JP2019036505A - リチウム硫黄電池用負極およびリチウム硫黄電池 - Google Patents

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壮敏 奥野
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隆文 伊澤
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Abstract

【課題】高い出力特性および高い耐久性を有するリチウム硫黄電池用の負極、及びリチウム硫黄電池を提供すること。【解決手段】満充電状態となるまでリチウムをドープした場合、7Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きい、難黒鉛化炭素質材料を含んでなるリチウム硫黄電池負極、及び該負極を含んでなるリチウム硫黄電池。【選択図】図1

Description

本発明は、高い出力特性および高い耐久性を有するリチウム硫黄電池用の負極、及びリチウム硫黄電池に関する。
リチウム硫黄電池は高エネルギー密度を有することから、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の携帯機器だけでなく、ハイブリッド自動車、電気自動車、電力貯蔵蓄電システム等への適用が図られている。リチウム硫黄二次電池は、硫黄を含む正極活物質を有する正極とリチウムを含む負極活物質を有する負極からなる。リチウムを含む負極活物質としてリチウム箔やリチウム金属板を用いたリチウム硫黄電池が例えば特許文献1および特許文献2に知られている。
金属リチウム箔を負極活物質として用いた場合、非常に高い電池容量が得られる反面、金属リチウム上で生じる不均一な充放電によって、長期の充放電時にデンドライト状のリチウム金属の形成、微小短絡が生じて電池容量が低下する恐れがある。また金属リチウムと電解液との副反応で生じた反応ガスなどにより電池が破裂した場合、空気中の水分と金属リチウムが反応して水素が発生するなど安全面の懸念がある。特許文献2では、負極活物質としてリチウムを吸蔵放出する炭素質物質が例示されており、例えば黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素が挙げられている。この中で黒鉛は、リチウムイオン二次電池用の負極活物質として広く用いられている材料である。
特開2013−114920号公報 特許第5640324号
近年、環境問題や、より高性能な非水電解質系二次電池への関心の高まりから、リチウム硫黄電池の車載用途での開発が進められている。そのなかで、高い出力特性に加えてより高い耐久性を有するリチウム硫黄電池が求められている。
本発明の課題は、金属リチウムを負極活物質に用いた場合に懸念される安全面の問題が改善され、しかも高い出力特性、及び耐久性を有するリチウム硫黄電池用の負極およびリチウム硫黄電池を提供することである。
本発明者は鋭意検討した結果、リチウム硫黄電池用の負極に、特定の難黒鉛化炭素質材料を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕難黒鉛化炭素質材料を含む負極であって、満充電状態としたときに前記難黒鉛化炭素質材料のLi核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きい、リチウム硫黄電池用負極。
〔2〕前記難黒鉛化炭素質材料の広角X線回折法によるBragg式を用いて算出される(002)面の平均面間隔d002は0.36〜0.42nmの範囲にある、〔1〕に記載のリチウム硫黄電池用負極。
〔3〕前記難黒鉛化炭素質材料は植物起源の炭素前駆体に由来する、〔1〕または〔2〕に記載のリチウム硫黄電池用負極。
〔4〕カリウム元素含量が0.1質量%以下であり、鉄元素含量が0.02質量%以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のリチウム硫黄電池用負極。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の負極を含んでなるリチウム硫黄電池。
本発明のリチウム硫黄電池用負極を負極に使用すると、リチウム硫黄電池は、非常に高い出力特性、及び耐久性を有するリチウム硫黄電池とすることができる。
実施例4に従って調製した難黒鉛化炭素質材料のLi核−固体NMR図を示す。 比較例1に従って調製した炭素質材料のLi核−固体NMR図を示す。
<リチウム硫黄電池用負極>
本発明のリチウム硫黄電池用の負極およびリチウム硫黄電池は、難黒鉛化炭素質材料を含んでなり、該難黒鉛化炭素質材料を含む負極は満充電された際、Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きい。すなわち、本発明の難黒鉛化炭素質材料を含む負極は、満充電状態となるまでリチウムをドープした場合、Li核−固体NMR分析により観測されるスペクトルにおいて、基準物質である塩化リチウムの共鳴ピークに対して低磁場側に115ppmより大きくシフトした位置に主共鳴ピークを有する。
本明細書において「満充電」または「満充電状態」とは、難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極とリチウムを含んでなる対極とを用いて非水電解質二次電池を組み立て、金属リチウムの析出がLi核−固体NMR分析で確認される直前までリチウムを負極に充電(ドープ)すること、または、そのように充電された状態を意味する。リチウムイオンは、負極を構成する成分のなかで難黒鉛化炭素質材料の部分にドープされると考えられる。通常、一定の電流値で負極活物質の単位質量当たり580〜700mAh/g、好ましくは580〜680mAh/g、さらに好ましくは580〜660mAh/gの範囲まで充電することにより満充電の状態となる。
本発明における負極はリチウム硫黄電池に用いるものである。本発明の負極とリチウムを含んでなる正極とを用いて組み立てた非水電解質二次電池は、非常に高い出力特性、及び耐久性を有するため、本発明の負極はリチウム硫黄電池用の負極として特に適している。
<化学シフト値の主共鳴ピーク位置(難黒鉛化炭素質材料)>
本発明の負極に含まれる難黒鉛化炭素質材料について、満充電状態となるまでリチウムを充電(ドープ)し、Li核−固体NMR分析を行ったときに観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置は、115ppmより大きく、好ましくは118ppmより大きく、より好ましくは120ppmより大きい。また、化学シフト値の主共鳴ピーク位置は、通常、148ppm以下であり、好ましくは146ppm以下、より好ましくは144ppm以下、さらに好ましくは142ppm以下である。
塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きい、即ち、115ppmから低磁場側に上記の主共鳴ピーク位置が観察されるということは、負極に含まれる難黒鉛化炭素質材料においてクラスター化リチウムの吸蔵量が多いこと、即ち、可逆的に充放電に寄与するクラスター化リチウムの存在量が多く、充放電中の不可逆な副反応によって失われるリチウムイオンの量が少ないことを意味する。副反応が生じ難く失われるリチウムイオンの量が少ないということは、副反応生成物による電池の内部抵抗上昇が抑えられることを意味し、電池の内部抵抗が低度に維持される結果、リチウム硫黄電池において高い出力特性が得られる。また、副反応が抑制されることで負極上での局所的な充放電や、デンドライト状のリチウム析出が抑制され、電池の耐久性の改善にも寄与する。
クラスター化リチウムの存在量が多い、つまり充放電中の副反応などによる負極におけるリチウムのロスが少ないと、プレドープ時の金属リチウムやリチウムイオンを含む正極を過剰に用いてリチウムを負極に補完する必要性がなくなるため、コスト面で有利となる。
塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppm以下である炭素質材料を用いた場合には、クラスター化リチウムの存在量が少ないため、充放電中の副反応が多く生じるため、本発明のような高い出力特性と高い耐久性を兼ね備えたリチウム硫黄電池を得ることは極めて困難である。
前記主共鳴ピーク位置を上記範囲の値に調整するためには、例えば、気相脱灰や液相脱灰によって不純物が除去された炭素前駆体を含む材料を1050〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成することにより製造された難黒鉛化炭素質材料を負極に使用することが挙げられる。Li核−固体NMR分析の詳細は、実施例に記載する通りである。
<電極の膨張率>
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含む負極の満充電状態における膨張率は、充電前の負極の厚みに基づいて107%以下であることが好ましい。膨張率が107%を超える場合、電極内で活物質同士の接触不良が生じ、電極抵抗が高くなるため、良好な出力特性(高い放電容量維持率)を有する非水電解質二次電池は得られないことがある。
膨張率は、より好ましくは106%以下、特に好ましくは105%以下である。膨張率が上記上限値以下であると、電極内における活物質(難黒鉛化炭素質材料)同士の導電パスおよびリチウムイオンの拡散が良好に確保されやすいため、低い電極抵抗が得られやすく、良好な出力特性が得られやすい。
電極膨張率を上記の値以下に調整するためには、例えば、炭素を含む材料を一酸化炭素や水素などの熱分解ガスを積極的に除去しながら1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成することにより製造された難黒鉛化炭素質材料を負極に使用することが挙げられる。前記方法で製造された難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極では、炭素結晶層間だけでなく炭素結晶間の空隙に多くのリチウムイオンが充電されるため、炭素結晶層間のみにリチウムイオンが充電される従来の負極より、有意に小さい電極膨張率がもたらされると考えられる。
<平均面間隔d002
本発明のリチウム硫黄電池用負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料は、広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された(002)面の平均面間隔d002が、0.36nm〜0.42nmであることが好ましく、0.37nm〜0.40nmであることがより好ましく、0.38nm〜0.39nmであることが特に好ましい。(002)面の平均面間隔d002が上記範囲内であると、リチウムイオンが炭素質材料に挿入される際の抵抗が大きくなったり出力時の抵抗が大きくなったりすることによるリチウム硫黄電池としての出力特性の低下が抑制されやすい。また、難黒鉛化炭素質材料が膨張収縮を繰り返すことに起因する電池耐久性の低下が抑制されやすい。平均面間隔を上記範囲に調整するためには、例えば、難黒鉛化炭素質材料を与える炭素前駆体の焼成温度を1050〜1400℃の範囲で行えばよい。また、ポリスチレンなどの熱分解性樹脂と混合して焼成する方法、1050〜1400℃で焼成された難黒鉛化炭素質材料に炭化水素系ガスなどのCVD処理を施す方法を用いることもできる。ここで、平均面間隔d002の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<植物起源の炭素前駆体>
本発明のリチウム硫黄電池用負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料は、好ましくは植物起源の炭素前駆体に由来する。本発明では、「植物起源の炭素前駆体」とは、炭化前の植物起源物質、または炭化後の植物起源物質(植物由来のチャー)を意味する。原料となる植物(以下、「植物原料」と称することがある)は、特に限定されるものではない。例えば、椰子殻、珈琲豆、茶葉、サトウキビ、果実(例えば、みかん、バナナ)、藁、籾殻、広葉樹、針葉樹および竹が例示される。この例示は、本来の用途に供した後の廃棄物(例えば、使用済みの茶葉)、或いは植物原料の一部(例えば、バナナまたはみかんの皮)を包含する。これらの植物は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの植物の中でも、大量入手が容易な椰子殻が好ましい。
椰子殻は、特に限定されるものではない。例えば、パームヤシ(アブラヤシ)、ココヤシ、サラクまたはオオミヤシの椰子殻が挙げられる。これらの椰子殻は、単独または組み合わせて使用することができる。食品、洗剤原料、バイオディーゼル油原料などとして利用され、大量に発生するバイオマス廃棄物である、ココヤシおよびパームヤシの椰子殻が特に好ましい。
植物原料を炭化する方法、即ち、植物由来のチャーを製造する方法は、特に限定されるものではない。例えば、植物原料を300℃以上の不活性ガス雰囲気下で熱処理(以下、「仮焼成」と称することがある)することによって行われる。
また、チャー(例えば、椰子殻チャー)の形態で入手することも可能である。
本発明のリチウム硫黄電池用負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料の原料として、植物起源の適度な微小空隙を有する炭素前駆体を用いることにより、難黒鉛化炭素質材料の内部にクラスター化リチウムを多く吸蔵できる微小細孔が形成される。本発明の難黒鉛化炭素質材料を含む電極は、該難黒鉛化炭素質材料が有する多くの微小細孔が充放電に伴う電極活物質の体積変化を一部吸収することにより、その膨張率を低くすることに寄与できるものと考えられる。
<酸素元素含量>
本発明のリチウム硫黄電池用負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料の酸素元素含量は少ないほどよい。元素分析によって得られた分析値は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0.3質量%以下である。酸素元素含量が上記の値以下であると、リチウムイオンと酸素との副反応によりリチウムイオンが消費されることによるリチウムイオンの利用効率の低下、リチウムイオンと酸素との副反応により生じた反応生成物による電池内部抵抗の上昇、酸素が空気中水分を誘引して水が吸着され容易に脱離しないことによるリチウムイオンの利用効率の低下、および水分由来の副反応に起因する電極内のガス発生、が抑制されやすい。
酸素元素含量を上記の値以下に調整する方法は何ら限定されない。例えば、植物起源の炭素前駆体を所定の温度で酸処理した後に1050℃〜1400℃の温度で不活性ガス雰囲気下に焼成することにより、酸素元素含量を上記の値以下に調整することができる。
<真密度ρBt
本発明のリチウム硫黄電池用負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料は、電池における質量あたりの容量を高くする観点から、ブタノール法による真密度ρBtが、1.40〜1.70g/cmであることが好ましく、1.42〜1.65g/cmであることがより好ましく、1.44〜1.60g/cmであることが特に好ましい。上記範囲の真密度は、例えば植物原料から難黒鉛化炭素質材料を製造する際の焼成工程温度を1050〜1400℃とすることにより得ることができる。
<カリウム元素含量および鉄元素含量>
本発明のリチウム硫黄電池用負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料のカリウム元素含量は、カリウムを含む不純物と電解液との副反応を抑制する観点から、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以下であることが更に好ましい。難黒鉛化炭素質材料がカリウム元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。また、本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料の鉄元素含量は、鉄を含む不純物と電解液との副反応を抑制する観点から、0.02質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましい。難黒鉛化炭素質材料が鉄元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。ここで、カリウム元素または鉄元素を実質的に含有しないとは、カリウム元素含量または鉄元素含量が、後述の蛍光X線分析(例えば島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いた分析)の検出限界値以下であることを意味する。カリウム元素含量および鉄元素含量が上記の値以下であると、難黒鉛化炭素質材料を用いたリチウム硫黄電池において、十分に高い出力特性が得られやすい。更に、これらの金属元素が電解液中に溶出して再析出した際に短絡することに起因するリチウム硫黄電池の耐久性、安全性の問題が回避されやすい。カリウム元素含量および鉄元素含量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<吸湿量>
本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、好ましくは50000ppm以下、より好ましくは30000ppm以下、特に好ましくは10000ppm以下である。吸湿量が少ないほど、難黒鉛化炭素質材料に吸着する水分が減り、水分由来の副反応に起因する電極内のガス発生が抑制されやすいので好ましい。難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、例えば、難黒鉛化炭素質材料に含まれる酸素原子の量を減らすことにより減らすことができる。難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、例えば、カールフィッシャーなどを用いて測定される。
<比表面積>
本発明のリチウム硫黄電池用負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料は、窒素吸着BET3点法により求めた比表面積が、1〜100m/gであることが好ましく、2〜80m/gであることがより好ましく、3〜60m/gであることが特に好ましい。比表面積が上記範囲内であると、難黒鉛化炭素質材料を用いて製造したリチウム硫黄電池において、電解液と難黒鉛化炭素質材料との過剰な副反応が抑制されつつリチウムイオンが難黒鉛化炭素質材料にドープされやすく、更にリチウムイオンを難黒鉛化炭素質材料から脱ドープするための接触面積が高く保持されやすいため高い出力特性を得ることができる。比表面積は、例えば、脱灰工程の温度を制御することによって調整することができる。
<難黒鉛化炭素質材料の製造方法>
本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料の製造方法は、植物起源の炭素前駆体を酸処理する工程、および酸処理した炭素前駆体を1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を含む。
<植物起源の炭素前駆体>
「植物起源の炭素前駆体」とは、先に記載したように、炭化前の植物起源物質または炭化後の植物起源物質(植物由来のチャー)を意味する。原料となる植物(植物原料)は、特に限定されるものではない。先に例示したような植物を、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、大量入手が容易な椰子殻が好ましい。
椰子殻は、特に限定されるものではない。先に例示したような椰子殻を、単独または組み合わせて使用することができる。食品、洗剤原料またはバイオディーゼル油原料などとして利用され、大量に発生するバイオマス廃棄物である、ココヤシおよびパームヤシの椰子殻が特に好ましい。
植物原料を炭化する方法、即ち、植物由来のチャーを製造する方法は、特に限定されるものではない。例えば、植物原料を300℃以上の不活性ガス雰囲気下で仮焼成することによって行われる。
また、チャー(例えば、椰子殻チャー)の形態で入手することも可能である。
一般に、植物原料は、アルカリ金属元素(例えば、カリウムおよびナトリウム)、アルカリ土類金属元素(例えば、マグネシウムおよびカルシウム)、遷移金属元素(例えば、鉄および銅)並びに非金属元素(例えば、リン)などを多く含んでいる。このような金属元素および非金属元素を多く含んだ難黒鉛化炭素質材料を負極として用いると、リチウム硫黄電池の電気化学的な特性や耐久性、安全性に好ましくない影響を与えることがある。
<酸処理>
従って、本発明のリチウム硫黄電池用負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料の製造方法は、植物起源の炭素前駆体を酸処理する工程を含む。ここで、植物起源の炭素前駆体を酸処理することにより、前記炭素前駆体中の金属元素および/または非金属元素の含量を低下させることを、以下、脱灰とも称する。
酸処理の方法、即ち、脱灰の方法は、特に限定されない。例えば、塩酸または硫酸などの鉱酸、酢酸またはギ酸などの有機酸などを含む酸性水を用いて金属分を抽出脱灰する方法(液相脱灰)、塩化水素などのハロゲン化合物を含有した高温の気相に暴露させて脱灰する方法(気相脱灰)を用いることができる。
<液相脱灰>
液相脱灰としては、植物起源の炭素前駆体を有機酸水溶液中に浸漬し、植物起源の炭素前駆体から、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素および/または非金属元素を溶出させて除去することが好ましい。
これらの金属元素を含んだ植物起源の炭素前駆体を炭化すると、炭化時に必要な炭素質が分解される場合がある。また、リンなどの非金属元素は酸化し易いので、炭化物の表面の酸化度が変化し、炭化物の性状が大きく変化するため、好ましくない。更に、炭素前駆体を炭化した後に液相脱灰を行うと、リン、カルシウムおよびマグネシウムについては十分に除去することができない場合がある。また、炭化物中の金属元素および/または非金属元素の含量によって、液相脱灰実施時間や液相脱灰後の炭化物中の金属元素および/または非金属元素の残存量が大きく異なる。従って、炭素前駆体中の金属元素および/または非金属元素の含量を、炭化前に十分に除去しておくことが好ましい。即ち、液相脱灰では、「植物起源の炭素前駆体」として、炭化前の植物起源物質を使用することが好ましい。
液相脱灰において使用される有機酸は、リン、硫黄およびハロゲンなどの不純物源となる元素を含まないことが好ましい。有機酸がリン、硫黄およびハロゲンなどの元素を含まない場合には、液相脱灰後の水洗を省略し、有機酸が残存する炭素前駆体を炭化した場合であっても、炭素材として好適に用いることできる炭化物が得られるため有利である。また、使用後の有機酸の廃液処理を特別な装置を用いることなく比較的容易に行うことができるため有利である。
有機酸の例としては、飽和カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、酒石酸およびクエン酸など、不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸およびフマル酸など、芳香族カルボン酸、例えば安息香酸、フタル酸およびナフトエン酸などが挙げられる。入手可能性、酸性度による腐食および人体への影響の観点から、酢酸、シュウ酸およびクエン酸が好ましい。
本発明では、有機酸は、溶出する金属化合物の溶解度、廃棄物の処理、および環境適合性などの観点から、水性溶液と混合して有機酸水溶液として用いる。水性溶液としては、水、および水と水溶性有機溶媒との混合物などが挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロピレングリコールまたはエチレングリコールなどのアルコールが挙げられる。
有機酸水溶液中の酸の濃度としては、特に限定されるものではない。用いる酸の種類に応じて濃度を調節して用いることができる。本発明では、通常、有機酸水溶液の総量に基づいて0.001質量%〜20質量%、より好ましくは0.01質量%〜18質量%、特に好ましくは0.02質量%〜15質量%の範囲の酸濃度の有機酸水溶液を用いる。酸濃度が上記範囲内であれば、適切な金属元素および/または非金属元素の溶出速度が得られるため実用的な時間で液相脱灰を行うことが可能となる。また、炭素前駆体における酸の残留量が少なくなるので、その後の製品への影響も少なくなる。
有機酸水溶液のpHは、好ましくは3.5以下、より好ましくは3以下である。有機酸水溶液のpHが上記の値以下であると、金属元素および/または非金属元素の有機酸水溶液への溶解速度が低下することなく、金属元素および/または非金属元素の除去が効率的に行われやすい。
炭素前駆体を浸漬する際の有機酸水溶液の温度は、特に限定されない。好ましくは45℃〜120℃、より好ましくは50℃〜110℃、特に好ましくは60℃〜100℃の範囲である。炭素前駆体を浸漬する際の有機酸水溶液の温度が、上記範囲内であれば、使用する酸の分解が抑制され、実用的な時間での液相脱灰の実施が可能となる金属元素の溶出速度が得られやすいため好ましい。また、特殊な装置を用いずに液相脱灰を行いやすいため好ましい。
炭素前駆体を有機酸水溶液に浸漬する時間としては、用いる酸に応じて適宜調節することができる。本発明では、浸漬する時間は、経済性および脱灰効率の観点から、通常1〜100時間、好ましくは2〜80時間、より好ましくは2.5〜50時間の範囲である。
有機酸水溶液の質量に対する浸漬する炭素前駆体の質量の割合は、用いる有機酸水溶液の種類、濃度および温度などに応じて適宜調節することが可能であり、通常0.1質量%〜200質量%、好ましくは1質量%〜150質量%、より好ましくは1.5質量%〜120質量%の範囲である。上記範囲内であれば、有機酸水溶液に溶出した金属元素および/または非金属元素が有機酸水溶液から析出しにくく、炭素前駆体への再付着が抑制されやすいため好ましい。また、上記範囲内であれば、容積効率が適切となるため経済的観点から好ましい。
液相脱灰を行う雰囲気としては、特に限定されず、浸漬に使用する方法に応じて異なっていてよい。本発明では、液相脱灰は、通常、大気雰囲気中で実施する。
これらの操作は、好ましくは1回〜8回、より好ましくは2回〜5回繰り返して行ってよい。
本発明では、液相脱灰後、必要に応じて洗浄工程および/または乾燥工程を行ってよい。
<気相脱灰>
気相脱灰としては、植物起源の炭素前駆体を、ハロゲン化合物を含む気相中で熱処理することが好ましい。気相脱灰では、熱処理時に植物起源の炭素前駆体の急激な熱分解反応を伴うと、熱分解成分の発生により気相脱灰効率が低下するとともに、発生した熱分解成分により熱処理装置内が汚染され、安定運転に支障が生じることがある。これらの観点から、「植物起源の炭素前駆体」として、炭化後の植物起源物質を使用することが好ましい。
気相脱灰で使用されるハロゲン化合物は特に限定されない。例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、臭化ヨウ素、フッ化塩素(ClF)、塩化ヨウ素(ICl)、臭化ヨウ素(IBr)、塩化臭素(BrCl)およびそれらの混合物を使用することができる。熱分解によりこれらのハロゲン化合物を発生する化合物、またはそれらの混合物を用いることもできる。供給安定性および使用するハロゲン化合物の安定性の観点から、塩化水素を使用することが好ましい。
気相脱灰では、ハロゲン化合物と不活性ガスとを混合して使用してもよい。不活性ガスは、植物起源の炭素前駆体を構成する炭素成分と反応しないガスであれば特に限定されない。例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、またはそれらの混合ガスを使用することができる。供給安定性および経済性の観点から、窒素を使用することが好ましい。
気相脱灰において、ハロゲン化合物と不活性ガスとの混合比は、十分な脱灰が達成できる限り、限定されるものではない。例えば、安全性、経済性および炭素前駆体中への残留性の観点から、不活性ガスに対するハロゲン化合物の量は、好ましくは0.01〜10.0体積%であり、より好ましくは0.05〜8.0体積%であり、特に好ましくは0.1〜5.0体積%である。
気相脱灰の温度は、脱灰の対象である植物起源の炭素前駆体に応じて変えてよいが、所望の酸素元素含量および比表面積が得られやすい観点から、例えば500〜950℃、好ましくは600〜940℃、より好ましくは650〜940℃、特に好ましくは850〜930℃である。脱灰温度が上記範囲内であると、良好な脱灰効率が得られて十分に脱灰されやすく、ハロゲン化合物による賦活が回避されやすい。
気相脱灰の時間は、特に限定されるものではない。反応設備の経済効率、および炭素分の構造保持性の観点から、例えば5〜300分であり、好ましくは10〜200分であり、より好ましくは20〜150分である。
気相脱灰の対象となる植物起源の炭素前駆体の粒子径は、特に限定されるものではない。粒子径が小さすぎる場合、除去されたカリウムなどを含む気相と、植物起源の炭素前駆体とを分離することが困難になり得ることから、粒子径の平均値(平均粒子径)の下限は100μm以上が好ましく、300μm以上がより好ましく、500μm以上が特に好ましい。また、粒子径の平均値(平均粒子径)の上限は、混合ガス気流中での流動性の観点から、10000μm以下が好ましく、8000μm以下がより好ましく、5000μm以下が特に好ましい。ここで、平均粒子径の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
気相脱灰に用いる装置は、植物起源の炭素前駆体とハロゲン化合物を含む気相とを混合しながら加熱できる装置であれば、特に限定されない。例えば、流動炉を用い、流動床などによる連続式またはバッチ式の層内流通方式を用いることができる。気相の供給量(流動量)も特に限定されない。混合ガス気流中での流動性の観点から、例えば植物起源の炭素前駆体1g当たり好ましくは1mL/分以上、より好ましくは5mL/分以上、特に好ましくは10mL/分以上の気相を供給する。
気相脱灰においては、ハロゲン化合物を含む不活性ガス雰囲気中での熱処理(以下において「ハロゲン熱処理」と称することがある)の後に、更にハロゲン化合物非存在下での熱処理(以下において「気相脱酸処理」と称することがある)を行うことが好ましい。前記ハロゲン熱処理により、ハロゲンが植物起源の炭素前駆体に含まれるため、気相脱酸処理により植物起源の炭素前駆体に含まれているハロゲンを除去することが好ましい。具体的には、気相脱酸処理は、ハロゲン化合物を含まない不活性ガス雰囲気中で通常は500℃〜940℃、好ましくは600〜940℃、より好ましくは650〜940℃、特に好ましくは850〜930℃で熱処理することによって行う。この熱処理の温度は、先行のハロゲン熱処理の温度と同じか、またはそれよりも高い温度で行うことが好ましい。例えば、ハロゲン熱処理後に、ハロゲン化合物の供給を遮断して熱処理を行うことにより、気相脱酸処理を行うことができる。また、気相脱酸処理の時間も特に限定されるものではない。好ましくは5分〜300分であり、より好ましくは10分〜200分であり、特に好ましくは10分〜100分である。
本発明における酸処理は、植物起源の炭素前駆体に含まれているカリウムおよび/または鉄などを除去(脱灰)するものである。酸処理後に得られる植物起源の炭素前駆体に含まれるカリウム元素含量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、更に好ましくは0.03質量%以下に低減される。特に好ましくは、カリウム元素含量は、難黒鉛化炭素質材料が実質的に含有しない程度まで低減される。また、酸処理後に得られる炭素前駆体に含まれる鉄元素含量は、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.015質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下に低減される。特に好ましくは、鉄元素含量は、難黒鉛化炭素質材料が実質的に含有しない程度まで低減される。ここで、カリウム元素または鉄元素を実質的に含有しないとは、カリウム元素含量または鉄元素含量が、後述の蛍光X線分析(例えば島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いた分析)の検出限界値以下であることを意味する。カリウム元素含量および鉄元素含量が上記の値以下であると、先に記載した通り、十分な出力特性が得られやすく、リチウム硫黄電池の安全性の問題が回避されやすい。カリウム元素含量および鉄元素含量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
本発明における酸処理では、脱灰と同時に炭素成分の一部が除去される。具体的には、液相脱灰であれば炭素成分の一部が溶出により除去され、気相脱灰であれば炭素成分の一部が塩素賦活により除去される。この除去された部分が、後述の焼成工程後にクラスター化リチウムの吸蔵ポイントをもたらす。
本発明において酸処理は少なくとも1回行う。同じまたは異なる酸を用いて2回以上酸処理を行ってもよい。
酸処理の対象である植物起源の炭素前駆体は、炭化前の植物起源物質または炭化後の植物起源物質であるが、酸処理を液相脱灰によって行う場合は、炭素成分の溶出の増加、即ち、リチウム吸蔵ポイントの増加の観点から、液相脱灰を、炭化前の植物原料そのものに行うことが好ましい。
酸処理後の炭素前駆体がまだ炭化処理に付されていない炭素前駆体である場合、即ち、炭化前の植物原料を酸処理した後の炭素前駆体である場合は、次いで、炭化処理を施す。炭化方法は、先に記載したように、特に限定されるものではない。例えば、酸処理された炭化前の植物原料を、300℃以上の不活性ガス雰囲気下で仮焼成することによって行われる。
植物起源の炭素前駆体は、必要に応じて粉砕および分級され、その平均粒子径が調整される。粉砕工程および分級工程は、酸処理の後、実施することが好ましい。
<粉砕>
粉砕工程では、植物起源の炭素前駆体を、焼成工程後の平均粒子径が例えば1〜30μmの範囲になるように粉砕することが、電極作製時の塗工性の観点から好ましい。即ち、本発明の難黒鉛化炭素質材料の平均粒子径(Dv50)を、例えば1〜30μmの範囲になるように調整する。難黒鉛化炭素質材料の平均粒子径が1μm以上であると、微粉量が抑えられて電解液との副反応性が生じ難くなり、負極上への反応生成物の堆積による電池内部抵抗の上昇が抑制されやすい。また、得られた難黒鉛化炭素質材料を用いて負極を製造した際に、炭素質材料の間に形成される空隙が十分確保されやすく、電解液中のリチウムイオンの良好な移動が確保されやすい。本発明の炭素質材料の平均粒子径(Dv50)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上である。一方、平均粒子径が30μm以下であると、粒子内でのリチウムイオンの拡散自由行程が少なく、急速な充放電が可能となりやすいため好ましい。更に出力特性の向上には電極面積を大きくすることが有効であり、そのため電極調製時に集電板への活物質の塗工厚みを薄くすることが有効である。塗工厚みを薄くするには、活物質の粒子径が小さいことが好ましい。このような観点から、平均粒子径は30μm以下であることが好ましく、より好ましくは19μm以下であり、更に好ましくは17μm以下であり、更に好ましくは16μm以下であり、特に好ましくは15μm以下である。
なお、植物起源の炭素前駆体は、後述する本焼成の条件により、0〜20%程度収縮する。そのため、焼成後の平均粒子径が1〜30μmとなるようにするためには、植物起源の炭素前駆体の平均粒子径を、所望する焼成後の平均粒子径よりも0〜20%程度大きい粒子径となるように調整することが好ましい。従って、粉砕後の平均粒子径が、好ましくは1〜36μm、より好ましくは1〜22.8μm、更に好ましくは1〜20.4μm、更に好ましくは1〜19.2μm、特に好ましくは1〜18μmとなるように粉砕を行うことが好ましい。
炭素前駆体は、後述する焼成工程を実施しても溶解しないため、粉砕工程の順番は特に限定されない。酸処理における炭素前駆体の回収率(収率)を考慮すると、酸処理後に実施することが好ましく、炭素質材料の比表面積を十分に低減させる観点からは、焼成工程の前に実施することが好ましい。しかしながら、酸処理前または焼成工程後に粉砕工程を実施することも排除されない。
粉砕工程に用いる粉砕機は特に限定されるものではない。例えば、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミル、ビーズミルまたはロッドミルなどを使用することができる。微粉の発生が少ない観点からは、分級機能を備えたジェットミルが好ましい。ボールミル、ハンマーミル、ビーズミルまたはロッドミルなどを用いる場合は、粉砕工程後に分級を行うことで微粉を取り除くことができる。
<分級>
分級工程によって、炭素質材料の平均粒子径をより正確に調整することが可能となる。例えば、粒子径が1μm未満の粒子を除くことが可能となる。
分級によって粒子径1μm未満の粒子を除く場合、本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料において、粒子径1μm未満の粒子の含量が3体積%以下となるようにすることが好ましい。粒子径1μm未満の粒子の除去は、粉砕後に行うのであれば特に限定されないが、粉砕において分級と同時に行うことが好ましい。本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料において、粒子径1μm未満の粒子の含量は、電解液と難黒鉛化炭素質材料との副反応を抑制し、電池内部抵抗の上昇を抑制させる観点から、3体積%以下であることが好ましく、2.5体積%以下であることがより好ましく、2.0体積%以下であることが特に好ましい。
分級方法は、特に限定されない。例えば、篩を用いた分級、湿式分級または乾式分級が挙げられる。湿式分級機としては、例えば、重力分級、慣性分級、水力分級または遠心分級などの原理を利用した分級機が挙げられる。乾式分級機としては、沈降分級、機械的分級または遠心分級などの原理を利用した分級機が挙げられる。
粉砕工程と分級工程は、1つの装置を用いて実施することもできる。例えば、乾式の分級機能を備えたジェットミルを用いて、粉砕工程と分級工程を実施することができる。更に、粉砕機と分級機とが独立した装置を用いることもできる。この場合、粉砕と分級とを連続して行うこともできるが、粉砕と分級とを不連続に行うこともできる。
<焼成>
場合により粉砕および分級した後、酸処理および炭化処理を施した炭素前駆体を焼成することにより、本発明の難黒鉛化炭素質材料を製造することができる。焼成工程は、室温から所定の焼成温度まで昇温した後に、焼成温度で焼成を行う工程である。上記炭素前駆体を(a)1050〜1400℃で焼成してもよいし(本焼成)、または上記炭素前駆体を(b)350〜1050℃未満で焼成(予備焼成)した後、更に1050〜1400℃で焼成(本焼成)、または(c)1050〜1400℃で焼成(本焼成)した後、炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で500〜1000℃で熱処理(CVD処理)してもよい。以下に、予備焼成、本焼成、及びCVD処理の手順の一例を順に説明する。
<予備焼成>
本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料の製造方法における予備焼成工程は、例えば酸処理および炭化処理を施した炭素前駆体を350〜1050℃未満の温度で焼成することによって行うことができる。予備焼成により揮発分(例えば、CO、CO、CHおよびHなど)およびタール分を除去することによって、本焼成におけるそれらの発生を低減させ、焼成器の負担を軽減することができる。予備焼成温度は、通常は350〜1050℃未満、好ましくは400〜1050℃未満である。予備焼成は、通常の予備焼成の手順に従って行うことができる。具体的には、予備焼成は、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、不活性ガスとしては、窒素またはアルゴンなどを挙げることができる。また、予備焼成は、減圧下で行うこともでき、例えば10KPa以下で行うことができる。予備焼成の時間は特に限定されるものではなく、通常は0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
なお、本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料の製造方法において予備焼成を行う場合は、予備焼成工程で炭素前駆体へのタール成分および炭化水素系ガスの被覆が起こると考えられる。この炭素質被膜により、難黒鉛化炭素質材料の比表面積が好ましく減少すると考えられる。
<本焼成>
本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料の製造方法における本焼成工程は、通常の本焼成の手順に従って行うことができ、本焼成後に難黒鉛化炭素質材料が得られる。
本焼成温度は、通常は1050〜1400℃であり、好ましくは1100〜1380℃であり、より好ましくは1150〜1350℃である。本焼成は、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、不活性ガスとしては、窒素またはアルゴンなどを挙げることができる。また、ハロゲンガスを含有する不活性ガス中で本焼成を行うことも可能である。更に、本焼成は、減圧下で、例えば10KPa以下で行うことも可能である。
本焼成の時間は特に限定されるものではなく、例えば0.05〜10時間、好ましくは0.05〜8時間、より好ましくは0.05〜6時間である。
本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料では、炭素前駆体を焼成する際、揮発性有機物と混合して焼成することができる。揮発性有機物と混合して焼成することにより、炭素前駆体から得られる難黒鉛化炭素質材料の比表面積を、リチウム硫黄電池用の負極にとってより好適な比表面積とすることができる。
本焼成工程で炭素前駆体を熱処理する際、炭素前駆体自体から一酸化炭素および水素などのガスが生じる。これらのガスは高い反応性を有し、クラスター化リチウムを吸蔵できる炭素結晶間の空隙を破壊するために、熱処理中に生じるガスと炭素前駆体との反応を制御することが重要となる。例えば、WO2017/022486では、気相脱灰または液相脱灰を行った後に熱処理を行うことで充電時にクラスター化リチウムをより多く吸蔵できる難黒鉛化炭素質材料を得ている。WO2017/022486によって確かに高い充電容量および高い充放電効率を有する非水電解質二次電池用の炭素質材料を得ることはできるが、本発明では更に焼成時の熱分解ガスを積極的に除去することで、更に、高い出力特性を得ることができることを見出した。炭素前駆体から熱分解ガスを積極的に除去しながら焼成する手法は特に限定されないが、例えば本焼成中の不活性ガスの供給量を多くして熱処理を行う、または、本焼成時の試料の積層高さを低減することで試料内に滞留するガスを積極的に排除する方法が挙げられる。これらの方法により、炭素前駆体自体から生じる反応性のガスを、炭素前駆体と反応する前に除去することが可能となる。そのため、より制御された炭素構造を有する難黒鉛化炭素質材料を製造することができる。本焼成の時間は特に限定されるものではなく、例えば0.05〜10時間、好ましくは0.05〜8時間、より好ましくは0.05〜6時間である。
<揮発性有機物>
本発明では、炭素前駆体を焼成する際、揮発性有機物と混合して焼成することができる。揮発性有機物と混合して焼成することにより、炭素前駆体から得られる難黒鉛化炭素質材料の比表面積を、リチウム硫黄電池用負極にとってより好適な比表面積とすることができる。
本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料の製造方法において使用できる揮発性有機物は、800℃で灰化した場合に残炭率が灰化前の揮発性有機物の質量に基づいて5質量%未満である常温で固体の揮発性有機物であれば特に限定されないが、炭素前駆体から製造される難黒鉛化炭素質材料の比表面積を低減させることのできる揮発物質(例えば、炭化水素系ガスやタール成分)を発生させるものが好ましい。揮発性有機物における、比表面積を低減させることのできる揮発物質の含量は特に限定されるものではないが、揮発性有機物の質量に基づいて、通常は1〜20質量%、好ましくは3〜15質量%である。なお、本明細書において、常温とは25℃を指す。
揮発性有機物としては、熱可塑性樹脂や低分子有機化合物を挙げることができる。より具体的には、熱可塑性樹脂として、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリル酸またはポリ(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができ、低分子有機化合物として、トルエン、キシレン、メシチレン、スチレン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはピレンなどを挙げることができる。揮発し、焼成温度で熱分解した場合に炭素前駆体の表面を酸化賦活しない観点から、熱可塑性樹脂としてはポリスチレン、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましく、低分子有機化合物としてはナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはピレンが好ましい。常温下で揮発性が小さいために安全上好ましい観点から、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはピレンを使用することが更に好ましい。
残炭率は、試料を不活性ガス中で強熱した後の強熱残分の炭素量を定量することにより測定することができる。強熱とは、揮発性有機物およそ1g(この正確な質量をW(g)とする)を坩堝にいれ、1分間に20リットルの窒素を流しながら坩堝を電気炉にて10℃/分で800℃まで昇温し、その後800℃で1時間保持することを意味する。このときの残存物を強熱残分とし、その質量をW(g)とする。
次いで上記強熱残分について、JIS M8819に定められた方法に準拠して元素分析を行い、炭素の質量割合P(%)を測定する。残炭率P(%)は以下の式により算出する。
Figure 2019036505
炭素前駆体と揮発性有機物とを混合して焼成する場合、好ましくは、炭素前駆体と揮発性有機物とを97:3〜40:60の質量比で混合する。この混合比は、より好ましくは95:5〜60:40、特に好ましくは93:7〜80:20である。混合比を上記範囲内とすることによって、難黒鉛化炭素質材料の比表面積を十分に低減させやすい。一方で、比表面積の低減効果が飽和して揮発性有機物を無駄に消費することを回避しやすい。
炭素前駆体と揮発性有機物との混合は、炭素前駆体の粉砕前または粉砕後のいずれの段階で行ってもよい。炭素前駆体の粉砕前に混合する場合は、炭素前駆体と揮発性有機物を同時に粉砕装置に計量供給することにより、粉砕と混合を同時に行うことができる。炭素前駆体の粉砕後に揮発性有機物を混合することも好ましい。この場合の混合方法は、両者が均一に混合される手法であればどのような混合方法であってもよい。
揮発性有機物は粒子の形状で混合されることが好ましいが、粒子の形や粒子径は特に限定されない。粉砕された炭素前駆体に均一に分散させる観点からは、揮発性有機物の平均粒子径は、好ましくは0.1〜2000μm、より好ましくは1〜1000μm、特に好ましくは2〜600μmである。
炭素前駆体と揮発性有機物との混合物は、本発明における難黒鉛化炭素質材料についての効果が得られる限りにおいて、即ち、難黒鉛化炭素質材料の比表面積が低減する限りにおいて、炭素前駆体および揮発性有機物以外の他の成分を含んでもよい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、金属系材料、合金系材料または酸化物系材料を含んでよい。他の成分の含量は特に限定されるものではなく、炭素前駆体と揮発性有機物との混合物100質量部に対して、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下であり、更に好ましくは20質量部以下であり、特に好ましくは10質量部以下である。
<CVD処理>
本発明のリチウム硫黄電池用の負極に用いられる難黒鉛化炭素質材料では本焼成工程の後に、炭化水素化合物を用いるCVD処理を施してもよい。CVD処理とは、熱分解された炭化水素化合物で、本焼成工程で得られた難黒鉛化炭素質材料を被覆する化学的蒸着(CVD、Chemical Vapor Deposition)処理である。CVD処理の条件は、上記化学的蒸着が達成される限り特に限定されないが、例えば炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で500〜1000℃で熱処理する方法により行ってよい。CVD処理工程において、例えば500〜1000℃での熱処理によって炭化水素化合物が熱分解され、生じる熱分解物が難黒鉛化炭素質材料に添着し、難黒鉛化炭素質材料の表面を被覆する。これにより、以下のメカニズムに何ら限定されないが、難黒鉛化炭素質材料のクラスター化リチウムが吸蔵できる炭素結晶間の空隙を維持しつつ比表面積を低減させることができるため、電池内での副反応を抑制することができると考えられる。そのため、出力特性を高めることができると考えられる。またCVD処理により、リチウムイオンの吸蔵を阻害し得る−OH基や−COOH基など難黒鉛化炭素質材料表面の官能基が、熱分解された炭化水素化合物のラジカルと反応し、除去されると考えられる。そのため、炭素質材料における酸素元素含有量が低下し、充放電時の不可逆的な副反応が抑制されることにより、出力特性が向上すると考えられる。
CVD処理工程において使用する炭化水素化合物は、主に炭素原子と水素原子から構成される化合物である。炭化水素化合物としては、例えば低分子有機炭化水素化合物等が挙げられる。CVD処理工程において、1種類の炭化水素化合物を使用してもよいし、2種以上の炭化水素化合物を組み合わせて使用してもよい。炭化水素化合物が主に炭素原子と水素原子から構成されるとは、炭化水素化合物における炭素原子と水素原子の合計量が、炭化水素化合物の総質量に基づいて、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。
低分子有機炭化水素化合物としては、例えば炭素数が1〜20の炭化水素化合物が挙げられる。炭化水素化合物の炭素数は、好ましくは2〜18、より好ましくは3〜16である。炭化水素化合物は、飽和炭化水素化合物または不飽和炭化水素化合物でもよく、鎖状の炭化水素化合物でも、環式の炭化水素化合物でもよい。不飽和炭化水素化合物の場合、不飽和結合は二重結合でも三重結合でもよく、1分子に含まれる不飽和結合の数も特に限定されるものではない。例えば、鎖状の炭化水素化合物は、脂肪族炭化水素化合物であり、直鎖状または分枝状のアルカン、アルケン、またはアルキンを挙げることができる。環式の炭化水素化合物としては、脂環式炭化水素化合物(例えば、シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン)または芳香族炭化水素化合物を挙げることができる。具体的には、脂肪族炭化水素化合物としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンまたはアセチレン等を挙げることができる。脂環式炭化水素化合物としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロプロパン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、デカリン、ノルボルネン、メチルシクロヘキサン、またはノルボルナジエン等を挙げることができる。さらに、芳香族炭化水素化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、ブチルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等の単環芳香族化合物、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン等の3環〜6環の縮合多環芳香族化合物を挙げることができるが、好ましくは縮合多環芳香族化合物、より好ましくはナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはピレンである。ここで、前記炭化水素化合物は、任意の置換基を有していてよい。置換基は特に限定されるものではないが、例えば炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは炭素数1〜2のアルキル基)、炭素数2〜4のアルケニル基(好ましくは炭素数2のアルケニル基)、炭素数3〜8のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基)が挙げられる。
CVD処理工程において、炭化水素化合物を気体状態で連続的に供給することが、CVD処理を均一に行い、炭素質材料の所望の特性を得やすい観点から好ましい。CVD処理を行う温度で気体状態となる炭化水素化合物を用いるか、または、CVD処理の前工程において気体状態とした炭化水素化合物をCVD処理工程に供給して行ってもよい。例えば500〜1000℃の温度で気体状態となる炭化水素化合物を用い、該温度で熱処理してCVD処理を行うことが、生産性および炭化水素化合物と難黒鉛化炭素質材料との混合性の観点から好ましい。上記観点からは、炭化水素化合物の沸点は、CVD処理を行う温度以下であることが好ましい。
CVD処理工程は、好ましくは、炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で行ってよい。CVD処理工程において使用する不活性ガスとしては、窒素またはアルゴンなどを挙げることができる。本焼成工程とCVD処理工程で同じ不活性ガスを使用してもよいし、異なる不活性ガスを使用してもよい。製造工程を簡単にし、製造効率を高める観点からは、本焼成工程とCVD処理工程とで同じ不活性ガスを使用することが好ましい。
CVD処理工程を、炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で行う場合、炭化水素化合物と不活性ガスとの混合比は、特に限定されない。例えば、安全性、経済性および焼成炉内の汚染性の観点から、不活性ガスに対する炭化水素化合物の量は、好ましくは1〜60体積%であり、より好ましくは5〜50体積%であり、さらにより好ましくは10〜45体積%である。炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理を行う本実施態様の製造方法によれば、酸素を効率的に除去しやすい。
CVD処理工程における熱処理温度は、炭素質材料や使用する炭化水素化合物の種類等により変えてよいが、所望の炭素構造を得る観点から、好ましくは500〜1000℃、より好ましくは600〜900℃、さらに好ましくは700〜850℃である。熱処理温度が低すぎると、十分に比表面積を低減し、酸素を除去することができない。一方、熱処理温度が高くなりすぎると、電池容量に寄与しない炭化水素化合物由来の炭素構造が多く付着し、電池容量や出力特性を低下させる。
CVD処理工程を、炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で行う場合、炭化水素化合物を含む不活性ガス気流の供給量は、特に限定されないが、炭素質材料50gあたり好ましくは0.1L/分以上、より好ましくは0.3L/分以上、さらにより好ましくは0.5L/分以上である。上記の下限以上の供給量で熱処理を行うと、均一に炭素被覆ができるため好ましい。供給量の上限は、好ましくは10L/分以下であり、より好ましくは5L/分以下である。上記の上限以下の供給量で熱処理を行うと、供給した炭化水素化合物が効率よく作用するため好ましい。
<リチウム硫黄電池用負極>
本発明のリチウム硫黄電池用負極は、難黒鉛化炭素質材料を含んでなる。
<負極電極の製造>
本発明のリチウム硫黄電池用負極に用いられる負極電極材は、難黒鉛化炭素質材料に結合剤(バインダー)を添加し、適当な溶媒を適量添加し、混練して電極合剤とした後に、金属板などからなる集電板に電極合剤を塗布し、乾燥し、加圧成形することにより製造することができる。負極が高い導電性を有する場合、必ずしも導電助剤を添加する必要はないが、更に高い導電性を付与するために、必要に応じて、電極合剤の調製時に導電助剤を添加することもできる。
導電助剤としては、導電性のカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、ナノチューブなどを用いることができる。導電助剤の添加量は、使用する導電助剤の種類によっても異なるが、好ましくは0.5〜10質量%(ここで、活物質(難黒鉛化炭素質材料)量+結合剤量+導電助剤量=100質量%とする)であり、より好ましくは0.5〜7質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%である。導電助剤の添加量を上記範囲内とすることによって、電極合剤中での導電助剤の分散が悪化することなく、期待する導電性が得られやすい。
添加する結合剤としては、電解液と反応しないものであれば特に限定されることはない。例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、およびSBR(スチレン・ブタジエン・ラバー)とCMC(カルボキシメチルセルロース)との混合物などを挙げることができる。中でもPVDFは、活物質表面に付着したPVDFがリチウムイオン移動を阻害することが少なく、良好な入出力特性が得られるために好ましい。結合剤の添加量は、使用する結合剤の種類によっても異なるが、PVDF系の結合剤では、難黒鉛化炭素質材料、結合剤および導電助剤の総質量に基づいて、好ましくは3〜13質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。結合剤の添加量を上記範囲内とすることによって、得られる電極の抵抗が大きくなって電池の内部抵抗が大きくなり、電池特性が低下したり、負極粒子同士および負極粒子と集電板との結合が不十分になったりする問題を回避しやすい。
PVDFを溶解してスラリーを形成するためには、溶媒として、N−メチルピロリドン(NMP)などの極性溶媒が好ましく用いられる。また、SBRなどの水性エマルジョン、またはCMCなどの水溶液を形成するためには、溶媒として、水が好ましく使用される。溶媒として水を使用する結合剤では、SBRとCMCとの混合物など、複数の結合剤を混合して使用することが多い。溶媒の添加量は、使用する結合剤の総質量に基づいて、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜4質量%である。
電極活物質層は集電板の両面に形成するのが基本であるが、必要に応じて片面でもよい。活物質層(片面当たり)の厚みは、好ましくは10〜150μmであり、より好ましくは20〜140μm、特に好ましくは30〜120μmである。この厚みを上記範囲内とすることによって、集電板やセパレータなどが少なくて済むため高容量化が実現しやすい一方で、対極と対向する電極面積を広く確保できるため高い出力特性が得られやすい。
本発明のリチウム硫黄電池用負極は、リチウム硫黄電池の作製前に予めリチウムイオンをプレドープされたものでもよい。プレドープの方法は特に制限されないが、例えば負極近傍に金属リチウムを配した後に短絡させてプレドープを行う方法、負極近傍に金属リチウムを配した後に一定の電流値でプレドープを行う方法などが挙げられる。硫黄成分を含む正極に予めリチウムがドープされている場合は、負極へのリチウムイオンのプレドープを省略することができる。
<リチウム硫黄電池>
本発明のリチウム硫黄電池は、本発明のリチウム硫黄電池用負極を含んでなる。本発明のリチウム硫黄電池は、高い出力特性を示す。
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含むリチウム硫黄電池用負極を用いてリチウム硫黄電池を形成する場合、正極材として硫黄を含む材料を用いる。セパレータ、電解液など電池を構成する他の材料は特に限定されることはない。リチウム硫黄電池として従来使用され、或いは提案されている種々の材料を使用することが可能である。
例えば、正極材としては、元素状硫黄だけでなく、リチウムが予めドープされた元素状硫黄であるLiSn(1≦n≦16)、または硫黄化合物を用いることができる。硫黄化合物としては、例えば、ジスルフィド、ポリ(ジスルフィド)、ポリスルフィド、チオール及びこれらの変性物、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら硫黄を含む正極材は2種以上を混合して用いることもできる。これらの正極材を適当なバインダーと電極に導電性を付与するための炭素材料とともに成形することにより正極が形成される。
電解液は、特に制限はされないが、溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を用いることが好ましい。リチウム塩としては、LiPF、LiClO、LiBF、Li(CFSON、Li(CSON、LiNOなどの公知のものを用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
電解液の溶媒としては、非プロトン供与性で通常のリチウムイオン二次電池に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、ジメトキシエタン(DME)、トリグライム、テトラグライム、ジオキソラン(DOL)、テトラヒドロフラン、それらの混合物などを用いることができる。1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなどのイオン液体を用いることもできる。電解液は、高分子類などによってゲル化されていてもよい。
リチウム硫黄電池は、一般に上記のようにして形成した正極と負極とを必要に応じて不織布またはその他の多孔質材料などからなる透液性セパレータを介して対向させ電解液中に浸漬させることにより形成される。セパレータとしては、二次電池に通常用いられる不織布またはその他の多孔質材料からなる透過性セパレータを用いることができる。或いはセパレータの代わりに、もしくはセパレータと一緒に、電解液を含浸させたポリマーゲルからなる固体電解質を用いることもできる。
<化学シフト値の主共鳴ピーク位置(負極)>
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含むリチウム硫黄電池用負極について、満充電状態となるまでリチウムを充電(ドープ)し、Li核−固体NMR分析を行ったときに観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置は、115ppmより大きく、好ましくは118ppmより大きく、より好ましくは120ppmより大きい。Li核−固体NMR分析の詳細は、実施例に記載する通りである。また、化学シフト値の主共鳴ピーク位置は、通常、148ppm以下であり、好ましくは146ppm以下、より好ましくは144ppm以下、さらに好ましくは142ppm以下である。
先に記載した通り、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きい、即ち、115ppmから低磁場側に上記の主共鳴ピーク位置が観察されるということは、負極に含まれる難黒鉛化炭素質材料においてクラスター化リチウムの吸蔵量が多いこと、即ち、可逆的に充放電に寄与するクラスター化リチウムの存在量が多く、充放電中の不可逆な副反応によって失われるリチウムイオンの量が少ないことを意味する。副反応が生じ難く失われるリチウムイオンの量が少ないということは、副反応生成物による電池の内部抵抗上昇が抑えられることを意味し、電池の内部抵抗が低度に維持される結果、リチウム硫黄電池において高い出力特性が得られる。また、副反応が抑制されることで負極上での局所的な充放電や、デンドライト状のリチウム析出が抑制され、電池の耐久性の改善にも寄与する。
クラスター化リチウムの存在量が多い、つまり充放電中の副反応などによる負極におけるリチウムのロスが少ないと、プレドープ時の金属リチウムやリチウムイオンを含む正極を過剰に用いてリチウムを負極に補完する必要性がなくなるため、コスト面で有利となる。
塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppm以下である炭素質材料を用いた場合には、クラスター化リチウムの存在量が少ないため、充放電中の副反応が多く生じるため、本発明のような高い出力特性と高い耐久性を兼ね備えたリチウム硫黄電池を得ることは極めて困難である。
前記主共鳴ピーク位置を上記範囲の値に調整するためには、例えば、気相脱灰や液相脱灰によって不純物が除去された炭素前駆体を含む材料を1050〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成することにより製造された難黒鉛化炭素質材料を負極に使用することが挙げられる。Li核−固体NMR分析の詳細は、実施例に記載する通りである。
<カリウム元素含量および鉄元素含量(負極)>
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含むリチウム硫黄電池用負極のカリウム元素含量は、カリウムを含む不純物と電解液との副反応を抑制する観点から、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以下であることが更に好ましい。負極がカリウム元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。また、本発明のリチウム硫黄電池用負極の鉄元素含量は、鉄を含む不純物と電解液との副反応を抑制する観点から、0.02質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましい。負極が鉄元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。ここで、カリウム元素または鉄元素を実質的に含有しないとは、カリウム元素含量または鉄元素含量が、後述の蛍光X線分析(例えば島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いた分析)の検出限界値以下であることを意味する。カリウム元素含量および鉄元素含量が上記の値以下であると、難黒鉛化炭素質材料を用いたリチウム硫黄電池において、十分に高い出力特性と高い耐久性が得られやすい。更に、これらの金属元素が電解液中に溶出して再析出した際に短絡することに起因するリチウム硫黄電池の安全性の問題が回避されやすい。カリウム元素含量および鉄元素含量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<吸湿量(負極)>
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含むリチウム硫黄電池用負極の吸湿量は、好ましくは50000ppm以下、より好ましくは30000ppm以下、特に好ましくは10000ppm以下である。吸湿量が少ないほど、負極に吸着する水分が減り、水分由来の副反応に起因する電極内のガス発生が抑制されやすいので好ましい。負極の吸湿量は、例えば、難黒鉛化炭素質材料に含まれる酸素原子の量を減らすことにより減らすことができる。負極の吸湿量は、例えば、カールフィッシャーなどを用いて測定される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下に分析方法ないし物性の測定方法を記載する。
Li核−固体NMR分析の方法>
リチウムイオンが満充電状態でドープされた難黒鉛化炭素質材料を含む負極をセルから取り出し、電解液を拭き取った負極を全てNMR用サンプル管に充填した。Li核−固体NMR分析はBRUKER製「核磁気共鳴装置AVANCE300」を用いて行った。測定に際して、塩化リチウムを基準物質として、これを0ppmに設定した。
<(002)面の平均面間隔d002の測定方法>
株式会社リガク製「MiniFlex II」を用いて、難黒鉛化炭素質材料粉末を試料ホルダーに充填し、Niフィルターにより単色化したCuKα線を線源とし、X線回折図形を得た。回折図形のピーク位置は重心法(回折線の重心位置を求め、これに対応する2θ値でピーク位置を求める方法)により求め、標準物質用高純度シリコン粉末の(111)面の回折ピークを用いて補正した。CuKα線の波長を0.15418nmとし、以下に示すBraggの公式によりd002を算出した。
Figure 2019036505
<金属元素含量の測定>
カリウム元素含量および鉄元素含量の測定は、下記方法により実施した。予め所定のカリウム元素および鉄元素を含有する炭素試料を調製し、蛍光X線分析装置を用いて、カリウムKα線の強度とカリウム元素含量との関係、および鉄Kα線の強度と鉄元素含量との関係に関する検量線を作成した。ついで、試料(難黒鉛化炭素質材料や負極の試料)について蛍光X線分析におけるカリウムKα線および鉄Kα線の強度を測定し、先に作成した検量線よりカリウム元素含量および鉄元素含量を求めた。蛍光X線分析は、株式会社島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いて、下記手順で行った。上部照射方式用ホルダーを用い、試料測定面積を直径20mmの円周内とした。被測定試料の設置は、内径25mmのポリエチレン製容器の中に被測定試料0.5gを入れ、裏をプランクトンネットで押さえ、測定表面をポリプロピレン製フィルムで覆うことにより行った。X線源は40kV、60mAに設定した。カリウムについては、分光結晶にLiF(200)、検出器にガスフロー型比例係数管を使用し、2θが90〜140°の範囲を、走査速度8°/分で測定した。鉄については、分光結晶にLiF(200)、検出器にシンチレーションカウンターを使用し、2θが56〜60°の範囲を、走査速度8°/分で測定した。
<レーザー散乱法による平均粒子径の測定>
植物由来のチャー、炭素前駆体、および揮発性有機物の平均粒子径(粒度分布)は、下記方法により測定した。試料を、界面活性剤(和光純薬工業株式会社製「Toriton X100」)を0.3質量%含む水溶液に投入し、超音波洗浄器で10分以上処理し、水溶液中に分散させた。この分散液を用いて粒度分布を測定した。粒度分布測定は、粒子径・粒度分布測定器(日機装株式会社製「マイクロトラックM T3000」)を用いて行った。Dv50は、累積体積が50%となる粒子径であり、この値を平均粒子径とした。
実施例1
<炭素前駆体の調製>
椰子殻を500℃で乾留した後に破砕し、粒子径約2mmの椰子殻チャーを得た。この椰子殻チャー100gに対して、塩化水素ガス2体積%を含む窒素ガスを18L/分の流量で供給しながら、870℃で30分間ハロゲン熱処理を実施した。その後、塩化水素ガスの供給のみを停止し、窒素ガスを18L/分の流量で供給しながら、更に870℃で30分間気相脱酸処理を実施し、炭素前駆体を得た。
得られた炭素前駆体を、ミキサーミル(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、MM400)を用いて平均粒子径6μmに粉砕した後、ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ製)を用いて分級し、平均粒子径5μmの炭素前駆体(1)を得た。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
上記のように調製した炭素前駆体(1)5gを黒鉛製鞘に入れた結果、試料層高は2mmとなった。次いで、バッチ型焼成炉中、毎分5Lの窒素流量下、毎分10℃の昇温速度で1290℃まで昇温した後、30分間保持し、自然冷却した。炉内温度が200℃以下に低下したことを確認し、炉内から難黒鉛化炭素質材料を取り出した。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.8gであり回収率は96%であった。
Li核−固体NMRの分析>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料94質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)6質量部およびNMP(N−メチルピロリドン)90質量部を混合し、スラリーを得た。厚さ14μmの銅箔に、得られたスラリーを塗布し、乾燥後プレスして、厚さ70〜80μmの電極を得た。得られた電極の密度は、0.9〜1.1g/cmであった。
負極を作用極とし、金属リチウムを対極および参照極として使用した。溶媒として、ジメトキシエタン(DME)とジオキソラン(DOL)とを、体積比で1:1となるように混合して用いた。この溶媒に、Li(CFSONを0.38mol/L溶解し、さらにLiNOを0.38mol/L溶解して電解質として用いた。セパレータにはガラス繊維不織布を使用した。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを作製した。
得られた負極のハーフセルについて、充放電試験装置(東洋システム株式会社製、「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。リチウムのドーピングは、活物質質量に対し金属リチウムが析出しない所定の容量(600mAh/g)まで、10mA/gの速度で行い、ドーピングを終了することにより満充電させた。ここで、「金属リチウムが析出しない所定の容量」とは、Li−NMRで金属リチウムの析出が見られない上限の充電容量(mAh/g)を指す。
この満充電された負極について、Li核−固体NMR分析を行い、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置を確認した。
<リチウム硫黄電池の評価>
・正極の作製
正極活物質として元素状硫黄粉末(平均粒径32μm)を用いた。硫黄粉末45質量部、カーボンブラック45質量部、SBR(スチレン・ブタジエン・ラバー)4質量部、CMC(カルボキシメチルセルロース)6質量部および適量の水を混合し、スラリーを得た。厚さ20μmのアルミニウム箔に、得られたスラリーを塗布し、乾燥後プレスして正極を得た。
・負極の作製
難黒鉛化炭素質材料94質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)6質量部およびNMP(N−メチルピロリドン)90質量部を混合し、スラリーを得た。厚さ14μmの銅箔に、得られたスラリーを塗布し、乾燥後プレスして、厚さ70〜80μmの電極を得た。得られた電極の密度は、0.9〜1.1g/cmであった。
・負極のプレドープ
負極を作用極とし、金属リチウムを対極および参照極として使用した。溶媒として、ジメトキシエタン(DME)とジオキソラン(DOL)とを、体積比で1:1となるように混合して用いた。この溶媒に、Li(CFSONを0.38mol/L溶解し、さらにLiNOを0.38mol/L溶解して電解質として用いた。セパレータにはガラス繊維不織布を使用した。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを作製した。
得られた負極ハーフセルについて、充放電試験装置(東洋システム株式会社製、「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。リチウムのドーピングは、活物質質量に対し金属リチウムが析出しない所定の容量(600mAh/g)まで、10mA/gの速度で行い、ドーピングを終了することにより満充電させた。ここで、「金属リチウムが析出しない所定の容量」とは、Li−NMRで金属リチウムの析出が見られない上限の充電容量を指す。
リチウムイオンのドーピングが完了した後、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを分解し、負極を取り出した。ジメトキシエタン(DME)とジオキソラン(DOL)を体積比で1:1混合した溶媒で負極を洗浄後、乾燥することでリチウムイオンがプレドープされた負極を得た。
・リチウム硫黄電池の作製
リチウムイオンをプレドープした負極と硫黄を含む正極の合剤塗工面を、ガラス繊維不織布からなるセパレータを介して対向させた。溶媒として、ジメトキシエタン(DME)とジオキソラン(DOL)とを、体積比で1:1となるように混合して用いた。この溶媒に、Li(CFSONを0.38mol/L溶解し、さらにLiNOを0.38mol/L溶解して電解質として用いた。セパレータにはガラス繊維不織布を使用した。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを作製した。
・充放電試験
得られたコインセルについて、充放電試験装置(東洋システム株式会社製、「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。まず負極活物質質量に対して充放電をそれぞれ10mA/gの速度で行った。次に、負極活物質質量に対して充電を10mA/gの速度で行った後、放電を50mA/gの速度で行った。10mA/gの速度で放電を行った場合の放電容量を(A)、50mA/gの速度で放電を行った場合の放電容量を(B)とし、放電容量(B)/放電容量(A)の百分率で算出される値を放電容量維持率とした。電池の内部抵抗上昇が抑えられた場合、良好な放電容量維持率(B)/(A)(出力特性)を得ることができる。一方で、負極活物質質量に対して10mA/gの速度で100サイクル充放電を行い、1サイクル目の放電容量を(C)、100サイクル目の放電容量を(D)とした場合の、放電容量(D)/放電容量(C)の百分率で算出される放電容量維持率を求めた。電池の内部抵抗上昇が抑えられて均一な充放電が進行した場合、良好な放電容量維持率(D)/(C)(耐久性)を得ることができる。
実施例2
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
実施例1と同様に調製した炭素前駆体(1)5gと、ポリスチレン(積水化成品工業株式会社製、平均粒子径400μm、残炭率1.2%)0.5gとを混合した。
この混合物5.5gをバッチ型焼成炉中、毎分5Lの窒素流量下、毎分10℃の昇温速度で1290℃まで昇温した後、30分間保持し、自然冷却した。炉内温度が200℃以下に低下したことを確認し、炉内から難黒鉛化炭素質材料を取り出した。上記方法による焼成後に回収された難黒鉛化炭素質材料は4.8gであり、回収率は87%であった。
Li核−固体NMRの分析>
実施例1と同様の方法で満充電された負極を得た。この負極について、Li核−固体NMR分析を行い、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置を確認した。
<リチウム硫黄電池の評価>
・正極の作製
実施例1と同様の正極を用いた。
・負極の作製
実施例1と同様の方法で負極を作製した。
・負極のプレドープ
実施例1と同様の方法で負極へのプレドープ処理を実施した。
・リチウム硫黄電池の作製
実施例1と同様の方法でリチウム硫黄電池を作製した。
・充放電試験
実施例1と同様の方法で充放電を行い、放電容量(B)/放電容量(A)、及び放電容量(D)/放電容量(C)の百分率で算出される放電容量維持率を求めた。
実施例3
<炭素前駆体の調製>
約5mm角のフィリピン ミンダナオ島産椰子殻チップ100gを7.4質量%クエン酸水溶液150gに浸漬し、85℃に加温し、3時間加熱した。その後室温まで冷却し、ろ過により脱液した。この操作を6回行い、脱灰を行った。脱灰した椰子殻を真空1Torr下、80℃で24時間乾燥した。このように脱灰した椰子殻チップ20gを坩堝に入れ、光洋サーモ製KTF1100炉(内径70mmΦ)を用いて、酸素含量15ppmの窒素気流3L/分(0.012メートル/秒)の流量下、10℃/分で750℃まで昇温、60分保持した後、6時間かけて冷却し、50℃以下で取り出し、炭化物(炭素前駆体)を得た。
得られた炭素前駆体を、ミキサーミル(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、MM400)を用いて平均粒子径6μmに粉砕した後、ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ製)を用いて分級し、平均粒子径5μmの炭素前駆体(2)を得た。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
上記のように調製した炭素前駆体(2)5gを実施例2と同様の方法で焼成した。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.8gであり回収率は87%であった。
Li核−固体NMRの分析>
実施例1と同様の方法で満充電された負極を得た。この負極について、Li核−固体NMR分析を行い、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置を確認した。
<リチウム硫黄電池の評価>
・正極の作製
実施例1と同様の正極を用いた。
・負極の作製
実施例1と同様の方法で負極を作製した。
・負極のプレドープ
実施例1と同様の方法で負極へのプレドープ処理を実施した。
・リチウム硫黄電池の作製
実施例1と同様の方法でリチウム硫黄電池を作製した。
・充放電試験
実施例1と同様の方法で充放電を行い、放電容量(B)/放電容量(A)、及び放電容量(D)/放電容量(C)の百分率で算出される放電容量維持率を求めた。
実施例4
<炭素前駆体の調製>
椰子殻を500℃で乾留した後に破砕し、粒子径約2mmの椰子殻チャーを得た。この椰子殻チャー100gに対して、塩化水素ガス2体積%を含む窒素ガスを18L/分の流量で供給しながら、1150℃で30分間ハロゲン熱処理を実施した。その後、塩化水素ガスの供給のみを停止し、窒素ガスを18L/分の流量で供給しながら、更に1150℃で30分間気相脱酸処理を実施し、難黒鉛化炭素質材料を得た。
得られた難黒鉛化炭素質材料を、ミキサーミル(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、MM400)を用いて平均粒子径6μmに粉砕した後、ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ製)を用いて分級し、平均粒子径5μmの難黒鉛化炭素質材料を得た。
Li核−固体NMRの分析>
実施例1と同様の方法で満充電された負極を得た。この負極について、Li核−固体NMR分析を行い、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置を確認した。
<リチウム硫黄電池の評価>
・正極の作製
実施例1と同様の正極を用いた。
・負極の作製
実施例1と同様の方法で負極を作製した。
・負極のプレドープ
実施例1と同様の方法で負極へのプレドープ処理を実施した。
・リチウム硫黄電池の作製
実施例1と同様の方法でリチウム硫黄電池を作製した。
・充放電試験
実施例1と同様の方法で充放電を行い、放電容量(B)/放電容量(A)、及び放電容量(D)/放電容量(C)の百分率で算出される放電容量維持率を求めた。
比較例1
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
実施例1と同様に調製した炭素前駆体(1)5gをバッチ型焼成炉中、毎分5Lの窒素流量下、毎分10℃の昇温速度で1020℃まで昇温した後、30分間保持し、自然冷却した。炉内温度が200℃以下に低下したことを確認し、炉内から難黒鉛化炭素質材料を取り出した。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.9gであり回収率は98%であった。
Li核−固体NMRの分析>
実施例1と同様の方法で満充電された負極を得た。この負極について、Li核−固体NMR分析を行い、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置を確認した。
<リチウム硫黄電池の評価>
・正極の作製
実施例1と同様の正極を用いた。
・負極の作製
実施例1と同様の方法で負極を作製した。
・負極のプレドープ
満充電容量を650mAh/gとした以外は、実施例1と同様の方法で負極へのプレドープ処理を実施した。
・リチウム硫黄電池の作製
実施例1と同様の方法でリチウム硫黄電池を作製した。
・充放電試験
実施例1と同様の方法で充放電を行い、放電容量(B)/放電容量(A)、及び放電容量(D)/放電容量(C)の百分率で算出される放電容量維持率を求めた。
比較例2
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
処理温度を1020℃から1500℃に変更したこと以外は比較例1と同様の方法で難黒鉛化炭素質材料を得た。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.2gであり回収率は84%であった。
Li核−固体NMRの分析>
比較例1と同様の方法で満充電された負極を得た。この負極について、Li核−固体NMR分析を行い、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置を確認した。
<リチウム硫黄電池の評価>
・正極の作製
実施例1と同様の正極を用いた。
・負極の作製
実施例1と同様の方法で負極を作製した。
・負極のプレドープ
満充電容量を400mAh/gとした以外は、実施例1と同様の方法で負極へのプレドープ処理を実施した。なお、400mAh/gを超えて充電した場合、リチウムが析出したため、ここでは満充電容量を400mAh/gとした。
・リチウム硫黄電池の作製
実施例1と同様の方法でリチウム硫黄電池を作製した。
・充放電試験
実施例1と同様の方法で充放電を行い、放電容量(B)/放電容量(A)、及び放電容量(D)/放電容量(C)の百分率で算出される放電容量維持率を求めた。
比較例3
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
炭素前駆体(1)5gと、ポリスチレン(積水化成品工業株式会社製、平均粒子径400μm、残炭率1.2%)0.5gとを混合したこと以外は、比較例2と同様の方法で難黒鉛化炭素質材料を得た。上記方法による焼成後に回収された難黒鉛化炭素質材料は4.2gであり、回収率は76%であった。
Li核−固体NMRの分析>
比較例1と同様の方法で満充電された負極を得た。この負極について、Li核−固体NMR分析を行い、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置を確認した。
<リチウム硫黄電池の評価>
・正極の作製
実施例1と同様の正極を用いた。
・負極の作製
実施例1と同様の方法で負極を作製した。
・負極のプレドープ
満充電容量を400mAh/gとした以外は、実施例1と同様の方法で負極へのプレドープ処理を実施した。
・リチウム硫黄電池の作製
実施例1と同様の方法でリチウム硫黄電池を作製した。
・充放電試験
実施例1と同様の方法で充放電を行い、放電容量(B)/放電容量(A)、及び放電容量(D)/放電容量(C)の百分率で算出される放電容量維持率を求めた。
比較例4
<炭素前駆体の調製>
約5mm角のフィリピン ミンダナオ島産椰子殻チップ20gを坩堝に入れ、光洋サーモ製KTF1100炉(内径70mmΦ)を用いて、酸素含量15ppmの窒素気流3L/分(0.012メートル/秒)の流量下、10℃/分で750℃まで昇温、60分保持した後、6時間かけて冷却し、50℃以下で取り出し、炭化物を得た。得られた炭化物を7.4質量%クエン酸水溶液100gに浸漬し、80℃に加温し、4時間加熱した。その後室温まで冷却し、ろ過により脱液した。この操作を5回行い、脱灰を行った。脱灰した椰子殻を真空1Torr下、80℃で24時間乾燥した。
得られた炭素前駆体を、ミキサーミル(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、MM400)を用いて平均粒子径6μmに粉砕した後、ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ製)を用いて分級し、平均粒子径5μmの炭素前駆体(4)を得た。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
上記のように調製した炭素前駆体(4)5gを比較例3と同様の方法で焼成した。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.3gであり回収率は78%であった。
Li核−固体NMRの分析>
実施例1と同様の方法で満充電された負極を得た。この負極について、Li核−固体NMR分析を行い、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置を確認した。
<リチウム硫黄電池の評価>
・正極の作製
実施例1と同様の正極を用いた。
・負極の作製
実施例1と同様の方法で負極を作製した。
・負極のプレドープ
満充電容量を400mAh/gとした以外は、実施例1と同様の方法で負極へのプレドープ処理を実施した。なお、400mAh/gを超えて充電した場合、リチウムが析出したため、ここでは満充電容量を400mAh/gとした。
・リチウム硫黄電池の作製
実施例1と同様の方法でリチウム硫黄電池を作製した。
・充放電試験
実施例1と同様の方法で充放電を行い、放電容量(B)/放電容量(A)、及び放電容量(D)/放電容量(C)の百分率で算出される放電容量維持率を求めた。
比較例5
Li核−固体NMRの分析>
難黒鉛化炭素質材料のかわりに平均粒径10μmの人造黒鉛粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で満充電された黒鉛材料を含む負極を得た。この負極について、Li核−固体NMR分析を行い、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置を確認した。
<リチウム硫黄電池の評価>
・正極の作製
実施例1と同様の正極を用いた。
・負極の作製
実施例1と同様の方法で負極を作製した。
・負極のプレドープ
満充電容量を400mAh/gとした以外は、実施例1と同様の方法で負極へのプレドープ処理を実施した。なお、400mAh/gを超えて充電した場合、リチウムが析出したため、ここでは満充電容量を400mAh/gとした。
・リチウム硫黄電池の作製
実施例1と同様の方法でリチウム硫黄電池を作製した。
・充放電試験
実施例1と同様の方法で充放電を行い、放電容量(B)/放電容量(A)、及び放電容量(D)/放電容量(C)の百分率で算出される放電容量維持率を求めた。
各実施例および各比較例における炭素質材料の製造条件、得られた炭素質材料の物性の評価結果および電池特性の評価結果を、それぞれ以下の各表に示す。
本発明の負極を用いて作製したリチウム硫黄電池は、高い出力特性と共に、高い耐久性を示した。一方、各比較例の炭素質材料を用いて作製した電池では、出力特性と耐久性が十分であるとは言えなかった。
Figure 2019036505
Figure 2019036505
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含んでなるリチウム硫黄電池用負極、及びリチウム硫黄電池によると、電池の内部抵抗上昇を抑えることができ、高い出力特性および高い耐久性が得られる。従って、例えばハイブリッド自動車(HEV)および電気自動車(EV)などの車載用途に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 難黒鉛化炭素質材料を含む負極であって、満充電状態としたときに前記難黒鉛化炭素質材料のLi核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きい、リチウム硫黄電池用負極。
  2. 前記難黒鉛化炭素質材料の広角X線回折法によるBragg式を用いて算出される(002)面の平均面間隔d002は0.36〜0.42nmの範囲にある、請求項1に記載のリチウム硫黄電池用負極。
  3. 前記難黒鉛化炭素質材料は植物起源の炭素前駆体に由来する、請求項1または2に記載のリチウム硫黄電池用負極。
  4. カリウム元素含量が0.1質量%以下であり、鉄元素含量が0.02質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム硫黄電池用負極。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の負極を含んでなるリチウム硫黄電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110265633A (zh) * 2019-05-06 2019-09-20 广东工业大学 一种微纳结构锂硫电池复合正极材料及其制备方法和电池
WO2021215397A1 (ja) * 2020-04-20 2021-10-28 株式会社クラレ 炭素質材料、その製造方法、および電気化学デバイス

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