JP2014214671A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】応答性を確保しつつ打音を抑制した内燃機関の可変動弁装置を提供することを課題とする。
【解決手段】カムシャフトと共に回転するカムベース部と、第1位置と前記第1位置よりも前記カムベース部から突出していない第2位置間を揺動可能に前記カムベース部に連結されたカムロブ部と、前記カムロブ部を前記第1位置側へ付勢する付勢部材と、前記カムベース部及びカムロブ部にそれぞれ設けられ互いに当接して前記カムロブ部の前記第1位置を規制する規制部と、前記カムロブ部が前記途中位置から前記第1位置へと揺動している間に、前記カムベース部及びカムロブ部間に前記付勢部材の付勢力に抗する付勢力を作用させる緩衝用付勢部材と、を備えた内燃機関の可変動弁装置。
【選択図】図8
【解決手段】カムシャフトと共に回転するカムベース部と、第1位置と前記第1位置よりも前記カムベース部から突出していない第2位置間を揺動可能に前記カムベース部に連結されたカムロブ部と、前記カムロブ部を前記第1位置側へ付勢する付勢部材と、前記カムベース部及びカムロブ部にそれぞれ設けられ互いに当接して前記カムロブ部の前記第1位置を規制する規制部と、前記カムロブ部が前記途中位置から前記第1位置へと揺動している間に、前記カムベース部及びカムロブ部間に前記付勢部材の付勢力に抗する付勢力を作用させる緩衝用付勢部材と、を備えた内燃機関の可変動弁装置。
【選択図】図8
Description
本発明は、内燃機関の可変動弁装置に関する。
特許文献1の可変動弁装置では、カムシャフトから進退自在に切り替え可能な可動カムが設けられている。可動カムがカムシャフトから突出した位置に切り替えられることにより、可動カムがバルブを駆動させる。このような可動カムの移動範囲は、他の部材に接触することにより規制されている。
例えば、可動カムの切り替えスピードを向上させて可変動弁装置の応答性を向上させることが考えられる。しかしながら、可動カムの切り替えのスピードが向上すると、切り替え終了時に可動カムが他の部材に接触することによる打音が増大するおそれがある。
そこで、応答性を確保しつつ打音を抑制した内燃機関の可変動弁装置を提供することを目的とする。
上記目的は、カムシャフトと共に回転するカムベース部と、第1位置と前記第1位置よりも前記カムベース部から突出していない第2位置間を揺動可能に前記カムベース部に連結されたカムロブ部と、前記カムロブ部を前記第1位置側へ付勢する付勢部材と、前記カムベース部及びカムロブ部にそれぞれ設けられ互いに当接して前記カムロブ部の前記第1位置を規制する規制部と、前記カムロブ部が前記途中位置から前記第1位置へと揺動している間に、前記カムベース部及びカムロブ部間に前記付勢部材の付勢力に抗する付勢力を作用させる緩衝用付勢部材と、を備えた内燃機関の可変動弁装置によって達成できる。
前記緩衝用付勢部材は、前記カムベース部及びカムロブ部の一方に固定され、前記カムベース部及びカムロブ部の他方の前記規制部を付勢する、構成であってもよい。
前記規制部は、前記カムベース部及びカムロブ部の一方に設けられた溝部、他方に設けられ前記溝部に係合する突部、を含み、前記緩衝用付勢部材は、前記突部を付勢する、構成であってもよい。
前記緩衝用付勢部材は、前記カムロブ部を揺動可能に支持する支持シャフト周囲に巻かれている、構成であってもよい。
前記付勢部材は、前記支持シャフト周囲に巻かれている、構成であってもよい。
前記緩衝用付勢部材は、前記カムロブ部が前記第2位置から前記途中位置までの間にあるときは前記カムベース部及びカムロブ部の一方の前記規制部に接触しない自由端を含む、構成であってもよい。
前記緩衝用付勢部材は、前記カムロブ部が前記途中位置にあるときはばね定数が小さく前記カムロブ部が前記第1位置にあるときはばね定数が大きい非線形のばねである、構成であってもよい。
前記カムロブ部を前記第2位置側へ付勢するカムフォロアと、前記カムロブ部に保持され前記第1位置及び第2位置で前記カムロブ部を前記カムベース部にロックするロック部材と、前記カムベース部に形成され、前記カムロブ部を前記第1位置及び第2位置の一方の位置でのロックを解除して他方の位置でロックするように前記ロック部材に油圧を作用させる経路と、を備えた構成であってもよい。
上記目的は、カムシャフトと共に回転するカムベース部と、第1位置と前記第1位置よりも前記カムベース部から突出していない第2位置間を揺動可能に前記カムベース部に連結されたカムロブ部と、前記カムロブ部を前記第1位置側へ付勢する付勢部材と、前記カムベース部及びカムロブ部にそれぞれ設けられ互いに当接して前記カムロブ部の前記第1位置を規制する規制部と、前記カムロブ部が前記第2位置から前記第1位置へと揺動している間に、前記カムベース部及びカムロブ部間に前記付勢部材の付勢力に抗する付勢力を作用させる緩衝用付勢部材と、を備え、前記緩衝用付勢部材は、前記カムロブ部が前記第2位置にあるときはばね定数が小さく前記カムロブ部が前記第1位置にあるときはばね定数が大きい非線形のばねである、内燃機関の可変動弁装置によっても達成できる。
応答性を確保しつつ打音を抑制した内燃機関の可変動弁装置を提供できる。
以下、実施形態を図面と共に詳細に説明する。
図1、2は、本実施例の可変動弁装置1の外観図である。可変動弁装置1は、車両等に搭載される内燃機関に採用される。可変動弁装置1は、カムシャフトS、カムシャフトSに設けられたカムユニットCU、を含む。カムシャフトSは、カムユニットCUの一端に接続した部分SA、カムユニットCUの他端に接続した部分SB、を含む。カムシャフトSは、内燃機関からの動力により回転する。カムシャフトSと共にカムユニットCUが回転することにより、ロッカーアームRを介してバルブVをリフトさせる。バルブVは、内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブである。
カムユニットCUは、カムシャフトSよりも径が大きくカムシャフトSの部分SA、SBに連結されたカムベース部10、カムベース部10に連結された2つのカムロブ部20、を含む。カムベース部10は、略円柱状であり、カムシャフトSの軸方向(以下、軸方向と称する)から見た場合に略円形のベース円部11を有している。ベース円部11は、カムベース部10の外周面に相当する。2つのカムロブ部20は、軸方向に所定の間隔をあけて並んでいる。2つのカムロブ部20は、それぞれ2つのロッカーアームRを押して2つのバルブVをリフトさせる。カムベース部10の軸方向の厚さは、カムロブ部20の軸方向の厚さよりも厚い。
図2に示すように、カムベース部10は、2つのカムロブ部20の間に凹部10Hが形成されている。凹部10Hは、2つのロッカーアームRがカムベース部10に接触する部分の間に形成されている。凹部10Hは、ロッカーアームRに接触しない。支持シャフト33は、2つのカムロブ部20をカムベース10と共に軸方向に貫通している。カムロブ部20は、支持シャフト33を支点としてカムベース部10に対して揺動する。カムロブ部20は、カムベース部10のベース円部11から最大限に突出した第1位置とベース円部11から突出しない第2位置間を揺動可能である。支持シャフト33の端部は凹部10H内で露出している。2つのカムロブ部20には、共通のストッパピン34Pが貫通している。ストッパピン34Pは、2つのカムロブ部20と共に移動する。ストッパピン34Pは、カムロブ部20毎に個別に設けられていてもよい。
カムベース部10の凹部10Hでは、2つのスプリング34sが支持シャフト33に巻かれている。スプリング34sの一端は凹部10Hの底面を押し、スプリング34sの他端はストッパピン34Pを押している。即ち、スプリング34sは、ストッパピン34Pが凹部10Hから離れるように付勢している。これにより、カムロブ部20はカムベース部10から突出するように付勢される。スプリング34sは、付勢部材の一例である。スプリング34sは、2つのカムロブ部20に対応して2つ設けられている。
また、凹部10Hには、2つのコイル状の緩衝用スプリング35sが支持シャフト33に巻かれている。緩衝用スプリング35sは、スプリング34sの外側に巻かれている。緩衝用スプリング35sの一端はカムベース部10に固定されている。緩衝用スプリング35sの他端は、ストッパピン34Pを凹部10Hの底面側に付勢している。即ち、スプリング34sの付勢方向と緩衝用スプリング35sの付勢方向とは互いに逆である。緩衝用スプリング35sは、緩衝用付勢部材の一例である。緩衝用スプリング35sについては詳しくは後述する。
図1、2において、左側のカムロブ部20は第1位置にあり、右側のカムロブ部20は第2位置にある。本実施例の場合、カムロブ部20が第1位置でロックされている場合には、カムロブ部20がロッカーアームRを駆動してバルブVをリフトさせる。カムロブ部20が第2位置でロックされている場合には、カムロブ部20はロッカーアームRに接触する又は接触せずにバルブVはリフトしない。尚、図1、2においては、理解を容易にするために一方のカムロブ部20のみを第1位置にあるが、実際には後述するように2つのカムロブ部20は共に同じ位置に位置づけられる。
図3A、3Bは、軸方向からみたカムユニットCUの断面図である。図3Aは、第1位置にあるカムロブ部20を示し、図3Bは、第2位置にあるカムロブ部20を示している。カムロブ部20は、カムベース部10の供給経路Tを回避した略U字状又は略L字状である。カムロブ部20の基端側は支持シャフト33が貫通している。図3A、3Bにおいて、カムシャフトSは時計方向に回転する。これに伴いカムベース部10、カムロブ部20も時計方向に回転する。カムベース部10には、ストッパピン34Pが貫通した長孔14が形成されている。カムロブ部20の揺動に伴って移動するストッパピン34Pの移動範囲を長孔14が規制することにより、カムロブ部20の揺動範囲を規制している。即ち、長孔14の端部の内面にストッパピン34Pが当接することにより、カムロブ部20の第1位置及び第2位置を規制している。長孔14は、カムベース部10に設けられた溝部の一例である。ストッパピン34Pは、カムロブ部20に設けられた突部の一例である。長孔14、ストッパピン34Pは、カムベース部10、カムロブ部20にそれぞれ設けられた規制部の一例である。
図4A、4Bは、カムユニットCUの内部構造を示した断面図である。図4A、4Bにおいては、2つのカムロブ部20は共にリフト状態にある。図4A、4Bは、図3AのA−A断面図に相当する。図4A、4Bに示すように、カムユニットCUは、軸方向でのカムユニットCUの中心に軸方向に対称に形成されている。従って、以下の説明では2つのカムロブ部20のうち一方について説明する。カムベース部10には、カムロブ部20を収納可能なスリット12が形成されている。カムベース部10内には、カムシャフトSの軸心上で延びた供給経路T、供給経路Tから径方向外側に延びた経路T5、T6が形成されている。経路T5、T6は、それぞれ供給経路Tから径方向外側に延び、次に軸方向に延びて2つのカムロブ部側に延びている。経路T6は第1経路の一例である。経路T5は、第2経路の一例である。
オイルコントロールバルブOCVは電磁駆動式の流量制御弁であり、ECU5によって制御される。ECU5は、制御部の一例である。オイルパンに貯留されたオイルはオイルポンプPにより供給経路T内に供給される。オイルポンプPは、内燃機関のクランクシャフトに連動した機械式である。オイルコントロールバルブOCVは、オイルポンプPにより供給経路T内に供給される油圧を、オイルコントロールバルブOCVに印加される電流値に基づいてリニアに調整できる。オイルコントロールバルブOCVは、油圧制御弁の一例である。尚、油圧制御弁は、段階的に供給経路T内に供給される油圧を調整可能なものであってもよい。ECU5は、CPU、ROM、RAMなどから構成され、内燃機関全体の動作を制御する。ROMには、後述する制御を実行するためのプログラムが格納されている。
カムベース部10は、2つのカムロブ部20にそれぞれ作用するピン15P、16P、17Pを保持している。2つのカムロブ部20はそれぞれピン26Pを保持している。ピン26Pは、ロック部材の一例である。図4Bは、ピン15P等を省略した図である。カムロブ部20は、支持シャフト33が貫通した基端部から離れた自由端部を有し、カムロブ部20の自由端部側にはピン26Pを保持した孔26が形成されている。孔26は、カムロブ部20を軸方向に貫通している。孔26は、保持孔の一例である。
カムベース部10には、スリット12に連通した孔15、16が形成されている。孔15、16は、スリット12に対して同一側に形成されている。孔15、16は、軸方向に延び、底面を有している。孔15、16には、それぞれピン15P、16Pが収納されている。孔15の底面とピン15Pとの間にはピン15Pに連結されたスプリング15Sが配置されている。孔16の底面とピン16Pとの間にはピン16Pに連結されたスプリング16Sが配置されている。スプリング16Sは、カムロブ部20に向けてピン16Pを付勢している。スプリング15Sは、ピン15Pが孔15から離脱しない程度の長さに設定されている。スプリング15Sは、第2スプリングの一例である。スプリング16Sは、第1スプリングの一例である。
カムベース部10には、スリット12を介して孔16に対向する孔17が形成されている。孔17には、ピン17Pが収納されている。孔17は、経路T6に連通している。孔17は、孔16と同軸上に位置している。孔17は、軸方向に延びている。
カムロブ部20が第1位置にある場合、孔16、17、26は軸方向に並び、ピン16P、17P、26Pは軸方向に並ぶ。換言すれば、カムロブ部20が揺動範囲の一端でこのような位置に位置づけられるように、ストッパピン34Pに係合した長孔14によりカムロブ部20の揺動範囲が規定されている。リフト状態においては、スプリング16Sの付勢力により、ピン16Pが孔16、26に共通に挿入され、ピン26Pは孔26、17に共通に挿入される。これにより、カムロブ部20はリフト状態でカムベース部10にロックされる。孔17は、第1ロック孔の一例である。
次に、カムロブ部20のロックについて詳細に説明する。図5A〜6Bは、カムロブ部20のロックの説明図である。オイルコントロールバルブOCV及びオイルポンプPにより供給経路Tを介して経路T5、T6内にオイルが供給されると、図5Aに示すように、ピン17Pがスプリング16Sの付勢力に抗してカムロブ部20側に押される。これにより、ピン16Pは孔26から離脱し、ピン26Pは孔17から離脱する。即ち、ピン16P、17P、26Pは、それぞれ孔16、17、26に収納される。これにより、第1位置でカムロブ部20のロックが解除される。
カムロブ部20のロックが解除された状態でカムシャフトSが回転することにより、カムロブ部20はロッカーアームRから反力を順に受ける。これにより、図5Bに示すように、カムロブ部20はスプリング34sの付勢力に抗して第2位置に移動する。換言すれば、スプリング34sの付勢力は、カムロブ部20のロックが解除されている状態でロッカーアームRからの反力のみでカムロブ部20は第2位置に移動可能な程度に設定されている。このようにロッカーアームRはロックが解除されたカムロブ部20を第2位置側に付勢する。カムロブ部20が第2位置にある場合には、孔15、26とは同軸上に並ぶ。換言すれば、カムロブ部20が揺動範囲の他端でこのような位置に位置づけられるように、ストッパピン34Pに係合した長孔14によりカムロブ部20の揺動範囲が規定されている。ロッカーアームRは、バブルを駆動するためのカムフォロアの一例である。尚、カムフォロアは、カムに直接駆動されるバルブリフタであってもよい。
ピン26Pは経路T5からのオイルの圧力により、図5Cに示すように、スプリング15Sの付勢力に抗して孔15、26に共通に挿入される。これにより、リフト停止状態でカムロブ部20はロックされる。このように、オイルが所定の圧力以上で供給経路T内に供給されている間は、カムロブ部20は第2位置でロックされる。孔15は、第2ロック孔の一例である。
次にオイルコントロールバルブOCVにより供給経路Tへのオイルの供給が停止されると、図6Aに示すように、スプリング15Sの付勢力によりピン26Pが孔15から離脱して孔26に収納される。これにより、第2位置でカムロブ部20のロックが解除される。
次に、スプリング34sの付勢力に従って、図6Bに示すように、カムロブ部20が第2位置から第1位置へ移動する。実際には、カムロブ部20がロッカーアームRに接触していない間に、スプリング34sの付勢力に従ってカムロブ部20は第1位置へと移行する。尚、詳しくは後述するが、カムロブ部20が第1位置にある場合には緩衝用スプリング35sによりカムロブ部20は第2位置側に付勢されるが、スプリング34sの付勢力の方が緩衝用スプリング35sの付勢力よりも大きいため、緩衝用スプリング35sの付勢力に抗してカムロブ部20は第1位置に位置づけられる。カムロブ部20が第1位置にある状態では、前述したようにピン16P、26P、17Pが軸方向に並ぶ。
この状態で、図4Aに示すように、スプリング16Sの付勢力に従って、ピン16Pが孔16、26に共通に挿入され、同様にピン26Pは孔26、17に共通に挿入される。これにより、第1位置でカムロブ部20がロックされる。以上のようにしてカムロブ部20が第1位置及び第2位置でロックされる。孔26、ピン26P、スプリング15S、16S、孔15、17等は、ロック機構の一例である。このようにカムロブ部20が第2位置でもロックされるので、カムロブ部20を安定した状態で保持でき、信頼性や耐久性が確保されている。
図1、2、3A、3B、4A、4Bに示したように、カムベース部10は、カムシャフトSに連結されており、カムシャフトSはカムベース部10を貫通していない。このため、カムベース部10の軸方向の断面積を確保することができ、カムベース部10の強度を確保することができる。カムシャフトSはカムベース部10を貫通していないためカムシャフトSの径を細くする必要はない。このためカムシャフトSの強度も確保されている。カムベース部10に形成された孔15、16、17、カムロブ部20に形成された孔26などは、全て軸方向に延びている。このため、例えば、軸方向と交差する方向に延びた孔を設けこの孔内を摺動するピンを配置した場合と比較して、カムベース部10の軸方向での断面積を確保することができる。これにより、カムユニットCUの強度が確保されている。
図3A、3Bに示したように、カムロブ部20の自由端は、カムロブ部20の基端側からカムシャフトSの回転方向から逆方向に離れている。ここで、カムロブ部20の基端側は、支持シャフト33により揺動の支点となっている。このため、ロッカーアームRの反力により、カムロブ部20がカムシャフトSの回転方向と逆方向に揺動するのが容易となる。これによって、ロックが解除された状態で、カムロブ部20の第2位置から第1位置へ移動が容易となっている。また、第2位置へ移動する際のカムロブ部20が受けるロッカーアームRからの反力による負荷が低減され、カムロブ部20の耐久性が確保されている。
また、カムベース部10は、2つのカムロブ部20を支持している。このため、カムベース部10は軸方向の長さを確保しているため強度が確保されている。また、カムベース部10を2つのカムロブ部20に共通化して使用しているため部品点数も削減されている。
また、図1、2に示したように、スプリング15S、16S、34sは、カムロブ部20に対して軸方向に配置されている。例えばこのようなスプリング34s等をカムロブ部20に対して径方向に重なる位置に配置する場合と比較して、カムロブ部20の軸方向での断面積を確保できる。これによりカムロブ部20の強度を確保することができる。
また、上述したようにスプリング34sが配置された凹部10Hは、ロッカーアームRに接触しない部分に設けられているので、この部分を有効利用している。スプリング34sが、ロッカーアームRに接触するカムベース部10の部分から退避した位置に配置されていることにより、ロッカーアームRが接触するカムベース部10の部分の軸方向の断面積も確保されている。これにより、カムベース部10の強度も確保されている。
図3Aに示したように、経路T5の出口はスリット12に開口するように形成され、この出口はリフト状態のカムロブ部20から離れた位置に形成されている。このため、リフト状態の場合において、供給経路Tにオイルを供給することにより、経路T5の出口からスリット12を介してロッカーアームR等にオイルを供給できる。これにより、ロッカーアームRとカムユニットCU等の潤滑を確保することができる。また、従来のカムシャワー機構を廃止したとしても、本実施例の可変動弁装置1により、潤滑を促進することができる。
次に、緩衝用スプリング35sについて説明する。図7は、軸方向から見た緩衝用スプリング35s周辺の構造を示した図である。上述したように、緩衝用スプリング35sは、支持シャフト33周囲に巻かれて凹部10H内に配置されている。緩衝用スプリング35sは、支持シャフト33周囲に巻かれたコイル状部、コイル状部から延びた一端35s1、他端35s2を含む。一端35s1は、凹部10Hの横側面に形成された孔に挿入されてカムベース部10に固定されている。他端35s2は、詳しくは後述するが、カムロブ部20が第1位置にある場合にはストッパピン34Pを付勢する。尚、スプリング34s、緩衝用スプリング35sは、共に線形特性を有している。
カムロブ部20が第2位置から第1位置へ揺動する場合の緩衝用スプリング35sとストッパピン34Pとの位置関係について説明する。図8Aは、カムロブ部20が第2位置にある場合での緩衝用スプリング35sとストッパピン34Pとの位置関係を示している。カムロブ部20が第2位置にある場合、ストッパピン34Pは長孔14の一端141に位置し緩衝用スプリング35sの他端35s2から離れている。即ち、他端35s2は、ストッパピン34Pやその他の部材に固定されていない自由端である。
図8Bは、カムロブ部20が第2位置と第1位置の間の途中位置にある場合のストッパピン34Pを示している。カムロブ部20が途中位置にある場合に、ストッパピン34Pは長孔14の途中位置にあり緩衝用スプリング35sの他端35s2と接触する。尚、第2位置と第1位置の間の途中位置とは、カムロブ部20が揺動する距離の中間位置に限定されない。換言すれば、ストッパピン34Pが長孔14の中間位置以外で緩衝用スプリング35sの他端35s2と接触してもよい。
図8Cは、カムロブ部20が第1位置にある場合のストッパピン34Pを示している。カムロブ部20が第1位置にある場合、ストッパピン34Pは緩衝用スプリング35sの付勢力に抗して長孔14の他端142に位置する。緩衝用スプリング35sは、ストッパピン34Pを一端141側に付勢する、換言すると、カムロブ部20を第2位置へ付勢する。ストッパピン34Pは、スプリング34sの付勢力に従って、長孔14の一端141から他端142へ移動する。
このように、緩衝用スプリング35sの他端35s2は、ストッパピン34Pの移動範囲の途中でストッパピン34Pに接触して、ストッパピン34Pの移動に抗するように付勢する。換言すれば、緩衝用スプリング35sは、カムロブ部20が途中位置から第1位置へ揺動している間に、カムベース部10、カムロブ部20間にスプリング34sの付勢力に抗する付勢力、即ちカムロブ部20の第1位置への揺動に抗する付勢力を作用させる。従って、ストッパピン34Pが長孔14の他端142に接触する際のストッパピン34Pの角速度、換言すれば、カムロブ部20の揺動のスピードを低減できる。これにより、ストッパピン34Pが長孔14の他端142に衝突する際の打音が抑制される。また、衝突時の衝撃も抑制されるので、ストッパピン34Pや長孔14の摩耗等が抑制されている。
また、緩衝用スプリング35sは、ストッパピン34Pの移動範囲の途中からストッパピン34Pに接触して付勢する。即ち、長孔14の一端141からの32Pの移動開始時から所定の位置までの間では、緩衝用スプリング35sはストッパピン34Pに接触していない。このため、この接触していない期間で、ストッパピン34Pの移動のスピード、即ちカムロブ部20の揺動のスピードが確保されている。このため、カムロブ部20の第2位置から第1位置への揺動の応答性が確保されている。
図9Aは、カムロブ部20の揺動角度に応じて変化する、カムロブ部20に作用するスプリング34sのみのトルクt1、カムロブ部20に作用するスプリング34sと緩衝用スプリング35sとのトルクt2を示している。カムロブ部20が第2位置にある場合、緩衝用スプリング35sが設けられていないと、カムロブ部20にスプリング34sのみの大きなトルクが作用した状態で第1位置へと位置づけられる。このため、ストッパピン34Pが長孔14の他端142に衝突する際の打音が増大する。本実施例の場合、緩衝用スプリング35sの付勢方向とスプリング34sの付勢方向とは反対であるため、カムロブ部20が途中位置から第1位置へ移動する間にカムロブ部20に作用するトルクが低減されている。これにより打音も抑制される。
図9Bは、カムロブ部20の揺動角度に応じて変化する、カムロブ部20にスプリング34sの付勢力のみが作用する場合のカムロブ部20の角速度w1、カムロブ部20にスプリング34s、緩衝用スプリング35sの双方の付勢力が作用する場合のカムロブ部20の角速度w2を示している。本実施例の場合、途中位置から第1位置への間でカムロブ部20の角速度が低減されているため、打音が抑制される。また、第2位置から第1位置への間でカムロブ部20の角速度は低減されていなため、カムロブ部20の第2位置から第1位置への揺動の応答性も確保されている。
凹部10H内で露出した支持シャフト33の部分に、スプリング34s、緩衝用スプリング35sが巻かれている。スプリング34s、緩衝用スプリング35sは、凹部10Hから外部に突出しないように配置されている。このため、装置全体の大型化が抑制されている。また、スプリング34s、緩衝用スプリング35sが支持シャフト33に巻かれているため、スプリング34s、緩衝用スプリング35sの長さを確保することができる。
緩衝用スプリング35sは、支持シャフト33に巻かれていなくても良い。緩衝用スプリング35sの代わりに板バネを用いてもよい。
緩衝用スプリング35sの代わりに、長孔14内にコイルスプリングを設けてもよい。例えば、長孔14の他端142側にコイルスプリングの一端を固定し、他端が自由端であってもよい。この場合、コイルスプリングの他端は、ストッパピン34Pが一端141から離れた途中位置で初めてストッパピン34Pに接触し、ストッパピン34Pが他端142へ移動するにつれてコイルスプリングは圧縮される。
緩衝用スプリング35sの代わりに、ストッパピン34Pにコイルスプリングを設けてもよい。例えば、コイルスプリングが長孔14内に位置するようにストッパピン34Pにコイルスプリングの一端を固定し、他端が長孔14の他端142側に延びていてもよい。この場合、コイルスプリングの他端は、ストッパピン34Pが一端141から離れた途中位置で初めて長孔14の他端142に接触し、ストッパピン34Pが他端142へ移動するにつれてコイルスプリングは圧縮される。
また、緩衝用スプリング35sの代わりに、非線形特性を有したばねを用いてもよい。具体的には、ストッパピン34Pがばねに接触した位置ではばね定数が小さく、ストッパピン34Pが長孔14の他端142に位置したときではばね定数が大きくなる非線形のばねである。ばね定数が大きくなることにより、ばねの付勢力が大きくなる。これにより、ストッパピン34Pにばねが接触した当初はばねの付勢力は小さいが、ばねが圧縮されるにつれてばねの付勢力が増大する。これにより、カムロブ部20の第2位置から第1位置への揺動の応答性を確保しつつ打音を抑制できる。
また、非線形のばねを用いる際には、ストッパピン34Pの位置によらずに常にストッパピン34Pに接触しているように構成してもよい。ストッパピン34Pが長孔14の一端141から他端142に移動する際の途中でばねのばね定数が増大すればよい。このように非線形のばねによっても、応答性の確保と打音を抑制できる。非線形のばねとしては、例えば円錐コイルばねや、不等ピッチコイルばね、テーパーコイルばねである。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
緩衝用付勢部材は、ストッパピン34Pを付勢しなくてもよい。例えば、カムロブ部20にストッパピン34P以外の突部を設けて突部が緩衝用付勢部材に付勢されるようにしてもよい。
上記のようにカムロブ部20に突部を設けた場合、カムロブ部20が第1位置及び第2位置にある場合にこの突部に接触して突部の移動範囲を規制する突起をカムベース部10側に設けてもよい。
また、カムベース部10側に突部を設け、この突部に係合する溝部又は長孔等をカムロブ部20側に設けることにより、カムロブ部20の揺動範囲を規制してもよい。この場合、カムロブ部20側に緩衝用付勢部材を設けてもよい。
本実施例では、カムロブ部20がカムベース部10から突出していない位置にある場合を第2位置として説明した。しかしながらこれに限定されず、例えば、カムロブ部20は、カムベース部10のベース円部11から突出した第1位置と、第第1位置よりも突出量が小さいがベース円部11から突出した第2位置との間を揺動してもよい。
リフト状態において、ピン17Pを介さずに直接ピン26Pにオイルの圧力を作用させてもよい。また、ピン15P、16Pを介さずにスプリング15S、16Sが直接ピン26Pを付勢してもよい。
カムベース部10は、カムシャフトと一体に成型されていてもよいし、本実施例のように別体で成型した後に接合してもよい。
1 可変動弁装置
5 ECU
S カムシャフト
R ロッカーアーム
V バルブ(カムフォロア)
OCV オイルコントロールバルブ
10 カムベース部
11 ベース円部
12 スリット
20 カムロブ部
23 孔
26 ピン(ロック部材)
33 支持シャフト
34s スプリング(付勢部材)
35s スプリング(緩衝用付勢部材)
5 ECU
S カムシャフト
R ロッカーアーム
V バルブ(カムフォロア)
OCV オイルコントロールバルブ
10 カムベース部
11 ベース円部
12 スリット
20 カムロブ部
23 孔
26 ピン(ロック部材)
33 支持シャフト
34s スプリング(付勢部材)
35s スプリング(緩衝用付勢部材)
Claims (9)
- カムシャフトと共に回転するカムベース部と、
第1位置と前記第1位置よりも前記カムベース部から突出していない第2位置間を揺動可能に前記カムベース部に連結されたカムロブ部と、
前記カムロブ部を前記第1位置側へ付勢する付勢部材と、
前記カムベース部及びカムロブ部にそれぞれ設けられ互いに当接して前記カムロブ部の前記第1位置を規制する規制部と、
前記カムロブ部が前記途中位置から前記第1位置へと揺動している間に、前記カムベース部及びカムロブ部間に前記付勢部材の付勢力に抗する付勢力を作用させる緩衝用付勢部材と、を備えた内燃機関の可変動弁装置。 - 前記緩衝用付勢部材は、前記カムベース部及びカムロブ部の一方に固定され、前記カムベース部及びカムロブ部の他方の前記規制部を付勢する、請求項1の内燃機関の可変動弁装置。
- 前記規制部は、前記カムベース部及びカムロブ部の一方に設けられた溝部、他方に設けられ前記溝部に係合する突部、を含み、
前記緩衝用付勢部材は、前記突部を付勢する、請求項1又は2の内燃機関の可変動弁装置。 - 前記緩衝用付勢部材は、前記カムロブ部を揺動可能に支持する支持シャフト周囲に巻かれている、請求項1乃至3の何れかの内燃機関の可変動弁装置。
- 前記付勢部材は、前記支持シャフト周囲に巻かれている、請求項4の内燃機関の可変動弁装置。
- 前記緩衝用付勢部材は、前記カムロブ部が前記第2位置から前記途中位置までの間にあるときは前記カムベース部及びカムロブ部の一方の前記規制部に接触しない自由端を含む、請求項1乃至5の何れかの内燃機関の可変動弁装置。
- 前記緩衝用付勢部材は、前記カムロブ部が前記途中位置にあるときはばね定数が小さく前記カムロブ部が前記第1位置にあるときはばね定数が大きい非線形のばねである、請求項1乃至6の何れかの内燃機関の可変動弁装置。
- 前記カムロブ部を前記第2位置側へ付勢するカムフォロアと、
前記カムロブ部に保持され前記第1位置及び第2位置で前記カムロブ部を前記カムベース部にロックするロック部材と、
前記カムベース部に形成され、前記カムロブ部を前記第1位置及び第2位置の一方の位置でのロックを解除して他方の位置でロックするように前記ロック部材に油圧を作用させる経路と、
を備えた請求項1乃至7の何れかの内燃機関の可変動弁装置。 - カムシャフトと共に回転するカムベース部と、
第1位置と前記第1位置よりも前記カムベース部から突出していない第2位置間を揺動可能に前記カムベース部に連結されたカムロブ部と、
前記カムロブ部を前記第1位置側へ付勢する付勢部材と、
前記カムベース部及びカムロブ部にそれぞれ設けられ互いに当接して前記カムロブ部の前記第1位置を規制する規制部と、
前記カムロブ部が前記第2位置から前記第1位置へと揺動している間に、前記カムベース部及びカムロブ部間に前記付勢部材の付勢力に抗する付勢力を作用させる緩衝用付勢部材と、を備え、
前記緩衝用付勢部材は、前記カムロブ部が前記第2位置にあるときはばね定数が小さく前記カムロブ部が前記第1位置にあるときはばね定数が大きい非線形のばねである、内燃機関の可変動弁装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013092582A JP2014214671A (ja) | 2013-04-25 | 2013-04-25 | 内燃機関の可変動弁装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013092582A JP2014214671A (ja) | 2013-04-25 | 2013-04-25 | 内燃機関の可変動弁装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014214671A true JP2014214671A (ja) | 2014-11-17 |
Family
ID=51940682
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013092582A Pending JP2014214671A (ja) | 2013-04-25 | 2013-04-25 | 内燃機関の可変動弁装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014214671A (ja) |
-
2013
- 2013-04-25 JP JP2013092582A patent/JP2014214671A/ja active Pending
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