JPH06236755A - 負極材とその製造方法およびリチウム二次電池 - Google Patents

負極材とその製造方法およびリチウム二次電池

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JPH06236755A
JPH06236755A JP5343888A JP34388893A JPH06236755A JP H06236755 A JPH06236755 A JP H06236755A JP 5343888 A JP5343888 A JP 5343888A JP 34388893 A JP34388893 A JP 34388893A JP H06236755 A JPH06236755 A JP H06236755A
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JP
Japan
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negative electrode
electrode material
aromatic
carbon
carbon material
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Application number
JP5343888A
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English (en)
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Akihiro Mabuchi
昭弘 馬淵
Katsuhisa Tokumitsu
勝久 徳満
Hiroyuki Fujimoto
宏之 藤本
Takanori Kakazu
隆敬 嘉数
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 放電容量の大きなリチウム二次電池の負極材
を得る。 【構成】 炭化可能な材料、例えば、(a)縮合多環芳
香族化合物やピッチなどの芳香族成分と芳香族アルデヒ
ドなどの架橋剤とを、酸触媒の存在下で反応させて得ら
れる芳香族樹脂、(b)メソカーボンマイクロビーズ、
(c)ESRスペクトルにおいて線幅0.5〜3.0ガ
ウスの単一の吸収スペクトルを示す炭素質粒子(例え
ば、タールのキノリン不溶分)、および(d)石炭系又
は石油系ピッチを、非酸化性雰囲気中、1000℃以下
の温度で焼成して炭化する。得られた炭素材は、(A)
平均格子定数d(002)が3.4オングストローム以
上、(B)真比重が1.8g/cc以下、および(C)
炭素/水素の原子比C/Hが2〜40である。この炭素
材には、リチウムの貯蔵・放出に利用でき、かつ放電容
量を高める数多くの構造欠陥が存在する。そのため、リ
チウム二次電池の負極材として適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極めて大きな放電容量
を有するリチウム二次電池の負極材とその製造方法、お
よび負極材を用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池は、高エネルギー密度
型二次電池の一種として注目されている。前記リチウム
二次電池においては、負極活物質としてリチウム、正極
活物質として金属カルコゲン化物や金属酸化物が用いら
れ、電解液として非プロトン性有機溶媒に種々の塩を溶
解させた電解液が使用されている。また、リチウム二次
電池は起電力とエネルギー密度が高く、分散型、可搬型
電池として、電子機器、電気機器、電気自動車、電力貯
蔵などの広い分野での用途が期待されている。
【0003】しかし、従来のリチウム二次電池では、負
極活物質として箔状などの金属リチウム単体を用いる場
合が多いので、種々の問題が生じる。すなわち、金属リ
チウム単体を用いると、充放電の繰返しにより、電極表
面に樹枝状のリチウムデンドライトが析出する。しか
も、樹枝状のリチウムデンドライトは隔膜を貫通して成
長し、正極との間で短絡する危険性が大きい。そのた
め、充放電のサイクル寿命が短い。
【0004】そこで、アルミニウムや、鉛、カドミウム
およびインジウムを含む可融性合金を用い、充電時にリ
チウムを合金として析出させ、放電時には合金からリチ
ウムを溶出させる方法が提案されている(米国特許第4
002492号明細書)。この方法では、樹枝状のリチ
ウムの析出は防止できるものの、電極としての加工性が
低下する。また、単位重量又は単位容積当りのエネルギ
ー密度が低下し、金属の劣化に伴なって寿命が低下す
る。
【0005】近年、このような課題を解決するため、リ
チウムを黒鉛などの各種の炭素材に担持させる研究が盛
んに行なわれている。しかし、リチウム金属を負極材と
して用いた場合には、理論容量が約3800Ah/kg
(リチウム金属ベース)であるのに対して、黒鉛にリチ
ウムを担持させたリチウム二次電池の理論的な容量は、
組成C6 Liから求めると、372Ah/kg(炭素ベ
ース)程度である。従って、炭素材にリチウムを担持さ
せた負極材を用いても、372Ah/kg(炭素ベー
ス)という容量は、必ずしも十分に高い容量であるとは
言えない。そのため、従来から提案されている黒鉛層間
化合物としても、リチウムの貯蔵能が小さく、リチウム
二次電池の容量が小さいという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、デンドライトの生成がなく、安全性が高いだけでな
く、単位体積当りの放電容量が大きな負極材、およびリ
チウム二次電池を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、前記の如き優れた特
性を有する負極材を効率よく製造できる方法を提供する
ことにある。
【0008】
【発明の構成】本発明者らは、前記目的を達成するため
鋭意検討の結果、炭化可能な材料を、比較的低温で焼成
して炭化すると、生成した炭素材に数多くの構造欠陥が
生じ、意外にも二次電池の容量が著しく増大することを
見いだし、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明のリチウム二次電池用負
極材は下記の特性を有する炭素材を含んでいる。
【0010】(A)X線広角回折による平均格子定数d
(002)が3.4オングストローム以上 (B)比重瓶法(JIS R7212)による真比重が
1.8g/cc以下 (C)炭素/水素の原子比C/Hが2〜40 また、本発明のリチウム二次電池は、前記負極材を備え
ている。
【0011】さらに、本発明の方法では、炭化可能な材
料を、非酸化性雰囲気中、1000℃以下の温度で焼成
して炭化し、負極材を製造する。
【0012】なお、本明細書において、「炭化」とは、
炭素質化可能な温度以上であり、かつ1000℃以下の
温度で焼成して炭素材を得る全ての処理を言う。「樹
脂」には、重合度の低いオリゴマー領域の樹脂を含む樹
脂組成物も含まれる。
【0013】以下に、必要に応じて添付図面を参照しつ
つ、本発明をより詳細に説明する。
【0014】本発明の負極材に含まれる前記炭素材は、
次のような特性を示し、リチウム二次電池の負極材とし
て有用である。
【0015】(A)X線広角回折による平均格子定数d
(002)は、炭素材の種類により若干変動するが、
3.4オングストローム以上、好ましくは3.4〜3.
6オングストローム、さらに好ましくは3.4〜3.5
8オングストローム程度である。平均格子定数d(00
2)が3.4オングストローム未満であると、リチウム
二次電池の放電容量が低下する。
【0016】(B)比重瓶法(JIS R7212)に
よる真比重は1.8g/cc以下、好ましくは1.3〜
1.8g/cc程度である。真比重が1.8g/ccを
越えると、リチウム二次電池の放電容量が低下する。
【0017】(C)炭素/水素の原子比C/Hは、炭素
材の種類により異なるが、2〜40、好ましくは2〜2
5、さらに好ましくは3〜15程度である。原子比C/
Hが2未満であると、電極としての導電性が低下し易
く、40を越えるとリチウム二次電池の放電容量が低下
する。
【0018】なお、炭化可能な材料として樹脂を用いた
炭素材の原子比C/Hは、通常、10以下、好ましくは
4.0〜9.5程度である場合が多い。また、炭化可能
な材料として微小粒子を用いた炭素材の原子比C/H
は、通常、2〜10、好ましくは3〜9程度である場合
が多い。
【0019】また、本発明の炭素材の(D)BET比表
面積は、70m2 /g以下、好ましくは50m2 /g以
下、さらに好ましくは40m2 /g以下である。BET
比表面積は、例えば、0.1〜40m2 /g、好ましく
は0.5〜35m2 /g程度である場合が多い。比表面
積が70m2 /gを越えると、リチウム二次電池の放電
容量が低下し易い。
【0020】本発明の炭素材は、(E)ESR(Electr
on Spin Resonance )スペクトルにおいて単一の吸収ス
ペクトルを示す場合もある。この単一の吸収スペクトル
の線幅は、通常、1〜5ガウス、好ましくは1〜3.5
ガウス、さらに好ましくは2〜3ガウス程度である。
【0021】また、炭素材が単一の吸収スペクトルを示
す炭素質粒子である場合、炭素材の平均粒子径は、0.
5〜1.5μm程度、累積度数分布90体積%における
粒子径は0.8〜3.5μm程度である。
【0022】さらに、本発明の負極材に含まれる炭素材
は、前記特性に加えて、次のような特性を示す場合が多
い。
【0023】(E)ラマンスペクトルにおいて、136
0cm-1におけるピークと1580cm-1におけるピー
クとの強度比R=I1360/I1580=0.4以上、好まし
くは0.4〜2.0、さらに好ましくは0.6〜1.2
程度である。なお、ラマンスペクトルにおいて、グラフ
ァイト結晶では1580cm-1に吸収線が現われ、構造
欠陥などにより平面の対称性が低下すると非晶質部に由
来して1360cm-1に吸収線が現われる。そのため、
前記強度比Rが0.4未満であると、リチウム二次電池
の放電容量が小さくなり易い。
【0024】(F)n−ブチルリチウムと反応させたと
き、炭素Cに対するリチウムLiの反応量は、原子比L
i/C=0.001以上、好ましくは0.003〜3.
0、さらに好ましくは0.005〜3.0(例えば、
0.005〜1.0程度)程度である。リチウムとの反
応活性の高いこのような炭素材は、結晶質部分よりも非
晶質部分の割合が大きいためか、放電容量を高めること
ができる。
【0025】なお、炭素材に対するn−ブチルリチウム
の反応量は、例えば、所定濃度のn−ブチルリチウムの
有機溶媒溶液に所定量の炭素材を添加し、適当な時間
(例えば、1〜6時間程度)撹拌させて反応させ、未反
応のn−ブチルリチウムを水の添加により分解し、生成
した水酸化リチウムを、塩酸などの酸を用いて滴定する
ことにより、算出することができる。
【0026】前記炭素材は、前記特性を有する限り、種
々の炭化可能な材料の炭化物で構成できるが、好ましく
は(a)芳香族成分が架橋剤により架橋した芳香族樹脂
の焼成物、(b)メソカーボンマイクロビーズの焼成
物、(c)ESRスペクトルにおいて線幅1〜5ガウス
の単一の吸収スペクトルを示す炭素質粒子、および
(d)石炭系又は石油系ピッチの焼成物から選ばれた少
なくとも一種の炭化物で構成される。(b)メソカーボ
ンマイクロビーズの焼成により得られる炭化物の場合に
は、電極作製時の簡便性、電極特性を考慮すると、粒度
分布は、累積度数分布10体積%(D10)で0.1〜1
0μm(好ましくは0.5〜5μm)、累積度数分布5
0体積%(D50)で2〜80μm(好ましくは2〜50
μm)、累積度数分布90体積%(D90)で15〜90
μm(好ましくは20〜85μm)程度であるのが好ま
しい。このような粒度分布において、単一のピークに限
らず、2以上の複数のピークが存在していてもよい。な
お、このような粒度分布を有する炭化物は、分級及び/
又は粉砕操作により得ることができる。
【0027】前記炭素質粒子(c)の平均粒子径は、例
えば、0.5〜1.5μm、累積度数分布90体積%に
おける粒子径は、例えば0.8〜3.5μm程度であ
る。
【0028】本発明の方法では、炭化可能な材料を、非
酸化性雰囲気中、比較的低温で焼成して炭化する負極材
を製造する。
【0029】炭化可能な材料としては、炭素材の原料と
なりうる種々の材料、例えば、炭化可能なポリマー(フ
ェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリロニトリル、レ
ーヨン、セルロースなど)、石油又は石炭系ピッチ、炭
素質粉粒体(例えば、前記メソカーボンマイクロビーズ
(b)や炭素質粒子(c)など)などが含まれる。
【0030】好ましい材料には、炭化可能なポリマー、
特に(a)芳香族成分が架橋剤により架橋した芳香族樹
脂、炭素質粉粒体、特に(b)メソカーボンマイクロビ
ーズ、および(c)ESRスペクトルにおいて線幅0.
5〜3.0ガウスの単一の吸収スペクトルを示す炭素質
粒子、および(d)石炭系又は石油系ピッチが含まれ
る。前記炭素質粒子(c)の平均粒子径は、例えば、
0.5〜1.5μm、累積度数分布90体積%における
粒子径は0.8〜3.5μm程度である。
【0031】前記芳香族樹脂(a)は、芳香族成分と架
橋剤とを酸触媒の存在下で反応させることにより得るこ
とができる。前記芳香族樹脂は、炭化可能ないわゆるC
OPNA樹脂からなる炭素前駆体を構成する。そのた
め、芳香族成分としては、COPNA樹脂からなる炭素
前駆体を構成する成分が使用される。
【0032】前記芳香族成分としては、例えば、ナフタ
レン、アズレン、インダセン、フルオレン、フルオラン
テン、アセナフテン、アセナフチレン、アントラセン、
フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、
ナフタセン、ピセン、ベンゾフェナントレン、ペリレ
ン、ベンゾピレン、ペンタフェン、ペンタセン、ヘキサ
セン、コロネン、ヘプタセンなどの2以上の炭素6員環
を有する縮合多環式炭化水素;インドール、イソインド
ール、イソキノリン、キノリン、フタラジン、カルバゾ
ール、アクリジン、フェナジン、フェナントロジンなど
の、窒素原子、硫黄原子や酸素原子などをヘテロ原子と
して含む3環以上の複素環と芳香族炭素とが縮合した縮
合複素環化合物;アントラセン油、脱晶アントラセン
油、ナフタレン油、メチルナフタレン油、クレオソート
油、エチレンボトム油、カルボル油、ソルベントナフサ
などの石炭系又は石油系の重質油;タール、ピッチ、水
素化ピッチなどが挙げられる。これらの芳香族成分は、
一種又は二種以上使用することができる。
【0033】芳香族成分は、架橋反応に悪影響を及ぼさ
ない置換基、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、ヒド
ロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基やアルコキ
シカルボニル基などを有していてもよい。さらに、ビフ
ェニル、ビナフタレンなどの環集合化合物と併用しても
よい。
【0034】好ましい芳香族成分には、2以上の芳香
環、特に3以上の芳香環を有する化合物やこれらの水素
化物(例えば水素化ピッチなど)が含まれる。
【0035】前記架橋剤としては、前記芳香族成分を架
橋できる種々の化合物が使用できる。架橋剤には、前記
芳香族成分と同様の芳香環を有する化合物、好ましくは
1〜3程度の芳香環、さらに好ましくは1〜2の芳香環
を有する芳香族化合物が含まれる。
【0036】架橋剤としては、例えば、キシリレンジク
ロライドなどの芳香族ジメチレンハライド;キシリレン
グリコールなどの芳香族ジメタノール;テレフタロイル
ジクロライド、イソフタロイルジクロライド、フタロイ
ルジクロライド、テレフタロイルジブロマイド、イソフ
タロイルジブロマイド、フタロイルジブロマイド、1,
5−ナフタレンジカルボン酸クロライド、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸クロライド、1,5−アントラセン
ジカルボン酸クロライド、2,6−アントラセンジカル
ボン酸クロライドなどの芳香族ジカルボン酸ハライド;
前記芳香族ジカルボン酸ハライドに対応する芳香族ジカ
ルボン酸;前記芳香族ジカルボン酸ハライドに対応する
芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル(例えば、
テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジエチル
エステルなどの炭素数1〜4程度の低級アルキルエステ
ル);ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデ
ヒド、p−メトキシベンズアルデヒド、2,5−ジヒド
ロキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒドジメチルア
セタール、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒ
ド、サリチルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド;無水
ピロメリット酸などが例示される。これらの架橋剤は一
種又は二種以上使用できる。
【0037】好ましい架橋剤には、芳香族ジメチレンハ
ライド、芳香族ジメタノール、芳香族ジカルボン酸ハラ
イド、芳香族アルデヒドなどが含まれる。
【0038】架橋剤の使用量は、前記炭素前駆体および
炭素材の特性に応じて広い範囲で選択でき、例えば、前
記芳香族成分1モルに対して、0.2〜10モル、好ま
しくは0.5〜3モル程度である。
【0039】架橋剤による前記芳香族成分の架橋は、通
常、酸触媒の存在下で行なわれる。酸触媒としては、例
えば、ルイス酸、ブレンステット酸などの慣用の酸が使
用できる。ルイス酸には、例えば、ZnCl2 、B
3 、AlCl3 、SnCl2 、SnCl4 、TiCl
3 、TiCl4 、FeCl3 などが含まれ、ブレンステ
ッド酸には、例えば、p−トルエンスルホン酸、フルオ
ロメタンスルホン酸、キシレンスルホン酸などの有機
酸;塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸などが含ま
れる。好ましい酸触媒には、例えば、硫酸などのブレン
ステッド酸やAlCl3 などのルイス酸が含まれる。
【0040】触媒の使用量は、反応条件および前記芳香
族成分の反応性などに応じて適当に選択でき、例えば、
前記架橋剤に対して、0.01〜10モル当量、好まし
くは0.5〜3モル当量程度である。
【0041】架橋反応は、反応に不活性な適当な有機溶
媒、例えば、n−ヘプタン、n−オクタンやシクロヘキ
サンなどの炭化水素系溶媒の存在下で行なってもよく、
溶媒の不存在下で行なってもよい。架橋反応は、例え
ば、80〜250℃、好ましくは100〜200℃程度
の温度で行なうことができる。また、反応は、通常、窒
素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中、攪
拌しながら行なわれ、攪拌不能な時点を反応の終点とす
ることもできる。反応時間は、通常、30分〜24時間
程度である。
【0042】生成した樹脂の重合度は、反応温度及び反
応時間に依存し、反応時間を短時間、例えば10分〜1
時間程度とすると、重合度の小さな樹脂を得ることがで
きる。樹脂の重合度nは、通常、2〜100、好ましく
は3〜50程度である。
【0043】反応終了後、必要に応じて、濃縮、乾固、
溶剤分別法などの慣用の方法により芳香族樹脂を得るこ
とができる。前記架橋反応により生成した芳香族樹脂、
すなわち炭素前駆体は、通常、熱硬化性を示す。
【0044】炭素前駆体としての炭化可能なポリマー
は、粉粒状、顆粒状、板状、フィルムなどの膜状、繊維
状などに加工できる。
【0045】粉粒状の炭素前駆体は、炭化可能なポリマ
ーを、ハンマーミル、ボールミルなどの一般的な粉砕機
により粉砕し、必要に応じて整粒することにより得るこ
とができる。粒状や顆粒状の炭素前駆体は、加熱し造粒
することにより得ることができる。
【0046】また、板状の炭素前駆体は、プレス機など
により平板状に加圧することにより得ることができる。
その際、必要に応じて加熱しながら成形してもよい。ま
た、フィルムなどの膜状の炭素前駆体は、適当な可溶性
溶媒を用いるキャスト法、スピンコート法などの慣用の
成膜成形手段により形成でき、炭素前駆体を加熱溶融し
フィルム化した後、不融化することによっても得ること
ができる。その際、電極に対応する平板状やフィルム状
に成形することができる。
【0047】繊維状の炭素前駆体は、炭化可能なポリマ
ーを溶融紡糸し、不融化することにより得ることができ
る。溶融防止する場合、前記芳香族樹脂などの硬化性樹
脂としては架橋密度の小さな樹脂が使用できる。なお、
炭素前駆体の架橋密度は、反応時間および反応温度など
により調整できる。
【0048】前記より明らかなように、前記炭素前駆体
を用いると、結合剤を用いることなく、電極に対応する
平板状に成形できるという利点がある。
【0049】なお、粉粒状、顆粒状や繊維状の炭素前駆
体は、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリロニト
リル、レーヨン、セルロース、異方性又は等方性ピッチ
などの炭素質化可能な結合剤;エポキシ樹脂、ビニルエ
ステル樹脂、不飽和ポリエステル、尿素樹脂、ポリイミ
ドなどの熱硬化性樹脂;ポリアミド、ポリ塩化ビニル、
ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル、アクリル樹
脂、飽和ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネ
ート、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂などと混合し、電
極に対応する平板状に成形加工してもよい。
【0050】前記メソカーボンマイクロビーズ(b)
は、コールタール、コールタールピッチ、石油系重質油
(例えば、アスファルト)やエチレンボトム油などを、
例えば、常圧〜20kg/cm2 ・G、温度350〜4
50℃程度の条件で熱処理し、生成した球晶を分離精製
することにより得られる。
【0051】メソカーボンマイクロビーズは、光学的に
異方性の球状微小粒子であり、炭素六員環網目が層状に
積層した構造を有する。前記メソカーボンマイクロビー
ズの平均粒子径は、通常、2〜80μm程度、BET比
表面積は、通常、70m2 /g以下である。さらに、こ
のようなメソカーボンマイクロビーズから低分子量成分
を除去した後、炭化処理すると、最終的に電池の放電容
量をさらに大きくすることができる。低分子量成分は、
例えば、トルエン、キシレン、キノリン、タール油、ア
ントラセン油などの有機溶媒を用い、メソカーボンマイ
クロビーズを洗浄、抽出などの方法で処理することによ
り除去できる。
【0052】前記炭素質粒子(c)は、例えば、石炭な
どの乾留により生成するタール中のキノリン不溶分に相
当する。乾留温度は、乾留装置の規模などに応じて選択
でき、例えば、コークス炉では800〜1250℃程
度、実験室規模の電気炉では300〜900℃程度であ
ってもよい。留出するタール分を回収してキノリンと混
合し、キノリン不溶分を回収することにより前記粒子を
得ることができる。
【0053】前記粒子(c)は、ESRスペクトルにお
いて単一の吸収スペクトルを示し、その線幅は、前記の
通りである。また、炭素と水素との原子比C/H=3〜
6程度であり、キノリンに不溶である。また、BET比
表面積は、通常、70m2 /g以下である。
【0054】さらに、前記石炭系又は石油系ピッチ
(d)の種類は特に制限されず、例えば、石油蒸留残
渣、ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム油、石炭液化
油、コールタールなどの石炭系又は石油系重質油を蒸留
し、低沸点成分を除去したピッチ、さらにこのようなピ
ッチに熱処理や水素添加処理などを施したものなどが挙
げられる。より具体的には、ピッチには、等方性ピッ
チ、メソフェーズピッチ、水素化メソフェーズピッチな
どが含まれる。前記ピッチ(d)の軟化点は、例えば、
150〜350℃、好ましくは200〜330℃程度で
ある。また、ピッチ(d)のキノリン不溶分は、例え
ば、35〜50重量%程度、ベンゼン不溶分は、例え
ば、60〜90重量%程度である場合が多い。
【0055】なお、粉粒状の炭素材、例えば、前記メソ
カーボンマイクロビーズ(b)、炭素質粒子(c)や石
炭系又は石油系ピッチ(d)は、粉粒状、顆粒状の前記
COPNA樹脂などの炭化可能なポリマーと同じく、炭
素質化可能な結合剤、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など
と混合し、電極に対応する平板状に成形加工してもよ
い。
【0056】本発明の方法の主たる特徴は、前記炭化可
能な材料を比較的低温で熱処理し、焼成炭化により炭素
材を得ることにある。比較的低温で焼成すると、炭素内
部に構造欠陥が数多く生成する。そして、これらの構造
欠陥に起因して、内部に結晶構造間の隙間(以下、ボイ
ドと称する)が生成するためか、本発明の方法により得
られる炭素負極材を備えたリチウム二次電池では、理論
値を越える放電容量が得られるという特色がある。
【0057】前記熱処理は、非酸化性雰囲気、例えば、
窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、二酸化炭素などの
不活性ガス雰囲気や、真空下で行なうことができる。
【0058】焼成温度は、1000℃以下、好ましくは
500〜975℃、さらに好ましくは600〜950
℃、特に650〜925℃程度である。焼成温度が50
0℃未満では、炭素材自体の電気伝導率が急激に変化す
るため電極としての機能を果たさなくなり、1000℃
を越えると、結晶化が進行し、炭素内部のボイドの量が
著しく低減する。なお、焼成時間は、焼成温度などに応
じて適当に選択でき、例えば、15分〜24時間、好ま
しくは30分〜12時間程度である。
【0059】このような炭素材にリチウムを担持させる
と、炭素層間化合物を経由して、ボイドにリチウムが吸
蔵・放出されると推測される。すなわち、リチウムを吸
蔵する際には、先ずリチウムイオンによる炭素層間化合
物が形成された後、ボイド内にリチウムが蓄えられる。
逆に、リチウムを放出する際には、炭素層間に存在して
いたリチウムイオンがある程度放出された後、ボイド内
のリチウムが炭素層間を経由して放出されるものと推測
される。
【0060】このように、炭素の層状構造だけでなく炭
素内部に残存するボイドをリチウムの吸蔵・放出および
充放電反応に活用することができるためか、容量を飛躍
的に増大させることが可能になる。本発明では、理論放
電量(約370Ah/kg)を越える放電容量、例え
ば、400Ah/kg以上の値を有するリチウム二次電
池の負極炭素材を得ることもできる。一方、前記炭化可
能な材料を1100℃で焼成した炭素材を負極として用
いたリチウム二次電池と比較すると、本発明の炭素材を
用いたリチウム二次電池では、約2倍の放電容量が得ら
れる。そのため、同じ性能では、リチウム二次電池負極
の体積や重量を半減できる。
【0061】前記炭素材を含む負極材は、平板状やフィ
ルム状に加工された炭素前駆体を焼成することにより得
てもよい。また、粉粒状、顆粒状や繊維状の炭素前駆体
を用いる場合、これらを焼成して炭素材とし、得られた
炭素材と前記結合剤、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂と混
合し、成形加工して負極材を得てもよい。
【0062】本発明の方法により得られる炭素材は、リ
チウム二次電池の負極として適している。従って、本発
明の二次電池は、前記負極材を備えていればよい。前記
二次電池は、前記炭素材を含む負極、正極、電解液、セ
パレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケースなどの
電池構成要素を用い、常法により組み立てることができ
る。図1はリチウム二次電池の一例を示す部分断面図で
ある。
【0063】リチウム二次電池は、正極活物質で構成さ
れた正極1と、前記炭素材を含む負極3と、前記正極1
と負極3との間に介在するセパレータ2を備えている。
このセパレータ2には、非水溶媒系電解液が含浸されて
いる。前記正極1、セパレータ2及び負極3は、ケース
4内に収容され、ケース4の開口部は封口板5で封止さ
れている。また、ケース4と負極1との間には、ニッケ
ルメッシュ、金属金網などで構成された集電体6が配さ
れている。符号7は絶縁パッキンである。
【0064】正極活物質としては、例えば、TiS2
MoS3 、NbSe3 、FeS、Vs2 、VSe2 など
の層状構造を有する金属カルコゲン化物、CoO2 、C
35 、TiO2 、CuO、V3 6 、Mo3 O、V
2 5 、V2 5 (・P2 5 )、Mn2 O(・Li2
O)などの金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリ
ン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロー
ルなどの導電性を有する共役系高分子などを用いること
ができる。好ましい正極活性物質には、V2 5、Mn
2 などが含まれる。このような正極活物質は、例え
ば、ポリテトラフルオロエチレンなどの結合剤で結合さ
せて使用することもできる。
【0065】また、電解液としては、例えば、プロピレ
ンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラ
クトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロ
フラン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、スル
ホラン、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルスルホキ
シド、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジエチレングリコール、ジメチルエーテルなどの非
プロトン性溶媒などが挙げられる。これらの電解液のな
かで、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフ
ラン、ジオキソラン、4−メチルジオキソランなどのよ
うな、強い還元性環境下でも安定なエーテル系溶媒が好
ましい。
【0066】電解液としては、一種又は二種以上の前記
溶媒に、LiPF6 、LiClO4、LiBF4 、Li
ClF4 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiAl
4 、LiAlCl4 、LiPF6 、LiCl、LiI
などの溶媒和しにくいアニオンを生成する塩を溶解した
溶媒が繁用される。
【0067】また、セパレータとしては、保液性を有す
る材料、例えば、多孔質ポリプロピレン製不織布などの
ポリオレフィン系多孔質膜などが使用できる。
【0068】二次電池の形状は、円筒型、角型又はボタ
ン型などのいずれの形態であってもよい。
【0069】本発明の二次電池は、ポータブル電子機器
の電源、各種メモリーやソーラーバッテリーのバックア
ップ電源、電気自動車、電力貯蔵用バッテリーなどの広
い用途に使用できる。
【0070】
【発明の効果】本発明の負極材とそれを備えたリチウム
二次電池は、デンドライトの生成がなく、安全性が高い
だけでなく、放電容量が大きい。特に、理論値を越える
放電容量を得ることもできる。
【0071】本発明の方法によれば、炭化可能な材料を
比較的低温で焼成すればよいため、デンドライトの生成
がなく、安全性が高いだけでなく、単位体積当りの放電
容量が大きなリチウム二次電池用負極材を効率よく得る
ことができる。
【0072】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。
【0073】なお、炭素材の平均格子定数d(002)
は、X線広角回折装置(理学電機(株)製、型式:RA
D−B)により求めた。真比重は、比重瓶法(JIS
R7212)に規定する方法で測定した。また、炭素/
水素の原子比(C/H)は元素分析装置(パーキン エ
ルマー社製、型式:2400)を用いて求めた。比表面
積は、BET比表面積測定装置[ミクロメリティクス
(Micromeritics )社製、形式:ASAP2400]を
用いて、窒素吸着法により測定した。
【0074】実施例1 (1)COPNA樹脂および炭素材の調製 芳香族成分として、軟化点76.6℃、炭素/水素の原
子比C/H=1.678、芳香族指数fa0.931、
キノリン不溶分0.05重量%、ベンゼン不溶分14.
01重量%、FDマスにおけるベンゼン可溶分の数平均
分子量252の水素化ピッチを用いた。架橋剤として、
パラキシリレングリコールを前記水素化ピッチに対し
て、モル比換算で1.5当量(40g、0.29モル)
添加し、反応触媒として、p−トルエンスルホン酸を架
橋剤量に対してモル比換算で0.1当量(5.5g、
0.029モル)添加した。
【0075】混合物を120℃で1時間攪拌し、得られ
たCOPNA樹脂からなる炭素前駆体を粉末化し、窒素
ガス雰囲気中、300℃で加熱硬化させた後、窒素ガス
雰囲気中、700℃で2時間燃成し炭化した。得られた
炭素質粉末を粉砕して平均粒径10μmの粉末を得た。
【0076】(2)負極体の作製 炭素質粉末99重量部、ディスパージョンタイプのポリ
テトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製、D−
1)1重量部を混合し、液相で均一に攪拌した後、乾燥
させ、ペースト状とした。得られたペースト状負極物質
30mgを、集電体としてのニッケルメッシュに圧着さ
せ、200℃で6時間真空乾燥することにより、負極体
を作製した。
【0077】(3)電池の作製 得られた負極体、正極体としてLiCoO2 、電解液と
して1モル/Lの濃度でLiClO4 を溶解させたプロ
ピレンカーボネート、セパレータとしてポリプロピレン
不織布を用い、図1に示す構造のリチウム二次電池を作
製した。
【0078】(4)電池特性の測定 得られたリチウム二次電池の放電特性は、0.1mA/
cm2 の定量流充放電下で測定し、放電容量は、電池電
圧が2.0Vに低下するまでの容量とした。
【0079】実施例2〜3 実施例1で得られたCOPNA樹脂を800℃(実施例
2)、900℃(実施例3)で焼成して炭化する以外、
実施例1と同様にして電池を作製し、電池特性を評価し
た。
【0080】比較例1 実施例1で得られたCOPNA樹脂を1100℃で焼成
して炭化する以外、実施例1と同様にして電池を作製
し、電池特性を評価した。
【0081】上記実施例1〜3および比較例1の結果を
表1に示す。
【0082】
【表1】 この表1から明らかなように、比較的低温で焼成した炭
素材をリチウム二次電池の負極として用いることによ
り、放電容量が著しく増大する。特に、低い焼成温度で
焼成した炭素材を用いると、理論値を遥かに越える放電
容量が得られる。
【0083】実施例4 (1)メソカーボンマイクロビーズおよび炭素材の調製 脱水コールタールを、3kg/cm2 ・G、温度385
℃で14時間加熱処理し、生成した球晶を高温遠心分離
機を用いて分離し、トルエンで洗浄した後、窒素ガス雰
囲気下、150℃で3時間乾燥した。
【0084】得られたメソカーボンマイクロビーズを、
不活性ガス雰囲気中、700℃で1時間熱処理し、炭化
した。
【0085】(2)負極体および電池の作製、並びに電
池特性の測定 実施例1の炭素質粉末に代えて、得られたメソカーボン
マイクロビーズの炭化物を用いる以外、実施例1と同様
にして、負極体、電池を作製し、電池特性を測定した。
【0086】実施例5および6 実施例4で得られたメソカーボンマイクロビーズを80
0℃(実施例5)、900℃(実施例6)で焼成して炭
化する以外、実施例1と同様にして電池を作製し、電池
特性を評価した。
【0087】比較例2 実施例4で得られたメソカーボンマイクロビーズを11
00℃で焼成して炭化する以外、実施例1と同様にして
電池を作製し、電池特性を評価した。
【0088】上記実施例4〜6および比較例2の結果を
表2に示す。
【0089】
【表2】 この表2から明らかなように、比較的低温、特に、低い
焼成温度で焼成した炭素材をリチウム二次電池の負極と
して用いると、放電容量が著しく増大する。
【0090】実施例7 (1)炭素質粒子および炭素材の調製 ピッツトン炭を電気炉内に仕込み、3℃/分の昇温速度
で600℃に昇温し、留出するタール分を、同時に留出
する安水とともに、予め氷冷されたタール溜に回収し
た。なお、タール溜に回収された上澄み液である安水
は、ポンプで吸引し、リボンヒーターで85℃に加温
し、集合管を通して、留出するタールのシャワーに再利
用した。
【0091】乾留終了後、タール溜を急冷してタールを
凝固させ、タール溜から取出した。得られたタールとキ
ノリンとを混合し、キノリン不溶分を回収した。得られ
たキノリン不溶分からなる炭素質粒子は、d(002)
が3.45オングストローム、ESRスペクトルにおけ
る線幅1.98ガウスの単一の吸収スペクトルを示し、
比表面積20.55m2 /g、原子比C/H=3.9
6、平均粒子径0.69μm、および累積度数分布にお
ける90体積%の粒径1.41μmであった。
【0092】得られたキノリン不溶分からなる炭素質粒
子を、不活性ガス雰囲気中、700℃で1時間熱処理
し、炭化した。
【0093】(2)負極体および電池の作製、並びに電
池特性の測定 実施例1の炭素質粉末に代えて、得られたキノリン不溶
分からなる炭素質粒子の炭化物を用いる以外、実施例1
と同様にして、負極体、電池を作製し、電池特性を測定
した。
【0094】実施例8および9 実施例7で得られたキノリン不溶分からなる炭素質粒子
を800℃(実施例8)、900℃(実施例9)で焼成
して炭化する以外、実施例1と同様にして電池を作製
し、電池特性を評価した。
【0095】上記実施例7〜9の結果を表3に示す。
【0096】
【表3】 この表3から明らかなように、比較的低温、特に、低い
焼成温度で焼成した炭素材をリチウム二次電池の負極と
して用いると、放電容量が著しく増大する。
【0097】実施例10 メソカーボンマイクロビーズの炭化物に代えて、実施例
4で得られたメソカーボンマイクロビーズの炭化物をボ
ールミルにより粉砕した粉砕物を用いる以外、実施例4
と同様にして、電池を作製した。
【0098】実施例11 メソカーボンマイクロビーズの炭化物に代えて、実施例
5で得られたメソカーボンマイクロビーズの炭化物をボ
ールミルにより粉砕した粉砕物を用いる以外、実施例5
と同様にして、電池を作製した。
【0099】実施例12 メソカーボンマイクロビーズの炭化物に代えて、実施例
6で得られたメソカーボンマイクロビーズの炭化物をボ
ールミルにより粉砕した粉砕物を用いる以外、実施例6
と同様にして、電池を作製した。
【0100】比較例3 メソカーボンマイクロビーズの炭化物に代えて、比較例
2で得られたメソカーボンマイクロビーズの炭化物をボ
ールミルにより粉砕した粉砕物を用いる以外、比較例2
と同様にして、電池を作製した。
【0101】実施例13 軟化点299℃の石炭系ピッチを、不活性ガス雰囲気
中、700℃で1時間熱処理した炭化し、得られた炭素
質物をボールミルで粉砕した。実施例1の炭素質粉末に
代えて、得られた粉粒状炭化物を用いる以外、実施例1
と同様にして負極体および電池を作製した。
【0102】実施例14 軟化点250℃の石油系ピッチを、不活性ガス雰囲気
中、700℃で1時間熱処理した炭化し、得られた炭素
質物をボールミルで粉砕した。実施例1の炭素質粉末に
代えて、得られた粉粒状炭化物を用いる以外、実施例1
と同様にして負極体および電池を作製した。
【0103】そして、実施例10〜14および比較例3
で作製した炭素材の特性および電池の電池特性を測定し
たところ、表4に示す結果を得た。
【0104】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はリチウム二次電池の一例を示す部分断面
図である。
【符号の説明】
1…正極 2…セパレータ 3…負極 4…ケース 5…封口板 6…集電体 7…絶縁パッキン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 嘉数 隆敬 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記特性を有する炭素材を含むリチウム
    二次電池用負極材。 (A)X線広角回折による平均格子定数d(002)が
    3.4オングストローム以上 (B)比重瓶法(JIS R7212)による真比重が
    1.8g/cc以下、および (C)炭素/水素の原子比C/Hが2〜40
  2. 【請求項2】 炭素材が、(D)BET比表面積70m
    2 /g以下の炭素質粒子である請求項1記載の負極材。
  3. 【請求項3】 炭素材が、(E)ESRスペクトルにお
    いて単一の吸収スペクトルを示す請求項1又は2記載の
    負極材。
  4. 【請求項4】 炭素材が、ESRスペクトルにおいて線
    幅1〜5ガウスの単一の吸収スペクトル示す請求項3記
    載の負極材。
  5. 【請求項5】 炭素材が、平均粒子径が0.5〜1.5
    μm、累積度数分布90体積%における粒子径が0.8
    〜3.5μmである請求項3又は4記載の負極材。
  6. 【請求項6】 炭素材が、下記(a)(b)(c)およ
    び(d)から選ばれた少なくとも一種の炭化物である請
    求項1又は2記載の負極材。 (a)芳香族成分が架橋剤により架橋した芳香族樹脂の
    焼成物、 (b)メソカーボンマイクロビーズの焼成物、 (c)ESRスペクトルにおいて線幅1〜5ガウスの単
    一の吸収スペクトルを示し、かつ平均粒子径が0.5〜
    1.5μm、累積度数分布90体積%における粒子径が
    0.8〜3.5μmである炭素質粒子、および (d)石炭系又は石油系ピッチの焼成物
  7. 【請求項7】 請求項1記載の負極材を備えているリチ
    ウム二次電池。
  8. 【請求項8】 炭化可能な材料を、非酸化性雰囲気中、
    1000℃以下の温度で焼成して炭化する負極材の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 下記(a)(b)(c)および(d)か
    ら選ばれた少なくとも一種の炭化可能な材料を焼成して
    炭化する請求項8記載の負極材の製造方法。 (a)芳香族成分が架橋剤により架橋した芳香族樹脂、 (b)メソカーボンマイクロビーズ、 (c)ESRスペクトルにおいて線幅0.5〜3.0ガ
    ウスの単一の吸収スペクトルを示し、かつ平均粒子径が
    0.5〜1.5μm、累積度数分布90体積%における
    粒子径が0.8〜3.5μmである炭素質粒子、および (d)石炭系又は石油系ピッチ
  10. 【請求項10】 芳香族樹脂として、芳香族成分と架橋
    剤とを酸触媒の存在下で反応させて得られる芳香族樹脂
    を用いる請求項9記載の負極材の製造方法。
  11. 【請求項11】 芳香族成分が、縮合多環芳香族化合
    物、縮合複素環化合物、石油系又は石炭系の重質油、タ
    ールおよびピッチからなる群から選択された少なくとも
    一種の成分である請求項10記載の負極材の製造方法。
  12. 【請求項12】 架橋剤が、芳香族ジメチレンハライ
    ド、芳香族ジメタノール、芳香族ジカルボニルハライド
    および芳香族アルデヒドからなる群から選択された少な
    くとも一種の化合物である請求項10記載の負極材の製
    造方法。
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