JP2014203530A - ナトリウム二次電池用炭素質負極材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】実用的な充放電電流密度における充放電容量が大きいナトリウム二次電池用炭素質負極材及びその製造方法を提供する。【解決手段】炭素網面の積層重量割合分布において、3層以下からなる積層重量割合が70%以上であり、且つ炭素網面サイズ重量分布において、網面サイズ(La)が3.8nm未満である重量割合が72%以上である、ナトリウム二次電池用炭素質負極材。【選択図】なし
Description
本発明は、ナトリウム二次電池用炭素質負極材及びその製造方法に関する。
近年電子機器類、特にポータブルタイプの電子機器の小型化、薄型化、軽量化等が進んでいる。これら電子機器類の駆動用電源又はバックアップ用電源としては、高エネルギー密度の充電が可能であり、且つ高効率の放電が可能であるリチウム二次電池が、実用化されている。従来のリチウム二次電池は、負極活物質として黒鉛を用い、リチウムをイオン状態で黒鉛層間に挿入及び脱離させることにより、充放電を繰り返し行っている。リチウム挿入時には、全体的に、C6Liの組成となり、理論放電容量は、372Ah/kgである。一方、資源的にリチウムよりも豊富なナトリウムを負極にしたナトリウムイオン電池の開発も行われている。
このようなナトリウムイオン電池の従来技術としては、例えば、非特許文献1が知られている。
しかしながら、現状では、非特許文献1においては、ハードカーボンが負極として動作することが確認されているにすぎず、最適化はなされていない。
また、ナトリウムイオンは黒鉛の層間には挿入されない。これを克服するために、難黒鉛化炭素材料を用いて、炭素以外の結晶子の間隙にもナトリウムイオンを吸蔵させることにより、充放電容量を高める試みがなされている。しかしながら、この様な炭素質材料は導電性が低いため過電圧が大きく、実際の電池として使用する場合の電流密度領域で充放電を行うと、250Ah/kgに満たない。
このため、本発明は、実用的な充放電電流密度における充放電容量が大きいナトリウム二次電池用炭素質負極材及びその製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記の炭素質負極材における従来技術の問題点を解消ないし軽減するために研究を重ねた結果、炭素網面サイズ及び炭素網面の積層分布(これらは、ナトリウム吸蔵サイトの大きさに関連する)を制御することにより、所望の性能を発揮する炭素質負極材が得られることを見出した。この炭素質負極材は、例えば、出発原料である有機物に酸化剤を添加し、不融化処理を行うことにより得られる。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.炭素網面の積層重量割合分布において、3層以下からなる積層重量割合が70%以上であり、且つ
炭素網面サイズ重量分布において、網面サイズ(La)が3.8nm未満である重量割合が72%以上である、
ナトリウム二次電池用炭素質負極材。
項2.(Ia)ピッチ及び/又はタールを用いて炭素前駆体を得る工程、
(Ib)酸化剤と、上記工程(Ia)で得られた炭素前駆体とを混合し、酸化雰囲気中で不融化処理する工程、及び
(II)前記工程(Ib)において不融化処理した混合物を非酸化雰囲気中で加熱下に炭化処理する工程
を備える、ナトリウム二次電池用炭素質負極材の製造方法。
項3.前記工程(Ia)が、ピッチ及び/又はタールと、2官能性架橋剤とを、酸触媒の存在下に反応させて炭素前駆体を得る工程、又はピッチ及び/又はタールに蒸留操作を施して炭素前駆体を得る工程である、項2に記載の製造方法。
項4.(I’)酸化剤と溶融ポリマーとを混合し、酸化雰囲気中で不融化処理する工程、及び
(II’)前記工程(I’)において不融化処理した混合物を非酸化雰囲気中で加熱下に炭化処理する工程
を備える、ナトリウム二次電池用炭素質負極材の製造方法。
項5.前記酸化剤が、ヨウ素、ペルオキソ2硫酸アンモニウム及び重クロム酸カリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
項1.炭素網面の積層重量割合分布において、3層以下からなる積層重量割合が70%以上であり、且つ
炭素網面サイズ重量分布において、網面サイズ(La)が3.8nm未満である重量割合が72%以上である、
ナトリウム二次電池用炭素質負極材。
項2.(Ia)ピッチ及び/又はタールを用いて炭素前駆体を得る工程、
(Ib)酸化剤と、上記工程(Ia)で得られた炭素前駆体とを混合し、酸化雰囲気中で不融化処理する工程、及び
(II)前記工程(Ib)において不融化処理した混合物を非酸化雰囲気中で加熱下に炭化処理する工程
を備える、ナトリウム二次電池用炭素質負極材の製造方法。
項3.前記工程(Ia)が、ピッチ及び/又はタールと、2官能性架橋剤とを、酸触媒の存在下に反応させて炭素前駆体を得る工程、又はピッチ及び/又はタールに蒸留操作を施して炭素前駆体を得る工程である、項2に記載の製造方法。
項4.(I’)酸化剤と溶融ポリマーとを混合し、酸化雰囲気中で不融化処理する工程、及び
(II’)前記工程(I’)において不融化処理した混合物を非酸化雰囲気中で加熱下に炭化処理する工程
を備える、ナトリウム二次電池用炭素質負極材の製造方法。
項5.前記酸化剤が、ヨウ素、ペルオキソ2硫酸アンモニウム及び重クロム酸カリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、実用的な充放電密度における充放電容量が大きいナトリウム二次電池用の炭素質負極材を提供することができる。
本発明のナトリウム二次電池用炭素質負極材は、
炭素網面の積層重量割合分布において、3層以下からなる積層重量割合が70%以上であり、且つ
炭素網面サイズ重量分布において、網面サイズ(La)が3.8nm未満である重量割合が72%以上である。
炭素網面の積層重量割合分布において、3層以下からなる積層重量割合が70%以上であり、且つ
炭素網面サイズ重量分布において、網面サイズ(La)が3.8nm未満である重量割合が72%以上である。
これらの分布は、例えば、Hiroyuki Fujimoto and Minoru Shiraishi, Characterization of unordered carbon using Warren-Bodenstein's equation, Carbon 39, 1753-1761 (2001)に記載されているWarren-Bodenstein関数を用いた炭素の二次元解析方法により求めることができる。この方法によれば、未知試料中における炭素結晶子サイズ(網面サイズ(La)及び炭素網面の積層サイズ(Lc))の炭素網面の積層重量割合分布及び炭素網面サイズ重量分布を求めることができる。
この方法により求められる3層以下からなる積層重量割合は70%以上、好ましくは72%以上、より好ましくは72.5%以上である。3層以下からなる積層重量割合が70%未満では、ナトリウムが挿入されない層間の割合が増加するため放電容量が低下する。3層以下からなる積層重量割合の上限値は特に制限はないが、3層以下が100%の材料を製造することが現実的に困難であるため、放電容量をより向上させるためには、80%以下が好ましく、76%以下がより好ましく、73.5%以下がさらに好ましい。
網面サイズ(La)が3.8nm未満であると、3.8nm以上である場合と比較し、ファンデアワールス力が小さくなり、積層割合が減少する。そのため、この方法により求められる炭素網面サイズ重量分布における網面サイズ(La)が3.8nm未満である重量割合は72%以上、好ましくは73%以上、より好ましくは73.5%以上である。網面サイズ(La)が3.8nm未満である重量割合が72%未満では、導電性が低下するため放電容量が低下する。網面サイズ(La)が3.8nm未満である重量割合の上限値は特に制限はないが、ナトリウムをより取り込みやすくして放電容量をより向上させるため、75%以下がより好ましく、74.5%以下がさらに好ましい。
このような本発明のナトリウム二次電池用負極材の製造方法は特に制限されないが、例えば、出発原料である有機物に酸化剤を添加し、不融化処理を行うことにより得られる。
この出発原料である有機物は、特に制限されないが、例えば、石炭系重質油(タール、ピッチ等)、石油系重質油(タール、ピッチ等)、溶融ポリマー(ポリマーとしては、フェノール樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド等の熱可塑性樹脂等)等が挙げられる。
上記の重質油、つまり、タール、ピッチ等は、予め蒸留操作を行って軽質分を除去したものをそのまま使用してもよく、2官能性架橋剤と酸触媒の存在下に反応させて重縮合させた生成物も使用できる。
このため、本発明においては、
(Ia)ピッチ及び/又はタールを用いて(酸触媒の存在下に2官能性架橋剤と反応させて重縮合させるか、蒸留操作により軽質分を除去すること等により)炭素前駆体を得る工程、
(Ib)酸化剤と、上記工程(Ia)で得られた炭素前駆体とを混合し、酸化雰囲気中で不融化処理する工程、及び
(II)前記工程(Ib)において不融化処理した混合物を非酸化雰囲気中で加熱下に炭化処理する工程
を備える製造方法(1)と、
(I’)酸化剤と溶融ポリマーとを混合し、酸化雰囲気中で不融化処理する工程、及び
(II’)前記工程(I’)において不融化処理した混合物を非酸化雰囲気中で加熱下に炭化処理する工程
を備える製造方法(2)のいずれも採用できる。
(Ia)ピッチ及び/又はタールを用いて(酸触媒の存在下に2官能性架橋剤と反応させて重縮合させるか、蒸留操作により軽質分を除去すること等により)炭素前駆体を得る工程、
(Ib)酸化剤と、上記工程(Ia)で得られた炭素前駆体とを混合し、酸化雰囲気中で不融化処理する工程、及び
(II)前記工程(Ib)において不融化処理した混合物を非酸化雰囲気中で加熱下に炭化処理する工程
を備える製造方法(1)と、
(I’)酸化剤と溶融ポリマーとを混合し、酸化雰囲気中で不融化処理する工程、及び
(II’)前記工程(I’)において不融化処理した混合物を非酸化雰囲気中で加熱下に炭化処理する工程
を備える製造方法(2)のいずれも採用できる。
特に本発明では、製造方法(1)を採用することが好ましく、工程(Ia)としては、ピッチ及び/又はタールと2官能性酸触媒とを、酸触媒の存在下に反応させて重縮合させることが好ましい。
工程(Ia)において、重質油(特にピッチ、タール等)の重縮合を行う場合に使用する2官能性架橋剤としては、特に制限はなく、有機物質を架橋できる種々の2官能性化合物が使用できる。より具体的には、キシレンジクロライド等の芳香族ジメチレンハライド;キシレングリコール、ジメチルパラキシレングリコール等の芳香族ジメタノール;テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、フタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド等の芳香族ジカルボニルハライド;ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−メトキシベンズアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒドジメチルアセタール、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド等が例示される。これらの架橋剤は、必要に応じ、単独で使用してもよく、また2種以上を併用することもできる。
架橋剤の使用量は、有機物質(重質油、特にピッチ、タール等)の特性、架橋剤の種類等に応じて広い範囲から選択することができる。架橋剤の使用量は、反応性の観点から、原料有機物重量を基準として、通常0.01〜30%が好ましい。
工程(Ia)において、有機物質の架橋反応は、通常酸触媒の存在下で行われる。酸触媒としては、特に制限されないが、例えば、ルイス酸、ブレンステッド酸等の慣用的な酸が使用できる。ルイス酸としては、ZnCl2、BF3、AlCl3、SnCl4、TiCl4等が例示され、ブレンステッド酸としては、p−トルエンスルホン酸、フルオロメタンスルホン酸、キシレンスルホン酸等の有機酸;塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸等が例示できる。酸触媒としては、反応性の観点から、ブレンステッド酸が好ましく、有機酸がより好ましい。これらの酸触媒は、単独で使用してもよく、また2種以上を併用することもできる。
酸触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、反応性の観点から、架橋剤1モルに対して、通常0.01〜10モル程度が好ましく、0.5〜3モル程度がより好ましい。
原料有機物質として、ピッチ及び/又はタールを使用する場合には、通常酸触媒の存在下且つ加熱下に空気を吹き込みつつ原料と2官能性架橋剤とを反応させて、重縮合反応物(炭素前駆体)を得ることが好ましい。
重縮合反応時の温度は、通常200〜400℃程度(特に250〜350℃程度)が好ましい。
上記では、ピッチ、タール等の重質油を使用し、これを重縮合させる場合について述べたが、ピッチ、タール等の重質油を用いて、蒸留操作により軽質分を除去したものも使用することができる。蒸留操作の条件等は、従来から行われている公知のものを採用できる。
また、溶融ポリマーを使用する場合には、そのまま次の工程で使用することができる。
次いで、工程(Ib)又は(I’)では、得られた炭素前駆体又は原材料である溶融ポリマーに、酸化剤を均一に混合した後、不融化することが好ましい。不融化する前に、混合物を繊維状、粉末状、粒状等の任意の形態に加工してもよい。
繊維状物は、公知の炭素繊維製造過程におけるピッチ紡糸手法に準じて、製造することができる。また、粉末状物及び粒状物は、公知の方法で粉砕すること等により製造することができる。
酸化剤としては、特に制限されないが、ヨウ素、ペルオキソ2硫酸アンモニウム、重クロム酸カリウム、五酸化リン等が挙げられ、炭素構造を非晶質化させ、細孔構造を増加させられるために放電容量をより向上させることができる点から、ヨウ素、ペルオキソ2硫酸アンモニウム、重クロム酸カリウム等が好ましい。
酸化剤と炭素前駆体又は溶融ポリマーとの混合方法は、両者が均一に混合できる限り、限定されない。具体的には、炭素前駆体又は溶融ポリマーに固形状の酸化剤を直接添加混合する方法、酸化剤をキノリン、キノリン含有混合溶媒、水等の溶媒に溶解した後、液状の炭素前駆体又は溶融ポリマーに、又は加熱により液状化した炭素前駆体又は溶融ポリマーに混合する方法等が例示できる。より均一な混合を行うためには、後者の方法が好ましい。
炭素前駆体又は溶融ポリマーに対する酸化剤の配合量は、通常炭素前駆体重量の0.1〜50%程度が好ましく、5〜30%程度がより好ましい。
不融化処理は、原料有機物質として重質油(ピッチ、タール等)を使用する場合には、公知の炭素繊維製造過程における紡糸ピッチの不融化手法に準じて、通常150〜330℃程度(特に170〜320℃程度)で、混合物に酸素、オゾン等の活性ガスを吹き込むか又は混合物に活性ガスを接触させることにより、酸化雰囲気下で行うことができる。吹き込む場合は、0.1〜10リットル/分程度とすることが好ましい。原料有機物質として、溶融ポリマー(熱可塑性ポリマー等)を使用する場合には、溶融ポリマーに酸化剤を添加し、150〜300℃程度(特に200〜300℃)の温度において上記と同様に、酸素、オゾン等の活性ガスを吹き込むか又は混合物に活性ガスを接触させることにより、酸化雰囲気中で不融化を行うことが好ましい。
工程(II)又は(II’)では、上記不融化を終えた炭素前駆体又は溶融ポリマーと酸化剤との混合物は、次いで、常法に従って、不活性雰囲気中で加熱下に炭化処理される。
不活性雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気、真空等が例示される。
加熱温度は、通常900〜2000℃程度(特に1000〜1800℃程度)が好ましい。
このように、所望のナトリウム二次電池用炭素質負極材が得られる。
本発明のナトリウム二次電池用炭素質負極材を、常法に従って、公知の正極材料、電解液、多孔質セパレーター、集電体、ガスケット、封口板、ケース等と組み合わせることにより、ナトリウム二次電池を作製することができる。
正極活物質としては、NaCrO2、NaNiO2、NaCoO2、NaMn2O4等を単独であるいは混合して用いることができる。
電解液としては、凝固点、沸点、分解温度、粘度など総合的な観点からプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等が好ましいが、ほかにもγ-ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル等の非プロトン性溶媒等にアニオン生成塩を溶解したものが例示される。
非プロトン性溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等の強い還元雰囲気でも安定なエーテル系溶媒又は前記溶媒の2種類以上の混合溶媒が好ましい。
また、アニオン生成塩としては、特に制限されないが、NaPF6、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、NaSbF6、NaAlO4、NaAlCl4、NaCl、NaI等の溶媒和しにくいアニオンを生成する塩が好ましい。
ナトリウム二次電池を製造する場合には、上記の負極材料、正極材料及び電解液とともに、常用の多孔質ポリプロピレン製不織布をはじめとするポリオレフィン系の多孔質膜のセパレーター、集電体、ガスケット、封口板、ケース等の電池構成要素を使用して、常法に従って、円筒型、角型又はボタン型等の任意形態のナトリウム二次電池を組み立てることができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
[実施例1]
キノリン不溶分を含まない軟化点68.2℃のピッチ(大阪ガスケミカル製)500g、ジメチルパラキシレングリコール30g及び酸触媒としてのパラトルエンスルホン酸(ジメチルパラキシレングリコール1モルに対して0.1モル)を容量1リットルの反応器に仕込み、330℃まで昇温させた後、常圧攪拌下で5リットル/分の割合で空気を吹き込みつつ、240分間ピッチを重縮合させて、炭素前駆体を調製した。
キノリン不溶分を含まない軟化点68.2℃のピッチ(大阪ガスケミカル製)500g、ジメチルパラキシレングリコール30g及び酸触媒としてのパラトルエンスルホン酸(ジメチルパラキシレングリコール1モルに対して0.1モル)を容量1リットルの反応器に仕込み、330℃まで昇温させた後、常圧攪拌下で5リットル/分の割合で空気を吹き込みつつ、240分間ピッチを重縮合させて、炭素前駆体を調製した。
得られた炭素前駆体を室温まで冷却し、得られた固形物をボールミルにより粉砕し、粉砕物100重量部に対し固形ヨウ素10重量部を均一に混合した後、5リットル/分の割合で空気を供給しつつ、混合物を昇温速度2℃/分で250℃まで昇温することにより、不融化処理を行った。
次いで、得られた不融化物を加熱炉内において窒素気流中1300℃まで昇温し、同温度で2時間保持することにより、平均粒径4μmの炭素質材料粒子(本発明の負極材)を得た。
得られた炭素材料にポリフッ化ビニリデンを加え、N,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として混合することにより、均一なスラリーを得た後、銅箔ロール上にスラリーを厚さ100〜140μmで塗布し、200℃で6時間真空乾燥することにより、負極体を作製した。
次いで、上記で得られた負極体とともに、正極体としてNaCrO2を用い、電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの1:1混合溶媒に過塩素酸ナトリウムを1mol/Lの割合で溶解した溶液を用い、セパレーターとしてポリプロピレン不織布を用いて、ナトリウム二次電池を作製した。
得られた炭素質材料粒子のナトリウム二次電池用負極材としての特性を測定した。測定は、1mA/cm2の定電流充放電下で行い、放電容量は、電圧が2.0Vに低下するまでの容量とした。得られた炭素質材料の性状および負極材としての特性を表1に示す。なお、表1には、下記実施例2〜6及び比較例1〜4で得られた炭素質材料の性状及び負極材としての特性を併せて示す。
[実施例2]
実施例1と同様にして得られた炭素前駆体を室温まで冷却し、得られた固形物をボールミルにより粉砕し、粉砕物100重量部に対しペルオキソ2硫酸アンモニウム15重量部を均一に混合した後、5リットル/分の割合で空気を供給しつつ、混合物を昇温速度2℃/分で300℃まで昇温することにより、不融化処理を行った。
実施例1と同様にして得られた炭素前駆体を室温まで冷却し、得られた固形物をボールミルにより粉砕し、粉砕物100重量部に対しペルオキソ2硫酸アンモニウム15重量部を均一に混合した後、5リットル/分の割合で空気を供給しつつ、混合物を昇温速度2℃/分で300℃まで昇温することにより、不融化処理を行った。
次いで、得られた不融化物を加熱炉内において窒素気流中1300℃まで昇温し、同温度で2時間保持することにより、平均粒径4.7μmの炭素質材料粒子を得た。
また、実施例1と同様に、ナトリウム二次電池を作製した。
[実施例3]
ペルオキソ2硫酸アンモニウムに代えて重クロム酸カリウムを用いる以外は、実施例2と同様にして平均粒径4.7μmの炭素質材料粒子を得た。
ペルオキソ2硫酸アンモニウムに代えて重クロム酸カリウムを用いる以外は、実施例2と同様にして平均粒径4.7μmの炭素質材料粒子を得た。
また、実施例1と同様に、ナトリウム二次電池を作製した。
[比較例1]
炭素前駆体粉砕物にヨウ素を混合しない以外は実施例1と同様にして炭素質材料を得た。
炭素前駆体粉砕物にヨウ素を混合しない以外は実施例1と同様にして炭素質材料を得た。
また、実施例1と同様に、ナトリウム二次電池を作製した。
[比較例2]
炭素前駆体粉砕物にペルオキソ2硫酸アンモニウムを混合しない以外は実施例2と同様にして炭素質材料を得た。
炭素前駆体粉砕物にペルオキソ2硫酸アンモニウムを混合しない以外は実施例2と同様にして炭素質材料を得た。
また、実施例1と同様に、ナトリウム二次電池を作製した。
[実施例4]
熱可塑性樹脂としてフェノール樹脂(「ユニベックスC−10」、ユニチカ(株)製)100重量部に対し固形ヨウ素10重量部を均一に混合した後、2リットル/分の割合で空気を供給しつつ、混合物を昇温速度2℃/分で200℃まで昇温することにより、不融化処理を行った。
熱可塑性樹脂としてフェノール樹脂(「ユニベックスC−10」、ユニチカ(株)製)100重量部に対し固形ヨウ素10重量部を均一に混合した後、2リットル/分の割合で空気を供給しつつ、混合物を昇温速度2℃/分で200℃まで昇温することにより、不融化処理を行った。
次いで、得られた不融化物を加熱炉内において窒素気流中1300℃まで昇温し、同温度で2時間保持することにより、平均粒径4μmの炭素質材料粒子を得た。
また、実施例1と同様に、ナトリウム二次電池を作製した。
[実施例5]
固形ヨウ素に代えてペルオキソ2硫酸アンモニウムを用いる以外は、実施例4と同様にして平均粒径4.8μmの炭素質材料粒子を得た。
固形ヨウ素に代えてペルオキソ2硫酸アンモニウムを用いる以外は、実施例4と同様にして平均粒径4.8μmの炭素質材料粒子を得た。
また、実施例1と同様に、ナトリウム二次電池を作製した。
[実施例6]
ペルオキソ2硫酸アンモニウムに代えて重クロム酸カリウムを用いる以外は実施例5と同様にして平均粒径4.8μmの炭素質材料粒子を得た。
ペルオキソ2硫酸アンモニウムに代えて重クロム酸カリウムを用いる以外は実施例5と同様にして平均粒径4.8μmの炭素質材料粒子を得た。
また、実施例1と同様に、ナトリウム二次電池を作製した。
[比較例3]
熱可塑性樹脂にヨウ素を混合しない以外は実施例4と同様にして炭素質材料を得た。
熱可塑性樹脂にヨウ素を混合しない以外は実施例4と同様にして炭素質材料を得た。
また、実施例1と同様に、ナトリウム二次電池を作製した。
[比較例4]
熱可塑性樹脂にペルオキソ2硫酸アンモニウムを混合しない以外は実施例5と同様にして炭素質材料を得た。
熱可塑性樹脂にペルオキソ2硫酸アンモニウムを混合しない以外は実施例5と同様にして炭素質材料を得た。
また、実施例1と同様に、ナトリウム二次電池を作製した。
表1に示す結果から、本発明の負極材は、ナトリウム二次電池の放電容量を改善できることが明らかである。
Claims (5)
- 炭素網面の積層重量割合分布において、3層以下からなる積層重量割合が70%以上であり、且つ
炭素網面サイズ重量分布において、網面サイズ(La)が3.8nm未満である重量割合が72%以上である、
ナトリウム二次電池用炭素質負極材。 - (Ia)ピッチ及び/又はタールを用いて炭素前駆体を得る工程、
(Ib)酸化剤と、上記工程(Ia)で得られた炭素前駆体とを混合し、酸化雰囲気中で不融化処理する工程、及び
(II)前記工程(Ib)において不融化処理した混合物を非酸化雰囲気中で加熱下に炭化処理する工程
を備える、ナトリウム二次電池用炭素質負極材の製造方法。 - 前記工程(Ia)が、ピッチ及び/又はタールと、2官能性架橋剤とを、酸触媒の存在下に反応させて炭素前駆体を得る工程、又はピッチ及び/又はタールに蒸留操作を施して炭素前駆体を得る工程である、請求項2に記載の製造方法。
- (I’)酸化剤と溶融ポリマーとを混合し、酸化雰囲気中で不融化処理する工程、及び
(II’)前記工程(I’)において不融化処理した混合物を非酸化雰囲気中で加熱下に炭化処理する工程
を備える、ナトリウム二次電池用炭素質負極材の製造方法。 - 前記酸化剤が、ヨウ素、ペルオキソ2硫酸アンモニウム及び重クロム酸カリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
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