等の
電極との密着性を向上させることができ、確実な回路基
板等とインダクタンス素子の接合をおこなうことができ
る。また、中央部11aには導電膜12を積層し溝13
を形成するので、溝13をレーザ等で形成する際に導電
膜12が基台11からはがれ落ちないように導電膜12
と基台11の密着強度を向上させなければないので、端
部11b,11cよりも中央部11aの表面粗さを大き
くした方が好ましい。特にレーザで溝13を形成する場
合、レーザが照射された部分は他の部分よりも急激に温
度が上昇し、ヒートショック等で導電膜12が剥がれる
ことがある。従って、レーザで溝13を形成する場合に
は導電膜12と基台11の接合密度を他の部分よりも向
上させることが必要である。
【0043】この様に中央部11aと端部11b,11
cとの表面粗さを異ならせることによって、回路基板等
との密着性及び溝13の加工の際の導電膜12のはがれ
を防止することができる。
【0044】なお、本実施の形態では、導電膜12と基
台11の接合強度を基台11の表面粗さを調整すること
によって、向上させたが、例えば、基台11と導電膜1
2の間にCr単体またはCrと他の金属の合金の少なく
とも一方で構成された中間層を設けることによって、表
面粗さを調整せずとも導電膜12と基台11の密着強度
を向上させることができる。もちろん基台11の表面粗
さを調整し、その上その基台11の上に中間層及び導電
膜12を積層する場合では、より強力な導電膜12と基
台11の密着強度を得ることができる。
【0045】次に導電膜12について説明する。導電膜
12としては、50nH以下の微少インダクタンスを有
し、しかも800MHz以上の高周波信号に対してQ値
が30以上であり、しかも自己共振周波数が1〜6GH
z程度のものが好ましい。この様な特性の導電膜12を
得るためには、材料及び製法等を選択しなければならな
い。
【0046】以下具体的に導電膜12について説明す
る。導電膜12の構成材料としては、銅,銀,金,ニッ
ケルなどの導電材料が挙げられる。この銅,銀,金,ニ
ッケル等の材料には、耐候性等を向上させために所定の
元素を添加してもよい。また、導電材料と非金属材料等
の合金を用いてもよい。構成材料としてコスト面や耐食
性の面及び作り易さの面から銅及びその合金がよく用い
られる。導電膜12の材料として、銅等を用いる場合に
は、まず、基台11上に無電解メッキによって下地膜を
形成し、その下地膜の上に電解メッキにて所定の銅膜を
形成して導電膜12が形成される。更に、合金等で導電
膜12を形成する場合には、スパッタリング法や蒸着法
で構成することが好ましい。
【0047】また、本実施の形態では、導電膜12に
1.2A,1.6A,2.0Aそれぞれの電流を流し
て、自己発熱による上昇温度が20℃以下となるように
形成した。このようになる様に導電膜12を形成した理
由は、上昇温度が20℃を超えると、導電膜12の剥が
れや溶断などが発生し、素子の特性が劣化したり、ま
た、特に長さL1,幅L2,高さL3を、 L1=0.5〜2.1mm(好ましくは0.6〜1.6
mm) L2=0.2〜1.5mm(好ましくは0.3〜0.8
mm) L3=0.2〜1.5mm(好ましくは0.3〜0.8
mm) (なお、L1,L2,L3のそれぞれの寸法誤差は0.
02mm以下が好ましい。)のサイズを有するインダク
タンス素子は、一般に非常に小型の基板(パワーモジュ
ールなど)に搭載され、しかも大電流を流す回路などに
用いられるので、インダクタンス素子の近くに他の電子
部品などが配置される事があり、インダクタンス素子で
発生した熱によって他の電子部品に熱的なダメージを与
え、機器としての特性や劣化する事があることを見出し
たからである。インダクタンス素子の上昇温度とは溝1
3を形成している導電膜12の部分の温度である。この
上昇温度は抵抗法や非接触の赤外線温度測定装置などに
よって行う。
【0048】抵抗法は、例えば、室温(20℃)にイン
ダクタンス素子を放置し、インダクタンス素子に所定の
電流を10分〜15分流す。この時素子温度が下がらな
いように空気流などが素子になるべく当たらないように
配慮することが好ましい。所定時間電流をインダクタン
ス素子に流した後に、インダクタンス素子の抵抗値を測
定する。一般に所定の金属及びその金属の膜厚などを特
定すれば、インダクタンス素子の導電膜12の抵抗値と
導電膜12の温度の関係は所定の関係になっているの
で、導電膜12の抵抗値を測定すれば導電膜の自己発熱
による温度を測定できる。
【0049】赤外線温度測定装置を用いる場合には、上
述と同じように、例えば、室温(20℃)にインダクタ
ンス素子を放置し、インダクタンス素子に所定の電流を
10分〜15分流す。この時素子温度が下がらないよう
に空気流などが素子になるべく当たらないように配慮す
ることが好ましい。所定時間電流をインダクタンス素子
に流した後に、赤外線温度測定装置によって素子表面
(保護材14の表面)から発生する赤外線を感知して、
温度を測定することができる。なお、赤外線温度測定装
置を用いる場合には、保護材14の表面を測定していな
いので、多少の誤差は生じるもののほぼ、導電膜12と
同じ温度であると推測される。
【0050】以上の様に、導電膜12に1.2A,1.
6A,2.0Aそれぞれの電流を流して、自己発熱によ
る上昇温度が20℃以下となるように形成する方法とし
て、例えば、導電膜12として銅及び銅の合金及び銅に
微量の不純物が混じったものを用いた場合、導電膜12
の膜厚を50μm以上とすることが好ましい。なお、こ
の時、導電膜12の成膜条件や構成材料の成分等によっ
て形成される導電膜12の特性が異なることがあるの
で、多少の調整を行うことが好ましい。
【0051】また、他の例として、銅単体及び銅を主成
分とする材料で膜を形成し、その膜に近接して更に電気
抵抗の小さな金等の膜を積層する構成にしてもよい。
【0052】以上の具体例において、導電膜12の直流
抵抗は50mΩ以下となるように構成することによっ
て、確実に自己発熱を抑え、温度上昇を低減させること
ができる。
【0053】更に、本実施の形態の様に、導電膜12を
例えば銅などで構成し、その膜厚を厚くして自己発熱を
抑える場合(図9参照)、導電膜12に形成される溝1
3の幅K1と溝13と溝13の間の導電膜12の幅K2
は以下の関係を有する事が好ましい。
【0054】20μm>K1>15μm 200μm>K2>100μm 特に前述の様に長さL1,幅L2,高さL3を、 L1=0.5〜2.1mm(好ましくは0.6〜1.6
mm) L2=0.2〜1.5mm(好ましくは0.3〜0.8
mm) L3=0.2〜1.5mm(好ましくは0.3〜0.8
mm) (なお、L1,L2,L3のそれぞれの寸法誤差は0.
02mm以下が好ましい。)としたインダクタンス素子
とした場合、上述のK1,K2は上述の範囲とすること
によって、電気抵抗を小さくすることができ、しかも導
電膜12に形成される溝13を精度良く形成することが
でき、更に導電膜12の膜厚を厚くした場合に確実に溝
13を形成することができる。
【0055】導電膜12は単層で構成してもよいが、多
層構造としてもよい。すなわち、構成材料の異なる導電
膜を複数積層して構成しても良い。例えば、基台11の
上に先ず銅膜を形成し、その上に耐候性の良い金属膜
(ニッケル等)を積層する事によって、やや耐候性に問
題がある銅の腐食を防止することができる。
【0056】導電膜12の形成方法としては、メッキ法
(電解メッキ法や無電解メッキ法など),スパッタリン
グ法,蒸着法等が挙げられる。この形成方法の中でも、
量産性がよく、しかも膜厚のばらつきが小さなメッキ法
がよく用いられる。
【0057】導電膜12の表面粗さは1μm以下が好ま
しく、更に好ましくは0.2μm以下が好ましい。導電
膜12の表面粗さが1μmを超えると、表皮効果によっ
て高周波でのQ値が低下する。図10は本発明の一実施
の形態におけるインダクタンス素子に用いられる導電膜
の表面粗さに対する周波数とQ値の関係を示すグラフで
ある。図10は下記の様な実験を通して導き出された。
まず、同じ大きさ同じ材料同じ表面粗さで構成された基
台11の上に銅を構成材料とする導電膜12の表面粗さ
を変えて形成し、それぞれのサンプルにて各周波数にお
けるQ値を測定した。図10から判るように、導電膜1
2の表面粗さが1μm以上であれば高周波領域における
Q値が低くなっていることが判る。更に導電膜12の表
面粗さが0.2μm以下であれば特に高周波領域におけ
るQ値が、非常に高くなっていることがわかる。
【0058】以上の様に導電膜12の表面粗さは、1.
0μm以下が良く、更に好ましくは、0.2μm以下と
することによって、導電膜12の表皮効果を低減させる
ことができ、特に高周波におけるQ値を向上させる事が
できる。
【0059】更に導電膜12と基台11の密着強度は、
導電膜12を形成した基台11を400℃の温度下に数
秒間放置した後に基台11から導電膜12がはがれない
程度以上であることが好ましい。素子を基板等に実装し
た際に、素子には自己発熱や他の部材からの熱が加わる
ことによって、素子に200℃以上の温度が加わること
がある。従って、400℃で基台11からの導電膜12
のはがれが発生しない程度の密着強度であれば、たとえ
素子に熱が加わっても、素子の特性劣化等は発生しな
い。
【0060】次に保護材14について説明する。保護材
14としては、耐候性に優れた有機材料、例えばエポキ
シ樹脂などの絶縁性を示す材料が用いられる。また、保
護材14としては、溝13の状況等が観測できるような
透明度を有する事が好ましい。更に保護材14には透明
度を有したまま、所定の色を有することが好ましい。保
護材14に赤,青,緑などの、導電膜12や端子部1
5,16等と異なる色を着色する事によって、素子各部
の区別をする事ができ、素子各部の検査などが容易に行
える。また、素子の大きさ、特性、品番等の違いで保護
材14の色を変えることによって、特性や品番等の異な
る素子を誤った部分に取り付けるなどのミスを低減させ
ることができる。
【0061】また、保護材14は、図11に示すように
溝13の角部13aと保護材14の表面までの長さZ1
が5μm以上となるように塗布することが好ましい。Z
1が5μmより小さいと特性劣化や放電などが発生し易
くなり素子の特性が大幅に劣化することが考えられる。
また、溝13の角部13aは特に放電などが発生しやす
い部分であり、この角部13a上に厚さ5μm以上の保
護材14が形成されることが非常に好ましい。また、保
護材14を形成した後に再びメッキを施して電極膜等を
形成することがあるが、角部13a上に5μm以上の保
護材14が形成されていないと、電極膜等が付着すると
不具合が生じる保護材14上に電極膜等が形成されるこ
とになり、特性の劣化が生じる。
【0062】なお、本実施の形態の様に導電膜12を厚
く形成して、自己発熱等を抑える様にした場合、溝13
の深さが非常に深くなり、保護材14に凹凸が形成され
る事がある。例えば上述の様に導電膜12を銅などの材
料で構成するとともに膜厚を50μm以上とした場合、
溝13の深さは80μm〜100μm程度に達するが、
このとき保護材14を溝13の上に形成すると、保護材
14に大きな段差が生じることがある。この現象を詳細
に検討した結果、凹凸の段差が非常に大きいと、その凹
凸内に不要物が溜まって基板などに実装する際の衝撃に
よって、基板上にその不要物が落下して悪さをしたり、
同様に基板などに実装する際に、ノズルで保護材14部
分を吸着するが、上述の様に凹凸が非常に大きいと、ノ
ズルで吸着できない場合があり、実装の確実性を得るこ
とはできない事が分かった。そこで、凹凸の段差K3を
70μm以下(好ましくは50μm以下)とすれば、不
要物の付着やノズルの吸着ミスなどをかなりの確率で抑
制することができることを見出した。またこの段差の大
きな凹凸を少なくする方法として、例えば保護材の2度
塗り等がある。この方法は、先ず薄く保護材14を塗布
し、溝13内に保護材14を埋め込み、その後に再度保
護材14を塗布済みの保護材14の上に塗布するもので
ある。この様に保護材14の塗布方法等を工夫すること
によってたとえ、導電膜12の膜厚を大きくし、溝13
を深く形成しても、段差の大きな(K3が70μm以
下)凹凸が保護材14に形成される事はない。
【0063】次に端子部15,16について説明する。
端子部15,16は、導電膜12のみでも十分に機能す
るが、様々な環境条件等に順応させるために、多層構造
とすることが好ましい。
【0064】図12は本発明の一実施の形態におけるイ
ンダクタンス素子の端子部の断面図である。図12にお
いて、基台11の端部11bの上に導電膜12が形成さ
れており、しかも導電膜12の上には耐候性を有するニ
ッケル,チタン等の材料で構成される保護層300が形
成されており、更に保護層300の上には半田等で構成
された接合層301が形成されている。保護層300は
接合層と導電膜12の接合強度を向上させるとともに、
導電膜の耐候性を向上させることができる。本実施の形
態では、保護層300の構成材料として、ニッケルかニ
ッケル合金の少なくとも一方とし、接合層301の構成
材料としては半田を用いた。保護層300(ニッケル)
の厚みは2〜7μmが好ましく、2μmを下回ると耐候
性が悪くなり、7μmを上回ると保護層300(ニッケ
ル)自体の電気抵抗が高くなり、素子特性が大きく劣化
する。また、接合層301(半田)の厚みは5μm〜1
0μm程度が好ましく、5μmを下回ると半田食われ現
象が発生して素子と回路基板等との良好な接合が期待で
きず、10μmを上回るとマンハッタン現象が発生し易
くなり、実装性が非常に悪くなる。
【0065】次に有効長と素子長さについて説明する。
図15は本発明の実施の形態におけるインダクタンス素
子(チョークコイル)を示す側面図である。図15に示
すように、有効長P1は溝13の端部から端部までの素
子長手方向の間隔で表され、素子長さP2は端子部1
5,16間の間隔で表される。この時、下記条件を満た
すことが好ましい。
【0066】0.5<P1÷P2<0.8 この条件を満たすことによって、有効長P1領域の巻数
を一定にし、導電膜12の膜厚を一定とした場合、回路
基板等との接合強度及び定格電流を大きくすることがで
き、面実装用のチョークコイルとして十分な特性を得る
ことができる。なお、定格電流は、電流を流したときの
素子の上昇温度が20℃以下となる値である。図16は
本発明の実施の形態におけるインダクタンス素子のP1
÷P2と接合強度及び定格電流の関係を示したグラフで
ある。図16に示す定格電流とは、その電流を流したと
きに、素子の温度上昇が20℃に達する電流のことであ
る。例えば、P1÷P2が0.8の時は、1.5Aを越
えた電流を素子に流すと、素子の上昇温度が20℃を越
えてしまう。すなわち、P1÷P2が0.8の時は1.
5Aまで電流を流すことが可能であることを示している
また、図16に示す端子部の密着強度としては撓み試験
を行って求めた。撓み試験は後述するが、例えばP1÷
P2が0.5の時には、2kgを越えた力で基板を撓ま
せると、基板と素子を接合している半田にクラックなど
が生じることを意味している。即ち、2kg以下の力で
基板を撓ませると半田にクラック等は生じていないこと
を示している。図16から判るようにP1÷P2が0.
8以上であると素子両端の端子部15,16の回路基板
との接合面積が非常に小さくなり、回路基板との間の接
合強度が悪くなり、また、P1÷P2が0.5以下であ
ると、有効長P1領域の溝13間の導電膜12の幅等が
狭くなることによって、定格電流が小さくなってしまい
(例えば0.8Aの電流を素子に流したときに、素子の
上昇温度が20℃を越えてしまう)、十分なチョークコ
イルとしての特性を得ることができなくなる。この様
に、良好なチョークコイルを構成できるインダクタンス
素子として、有効長P1と素子の長さP2の関係に着目
することによって、十分な特性を有し、しかも回路基板
との接合強度を向上するという実装性を向上させること
ができる。なお、特に、上記のP1÷P2の条件は、
0.8mm<P2<1.8mmの時に特に有効である。
すなわち、小型化すればするほど、上記P1÷P2の条
件を満たすことが、チョークコイルとしてのインダクタ
ンス素子の特性及び実装性を向上させることができる。
なお、ここで説明した素子と回路基板などとの接合強度
としては、撓み強度を基準にした。撓み強度は、図19
に示すように、ガラスエポキシで構成された基板500
上に素子を半田で接合し、基板500を撓ませて、半田
に発生しているクラックなどを観測して、クラックが観
測できなければ、良品とした。
【0067】次に有効長P1領域の導電膜12の膜厚等
について図17及び図18について説明する。チョーク
コイルとしてのインダクタンス素子の有効長P1領域の
導電膜12の膜厚P4と溝13間に設けられた導電膜1
2の幅P5の関係としては、P4<P5となる事が好ま
しい。P4<P5とすることによって、溝13間に設け
られた導電膜12がひょろ長く立設されることはなく、
導電膜12の破損等が発生する確率は極めて小さく、直
流抵抗が大きくなる事はない。また、図15に示す素子
の高さP3と有効長P1領域の導電膜12の膜厚P4の
関係は以下の条件を満たす事が好ましい。
【0068】0.05<P4÷P3<0.2 上記の条件を満たすことによって、直流抵抗を下げ大き
な定格電流値が確保できる。しかも高周波帯で良好なL
値を有するチョークコイルとしてのインダクタンス素子
を得ることができる。図18はP4÷P3と直流抵抗及
びL値の関係を示すグラフである。図18から判るよう
に、P4÷P3が0.05以下であると、L値は小さく
なり良好であるものの直流抵抗が極めて高くなり、チョ
ークコイルとしての特性が悪くなり、P4÷P3が0.
2以上であると、反対に直流抵抗は小さくなり良好な特
性を得ることができるものの、L値が大きくなりすぎて
チョークコイルとしての特性が悪くなり、更には、導電
膜12の膜厚が厚くなりすぎて、素子全体が丸みを帯び
てしまい、回路基板等に実装する場合に、うまく実装で
きない等の問題も生じてくる。この様に良好なチョーク
コイルを得るインダクタンス素子として、素子高さP3
と有効長P1領域の導電膜12の膜厚P4の関係に着目
することによって、低い直流抵抗を有する事で、大電流
を流すことができ、しかも低いL値を有することで、高
周波に対応できる素子を提供でき、更には、実装性を向
上させることができる。
【0069】以上の様に構成されたインダクタンス素子
は、特性劣化が無く、しかも、実装性及び生産性が非常
によい。
【0070】以上の様に構成されたインダクタンス素子
について、以下その製造方法について説明する。
【0071】まず、アルミナ等の絶縁材料をプレス成形
や押し出し法によって、基台11を作製する。次にその
基台11全体にメッキ法やスパッタリング法などによっ
て導電膜12を形成する。次に導電膜12を形成した基
台11にスパイラル状の溝13を形成する。溝13はレ
ーザ加工や切削加工によって作製される。レーザ加工
は、非常に生産性が良いので、以下レーザ加工について
説明する。まず、基台11を回転装置に取り付け、基台
11を回転させ、そして基台11の中央部11aにレー
ザを照射して導電膜12及び基台11の双方を取り除
き、スパイラル状の溝を形成する。このときのレーザ
は、YAGレーザ,エキシマレーザ,炭酸ガスレーザな
どを用いることができ、レーザ光をレンズなどで絞り込
むことによって、基台11の中央部11aに照射する。
更に、溝13の深さ等は、レーザのパワーを調整し、溝
13の幅等は、レーザ光を絞り込む際のレンズを交換す
ることによって行える。また、導電膜12の構成材料等
によって、レーザの吸収率が異なるので、レーザの種類
(レーザの波長)は、導電膜12の構成材料によって、
適宜選択することが好ましい。
【0072】溝13を形成した後に、溝13を形成した
部分(中央部11)に保護材14を塗布し、乾燥させ
る。
【0073】この時点でも、製品は完成するが、特に端
子部15,16にニッケル層や半田層を積層して、耐候
性や接合性を向上させることもある。ニッケル層や半田
層は、メッキ法等によって保護材14を形成した半完成
品に形成する。
【0074】なお、本実施の形態は、インダクタンス素
子について説明したが、絶縁材料によって構成された基
台の上に導電膜を形成する電子部品でも同様な効果を得
ることができる。
【0075】図13及び図14はそれぞれ本発明の一実
施の形態における無線端末装置を示す斜視図及びブロッ
ク図である。図13及び図14において、29は音声を
音声信号に変換するマイク、30は音声信号を音声に変
換するスピーカー、31はダイヤルボタン等から構成さ
れる操作部、32は着信等を表示する表示部、33はア
ンテナ、34はマイク29からの音声信号を復調して送
信信号に変換する送信部で、送信部34で作製された送
信信号は、アンテナを通して外部に放出される。35は
アンテナで受信した受信信号を音声信号に変換する受信
部で、受信部35で作成された音声信号はスピーカ30
にて音声に変換される。36は送信部34,受信部3
5,操作部31,表示部32を制御する制御部である。
【0076】以下その動作の一例について説明する。先
ず、着信があった場合には、受信部35から制御部36
に着信信号を送出し、制御部36は、その着信信号に基
づいて、表示部32に所定のキャラクタ等を表示させ、
更に操作部31から着信を受ける旨のボタン等が押され
ると、信号が制御部36に送出されて、制御部36は、
着信モードに各部を設定する。即ちアンテナ33で受信
した信号は、受信部35で音声信号に変換され、音声信
号はスピーカー30から音声として出力されると共に、
マイク29から入力された音声は、音声信号に変換さ
れ、送信部34を介し、アンテナ33を通して外部に送
出される。
【0077】次に、発信する場合について説明する。ま
ず、発信する場合には、操作部31から発信する旨の信
号が、制御部36に入力される。続いて電話番号に相当
する信号が操作部31から制御部36に送られてくる
と、制御部36は送信部34を介して、電話番号に対応
する信号をアンテナ33から送出する。その送出信号に
よって、相手方との通信が確立されたら、その旨の信号
がアンテナ33を介し受信部35を通して制御部36に
送られると、制御部36は発信モードに各部を設定す
る。即ちアンテナ33で受信した信号は、受信部35で
音声信号に変換され、音声信号はスピーカー30から音
声として出力されると共に、マイク29から入力された
音声は、音声信号に変換され、送信部34を介し、アン
テナ33を通して外部に送出される。
【0078】上記で説明したインダクタンス素子(図1
〜図12に示すもの)は、送信部34や受信部35の中
の発信回路,ミキサー回路等の電源部や、パワーモジュ
ール及びその周辺の高電流部等に用いられており、その
数は、一つの無線端末装置に数個〜40個程度用いられ
ている。上述の様なインダクタンス素子を用いることに
よって、装置内に用いられ、大電流が流れる回路等を構
成する基板等を小型化できるので、他の部分への熱的な
ダメージを低減させることができ、装置の安定した特性
を得ることができる。
【0079】
【発明の効果】本発明は、基台と、基台上に形成された
導電膜と、導電膜に設けられた溝と、溝を覆うとともに
凹凸の段差を50μm以下とした保護材と、基台の両端
に設けられた端子電極とを備え、素子の長さL1(P
2),幅L2,高さL3(P3)としたときに、 L1=0.5〜2.1mm L2=0.2〜1.5mm L3=0.2〜1.5mm としたインダクタンス素子であって、素子の長さをP2
とし、溝の両端間の長さである有効長をP1としたとき
に、0.5<P1÷P2<0.8とし、更に素子の高さ
をP3とし、溝の両端間領域である有効長領域の導電膜
の膜厚をP4としたときに、0.05<P4÷P3<
0.2とし、更に、コイル状の導電膜の幅をP5とした
ときにP4<P5としたことによって、大電流を流して
も、素子の特性劣化を防止できると共に、他の部品への
熱的なダメージを抑えることができる。また、チョーク
コイルとして用いることによって、高周波に対応し、し
かも回路基板などとの接合強度を増すことができ、実装
性等を向上させることができる。
【0080】また、無線端末装置において、上記インダ
クタンス素子を搭載したことによって、装置内部に用い
られる基板等を小型化できるので、装置の小型化を行う
ことができ、しかも他の部品への熱的なダメージを抑え
ることができるので、装置の性能及び特性の劣化を抑え
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子を示す斜視図
【図2】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子を示す側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる導電膜を形成した基台の断面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台を示す図
【図5】マンハッタン現象を示す側面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台の斜視図
【図7】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台の表面粗さと剥がれ発生率を示し
たグラフ
【図8】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台の表面粗さに対する周波数とQ値
の関係を示すグラフ
【図9】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子を示す部分拡大図
【図10】本発明の一実施の形態におけるインダクタン
ス素子に用いられる導電膜の表面粗さに対する周波数と
Q値の関係を示すグラフ
【図11】本発明の一実施の形態におけるインダクタン
ス素子の保護材を設けた部分の側面図
【図12】本発明の一実施の形態におけるインダクタン
ス素子の端子部の断面図
【図13】本発明の一実施の形態における無線端末装置
を示す斜視図
【図14】本発明の一実施の形態における無線端末装置
を示すブロック図
【図15】本発明の実施の形態におけるインダクタンス
素子(チョークコイル)を示す側面図
【図16】本発明の実施の形態におけるインダクタンス
素子のP1÷P2と接合強度及び定格電流の関係を示し
たグラフ
【図17】本発明の実施の形態におけるインダクタンス
素子の部分拡大断面図
【図18】本発明の実施の形態におけるインダクタンス
素子のP4÷P3と直流抵抗及びL値の関係を示すグラ
【図19】撓み試験を示す概略図
【図20】従来のインダクタンス素子を示す側面図
【符号の説明】
11 基台 11a 中央部 11b,11c 端部 11d,11e,11f 角部 12 導電膜 13 溝 14 保護材 15,16 端子部 30 スピーカー 31 操作部 32 表示部 33 アンテナ 34 送信部 35 受信部 36 制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長友 省司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 磯崎 賢蔵 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−181021(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基台と、前記基台上に形成された導電膜
    と、前記導電膜に設けられた溝と、前記溝を覆うととも
    に凹凸の段差を50μm以下とした保護材と、前記基台
    の両端に設けられた端子電極とを備え、素子の長さL1
    (P2),幅L2,高さL3(P3)としたときに、 L1=0.5〜2.1mm L2=0.2〜1.5mm L3=0.2〜1.5mm としたインダクタンス素子であって、素子の長さをP2
    とし、溝の両端間の長さである有効長をP1としたとき
    に、0.5<P1÷P2<0.8とし、更に素子の高さ
    をP3とし、溝の両端間領域である有効長領域の導電膜
    の膜厚をP4としたときに、0.05<P4÷P3<
    0.2とし、更に、コイル状の導電膜の幅をP5とした
    ときにP4<P5としたことを特徴とするインダクタン
    ス素子。
  2. 【請求項2】基台の形状が、両端の断面が略正方形であ
    る事を特徴とする請求項1記載のインダクタンス素子。
  3. 【請求項3】音声を音声信号に変換する音声信号変換手
    段と、電話番号等を入力する操作手段と、着信表示や電
    話番号等を表示する表示手段と、音声信号を復調して送
    信信号に変換する送信手段と、受信信号を音声信号に変
    換する受信手段と、前記送信信号及び前記受信信号を送
    受信するアンテナと、各部を制御する制御手段を備えた
    無線端末装置であって、受信手段及び送信手段を構成す
    る電源供給部または送信手段に用いられるパワーモジュ
    ールの少なくとも一方を構成する部品として、請求項1
    のいずれか1記載のインダクタンス素子を用いたこ
    とを特徴とする無線端末装置。
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