JP2014210736A - テトラヒドロフラン含有物の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水およびジヒドロフランを含有するテトラヒドロフラン含有物から、煩雑な工程を必要とすることなく、排水負荷を低減し、かつ、効率良くテトラヒドロフランを精製する方法の提供。
【解決手段】テトラヒドロフラン、水およびジヒドロフラン0.01〜0.5重量%を含有するテトラヒドロフラン含有物の精製方法であって、下記工程(a)を実施した後、下記工程(b)を実施することにより、精製テトラヒドロフラン中のジヒドロフラン含有量を0.005重量%以下とすることを特徴とするテトラヒドロフラン含有物の精製方法。(a)テトラヒドロフラン含有物中のジヒドロフランを、テトラヒドロフラン含有物と酢酸の合計100重量%に対して0.03〜3重量%の酢酸と接触させる工程。(b)酢酸を含むテトラヒドロフラン含有物を蒸留し、テトラヒドロフラン−水混合物を留出させる工程。
【選択図】なし

Description

本発明は、テトラヒドロフラン含有物の精製方法に関する。より詳しくは、少なくともテトラヒドロフラン、水およびジヒドロフランを含有するテトラヒドロフラン含有物の精製方法に関する。
ポリブチレンテレフタレート(以下PBTという場合がある)は、優れた物理的、化学的性質を有するため、繊維、フィルム、その他の成形品等の種々の用途に広く用いられている。特に、強度や弾性率等の機械特性、耐熱性等に優れているため、エンジニアリングプラスチックとして広く用いられている。
PBTの製造方法の一つとして、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとのエステル化反応によりビスヒドロキシブチルテレフタレートおよびその低重合物を得るエステル化工程と、ビスヒドロキシブチルテレフタレートおよびその低重合物を高温、高真空下で過剰の1,4−ブタンジオールを留出させつつ高重合度化する、いわゆる重縮合工程との2つの工程を有する方法が挙げられる。この方法でPBTを得る場合、エステル化工程では、原料として用いられる1,4−ブタンジオールの脱水環化反応によって、テトラヒドロフランが副生され、留出される。エステル化工程からの留出物の主成分は、エステル化反応時および1,4−ブタンジオールの脱水環化反応時に発生する水と、前述した副生物のテトラヒドロフランである。かかる留出物中のテトラヒドロフラン含有量は、エステル化反応条件によって影響を受けるものの、通常50重量%以下である。
テトラヒドロフランは、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニリデン樹脂などの高分子化合物の溶解力が大きく、また、沸点が低いことから、反応溶媒、抽出溶媒、一般溶剤として広く使われている。また、近年テトラヒドロフランは、ルイス酸やプロトン酸を触媒として開環重合することで得られるポリオキシテトラメチレングリコール(以下PTMGという)を製造する原料としても用いられ、きわめて有用な物質である。しかしながら、上記留出物には、水とテトラヒドロフランの他に、ジヒドロフランが含有されており、ジヒドロフランを含有したテトラヒドロフランをPTMGの原料として用いると、PTMGが着色するという課題がある。
ジヒドロフランを除去してテトラヒドロフランを精製する方法として、例えば、PBT製造工程で副生したジヒドロフラン及び炭素数3以下のアルデヒドを含むテトラヒドロフラン水溶液を強酸性イオン交換樹脂と接触させてジヒドロフランをヒドロキシテトラヒドロフランに水和し、得られた水和反応液を蒸留する方法と、1,4−ブタンジオールモノアセテートを含む溶液の脱酢酸・環化により得られた酢酸などを含む含水テトラヒドロフランを蒸留し、その後、強酸性陽イオン樹脂と接触させて含まれているジヒドロフランをヒドロキシテトラヒドロフランに水和し、得られた水和反応液を蒸留する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、かかる化学的処理を用いた方法では、工程が煩雑となる課題があった。
また、高純度のテトラヒドロフランを効率よく回収する方法として、例えば、ジヒドロフランを含有する粗テトラヒドロフランを、強酸性陽イオン交換樹脂の存在下、水及び/又は酢酸と接触処理し、ジヒドロフランを低減した後、更に蒸留する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、これも化学的処理が必要であり、工程が煩雑となることに加え、大量の酢酸が排水負荷となる課題があった。
また、テトラヒドロフラン、水、炭素数3〜10のアルコール、イソブチルアルデヒドまたはn−ブチルアルデヒドを含有してなるテトラヒドロフラン含有物の精製方法として、テトラヒドロフラン含有物を蒸留する工程を含む方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、高い段数の蒸留塔を使用してジヒドロフランとテトラヒドロフランを高い還流比で共に除去するため、膨大なエネルギーが必要となり、工程が煩雑となる課題があった。
特開2003−89694号公報 特開2000−143652号公報 特開2004−277412号公報
本発明は、上述した従来技術における課題に鑑み、少なくともテトラヒドロフラン、水およびジヒドロフランを含有するテトラヒドロフラン含有物から、煩雑な工程を必要とすることなく、排水負荷を低減し、かつ、効率良くテトラヒドロフランを精製する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。すなわち本発明は、主として下記の構成を有する。
(1)少なくともテトラヒドロフラン(A)、水(B)およびジヒドロフラン(C)0.01〜0.5重量%を含有するテトラヒドロフラン含有物の精製方法であって、少なくとも下記工程(a)を実施した後、下記工程(b)を実施することにより、精製テトラヒドロフラン中のジヒドロフラン(C)含有量を0.005重量%以下とすることを特徴とするテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
(a)テトラヒドロフラン含有物中のジヒドロフラン(C)を、テトラヒドロフラン含有物と酢酸の合計100重量%に対して0.03〜3重量%の酢酸と接触させる工程。
(b)酢酸を含むテトラヒドロフラン含有物を蒸留し、テトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物を留出させる工程
(2)前記工程(b)を実施した後、さらに下記工程(c)を実施することを特徴とする(1)記載のテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
(c)工程(b)で得られたテトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物をさらに蒸留する工程
(3)前記(a)工程を、温度66℃以下の条件下において1時間以上実施することを特徴とする(1)または(2)記載のテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
(4)前記工程(a)において、テトラヒドロフラン含有物に酢酸を添加することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載のテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
(5)前記テトラヒドロフラン含有物が、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとをエステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリエステルを製造するに際して、エステル化反応時に生成するテトラヒドロフランを含有する留出物を含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載のテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
(6)前記テレフタル酸が酢酸を含有することを特徴とする(5)記載のテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
本発明の精製方法によれば、少なくともテトラヒドロフラン、水およびジヒドロフランを含有するテトラヒドロフラン含有物から、簡便な工程により、排水負荷を低減しながら、効率良くテトラヒドロフランを精製することができる。
本発明のテトラヒドロフラン含有物の精製方法の実施態様の一例を示す装置構成図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるテトラヒドロフラン含有物は、少なくともテトラヒドロフラン(A)、水(B)およびジヒドロフラン(C)を含有する。これらの成分に加えて、その他の成分をさらに含有してもよい。その他の成分としては、例えば、炭素数3〜10のアルコール、アルデヒド化合物などが挙げられる。これらは、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとをエステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリエステルを製造するに際して、エステル化反応時に生成するテトラヒドロフランを含有する留出物であるテトラヒドロフラン含有物に一般的に含有される。
テトラヒドロフラン含有物中、テトラヒドロフラン(A)の含有量は、1〜50重量%が好ましい。テトラヒドロフラン(A)の含有量が1重量%以上であれば、テトラヒドロフランをより効率良く精製することができる。5重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましい。一方、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとをエステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリエステルを製造するに際して、エステル化反応時に生成するテトラヒドロフランを含有する留出物の場合は、テトラヒドロフラン(A)の含有量は50重量%以下であることが一般的である。45重量%以下がより好ましく、40重量%以下がさらに好ましい。
テトラヒドロフラン含有物中、水(B)の含有量は、48〜98重量%が好ましい。前記方法によりポリエステルを製造するに際して、エステル化反応時に生成するテトラヒドロフランを含有する留出物を含むテトラヒドロフラン含有物の場合は、水(B)の含有量は48重量%以上であることが一般的である。50重量%以上がより好ましく、59重量%以上がさらに好ましい。一方、水(B)の含有量が98重量%以下であれば、テトラヒドロフランをより効率良く精製することができる。94重量%以下がより好ましく、89重量%以下がさらに好ましい。
テトラヒドロフラン含有物中、ジヒドロフラン(C)の含有量は0.01〜0.5重量%である。前記方法によりポリエステルを製造するに際して、エステル化反応時に生成するテトラヒドロフランを含有する留出物を含むテトラヒドロフラン含有物の場合は、ジヒドロフラン(C)の含有量は0.01重量%以上であることが一般的である。一方、ジヒドロフラン(C)の含有量が0.5重量%を超える場合、後述する工程(a)において高沸点物を得ることが困難となったり、後述する工程(b)における蒸留による除去が困難となったりすることにより、精製テトラヒドロフランに残留するジヒドロフラン(C)含有量が高くなる場合がある。0.4重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がより好ましい。
なお、上記テトラヒドロフラン含有物中のテトラヒドロフラン(A)、水(B)、ジヒドロフラン(C)含有量は、いずれも、これら(A)〜(C)を含有するテトラヒドロフラン含有物全体(その他の成分を含有する場合はそれらも含む全体)100重量%中の重量%を意味する。また、後述する精製テトラヒドロフラン中のジヒドロフラン含有量は、テトラヒドロフラン(A)と、わずかに残留するジヒドロフラン(C)などの不純物を含む全体100重量%中の重量%を意味する。
本発明は、前記テトラヒドロフラン含有物に対して、下記工程(a)を実施した後、下記工程(b)を実施することにより、精製テトラヒドロフラン中のジヒドロフラン(C)含有量を0.005重量%以下とする、テトラヒドロフラン含有物の精製方法である。なお、本発明において、テトラヒドロフラン含有物とは、精製前の不純物を多く含むものをさし、精製テトラヒドロフランとは、本発明の精製方法により最終的に精製された、すなわち、少なくとも下記工程(a)および(b)が実施された不純物の少ないものをさす。
(a)テトラヒドロフラン含有物中のジヒドロフラン(C)を、テトラヒドロフラン含有物と酢酸の合計100重量%に対して0.03〜3重量%の酢酸と接触させる工程。
(b)酢酸を含むテトラヒドロフラン含有物を蒸留し、テトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物(以下留出混合物という場合がある)を留出させる工程。
上記工程(a)は、ジヒドロフラン(C)を酢酸と接触させることにより、ジヒドロフランを2−ヒドロキシテトラヒドロフランへ変化させる工程である。2−ヒドロキシテトラヒドロフランは沸点が高いため、次の工程(b)において容易に分離することができる。上記工程(b)は、工程(a)において得られた2−ヒドロキシテトラヒドロフランとテトラヒドロフラン(A)との沸点差を利用して、蒸留操作により2−ヒドロキシテトラヒドロフランを分離し、一部の水と共に排水として除去する工程である。このため、工程(a)を実施した後に、工程(b)を実施する必要がある。
まず、テトラヒドロフラン含有物中のジヒドロフラン(C)を、酢酸と接触させる、工程(a)について説明する。テトラヒドロフラン含有物中のジヒドロフラン(C)を酢酸と接触させる方法としては、例えば、テトラヒドロフラン含有物に酢酸を添加する方法が挙げられる。酢酸を一定量添加することにより、ジヒドロフランを安定して2−ヒドロキシテトラヒドロフランへ変化させることができ、得られる精製テトラヒドロフラン中のジヒドロフラン(C)含有量をより安定に低減することができる。また、ポリエステルを製造するに際して、エステル化反応時に生成するテトラヒドロフランを含有する留出物を含むテトラヒドロフラン含有物を精製する場合には、ポリエステルの原料であるテレフタル酸として、酢酸を不純物として含むテレフタル酸を用いる方法が挙げられる。酢酸を不純物として含むテレフタル酸を用いることにより、エステル化反応時に生成するテトラヒドロフラン含有物中のジヒドロフランをより少なくすることができる。この場合、酢酸を不純物として含むテレフタル酸中の酢酸含有量は、0.003〜0.2重量%が一般的である。0.03〜0.15重量%がより好ましい。テトラヒドロフラン含有物中のジヒドロフラン(C)を酢酸と接触させる方法としては、例えば、タンクなどの容器内にテトラヒドロフラン含有物および酢酸を入れる場合、容器内に滞留させる方法、撹拌機などを用いて撹拌する方法、ポンプなどを用いて容器内のテトラヒドロフラン含有物および酢酸を循環させる方法などが挙げられる。
工程(a)において、ジヒドロフラン(C)と接触させる酢酸は、テトラヒドロフラン含有物と酢酸の合計100重量%に対して0.03〜3重量%である。酢酸濃度が0.03重量%未満の場合、テトラヒドロフラン含有物中のジヒドロフランを効率的に2−ヒドロキシテトラヒドロフランへ変化させることが困難となり、精製されたテトラヒドロフラン中のジヒドロフラン濃度が高くなる場合がある。0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また、酢酸濃度が3重量%を超えると、後述の工程(b)から排出される排水負荷が多くなる場合がある。2重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましい。なお、酢酸濃度は、接触させるテトラヒドロフラン含有物と酢酸の添加量から計算により求めることができる。また、ガスクロマトグラフ分析における酢酸のピーク面積比から求めることもできる。
工程(a)の温度は、高いほどジヒドロフランを2−ヒドロキシテトラヒドロフランへ効率的に変化させることができるため、20℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。一方、テトラヒドロフラン含有物の蒸気圧を適度に抑える観点からは、テトラヒドロフランの常圧における沸点(66℃)以下が好ましい。また、工程(a)の時間は、長いほど好ましく、ジヒドロフランを2−ヒドロキシテトラヒドロフランへ効率的に変化させることができるため、精製されたテトラヒドロフラン中のジヒドロフラン(C)含有量をより低減することができる。このため、工程(a)を1時間以上実施することが好ましく、5時間以上がより好ましく、10時間以上がさらに好ましい。
次に、酢酸を含むテトラヒドロフラン含有物を蒸留し、テトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物(留出混合物)を留出させる、工程(b)について説明する。工程(b)において、酢酸を含むテトラヒドロフラン含有物の蒸留は、蒸留塔において行うことが好ましい。蒸留工程は、回分式、連続式のいずれを用いてもよく、効率面などから連続式が好ましく用いられる。また、前記工程(a)により生成された2−ヒドロキシテトラヒドロフランは、本工程(b)において、蒸留塔下部から、酢酸と共に排水として排出される。
工程(b)における蒸留塔理論段数は、5〜30が好ましい。理論段数を5以上とすることにより、留出混合物の蒸留効率をより向上させ、留出混合物中の水(B)含有量を、運転圧力における共沸組成に近づけることができる。10以上がより好ましい。なお、留出混合物中の共沸組成濃度は、不純物が存在しない場合、常圧でテトラヒドロフラン(A)95重量%、水(B)5重量%である。一方、理論段数を30以下とすることにより、工程(b)に要するエネルギー量を低減することができる。25以下がより好ましい。
工程(b)における圧力は、80kPa〜300kPaが好ましい。圧力を80kPa以上とすることにより、テトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物中の水(B)含有量を、運転圧力における共沸組成に近づけ、留出混合物を効率よく凝縮させることができる。90kPa以上がより好ましい。一方、圧力を300kPa以下とすることにより、留出液中の水分を低減し、次に工程(c)を設ける場合の負荷を低減することができる。ここで、圧力は0kPaが真空、101.325kPaが標準大気圧である。
工程(b)における還流比は、0.5〜20が好ましい。還流比を0.5以上とすることにより、得られる精製テトラヒドロフランの純度をより向上させることができる。1以上がより好ましい。一方、還流比を20以下とすることにより、工程(b)に要するエネルギー量をより低減することができる。10以下がより好ましい。
また、工程(b)で得られる留出混合物中の水(B)の含有量は、蒸留条件によって異なるが、5〜15重量%が好ましい。テトラヒドロフラン(A)と水(B)との共沸を防ぐ観点から、留出混合物中の水(B)の含有量は5重量%以上が一般的である。一方、留出混合物中の水(B)含有量を15重量%以下とすることにより、次に工程(c)を設ける場合の負荷を低減することができる。
前記工程(b)を実施した後、得られた留出混合物をさらに蒸留する工程(c)を実施することが好ましい。工程(c)において、留出混合物の蒸留は、蒸留塔において行うことができ、蒸留工程は、回分式、連続式のいずれを用いてもよく、効率面などから連続式が好ましく用いられる。
工程(c)は、工程(b)で得られた留出混合物中の水(B)や、場合により他の不純物を蒸留除去する工程である。工程(c)を複数回設けてもよく、例えば、工程(b)で得られた留出混合物から工程(c)により水(B)を除去した後、さらに工程(c)を設けて他の不純物を蒸留除去してもよい。
工程(c)により留出混合物中の水(B)を除去し、精製テトラヒドロフラン中の水(B)含有量を0.03重量%以下とすることが好ましい。0.02重量%以下がより好ましく、0.01重量%以下がさらに好ましく、0.005重量%以下が最も好ましい。蒸留方法としては、例えば、工程(b)よりも高い圧力下で蒸留を行う加圧蒸留法、共沸剤や第3成分をエントレーナーとして用いる抽出蒸留法などが挙げられる。不純物混入防止の観点から、加圧蒸留法が好ましく用いられる。また、いずれの方法も回分式、連続式特に制限はないが、効率面などから連続式が好ましく用いられる。加圧連続蒸留法を用いて工程(c)により留出混合物中の水(B)を除去する方法としては、工程(b)で得られた留出混合物を、工程(b)よりも加圧された蒸留塔に連続的に供給し、塔底から水(B)を含む精製テトラヒドロフランの留出液を連続的に取り出し、塔頂からはテトラヒドロフラン(A)−水(B)の混合物を連続的に留出させ、再度工程(a)に返送する方法が好ましい。
工程(c)により留出混合物中の水(B)を除去する蒸留塔の理論段数は、5〜30が好ましい。理論段数を5以上とすることにより、精製テトラヒドロフランの留出液に含まれる水(B)をより低減することができる。10以上がより好ましい。一方、理論段数を30以下とすることにより、より簡便な設備で工程(c)を行うことができる。25以下がより好ましい。
工程(c)により留出混合物中の水(B)を除去する蒸留塔の圧力は、300kPa〜1.0MPaが好ましい。圧力を300kPa以上とすることにより、精製テトラヒドロフランの留出液に含まれる水(B)をより効率よく低減することができる。400kPa以上がより好ましい。一方、圧力を1.0MPa以下とすることにより、より低温で蒸留することができるため、副反応を抑制することができる。800kPa以下がより好ましい。
工程(c)により留出混合物中の水(B)を除去する蒸留塔の還流比は、0.5〜30が好ましい。還流比を0.5以上とすることにより、テトラヒドロフラン(A)と水(B)の分離性能が促進され、精製テトラヒドロフランの留出液に含まれる水(B)をより低減することができる。1以上がより好ましい。一方、還流比を30以下とすることにより、蒸留に要するエネルギー量をより低減することができる。20以下がより好ましい。
本発明において、工程(c)により留出混合物中の水(B)を除去した後、さらに工程(c)を設けて、他の不純物を蒸留除去することが好ましい。他の不純物を蒸留除去する工程を複数回設けてもよい。ここでいう他の不純物について特に制限はないが、ほとんどが有機物であることが一般的である。具体的には、ジヒドロフラン(C)、プロピオンアルデヒド、メタクロレイン、メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。これらの不純物を蒸留除去するための蒸留は、蒸留塔において行うことが好ましい。蒸留工程は、回分式、連続式のいずれを用いてもよく、効率面などから連続式が好ましく用いられる。
工程(c)により他の不純物を蒸留除去する蒸留塔の理論段数は、5〜60が好ましい。理論段数を5以上とすることにより、精製テトラヒドロフラン中の不純物をより低減することができる。10以上がより好ましい。一方、理論段数を60以下とすることにより、より簡便な設備で他の不純物の蒸留除去を行うことができる。50以下がより好ましい。
工程(c)において不純物を蒸留除去する蒸留塔の圧力は、101kPa〜300kPaが好ましい。圧力を101kPa以上とすることにより、精製テトラヒドロフラン中の不純物をより安定的に低減することができる。105kPa以上がより好ましい。一方、圧力を300kPa以下とすることにより、より低温で蒸留することができるため、副反応を抑制することができる。200kPa以下がより好ましい。
工程(c)において不純物を蒸留除去する蒸留塔の還流比は、1〜60が好ましい。還流比を1以上とすることにより、不純物の分離性能が促進され、精製テトラヒドロフランの留出液に含まれる不純物をより低減することができる。一方、還流比を60以下とすることにより、蒸留に要するエネルギー量をより低減することができる。50以下がより好ましい。
工程(c)において不純物を蒸留除去する蒸留塔は、1塔あるいは複数の塔を用いることができる。複数の塔を用いる場合は、設備コスト的に2塔とすることが好ましく、その場合は、1塔目は塔頂から低沸点不純物を除去し、2塔目は塔底から高沸点不純物を除去し、塔頂から目的の留出液を得ることが好ましい。また、1塔で蒸留を行う場合は、低沸点不純物および高沸点不純物を1塔で除去する方法が好ましく、塔頂から低沸点不純物、塔底から高沸点不純物を取り出し、蒸留塔中段から目的の留出液を得ることが好ましい。
本発明においては、上記工程(a)〜(c)に加えて、さらに、特開平5−226号公報、特開平5−255294号公報等に記載されている浸透気化膜分離法、特開2000−334257号公報等に記載されているモレキュラーシーブによる吸着法などにより、精製テトラヒドロフランから水を除去してもよい。不純物の混入防止の観点から、浸透気化膜分離法、モレキュラーシーブによる吸着法が好ましく用いられる。回分式、連続式のいずれを用いてもよく、効率面などから連続式が好ましく用いられる。
このようにして得られた精製テトラヒドロフランは、ジヒドロフラン(C)の含有量が0.005重量%以下であることが必要である。ジヒドロフラン(C)の含有量が0.005重量%を超えると、PTMGの原料とした場合に着色する。また、水(B)の含有量は、精製テトラヒドロフラン中0.03重量%以下が好ましい。水(B)の含有量が0.03重量%以下であれば、PTMGの原料とした場合良好に反応を促進させることができる。0.02重量%以下がより好ましく、0.01重量%以下がさらに好ましく、0.005重量%以下がさらに好ましい。また、その他不純物含有量は、精製テトラヒドロフラン中0.005重量%以下が好ましく、0.003重量%以下がより好ましい。
本発明において、精製テトラヒドロフラン中の水(B)の含有量は、カールフィッシャー水分計を用いて水分量を測定することにより求めることができる。また、テトラヒドロフランを含めた有機不純物含有量(Y(重量%))は、キャピラリー型ガスクロマトグラフを用いて、各成分に対応するピーク面積より各成分の含有割合(X(重量%))を求め、水分濃度(W(重量%))を基に下記式(1)により求めることができる。
Y(重量%)={(100−W)/100}×X(重量%) (1)
本発明のテトラヒドロフラン含有物の精製方法は、ジカルボン酸とジオールとをエステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリエステルを製造するに際して、エステル化反応時に生成するテトラヒドロフランを含有する留出物に好適に用いることができる。
ポリブチレンテレフタレートの原料は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分である。テレフタル酸は、不純物として0.003〜0.2重量%の酢酸を含有するものを用いてもよい。0.03〜0.15重量%の酢酸を含有するものが好ましい。テレフタル酸中の酢酸濃度は、テレフタル酸を水酸化ナトリウムへ溶解し、陽イオン交換樹脂を通過させた溶液をガスクロマトグラフにて分析することにより測定することができる。
ポリエステルを製造するに際しては、テレフタル酸に対して過剰量のブタンジオールを使用することが好ましい。具体的には、テレフタル酸に対して1.1〜3.0倍モルのブタンジオールを使用することが好ましく、1.1〜2.5倍モルの1,4−ブタンジオールを使用することが特に好ましい。
ポリエステルを製造するに際しては、エステル化反応および重縮合反応を効果的に進めるために、公知の化合物をこれらの反応時に触媒として添加することができる。
ポリブチレンテレフタレートの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の反応条件および製造装置により製造することができる。
次に、本発明のテトラヒドロフラン含有物の精製方法について、図面を用いて説明する。図1は、本発明のテトラヒドロフラン含有物の精製方法の実施態様の一例を示す装置構成図である。ポリブチレンテレフタレート製造過程において発生するテトラヒドロフラン(A)、水(B)およびジヒドロフラン(C)を含有するテトラヒドロフラン含有物は、テトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ投入される。酢酸供給ライン0からテトラヒドロフラン含有物貯槽X1に酢酸が一定量供給され、テトラヒドロフラン含有物と酢酸が一定時間滞留接触され、ジヒドロフラン(C)が2−ヒドロキシテトラヒドロフランへ変化する(工程(a))。次に、テトラヒドロフラン含有物と酢酸の混合溶液は、テトラヒドロフラン含有物供給管2から第1蒸留塔1へ供給される。第1蒸留塔1において蒸留処理され、塔頂からテトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物が留出され、塔底部から水(B)、酢酸、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン、不純物の一部が排水として排出除去される(工程(b))。第1蒸留塔1の塔頂から留出したテトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物は、第2蒸留塔供給ライン4から第2蒸留塔5へ供給される。第2蒸留塔供給ライン4から供給されたテトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物は、第2蒸留塔5において蒸留処理され、水分が除去されて、塔底部から排出される(工程(c))。次いで、第3蒸留塔供給ライン7から第3蒸留塔8へ供給される。また、第2蒸留塔5塔頂から留出されたテトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物は、塔頂物抜き出しライン6からテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ返送される。第3蒸留塔8において蒸留処理がなされ(工程(c))、塔頂からは、テトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物中の低沸点不純物が抜き出される。一方、塔底部からは、低沸点不純物が除去されたテトラヒドロフラン留出物が、第4蒸留塔供給ライン10から第4蒸留塔11へ供給される。次に、第4蒸留塔11において蒸留処理がなされ(工程(c))、塔底部からはテトラヒドロフラン留出物中の高沸点物が、塔底物抜き出しライン13から抜き出される。塔頂からは、留出物中のジヒドロフラン(C)含有量が0.005重量%以下となった、精製テトラヒドロフランが精製テトラヒドロフラン抜き出しライン12から抜き出される。
得られた精製テトラヒドロフランは、例えば、PTMGの原料などとして好適に用いることができる。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における評価は以下の方法に従って行った。
(1)排水TOD濃度
TOD−810C(東レエンジニアリング(株)製)を用いて、各実施例および比較例において第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出される排水を連続的に採取し測定した。
(2)水(B)含有量
水(B)を1重量%以上含む試料の場合は、試料を約10〜100μl(試料中の水分により異なる)精秤した後、容量滴定法式カールフィッシャー水分計(平沼産業(株)製)を用いて、水(B)含有量(μg)を測定し、試料に対する重量%を算出した。また、水(B)を1重量%未満含む試料の場合は、試料を約0.1〜1ml(試料中の水分により異なる)精秤した後、電量滴定法式カールフィッシャー水分計(三菱化学(株)製)を用いて、水(B)の含有量(μg)を測定し、試料に対する重量%を算出した。
(3)ジヒドロフラン(C)およびその他不純物含有量
Ultra−1(架橋型メチルシロキサンタイプ)をカラムとしてキャピラリー型ガスクロマトグラフ(島津製作所(株)製)を用いて、ヘリウムをキャリアガスとし、スプリット比1対400、全流量203ml/分で流し、200℃まで昇温し、各成分に対応するピーク面積より各成分の含有割合(X(重量%))を求めた。上記(2)で求められた水分濃度(W(重量%))を基に、下記式(1)により各不純物含有量(Y(重量%))を求めた。Y(重量%)={(100−W)/100}×X(重量%)
(4)PTMGの色調
各実施例および比較例により得られたPTMGを目視観察し、色調を評価した。
(5)酢酸量
コリオリ式質量流量計(エンドレスハウザージャパン(株)製)を用いて、各実施例および比較例において酢酸添加供給ライン0からテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ添加される酢酸量を連続的に測定した。
また、不純物として酢酸を含むテレフタル酸を用いる場合、テレフタル酸中の酢酸濃度を次の方法により求めた。テレフタル酸5gを秤量しメスフラスコへ入れ、15重量%水酸化ナトリウム20mlと純水を加え90mlとし、超音波洗浄槽で溶解した。次に、50mlの陽イオン交換樹脂が入ったクロマト管底部へナス型フラスコをセットし、溶解した試料20mlをホールピペットで採取し、クロマト管へ静かに投入した後、純水を70ml加えた。ナス型フラスコへ溜まった溶液へ3重量%の水酸化ナトリウム0.5mlを加え、70℃のシリコンオイルとロータリーエバポレーターを用いて2mlまで濃縮した。濃縮液を冷却し、カラム温度130℃、ヘリウムをキャリアガスの条件で、ガスクロマトグラフにて分析し、ピーク面積比から酢酸濃度を求めた。
工程(a)における酢酸量は、上記方法により求めたテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ添加される酢酸量およびテレフタル酸中の酢酸濃度から算出した。
実施例1
酢酸を含有していないテレフタル酸75.5重量部、1,4−ブタンジオール61.4重量部および触媒としてテトラブチルチタネート0.05重量部、モノブチルスズオキサイド0.04重量部を精留塔および撹拌機を有する反応缶に仕込み、常圧下にて150〜235℃まで4時間かけて昇温し、エステル化反応をさせた。生成した水とテトラヒドロフランとを精留塔を通して留去してテトラヒドロフラン含有物を得た。得られたテトラヒドロフラン含有物100重量%中の各成分の含有量は、テトラヒドロフラン(A)20.5重量%、水(B)79.3重量%、ジヒドロフラン(C)0.024重量%、その他不純物0.176重量%であった。次に、得られたエステル化反応生成物に、最終的に得られるポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、着色防止剤のリン酸0.02重量部と重縮合触媒のテトラブチルチタネート0.05重量部を加えた後、重縮合反応缶に移し、常圧から67Paまで50分間かけて徐々に減圧しながら245℃まで昇温して、245℃で2時間50分間重縮合反応を行い、ポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。
(工程(a))上記で得られたテトラヒドロフラン含有物を、図1の装置構成図に示す精製装置を用いて、以下の手順により精製した。テトラヒドロフラン含有物をテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ溜め、テトラヒドロフラン含有物中の酢酸濃度が3重量%となるようにテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ酢酸添加供給ライン0から酢酸を投入し、60℃で20時間貯留させた。
(工程(b))次に、理論段数18段の第1蒸留塔1に、上記のテトラヒドロフラン含有物をテトラヒドロフラン含有物供給管2より供給した。第1蒸留塔1において、常圧下、塔底温度100℃、還流比4で蒸留し、塔底物抜き出しライン3からテトラヒドロフラン、水、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン、酢酸および一部の不純物を排出させた。この排水のTOD濃度は19950mg/Lであった。一方、第1蒸留塔1の塔頂からテトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物を得た。
(工程(c))テトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物を、第2蒸留塔供給ライン4を経由して理論段数20段の第2蒸留塔5に供給し、塔頂圧力700kPa、還流比5で蒸留し、塔底から脱水テトラヒドロフラン含有物を得た。
上記脱水テトラヒドロフラン含有物を、第3蒸留塔供給ライン7を経由して理論段数35段の第3蒸留塔8に供給し、塔頂圧力110kPa、塔底温度71℃、還流比40で蒸留した。低沸点不純物を含むテトラヒドロフラン含有物を塔頂物抜き出しライン9より抜き出し、塔底から第4蒸留塔供給ライン10を経由して、粗精製テトラヒドロフランを理論段数35段の第4蒸留塔11に供給した。第4蒸留塔11において、塔頂圧力110kPa、塔底温度83℃、還流比10で蒸留し、塔底から高沸点不純物を含むテトラヒドロフラン含有物を塔底物抜き出しライン13より抜き出した。また、塔頂から精製テトラヒドロフラン抜き出しライン12を経由して精製テトラヒドロフランを得た。得られた精製テトラヒドロフラン100重量%中の各成分の含有量は、テトラヒドロフラン(A)99.9970重量%、水(B)0.0025重量%、ジヒドロフラン(C)0.0000重量%、その他不純物0.0005重量%であった。
得られた精製テトラヒドロフラン10mlを反応容器に入れ、エピクロルヒドリンを0.027mol/lとなるよう注入した。これを0℃で撹拌しながら、三フッ化硼素−ジエチルエーテル錯体を0.12mol/lとなるよう添加し、0℃で24時間撹拌した。その後、少量の濃塩酸を含む水−メタノール混合物を加えて重合を停止し、沈殿したポリマーをメタノールで洗浄し、濾過、乾燥を行い、PTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
実施例2
工程(a)において酢酸濃度が1重量%となるように酢酸をテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ投入したこと以外は実施例1と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は11450mg/Lであった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
実施例3
工程(a)において酢酸濃度を0.5重量%となるように酢酸をテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ投入したこと以外は実施例1と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は9510mg/Lであった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
実施例4
工程(a)において酢酸濃度を0.1重量%となるように酢酸をテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ投入したこと以外は実施例1と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は7620mg/Lであった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
実施例5
工程(a)において酢酸濃度を0.03重量%となるように酢酸をテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ投入したこと以外は実施例1と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は7510mg/Lであった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は使用できる範囲内であった。
実施例6
工程(a)においてテトラヒドロフラン含有物貯槽X1の温度を50℃にしたこと以外は実施例3と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は9590mg/Lであった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
実施例7
工程(a)においてテトラヒドロフラン含有物貯槽X1の温度を10℃にしたこと以外は実施例3と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は9230mg/Lであった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
実施例8
工程(a)においてテトラヒドロフラン含有物貯槽X1の貯留時間を1時間にしたこと以外は実施例3と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は9620mg/Lであった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
実施例9
酢酸を含有していないテレフタル酸にかえて、不純物として酢酸を0.1重量%含有するテレフタル酸を用い、テトラヒドロフラン含有物貯槽X1中の酢酸濃度が3重量%となるように、酢酸添加供給ライン0からテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ酢酸を投入したこと以外は実施例1と同様にしてテトラヒドロフラン含有物を得た。得られたテトラヒドロフラン含有物100重量%中の各成分の含有量は、テトラヒドロフラン(A)22.7重量%、水(B)77.1重量%、ジヒドロフラン(C)0.002重量%、その他不純物0.198重量%となり、テトラヒドロフラン含有物中のジヒドロフラン(C)含有量は、実施例1に比べ少なくなった。このテトラヒドロフラン含有物について、実施例1と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は19930mg/Lであった。上記で得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
実施例10
工程(a)において、テトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ酢酸を投入せず、テトラヒドロフラン含有物貯槽X1中の酢酸濃度が0.01重量%となったこと以外は実施例9と同様にしてテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は7479mg/Lであった。上記で得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
実施例11
工程(a)においてテトラヒドロフラン含有物貯槽X1中の酢酸濃度を0.1重量%となるように酢酸をテトラヒドロフラン含有物貯槽X1に投入したこと以外は実施例9と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなり、また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は7610mg/Lであった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
実施例12
テトラヒドロフラン含有物をテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ溜め、温度を70℃にした。テトラヒドロフラン含有物貯槽X1の圧力が上昇し、テトラヒドロフラン含有物100重量%中の各成分の含有量は、テトラヒドロフラン(A)12.1重量%、水(B)87.6重量%、ジヒドロフラン(C)0.020重量%、その他不純物0.280重量%となった。このテトラヒドロフラン含有物について、工程(a)におけるテトラヒドロフラン含有物貯槽X1の温度を70℃にしたこと以外は実施例3と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は7909mg/Lであった。上記で得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は褐色を帯びていた。
実施例13
工程(a)においてテトラヒドロフラン含有物貯槽X1での貯留時間を0.5時間にしたこと以外は実施例4と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は7970mg/Lであった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調はやや褐色を帯びていた。
実施例14
第3蒸留塔8および第4蒸留塔11を使用せず、第3蒸留塔供給ライン7から得られた脱水テトラヒドロフランを精製テトラヒドロフランとしたこと以外は実施例5と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの組成は表1のとおりとなった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は褐色を帯びていた。
比較例1
工程(a)において酢酸濃度を4重量%となるように酢酸をテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ投入したこと以外は実施例1と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は26314mg/Lとなり排水異常で運転を継続することができなかった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調は無色であった。
比較例2
工程(a)において酢酸濃度を0.02重量%となるように酢酸をテトラヒドロフラン含有物貯槽X1へ投入したこと以外は実施例1と同様にテトラヒドロフランの精製を実施した。その結果、精製テトラヒドロフランの塔頂組成は表1のとおりとなった。また、第1蒸留塔1の塔底物抜き出しライン3から排出された排水のTOD濃度は7503mg/Lであった。得られた精製テトラヒドロフランを用いて、実施例1と同様の方法でPTMGを得た。得られたPTMGの色調はやや褐色を帯びていた。
Figure 2014210736
X1 テトラヒドロフラン含有物貯槽
0 酢酸供給ライン
1 第1蒸留塔
2 テトラヒドロフラン含有物供給管
3 塔底物抜き出しライン
4 第2蒸留塔供給ライン
5 第2蒸留塔
6 塔頂物抜き出しライン
7 第3蒸留塔供給ライン
8 第3蒸留塔
9 塔頂物抜き出しライン
10 第4蒸留塔供給ライン
11 第4蒸留塔
12 精製テトラヒドロフラン抜き出しライン
13 塔底物抜き出しライン

Claims (6)

  1. 少なくともテトラヒドロフラン(A)、水(B)およびジヒドロフラン(C)0.01〜0.5重量%を含有するテトラヒドロフラン含有物の精製方法であって、少なくとも下記工程(a)を実施した後、下記工程(b)を実施することにより、精製テトラヒドロフラン中のジヒドロフラン(C)含有量を0.005重量%以下とすることを特徴とするテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
    (a)テトラヒドロフラン含有物中のジヒドロフラン(C)を、テトラヒドロフラン含有物と酢酸の合計100重量%に対して0.03〜3重量%の酢酸と接触させる工程
    (b)酢酸を含むテトラヒドロフラン含有物を蒸留し、テトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物を留出させる工程
  2. 前記工程(b)を実施した後、さらに下記工程(c)を実施することを特徴とする請求項1記載のテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
    (c)工程(b)で得られたテトラヒドロフラン(A)−水(B)混合物をさらに蒸留する工程
  3. 前記(a)工程を、温度66℃以下の条件下において1時間以上実施することを特徴とする請求項1または2記載のテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
  4. 前記工程(a)において、テトラヒドロフラン含有物に酢酸を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
  5. 前記テトラヒドロフラン含有物が、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールとをエステル化反応させた後、次いで重縮合反応させてポリエステルを製造するに際して、エステル化反応時に生成するテトラヒドロフランを含有する留出物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
  6. 前記テレフタル酸が酢酸を含有することを特徴とする請求項5記載のテトラヒドロフラン含有物の精製方法。
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