JP2947266B1 - インダクタンス素子及び無線端末装置 - Google Patents

インダクタンス素子及び無線端末装置

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JP2947266B1
JP2947266B1 JP10109086A JP10908698A JP2947266B1 JP 2947266 B1 JP2947266 B1 JP 2947266B1 JP 10109086 A JP10109086 A JP 10109086A JP 10908698 A JP10908698 A JP 10908698A JP 2947266 B1 JP2947266 B1 JP 2947266B1
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Abstract

【要約】 【課題】 本発明は、生産性が良く、小型で、損失(高
Q値)が小さなインダクタンス素子及び無線端末装置を
提供することを目的としている。 【解決手段】 基台11上に形成された導電膜12と、
導電膜12に設けられた溝13と、溝を覆う保護材14
と、基台11を挟み込む一対の端子部15,16を備え
たインダクタンス素子であって、端子部15,16とし
てシート状体かあるいは板状体を用い、しかも基台11
の両端面に設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信などの
電子機器に用いられ、特に高周波回路等に好適に用いら
れるインダクタンス素子及び無線端末装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】図15は従来のインダクタンス素子を示
す側面図である。図15において、1は四角柱状また
は、円柱状の基台、2は基台1の上に形成された導電
膜、3は導電膜2に設けられた溝、4は導電膜3の上に
積層された保護材である。
【0003】この様な電子部品は、溝3の間隔などを調
整することによって、所定の特性に調整する。
【0004】先行例としては、特開平7−307201
号公報,特開平7−297033号公報,特開平5−1
29133号公報,特開平1−238003号公報,実
開昭57−117636号公報,特開平5−29925
0号公報,特開平7−297033号公報等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら以上のよ
うな構成では、インダクタンス素子は、ある程度のQ値
を得ることができるものの、近年の様に携帯無線機器等
の電子機器の小型化及び高性能化または、電力の使用量
の削減等が求められてくると、前述のようなインダクタ
ンス素子では、十分な特性を得ることはできなかった。
【0006】本発明は、上記従来の課題を解決するもの
で、生産性が良く、小型で、損失が小さな(高Q値)イ
ンダクタンス素子及び無線端末装置を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、基台の上に導
電膜を形成し、その導電膜に溝を形成してインダクタン
ス成分を形成し、その後に、基台の両端にシート状ある
いは板状の端子部を設けた事を特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、基台と、
前記基台上に設けられた導電膜と、前記導電膜に設けら
れた溝と、前記基台を挟むように前記基台の端面に取り
付けられた一対の端子部と、前記基台上に設けられた保
護材とを備え、前記端子部として、導電性の板状体かも
しくはシート状体を用いるとともに、前記端子部にて前
記基台と前記保護材を挟み込んだ事によって、生産性を
向上させることができ、しかも高Q値を得ることができ
る。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1におい
て、基台の端子部との接合部位は、基台の端面のみであ
ることによって、更にQ値を向上させることができる。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1,2にお
いて、溝を覆う保護材を電着膜とした事によって、薄く
しかも確実な素子の保護を行うことができ、しかも一度
に沢山の素子に保護材を形成できるので、生産性が向上
する。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項1〜3にお
いて、端子部の面積よりも基台の断面積を小さくすると
ともに、前記端子部の外端部と基台の表面との間に隙間
を設けた事によって、端子部を精度良く形成すること
で、基台に多少の寸法誤差が生じても、素子の幅及び高
さを均一化することができる。
【0012】請求項5記載の発明は、請求項4におい
て、隙間に保護材を設けたことによって、保護材の突出
を防止でき、実装性を向上させることができる。
【0013】請求項6記載の発明は、請求項1〜5にお
いて端子部の厚さの最低限度を0.08mm以上とする
ことによって、端子部にある程度の強度を持たせること
ができ、端子部の取り扱いを容易にすることができる。
【0014】請求項7記載の発明は、請求項1〜6にお
いて、端子部に他の部分よりも突出した外部接触部を設
け、前記外部接触部以外を保護材で覆ったことによっ
て、素子の耐候性を向上させることができ、しかも素子
に方向性を持たせることができる。
【0015】請求項8記載の発明は、請求項1〜7にお
いて、基台を角柱状とし、端子部を方形板状とした事に
よって、基板上に実装する際に素子の転げ等が発生せ
ず、実装性を向上させることができ、しかも、基台の形
状がシンプルになるので、コスト面製造面で非常に有利
になる。
【0016】請求項9に係る発明は、請求項1〜8にお
いて、導電膜の表面粗さを1μm以下としたことによっ
て、更にQ値の低下を防止できるので、更に高いQ値を
有する素子を得ることができる。
【0017】請求項10に係る発明は、請求項1〜8に
おいて、基台の表面粗さを0.5μm以下としたことに
よって、更にQ値の低下を防止できるので、更に高いQ
値を有する素子を得ることができる。
【0018】請求項11に係る発明は、請求項1〜8に
おいて、長さL1,幅L2,高さL3としたときに、 L1=0.5〜2.1mm L2=0.2〜1.5mm L3=0.2〜1.5mm のサイズを有することによって、小型で、しかも素子折
れ等が発生に難いので、実装性にも優れ、しかも非常に
小さな回路基板を構成できる。
【0019】請求項12記載の発明は、断面略正方形状
の角柱状体をなす基台と、前記基台上に設けられた導電
膜と、前記導電膜に設けられ、前記基台の側面に設けら
れたスパイラル状の溝と、前記基台の両端面にそれぞれ
設けられた方形状の一対の端子部と、前記溝を覆うよう
に前記基台の側面に設けられた保護材とを備え、前記端
子部は板状体もしくはシート状体で構成され、前記基台
の端面上のみに設けたことによって、生産性を向上させ
ることができ、高Q値を得ることができ、しかも実装性
や耐候性を向上させることができる。
【0020】請求項13記載の発明は、柱状の基台を作
製し、前記基台上に導電膜を形成し、前記導電膜の一部
を取り除くように前記基台に溝を形成し、前記基台の両
端に板状体かもしくはシート状体の端子部を貼り付け、
その後に少なくとも前記溝を覆うように保護材を設けた
事によって、生産性が向上し、しかも高Q値を得ること
ができる。
【0021】請求項14記載の発明は、請求項13にお
いて、保護材を電着法による電着膜とした事によって、
薄くしかも確実な素子の保護を行うことができ、しかも
一度に沢山の素子に保護材を形成できるので、生産性が
向上する。
【0022】請求項15記載の発明は、表示手段と、デ
ータ信号もしくは音声信号の少なくとも一方を送信信号
に変換するか受信信号をデータ信号もしくは音声信号の
少なくとも一方に変換する変換手段と、前記送信信号及
び前記受信信号を送受信するアンテナと、各部を制御す
る制御手段を備えた無線端末装置であって、発信回路,
フィルタ回路,アンテナ部及び各段とのマッチング回路
周辺部等の少なくとも一つに請求項1〜12いずれか1
記載のインダクタンス素子を用いたことによって、装置
内部の基板等を小型化でき、しかもQ値が高いので、損
失が非常に小さくなるので、電力の削減を行うことがで
き、長時間の動作を行うことができる。
【0023】以下、本発明におけるインダクタンス素子
及び無線端末装置の実施の形態について説明する。
【0024】図1,図2はそれぞれ本発明の一実施の形
態におけるインダクタンス素子を示す斜視図及び側断面
図である。
【0025】図1において、11は絶縁材料などをプレ
ス加工,押し出し法等を施して構成されている基台、1
2は基台11の上に設けられている導電膜で、導電膜1
2は、メッキ法やスパッタリング法等の蒸着法等によっ
て基台11上に形成される。
【0026】13は基台11及び導電膜12に設けられ
た溝で、溝13は、レーザ光線等を導電膜12に照射す
ることによって形成したり、導電膜12に砥石等を当て
て機械的に形成されたり、レジストなどを用いた選択的
エッチングによって形成されている。
【0027】14は基台11及び導電膜12の溝13を
設けた部分に塗布された保護材、15,16はそれぞれ
基台11の端面上(好ましくは端面上のみ)にそれぞれ
取り付けられた端子部で、端子部15と端子部16の間
には、基台11が挟み込まれている。すなわち、基台1
1における端子部15,16との接合部位は、基台11
の端面のみとなり、基台11の側面と端子部15,16
は非接触とすることが基本である。
【0028】本発明の特徴は、端子部15,16を導電
材料で構成された板状体あるいはシート状体ので構成す
る点である。この様な構成によって、端子部15,16
をメッキ膜などで構成するよりもはるかに工程が簡単に
なり、しかも高いQ値を得るインダクタンス素子を得る
ことが出来る。端子部15,16の具体的な構成材料と
しては、導電性のあるセラミック材料,樹脂材料,金属
材料等を用いることが出来るが、特に金属材料は加工性
及びコスト面などで有利になる。金属材料としては、F
e,Cu,Ag,Au等の単体や、それらの合金あるい
は、ステンレスなどの複合合金等が用いられる。それら
金属材料のなかでも、コスト面等や加工性を考慮すると
CuあるはCuと他の成分の合金などを用いることが好
ましい。
【0029】端子部15,16と基台11との接合は、
導電性接着材(高温半田等)を用いて接合したり、超音
波や溶接などで行われる。
【0030】また、本実施の形態のインダクタンス素子
は、実用周波数帯域が1〜6GHzと高周波数域に対応
し、しかも非常に高いQ値(35以上)を有しており、
そのインダクタンス素子の長さL1,幅L2,高さL3
は以下の通りとなっていることが好ましい。
【0031】L1=0.5〜2.1mm(好ましくは
0.6〜1.6mm) L2=0.2〜1.5mm(好ましくは0.3〜0.8
mm) L3=0.2〜1.5mm(好ましくは0.3〜0.8
mm) (なお、L1,L2,L3のそれぞれの寸法誤差は0.
02mm以下が好ましい。) L1が0.5mm以下であると、必要とするインダクタ
ンスを得ることができきない。また、L1が2.1mm
を超えてしまうと、素子自体が大きくなってしまい、電
子回路等が形成された基板など(以下回路基板等と略
す)回路基板等の小型化ができず、ひいてはその回路基
板等を搭載した電子機器等の小型化を行うことができな
い。また、L2,L3それぞれが0.2mm以下である
と、素子自体の機械的強度が弱くなりすぎてしまい、実
装装置などで、回路基板等に実装する場合に、素子折れ
等が発生することがある。また、L2,L3が1.5m
m以上となると、素子が大きくなりすぎて、回路基板等
の小型化、ひいては装置の小型化を行うことができな
い。
【0032】以上の様に構成されたインダクタンス素子
について、以下各部の詳細な説明をする。
【0033】まず、基台11の形状について説明する。
基台11は角柱状もしくは円柱状とすることが好まし
く、図1,2に示す様に基台11を角柱状とすることに
よって、実装性を向上させることができ、素子の転がり
等を防止できる等の効果を有する。また、基台11を角
柱状とする中でも特に四角柱状とすることが非常に実装
性や、素子の回路基板上での位置決めを容易にする。な
お、更に好ましくは底面が正方形の直方体とすることが
更に実装性等を向上させることができる。更に、基台1
1を角柱状とすることによって構造が非常に簡単になる
ので、生産性がよく、しかもコスト面が非常に有利にな
る。
【0034】また、基台11の形状を円柱状とすること
によって、後述するように基台11上に導電膜12を形
成し、その導電膜12にレーザ加工等によって溝を形成
する場合、その溝の深さなどを精度よく形成することが
でき、特性のばらつきを抑えることができる。
【0035】次に基台11の面取りについて図3を用い
て説明する。図3は基台11を示す斜視図である。
【0036】基台11の角部11b,11cには面取り
が施されており、その面取りした角部11b,11cの
それぞれの曲率半径R1及び角部11aの曲率半径R2
は以下の通りに形成されることが好ましい。
【0037】0.03<R1<0.15(mm) 0.01<R2(mm) R1が0.03mm以下であると、角部11b,11c
が尖った形状となっているので、ちょっとした衝撃など
によって角部11b,11cに欠けなどが生じることが
あり、その欠けによって、特性の劣化等が発生したりす
る。また、R1が0.15mm以上であると、角部11
b,11cが丸くなりすぎて、前述のマンハッタン現象
を起こしやすくなり、不具合が生じる。更にR2が0.
01mm以下であると、角部11aにバリなどが発生し
やすく、素子の特性を大きく左右する導電膜12の厚み
が角部11fと平坦な部分で大きく異なることがあり、
素子特性のばらつきが大きくなる。
【0038】次に基台11の構成材料について説明す
る。基台11の構成材料として下記の特性を満足してお
くことが好ましい。
【0039】体積固有抵抗:1013Ωm以上(好ましく
は1014Ωm以上) 熱膨張係数:5×10-4/℃以下(好ましくは2×10
-5/℃以下)[20℃〜500℃における熱膨張係数] 比誘電率:1MHzにおいて12以下(好ましくは10
以下) 曲げ強度:1300kg/cm2以上(好ましくは20
00kg/cm2以上) 密度:2〜5g/cm3(好ましくは3〜4g/cm3) 基台11の構成材料が体積固有抵抗が1013Ωm以下で
あると、導電膜12とともに基台11にも所定に電流が
流れ始めるので、並列回路が形成された状態となり、自
己共振周波数f0及びQ値が低くなってしまい、高周波
用の素子としては不向きである。
【0040】また熱膨張係数が5×10-4/℃以上であ
ると、基台11にヒートショック等でクラックなどが入
ることがある。すなわち熱膨張係数が5×10-4/℃以
上であると、上述の様に溝13を形成する際にレーザ光
線や砥石等を用いるので、基台11が局部的に高温にな
り、基台11にクラックなどが生じることあるが、上述
の様な熱膨張係数を有することによって、大幅にクラッ
ク等の発生を抑止できる。
【0041】また、誘電率が1MHzにおいて12以上
であると、自己共振周波数f0及びQ値が低くなってし
まい、高周波用の素子としては不向きである。
【0042】曲げ強度が1300kg/cm2以下であ
ると、実装装置で回路基板等に実装する際に素子折れ等
が発生することがある。
【0043】密度が2g/cm3以下であると、基台1
1の吸水率が高くなり、基台11の特性が著しく劣化
し、素子としての特性が悪くなる。また密度が5g/c
3以上になると、基台の重量が重くなり、実装性など
に問題が発生する。特に密度を上述の範囲内に設定する
と、吸水率も小さく基台11への水の進入もほとんどな
く、しかも重量も軽くなり、チップマウンタなどで基板
に実装する際にも問題は発生しない。
【0044】この様に基台11の体積固有抵抗,熱膨張
係数,誘電率,曲げ強度,密度を規定することによっ
て、自己共振周波数f0やQが低下しないので、高周波
用の素子として用いることができ、ヒートショック等で
基台11にクラック等が発生することを抑制できるの
で、不良率を低減することができ、更には、機械的強度
を向上させることができるので、実装装置などを用いて
回路基板等に実装できるので、生産性が向上する等の優
れた効果を得ることができる。
【0045】上記の諸特性を得る材料としては、アルミ
ナを主成分とするセラミック材料が挙げられる。しかし
ながら、単にアルミナを主成分とするセラミック材料を
用いても上記諸特性を得ることはできない。すなわち、
上記諸特性は、基台11を作製する際のプレス圧力や焼
成温度及び添加物によって異なるので、作製条件などを
適宜調整しなければならない。具体的な作製条件とし
て、基台11の加工時のプレス圧力を2〜5t,焼成温
度を1500〜1600℃,焼成時間1〜3時間等の条
件が挙げられる。また、アルミナ材料の具体的な材料と
しては、Al23が92重量%以上,SiO2が6重量
%以下,MgOが1.5重量%以下,Fe23が0.1
%以下,Na2Oが0.3重量%以下等が挙げられる。
【0046】また、基台11の構成材料として、フェラ
イト等の磁性材料で構成してもよい。基台11をフェラ
イト等の磁性材料で構成すると、高いインダクタンス
(大体18nH〜50nH)を有する素子を形成するこ
とができる。
【0047】次に基台11の表面粗さについて説明す
る。なお、以下の説明で出てくる表面粗さとは、全て中
心線平均粗さを意味するものであり、導電膜12の説明
等に出てくる粗さも中心線平均粗さである。
【0048】基台11の表面粗さは0.15〜0.5μ
m程度、好ましくは0.2〜0.3μm程度がよい。図
4は基台11の表面粗さと剥がれ発生率を示したグラフ
である。図4は下記に示すような実験の結果である。基
台11及び導電膜12はそれぞれアルミナ,銅で構成
し、基台11の表面粗さをいろいろ変えたサンプルを作
製し、その各サンプルの上に同じ条件で導電膜12を形
成した。それぞれのサンプルに超音波洗浄を行い、その
後に導電膜12の表面を観察して、導電膜12の剥がれ
の有無を測定した。基台11の表面粗さは、表面粗さ測
定器(東京精密サーフコム社製 574A)を用いて、
先端Rが5μmのものを用いた。この結果から判るよう
に平均表面粗さが0.15μm以下であると、基台11
の上に形成された導電膜12の剥がれの発生率が5%程
度であり、良好な基台11と導電膜12の接合強度を得
ることができる。更に、表面粗さが0.2μm以上であ
れば導電膜12の剥がれがほとんど発生していないの
で、できれば、基台11の表面粗さは0.2μm以上が
好ましい。導電膜12の剥がれは、素子の特性劣化の大
きな要因となるので、歩留まり等の面から発生率は5%
以下が好ましい。
【0049】図5は本発明の一実施の形態におけるイン
ダクタンス素子に用いられる基台の表面粗さに対する周
波数とQ値の関係を示すグラフである。図5は以下のよ
うな実験の結果である。まず、表面粗さが0.1μm以
下の基台11と、表面粗さが0.2〜0.3μmの基台
11と、表面粗さが0.5μm以上の基台11のそれぞ
れのサンプルを作製し、それぞれのサンプルに同じ材料
(銅)で同じ厚さの導電膜を形成した。そして、各サン
プルにおいて、所定の周波数FにおけるQ値を測定し
た。図5から判るように基台11の表面粗さが0.5μ
m以上であると、導電膜12の膜構造が悪くなることが
原因と考えられるQ値の低下が見られる。特に高周波領
域で顕著にQ値の劣化が見られる。また、自己共振周波
数f0(各線の極大値)も基台11の表面粗さが0.5
μmのものは、低周波側にシフトしている。従ってQ値
の面及び自己共振周波数f0の面から見れば基台11の
表面粗さは0.5μm以下とすることが好ましい。
【0050】以上の様に、導電膜12と基台11との密
着強度,導電膜のQ値及び自己共振周波数f0の双方の
結果から判断すると、基台11の表面粗さは、0.15
μm〜0.5μmが好ましく、さらに好ましくは0.2
〜0.3μmが良い。
【0051】なお、本実施の形態では、導電膜12と基
台11の接合強度を基台11の表面粗さを調整すること
によって、向上させたが、例えば、基台11と導電膜1
2の間にCr単体またはCrと他の金属の合金の少なく
とも一方で構成された中間層を設けることによって、表
面粗さを調整せずとも導電膜12と基台11の密着強度
を向上させることができる。もちろん基台11の表面粗
さを調整し、その上その基台11の上に中間層及び導電
膜12を積層する場合では、より強力な導電膜12と基
台11の密着強度を得ることができる。
【0052】次に導電膜12について説明する。導電膜
12としては、800MHz以上の高周波信号に対して
Q値が35以上であり、しかも自己共振周波数が1〜6
GHz程度のものが好ましい。この様な特性の導電膜1
2を得るためには、材料及び製法等を選択しなければな
らない。
【0053】以下具体的に導電膜12について説明す
る。導電膜12の構成材料としては、銅,銀,金,ニッ
ケルなどの導電材料が挙げられる。この銅,銀,金,ニ
ッケル等の材料には、耐候性等を向上させために所定の
元素を添加してもよい。また、導電材料と非金属材料等
の合金を用いてもよい。構成材料としてコスト面や耐食
性の面及び作り易さの面から銅及びその合金がよく用い
られる。導電膜12の材料として、銅等を用いる場合に
は、まず、基台11上に無電解メッキによって下地膜を
形成し、その下地膜の上に電解メッキにて所定の銅膜を
形成して導電膜12が形成される。更に、合金等で導電
膜12を形成する場合には、スパッタリング法や蒸着法
で構成することが好ましい。
【0054】更に、本実施の形態の様に、導電膜12を
例えば銅などで構成し、その膜厚を厚くして自己発熱を
抑える場合、導電膜12に形成される溝13の幅K1と
溝13と溝13の間の導電膜12の幅K2は以下の関係
を有する事が好ましい。
【0055】20μm>K1>15μm 200μm>K2>100μm 特に前述の様に長さL1,幅L2,高さL3を、 L1=0.5〜2.1mm(好ましくは0.6〜1.6
mm) L2=0.2〜1.5mm(好ましくは0.3〜0.8
mm) L3=0.2〜1.5mm(好ましくは0.3〜0.8
mm) (なお、L1,L2,L3のそれぞれの寸法誤差は0.
02mm以下が好ましい。) としたインダクタンス素子とした場合、上述のK1,K
2は上述の範囲とすることによって、電気抵抗を小さく
することができ、しかも導電膜12に形成される溝13
を精度良く形成することができ、更に導電膜12の膜厚
を厚くした場合に確実に溝13を形成することができ
る。
【0056】導電膜12は単層で構成してもよいが、多
層構造としてもよい。すなわち、構成材料の異なる導電
膜を複数積層して構成しても良い。例えば、基台11の
上に先ず銅膜を形成し、その上に耐候性の良い金属膜
(ニッケル等)を積層する事によって、やや耐候性に問
題がある銅の腐食を防止することができる。
【0057】導電膜12の形成方法としては、メッキ法
(電解メッキ法や無電解メッキ法など),スパッタリン
グ法,蒸着法等が挙げられる。この形成方法の中でも、
量産性がよく、しかも膜厚のばらつきが小さなメッキ法
がよく用いられる。
【0058】導電膜12の表面粗さは1μm以下が好ま
しく、更に好ましくは0.2μm以下が好ましい。導電
膜12の表面粗さが1μmを超えると、表皮効果によっ
て高周波でのQ値が低下する。図6は本発明の一実施の
形態におけるインダクタンス素子に用いられる導電膜の
表面粗さに対する周波数とQ値の関係を示すグラフであ
る。図6は下記の様な実験を通して導き出された。ま
ず、同じ大きさ同じ材料同じ表面粗さで構成された基台
11の上に銅を構成材料とする導電膜12の表面粗さを
変えて形成し、それぞれのサンプルにて各周波数におけ
るQ値を測定した。図6から判るように、導電膜12の
表面粗さが1μm以上であれば高周波領域におけるQ値
が低くなっていることが判る。更に導電膜12の表面粗
さが0.2μm以下であれば特に高周波領域におけるQ
値が、非常に高くなっていることがわかる。
【0059】以上の様に導電膜12の表面粗さは、1.
0μm以下が良く、更に好ましくは、0.2μm以下と
することによって、導電膜12の表皮効果を低減させる
ことができ、特に高周波におけるQ値を向上させる事が
できる。
【0060】更に導電膜12と基台11の密着強度は、
導電膜12を形成した基台11を400℃の温度下に数
秒間放置した後に基台11から導電膜12がはがれない
程度以上であることが好ましい。素子を基板等に実装し
た際に、素子には自己発熱や他の部材からの熱が加わる
ことによって、素子に200℃以上の温度が加わること
がある。従って、400℃で基台11からの導電膜12
のはがれが発生しない程度の密着強度であれば、たとえ
素子に熱が加わっても、素子の特性劣化等は発生しな
い。
【0061】次に保護材14について説明する。保護材
14としては、耐候性に優れた有機材料、例えばエポキ
シ樹脂などの絶縁性を示す材料や電着膜が用いられる。
また、保護材14としては、溝13の状況等が観測でき
るような透明度を有する事が好ましい。更に保護材14
には透明度を有したまま、所定の色を有することが好ま
しい。保護材14に赤,青,緑などの、導電膜12や端
子部15,16等と異なる色を着色する事によって、素
子各部の区別をする事ができ、素子各部の検査などが容
易に行える。また、素子の大きさ、特性、品番等の違い
で保護材14の色を変えることによって、特性や品番等
の異なる素子を誤った部分に取り付けるなどのミスを低
減させることができる。
【0062】特に保護材14を電着膜で構成することに
よって、非常に薄くて絶縁性を確保でき、しかも耐熱性
も向上させることができる。すなわち、エポキシ樹脂や
レジストなどを塗布する方法であると、保護材14の部
分が大きく盛り上がり、回路基板等に実装する場合、素
子の端子部と回路基板の配線の間に隙間が生じることが
あり、十分な電気的接合を行うことができないことがあ
るが、電着膜で保護材14を形成することによって、薄
くしかも均一な保護材14を形成できるので、素子を回
路基板などに実装したときに、端子部と配線との間の隙
間が非常に小さくなり、配線と基盤の端子間の電気的接
合は十分に行うことができる。
【0063】また、レジストなどを塗布する方法である
と、一つ一つの素子にそれぞれテープなどを用いて塗布
しなければならないので、工程が多くなり生産性が向上
せず、製造コストも低減することはできないが、本実施
の形態の様に、電着膜で保護材14を作製することによ
って、一度にたくさんの素子に保護材14を設けること
ができるので、生産性が向上し越すとも低減させること
ができる。
【0064】保護材14の具体的構成材料としては、ア
クリル系樹脂,エポキシ系樹脂,フッ素系樹脂,ウレタ
ン系樹脂,ポリイミド系樹脂などの樹脂材料の少なくと
も1つで構成された電着樹脂膜によって構成されてい
る。また、保護材14を電着膜で構成する場合、カチオ
ン系,アニオン系のどちらかを選択する場合には、導電
膜12の構成材料、電着膜の構成材料、インダクタンス
素子の使用用途などを考慮して決定することが好まし
い。保護材14は異なる材料で構成された電着膜を積層
して構成しても良いし、同一材料を積層しても良く、更
には、複数の電着膜を溝部13の上に並列して設けても
よい。
【0065】保護材14を電着膜で構成する場合、保護
材14の厚さが数十ミクロンで20V以上の耐圧を有す
ることが好ましく、しかもハンダの融点である183℃
で、燃焼したり、蒸発しない特性を有するものが好まし
い。なお、183℃で保護材14が軟化する程度のもの
は不具合は生じない。
【0066】また、図7(a)に示す様に電着膜で構成
された保護材14は、導電膜12と基台11の少なくと
も一部の双方を覆うように設けることが好ましい。この
様に保護材14を設けることによって、導電膜12をほ
ぼ覆うことができ、しかも導電膜12と外気などとの接
触確率を極めて小さくすることができるので、導電膜1
2の腐食や電流の漏洩等を防止することができる。図7
(b)に示す様に保護材14を導電膜12のみに設ける
場合では、導電膜12の角部12zがむき出しになる可
能性が高く、導電膜12の腐食の原因となることがあ
る。
【0067】従って、図7(a)に示す様に、導電膜1
2の角部12zをオバーして基台11の少なくとも一部
も保護材14で覆うように構成することによって、確実
な導電膜12の保護を覆うことができる。
【0068】また、図7(a)に示す様に導電膜12の
外方の角部12p上に形成される保護材14の一部14
zは他の部分よりも膜厚を厚くすることが好ましい。一
部14zを厚くすることによって、角部12pが他の部
分との間で放電することなどを防止でき、インダクタン
ス素子としての特性の劣化を防止できる。
【0069】また、特殊用途などに用いられるインダク
タンス素子には、導電膜12と保護材の密着強度を持た
せることが重要になってくる場合がある。この場合に
は、導電膜12の表面を化学的エッチングすることによ
って粗面化し、その粗面化した表面に電着膜で構成した
保護材14を設けることが好ましい。前述したように、
導電膜12の表面の粗面化を行うとQ値の低下を招く危
険はあるが、特殊用途等の場合、Q値よりも保護材14
と導電膜12の密着強度を向上することが重要な場合が
あるので、このときは、用途などを考慮して導電膜12
の粗さを適宜決定する必要がある。
【0070】また、導電膜12を銅を含む材料で構成し
た場合、電着膜である保護材14は不均一な膜厚で形成
されることがあるので、この場合には、導電膜12の上
にNi等の金属膜を形成し、その金属膜の上に保護材1
4を形成しても良い。
【0071】次に、電着膜で構成された保護材14の形
成方法について説明する。図8に示す様に100は容器
で、容器100中には、水,電着樹脂,pH調整剤など
の調整剤及び他の添加剤などを混合した溶液101が収
納されている。102は電極板、103はインダクタン
ス素子、104,105はそれぞれ保持部材で、保持部
材104,105は、インダクタンス素子103の両端
がはまりこむ孔が設けられている。保持部材105には
通電部6が設けられており、この通電部6はインダクタ
ンス素子103に接触している。
【0072】電極板102及び通電部106に所定の電
圧を加えると、インダクタンス素子103の両端部を除
く部分に電着膜が形成される。これは、インダクタンス
素子103の端子部15,16は、保持部材104,1
05に入り込んでおり、溶液101とは余り接触してい
ないからである。なお、本実施の形態では、保持部材1
04,105に端子部15,16を入り込ませたが、フ
ォトレジスト等の他のマスク部材を端子部15,16に
設ける構成にしてもよい。
【0073】以上の様に、電着膜で構成された保護材1
4を有するインダクタンス素子を作製した後に、素子に
熱処理を加えることが好ましい。この熱処理によって、
保護材14の表面がなだらかになって、表面粗さが小さ
くなり、確実に保護材14を覆うようになる。また、熱
処理を加えると、導電膜12の角部の保護材14の厚さ
が薄くなることがあるが、この場合には、溶液101の
中に絶縁性の粒子(例えば金属酸化物など)を混入させ
て、電着膜で構成された保護材14の中にこの絶縁性の
粒子を保持させることによって、導電膜12の角部の保
護材14の厚さを抑えることができる。
【0074】次に端子部15,16について説明する。
端子部15,16は前述の様に、導電材料で構成された
板状体あるいはシート状体を用いており、この端子部1
5と端子部16の間に基台11を挟み込んでいる。この
時、端子部15,16としては、耐候性を向上させるた
めに、Ni,Ti,Crなどの耐食性の大きな材料をコ
ーティングしてもよいし、回路基板との接合が良好とな
るように、半田などの導電材料をコーティングしても良
いし、更には、耐食性の大きな材料を先ず端子部15,
16上に密着させてコーティングし、回路基板との接続
性を良好にする材料をその上にコーティングしても良
い。
【0075】端子部15,16はインダクタンス素子の
幅L2及び高さL3を決定している。すなわち、図9に
示す様に、端子部15,16の幅及び高さは、インダク
タンス素子の幅L2及び高さL3に相当する。図9から
わかるように、基台11の断面積は端子部15,16の
断面積よりもわずかに小さくなるように構成され、しか
も基台11は端子部15,16からはみ出さないサイズ
を有している。更に図9に示す様に、基台11に端子部
15,16を取り付ける場合には、基台11の表面と端
子部15,16の外端面までの距離t1,t2はそれぞ
れ以下の関係を満たす事が好ましい。
【0076】0<t1÷L2<0.1 0<t2÷L3<0.1 上記条件を満たすことによって、基台11の大きさを小
さくすることなく、高いインダクタンスや高いQ値を実
現でき、しかもt1,t2の隙間に保護材14を設ける
ことができ、端子部15,16の外端部から突出せず良
好な実装性を有することができる。
【0077】なお、L2=L3の場合には、当然のごと
くt2=t1とする事が好ましい。また、図2に示す様
に端子部15,16の高さZ1及びZ2は下記の条件を
満たすことが好ましい。
【0078】 |Z1−Z2|≦80μm(好ましくは50μm) Z1とZ2の高さの違いが80μm(好ましくは50μ
m以下)を超えると、素子を基板に実装し、半田等で回
路基板等に取り付ける場合、半田等の表面張力によって
素子が一方の端部に引っ張られて、素子が立ってしまう
というマンハッタン現象の発生する確率が非常に高くな
る。このマンハッタン現象を図10に示す。図10に示
すように、基板200の上にインダクタンス素子を配置
し、端子部15,16それぞれと基板200の間に半田
201,202が設けられているが、リフローなどによ
って半田201,202を溶かすと、半田201,20
2のそれぞれの塗布量の違いや、材質が異なることによ
る融点の違いによって、溶融した半田201,202の
表面張力が端子部15と端子部16で異なり、その結
果、図10に示すように一方の端子部を中心に回転し、
インダクタンス素子が立ち上がってしまう。Z1とZ2
の高さの違いが80μm(好ましくは50μm以下)を
超えると、素子が傾いた状態で基板200に配置される
こととなり、素子立ちを促進する。また、マンハッタン
現象は特に小型軽量のチップ型の電子部品(チップ型イ
ンダクタンス素子を含む)において顕著に発生し、しか
もこのマンハッタン現象の発生要因の一つとして、端子
部15,16の高さの違いによって素子が傾いて基板2
00に配置されることを着目した。この結果、Z1とZ
2の高さの差を80μm以下(好ましくは50μm以
下)となるように、基台11を成形などで加工すること
によって、このマンハッタン現象の発生を大幅に抑える
ことができた。Z1とZ2の高さの差を50μm以下と
することによって、ほぼ、マンハッタン現象の発生を抑
えることができる。
【0079】次に端子部15,16の厚さについて説明
する。図2に示す端子部15,16それぞれの厚みP
2,P1は下記の条件を満たすことが好ましい。
【0080】P1÷L1<0.12 P2÷L1<0.12 上記条件を満たすことによって、基台11の長さを長く
することができ、それにともなって、インダクタンスを
高くする事が可能になり、Q値を向上させることができ
る。なお、P1,P2が上記範囲内においても、現実的
に端子部15,16の厚みは、その強度や扱い易さ等を
考慮すると、0.08mm以下とすることは好ましくな
い。従って、L1が小さくなってきて、例えばL1が
0.6mmの場合は、P1,P2は0.072mmとな
り、0.08mmよりも薄くなってしまうが、この場合
には、端子部15,16の厚さは、多少Q値が低くなっ
ても0.08mmとすることが好ましい。
【0081】以上の様に構成されたインダクタンス素子
について、以下その製造方法について説明する。
【0082】まず、アルミナ等の絶縁材料をプレス成形
や押し出し法によって、基台11を作製する。次にその
基台11全体にメッキ法やスパッタリング法などによっ
て導電膜12を形成する。次に導電膜12を形成した基
台11にスパイラル状の溝13を形成する。溝13はレ
ーザ加工や切削加工によって作製される。レーザ加工
は、非常に生産性が良いので、以下レーザ加工について
説明する。まず、基台11を回転装置に取り付け、基台
11を回転させ、そして基台11にレーザを照射して導
電膜12及び基台11の双方を取り除き、スパイラル状
の溝を形成する。このときのレーザは、YAGレーザ,
エキシマレーザ,炭酸ガスレーザなどを用いることがで
き、レーザ光をレンズなどで絞り込むことによって、基
台11に照射する。更に、溝13の深さ等は、レーザの
パワーを調整し、溝13の幅等は、レーザ光を絞り込む
際のレンズを交換することによって行える。また、導電
膜12の構成材料等によって、レーザの吸収率が異なる
ので、レーザの種類(レーザの波長)は、導電膜12の
構成材料によって、適宜選択することが好ましい。
【0083】溝13を形成した後に、基台11の両端に
板状体あるいはシート状体に加工された端子部15,1
6を接合する、この時、端子部15,16を基台11に
接合する場合には、高温半田などの導電性接合材を用い
る。なお、他の接合方法としては、基台11の端面に形
成された導電膜12と同材料で構成された端子部15,
16を当接させて、超音波などによって接合したり、溶
接等で端子部15,16を基台11に接合する事もでき
る。
【0084】この時点でも、製品は完成するが、前述の
様に保護材14をエポキシ樹脂等を塗布したり、あるい
は電着膜を形成したりすることによって設け、素子全体
の耐候性を向上させる。
【0085】次に第2の実施の形態について説明する。
図11は本発明の第2の実施の形態におけるインダクタ
ンス素子の側面図である。
【0086】図11において、図1,図2と同一番号
は、同様の部材である。図11に示すインダクタンス素
子と図1に示すインダクタンス素子の違いは、端子部1
5,16の形状と保護材14を形成する範囲に違いがあ
る。
【0087】図11に示すインダクタンス素子は、図1
2に示す様に、端子部15,16の対向する2辺が他の
辺よりも長く形成されている点である。すなわち図12
において、斜線部が図9に示す端子部15,16よりも
長くなっている部分を外部接触部700としている。
【0088】また、保護材14を端子部15,16上に
設け、外部接触部700上のみが保護材14が形成され
ていない点である。
【0089】この様な構成によると、インダクタンス素
子を実装する際に方向性が存在することになるが、保護
材14を広く設けることができるので、素子の耐候性等
を向上させることができる。
【0090】なお、本実施の形態は、インダクタンス素
子について説明したが、絶縁材料によって構成された基
台の上に導電膜を形成する電子部品でも同様な効果を得
ることができる。
【0091】図13及び図14はそれぞれ本発明の一実
施の形態における無線端末装置を示す斜視図及びブロッ
ク図である。図13及び図14において、29は音声を
音声信号に変換するマイク、30は音声信号を音声に変
換するスピーカー、31はダイヤルボタン等から構成さ
れる操作部、32は着信等を表示する表示部、33はア
ンテナ、34はマイク29からの音声信号を復調して送
信信号に変換する送信部で、送信部34で作製された送
信信号は、アンテナを通して外部に放出される。35は
アンテナで受信した受信信号を音声信号に変換する受信
部で、受信部35で作成された音声信号はスピーカー3
0にて音声に変換される。36は送信部34,受信部3
5,操作部31,表示部32を制御する制御部である。
【0092】以下その動作の一例について説明する。先
ず、着信があった場合には、受信部35から制御部36
に着信信号を送出し、制御部36は、その着信信号に基
づいて、表示部32に所定のキャラクタ等を表示させ、
更に操作部31から着信を受ける旨のボタン等が押され
ると、信号が制御部36に送出されて、制御部36は、
着信モードに各部を設定する。即ちアンテナ33で受信
した信号は、受信部35で音声信号に変換され、音声信
号はスピーカー30から音声として出力されると共に、
マイク29から入力された音声は、音声信号に変換さ
れ、送信部34を介し、アンテナ33を通して外部に送
出される。
【0093】次に、発信する場合について説明する。ま
ず、発信する場合には、操作部31から発信する旨の信
号が、制御部36に入力される。続いて電話番号に相当
する信号が操作部31から制御部36に送られてくる
と、制御部36は送信部34を介して、電話番号に対応
する信号をアンテナ33から送出する。その送出信号に
よって、相手方との通信が確立されたら、その旨の信号
がアンテナ33を介し受信部35を通して制御部36に
送られると、制御部36は発信モードに各部を設定す
る。即ちアンテナ33で受信した信号は、受信部35で
音声信号に変換され、音声信号はスピーカー30から音
声として出力されると共に、マイク29から入力された
音声は、音声信号に変換され、送信部34を介し、アン
テナ33を通して外部に送出される。
【0094】なお、本実施の形態では、音声を送信受信
した例を示したが、音声に限らず、文字データ等の音声
以外のデータの送信もしくは受信の少なくとも一方を行
う装置についても同様な効果を得ることができる。
【0095】上記で説明したインダクタンス素子(図1
〜図12に示すもの)は、発信回路,フィルタ回路,ア
ンテナ部及び各段とのマッチング回路周辺部等の高いQ
を必要とする箇所の少なくとも一つに用いられ、その数
は、一つの無線端末装置に数個〜40個程度用いられて
いる。上述の様なインダクタンス素子を用いることによ
って、装置内部の基板等を小型化でき、しかもQ値が高
いので、損失が非常に小さくなるので、電力の削減を行
うことができ、長時間の動作を行うことができる。
【0096】
【発明の効果】本発明は、基台の上に導電膜を形成し、
その導電膜に溝を形成してインダクタンス成分を形成
し、その後に、基台の両端にシート状あるいは板状の端
子部を設けた事によって、生産性が向上し、小型で高い
Q値を得ることができる。
【0097】また、無線端末装置において、上記インダ
クタンス素子を搭載したことによって、装置内部の基板
等を小型化でき、しかもQ値が高いので、損失が非常に
小さくなるので、電力の削減を行うことができ、長時間
の動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子を示す斜視図
【図2】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子を示す側断面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台の斜視図
【図4】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台の表面粗さと剥がれ発生率を示し
たグラフ
【図5】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる基台の表面粗さに対する周波数とQ値
の関係を示すグラフ
【図6】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子に用いられる導電膜の表面粗さに対する周波数とQ
値の関係を示すグラフ
【図7】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子の保護材を設けた部分の拡大断面図
【図8】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子の保護材を設ける工程を示した図
【図9】本発明の一実施の形態におけるインダクタンス
素子の端子部の正面図
【図10】マンハッタン現象を示す図
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるインダク
タンス素子の側面図
【図12】本発明の第2の実施の形態におけるインダク
タンス素子の端子部の正面図
【図13】本発明の一実施の形態における無線端末装置
を示す斜視図
【図14】本発明の一実施の形態における無線端末装置
を示すブロック図
【図15】従来のインダクタンス素子を示す側面図
【符号の説明】
11 基台 12 導電膜 13 溝 14 保護材 15,16 端子部 30 スピーカー 31 操作部 32 表示部 33 アンテナ 34 送信部 35 受信部 36 制御部 700 外部接触部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯▲さき▼ 賢蔵 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01F 17/00 H01F 27/29

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基台と、前記基台上に設けられた導電膜
    と、前記導電膜に設けられた溝と、前記基台を挟むよう
    に前記基台の端面に取り付けられた一対の端子部と、前
    記基台上に設けられた保護材とを備え、前記端子部とし
    て、導電性の板状体かもしくはシート状体を用いるとと
    もに、前記端子部にて前記基台と前記保護材を挟み込ん
    だ事を特徴とするインダクタンス素子。
  2. 【請求項2】基台の端子部との接合部位は、基台の端面
    のみであることを特徴とする請求項1記載のインダクタ
    ンス素子。
  3. 【請求項3】溝を覆う保護材を電着膜とした事を特徴と
    する請求項1,2いずれか1記載のインダクタンス素
    子。
  4. 【請求項4】端子部の面積よりも基台の断面積を小さく
    するとともに、前記端子部の外端部と基台の表面との間
    に隙間を設けた事を特徴とする請求項1〜3いずれか1
    記載のインダクタンス素子。
  5. 【請求項5】隙間に保護材を設けたことを特徴とする請
    求項4記載のインダクタンス素子。
  6. 【請求項6】端子部の厚さの最低限度を0.08mm以
    上とすることを特徴とする請求項1〜5いずれか1記載
    のインダクタンス素子。
  7. 【請求項7】端子部に他の部分よりも突出した外部接触
    部を設け、前記外部接触部以外を保護材で覆ったことを
    特徴とする請求項1〜6記載のインダクタンス素子。
  8. 【請求項8】基台を角柱状とし、端子部を方形板状とし
    た事を特徴とする請求項1〜7いずれか1記載のインダ
    クタンス素子。
  9. 【請求項9】導電膜の表面粗さを1μm以下としたこと
    を特徴とする請求項1〜8いずれか1記載のインダクタ
    ンス素子。
  10. 【請求項10】基台の表面粗さを0.5μm以下とした
    ことを特徴とする請求項1〜8いずれか1記載のインダ
    クタンス素子。
  11. 【請求項11】長さL1,幅L2,高さL3としたとき
    に、 L1=0.5〜2.1mm L2=0.2〜1.5mm L3=0.2〜1.5mm のサイズを有する事を特徴とする請求項1〜8いずれか
    1記載のインダクタンス素子。
  12. 【請求項12】断面略正方形状の角柱状体をなす基台
    と、前記基台上に設けられた導電膜と、前記導電膜に設
    けられ、前記基台の側面に設けられたスパイラル状の溝
    と、前記基台の両端面にそれぞれ設けられた方形状の一
    対の端子部と、前記溝を覆うように前記基台の側面に設
    けられた保護材とを備え、前記端子部は板状体もしくは
    シート状体で構成され、前記基台の端面上のみに設けた
    ことを特徴とするインダクタンス素子。
  13. 【請求項13】柱状の基台を作製し、前記基台上に導電
    膜を形成し、前記導電膜の一部を取り除くように前記基
    台に溝を形成し、前記基台の両端に板状体かもしくはシ
    ート状体の端子部を貼り付け、その後に少なくとも前記
    溝を覆うように保護材を設けた事を特徴とするインダク
    タンス素子の製造方法。
  14. 【請求項14】保護材を電着法による電着膜とした事を
    特徴とする請求項13記載のインダクタンス素子の製造
    方法。
  15. 【請求項15】表示手段と、データ信号もしくは音声信
    号の少なくとも一方を送信信号に変換するか受信信号を
    データ信号もしくは音声信号の少なくとも一方に変換す
    る変換手段と、前記送信信号及び前記受信信号を送受信
    するアンテナと、各部を制御する制御手段を備えた無線
    端末装置であって、発信回路,フィルタ回路,アンテナ
    部及び各段とのマッチング回路周辺部等の少なくとも一
    つに請求項1〜12いずれか1記載のインダクタンス素
    子を用いたことを特徴とする無線端末装置。
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